説明

電力ネットワークアクセス制御装置および電力ネットワークアクセス制御方法

【課題】家の外にいる消費者がいわゆるグリーン電力にアクセスすることができるようにすること。
【解決手段】
電力ネットワークに対するアクセスを制御する方法が提供される。当該方法では、装置に上記電力ネットワークに対するアクセスを許可するアクセス条件を規定する電力ネットワークアクセスルールを上記電力ネットワークから受信し、上記装置が上記電力ネットワークの利用を許可される場合の条件を規定した装置使用ルールを受信し、上記装置使用ルールを、上記受信した電力ネットワークアクセスルールと比較し、上記装置使用ルールと上記電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合、上記電力ネットワークと上記装置との間の電力輸送を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ネットワークに対するアクセスを制御する方法と、電力ネットワークに対するアクセスを制御する装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、例えば、ノート型パソコンまたは携帯電話等の電子機器の充電が必要である場合、充電は自宅で行われる。例えば、空港および列車等の一定の環境下では、小型の電気器具を充電することが可能である。しかし、電力のインフラに対する要件が増大しつつあるため、これはもはや不可能である場合がある。また、電気自動車が導入され、その人気が高まっていることから、電力のインフラに対する要件はさらに増加し続ける。
【0003】
特許文献1には、電気自動車とネットワークとの間で電力のやりとりを可能にする計測装置が記載されている。しかし、当該特許文献1に記載されている技術は、価格が或る値に達したときにユーザが電力を売却するのを可能にするだけのものである。
【0004】
電力のインフラに対する要件の増大に起因して、特に、ピーク時の電力ネットワークに対する負荷のバランスをとるのがますます困難になってきている。
【0005】
また、大半の電力供給事業者は、100%のグリーン電力を消費者に供給している。これは、一年を通し、電力供給事業者によって、ユーザが消費する電力と同量のグリーン電力を生成することができることが保証されることを意味する。しかし、現行では、係る保証は、家庭内の消費者にしかなされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0177595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、家の外にいる消費者がいわゆるグリーン電力にアクセスすることができるようにするという課題が存在する。本発明はこれらの課題に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、電力ネットワークに対するアクセスを制御する電力ネットワークアクセス制御方法が提供される。当該方法では、機器に電力ネットワークに対するアクセスを許可するアクセス条件を規定する電力ネットワークアクセスルールを電力ネットワークから受信し、機器が電力ネットワークの利用を許可される場合の条件である機器使用ルールを受信し、受信した機器使用ルールを、受信した電力ネットワークアクセスルールと比較し、機器使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合、電力ネットワークと機器との間の電力輸送を許可する。
【0009】
これによって、より正確に、電力ネットワークに対する負荷のバランスをとったり、当該負荷を予測したりすることを補助することができる。
【0010】
機器使用ルールは、機器から受信されてもよく、または電力供給事業者から受信されてもよい。
【0011】
上記電力ネットワークアクセス制御方法は、機器を電力ネットワークによって認証するステップをさらに含んでもよい。
【0012】
電力ネットワークアクセスルールは、電力ネットワークの最大供給可能電力量に基づいて決定されてもよい。
【0013】
上記電力ネットワークアクセス制御方法は、電力ネットワークアクセスルールを電力ネットワークから受信する前に、機器を、電力ネットワークを介して電力を供給する電力供給事業者に登録するステップをさらに含んでもよい。
【0014】
機器使用ルールは、電力ネットワークから供給される電力を消費するための条件を規定してもよく、または電力ネットワークへ電力を供給するための条件を規定してもよい。
【0015】
上記電力ネットワークアクセス制御方法は、ユーザによって定められた、機器が電力ネットワークの利用を必要とする場合の条件を規定するユーザ構成使用ルールを受信するステップと、ユーザ構成使用ルールを、受信した電力ネットワークアクセスルールと比較するステップと、機器使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正であり、かつユーザ構成使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合、電力ネットワークと機器との間の電力輸送を許可するステップとをさらに含んでもよい。
【0016】
機器使用ルールは、機器の所定の電力消費量を含んでもよい。
【0017】
電力ネットワークアクセスルールは、電力の電圧および周波数に関する情報を含んでもよく、または電力の最大電流に関する情報を含んでもよい。
【0018】
上記電力ネットワークアクセス制御方法は、電力ネットワークと機器との間において輸送される電力量を測定するステップと、輸送される電力量を表す値を記憶するステップと、輸送される電力量を表す値を含むレポートを、ネットワークを介して配信するステップとをさらに含んでもよい。この場合電力ネットワークは、家庭用ネットワークであってもよい。
【0019】
本発明の第2の態様によると、コンピュータに、本発明の第1の態様に記載の電力ネットワークアクセス制御方法の各ステップを実行させるプログラムが提供される。
【0020】
本発明の第3の態様によると、本発明の第1の態様に記載のプログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体が提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によると、電力ネットワークに対するアクセスを制御する電力ネットワークアクセス制御装置が提供される。当該電力ネットワークアクセス制御装置は、機器に電力ネットワークに対するアクセスを許可するアクセス条件を規定する電力ネットワークアクセスルールを電力ネットワークから受信し、かつ機器が電力ネットワークの利用を許可される場合の条件である機器使用ルールを受信する受信部と、機器使用ルールを、受信した電力ネットワークアクセスルールと比較する比較器と、機器使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合、電力ネットワークと機器との間の電力輸送を許可する許可部とを具備する。
【0022】
機器使用ルールは、機器から受信されてもよく、または電力供給事業者から受信されてもよい。
【0023】
上記電力ネットワークアクセス制御装置は、機器を電力ネットワークによって認証する認証部をさらに具備してもよい。
【0024】
電力ネットワークアクセスルールは、電力ネットワークの最大供給可能電力量に基づいて決定されてもよい。
【0025】
機器使用ルールは、電力ネットワークから供給される電力を消費するための条件を規定してもよく、または電力ネットワークへ電力を供給するための条件を規定してもよい。
【0026】
受信部は、ユーザによって定められた、機器が電力ネットワークの利用を必要とする場合の条件を規定するユーザ構成使用ルールを受信し、比較器は、ユーザ構成使用ルールを、受信した電力ネットワークアクセスルールと比較し、許可部は、機器使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正であり、かつユーザ構成使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合に、電力ネットワークと機器との間の電力輸送を許可してもよい。
【0027】
機器使用ルールは、機器の所定の電力消費量を含んでもよい。
【0028】
電力ネットワークアクセスルールは、電力の電圧および周波数に関する情報を含んでもよく、または電力の最大電流に関する情報を含んでもよい。
【0029】
上記電力ネットワークアクセス制御装置は、電力ネットワークと機器との間において輸送される電力量を測定する測定部と、輸送される電力量を表す値を記憶する記憶装置と、輸送される電力量を表す値を含むレポートを、ネットワークを介して配信する出力部とをさらに具備してもよい。この場合電力ネットワークは、家庭用ネットワークであってもよい。
【0030】
