説明

電位測定装置

【課題】測定感度を向上させることが可能な非接触式の電位測定装置を提供する。
【解決手段】電位測定装置10は、帯電物体に対向配置される検出電極14と、開口スリット19が形成され検出電極14を覆う固定シャッタ15と、開閉方向に往復動して開口スリット19を開閉させる可動シャッタ21とを有し、可動シャッタ21に、開口スリット19に対向する全開位置と開口スリット19からずれる遮断位置とに移動する主スリット31を形成し、さらに全開位置と遮断位置とに移動する副スリット32を主スリット31の往復動方向端の外側に少なくとも1つ形成し、可動シャッタ21が1往復させられる間に、可動シャッタ21は、主スリット31のみにより電界を通過させる第1の全開位置と、主スリット31と共に副スリット32により電界を通過させる第2の全開位置とに位置可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電物体の表面電位を非接触で測定する電位測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電荷が帯電した帯電物体の表面電位を測定するために、測定素子を帯電物体に接触させることなく、非接触式とした電位測定装置が使用されている。非接触式の電位測定装置は帯電物体に対して離れた状態で対向して配置される検出電極を有している。さらに、この電位測定装置においては、検出電極と帯電物体との間には、帯電物体からの電界を通過させる開口部(すなわちスリット)が形成されたシールド部材としての固定シャッタと、固定シャッタのスリットを開閉する可動シャッタとが配置されており、それぞれのシャッタは導電性材料により形成されている。
【0003】
可動シャッタにより固定シャッタのスリットを開閉させて、帯電物体と検出電極との間に形成される電界により検出電極に電荷が誘導される状態と電界を遮断して電荷が誘導されない状態とに切り換えるようにすると、検出電極を含む検出回路には誘導される電荷の変化により電流が流れることになる。この電流は、帯電物体の表面電位に対応するので、検出された電流から帯電物体の表面電位が測定されることになる。
【0004】
ところで、上述のような非接触式の電位測定装置としては、以下のようなタイプのものがある。まず、特許文献1には、測定すべき帯電物体に応じて測定分解能や感度を調節するために、固定シャッタの開口部(すなわちアパーチャ)の開口面積を変化させるようにしたタイプの電位測定装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2、3には、複写機の感光ドラムの表面電位を測定するための電位測定装置であり、可動シャッタや振動子を検出電極に沿って周期的に圧電素子等により振動させて往復動するようにしたタイプの電位測定装置が開示されている。一方、特許文献4には、扇形のスリット窓が形成された固定シールドと、扇形の検知窓が形成された回転式シャッタとを有し、回転式シャッタを回転させることにより、スリット窓と検知窓との位置関係から固定シールドと回転シャッタとにより形成される開口部の開口面積を変化させるようにした電位測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭54−107781号公報
【特許文献2】特開2006−214764号公報
【特許文献3】特開2007−51885号公報
【特許文献4】特開2007−218693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2、3に示すような可動シャッタや振動子を振動させて往復動させるタイプのものでは、その往復動させることによって、開口部を開閉して検出電極に電界を通過させる通過状態と電界の通過を遮断させる遮断状態とに切り換えている。ここで、このタイプのものでは、通常は、可動シャッタや振動子が一往復すると、開口部を1回開閉させることになる。
【0008】
ところで、非接触式の電位測定装置においては、可動シャッタや振動子により開口部を開閉する速度を高めるようにすると、検出電極に誘導される電荷の変化量(つまり電流)を大きくすることができるので、表面電位の測定感度を高めることができる。しかしながら、電位測定装置を大型化することなく、可動シャッタの駆動周波数を大きくすることには限度がある。そのため、可動シャッタを往復振動させるようにしたタイプの電位測定装置においては、検出感度を高めることが困難となっている。
【0009】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、測定感度を向上させることが可能な非接触式の電位測定装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、帯電物体の表面電位を非接触で測定する電位測定装置であって、帯電物体に対向して配置される検出電極と、開口スリットが形成され検出電極を覆う第1のシャッタと、開口スリットに対向する全開位置と開口スリットからずれる遮断位置とに移動可能な主スリットと、開口スリットに対向する全開位置と開口スリットからずれる遮断位置とに移動可能な副スリットを主スリットに隣接して少なくとも1つ有する第2のシャッタと、を有し、第1のシャッタと第2のシャッタとの間での相対的な移動により、全開位置には、開口スリットに主スリットのみが対向して帯電物体と検出電極との間に電界を通過させる第1の全開位置と、開口スリットに主スリットと副スリットが対向して帯電物体と検出電極との間に電界を通過させる第2の全開位置とが存在する、ことを特徴とする電位測定装置が提供される。
【0011】
また、上述の発明において、開口スリットを第1シャッタに一定ピッチで複数形成し、主スリットと副スリットとは、複数の開口スリットに対応させて第2のシャッタに形成されている構成とすることができる。
【0012】
また、上述の発明において、第1のシャッタおよび第2のシャッタのうちのいずれか一方である可動シャッタを全開位置と遮断位置とに移動させる駆動手段が設けられている構成とすることができる。
【0013】
また、上述の発明において、第1のシャッタおよび第2のシャッタの両方を全開位置と遮断位置とに移動させる駆動手段が設けられている構成とすることができる。
【0014】
また、上述の発明において、可動シャッタは第2のシャッタであり、この第2のシャッタは、固定端部と、当該固定端部から延びるアーム部と、当該アーム部の先端に設けられ主スリットと副スリットとが設けられた本体部とを有し、当該本体部が固定端部に支持されて往復動する構成とすることができる。
【0015】
また、上述の発明において、可動シャッタは第1のシャッタであり、この第1のシャッタは、固定端部と、当該固定端部から延びるアーム部と、当該アーム部の先端に設けられ開口スリットが設けられた本体部とを有し、当該本体部が固定端部に支持されて往復動する構成とすることができる。
