説明

電力制御装置、送電装置、および電力制御システム

【課題】電力の使用を発電形態に応じて制御する。
【解決手段】電力の発電形態に関する属性情報が入力される入力部と、前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部と、を備える、電力制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力制御装置、送電装置、および電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、電力発電に関し、温室効果ガスの排出量や、原子力発電に対する世間の意識が高まっている。特に、2011年に起こった福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電の是非や、再生可能エネルギーの導入がクローズアップされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、再生可能エネルギーの観点からバッテリへの蓄電を制御するバッテリ制御装置が開示されている。具体的には、特許文献1に記載のバッテリ制御装置は、バッテリに蓄積した電力をどのように使用するか、バッテリに蓄積した電力をどのタイミングで電力会社に売電するか、バッテリに蓄積するための電力をどのタイミングで買電するかなどを、再生可能エネルギーの予測発電量に基づいて制御する。
【0004】
一方、特許文献2〜特許文献4に開示されているように、パケット化された電力パケットを用いる電力伝送も知られている。この電力パケットを用いる電力伝送によれば、電力と共に、ヘッダ領域において電力の属性情報を伝送することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−125122号公報
【特許文献2】特開2001−306191号公報
【特許文献3】特開2011−135748号公報
【特許文献4】特開2011−142771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電力会社が供給する電力は、火力発電、水力発電、および原子力発電などの多様な発電形態により得られた電力を含む。しかし、電力会社から供給される電力の使用を、電力の発電形態に応じて制御することは行われていなかった。
【0007】
そこで、本開示では、電力の使用を発電形態に応じて制御することが可能な、新規かつ改良された電力制御装置、送電装置、および電力制御システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、電力の発電形態に関する属性情報が入力される入力部と、前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部と、を備える電力制御装置が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、送電部と、前記送電部から送電される電力に、前記電力の発電形態に関する属性情報および優先度情報を付加する情報付加部と、を備える送電装置が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、送電部、および前記送電部から送電される電力に、前記電力の発電形態に関する属性情報を付加する情報付加部、を有する送電装置と、前記属性情報が入力される入力部、前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部、および、前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部、を有する電力制御装置と、を備える電力制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、電力の使用を発電形態に応じて制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の実施形態による電力制御システムの構成を示した説明図である。
【図2】送電装置の構成を示した説明図である。
【図3】本開示の実施形態による電力制御装置20の構成を示した機能ブロック図である。
【図4A】電力制御部による第1Aの制御例を示したフローチャートである。
【図4B】電力制御部による第1Bの制御例を示したフローチャートである。
【図4C】電力制御部による第1Cの制御例を示したフローチャートである。
【図4D】電力制御部による第1Dの制御例を示したフローチャートである。
【図5】電力制御部による第2の制御例を示したフローチャートである。
【図6】今後の再生可能エネルギーの予測供給量と蓄電開始タイミングの関係を示した説明図である。
【図7】今後の再生可能エネルギーの予測供給量と蓄電開始タイミングの関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて電気機器50A、50Bおよび50Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、電気機器50A、50Bおよび50Cを特に区別する必要が無い場合には、単に電気機器50と称する。
【0015】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.電力制御システムの構成
2.送電装置の構成
3.電力制御装置の構成
4.電力制御の具体例
5.むすび
