説明

電力供給装置

【課題】発電電力を無駄なく有効に活用できる電力供給装置を提供する。
【解決手段】交流用の電気機器200に電力を供給する電力供給装置において、太陽光エネルギから交流の発電電力を得る太陽光発電装置120と、発電電力を直流電力に変換する電力変換器130と、直流電力を蓄電する蓄電池140と、電力変換器130と蓄電池140との間に設けられて、電力変換器120によって変換された直流電力、および蓄電池130に蓄電された蓄電電力の少なくとも一方を電気機器200の駆動部210に出力する電力出力部150と、太陽光発電装置120による発電電力量に応じて、蓄電池140への蓄電電力量、あるいは電力出力部150から駆動部210へ出力される出力電力量を制御する制御装置160とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用の系統電力、太陽光発電によって得られた発電電力、あるいは蓄電池の蓄電電力を電気機器へ供給する電力供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、系統電力あるいは太陽光発電ユニットから供給される発電電力を用いて、湯の沸き上げを行う貯湯式電気給湯機が知られている。
【0003】
この貯湯式電気給湯機は、電力を用いて温水を生成する給湯ユニットと、生成された温水を保温貯蔵する貯湯タンクと、太陽光発電ユニットと、これらの作動を制御する制御装置とを備えている。そして、制御装置は、太陽光発電ユニットから供給される電力量が所定値以上の場合に、太陽光発電ユニットからの発電電力を用いて給湯ユニットを運転して温水を生成し、貯湯タンクに保温貯蔵するようにしている。尚、制御装置は、太陽光発電ユニットから供給される電力量が所定値以上得られない場合には、系統電力を用いて給湯ユニットを運転して、貯湯タンクへの貯湯あるいは沸き増しを行うようにしている。
【0004】
また、特許文献1では、太陽光発電ユニットと制御装置との間に蓄電池を設け、太陽光発電ユニットから供給される電力を一旦、蓄電池に蓄電し、蓄電した充電電力を用いて給湯ユニットを運転するようにしても良い旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−271164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の貯湯式給湯機において蓄電池を用いる場合では、蓄電池への蓄電、および蓄電池からの放電は同時にはできない。つまり、蓄電池に発電電力を蓄電する場合と、蓄電池から放電して放電した電力を給湯ユニットに供給する場合との使い分けしかできない。
【0007】
よって、天候によって例えば太陽光発電ユニットの発電量が急増した場合、蓄電池における蓄電量がフル状態になると、それ以上の蓄電が不可能となり、更に発電電力が得られているにもかかわらず、その分の電力は単なる余剰となって活用ができない。あるいは、太陽光発電ユニットの発電量が低下した場合、発電電力に蓄電電力を加えて給湯ユニットを作動させようとしても、それは不可能なことであり、少量の発電電力がありながらも、これを活用することができない。総じて、蓄電機能を持たせたと言っても、発電電力を有効に活用できるものにはなっていない。
【0008】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、発電電力を無駄なく有効に活用できる電力供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0010】
請求項1に記載の発明では、交流用の電気機器(200)に電力を供給する電力供給装置において、
電気機器(200)は、駆動部(210)を備え、駆動部(210)の電力制御によって、交流電力が供給された場合に加えて、直流電力が供給された場合での作動も可能となっており、
太陽光エネルギから交流の発電電力を得る太陽光発電装置(120)と、
太陽光発電装置(120)によって得られた発電電力を直流電力に変換する電力変換器(130)と、
電力変換器(130)によって変換された直流電力を蓄電する蓄電池(140)と、
電力変換器(130)と蓄電池(140)との間に設けられて、電力変換器(120)によって変換された直流電力、および蓄電池(130)に蓄電された蓄電電力の少なくとも一方を駆動部(210)に出力する電力出力部(150)と、
太陽光発電装置(120)による発電電力量に応じて、蓄電池(140)への蓄電電力量、あるいは電力出力部(150)から駆動部(210)へ出力される出力電力量を制御する制御装置(160)とを備えることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、天候の影響によって太陽光発電装置(120)によって得られる発電電力が大きく変動するような場合でも、制御装置(160)は、太陽光発電装置(120)によって得られた交流の発電電力を、電力変換器(130)によって直流電力に変換し、順次、蓄電池(140)に蓄電していくことができる。そして、蓄電池(140)にフル状態で蓄電された後には、蓄電電力を、電力出力部(150)を介して電気機器(200)の駆動部(210)に出力することができる。駆動部(210)は、出力された蓄電電力を用いて、電気機器(200)を駆動することがでる。このように、発電電力が大きく変動するような場合であっても、太陽光発電装置(120)によって発電された発電電力を、一旦、蓄電池(140)に蓄電した後、この蓄電電力を用いて、電気機器(200)を一定の電力条件で駆動することができる。