【0016】
また、上述の発明において、駆動手段は、可動シャッタに取り付けられる磁性体と、可動シャッタが一方側の往復動端位置となったときに磁性体に対向する磁極面および可動シャッタが他方側の往復動端位置となったときに磁性体に対向する磁極面を有するU字形状のヨークと、当該ヨークの両端側にそれぞれ巻き付けられる一対のコイルとを有する構成とすることができる。
【0017】
また、上述の発明において、駆動手段は、第1のシャッタに取り付けられる第1の磁性体と、第2のシャッタに取り付けられる第2の磁性体と、第1の磁極面、第2の磁極面および共通磁極面を有するE字形状のヨークと、ヨークのうち第1の磁極面が存在する一方の端部側および第2の磁極面が存在する他方の端部側にそれぞれ巻き付けられる一対のコイルと、を有し、第1の磁極面は、第1のシャッタが一方側の往復移動端位置となったときに第1の磁性体に対向し、第2の磁極面は、第2のシャッタが他方側の往復移動端位置となったときに第2の磁性体に対向し、共通磁極面は、第1のシャッタが他方側の往復移動端位置となったときに第1の磁性体に対向し、かつ第2のシャッタが一方側の往復移動端位置となったときに第1の磁性体と並んで第2の磁性体に対向する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、電位測定装置における測定感度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電位測定装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1の電位測定装置の正面断面図であり、図1における矢示2−2線で切断した状態を示す図である。
【図3】図1の電位測定装置の側面断面図であり、図1における矢示3−3線で切断した状態を示す図である。
【図4】図1の電位測定装置において、カバーを取り除いた状態を示す平面図である。
【図5】図1の電位測定装置において、カバーを取り除いた状態を示す側面図である。
【図6】図1の電位測定装置のうち、(A)は可動シャッタの本体部を示す平面図であり、(B)は固定シャッタの本体部を示す平面図である。
【図7】図1の電位測定装置において、可動シャッタが往復動したときの開口スリットに対する主スリットおよび副スリットの位置関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電位測定装置の構成を示す図であり、カバーおよび台板を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態に係る電位測定装置の構成を示す図であり、カバーおよび台板を取り除いた状態を示す平面図である。
【図10】図8の電位測定装置において、一対の可動シャッタが往復動したときの開口スリットに対する主スリットおよび副スリットの位置関係を示す図である。
【図11】第1の実施の形態の変形例に係り、固定シャッタに主スリットおよび副スリットが形成され、可動シャッタに開口スリットが形成された構成を示す正面断面図である。
【図12】第1の実施の形態の変形例に係り、カバーに開口スリットが形成され、可動シャッタに主スリットおよび副スリットが形成された構成を示す正面断面図である。
【図13】第1の実施の形態の変形例に係り、カバーに主スリットおよび副スリットが形成され、可動シャッタに開口スリットが形成された構成を示す正面断面図である。
【図14】第1の実施の形態の変形例に係り、それぞれの可動シャッタに対して2つのバネ部が設けられている構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る電位測定装置10Aについて、図面に基づいて説明する。
【0021】
<1.電位測定装置10Aの構成について>
図1に示すように、電位測定装置10Aは、一方向(図1ではX方向)に長い長方形状に設けられている。この電位測定装置10Aは、図2および図3に示すように、長方形の台板11を有している。台板11にはカバー12が取り付けられており、カバー12と台板11とによりほぼ直方体形状のケース体が形成される。カバー12には、その長手方向(X方向)において、中央よりも一端側(X1側)の部位に矩形の開口窓13が形成されている。開口窓13は、図1に示すように、後述する主スリット31が全て外部に露出する(外部から視認可能となる)ように、カバー12を切り欠いて形成されている。なお、帯電物体の表面電位を測定するときには、帯電物体に開口窓13が対向するように電位測定装置10Aが配置される。
【0022】
また、台板11には検出電極14が取り付けられている。検出電極14は、フランジ部14aが台板11に固定され、さらにフランジ部14aから立脚部14bが台板11に略垂直をなしていて、さらに立脚部14bの突出端部から電極部14cが台板11と平行をなして設けられている。そして、この電極部14cは、開口窓13に対向させて取り付けられている。なお、検出電極14は、検出回路(図示省略)を構成する要素の一つであり、この検出電極14のうちの少なくとも電極部14cは、帯電物体との間で電界を形成可能としている。
【0023】
また、台板11には、検出電極14を覆うように、導電性材料からなる固定シャッタ15が取り付けられている。この固定シャッタ15は、その本体部16が検出電極14の電極部14cに対して平行に設けられているが、当該本体部16は略長方形状に設けられている。また、固定シャッタ15には、本体部16に対してそれぞれ直角に折り曲げられている側壁部17と端壁部18とが、本体部16と一体的に設けられている。図2に示すように、側壁部17の先端部を台板11に形成された取付孔に挿入することにより、固定シャッタ15は台板11に取り付けられている。
【0024】
また、固定シャッタ15の本体部16には、図6(B)に示すように、カバー12の長手方向(X方向)に延びる開口スリット19が形成されている。図6(B)に示す構成では、開口スリット19は、本体部16の幅方向(Y方向)に沿って、一定のピッチPを隔てて5つ形成されている。なお、ここでいう幅方向(Y方向)とは、カバー12の長手方向(X方向)に対して直交する方向を指す。また、後述するZ方向とは、上述のX方向およびY方向に対して直交する方向を指す。
【0025】
図4および図5に示すように、台板11には可動シャッタ21が設けられている。この可動シャッタ21は、固定シャッタ15を覆うように、台板11に設けられている。すなわち、可動シャッタ21は、固定シャッタ15の外側に設けられている。この可動シャッタ21は、後述するスリット31,32が固定シャッタ15の開口スリット19に対して全開位置と遮断位置とで位置合わせされることにより、帯電物体と検出電極14(電極部14c)との間で形成される電界に変化を与えることを可能としている。