【0016】
<1.情報処理システムの基本構成>
本開示による技術は、一例として以下に説明するように、多様な形態で実施され得る。また、本実施形態による電力制御システムは、
A.送電部(120)、および前記送電部から送電される電力に、前記電力の発電形態に関する属性情報を付加する情報付加部(パケット生成部110)、を有する送電装置(10)と、
B.前記属性情報が入力される入力部(電力入力部240)、前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部(242)、および、前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部(244)、を有する電力制御装置(20)と、を備える。
【0017】
以下では、まず、このような電力制御システムの基本構成について図1を参照して説明する。
【0018】
図1は、本開示の実施形態による電力制御システムの構成を示した説明図である。図1に示したように、本開示の実施形態による電力制御システムは、送電装置10と、電力制御装置20と、自家発電装置30と、蓄電池40と、電気機器50A〜50Dを含む。
【0019】
(送電装置)
送電装置10は、発電施設から供給される電力を、送電線を介して送電する。発電施設における電力の発電形態は特に限定されない。例えば、発電形態は、水力発電、太陽光発電、太陽熱発電、風力発電、地熱発電、波力発電、温度差発電、バイオマス発電および揚水発電のような再生可能エネルギーの発電形態であってもよいし、火力発電(石炭、石油、天然ガス、メタンハイドレードなどの化石燃料を用いる発電)や原子力発電(ウランなどの埋蔵資源を用いる発電)のような枯渇性エネルギーの発電形態であってもよい。なお、図1においては、送電装置10への電力ソースとして第1の電力ソースおよび第2の電力ソースを示しているが、より多数の電力ソースが送電装置に発電電力を供給してもよい。また、送電装置10は、電力会社が管理する装置であり、送電装置10からの送電電力は商用電力であってもよい。
【0020】
(自家発電装置)
自家発電装置30は、電力ユーザ側において電力を発電(自家発電)するための装置である。なお、自家発電装置30としては、太陽光発電装置、燃料電池および風力発電装置などが挙げられる。このような自家発電装置30により自家発電された電力は電力制御装置20に供給される。
【0021】
(蓄電池)
蓄電池40は、充電により繰り返し使用可能な二次電池である。例えば、蓄電池40は、電力制御装置20の制御により供給される自家発電電力を蓄積する。また、蓄電池40に蓄積された電力は、電力制御装置20の制御により、電気機器50A〜50Dに供給される。
【0022】
(電気機器)
電気機器50は、電力を動力源とする装置であり、電気機器50の種別は多岐に渡る。例えば、図1においては、電気機器50Aとして表示装置を示し、電気機器50Bとしてエアコンディショナーを示しており、電気機器50Cとして照明装置を示しており、電気機器50Dとして冷蔵庫を示している。夏場においては、このような電気機器50のうち、エアコンディショナーや冷蔵庫の電力消費量が日中に増加するので、日中が電力需要のピークとなる場合が多い。一方、冬場においては、エアコンディショナーの電力消費量が夜間に増加するので、夜間が電力需要のピークとなる場合が多い。
【0023】
(電力制御装置)
電力制御装置20は、送電装置10から供給される電力や、自家発電装置30から供給される自家発電電力の使用を制御する。また、電力制御装置20は、蓄電池40への蓄電、および蓄電池40に蓄えられた電力の使用などを制御する。
【0024】
ここで、本実施形態による電力制御装置20は、送電装置10から供給される電力の使用を、電力の発電形態に応じて制御することが可能である。例えば、電力制御装置20は、送電装置10から供給される電力から、所定の発電形態により得られた電力を選択的に取得することにより、例えば再生可能エネルギーの使用を優先することができる。
【0025】
上記のように電力制御装置20による電力の選択的な取得は、送電装置10が電力をパケット化することにより実現可能である。以下、このような送電装置10についてより具体的に説明する。なお、本明細書においては、電力制御装置20による電力の選択的な取得のために送電装置10が電力をパケット化する例を説明するが、発電形態ごとの送電線を設ける方法によっても電力制御装置20による電力の選択的な取得を実現可能である。
【0026】
<2.送電装置の構成>
図2は、送電装置10の構成を示した説明図である。図2に示したように、送電装置10は、パケット生成部110および送電部120を備える。
【0027】
パケット生成部110は、送電装置10に供給される電力をパケット化して電力パケットを生成する。送電部120は、パケット生成部110により生成された電力パケットを送電する。
【0028】
具体的には、パケット生成部110は、送電装置10に供給される電力を、電力の供給元ごとにパケット化する。例えば、パケット生成部110は、図2に示したように、送電装置10に供給された再生可能エネルギーの電力パケット61および63、枯渇性エネルギーの電力パケット62および64を生成する。
【0029】