本発明の上記および他の目的、特徴、利点は、添付の図面と関連して読まれる例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る配電ネットワークを示す図である。
【図2】配電ネットワークのノード間のデータの流れを概略的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電力アクセスポイントを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電力輸送を可能にする処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る配電ネットワークの一部としての家庭用ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、配電ネットワーク10を示す。配電ネットワーク10は、複数のノードを有する。なお、配電ネットワーク10内のノードの数は、図1に示すものに限られない。図1の複数のノードは、配電ネットワーク12と、配電オペレータ14aおよび14bと、電力供給事業者18および20と、電力アクセスポイント22aおよび22bと、機器26および28とを有する。典型的には、機器26および28は、電気自動車を含む、住居内にある家庭用機器である。しかし、機器26および28は、工業施設の機器としてもよい。
【0033】
図1は、配電オペレータ14aおよび14b、ならびに配電網の形態の配電ネットワーク12を示す。なお、当該配電網の形態およびレイアウトは、図示の例に限定されず、他のレイアウトが想定される。配電ネットワーク12は、電力網または電力ネットワークとも称する。
【0034】
以下、機器26および28は、家庭用機器として説明する。具体的には、機器28は、例えば、電力供給地点から供給される電力エネルギーを必要とする自動車または携帯型電化製品である。機器26は、例えば、電力供給地点へ電力エネルギーを投入または供給することが可能なソーラーパネルまたは風力タービンを含む。それぞれの機能が分かるように、機器28を消費機器、機器26を供給機器として説明する。
【0035】
配電ネットワーク10を、消費機器28に関する第1の部分と、供給機器26に関する第2の部分とに分けて説明する。図1に示す機器26および28はそれぞれ、例えば、電気自動車のバッテリ等の電力を供給または消費することができる。また、電力アクセスポイント22aおよび22bは、電力を供給するかまたは受け取ることが可能であってもよいし、供給および受け取りの両方が可能であってもよい。
【0036】
図1には、複数のノード間の種々の接続を実線または破線で示してある。実線は通信チャネルを表し、破線は電力線を表している。なお、通信チャネルおよび電力線はそれぞれ、用いる特定の構成に応じて一方向または双方向であり得る。
【0037】
まず、消費機器28に関する実施形態を説明する。消費機器28の詳細情報が電力供給事業者18に送られ、電力供給事業者18に登録される。消費機器28の詳細情報は、例えば、機器の型、製造者/モデルまたは選択された支払方法を含む。図1において、この通信は、実線30で示されている。この通信は、消費機器28の状態に応じて、消費機器28を用いて行うことができる。例えば、消費機器28が携帯電話であれば、電力供給事業者18に直接通信が行われる。代替的には、消費機器28が、例えば家庭電化製品のように、電力供給事業者18と直接通信することが不可能である場合、コンピュータを介してネットワーク上で登録処理が実行される。この登録処理は、電化製品の購入手続の一部としてもよいし、電力供給事業者18によって提供されるアクセスポイントで行ってもよい。登録処理の際、使用ルールセットが消費機器28に送信される。この使用ルールに加え、登録証明書、アクセスキーおよびデジタル証明書等の証明情報セットが消費機器28に送信されてもよい。使用ルールは、典型的には、電力供給事業者18によって規定され、消費機器28が電力ネットワークから電力を取得する場合の条件を規定する。これによって、より正確に、電力ネットワークに対する負荷のバランスをとったり、当該負荷を予期したりすることを補助することができる。
【0038】
或いは、ユーザが電力供給事業者18に登録されると、当該ユーザにはトークン(電子媒体、紙媒体、または他の手段)が与えられる。ユーザは、トークンを用いて、ローカル上で1つまたは複数の機器をセットアップすることができる。本実施例では、トークンは、任意の単体の機器または機器群に適用される使用ルールを含む。それゆえ、使用ルールは必ずしも或る特定の機器に適用されるわけではなく、むしろ機器群に適用される。
【0039】
アクセスキーは、公開鍵−秘密鍵の対の形態であってもよい。この公開鍵−秘密鍵の対と共に、デジタル証明書が用いられてもよい(公開鍵証明書としても既知である)。当該デジタル証明書は、デジタル署名によって公開鍵を特定の「身元(identity: ID)」と結び付ける電子文書である。「身元」は、機器に登録している人物の名前であってもよい。このデジタル証明書は、公開鍵が或る特定の個人に帰属することを確認するために用いられてもよい。
【0040】
代替的には、アクセスキーは、秘密鍵の形態(または、本システムに採用される暗号アルゴリズムに対応する適切な他の鍵の形態)であってもよい。例えば、公開暗号方式を用いる場合、これらのアクセスキーは、機器に対して一意である。このアクセスキーを用いた暗号化および署名によって、電力アクセスポイントとの通信を確実なものとすることができる。アクセスキーは、電力供給事業者18によって生成されてもよいし、信頼性のある任意の第3者である鍵プロバイダによって生成されてもよい。本実施例では、電力供給事業者18が秘密鍵を用いて使用ルールに署名する。
【0041】
使用ルールおよび機器の証明情報の発行に加え、電力供給事業者18は、機器の証明情報および使用ルールを無効化するメカニズムを有してもよい。これによって、機器の証明情報および使用ルールが無効化された場合、機器が登録処理を終えた後でも、当該機器には電力輸送のためのアクセスが許可されなくなる。
【0042】
使用ルールは、例えば、アクセス可能時間帯、またはピーク時の最大許容電力消費量等を含む。なお、使用ルールは、この具体例に限定されず、いくつかの所定の基準に従って機器に対して電力輸送を許可する任意の形態のルールを含んでもよい。例えば、使用ルールは、電力の設定料金を含んでもよい。使用ルール、登録証明書およびデジタル証明書は、典型的には、消費機器28のメモリ(図示せず)に記憶される。消費機器28に応じて、メモリは固体メモリ(例えば、ROMまたはRAM)であってもよいし、特に使用ルール、登録証明書およびデジタル証明書を記憶するために消費機器28に組み込まれた他のタイプの記憶装置であってもよい。しかし、例えば、携帯電話またはノート型パソコン等の機器がデータを記憶可能である場合、使用ルール、登録証明書およびデジタル証明書は、機器メモリに記憶してもよい。これらは暗号化して記憶してもよいし、安全性のあるメモリに記憶してもよい。
【0043】
上記使用ルールに加え、ユーザは独自の使用ルールを設定することができる。係る使用ルールを、ユーザ構成使用ルール(または、拡張使用ルール)と称する。機器28は消費機器であるため、当該ユーザ構成使用ルールは、電力消費に関するものである。係るユーザ構成使用ルールは、例えば、指定価格を下回る場合に電力輸送を行うかまたは電力消費だけを行う好適な時間期間を含む。しかし、他のユーザ構成使用ルールも可能である。例えば、グリーン電力の輸送しか許可しないというユーザ構成使用ルールも存在し得る。グリーン電力は通常、化石燃料の燃焼または核エネルギーの使用によって生成される電力を除外する。例えば、グリーン電力は、風力、太陽光または潮汐等の再生可能資源の他、バイオ廃棄物のような再利用材料を用いるCO排出削減エネルギー源を含む。ユーザ構成使用ルールは、消費機器28に直接接続されたコンピュータを介して、または消費機器28に接続された入力装置(例えば、キーボード)を用いて、またはインターネットを介して電力供給事業者18によって提供されるインタフェースによって設定することができる。本実施例では、ユーザ構成ルールは、消費機器28の秘密鍵を用いて署名される。
【0044】
ユーザ構成使用ルールは、消費機器28に関する既知の消費要件も含むことができる。例えば、バッテリ(例えば、携帯電話またはノート型パソコンのバッテリ)を完全に充電するのに必要な電力量を算出することが可能である。したがって、消費機器28は、ユーザ構成使用ルールを用いて、充電サイクル中に消費する電力量を電力アクセスポイントに報告することができる。ユーザ構成使用ルールは、最大電流および特定の時間量の形態としてもよい。これによって、電力網が所与の時間期間における使用要件を確定することが可能になるため、電力網に対する負荷のバランスも改善される。
【0045】