【0026】
なお、本明細書においては、「全開位置」とは、開口スリット19の長手方向(X方向)における中心線(図示省略)と、後述するスリット31,32の長手方向(X方向)における中心線(図示省略)とが、共に図2他のZ方向において同じ線上に位置する場合を指す。ただし、開口スリット19およびスリット31,32を形成する際の位置的な精度等を加味すると、開口スリット19の中心線と、スリット31,32の中心線とがZ方向において同じ線上から若干ずれても、帯電物体と検出電極14(電極部14c)との間で形成される電界が「全開位置」に対応すると見なせる場合には、上述の若干ずれる場合も「全開位置」に含まれるものとする。
【0027】
また、本明細書においては、「遮断位置」とは、開口スリット19の長手方向(X方向)における中心線と、後述する2つの主スリット31の間に存在する遮蔽部(符号省略)の長手方向(X方向)における中心線または主スリット31と副スリット32の間に存在する遮蔽部(符号省略)の長手方向(X方向)における中心線(図示省略)とが、図2他のZ方向において同じ線上に位置する状態を指す。ただし、開口スリット19およびスリット31,32を形成する際の位置的な精度等を加味すると、開口スリット19の中心線と、上述の遮蔽部の中心線とがZ方向において同じ線上から若干ずれても、帯電物体と検出電極14(電極部14c)との間で形成される電界が「遮断位置」に対応すると見なせる場合には、上述の若干ずれる場合も「遮断位置」に含まれるものとする。
【0028】
また、上述の固定シャッタ15は請求項でいう第1のシャッタに対応すると共に、可動シャッタ21は請求項でいう第2のシャッタに対応する。
【0029】
上述の可動シャッタ21は、導電性を有する材料により形成され、開閉方向(Y方向)に往復動自在となっている。また、可動シャッタ21は台板11に固定される固定端部22を有し、固定端部22の両側には脚片23が一体に設けられている。脚片23を台板11に形成された取付孔に挿入されることにより、可動シャッタ21の固定端部22は台板11に取り付けられるようになっている。
【0030】
なお、可動シャッタ21は、固定シャッタ15に対して外側に取り付けられているが、可動シャッタ21を固定シャッタ15の内側(すなわち固定シャッタ15と検出電極14との間)に配置するようにしても良い。
【0031】
固定端部22のそれぞれの脚片23には、台板11の長手方向(X方向)の一端側(X1側)に向かって延びるアーム部24が一体に設けられている。図4に示すように、本実施の形態においては、所定の間隔を隔てた状態で2つのアーム部24が設けられていて、それらアーム部24は、可撓性の板状部材から構成されている。このアーム部24の先端には、本体部25が一体に設けられている。図2および図3に示すように、検出電極14を覆うようにその外側に固定シャッタ15の本体部16が配置され、その外側に可動シャッタ21の本体部25が配置されている。さらに、本体部25は、開口窓13を介して外部に露出されている。可動シャッタ21は、本体部25が矢印Nで示すように開閉方向(この方向はY方向に対応し、台板11および開口スリット19の幅方向)に往復動することにより、開口スリット19を開閉する。
【0032】
なお、固定シャッタ15のうちの少なくとも本体部16は接地されていると共に、可動シャッタ21のうちの少なくとも本体部25も接地されている。
【0033】
可動シャッタ21を開閉駆動するために、図3および図4に示すように、本体部25に一体に設けられた端壁26には、磁性体としてのマグネット27が取り付けられている。台板11の一端側(X1側)には図4に実線と破線で示すようにU字形状のヨーク28が取り付けられており、ヨーク28には、ボビン281を介して一対のコイル29a,29bが巻き付けられている。コイル29a,29bは、不図示の電源ユニットに接続されており、電源ユニットからコイル29a,29bのそれぞれに、X方向においてコイル29a,29bの中にあるそれぞれのヨークに互いに逆向きの磁界を形成させる向きの交流電流が印加される。それにより、マグネット27が一方の磁極面28aに対向する位置と、他方の磁極面28bに対向する位置との間を移動する。このように、ヨーク28に巻き付けられたコイル29a,29bとマグネット27とにより可動シャッタ21を往復動方向Nに開閉駆動させる駆動手段が形成されている。
【0034】
可動シャッタ21の本体部25には、図6(A)に示されるように、固定シャッタ15に形成された5つの開口スリット19に対応させて、5つの主スリット31が形成されている。それぞれの主スリット31は、開口スリット19に沿う方向(X方向)に延びている。隣り合う主スリット31の相互間は、往復動方向Nに一定のピッチPとなっており、このピッチPは開口スリット19のピッチPと同一となっている。
【0035】
可動シャッタ21が往復振動すると、主スリット31は、上述の全開位置と遮断位置との間で、Y方向における位置を切り替えることを可能としている。
【0036】
図2は、可動シャッタ21が中立位置となった状態を示しており、このときには、5つの主スリット31が全て開口スリット19に対向した状態となっている。往復動方向N(Y方向)の両端部に位置する主スリット31の外側には、副スリット32が1つずつ形成されており、それぞれの副スリット32の形状は主スリット31と同一である。5つの主スリット31のうち往復動方向Nの両端部に位置する主スリット31とそれぞれの副スリット32との間のピッチPは、図6(A)に示すように、主スリット31相互間のピッチPと同一に設定されている。図6に示すように、可動シャッタ21には、5つの主スリット31と2つの副スリット32とがそれぞれ同一の形状となって形成されており、これらの7つのスリット31,32は、固定シャッタ15に形成された開口スリット19と同一の形状となっている。これにより、可動シャッタ21が往復動すると、副スリット32は、開口スリット19に対向する全開位置と、開口スリット19と対向することなく開閉方向にずれて電界を遮蔽する遮断位置とに位置可能となる。
【0037】
このように、往復動方向Nの両端部に位置する2つの主スリット31の外側、つまり往復動方向Nの延長方向には、1つの副スリット32が形成されている。そのため、可動シャッタ21が、図2に示される中立位置から図2において左方向の往復動端に移動した後に、右方向の往復動端の位置まで移動し、さらに中立位置に戻るまでの1周期駆動される間には、可動シャッタ21は固定シャッタ15の5つの開口スリット19を全開状態と遮断状態とにそれぞれ4回開閉駆動することになる。つまり可動シャッタ21の駆動周波数の4倍の周波数で開口スリット19の全開と遮断との開閉動作が行われることになる。