ここで、各電力パケットは、図2に示したように、ヘッダおよびペイロードからなる。ヘッダは、電力パルスによって形成され、例えば、送電元アドレス、送電先アドレス、発電形態情報、およびペイロードの電力量情報などの属性情報を含む。発電形態情報は、再生可能エネルギーか枯渇性エネルギーかを示す情報であってもよいし、温室効果ガス発生型エネルギーか非発生型エネルギーかを示す情報であってもよいし、環境影響型エネルギー(例えば、ダム建設による環境破壊をする水力発電や放射能汚染のリスクのある原子力発電など。)か非影響型エネルギーかを示す情報であってもよいし、また、原子力エネルギーか非原子力エネルギーかを示す情報であってもよい。さらに、より詳細な発電形態(火力(さらには石炭、石油、天然ガス、メタンハイドレートなど)、水力、原子力、太陽光、太陽熱、風力、地熱、波力、温度差、バイオマスなどを示す情報であってもよい。
【0030】
また、ヘッダは、ペイロードで伝達される電力の使用優先度を示す優先度情報を含んでもよい。かかる構成により、電力制御装置20において優先度情報に基づいて電力の使用を制御することが可能となる。さらに、ヘッダは、電力の価格情報、または温室効果ガス排出量を示す情報のような追加的な情報を含んでもよい
【0031】
なお、パケット生成部110は、送電先が決定している場合や、送電先から電力供給を要求された場合には、送電先アドレスに当該送電先のアドレスを設定し、送電先が決定していない場合、送電先アドレスには特定の送電先のアドレスを設定しなくてもよい。
【0032】
<3.電力制御装置の構成>
以上、送電装置10の構成を説明した。続いて、図3を参照し、電力制御装置20の構成を説明する。
【0033】
図3は、本開示の実施形態による電力制御装置20の構成を示した機能ブロック図である。図3に示したように、本開示の実施形態による電力制御装置20は、システムコントローラ220と、表示部224と、記憶部232と、操作入力部236と、電力入力部240と、判別部242と、電力制御部244と、を備える。
【0034】
(システムコントローラ)
システムコントローラ220は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などから構成され、電力制御装置20の動作全般を制御する。なお、図3においては、電力制御部244をシステムコントローラ220と別個に示しているが、電力制御部244の機能はシステムコントローラ220によって実現されてもよい。
【0035】
(表示部)
表示部224は、システムコントローラ220の制御に基づいて画素駆動回路を駆動し、画像を表示する。例えば、表示部224は、蓄電池40の残電力を示す画像を表示してもよいし、家庭内の電力の使用状況を示す画像を表示してもよい。
【0036】
(記憶部)
記憶部232は、各種データの保存に用いられる。例えば、記憶部232は、電力制御部244が電力制御のために参照する電力制御用知識DBを記憶してもよい。なお、記憶部232は、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体を含んでもよい。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、SDカード、マイクロSDカード、USBメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)があげられる。また、磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
【0037】
(操作入力部)
操作入力部236は、ユーザが操作入力を行うための構成である。操作入力部236は、ユーザ操作に応じた信号を生成し、システムコントローラ220に供給する。この操作入力部236は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー、ダイヤルなどの操作子や、リモートコントローラが発生する赤外線信号用の受光部あるいは無線信号の受信部などであってもよい。さらに、操作入力部236は、加速度センサ、角速度センサ、振動センサ、圧力センサなどのセンシングデバイスであってもよい。
【0038】
(電力入力部)
電力入力部240は、送電装置10から供給される電力パケット、および自家発電装置30から供給される自家発電電力が入力される。ここで、電力入力部240は、電力パケットのヘッダを検出し、ヘッダの内容に基づく電力制御部244による制御に従い、後続のペイロードを受電するか否かを切り替えることが可能である。
【0039】
(判別部)
判別部242は、電力入力部240に入力された電力パケットのヘッダに含まれる発電形態情報から、当該電力パケットのペイロードで伝達される電力の発電形態を判別する。例えば、判別部242は、ペイロードで伝達される電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別してもよい。
【0040】
(電力制御部)
電力制御部244は、判別部242による発電形態の判別結果に基づいて、電力パケットのペイロードで伝達される電力の使用を制御する。例えば、ある制御例による電力制御部244は、判別部242により再生可能エネルギーと判別された電力パケットのペイロードを電力入力部240に受電させ、当該ペイロードで伝達される再生可能エネルギーを使用してもよい。また、電力制御部244は、自家発電電力の使用、蓄電池40への蓄電、および蓄電池40の電力の使用などを制御する。また、電力制御部244は、使用する電力の送電を送電装置10に要求してもよい。このような電力制御部244による電力制御としては多様な形態が考えられるので、以下、電力制御部244による電力制御の具体例を説明する。