登録処理の際、登録証明書は、電力供給事業者18によって生成され、例えば、消費機器28に記憶される。登録証明書は、電力アカウントIDと、電力供給事業者IDと、機器IDとを含む。登録証明書は、消費機器28の説明または役割、登録日/有効期限をさらに含み、優先度を含んでもよい。例えば、消費機器28には、優先度数1〜3が割り当てられる(優先度は、1が高く、3が低い)。すなわち、例えば携帯電話に低い優先度(例えば、3)を割り当て、電気自動車に高い優先度(例えば、1)を割り当てる。優先度のレーティングによって、いつ消費機器28による電力輸送が可能であるか、またはどの電力アクセスポイントに消費機器28が接続可能であるかが決定される。本実施例では、登録証明書は、電力供給事業者18の秘密鍵を用いて署名される(すなわち、同一の秘密鍵が使用ルールへの署名に用いられる)。このように、使用ルールおよび登録証明書が電力供給事業者18の秘密鍵によって署名され、対応の公開鍵が、配電ネットワーク中に配置されている電力アクセスポイント22aおよび22b(例えば、電力アクセスポイント22b)に配られる。電力アクセスポイント22bは、公開鍵を用いて、使用ルールおよび登録証明書の認証または照合を行うことができる。係る認証または照合は、最初に登録証明書の署名に用いられた電力供給事業者18の秘密鍵に対応する公開鍵を用いて実行される。
【0046】
本実施形態では、消費機器28は、単一の電力供給事業者18に登録されているものとしている。しかし、消費機器28は、複数の電力供給事業者18に登録されてもよく、この場合、ユーザ構成使用ルールによって電力供給事業者18が選択される。
【0047】
電力供給事業者18は、配電オペレータ14bと通信する。電力供給事業者18と配電オペレータ14bとの間の通信を実線32で示す。この通信はインターネットを介して行われ、各ノード(すなわち、電力供給事業者18および配電オペレータ14b)が特定のインターネットプロトコル(IP)アドレスを有する。しかし、代替的な通信方法を用いてもよい。電力供給事業者18と配電オペレータ14bとの間の通信は、任意の形態の有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して行ってもよい。
【0048】
配電オペレータ14bは例えば、所与の地理的領域または場所に関して電力網を全国単位でかつ地域単位で管理および維持する会社を含む。この具体例では、配電オペレータ14bは電力供給事業者18とは異なっており、配電オペレータ14bは配電ネットワークを提供し、電力供給事業者18は顧客に対して電力の売買を行う。配電オペレータ14bは、1つまたは複数の他の配電オペレータ14aと通信することもでき、複数の電力ネットワークまたは電力網でのローミングが可能である。各配電オペレータは、他の配電ネットワークにも電気的に接続される。なお、他の形態の電力ネットワークが可能である。例えば、電力供給事業者18が電力を維持および配電してもよく、したがって、消費機器28は電力供給事業者18も兼ねる配電オペレータに登録されてもよい。
【0049】
電力供給事業者18は配電オペレータ14bに登録され、登録されている消費機器28が電力にアクセス可能となる。これに関して、電力供給事業者18は、電力アクセスポイントが消費機器28を認証するのに必要なデータを転送する。例えば、デジタル署名の照合を行うのに必要なデータが配電オペレータ14bに送信される。このデータは、上述のように、使用ルールおよび登録証明書の認証確認に用いられる公開鍵の形態とすることができる。
【0050】
電力アクセスポイント22bは、配電ネットワーク(以下、ローカルネットワークとも称する)12を介して配電オペレータ14bと通信する。配電オペレータ14bと電力アクセスポイント22bとの間の通信を、実線34および36で示す。ローカルネットワーク12は、例えば、家庭と変電所(例えば、ステップダウントランス)とを繋ぐ電力ネットワークに代表される。典型的には、ローカルネットワークは、ヨーロッパでの240V、米国での110Vのように、コンセント電圧で電力を輸送する。しかし、配電網および配電オペレータの形態およびレイアウトは場所に応じて変わるものであり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。
【0051】
配電オペレータ14bと電力アクセスポイント22bとの間の通信はまた、インターネットを介したものであってもよく、この場合電力アクセスポイント22bにはIPアドレスが割り当てられる。代替的には、電力網自体によって通信を行ってもよい。例えば、電力線または電力線内のファイバーを用いて通信が行われる。
【0052】
電力アクセスポイント22bは、家庭内の電気コンセント、または空港もしくは列車等の公共の場にある電気コンセントとすることができる。電力アクセスポイントを家庭で利用可能とした場合、消費者ユニット(consumer unit)は、個別の電気コンセントではなく電力アクセスポイントとされる。代替的には、電力アクセスポイントは、住環境における電力のインフラに組み込まれるいわゆるスマートメータに含めることができる。
【0053】
電力アクセスポイント22bは、電力供給事業者18に登録されている消費機器28のデジタル署名の照合を行うのに必要なデータ(例えば、公開鍵)を、配電オペレータ14bからローカルネットワーク12を介して受信する。電力アクセスポイント22bはまた、ローカルネットワーク12を介して、配電オペレータ14bによって設定された1つまたは複数のアクセスルールを配電オペレータ14bから受信する。アクセスルールは、例えば、ピーク使用時間帯、または一日のうち特定の機器が電力アクセスポイント22bからの電力消費を許可されていない時間帯を含み得る。また、アクセスルールは、例えば、電力供給事業者18によって設定され、配電オペレータ14bによって提供されるアクセスルールに組み込まれる電力費用も含み得る。アクセスルールは、配電ネットワークまたは電力ネットワークの最大供給可能電力量に基づいて設定することができる。換言すると、指定の時間期間中に電力ネットワークが供給可能な電力量(すなわち、電力ネットワークの最大供給可能電力量)を用いてアクセスルールを決定することができる。これによって、ネットワークに対する負荷のバランスをとることを補助することができる。アクセスルールによって、各ノードが電力ネットワークにおいて消費可能な最大電流に制限を設けることもできる(例えば、駐車場の充電ポール)。
【0054】
配電オペレータは、アクセスルールを無効化するメカニズムを用いてもよい。電力ネットワークの最大供給可能電力量に関して、所与の時間期間に同一の電力量を定期的に消費する既知の消費機器を考慮することもできる。本実施例では、配電オペレータ14bは、配電オペレータ14bの秘密鍵を用いてアクセスルールに署名する。配電オペレータ14bの公開鍵は、電力アクセスポイント22bに送信されることによって、配電オペレータ14bによる当該公開鍵を用いたアクセスルールの認証を可能にする。
【0055】
アクセスルールは、消費機器28が電力網の電力品質の制御を能動的に補助するのを可能にする情報を含み得る。例えば、アクセスルールは、電力の電圧および周波数に関する情報を含み得る。
【0056】
電力アクセスポイント22bは、消費機器28に対してデジタル署名の認証を行い、アクセスルールおよび使用ルールを照合するためのデータを記憶する記憶装置(図示せず)を有する。本実施例では、電力アクセスポイント22bはまた、登録証明書、使用ルールおよびアクセスルールの認証を可能にするために、電力供給事業者18および配電ネットワーク用の公開鍵を記憶する。電力アクセスポイント22bは、他の電力供給事業者18に登録されている他の機器のデジタル署名の認証を行うためのデータ(例えば、公開鍵)も記憶することができる。電力アクセスポイント22bは、1つまたは複数の配電オペレータから送信された一セットのアクセスルールを記憶することができる。電力アクセスポイントには、無効化リストも記憶されてもよい。当該無効化リストは、鍵またはルールの1つまたは複数が無効化された場合に機器に対する電力輸送を防止するように無効化される鍵および使用/アクセスルールに関するものである
【0057】
アクセスルールおよび適切な電力供給事業者18(すなわち、配電オペレータに登録されている電力供給事業者18)の両方が、配電オペレータ14bによって定期的に更新される。これは、デジタル署名の認証を行うためのアクセスルールおよびデータ(例えば、公開鍵)を含むデータを電力アクセスポイント22bに周期的に送信することによって達成される。これは、電力アクセスポイント22bは、登録された機器のリストを記憶する必要がなく、電力供給事業者18から供給される公開鍵のみが記憶されて消費機器28を認証するのに用いられればよいことを意味する。これによって、電力アクセスポイント22b内で使用される記憶領域が削減される。なお、電力供給事業者18に登録されている他の機器を認証するのに同一の公開鍵が用いられてもよい。配電オペレータ14bに登録されている他の電力供給事業者18から供給される公開鍵は、電力アクセスポイント22bにも送信されてもよい。電力アクセスポイント22bは、この公開鍵を用いて、各電力供給事業者18に登録された機器の電力へのアクセスを許可する。