【0038】
検出電極14には電流検出回路が接続されており、帯電物体に開口窓13を介して検出電極14を対向させた状態のもとで、コイル29a,29bには例えば600〜800Hzの交流を印加して可動シャッタ21を往復振動させると、可動シャッタ21が1往復する間の駆動周波数の4倍の周波数で固定シャッタ15の開口スリット19が開放されることになり、この周期で検出電極14と帯電物体との間に電界の変化が形成され、検出電極14には電荷が誘導される。
【0039】
なお、上述のコイル29a,29bは、不図示の制御部に接続されていて、この制御部での制御に基づいて、コイル29a,29bへの通電が制御される。また、この制御部に検出電極14が接続される構成としても良い。
【0040】
<2.電位測定装置10Aの動作について>
図7は可動シャッタ21の往復動によるスリットの開閉状態を示す開閉動作図である。図7(C)は可動シャッタ21の中立状態を示し、中立状態においてはそれぞれの主スリット31が開口スリット19に対向することになり、可動シャッタ21は全ての開口スリット19を介して検出電極14に電界を通過させる電界通過位置(すなわち全開状態[1])となる。なお、図7(C)に示す全開状態[1]および全開状態[5]の可動シャッタ21の位置は、請求項でいう第1の全開位置に対応する。
【0041】
この状態のもとで、コイル29に電力を供給して、可動シャッタ21を、例えば図7において左方向に移動させる。すると、可動シャッタ21は、図7(B)の遮断状態[2]を経て、図7(A)の全開状態[3]の位置(左端部)の位置まで移動する。図7(B)に示す遮断状態[2]においては、固定シャッタ15の開口スリット19には可動シャッタ21の主スリット31と副スリット32のいずれも対向することなく、可動シャッタ21の遮蔽部が対向することになる。図7(A)に示す全開状態[3]においては、5つの開口スリット19は、4つの主スリット31と、図7において右側の1つの副スリット32に対向する。それによって、全ての開口スリット19を介して検出電極14に電界を通過させる全開状態となる。なお、図7(A)に示す全開状態[3]の可動シャッタ21の位置、および後述する図7(E)に示す全開状態[7]の可動シャッタ21の位置は、請求項でいう第2の全開位置に対応する。
【0042】
この後に、可動シャッタ21は図7(A)に示す全開状態[3]から遮断状態[4]を経て中立位置に戻った後(全開状態[5]に到達した後)に、図7(D)の遮断状態[6]を経て、図7(E)の全開状態[7]の位置(右端部)まで移動する。その後に遮断状態[8]を経て、再び中立位置(全開状態[1])に戻ることになる。図7(D)に示す遮断状態においては、固定シャッタ15の開口スリット19には可動シャッタ21の主スリット31と副スリット32のいずれも対向しておらず、可動シャッタ21の遮蔽部が対向することになる。また、図7(E)に示す全開状態[7]においては、5つの開口スリット19は、4つの主スリット31と図7において左側の1つの副スリット32に対向するので、全ての開口スリット19を介して検出電極14に電界を通過させる全開状態となる。
【0043】
このように、可動シャッタ21に複数の主スリット31を並列に形成し、主スリット31の列の外側、つまり可動シャッタ21の移動方向両端の外側に副スリット32を形成している。従って、可動シャッタ21が中立位置から一方の往復動端位置へ移動し、再度中立位置に戻ってから他方の往復動端位置へ移動して中立位置に戻るまで、つまり図7(C)の全開状態[1]から、再びこの全開状態[1]に戻るまでに、可動シャッタ21が1周期移動する間には、全開と遮断とをそれぞれ4回ずつ繰り返すことになる。つまり、可動シャッタ21の駆動周波数の4倍の周波数で全開と遮断を繰り返すことになる。
【0044】
例えば、可動シャッタ21の本体部25に、副スリット32を設けることなく、主スリット31を5つだけ設けた場合には、可動シャッタ21が1往復する間に主スリット31を介して開放される開口スリット19の数は、図7(C)の中立位置では5つとなる。一方、図7(A)の位置[3]および図7(E)の位置[7]においては4つの開口スリット19が開放されることになる。したがって、開口するスリット数は、5つ、4つ、5つ、4つと変化することになる。すなわち、可動シャッタ21が1往復する間に完全な全開状態となるのは、位置[1]と位置[5]の2回であり、検出電極14に誘導される電荷が少なくなる。
【0045】
これに対し、上述のように、5つの主スリット31の両側に副スリット32を設ける場合には、可動シャッタ21が1往復する間に、開口スリット19と対向する(開口する)スリット数は、位置[1]、位置[3]、位置[5]および位置[7]の4回とも、全開状態の5つとなり、検出電極14に誘導される電荷が少なくなる、という不具合は生じない。したがって、より大きな電流が検出電極14によって得られるので、副スリット32を設けない場合に比して、より高い測定感度の電位測定装置10Aが得られる。
【0046】
図示する電位測定装置10Aにおいては、可動シャッタ21には2つの副スリット32が設けられている。これに対し、2つの副スリット32ではなく、1つのみの副スリット32を設ける場合には、可動シャッタ21が1往復する間において完全な全開状態となるのは、位置[1]と位置[5]以外には、位置[3]か、または位置[7]のいずれか1回であり合計3回となっている。
【0047】
<3.効果について>
以上のような構成の電位測定装置10Aによると、可動シャッタ21には、主スリット31以外に副スリット32が形成されているため、駆動手段の駆動によって可動シャッタ21が1往復させられる間に、可動シャッタ21は、位置[1]、位置[3]、位置[5]および位置[7]の合計4回の全開状態が実現される。従って、可動シャッタ21の駆動周波数の4倍の周波数で全開と遮断を繰り返すことになり、4倍となる周波数の分だけ検出電極14に誘導される電荷の変化量(電流)を大きくすることが可能となる。それにより、駆動周波数を高めなくても、検出電極14の表面電位の測定感度を高めることが可能となる。
【0048】
さらに、本実施の形態では、副スリット32は、主スリット31の往復動方向両端の外側に少なくとも1つずつ形成されている。それにより、図7(C)に示す中立状態から、図7において左右どちらの側に可動シャッタ21が移動した場合でも、全ての開口スリット19は、主スリット31か、または副スリット32と対向する状態を実現可能となり、中立状態から左右どちらに移動しても、全開状態を実現可能となる。
【0049】