【0012】
ここで、天候の影響により、太陽光発電装置(120)によって得られる発電電力が増大して、電気機器(200)に対して必要以上の発電電力が得られる場合であっても、制御装置(160)は、電力変換器(130)で変換された直流電力の一部を、電力出力部(150)を介して駆動部(210)に供給して電気機器(200)を駆動すると共に、変換された直流電力の残りを蓄電池(140)に蓄電することができるので、発電電力を無駄にすることなく、有効に活用することができる。
【0013】
逆に、天候の影響により、太陽光発電装置(120)よって得られる発電電力が低下して、電気機器(200)に対して必要な電力が得られない場合であっても、予め蓄電池(140)に蓄電されていれば、制御装置(160)は、電力変換器(130)で変換された直流電力のすべてを電力出力部(150)に供給すると共に、蓄電池(140)の蓄電電力を電力出力部(150)に供給し、両電力を駆動部(210)に供給することで、電気機器(200)に必要とされる電力を確保して、電気機器(200)を駆動することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、制御装置(160)は、太陽光発電装置(120)によって得られる発電電力が、予め定めた所定電力量以上、得られる場合に、発電電力を駆動部(210)に直接供給することを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、太陽光発電装置(120)によって得られる発電電力が、所定電力量以上となって、安定的に電気機器(200)に対して必要な電力が連続的に得られる場合は、制御装置(160)は、得られた交流の発電電力を直接、駆動部(210)に供給して、電気機器(200)を駆動することができる。よって、電力変換器(130)による変換を不要として、電力変換器(130)による電力変換ロスをなくすことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、交流電力の供給源となる交流電源部(110)を備え、
制御装置(160)は、夜間において電気機器(200)を作動させる際に、交流電源部(110)からの交流電力を駆動部(210)に供給することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、太陽光発電装置(120)が使用できない夜間において、交流電源部(110)からの交流電力を駆動部(210)に供給して、電気機器(200)を駆動することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、電気機器(200)は、電気給湯器において湯を生成するヒートポンプユニット(200)であることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、発電電力を用いて、電気給湯器におけるヒートポンプユニット(200)を駆動させることができるので、交流電源部(110)からの交流電力を用いずに、施設や家庭内の給湯をまかなうことができる。
【0020】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電力供給装置の全体を示すブロック図である。
【図2】インバータパワー部の詳細を示す電気回路図である。
【図3】蓄電電力供給モードを示すブロック図である。
【図4】発電電力供給+蓄電モードを示すブロック図である。
【図5】蓄電電力+発電電力供給モードを示すブロック図である。
【図6】発電電力供給モードを示すブロック図である。
【図7】系統電力供給モードを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0023】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における電力供給装置100の構成について、図1、図2を用いて説明する。図1は電力供給装置100の全体を示すブロック図、図2はインバータパワー部210の詳細を示す電気回路図である。
【0024】
図1に示すように、電力供給装置100は、交流用の電気機器10に電力を供給する装置であり、例えば住宅に設けられている。電力供給装置100は、交流電源部110、太陽光発電装置120、電力変換器130、蓄電池140、電力供給線150、および制御装置160等を備えている。また、電気機器10は、ここでは、家庭用の電気給湯器におけるヒートポンプユニット200としている。ヒートポンプユニット200は、インバータパワー部210、および圧縮機用モータ220を備えている。