【0058】
電力アクセスポイントは、配電オペレータまたは(例えば、電力供給事業者18側の)ユーザアカウントデータベースと常時オンライン接続されていなくてもよい。つまり、後述するように、電力アクセスポイントは、ローカル情報またはデータを用いて任意の決定をしてもよい。電力アクセスポイントと機器とを分離することによって、様々な場所の電力にアクセスしながら、ユーザのプライバシーおよび匿名性が維持される。
【0059】
電力アクセスポイント22bは、ローカルネットワーク12を介して配電オペレータとも電気的に接続される。これは破線38、40によって示されている。この電気的接続は、特定の電力のインフラに応じて低電圧線(例えば、240V)、中電圧線(例えば、33キロV)または高電圧線(例えば、110キロV超)の形態とすることができる。なお、電力アクセスポイントは、機器が接続されているかにかかわらず電力を供給される。すなわち、機器に対する電力輸送が許可されているか否かを決定するのは配電オペレータではなく、むしろ、電力アクセスポイントによって、消費機器28に対する電力輸送が許可される。
【0060】
消費機器28は、電力輸送が必要な場合に電力アクセスポイントに接続される。換言すると、ユーザは、機器(のプラグ)を、標準的な電気コンセントの形態であり得る電力アクセスポイント22bに接続する。当該電気コンセントは例えば、米国では、標準的な2ピンコンセント(two-pin connector)(タイプAおよびタイプB)、英国では標準的な3ピンコンセント(タイプG)となる。しかし、これは、機器仕様によっても変わる。消費機器28と電力アクセスポイント22bとの間の電気的接続線を破線42で示す。電気的接続線42に加え、実線44によって示されるような別個の通信線も存在する。通信線44は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)または赤外線等の無線接続の形態としてもよい。通信線は、別個のケーブル、例えば、イーサネット(登録商標)ケーブルとしてもよい。別個の有線または無線接続を必要としないようにHome Plug等の電力線通信の形態を用いることも可能である。
【0061】
消費機器28が電力アクセスポイント22bに接続され、通信が確立されると、消費機器28が電力アクセスポイント22bによって認証される。電力アクセスポイントは、消費機器28から、消費機器28に記憶されている登録証明書を受信する。電力アクセスポイント22bは、消費機器28から受信された登録証明書を、記憶されている公開鍵と共に用いてデジタル署名の認証を行う。消費機器28は、電力供給事業者18から受信された公開鍵を記憶することもでき、これは、登録証明書と共に、電力アクセスポイント22bに送信される。なお、認証処理は、例えば、何者かが非合法的に電力を得る可能性のない家庭内においては不要である場合がある。
【0062】
なお、いわゆるレガシー機器は通常の方法で動作する。すなわち、認証の不可能なレガシー機器は、(本実施形態によらずに)通常のものとして動作する。電力アクセスポイントなしで電力ネットワークに接続される現代の機器では、使用ルールおよびユーザ構成使用ルールに基づき電力が輸送可能であることが前提となっている。
【0063】
消費機器28が電力アクセスポイント22bによって認証された後、消費機器28に記憶されている使用ルールが、電力アクセスポイントに記憶されているアクセスルールと比較される(すなわち、当該アクセスルールに対して評価される)。比較結果が正である、すなわち、成功評価が得られた場合、消費機器28と電力アクセスポイント22bとの間の電力輸送が許可される。換言すると、消費機器28に記憶されている使用ルールが、電力アクセスポイント22bに記憶されているアクセスルールと適合する場合、電力が消費機器28に供給される。
【0064】
消費機器28が消費に関するユーザ構成使用ルールを含む場合、これらも、アクセスルールと比較される、すなわち、アクセスルールに対して評価される。なお、ユーザ構成使用ルールは、機器の公開鍵を用いて認証され、電力アクセスポイントに送信される。使用ルールおよびユーザ構成使用ルールの両方がアクセスルールと比較されるかまたはこれに対して評価され、比較結果が正である、すなわち、成功評価が得られた場合、電力輸送が許可される。ユーザ構成使用ルールは、使用ルールに優先することはできない。使用ルールとアクセスルールとの比較結果が正であっても、ユーザ構成使用ルールとアクセスルールとの比較結果が負である場合、電力輸送は許可されない。
【0065】
したがって、配電オペレータ14bは、周期的にアクセスルールを更新して、電力ネットワーク上に要件を満たすのに十分な電力が存在することを保証することによって、電力ネットワークに対する負荷のバランスをとることができる。
【0066】
例えば、消費機器28は、機器のタイプを特定する使用ルールを含む。電力アクセスポイントは、特定の機器(例えば、携帯電話)はピーク時には充電されない場合があることを示すアクセスルールを含んでもよい。したがって、機器が携帯電話である場合、ピーク時に電力アクセスポイントに接続されても電力は供給されない。
【0067】
代替的な実施形態では、電力供給事業者18に登録された特定の消費機器28の使用ルールが電力供給事業者18によってメモリ(図示せず)に記憶される。この実施形態では、機器が認証されると、通信ネットワークを用いて使用ルールが電力供給事業者18から取得される。この場合、消費機器28は、消費機器28を識別する一意の識別子を提供する。
【0068】
住環境において、電力アクセスポイントは、電力輸送を許可または防止する能力(例えば、スイッチ)を有しない場合がある。電力アクセスポイントが電力輸送を許可または防止する能力を有しない場合、電力アクセスポイントは、複数の機器を認証し、信頼に基づいて各機器の電力消費量に関する情報を集める(例えば、機器が電力消費量を電力アクセスポイントにレポートを送信する)。電力アクセスポイントは、電力消費量のレポートを、配電オペレータに送信し、これによって、例えば、配電オペレータが料金請求のための電力使用情報を電力供給事業者18に渡すことで請求を処理することができる。それゆえ、電力アクセスポイントが電力輸送を防止または許可することができない場合であっても、信号(例えば、許可または防止信号)を機器に送信することで、物理的なスイッチが電力輸送を許可または防止するのと同様に信頼性のある環境として動作する。
【0069】
次に、図1を、発電(供給)機器26に関する実施形態として説明する。なお、消費機器28に関して説明した、電力を消費するための処理は、発電機器26における発電処理と同様である。それゆえ、電力消費機器28のいくつかの態様が発電機器26に当てはまる。
【0070】
発電機器26を参照すると、発電機器26の詳細情報が電力供給事業者20に送信され、発電機器26が電力供給事業者20に登録される。これは、消費機器28に関して説明したトークンシステムを用いて実行されてもよい。発電機器26に関する詳細情報は例えば、機器の型、製造者/モデルまたは選択された支払方法を含んでもよい。図1において、この通信を実線50で示す。
【0071】
発電機器26は、ソーラーパネルであってもよいし、電気自動車に用いられるバッテリであってもよい。発電機器26と電力供給事業者20との間の通信は、消費機器28と電力供給事業者18との間の通信と同様である。
【0072】
図示の機器は電力を電力網に生成または投入するためだけのものであるため、発電機器26の登録処理の際、使用ルールの転送は不要である。しかし、デジタル証明書、登録証明書およびアクセスキー等の一セットの証明情報は、発電機器26にも送信されてもよい。アクセスキーは、登録証明書の認証を可能にする電力供給事業者20の公開鍵を含んでもよい。電力供給事業者20の公開鍵は、配電オペレータにも送信されてもよい。デジタル証明書は、消費機器に関して上述したようにデジタル署名を用いて公開鍵を IDと結び付ける電子文書の形態であってもよい。
【0073】
発電機器26は、消費機器28に関して説明したものと同様のメモリ装置を有する。本実施形態では、メモリ(図示せず)は、消費機器28に関して説明したのと同様に、ユーザ構成使用ルールを記憶するのに用いられる。機器26が生成機器であるため、ユーザ構成使用ルールは、電力の投入のためのものである。ユーザ構成使用ルールは、ユーザによって設定される。例えば、ユーザ構成使用ルールは、発電機器26から電力ネットワーク14へ電力をどの時間帯またはどのような場合に供給することができるかを決定するルールを含んでもよい。例えば、機器のユーザは、18:00〜06:00の間だけ電力供給を行うことを望むかもしれないし、費用が所定の値を超えた場合にのみ電力供給を行うことを望むかもしれない。電力を電力ネットワークに投入するためのユーザ構成使用ルールは、投入ルールと称することができる。本実施例では、ユーザ構成使用ルールは、機器の秘密鍵を用いて署名される。