また、本実施の形態では、開口スリット19を可動シャッタ21の往復動方向に一定ピッチで固定シャッタ15に複数形成し、主スリット31を複数の開口スリット19に対応させて可動シャッタ21に複数形成している。このため、可動シャッタ21の移動によって、全開状態と遮断状態を良好に実現可能となる。
【0050】
さらに、本実施の形態では、可動シャッタ21を固定シャッタ15よりも検出電極14に対して外側に設けている。従って、固定シャッタ15は可動シャッタ21よりも小さくすることが可能となり、固定シャッタ15の剛性は可動シャッタ21よりも高くすることが可能となる。従って、固定シャッタ15における振動の影響を低減可能となる。
【0051】
また、本実施の形態では、可動シャッタ21は、固定端部22と、アーム部24と、本体部25とを有し、この本体部25が固定端部22に支持されて往復動する構成となっている。このため、固定端部22側を支点として本体部25を往復動させることが可能となり、簡素な構成でありながら可動シャッタ21の確実な開閉動作を実現可能となる。
【0052】
さらに、本実施の形態では、駆動手段は、可動シャッタ21に取り付けられるマグネット27と、U字形状のヨーク28と、このヨーク28に巻き付けられるコイル29a,29bとを有している。このため、この駆動手段によって、可動シャッタ21の往復動を良好に実現可能となる。
【0053】
また、本実施の形態では、可動シャッタ21には可撓性を有する板状のアーム部24が2つ設けられている。それにより、主スリット31と副スリット32とが共に開口スリット19に対して平行な状態を保ちながら往復動する。従って、可動シャッタ21が円弧状に搖動する場合と比較すると、可動シャッタ21の往復動の両端部(位置[3]と位置[7])における開口面積を大きくすることが可能となる。なお、かかる可動シャッタ21の往復動を考慮すると、開口スリット19のX方向における長さよりも、主スリット31および副スリット32のX方向における長さを若干長くしても良い。このとき、可動シャッタ21が位置[1](位置[5])、位置[3]および位置[7]のいずれに位置する場合であっても、主スリット31および副スリット32のうちX2側又はX1側に隣接する遮蔽部が、Z方向において開口スリット19と対向しない寸法に設定しても良い。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る、電位測定装置10Bについて、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態に係る電位測定装置10Bにおいては、上述の第1の実施の形態における電位測定装置10Aと同様の構成については、同じ符号を付して説明するものとする。
【0055】
<1.電位測定装置10Bの構成について>
図8は、第2の実施の形態に係る電位測定装置10Bの構成を示す斜視図である。また、図9は、第2の実施の形態に係る電位測定装置10Bの構成を示す平面図である。ただし、これら図8および図9においては、要点を分かり易くする関係上、カバー12および台板11等を省略した構成が示されている。
【0056】
本実施の形態においては、第1の実施の形態における固定シャッタ15は存在しなく、代わりに2つの可動シャッタ21A,21Bを有する構成となっている。以下、その詳細について説明する。
【0057】
図8に示すように、2つの可動シャッタ21A,21Bの他端側(X2側)には、それぞれ台板11に固定される固定端部22A,22Bが設けられていて、それぞれの固定端部22A,22Bの両側には脚片23A1,23A2,23B1,23B2が一体に設けられ、この脚片23A1,23A2,23B1,23B2が台板11の取付孔に挿入されることにより、可動シャッタ21の固定端部22A,22Bは台板11に取り付けられている。
【0058】
また、固定端部22A,22Bのそれぞれの脚片23A1,23A2,23B1,23B2のうち、可動シャッタ21Aと可動シャッタ21Bとで対向する側(内側)の脚片23A2,23B2には、台板11の長手方向(X方向)の一端側(X1側)に向かって延びるアーム部24A,24Bが一体に設けられている。ここで、アーム部24A,24Bのうち、脚片23A2,23B2側の付け根の部分には、バネ部240A,240Bが設けられている。バネ部240A,240Bは、アーム部24A,24Bの中で最も細い部分であり、薄板状の部分となっている。そして、このバネ部240A,240Bは、アーム部24A,24Bの中で板バネとして機能する部分であり、弾性的に撓み変形する部分となっている。
【0059】
また、アーム部24A,24Bには、バネ部240A,240Bに連続して本体部241A,241Bが設けられている。この本体部241A,241Bは、図8および図9に示すように、内側立設部242A,242Bと、上面部243A,243Bと、外側立設部244A,244Bと、端壁245A,245Bとを有している。これらのうち、内側立設部242A,242Bは、バネ部240A,240Bと連続する板状の部分である。また、上面部243A,243Bは、内側立設部242A,242Bに対して垂直を為していると共にXY平面に平行となる部分であり、内側立設部242A,242Bから外側に向かって延伸している。また、外側立設部244A,244Bは、上面部243A,243Bにおいて中心線Lから離間する側の縁部(外側の縁部)から下方側(Z2側)に向かって延伸する部分である。また、端壁245A,245Bは、上面部243A,243Bにおいて一端側(X1側)の縁部から下方側(Z2側)に向かって延伸する部分である。
【0060】
上面部243A,243Bの一端側(X1側)には、シャッタ本体部246A,246Bが設けられている。シャッタ本体部246A,246Bは、可動シャッタ21Aおよび可動シャッタ21Bのぞれぞれにおいてシャッタとして機能する部分であり、そのために上面部243A,243Bの中で最も幅広に形成されている部分である。このシャッタ本体部246A,246Bには、スリットが形成されているが、このスリットは、上述の第1の実施の形態で述べたスリットのうち(1)開口スリット19に対応する場合と、(2)主スリット31と副スリット32に対応する場合、のいずれかとなっている。
【0061】
なお、以下の説明においては、可動シャッタ21Aに主スリット31と副スリット32が形成されているものとし、可動シャッタ21Bには開口スリット19が形成されているものとして説明する。このとき、開口スリット19が形成されている可動シャッタ21Bは請求項でいう第1のシャッタに対応し、主スリット31と副スリット32とが形成されている可動シャッタ21Aは請求項でいう第2のシャッタに対応する。しかしながら、可動シャッタ21Bに主スリット31と副スリット32が形成されていて、可動シャッタ21Aには開口スリット19が形成されているものとしても良い。その場合には、可動シャッタ21Aが請求項でいう第1のシャッタに対応し、可動シャッタ21Bが請求項でいう第2のシャッタに対応する。
