説明

電力ケーブル接続装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄道車両用の高圧電力ケーブルのカプラ式接続部に係り、ストレスコーン・スプリング圧縮式ケーブル接続装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下、図面を参照して従来の技術を説明する。図2はエポキシ等の絶縁体を用いた接続部の一例を示す横断面図である。即ち、左右の電力ケーブル1,1´の端部を段剥ぎしてケーブル導体2,2´を露出させ、接触子3,3´内に当接するように挿入し圧接して接続する。この接触子3,3´は接続体4を介し導体接続部5と接続し、その外周にエポキシ等の絶縁体6を被覆する。そして、このエポキシ等の絶縁体6の両側の内周面に形成されたテーパー部に先端が円錐形状のゴムモールドストレスコーン8,8´を挿入し、その背後からスプリングユニット9,9´により押圧し、内周面に上記スプリングユニット9,9´に係合する段部を有するスプリングユニット圧縮用金具10,10´を保護ケース7にボルト11,11´により接続し固定する。さらに、スプリングユニット圧縮用金具10,10´の端部は電力ケーブル1,1´のシース上に防水用テープ12,12´を巻き付けて水密性を保つように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような電力ケーブルの接続装置において、接続部本体から電力ケーブル1,1´を取り外し再組立てを行うような場合、ボルト11,11´のみを保護ケース7から取り外し電力ケーブル1,1´を接続部本体から引き抜くと、スプリングユニット9,9´の圧縮長g分だけゴムモールドストレスコーン8,8´がそれぞれ前方に飛び出してしまう。この状態で再組立てを行えばゴムモールドストレスコーン8,8´は元の位置には戻りにくい。従って、ボルト11,11´を外す前に防水用テープ12,12´を外し、スプリングユニット圧縮用金具10,10´と電力ケーブル1,1´をフリーにしておく必要があった。当然再組立てを行う場合も締付金具10,10´を取り付けた後に防水用テープ12,12´を巻き付けて防水処理を行う必要があり、このため電力ケーブルの着脱に多大の労力と時間が必要となっていた。
【0004】この発明は、このような点に鑑みてなされたもので、前述した従来技術の欠点を解消し、電力ケーブルの着脱の労力,時間を大幅に削減させることができる新規なストレスコーン・スプリング圧縮式接続装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、段剥ぎされた電力ケーブルのケーブル導体先端に接触子を取り付けて接続した接続体の外周に、両側の内周面にテーパー面を形成したエポキシ絶縁体を被覆して設け、上記エポキシ絶縁体のテーパー面に先端が円錐形状のゴムモールドストレスコーンを両側から挿入し、その背後からスプリングユニットにより押圧し、このスプリングユニットに係合するスプリングユニット圧縮用金具の一端を上記エポキシ絶縁体上に有する保護ケースにねじ締め固定、上記スプリングユニット圧縮用金具の他端は電力ケーブルシース上に防水テープを巻き付けて構成するケーブル接続装置において、スプリングユニット圧縮用金具を一端部で保護ケースにねじ締め固定されるスプリング圧縮部と、電力ケーブルシース上に防水テープで巻き付け固定された防水金具部とに分離し、上記スプリング圧縮部の他端を、上記防水金具部にOリングを介してスライド可能に構成した電力ケーブル接続装置である。
【0006】
【作用】従来、一体であったスプリングユニット圧縮用金具と防水用金具とを分離し、自由にスライドできる構成としたことにより、電力ケーブルを着脱する際、防水用テープの取り外し,巻き付けの必要がなくなり、大幅にその作業性を向上させることができる。
【0007】
【実施例】以下、図面に基づいてこの発明の実施例を説明する。図1は一実施例を示すストレスコーン・スプリング圧縮式ケーブル接続装置の右上部分の横断面図である。接続する電力ケーブル1はそれぞれ段剥ぎしてケーブル導体を露出する。ケーブル導体2は図2に示したように接触子3と圧縮接続される。この接触子3は接続体4を介し導体接続部5と接続し、この外周はエポキシ等の絶縁体6を被覆する。そして、このエポキシ等の絶縁体6の内周面に形成されたテーパー部に先端が円錐形状のゴムモールドストレスコーン8を挿入して、その背後からスプリングユニット9により押圧する。このとき、内周面に上記スプリングユニット9に係合する段部を有するスプリングユニット圧縮用金具13を予め電力ケーブル1に挿入しておき、これを左側に移動させてそのフランジ部を保護ケース7にボルト11により固定するように取り付けるのである。そして、このスプリングユニット圧縮用金具13の右側の先端部は、電力ケーブル1のシース上に防水用テープ12で固定された防水用金具15にOリング14を介して自由にスライドできるように接続されている。
【0008】従って、接続部本体から電力ケーブル1を着脱する際、ボルト11を外してスプリングユニット圧縮用金具13を後方(図では右側)に動かせば、電力ケーブル1を引き抜く際ゴムモールドストレスコーン8が前方に飛び出す恐れはなく、電力ケーブルの着脱の際、防水用テープ12を取り外して再び巻きつける必要はなくなる。
【0009】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明のストレスコーン・スプリング圧縮式接続装置によれば、従来一体であったスプリングユニット圧縮用金具と防水用金具とを分離するだけという簡単な構成ながら、電力ケーブルの着脱作業を極めて容易に行うようにした大きな作用・効果を奏するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のストレスコーン・スプリング圧縮式接続装置の構成を示す横断面図、
【図2】従来のストレスコーン・スプリング圧縮式接続装置の構成を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 電力ケーブル
2 ケーブル導体
6 エポキシ絶縁体
7 保護ケース
8 ゴムモールドストレスコーン
9 スプリングユニット
11 ボルト
12 防水用テープ
13 スプリングユニット圧縮用金具
14 Oリング
15 防水用金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】段剥ぎされた電力ケーブルのケーブル導体先端に接触子を取り付けて接続した接続体の外周に、両側の内周面にテーパー面を形成したエポキシ絶縁体を被覆して設け、上記エポキシ絶縁体のテーパー面に先端が円錐形状のゴムモールドストレスコーンを両側から挿入し、その背後からスプリングユニットにより押圧し、このスプリングユニットに係合するスプリングユニット圧縮用金具の一端を上記エポキシ絶縁体上に有する保護ケースにねじ締め固定、上記スプリングユニット圧縮用金具の他端は電力ケーブルシース上に防水テープを巻き付けて構成するケーブル接続装置において、スプリングユニット圧縮用金具を、一端部で保護ケースにねじ締め固定されるスプリング圧縮部と、電力ケーブルシース上に防水テープで巻き付け固定された防水金具部とに分離し、上記スプリング圧縮部の他端を、上記防水金具部にOリングを介してスライド可能に構成したことを特徴とする電力ケーブル接続装置。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3092682号(P3092682)
【登録日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【発行日】平成12年9月25日(2000.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−232579
【出願日】平成4年8月10日(1992.8.10)
【公開番号】特開平6−70442
【公開日】平成6年3月11日(1994.3.11)
【審査請求日】平成10年9月18日(1998.9.18)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【参考文献】
【文献】実開 平3−40834(JP,U)
【文献】実開 昭53−139587(JP,U)
【文献】実開 昭48−189(JP,U)
【文献】実開 昭51−56590(JP,U)
【文献】実公 昭48−35437(JP,Y1)
【文献】実公 昭50−33667(JP,Y1)