【0074】
電力供給事業者20は、配電オペレータ14aと通信する。電力供給事業者20と配電オペレータ14aとの間の通信を実線48で示す。この通信は、インターネットを介して行ってもよく、この場合、各ノード(すなわち、電力供給事業者20および配電オペレータ14a)が特定のインターネットプロトコル(IP)アドレスを有し得る。しかし、代替的な通信方法を用いてもよい。電力供給事業者20と配電オペレータ14aとの間の通信は、任意の形態の有線または無線ネットワークを介するものであってもよい。配電オペレータ14aは、配電オペレータ14bと同様である。
【0075】
電力供給事業者20は、配電オペレータ14aに登録されることで、電力エネルギーを電力ネットワーク14に供給する。この登録処理は、電力供給事業者18に関して説明したものと同様である。
【0076】
電力アクセスポイント22aは、ローカルネットワーク12を介して配電オペレータ14aと通信する。この配電オペレータ14aと電力アクセスポイントとの間の通信を実線52で示す。本実施形態では、電力アクセスポイント22aおよび22bの両方が同一のローカルネットワーク12に接続される。本実施形態においてこれが可能であるのは、配電オペレータ14aおよび14bが実線46で示すように相互通信を行っているためである。しかし、電力アクセスポイント22aおよび22bは、異なる複数のローカルネットワークを介して異なる複数の配電オペレータに接続されてもよい。
【0077】
配電オペレータ14aと電力アクセスポイント22aとの間の通信は、配電オペレータ14bおよび電力アクセスポイント22bに関して説明したものと同様である。電力アクセスポイント22aは、家庭内の電気コンセント、または空港もしくは列車等の公共の場にある電気コンセントとすることができる。本実施形態では機器26は発電機器であるため、電気コンセント(outlet)は電力供給のための入口(inlet)となる。
【0078】
電力アクセスポイント22aは、配電オペレータ14aからローカルネットワーク12を介して、電力供給事業者20に登録されている発電機器26のデジタル署名の照合を行うのに必要なデータ(例えば、公開鍵)を受信してもよい。先に述べたように、発電機器26は使用ルールを一切必要としない。代替的には、電力供給事業者20の鍵が、発電機器26のメモリに記憶されてもよい。電力アクセスポイント22aは、ローカルネットワーク12を介して配電オペレータによって設定される1つまたは複数のアクセスルールも、配電オペレータ14aからローカルネットワーク12を介して受信する。アクセスルールは、電力アクセスポイント22aに関して説明したものと同様である。本実施例では、配電オペレータは、配電オペレータの秘密鍵を用いてアクセスルールに署名する。配電オペレータの公開鍵が、電力アクセスポイント22aに送信されることで、公開鍵を用いたアクセスルールの認証が可能になる。
【0079】
電力アクセスポイント22aは、発電機器26に関するデジタル署名の認証を行うためのデータと、アクセスルールとを記憶するための記憶装置(図示せず)を有する。電力アクセスポイント22aは、このデジタル署名の認証を行うためのデータを、電力アクセスポイント22bに関して説明したのと同様の方法で記憶してもよい。
【0080】
アクセスルールおよび適切な電力供給事業者20(すなわち、配電オペレータに登録された電力供給事業者20)は、配電オペレータ14aによって定期的に更新される。これは、アクセスルールおよびデジタル署名の認証を行うためのデータ(例えば、公開鍵)を含むデータを周期的に電力アクセスポイント22aに送信することによって達成される。これは、電力アクセスポイント22bと同様に、電力アクセスポイント22aは登録された機器のリストを記憶する必要がなく、むしろ、電力供給事業者20から供給された公開鍵が、発電機器26を認証するのに記憶および使用されることを意味する。これによって、電力アクセスポイント22a内において必要とされる記憶領域が削減される。電力アクセスポイント22aは、電力アクセスポイント22bと同様に動作する。
【0081】
電力アクセスポイント22aはまた、ローカルネットワーク12を介して配電オペレータに電気的に接続される。これを破線54で示す。この電気的接続は、特定の電力のインフラに応じて低電圧線、中電圧線または高電圧線とすることができる。なお、本実施形態では、電力アクセスポイントは電力網に電力を供給する。すなわち、電力は、発電機器26によって電力アクセスポイント22aに供給され、次いで、配電オペレータ14aに輸送される。
【0082】
発電機器26は、ユーザが電力を電力網に輸送したい場合に電力アクセスポイント22aに接続される。しかし、以下に記載するように、発電機器26が電力アクセスポイント22aに接続されていても、電力が輸送されるか否かは、ユーザ構成使用ルールとアクセスルールとの比較結果が正である(すなわち、成功評価が得られた)か否かに基づく。
【0083】
例えば、ユーザは、電気自動車(発電機器26)を使用していない場合に、その電気自動車を電力アクセスポイント22aに接続する。発電機器26と電力アクセスポイント22aとの間の電気的接続線を破線60で示す。電気的接続線60に加え、実線56に示すように別個の通信線も存在し得る。通信線56は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)または赤外線等の無線接続の形態としてもよい。代替的には、通信線は、別個のケーブル、例えば、イーサネット(登録商標)ケーブルを用いて実現してもよい。別個の有線または無線接続を必要としないように電力線通信の形態を用いることも可能である。
【0084】
発電機器26が電力アクセスポイント22aに接続され、通信が確立されると、発電機器26が電力アクセスポイント22aによって認証される。電力アクセスポイント22aは、発電機器26から、発電機器26に記憶されているアクセスキーおよびデジタル証明書を受信する。アクセスポイント22aは、デジタル証明書およびアクセスキーと、電力アクセスポイント22aに記憶された公開鍵とを用いてデジタル署名の認証を行う。電力アクセスポイント22aに記憶されている公開鍵は、アクセスルールおよびユーザ構成使用ルールを認証するのにも用いてもよい。なお、認証処理は省略してもよい。
【0085】
発電機器26が、電力アクセスポイント22aによって認証された後、発電機器26に記憶されたユーザ構成使用ルールが、電力アクセスポイント22aに記憶されているアクセスルールと比較される。比較結果が正である場合、発電機器26と電力アクセスポイント22aとの間の電力輸送が許可される。換言すると、機器に記憶されているユーザ構成使用ルールが、電力アクセスポイント22aに記憶されているアクセスルールと適合する場合、電力が電力アクセスポイント22aに供給される。
【0086】
例えば、発電機器26は、生成機器が、一日のうちのいつ、電力が電力アクセスポイント22aに輸送されるのを許可するのかを規定するユーザ構成使用ルールを含んでもよい。生成機器はまた、電力を電力網に販売する価格を規定するユーザ構成使用ルールを含んでもよい。
【0087】
図1に示す実施形態では、2つの異なる機器、つまり、消費機器および生成機器を説明した。しかし、電力の消費と生成の両方を行う複数の機器を用いてもよい。例えば、電気自動車のバッテリを用いて電力を消費および生成することができる。これは、バッテリの充電は必要であるが、特定の時間帯には電力網に電力を戻すことも可能であるという理由による。例えば、ユーザは、電力網における需要が比較的低いオフピーク時間帯にバッテリの充電を選択してもよい。一方、ピーク時間帯では、電力の需要が高いピーク時間帯では、ユーザは、電力をバッテリから電力網に供給することを選択することができる。
【0088】
図1では、機器が電力を供給するためのものであるかまたは消費するためのものであるかにかかわらず、使用レポートが生成される。使用レポートは、機器と電力アクセスポイントとの間において双方向に輸送される電力量を含む。係る電力レポートは、電力アクセスポイント22aおよび22bによって生成され、各電力供給事業者18および20に配電オペレータを介して送信される。代替的にまたは付加的には、機器が、電力供給事業者に送信される使用レポートを生成することもできる。電力アクセスポイントは、電力アクセスポイントの秘密鍵によって使用レポートに署名することもできる。機器が使用レポートを生成する場合、機器の秘密鍵を用いて署名される。電力供給事業者による認証のために、対応する公開鍵が電力アクセスポイントによって電力供給事業者に送信される。使用レポートが機器の秘密鍵を用いて署名される場合、電力供給事業者が対応する公開鍵を有していなければ、電力供給事業者による認証のためにその公開鍵が電力供給事業者に送信される。