【0062】
ここで、本実施の形態においても、可動シャッタ21Aに設けられている主スリット31と副スリット32の個数と、可動シャッタ21Bに設けられている開口スリット19の関係とは、上述の第1の実施の形態におけるものと同様である。従って、図7と類似する図10に示す全開状態および遮断状態が実現可能となっている。ただし、図7においては、一方のシャッタ(固定シャッタ15)が固定されて移動せずに可動シャッタ21のみが移動するのに対して、本実施の形態では図10に示すように、可動シャッタ21Aと可動シャッタ21Bのいずれもが移動する、という点で相違している。
【0063】
ただし、図7および図10のいずれにおいても、一方のシャッタから見ると他方のシャッタは相対的に移動しているように見える、という点では共通している。なお、図10においては、各位置での全開状態および遮断状態は、基本的に第1の実施の形態における各位置の場合と同様であるため、詳細についての説明は省略する。
【0064】
また、本実施の形態では、端壁245には、バックヨーク247A,247Bを介してマグネット27(マグネット27A,27B)が取り付けられている。また、上述の第1の実施の形態と同様に、台板11の一端側(X1側)には、E字形状のヨーク28Aが取り付けられている。さらに、このヨーク28Aにはボビン281を介してコイル29a,29bが巻き付けられている。
【0065】
なお、マグネット27Aおよびマグネット27Bのうちのいずれか一方は、請求項でいう第1の磁性体に対応する。また、マグネット27Aおよびマグネット27Bのうちのいずれか他方は、請求項でいう第2の磁性体に対応する。
【0066】
ここで、ヨーク28Aは、2つのマグネット27に対応して、E字形状に設けられている。すなわち、本実施の形態では、2つ可動シャッタ21A,21Bを同時に駆動させるものである。そのため、ヨーク28Aには、駆動の際のコイル29a,29bへの通電による2つの磁束を良好に導くべく、中脚部282を有するE字形状に形成されている。この中脚部282のうちX2側の端面は、マグネット27Aおよびマグネット27Bと対向可能な共通磁極面28cとなっている。なお、上述の第1の実施の形態と同様に、マグネット27とコイル29a,29bとは、駆動手段を構成する。
【0067】
なお、ヨーク28Aのうちコイル29aが配置される側の端面(マグネット27Aと対向する側の端面)である磁極面28aは、請求項でいう第1の磁極面に対応する。また、ヨーク28Bのうちコイル29bが配置される側の端面(マグネット27Bと対向する側の端面)である磁極面28bは、請求項でいう第2の磁極面に対応する。ただし、磁極面28bを第1の磁極面に対応するものとし、磁極面28aを第2の磁極面に対応するものとしても良い。
【0068】
<2.電位測定装置10Bの動作について>
以上のような構成の電位測定装置10Bにおいては、図10に示すように、可動シャッタ21Aと可動シャッタ21Bとは、共に移動可能となっている。そして、この移動においても、図10(C)に示すような、中立状態における電界通過位置(全開状態[1])から図10(B)の遮断状態[2]を経て、図10(A)の全開状態[3]の位置(左端部)の位置まで、可動シャッタ21A,21Bが共に移動する。
【0069】
その後に、可動シャッタ21A,21Bは共に、図10(A)に示す全開状態[3]から遮断状態[4]を経て中立位置に戻った後(全開状態[5]に到達した後)に、図10(D)の遮断状態[6]を経て、図10(E)の全開状態[7]の位置(右端部)まで移動する。その後に図10(D)の遮断状態[8]を経て、再び図10(C)の中立位置(全開状態[1])に戻ることになる。なお、図10(C)に示す全開状態[1]および全開状態[5]の可動シャッタ21A,21Bの位置は、請求項でいう第1の全開位置に対応する。また、図10(A)に示す全開状態[3]の可動シャッタ21A,21Bの位置、および図10(E)に示す全開状態[7]の可動シャッタ21A,21Bの位置は、請求項でいう第2の全開位置に対応する。
【0070】
<3.効果について>
本実施の形態の電位測定装置10Bにおいても、可動シャッタ21Aに5つの主スリット31の両側に副スリット32を設ける場合には、可動シャッタ21が1往復する間に、開口スリット19と対向する(開口する)スリット数は、図10(C)の位置[1]、図10(A)の位置[3]、図10(A)の位置[5]および図10(E)の位置[7]の4回とも、全開状態の5つとなり、検出電極14に誘導される電荷が少なくなる、という不具合は生じない。したがって、より大きな電流が検出電極14によって得られるので、副スリット32を設けない場合に比して、より高い測定感度の電位測定装置が得られる。
【0071】
また、本実施の形態においては、可動シャッタ21Aと可動シャッタ21Bの双方が同時に逆方向に移動するものとなっている。ここで、可動シャッタ21A,21Bにおいては、可動シャッタ21Aが外側(可動シャッタ21Bから離間する側)に向かって移動するときには可動シャッタ21Bも外側(可動シャッタ21Aから離間する側)に向かって移動し、可動シャッタ21Aが内側(可動シャッタ21Bに近接する側)に向かって移動するときには可動シャッタ21Bも内側(可動シャッタ21Aに近接する側)に向かって移動する。従って、可動シャッタ21Aと可動シャッタ21Bは、互いに振動を打ち消し合うように移動するので、電位測定装置10Bにおいて発生する振動を低減可能となる。また、振動の低減によって、電位測定装置10Bの駆動時に発生する騒音を低減することが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態の電位測定装置10Bにおいては、可動シャッタ21Aと可動シャッタ21Bは、共に同時に駆動させられる。そのため、それぞれの可動シャッタ21A,21Bのストロークを、第1の実施の形態における可動シャッタ21の半分程度とすることが可能となる。また、このようなストロークの低減により、電位測定装置10Bにおいて発生する振動を低減することも可能となる。
【0073】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0074】
上述の第1の実施の形態においては、固定シャッタ15に形成される開口スリット19の数は、本実施の形態においては、5つ形成されているものが図示されているが、1つでも2つでも3つでも良く、さらにそれ以外の任意の個数とすることができる。ここで、開口スリット19の個数がいくつであっても、可動シャッタ21には、開口スリット19の数に対応した数の主スリット31が形成される。具体的には、可動シャッタ21にはその往復動方向端の主スリット31の外側に副スリット32が形成されることになり、開口スリット19の個数をNとすると、主スリット31がN個形成され、副スリット32が2個形成されることになる。