【0025】
交流電源部110は、各住宅に引込まれる引込み線から分電盤および電力線171を介してヒートポンプユニット200のインバータパワー部210に系統電力(例えば3相200Vの交流電力)を供給する交流電力の供給源である。交流電源部110は、ヒートポンプユニット200の他、エアコン、テレビ、冷蔵庫、照明等の各種家電機器(図示省略)にも系統電力を供給するようになっている。
【0026】
太陽光発電装置120は、太陽電池パネル121とパワーコンディショナ122とを備えている。太陽電池パネル121は、光起電力効果を利用して太陽光エネルギを電気エネルギに直接的に変換して直流の電力を得る発電部である。また、パワーコンディショナ122は、太陽電池パネル121によって得られた直流の電力を交流に変換して発電電力として出力する変換部である。パワーコンディショナ122の出力側は、電力線172、173によって、電力変換器130に接続されている。また、パワーコンディショナ122の出力側は、電力線172、174によって、インバータパワー部210(後述するフィルタ部211)にも接続されている。
【0027】
太陽光発電装置120によって得られる発電電力量は、発電時の天候に大きく左右される。晴天時に比べて、曇天時、雨天時等では発電電力量は低下する。また、夏場に対して冬場では発電電力量は低下する。更に、日没後の夜間時では、太陽光発電装置120による発電電力は得られない。
【0028】
電力変換器130は、太陽光発電装置120によって得られた交流の発電電力を直流電力に変換して、蓄電池140あるいは電力供給線150に出力する変換器である。電力変換器130の出力側は、電力線175によって、蓄電池140に接続されている。
【0029】
蓄電池140は、太陽光発電装置120によって得られた発電電力を一時的に蓄電する蓄電器である。具体的には、上記電力変換器130によって変換された直流電力を蓄電するようになっている。また、蓄電池140は、蓄電された蓄電電力を電力供給線150に出力、つまり放電することも可能となっている。
【0030】
電力供給線150は、電力変換器130と蓄電池140との間に設けられて、電力変換器130で変換された直流電力、および蓄電池140から放電される蓄電電力の少なくとも一方を出力電力としてインバータパワー部210に出力する電力出力部である。具体的には、電力供給線150は、電力線175の途中部位から分岐されて、インバータパワー部210におけるインバータ部214の入力側に接続された電力線として形成されている。
【0031】
制御装置160は、交流電源部110、太陽光発電装置120、電力変換器130、蓄電池140、電力供給線150、およびヒートポンプユニット200等を効果的に作動制御することで、使用者の要求に合致する電力授受を行うと共に、経済的な電力の使用を可能とする制御装置となっている。特に、制御装置160は、太陽光発電装置120で得られる発電電力量に応じて、上記各機器110〜150、200の作動を制御し、発電された電力を無駄なく有効に活用するものとなっている。
【0032】
ヒートポンプユニット200は、電気給湯器において高温の湯を生成するユニットであり、ヒートポンプサイクルの冷媒としてCOを使用し、外気の熱によって湯の沸き上げを行うようになっている。ヒートポンプユニット200によって沸き上げられた湯は、電気給湯器における貯湯タンク(図示省略)に貯湯され、貯湯された湯が給湯部へ供給されるようになっている。ヒートポンプユニット200は、湯の生成において、開始から終了までの間で、ほぼ一定の電力を必要として作動する。
【0033】
インバータパワー部210は、インバータパワー部210に供給される電力を調整して圧縮機用モータ220の駆動を制御するための駆動部であり、図2に示すように、フィルタ部211、昇圧部212、整流部213、インバータ部214、および切換えスイッチ215等を備えている。圧縮機用モータ220は、ヒートポンプサイクル内の冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機(図示せず)を作動させるための3相交流モータである。
【0034】
フィルタ部211は、複数のコンデンサ211aおよびリアクトル211bから形成されて、入力された電気信号に帯域制限をかけ、特定の周波数成分を取り出す回路部である。特定の周波数成分を取り出すことで、ノイズを除去することができる。フィルタ部211の入力部には、交流電源部110から供給される系統電力、あるいは太陽光発電装置120から供給される発電電力が入力されるようになっている。
【0035】
昇圧部212は、フィルタ部211から出力される電力を、コイル212aに蓄えることで昇圧する回路部である。
【0036】