【0041】
<4.電力制御の具体例>
(第1Aの制御例:再生可能エネルギーの優先)
電力制御部244は、第1Aの制御例として、再生可能エネルギーの使用を優先する。以下、図4Aを参照し、この第1Aの制御例についてより具体的に説明する。なお、水力発電は広義には再生可能エネルギーであるが、実現にダム建設が必要で、ダム建設時に事前を破壊するので、狭義には再生可能エネルギーに分類されない場合がある。
【0042】
図4Aは、電力制御部244による第1Aの制御例を示したフローチャートである。図4Aに示したように、まず、電力入力部240により電力パケットのヘッダが検出されると(S304)、判別部242が、ヘッダに発電形態情報が含まれる場合、発電形態情報から電力パケットにより伝送される電力の発電形態を判別する(S308)。ここで、ヘッダに発電形態情報が含まれない場合、電力制御装置20は通常の制御を行う(S312)。
【0043】
一方、判別部242により再生可能エネルギーと判別された電力パケット、および枯渇性エネルギーと判別された電力パケットの両方がある場合(S316)、電力制御部244は、再生可能エネルギーの電力パケットの受電を制御し、再生可能エネルギーを使用する(S320)。
【0044】
さらに、電力制御部244は、再生可能エネルギーに余剰電力がある場合(S324)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S328)。一方、再生可能エネルギーに余剰電力が無い場合(S324)、電力制御部244は、枯渇性エネルギーの電力パケットの受電を制御し、枯渇性エネルギーを使用する(S332)。さらに、電力制御部244は、枯渇性エネルギーに余剰電力があるか否かを判断し(S336)、余剰電力があっても蓄電池40への蓄電は行わず(S340)、余剰電力が無い場合には電力会社への緊急通報を制御する(S344)。
【0045】
一方、判別部242により再生可能エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S348)、電力制御部244は、再生可能エネルギーの電力パケットの受電を制御し、再生可能エネルギーを使用する(S352)。さらに、電力制御部244は、再生可能エネルギーに余剰電力がある場合(S356)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S360)。一方、再生可能エネルギーに余剰電力が無い場合(S356)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S364)。
【0046】
また、再生可能エネルギーの電力パケットおよび枯渇性エネルギーの電力パケットのいずれも無い場合(S368)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S364)。一方、判別部242により枯渇性エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S368)、枯渇性エネルギーの電力パケットの受電を制御し、枯渇性エネルギーを使用する(S372)。その後、S336の処理に進む。
【0047】
以上説明したように、第1Aの制御例によれば、再生可能エネルギーと枯渇性エネルギーの双方がある場合には再生可能エネルギーの使用を優先することが可能である。なお、上記では、再生可能エネルギーの余剰電力は蓄電し、枯渇性エネルギーの余剰電力は蓄電しない例を説明したが、本制御例は多様に変形可能である。例えば、電力制御部244は、再生可能エネルギーの余剰電力は全て蓄電し、枯渇性エネルギーの余剰電力は所定の割合を蓄電してもよい。ここで、この所定の割合は、地域または国によって異なる値であってもよい。また、電力制御部244は、蓄電池40の目標蓄電量を設定し、目標蓄電量が達成されるように再生可能エネルギーおよび枯渇性エネルギーの蓄電を制御してもよい。
【0048】
(第1Bの制御例:温室効果ガス非排出型エネルギーの優先)
電力制御部244は、第1Bの制御例として、温室効果ガス非排出型エネルギーの使用を優先する。以下、図4Aを参照し、この第1Bの制御例についてより具体的に説明する。なお、温室効果ガスとしては、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、亜酸化窒素(NO)などが挙げられるが、温室効果ガス排出量について、一般では二酸化炭素(CO)排出量と同義にされている場合もある。
【0049】
図4Bは、電力制御部244による第1Bの制御例を示したフローチャートである。図4Bに示したように、まず、電力入力部240により電力パケットのヘッダが検出されると(S504)、判別部242が、ヘッダに発電形態情報が含まれる場合、発電形態情報から電力パケットにより伝送される電力の発電形態を判別する(S508)。ここで、ヘッダに発電形態情報が含まれない場合、電力制御装置20は通常の制御を行う(S512)。
【0050】
一方、判別部242により温室効果ガス非排出型エネルギーと判別された電力パケット、および温室効果ガス排出型エネルギーと判別された電力パケットの両方がある場合(S516)、電力制御部244は、温室効果ガス非排出型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、温室効果ガス非排出型エネルギーを使用する(S520)。
【0051】