【0075】
したがって、固定シャッタ15に1つの開口スリット19を形成した場合には、可動シャッタ21に1つの主スリット31と、2つの副スリット32との3つのスリットが形成されることになる。ただし、図示するように、複数の主スリット31を可動シャッタ21に形成すると、各主スリット31のピッチPを小さくして主スリット31全体で電界通過面積を広くすることができる。その上、上述のようにピッチPが小さい場合には、可動シャッタ21の移動ストロークも小さくて済む。
【0076】
また、上述の第1の実施の形態においては、図2に示すように、固定シャッタ15に開口スリット19が形成され、可動シャッタ21に主スリット31と副スリット32を形成したものが示されている。しかしながら、図11に示す電位測定装置10Cのように、固定シャッタ15に主スリット31と副スリット32とを形成し、可動シャッタ21に開口スリット19を形成しても良い。なお、図11においては、開口スリット19、主スリット31および副スリット32に関する符号は図2のものを援用している。図11に示す電位測定装置10Cにおいては、固定シャッタ15に5つの主スリット31と2つの副スリット32が形成され、かつ可動シャッタ21に5つの開口スリット19が形成されている。このように構成しても、第1の実施の形態における電位測定装置10Aと同様の全開状態および遮断状態を実現できる。
【0077】
ここで、図11に示す電位測定装置10Cにおいては、開口スリット19が形成されている可動シャッタ21は請求項でいう第1のシャッタに対応すると共に、主スリット31および副スリット32が形成されている固定シャッタ15は請求項でいう第2のシャッタに対応する。
【0078】
また、上述の第1の実施の形態においては、さらに図12に示すような構成とすることもできる。つまり、図12に示す電位測定装置10Dのように、カバー12に開口スリット19を形成し、可動シャッタ21に主スリット31と副スリット32を形成し、固定シャッタ15を省略する構成としても良い。なお、図12においても、開口スリット19、主スリット31および副スリット32に関する符号は図2のものを援用している。図12に示す電位測定装置10Dでは、カバー12に5つの開口スリット19が形成され、可動シャッタ21に5つの主スリット31と2つの副スリット32が形成されている。このように構成しても、第1の実施の形態における電位測定装置10Aと同様の全開状態および遮断状態を実現できる。
【0079】
なお、図12に示す電位測定装置10Dにおいては、開口スリット19が形成されているカバー12は請求項でいう第1のシャッタに対応すると共に、主スリット31および副スリット32が形成されている可動シャッタ21は請求項でいう第2のシャッタに対応する。
【0080】
また、図12の構成をさらに変更し、図13に示すような構成としても良い。つまり、図13に示す電位測定装置10Eのように、カバー12に主スリット31と副スリット32とを形成し、可動シャッタ21に開口スリット19を形成し、固定シャッタ15を省略する構成としても良い。なお、図13においても、開口スリット19、主スリット31および副スリット32に関する符号は図2のものを援用している。図13に示す電位測定装置10Eでは、可動シャッタ21に5つの開口スリット19が形成され、カバー12に5つの主スリット31と2つの副スリット32が形成されている。このように構成しても、第1の実施の形態における電位測定装置10Aと同様の全開状態および遮断状態を実現できる。
【0081】
なお、図13に示す電位測定装置10Eにおいては、開口スリット19が形成されている可動シャッタ21は請求項でいう第1のシャッタに対応すると共に、主スリット31および副スリット32が形成されているカバー12は請求項でいう第2のシャッタに対応する。
【0082】
また、上述の第1および第2の実施の形態における可動シャッタ21には、主スリット31の外側に1つずつ副スリット32が形成されているが、2つずつ副スリット32を形成するようにしても良い。2つずつ副スリット32を形成すると、可動シャッタ21は固定シャッタ15の開口スリット19の全開状態と遮断状態とをそれぞれ8回線り返すことになる。つまり可動シャッタ21の駆動周波数の8倍の周波数で全閉状態と遮断状態との開閉動作が行われることになる。ただし、スリット相互間のピッチが図示する場合と同様であれば、可動シャッタ21の往復動ストロークは図示する場合よりも大きくなる。
【0083】
また、上述の第2の実施の形態の電位測定装置10Bにおいては、図9に示すように、アーム部24A,24Bのうち、脚片23A2,23B2側の付け根の部分には、バネ部240A,240Bが設けられている。しかしながら、図9の構成をさらに変更し、図14に示すような構成としても良い。図14に示す電位測定装置10Fでは、可動シャッタ21Aに対して2つのバネ部(バネ部239Aとバネ部240A)が設けられている。同様に、図14に示す電位測定装置10Fでは、可動シャッタ21Bに対して2つのバネ部(バネ部239Bとバネ部240B)が設けられている。なお、脚片23A1の付け根部分にはバネ部239Aが設けられていて、脚片23A2の付け根部分にはバネ部240Aが設けられている。また、脚片23B1の付け根部分にはバネ部239Bが設けられていて、脚片23B2の付け根部分にはバネ部240Bが設けられている。
【0084】
ここで、第2の実施の形態の電位測定装置10Bでは、可動シャッタ21A,21Bにはそれぞれバネ部240A,240Bが一つずつ設けられているので、可動シャッタ21A,21Bはバネ部240A,240Bを中心に円弧を描くように動く。それに対して、図14に示す構成では、可動シャッタ21Aに2つのバネ部(バネ部239Aとバネ部240A)が存在すると共に、可動シャッタ21Bにも2つのバネ部(バネ部239Bとバネ部240B)が存在する。それにより、可動シャッタ21A,21Bは、相互に平行状態を保ったまま動く。従って、図10(A)や図10(E)の状態にあっても、開口スリット19と主スリット31および副スリット32は平行であるので、図10(C)の状態と同じ開口面積を確保できる。なお、図14に示す電位測定装置10Fにおいては、開口スリット19が形成されている可動シャッタ21Bは請求項でいう第1のシャッタに対応すると共に、主スリット31および副スリット32が形成されている可動シャッタ21Aは請求項でいう第2のシャッタに対応する。