【0089】
本発明の実施形態では、使用ルール、アクセスルールおよびユーザ構成使用ルールが1つまたは複数のルールの形態で記載されている。しかし、これらのルール(すなわち、アクセスルール、使用ルールまたはユーザ構成ルール)は、一セットの条件を含む単一の「ルール」の形態としてもよい。これらの条件は、任意の表現言語または記述方法で定義することができる。例えば、使用のための条件は、特定の時間フレームにおいてまたは電力ピーク中には制限なしで電力を機器に消費させることを含んでもよいし、機器が、所定の時間帯において電力単位5(例えば、kWh)を超える電力を消費するのを許可しないことを含んでもよい。ユーザ構成使用ルールは、例えばグリーン電力のみを消費することを条件としてもよい。電力の投入については、例えば、ピーク時間帯にのみ電力の投入を可能にするか、またはトレード価格が電力単位辺り0.1ユーロを下回らない場合に電力の投入を可能にすることを条件としてもよい。アクセスルールについては、例えば、ピーク時間帯に、所定の優先度によってカテゴライズされた顧客のみを許可したり、グリーン電力のみの投入を許可したり、電力単位辺り0.1ユーロの投入電力を購入するといったことを条件としてもよい。
【0090】
様々なタイプのルールのそれぞれが、ID、登録日および有効期限、構成要素に応じた役割(例えば、消費者ユニット、供給部)、ならびに使用優先度を含んでもよい。例えば、複数の機器に、各機器のタイプに応じて1〜3の優先度が割り当てられてもよい。
【0091】
上述のように、ネットワークにおける様々なタイプのルールが、異なる複数の認証またはアクセスキー(すなわち、暗号化鍵)を用いて署名されることで、本システムの構成要素間の通信に関する完全性および機密性が保証される。例えば、アクセスルールは、配電オペレータの秘密鍵を用いて署名され、使用ルールは、電力供給事業者の秘密鍵を用いて署名され、ユーザ構成使用ルールは、機器の(すなわち、ユーザの)秘密鍵を用いて署名されてもよい。これらの秘密鍵のそれぞれに対し、公開鍵が生成され、当該公開鍵が電力ネットワークに分配されることで機器の電力輸送を可能にしてもよい。
【0092】
例えば、電力アクセスポイントによって受信されるアクセスルールは、配電オペレータから送られる鍵を用いて署名される。電力アクセスポイントがアクセスルールにアクセスする場合、電力アクセスポイントが保持している鍵(すなわち、配電オペレータの公開鍵)が用いられる。配電オペレータの鍵は、アクセスルールを送信する前に送信されてもよい。
【0093】
本発明の実施形態では、秘密鍵−公開鍵の暗号化が用いられたが、公開鍵暗号法を用いてもよい。公開鍵暗号法を用いる場合、電力アクセスポイントは、電力供給事業者の公開鍵を一切記憶する必要がない。電力アクセスポイントは、共有の認証期間の公開鍵を記憶するのみである。代替的には、配電ネットワーク全体において単一の秘密鍵を用いてもよい。この単一の秘密鍵は、対照的な鍵アルゴリズムを用いて暗号化および署名に用いられてもよい。
【0094】
本発明の実施形態では、登録証明書、使用ルールおよび機器の証明情報は、関係当事者のそれぞれのための別個の暗号化公開鍵−秘密鍵対、すなわち、当事者毎の暗号化公開鍵/秘密鍵対を採用することによってさらに保護してもよい。これは通常、対照的なまたは/および公開鍵暗号法に基づき安全な通信チャネルを用いてなされる。
【0095】
本発明の実施形態では、電力ネットワークと(消費または発電)機器との間の電力輸送が説明された。この電力輸送は、電力ネットワークから機器へかつ機器から電力ネットワークへの両方の電力輸送を含むように理解されたい。また、電力ネットワークの利用は、上記で説明したような、電力ネットワークと機器との間の電力輸送または機器による電力投入および消費を含む。
【0096】
図2は、配電ネットワークの種々の構成要素間のデータの流れを概略的に示した図である。データの流れを機器(D)、電力供給事業者(EP)、配電オペレータ(DO)および電力アクセスポイント(EAP)間において示す。機器は、上述したように、機器の特定の詳細情報を電力供給事業者に送信する。電力供給事業者は当該機器を登録し、登録証明書を当該機器に提供する。登録証明書が電力供給事業者の秘密鍵を用いて署名される場合、電力供給事業者の公開鍵も、認証目的で機器に送信される。電力供給事業者はまた、一セットの使用ルールも機器に送信する。当該使用ルールも、電力供給事業者の秘密鍵を用いて署名される。なお、機器が発電機器である場合、電力供給事業者は使用ルールを機器に提供しない。電力供給事業者の公開鍵が、機器に送られるとともにまたは機器に送られる代わりに配電オペレータに提供される。配電オペレータは、アクセスルールを電力アクセスポイントに送信する。電力アクセスルールが配電オペレータの秘密鍵によって署名される場合、配電オペレータの公開鍵が電力供給事業者の公開鍵と共に電力アクセスポイントに送信される。機器との電力アクセスポイントとの間の電力輸送を可能にするために、機器は、使用ルールおよびすべてのユーザ構成使用ルールを電力アクセスポイントに送信する。機器はまた、認証のために、登録証明書も電力アクセスポイントに送信する。公開鍵(例えば、機器の公開鍵および電力供給事業者の公開鍵)もすべて電力アクセスポイントに送信される。所定量の電力が電力アクセスポイントと機器との間において輸送されると、電力アクセスポイントは使用レポートを電力供給事業者に送信する。電力アクセスポイントはまた、電力アクセスポイントの秘密鍵を用いて使用レポートに署名する。したがって、公開鍵は、使用レポートの認証のために、電力供給事業者にも送信される。
【0097】
図3は、電力アクセスポイント22cを示す。電力アクセスポイント22cは、記憶装置58と、プロセッサ62と、通信モジュール64と、プログラマブルスイッチ66とを有する。
【0098】
記憶装置58は、固体メモリ(例えば、RAMまたはROM)または記憶媒体(例えば、ハードドライブ)の形態としてもよい。記憶装置またはメモリは、配電オペレータから送信されるアクセスルールと、電力供給事業者から送信される公開鍵またはアクセスキーとを記憶する。これにより、電力アクセスポイントに接続された機器の認証が可能となる。
【0099】
通信モジュール64は、電力アクセスポイントに接続された機器と通信し、電力供給事業者および配電オペレータから送信される更新情報を受信するのに用いられる。電力アクセスポイントと他の機器との間の通信を実線70で示す。しかし、既に述べたように、この通信は、有線または無線通信プロトコルを用いて行うことができる。また、電力アクセスポイントと機器との間で用いられる通信プロトコルのタイプは、例えば、電力アクセスポイントと電力供給事業者との間で用いられる通信プロトコルのタイプとは異なり得る。通信モジュール64は通常、プロセッサ62によって制御される。
【0100】
スイッチ66は、破線68で示す接続線を介してローカルネットワークに接続される。電力アクセスポイントの仕様に応じて、電気的接続線68は、双方向性のものでも一方向性のものでもよい。スイッチ66は、電力(例えば、電力)を機器に供給するかまたは電力アクセスポイントに接続された機器から受け取るのを許可または規制するように動作可能である。上述したように、住環境において、電力アクセスポイント22cは、電力輸送を許可または規制する能力(例えば、スイッチ58)を有しない場合がある。
【0101】
プロセッサ62は、メモリ装置58にアクセスし、アクセスルールおよび公開鍵を検索し、接続された機器の認証を行い、機器と電力アクセスポイントとの間において電力の輸送を許可すべきかどうかを判定する。プロセッサ62が、電力輸送を行うべきであると判断した場合、プロセッサ62は、スイッチ58を制御して電力輸送を許可する。図3では、電力アクセスポイント22cの構成要素が、それぞれ別個の要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の機器内に含まれてもよい。
【0102】
なお、電力の複数の出口/入口を有する1つの電力アクセスポイントが設けられてもよい。これらの出口/入口はそれぞれ、スイッチを有する。電力アクセスポイントとして機能するには、同一の筐体において出口を実装するのは必須ではない。この出口/入口は、実施態様に応じて1つまたは2つ以上の筐体に物理的に分離していてもよい。
【0103】
図4は、本発明の一実施形態に係る方法を示すフローチャートである。
【0104】
ステップ1において、電力ネットワークアクセスルールを電力ネットワークから受信する。電力ネットワークアクセスルールは、機器の、電力ネットワークに対するアクセスを許可するアクセス条件を規定する。
【0105】
ステップ2において、機器使用ルールを受信する。機器使用ルールは、機器による電力ネットワークの利用を許可する場合の条件を規定する。
【0106】
ステップ3において、機器使用ルールを、受信した電力ネットワークアクセスルールと比較する(または、電力ネットワークアクセスルールに対して評価する)。
