説明

電位治療器

【課題】被検者の電圧印加部位を可変とすることで、被検者に新しい刺激を与えることができ、被検者が電位治療の刺激に慣れにくく、高い治療効率を期待できる極めて実用性に秀れた電位治療器の提供。
【解決手段】電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部1と、この電極部1を設けた治療用椅子2とから成り、この治療用椅子2に座る前記被検者に前記電極部1から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部1を前記治療用椅子2に移動自在に設けて、この電極部1を移動させることでこの電極部1により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位治療器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示されるような、電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部と、この電極部を設けた治療用椅子とから成り、この治療用椅子に座る被検者に前記電極部から電圧を印加して電位治療を施す所謂椅子型の電位治療器がある。
【0003】
【特許文献1】特許第2903348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の椅子型の電位治療器においては、電極部は椅子の背もたれ部や座部に埋設固定されており、また、各電極部は同時にON/OFFするため、被検者の電圧印加部位は常に同じであり、長期間にわたり治療を行っていると被検者が同じ箇所への刺激に慣れ、治療効率が低下することが懸念されている。
【0005】
本発明は、上述のような現状に鑑み、被検者の電圧印加部位を可変とすることで、被検者に新しい刺激を与えることができ、被検者が電位治療の刺激に慣れにくく、高い治療効率を期待できる極めて実用性に秀れた電位治療器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部1と、この電極部1を設けた治療用椅子2とから成り、この治療用椅子2に座る前記被検者に前記電極部1から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部1を前記治療用椅子2に移動自在に設けて、この電極部1を移動させることでこの電極部1により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器に係るものである。
【0008】
また、少なくとも前記治療用椅子2の背もたれ部3に当接する前記被検者の背中に対して上下方向若しくは左右方向に移動可能に前記電極部1を構成したことを特徴とする請求項1記載の電位治療器に係るものである。
【0009】
また、電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部1と、この電極部1を設けた治療用椅子2とから成り、この治療用椅子2に座る前記被検者に前記電極部1から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部1を前記治療用椅子2に複数固定配置すると共に、各電極部1は夫々独立して電圧印加及び印加解除自在に構成して、この電極部1により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器に係るものである。
【0010】
また、前記治療用椅子2の背もたれ部3にして少なくとも前記被検者の肩,背中及び腰に電圧を印加し得る位置に夫々前記電極部1を設けたことを特徴とする請求項3記載の電位治療器に係るものである。
【0011】
また、前記治療用椅子2に、この治療用椅子2に座る被検者をマッサージするマッサージ機構4を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電位治療器に係るものである。
【0012】
また、電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部1と、この電極部1が設けられる前記被検者が着座する着座体若しくは前記被検者が横臥する横臥体とから成り、この着座体若しくは横臥体に着座若しくは横臥する前記被検者に前記電極部1から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部1を前記着座体若しくは前記横臥体に移動自在に設けて、この電極部1を移動させることでこの電極部1により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器に係るものである。
【0013】
また、電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部1と、この電極部1が設けられる前記被検者が着座する着座体若しくは前記被検者が横臥する横臥体とから成り、この着座体若しくは横臥体に着座若しくは横臥する前記被検者に前記電極部1から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部1を前記着座体若しくは前記横臥体に複数固定配置すると共に、各電極部1は夫々独立して電圧印加及び印加解除自在に構成して、この電極部1により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上述のように構成したから、被検者の電圧印加部位を可変とすることで、被検者に新しい刺激を与えることができ、被検者が電位治療の刺激に慣れにくく、高い治療効率を期待できる極めて実用性に秀れた電位治療器となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
治療用椅子2に座る被検者に電極部1から電圧を印加して電位治療を施す。この際、必要に応じて電極部1を移動させたり異なる電極部1から電圧を印加したりすることで、被検体の電圧印加部位を可変することが可能となり、常に同じ部位に電圧を印加されていた従来に比し、被検者は任意に電圧印加部位を変更して常に新しい刺激を得ることができ、被検者が電位治療の刺激に慣れにくくそれだけ高い治療効率を期待できることになる。
【0017】