【0085】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、可動シャッタ21を往復動するための駆動手段としては、ヨーク28とこれに巻き付けられるコイル29a,29bとを有するソレノイドを用いたものが示されているが、所定の周期で可動シャッタ21を往復動させることができるものであれば、どのようなものを用いても良い。そのようなものとしては、たとえば圧電素子を駆動手段として使用するものが挙げられる。
【0086】
また、上述の各実施の形態、および図11〜図14の変形例においては、可動側(可動シャッタ21,21A,21B)にマグネット(マグネット27,27A,27B)を設け、台板11またはそれ以外の固定部位に固定されたコイル(コイル29a,29b)で駆動しているものについて開示している。しかしながら、可動側(可動シャッタ21,21A,21B)にコイルを設け固定部位にマグネットを設けて駆動しても良い。
【符号の説明】
【0087】
10A,10B,10C,10D,10E,10F…電位測定装置
11…台板
12…カバー
13…開口窓
14…検出電極
15…固定シャッタ
16…本体部
17…側壁部
18…端壁部
19…開口スリット
21,21A,21B…可動シャッタ
22,22A,22B…固定端部
23,23A1,23A2,23B1,23B2…脚片
24,24A,24B…アーム部
25…本体部
26…端壁
27,27A,27B…マグネット(磁性体に対応)
28,28A…ヨーク
28a,28b…磁極面
28c…共通磁極面
29,29a,29b…コイル
31…主スリット
32…副スリット
239A,239B,240,240A,240B…バネ部
241,241A,241B…本体部
242,242A,242B…内側立設部
243,243A,243B…上面部
244,244A,244B…外側立設部
245,245A,245B…端壁
246,246A,246B…シャッタ本体部
247…バックヨーク
281…ボビン
282…中脚部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電物体の表面電位を非接触で測定する電位測定装置であって、
前記帯電物体に対向して配置される検出電極と、
開口スリットが形成され前記検出電極を覆う第1のシャッタと、
前記開口スリットに対向する全開位置と前記開口スリットからずれる遮断位置とに移動可能な主スリットと、前記開口スリットに対向する全開位置と前記開口スリットからずれる遮断位置とに移動可能な副スリットを前記主スリットに隣接して少なくとも1つ有する第2のシャッタと、
を有し、
前記第1のシャッタと前記第2のシャッタとの間での相対的な移動により、前記全開位置には、前記開口スリットに前記主スリットのみが対向して前記帯電物体と前記検出電極との間に電界を通過させる第1の全開位置と、前記開口スリットに前記主スリットと前記副スリットが対向して前記帯電物体と前記検出電極との間に電界を通過させる第2の全開位置とが存在する、
ことを特徴とする電位測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の電位測定装置であって、
前記開口スリットを前記第1シャッタに一定ピッチで複数形成し、
前記主スリットと前記副スリットとは、複数の前記開口スリットに対応させて前記第2のシャッタに形成されている、
ことを特徴とする電位測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の電位測定装置であって、
前記第1のシャッタおよび前記第2のシャッタのうちのいずれか一方である可動シャッタを前記全開位置と前記遮断位置とに移動させる駆動手段が設けられている、
ことを特徴とする電位測定装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の電位測定装置であって、
前記第1のシャッタおよび前記第2のシャッタの両方を前記全開位置と前記遮断位置とに移動させる駆動手段が設けられている、
ことを特徴とする電位測定装置。
【請求項5】
請求項3記載の電位測定装置であって、
前記可動シャッタは第2のシャッタであり、この第2のシャッタは、固定端部と、当該固定端部から延びるアーム部と、当該アーム部の先端に設けられ前記主スリットと前記副スリットとが設けられた本体部とを有し、当該本体部が前記固定端部に支持されて往復動する、
ことを特徴とする電位測定装置。
【請求項6】
請求項3記載の電位測定装置であって、
前記可動シャッタは第1のシャッタであり、この第1のシャッタは、固定端部と、当該固定端部から延びるアーム部と、当該アーム部の先端に設けられ前記開口スリットが設けられた本体部とを有し、当該本体部が前記固定端部に支持されて往復動する、
ことを特徴とする電位測定装置。
【請求項7】
請求項3、5または6記載の電位測定装置であって、
前記駆動手段は、前記可動シャッタに取り付けられる磁性体と、前記可動シャッタが一方側の往復動端位置となったときに前記磁性体に対向する磁極面および前記可動シャッタが他方側の往復動端位置となったときに前記磁性体に対向する磁極面を有するU字形状のヨークと、当該ヨークの両端側にそれぞれ巻き付けられる一対のコイルとを有する、
ことを特徴とする電位測定装置。
【請求項8】
請求項4記載の電位測定装置であって、
前記駆動手段は、
前記第1のシャッタに取り付けられる第1の磁性体と、
前記第2のシャッタに取り付けられる第2の磁性体と、
第1の磁極面、第2の磁極面および共通磁極面を有するE字形状のヨークと、
前記ヨークのうち前記第1の磁極面が存在する一方の端部側および前記第2の磁極面が存在する他方の端部側にそれぞれ巻き付けられる一対のコイルと、
を有し、
前記第1の磁極面は、前記第1のシャッタが一方側の往復移動端位置となったときに前記第1の磁性体に対向し、
前記第2の磁極面は、前記第2のシャッタが他方側の往復移動端位置となったときに前記第2の磁性体に対向し、
前記共通磁極面は、前記第1のシャッタが他方側の往復移動端位置となったときに前記第1の磁性体に対向し、かつ前記第2のシャッタが一方側の往復移動端位置となったときに前記第1の磁性体と並んで前記第2の磁性体に対向する、
ことを特徴とする電位測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−242094(P2012−242094A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109059(P2011−109059)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)
【出願人】(591249600)株式会社太陽光機 (1)