整流部213は、複数のダイオード213aによってダイオードブリッジが形成されて、昇圧部212で昇圧された交流電力を直流電力に整流する回路部である。
【0037】
インバータ部214は、整流部213によって整流された直流電力を、圧縮機用モータ220に供給する交流電力に変換する回路部である。インバータ部214は、圧縮機用モータ220の駆動制御に必要とされる交流電力を制御用の3相交流電力(以下、制御電力)として生成して圧縮機用モータ220に供給する。インバータ部214は、高電位側のスイッチング素子214aと、低電位側のスイッチング素子214bとの直列接続体を3対備えている。また、高電位側のスイッチング素子214aには逆並列にダイオード214cが接続されており、低電位側のスイッチング素子214bには、逆並列にダイオード214dが接続されている。各スイッチング素子214a、214bは、マイコン214eによって開閉切換えが制御されて、圧縮機用モータ220を駆動させるのに必要とされる制御電力が生成されるようになっている。
【0038】
切換えスイッチ215は、整流部213(図2中のA部)とインバータ部214との接続、あるいは、電力変換器130および蓄電池140(図2中のB部)とインバータ部214との接続を切換えるスイッチである。切換えスイッチ215をA部側に接続することで、交流電源部110から供給される系統電力、あるいは太陽光発電装置120から供給される発電電力が、フィルタ部211、昇圧部212、整流部213を通りインバータ部214に供給されるようになっている。また、切換えスイッチ215をB部側に接続することで、電力変換器130からの直流電力、および蓄電池140からの蓄電電力の少なくとも一方が、電力供給線150を介してインバータ部214に供給されるようになっている。
【0039】
よって、インバータパワー部210は、切換えスイッチ215によって、交流電源部110あるいは太陽光発電装置120から交流電力が供給される場合に加えて、電力供給線150から直流電力が出力される場合でも、各電力を調整して圧縮機用モータ220の駆動を制御することができるようになっている。
【0040】
次に、上記構成に基づく電力供給装置100の作動および作用効果について、図3〜図7を加えて説明する。
【0041】
住宅においては、ヒートポンプユニット200を作動させる際には、制御装置160は、交流電源部110からの系統電力、太陽光発電装置120からの発電電力、電力変換器130からの直流電力、あるいは蓄電池140からの充電電力を使用する。制御装置160は、太陽光発電装置120が発電しうる昼間時間帯であるか否か、太陽光発電装置120によって得られる発電電力量が充分にあるか否か、更には電池地140における充電電力量が充分にあるか否か等により、最も経済的な電力、あるいは電力の組み合わせを選択して、以下のようなモードでヒートポンプユニット200に電力を供給する。
【0042】
1.蓄電電力供給モード(図3)
太陽発電が可能な昼間時間帯において、太陽光発電装置120によって得られる発電電力が時刻ごとに大きく変動するような場合では、一定の電力を必要として湯の生成を行うヒートポンプユニット200に対して直接的に発電電力を供給しても、連続的に安定した湯の生成を行うことができない。よって、制御装置160は、一旦、発電電力を蓄電池140に蓄電し、その後に蓄電電力で、ヒートポンプユニット200を作動させる。
【0043】
即ち、制御装置160は、太陽光発電装置120によって得られた発電電力を、電力線172、173を介して電力変換器130に供給し、交流の発電電力を直流電力に変換する。そして、変換された直流電力を、電力線175を介して蓄電池140に順次蓄電していく。
【0044】
そして、制御装置160は、蓄電池140における蓄電量がフル状態となると、切換えスイッチ215をB点側に接続し、蓄電池140の蓄電電力を、出力電力として電力供給線150を介してインバータ部214の入力側に供給する。インバータ部214では、マイコン214eによってスイッチング素子214a、214bの切換えがなされて、入力された直流の蓄電電力は、交流の制御電力に変換され、圧縮機用モータ220が駆動される。圧縮機用駆動モータ220が駆動されることで、ヒートポンプサイクルの圧縮機が作動され、ヒートポンプユニット200にて湯の生成が実施される。
【0045】
これにより、発電電力が大きく変動するような場合であっても、太陽光発電装置120によって発電された発電電力を、一旦、蓄電池140に蓄電した後、この蓄電電力を用いて、ヒートポンプユニット200を一定の電力条件で駆動することができる。
【0046】
2.発電電力供給+蓄電モード(図4)
太陽発電が可能な昼間時間帯において、太陽光発電装置120によって得られる発電電力が、ヒートポンプユニット200を作動させるために必要とされる所定電力量よりも大きく得られる場合では、制御装置160は、発電電力の一部をヒートポンプ200に供給しながら、発電電力の残りを余剰電力として蓄電池140へ蓄電していく。
【0047】