また、例えば、治療用椅子2に、この治療用椅子2に座る被検者をマッサージするマッサージ機構4を設けて、この治療用椅子2に座る被検者に電位治療若しくはマッサージを選択的に施せるように構成した場合には、被検者は電位治療とマッサージとを交互に受けることが可能となり、よりリラックスした状態で電位治療を受けることができ、治療効率を高めることが期待できる。
【実施例】
【0018】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施例は、電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部1と、この電極部1を設けた治療用椅子2とから成り、この治療用椅子2に座る前記被検者に前記電極部1から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部1を前記治療用椅子2に移動自在に設けて、この電極部1を移動させることでこの電極部1により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したものである。
【0020】
本実施例は、椅子型の電位治療器の電極部1を移動可能としたものであり、電圧発生回路等、他の部分は従来と同様の構成である。即ち、例えば電圧発生回路は、トランスと、このトランスの一次側に適宜な交流電圧を入力する交流電圧発生部とで構成し、このトランスの二次側から出力される交流電圧を前記電極部1から被検者に印加し得るように構成する。この電圧発生回路は、治療用椅子2に内蔵した構成としても良いし、外部に設けた構成としても良い。本実施例においては治療用椅子2の内部(座部の下方)に収納した構成としている。尚、本実施例においては、100〜9000V程度の交流電圧を印加し得るように構成している。また、交流電圧に限らず、直流電圧を印加する構成としても良いし、トランスを介さずに電圧を入力する構成としても良い。
【0021】
各部を具体的に説明する。
【0022】
治療用椅子2(着座体)としては、図1に図示したような安楽椅子形状のものを採用している。この治療用椅子2には、電極部1を表面に露出しないよう隠蔽状態に設けている。
【0023】
具体的には、例えばボールネジ機構等の駆動機構により治療用椅子2に座った被検者の背中に対して上下方向に駆動可能なローラ型の電極部1を背もたれ部3の略中央部に設けている。この電極部1は、治療用椅子2に座った被検者の肩から腰にかけて背骨に沿って連続的に移動し得るように構成している。背骨の両側には各種のつぼが集中しているため、任意に移動させながらこれらのつぼを刺激することで特に治療効果を得ることができる。また、ローラ型の電極部1は、移動させながら電圧を印加するように構成しても良いし、固定状態で電圧を印加するように構成しても良い。尚、ローラ型に限らず、より広範囲に電圧を印加できる板状や、より局部的に電圧を印加できるペン状、後記もみ玉のような球状等、他の構成としても良い。
【0024】
従って、電極部1を上下方向に移動させることで、例えば従来の座部に電床を固定状態に設けた場合等のように常に同一箇所から電圧を印加されないように、被検者は肩・背中・腰等、任意の箇所を電圧印加部位に設定することができ、電位治療の刺激に慣れにくく新鮮な刺激を受けることができ、それだけ電位治療による治療効果を高めることが可能となる。
【0025】
また、電極部1から印加される電圧を調整したり、電圧印加時間を設定するタイマーの時間設定をしたり、電極部1を駆動したりするためのコントローラは椅子に設けても良いし、椅子とは別個に設けても良い。
【0026】
また、本実施例においては、上述のように背もたれ部3に上下方向に移動自在に電極部1を設けた構成としているが、他の部位、例えば座部5や脹脛を支承する脹脛支承部6や肘掛7にまで移動するように構成しても良い。また、この移動する電極部を各部毎に(複数)設けても良い。これらの場合にも、被検体のつぼを刺激し得る位置に設けるのが好ましい。
【0027】
また、治療用椅子2は、床面から被検体を絶縁状態で支承し得るように構成しているが、仮に治療用椅子2に座って脹脛支承部6で脹脛を支承した状態で床面に足がつく場合には、足と床面との間に適宜絶縁体を介在せしめる。
【0028】
また、本実施例は上述のように1つの電極部1を移動自在に設けた例であるが、例えば図2に図示したような別例のように、板状の電極部1を治療用椅子2に複数固定配置すると共に、各電極部1は夫々独立して電圧印加及び印加解除自在に構成して、この電極部1により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を変更し得るように構成しても良い。
【0029】
具体的には、背もたれ部3にして被検者の肩(上部)・背中(中部)・腰(下部)が夫々当接する部位の左右に夫々電極部1を配設し、また、座部5にして被検者の臀部が当接する部位の左右に夫々電極部1を配設している。これらの電極部1は夫々独立して電圧印加及び印加解除自在に構成しているから、上記同様被検者は前記コントローラにより電圧印加部位を自在に設定可能となる。即ち、例えば肩に電圧を印加し得る背もたれ部3の上部右側の電極からのみ電圧を印加したり、腰に電圧を印加し得る背もたれ部3の中部両側と座部5の右側の電極とから電圧を印加するなどして電圧印加部位を可変することが可能である。尚、更に脹脛支承部6や肘掛7に電極部1を設ける構成や、各つぼ毎に電圧印加・解除し得る構成としても良い。
【0030】
また、治療用椅子2に、この治療用椅子2に座る被検者をマッサージするマッサージ機構4を設けて、この治療用椅子2に座る被検者に電位治療若しくはマッサージを選択的に行えるように構成している。
【0031】
このマッサージ機構4は、例えばボールネジ機構等の駆動機構により治療用椅子2に座った被検者の背中に対して上下方向に駆動可能なもみ玉を背もたれ部3の略中央部に設けて成る。このもみ玉は、治療用椅子2に座った被検者の肩から腰に掛けて連続的に移動し得るように構成し、また、もみ,叩き及びさすり等を自在に行えるように構成している。尚、このマッサージ機構4の制御も前記コントローラにより行うように構成する。また、背もたれ部3だけでなく、他の部位にもマッサージ機構4を設ける構成としても良い。
【0032】