【0107】
ステップ4において、機器使用ルールと、受信した電力ネットワークアクセスルールとの間の比較結果が正であるか(すなわち、成功評価が得られたか)否かを判定する。
【0108】
ステップ5において、機器使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である(すなわち、成功評価が得られた)場合、電力ネットワークと機器との間の電力輸送を許可する。
【0109】
ステップ6において、機器使用ルールと電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が負である(すなわち、不成功評価が得られた)場合、電力ネットワークと機器との間の電力輸送を許可しない。
【0110】
図5は、本発明の一実施形態に係る電力ネットワークの一部としての家庭用ネットワーク82を概略的に示した図である。
【0111】
家庭用ネットワーク82は、コンピュータ86と、ハブまたはネットワークルータ84と、電力アクセスポイント22dと、3つの機器88、90および92と、電力アクセスポイント22dに接続された消費者ユニット94とを有する。電力網は、図1に示したものと同様の構成要素を有する。電力網は、ローカルネットワーク12と、配電オペレータ14cと、電力供給事業者80とを有する。図1と同様に、通信線および電力線をそれぞれ実線および破線で示す。
【0112】
図5では、電力アクセスポイント22dは、独立の装置として示されており、消費者ユニット94に接続されて電力を機器88、90、92に供給する。しかし、代替的な実施形態において、電力アクセスポイント22dは、消費者ユニット94と統合してもよく、またはスマートメータ内に組み込んでもよい。すなわち、電力アクセスポイント22dは、家庭内に電力を分配するように構成された一連のヒューズおよび回路遮断器(ブレーカー)の形態とすることができる。電力アクセスポイント22d(または消費者ユニット94)には、3つの機器が接続される。消費者ユニットすなわち、電力アクセスポイント22d(または消費者ユニット94)には、2つの電気消費機器88、90(例えば、洗濯機およびテレビ)および1つの電力消費および供給機器92(例えば、電気自動車)に接続される。
【0113】
消費者ユニット94(または、電力アクセスポイント22d)は、上述のように、電力供給事業者80に登録される。図5では、これは、インターネットによってルータ84を介して行うことができる。図5においては、電力アクセスポイント22dは、ルータ84を介してローカルネットワーク12および電力供給事業者80に接続されている。
【0114】
上述したように、電力アクセスポイント22dにおいて、アクセスルールと使用ルールとの比較結果が正であることに基づいて電力アクセスポイントと機器88、90、92との間で電力輸送が行われる。使用ルールならびに認証署名およびアクセスキーの記憶は、コンピュータ86によって行ってもよい。さらに、使用ルールおよびアクセスルールの比較ならびに任意の認証もまた、コンピュータ86によって行ってもよい。
【0115】
電力アクセスポイント22dは、ローカルネットワーク12を介して電力アクセスポイント22dと配電オペレータ14cとの間において輸送された電力量を詳述するレポートを生成する。レポートは、家主が消費および生成された電力量を監視することができるように電力供給事業者80またはコンピュータ86に送信される。
【0116】
図5に示す家庭用構成は、消費者ユニット94から家庭内の種々の機器への電力を制御する電力アクセスポイントを示す。家庭内の代替的な構成では、電力アクセスポイントは、機器に電力が供給されるのを防止するスイッチを含まなくてもよい。しかし、携帯機器による認証は依然として行ってもよい。携帯機器が、家主によって電力を供給される機器として登録されている場合、携帯機器による電力使用は、家主に適用される。一方、携帯機器が、当該家の家主によって電力を供給される機器として登録されておらず、家主以外の何者かによって所有され、家庭用電力ネットワークに接続される場合、当該携帯機器による電力使用は、家主ではなく、機器の所有者に適用される。これは、電力アクセスポイントと、家主によって所有されていない携帯機器との間の信頼性を用いることによって達成される。すなわち、電力輸送が完了すると、電力使用が判定される(例えば、携帯機器が電力使用を、使用レポートの形態で電力アクセスポイントに送信する)。次いで、電力アクセスポイントは、使用レポートを配電オペレータに送信する。当該配電オペレータは、使用レポートを電力供給事業者80に転送してもよい。次いで、電力供給事業者80は、家主の請求書から上記電力使用を差し引き、当該電力使用を携帯機器の所有者に加算する。
【0117】
コンピュータ86は、ユーザが電力供給事業者18と情報のやりとりをするのを可能にしてもよい。この場合、ユーザは、電力供給事業者18から電力を事前に購入することが可能である。これは、ウェブサイトにアクセスし、電力アクセスポイントからの電力輸送のための時間帯を予約することによって達成され得る。これによって、特定の時間において負荷をより良好に予測することができるため、電力ネットワークに対する負荷のバランスをより正確にとることが可能になる。電力ネットワークが電力網に対する負荷をより良好に予測することが可能であるため、ユーザは、より優遇された料金で電力を提供されてもよい。ユーザはまた、所定の時間期間内において同一の電力量を電力ネットワークに供給し返すことに同意することによって、電力の消費を補うことが可能であってもよい。
【0118】
消費者が、特定の時間帯の電力を事前に購入したが、当該電力を消費しなかった場合、電力供給事業者は、依然として顧客にその代金を請求してもよいし、合意したものより高い料金で電力を別の時間に消費してもよいことをユーザと合意してもよい。
【0119】
上記実施形態は、コンピュータ可読命令を有するコンピュータプログラムとしても実現可能である。コンピュータプログラムは、上述したような方法をコンピュータに実行させる命令を含む。係るコンピュータプログラムは、CD−ROMもしくは固体メモリ等の記憶媒体または係るコンピュータプログラムを記憶するのに適した任意のタイプの記憶装置上で具現化され得る。さらに、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークまたは任意のタイプのローカルネットワークを介して転送可能な信号として具現化され得る。
【0120】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら本明細書において詳述してきたが、本発明は上記実施形態に厳密に限定されないこと、および、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲および精神から逸脱しない限り、当業者によって種々の変更および修正が可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ネットワークに対するアクセスを制御する電力ネットワークアクセス制御方法であって、
機器に前記電力ネットワークに対するアクセスを許可するアクセス条件を規定する電力ネットワークアクセスルールを前記電力ネットワークから受信し、
前記機器が前記電力ネットワークの利用を許可される場合の条件を規定する機器使用ルールを受信し、
前記機器使用ルールを、前記受信した電力ネットワークアクセスルールと比較し、
前記機器使用ルールと前記電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合、前記電力ネットワークと前記機器との間の電力輸送を許可する
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記機器使用ルールを前記機器から受信するステップをさらに含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記機器使用ルールを電力供給事業者から受信するステップをさらに含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記機器を前記電力ネットワークによって認証するステップをさらに含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記電力ネットワークアクセスルールは、前記電力ネットワークの最大供給可能電力量に基づいて決定される
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記電力ネットワークアクセスルールを前記電力ネットワークから受信する前に、前記機器を、前記電力ネットワークを介して電力を供給する電力供給事業者に登録するステップをさらに含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記機器使用ルールは、前記電力ネットワークから供給される電力を消費するための条件を規定する