即ち、制御装置160は、切換えスイッチ215をB点側に接続すると共に、太陽光発電装置120によって得られた発電電力を、電力線172、173を介して電力変換器130に供給し、交流の発電電力を直流電力に変換する。そして、変換された直流電力のうち、ヒートポンプユニット200に必要とされる分を、電力供給線150を介してインバータ部214の入力側に供給する。インバータ部214では、入力された直流電力は、交流の制御電力に変換され、圧縮機用モータ220が駆動される。圧縮機用駆動モータ220が駆動されることで、ヒートポンプサイクルの圧縮機が作動され、ヒートポンプユニット200にて湯の生成が実施される。一方、制御装置160は、電力変換器130によって変換された直流電力のうち、残りの分を、電力線175を介して蓄電池140に蓄電する。
【0048】
これにより、ヒートポンプユニット200に対して必要以上の発電電力が得られる場合であっても、発電電力の一部を用いてヒートポンプユニット200を作動させながら、余剰となる残りの分を同時に蓄電池140に蓄電できるので、発電電力を無駄にすることなく、有効に活用することができる。尚、蓄電された蓄電電力は、当然のことながら、次回のヒートポンプユニット200の作動に使用される。
【0049】
3.蓄電電力+発電電力供給モード(図5)
太陽発電が可能な昼間時間帯において、太陽光発電装置120によって得られる発電電力が、ヒートポンプユニット200を作動させるために必要とされる所定電力量以上に得られない場合では、制御装置160は、発電電力のすべてと、電池140の蓄電電力とを合わせてヒートポンプ200に供給する。
【0050】
即ち、制御装置160は、切換えスイッチ215をB点側に接続すると共に、太陽光発電装置120によって得られた発電電力を、電力線172、173を介して電力変換器130に供給し、交流の発電電力を直流電力に変換する。そして、変換された直流電力のすべてを、電力供給線150を介してインバータ部214の入力側に供給する。併せて、蓄電池140に蓄電されている蓄電電力を、電力供給線150を介してインバータ部214の入力側に供給する。インバータ部214では、入力された直流電力は、交流の制御電力に変換され、圧縮機用モータ220が駆動される。圧縮機用駆動モータ220が駆動されることで、ヒートポンプサイクルの圧縮機が作動され、ヒートポンプユニット200にて湯の生成が実施される。
【0051】
これにより、ヒートポンプユニット200に対して必要とされる発電電力が得られない場合であっても、発電電力と蓄電電力とを合わせて供給することで、ヒートポンプユニット200に必要とされる電力を確保して、ヒートポンプユニット200を駆動することができる。
【0052】
4.発電電力供給モード(図6)
太陽発電が可能な昼間時間帯において、太陽光発電装置120によって得られる発電電力が、ヒートポンプユニット200を作動させるために必要とされる所定電力量として連続的に得られる場合では、制御装置160は、発電電力を直接的にヒートポンプユニット200に供給する。
【0053】
即ち、制御装置160は、切換えスイッチ215をA点側に接続すると共に、太陽光発電装置120によって得られた交流の発電電力を、電力線172、174を介してフィルタ部211の入力側に供給する。供給された発電電力は、フィルタ部211でノイズ除去がなされ、次に昇圧部212によって昇圧され、次に整流部213によって交流から直流に整流され、インバータ部214に至る。インバータ部214では、マイコン214eによってスイッチング素子214a、214bの切換えがなされて、入力された直流の電力は、交流の制御電力に変換され、圧縮機用モータ220が駆動される。圧縮機用駆動モータ220が駆動されることで、ヒートポンプサイクルの圧縮機が作動され、ヒートポンプユニット200にて湯の生成が実施される。
【0054】
これにより、太陽光発電装置120によって得られる発電電力が、所定電力量以上となって、安定的にヒートポンプユニット200に対して必要な電力が連続的に得られる場合は、得られた交流の発電電力を直接、インバータパワー部210に供給してヒートポンプユニット200を駆動することができる。よって、電力変換器130による変換を不要として、電力変換器130による電力変換ロスをなくすことができる。
【0055】
5.系統電力供給モード(図7)
太陽発電が不能となる夜間時間帯においては、基本的には発電電力を活用することができない。よって、制御装置160は、交流電源部110から供給される系統電力を用いて、ヒートポンプユニット200を作動させる。
【0056】
制御装置160は、系統電力を使用するにあたっては、夜間時間帯のうち、まず、電力料金の安価な深夜時間帯において、系統電力を使用してヒートポンプユニット200を作動させる。制御装置160は、深夜時間帯の始まり時刻(例えば23時)になると、沸き上げに必要な湯量と、沸き上げに必要な時間を算出し、深夜時間帯が終了する時刻(例えば7時)までに沸き上げが完了するように沸き上げ開始時刻を定めて、沸き上げ制御を行う。
【0057】