本実施例においては、着座体として背もたれ部と座部とを有する上記治療用椅子2を採用した場合について説明しているが、例えばクッションや背もたれのない椅子等、座部のみから成る着座体についても上記同様に電極部1を配設することで同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、着座体に限らず、図3,4に図示したように、布団8やマットレス等の横臥体に上記電極部1を設ける場合も同様である。図3は電極部1を布団8の長さ方向に移動自在に配設した例、図4は電極部1を布団8の長さ方向に複数並設配設した例である。尚、長さ方向に限らず、電極部1を幅方向に複数並設配設する場合や、長さ方向及び幅方向に複数並設配設する場合も同様である。布団8等の横臥体に上記電極部1を設ける場合には、被検者の背面全体に電圧を印加し得るように電極部1を配設することが容易となり、被検者の背面に(同時若しくは間隔をおいて)満遍なく電圧を印加することが可能となり、治療を一層効果的に行えることになる。尚、符号9は、電極部1のコントローラである。
【0034】
本実施例は上述のように構成したから、治療用椅子2に座り絶縁された被検者に電極部1から電圧を印加して電位治療を施すことができる。この際、必要に応じて電極部1を移動させたり異なる電極部1から電圧を印加したりすることで、被検体の電圧印加部位を細かく可変することが可能となり、常に同じ部位に電圧を印加されていた従来に比し、被検者は任意に電圧印加部位を変更して常に新しい刺激を得ることができ、被検者が電位治療の刺激に慣れにくくそれだけ高い治療効率を期待できることになる。また、被検者に応じて好適な部位から電圧を印加することが可能となる。
【0035】
また、治療用椅子2に、この治療用椅子2に座る被検者をマッサージするマッサージ機構4を設けて、この治療用椅子2に座る被検者に電位治療若しくはマッサージを選択的に行えるように構成したから、被検者は電位治療とマッサージとを交互に受けることが可能となり、よりリラックスした状態で電位治療を受けることができ、治療効率を高めることが期待できる。
【0036】
従って、本実施例は、被検者の電圧印加部位を可変とすることで、被検者に新しい刺激を与えることができ、被検者が電位治療の刺激に慣れにくく、高い治療効率を期待できる極めて実用性に秀れた電位治療器となる。
【0037】
本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施例の概略説明斜視図である。
【図2】別例の概略説明斜視図である。
【図3】別例の概略説明斜視図である。
【図4】別例の概略説明斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 電極部
2 治療用椅子
3 背もたれ部
4 マッサージ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部と、この電極部を設けた治療用椅子とから成り、この治療用椅子に座る前記被検者に前記電極部から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部を前記治療用椅子に移動自在に設けて、この電極部を移動させることでこの電極部により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器。
【請求項2】
少なくとも前記治療用椅子の背もたれ部に当接する前記被検者の背中に対して上下方向若しくは左右方向に移動可能に前記電極部を構成したことを特徴とする請求項1記載の電位治療器。
【請求項3】
電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部と、この電極部を設けた治療用椅子とから成り、この治療用椅子に座る前記被検者に前記電極部から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部を前記治療用椅子に複数固定配置すると共に、各電極部は夫々独立して電圧印加及び印加解除自在に構成して、この電極部により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器。
【請求項4】
前記治療用椅子の背もたれ部にして少なくとも前記被検者の肩,背中及び腰に電圧を印加し得る位置に夫々前記電極部を設けたことを特徴とする請求項3記載の電位治療器。
【請求項5】
前記治療用椅子に、この治療用椅子に座る被検者をマッサージするマッサージ機構を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電位治療器。
【請求項6】
電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部と、この電極部が設けられる前記被検者が着座する着座体若しくは前記被検者が横臥する横臥体とから成り、この着座体若しくは横臥体に着座若しくは横臥する前記被検者に前記電極部から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部を前記着座体若しくは前記横臥体に移動自在に設けて、この電極部を移動させることでこの電極部により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器。
【請求項7】
電圧発生回路と、被検者に前記電圧発生回路からの電圧を印加する電極部と、この電極部が設けられる前記被検者が着座する着座体若しくは前記被検者が横臥する横臥体とから成り、この着座体若しくは横臥体に着座若しくは横臥する前記被検者に前記電極部から電圧を印加して電位治療を施す電位治療器であって、前記電極部を前記着座体若しくは前記横臥体に複数固定配置すると共に、各電極部は夫々独立して電圧印加及び印加解除自在に構成して、この電極部により電圧が印加される前記被検者の電圧印加部位を可変し得るように構成したことを特徴とする電位治療器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−136835(P2008−136835A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38949(P2007−38949)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(300033452)株式会社リッコー (1)
【Fターム(参考)】