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記機器使用ルールは、前記電力ネットワークへ電力を供給するための条件を規定する
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
ユーザによって定められた、前記機器が前記電力ネットワークの利用を必要とする場合の条件を規定するユーザ構成使用ルールを受信するステップと、
前記ユーザ構成使用ルールを、前記受信した電力ネットワークアクセスルールと比較するステップと、
前記機器使用ルールと前記電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正であり、かつ前記ユーザ構成使用ルールと前記電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合、前記電力ネットワークと前記機器との間の電力輸送を許可するステップとをさらに含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項10】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記機器使用ルールは、前記機器の所定の電力消費量を含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項11】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記電力ネットワークアクセスルールは、前記電力の電圧および周波数に関する情報を含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項12】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記電力ネットワークアクセスルールは、前記電力の最大電流に関する情報を含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項13】
請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記電力ネットワークと前記機器との間において輸送される電力量を測定するステップと、
前記輸送される電力量を表す値を記憶するステップと、
前記輸送される電力量を表す前記値を含むレポートを、ネットワークを介して配信するステップとをさらに含む
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の電力ネットワークアクセス制御方法であって、
前記電力ネットワークは、家庭用ネットワークである
電力ネットワークアクセス制御方法。
【請求項15】
コンピュータに、請求項1に記載の電力ネットワークアクセス制御方法の各ステップを実行させるプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体。
【請求項17】
電力ネットワークに対するアクセスを制御する電力ネットワークアクセス制御装置であって、
機器に前記電力ネットワークに対するアクセスを許可するアクセス条件を規定する電力ネットワークアクセスルールを前記電力ネットワークから受信し、かつ前記機器が前記電力ネットワークの利用を許可される場合の条件を規定する機器使用ルールを受信する受信部と、
前記機器使用ルールを、前記受信した電力ネットワークアクセスルールと比較する比較器と、
前記機器使用ルールと前記電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合、前記電力ネットワークと前記機器との間の電力輸送を許可する許可部と
を具備する電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項18】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記機器使用ルールは、前記機器から受信される
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項19】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記機器使用ルールは、電力供給事業者から受信される
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項20】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記機器を前記電力ネットワークによって認証する認証部をさらに具備する
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項21】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記電力ネットワークアクセスルールは、前記電力ネットワークの最大供給可能電力量に基づいて決定される
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項22】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記機器使用ルールは、前記電力ネットワークから供給される電力を消費するための条件を規定する
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項23】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記機器使用ルールは、前記電力ネットワークへ電力を供給するための条件を規定する
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項24】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記受信部は、ユーザによって定められた、前記機器が前記電力ネットワークの利用を必要とする場合の条件を規定するユーザ構成使用ルールを受信し、
前記比較器は、前記ユーザ構成使用ルールを、前記受信した電力ネットワークアクセスルールと比較し、
前記許可部は、前記機器使用ルールと前記電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正であり、かつ前記ユーザ構成使用ルールと前記電力ネットワークアクセスルールとの比較結果が正である場合に、前記電力ネットワークと前記装置との間の電力輸送を許可する
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項25】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記機器使用ルールは、前記機器の所定の電力消費量を含む
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項26】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記電力ネットワークアクセスルールは、前記電力の電圧および周波数に関する情報を含む
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項27】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記電力ネットワークアクセスルールは、前記電力の最大電流に関する情報を含む
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項28】
請求項17に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記電力ネットワークと前記機器との間において輸送される電力量を測定する測定部と、
前記輸送される電力量を表す値を記憶する記憶装置と、
前記輸送される電力量を表す前記値を含むレポートを、ネットワークを介して配信する出力部とをさらに具備する
電力ネットワークアクセス制御装置。
【請求項29】
請求項28に記載の電力ネットワークアクセス制御装置であって、
前記電力ネットワークは、家庭用ネットワークである
電力ネットワークアクセス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170323(P2012−170323A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27730(P2012−27730)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【出願人】(593081408)ソニー ヨーロッパ リミテッド (93)
【Fターム(参考)】