即ち、制御装置160は、切換えスイッチ215をA点側に接続すると共に、沸き上げ開始時刻になると、系統電力を、電力線171、174を介してフィルタ部211の入力側に供給する。供給された系統電力は、フィルタ部211でノイズ除去がなされ、次に昇圧部212によって昇圧され、次に整流部213によって交流から直流に整流され、インバータ部214に至る。インバータ部214では、マイコン214eによってスイッチング素子214a、214bの切換えがなされて、入力された直流の電力は、交流の制御電力に変換され、圧縮機用モータ220が駆動される。圧縮機用駆動モータ220が駆動されることで、ヒートポンプサイクルの圧縮機が作動され、ヒートポンプユニット200にて湯の生成が実施される。
【0058】
尚、深夜時間帯になる前の段階で湯切れが生ずるようであれば、上記と同様の電力供給制御を行うことで、ヒートポンプユニット200を作動させて沸き増しすることができる。
【0059】
これにより、太陽光発電装置120が使用できない夜間において、交流電源部110からの系統電力をインバータパワー部210に供給して、ヒートポンプユニット200を駆動することができる。
【0060】
尚、昼間時間帯において蓄電池140に蓄電した蓄電電力が充分残っていれば、夜間時間帯においても、蓄電電力を活用したヒートポンプユニット200の作動が可能である。
【0061】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では、電気機器としてヒートポンプユニット200を対象としたが、これに限定されることなく、他の電気機器を対象としても良い。
【0062】
また、太陽光発電装置120で得られた発電電力は、ヒートポンプユニット200のみに限らず、他の電気機器にも供給されるようにしても良い。これにより、発電電力が大きく得られる場合であって、発電電力をヒートポンプユニット200の作動、および蓄電池140への蓄電に活用しても、更に発電電力が余剰となるようであれば、他の電気機器にも余剰電力を供給することで、発電電力を無駄なく有効に活用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 電力供給装置
110 交流電源部
120 太陽光発電装置
130 電力変換器
140 蓄電池
150 電力供給線(電力出力部)
160 制御装置
200 ヒートポンプユニット(電気機器)
210 インバータパワー部(駆動部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流用の電気機器(200)に電力を供給する電力供給装置において、
前記電気機器(200)は、駆動部(210)を備え、前記駆動部(210)の電力制御によって、交流電力が供給された場合に加えて、直流電力が供給された場合での作動も可能となっており、
太陽光エネルギから交流の発電電力を得る太陽光発電装置(120)と、
前記太陽光発電装置(120)によって得られた前記発電電力を直流電力に変換する電力変換器(130)と、
前記電力変換器(130)によって変換された前記直流電力を蓄電する蓄電池(140)と、
前記電力変換器(130)と前記蓄電池(140)との間に設けられて、前記電力変換器(120)によって変換された前記直流電力、および前記蓄電池(130)に蓄電された蓄電電力の少なくとも一方を前記駆動部(210)に出力する電力出力部(150)と、
前記太陽光発電装置(120)による発電電力量に応じて、前記蓄電池(140)への蓄電電力量、あるいは前記電力出力部(150)から前記駆動部(210)へ出力される出力電力量を制御する制御装置(160)とを備えることを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記制御装置(160)は、前記太陽光発電装置(120)によって得られる前記発電電力が、予め定めた所定電力量以上、得られる場合に、前記発電電力を前記駆動部(210)に直接供給することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
交流電力の供給源となる交流電源部(110)を備え、
前記制御装置(160)は、夜間において前記電気機器(200)を作動させる際に、前記交流電源部(110)からの前記交流電力を前記駆動部(210)に供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記電気機器(200)は、電気給湯器において湯を生成するヒートポンプユニット(200)であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−175830(P2012−175830A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36159(P2011−36159)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】