さらに、電力制御部244は、温室効果ガス非排出型エネルギーに余剰電力がある場合(S524)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S528)。一方、温室効果ガス非排出型エネルギーに余剰電力が無い場合(S524)、電力制御部244は、温室効果ガス排出型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、温室効果ガス排出型エネルギーを使用する(S532)。さらに、電力制御部244は、温室効果ガス排出型エネルギーに余剰電力があるか否かを判断し(S536)、余剰電力があっても蓄電池40への蓄電は行わず(S540)、余剰電力が無い場合には電力会社への緊急通報を制御する(S544)。
【0052】
一方、判別部242により温室効果ガス非排出型エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S548)、電力制御部244は、温室効果ガス非排出型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、温室効果ガス非排出型エネルギーを使用する(S552)。さらに、電力制御部244は、温室効果ガス非排出型エネルギーに余剰電力がある場合(S556)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S560)。一方、温室効果ガス非排出型エネルギーに余剰電力が無い場合(S556)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S564)。
【0053】
また、温室効果ガス非排出型エネルギーの電力パケットおよび温室効果ガス排出型エネルギーの電力パケットのいずれも無い場合(S568)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S564)。一方、判別部242により温室効果ガス排出型エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S568)、温室効果ガス排出型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、温室効果ガス排出型エネルギーを使用する(S572)。その後、S536の処理に進む。
【0054】
以上説明したように、第1Bの制御例によれば、温室効果ガス非排出型エネルギーと温室効果ガス排出型エネルギーの双方がある場合には温室効果ガス非排出型エネルギーの使用を優先することが可能である。なお、上記では、温室効果ガス非排出型エネルギーの余剰電力は蓄電し、温室効果ガス排出型エネルギーの余剰電力は蓄電しない例を説明したが、本制御例は多様に変形可能である。例えば、電力制御部244は、温室効果ガス非排出型エネルギーの余剰電力は全て蓄電し、温室効果ガス排出型エネルギーの余剰電力は所定の割合を蓄電してもよい。ここで、この所定の割合は、地域または国によって異なる値であってもよい。また、電力制御部244は、蓄電池40の目標蓄電量を設定し、目標蓄電量が達成されるように温室効果ガス非排出型エネルギーおよび温室効果ガス排出型エネルギーの蓄電を制御してもよい。
【0055】
(第1Cの制御例:環境非影響型エネルギーの優先)
電力制御部244は、第1Cの制御例として、環境に与える悪影響が少ない環境非影響型エネルギーの使用を優先する。なお、環境非影響型エネルギーは、第1A、第1Bおよび第1Dの制御例で優先される再生可能エネルギー、温室効果ガス非排出型エネルギーおよび非原子力エネルギーなどの上位概念として捉えることもできる。なお、水力発電は広義には再生可能エネルギーであり、温室効果ガス非排出型エネルギーかつ非原子力エネルギーであるが、実現にはダム建設が必要で、建設時に自然破壊をするため、環境に与える悪影響は大きく、環境影響型エネルギーに分類される。以下、図4Cを参照し、この第1Cの制御例についてより具体的に説明する。
【0056】
図4Cは、電力制御部244による第1Cの制御例を示したフローチャートである。図4Cに示したように、まず、電力入力部240により電力パケットのヘッダが検出されると(S604)、判別部242が、ヘッダに発電形態情報が含まれる場合、発電形態情報から電力パケットにより伝送される電力の発電形態を判別する(S608)。ここで、ヘッダに発電形態情報が含まれない場合、電力制御装置20は通常の制御を行う(S612)。
【0057】
一方、判別部242により環境非影響型エネルギーと判別された電力パケット、および環境影響型エネルギーと判別された電力パケットの両方がある場合(S616)、電力制御部244は、環境非影響型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、環境非影響型エネルギーを使用する(S620)。
【0058】
さらに、電力制御部244は、環境非影響型エネルギーに余剰電力がある場合(S624)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S628)。一方、環境非影響型エネルギーに余剰電力が無い場合(S624)、電力制御部244は、環境影響型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、環境影響型エネルギーを使用する(S632)。さらに、電力制御部244は、環境影響型エネルギーに余剰電力があるか否かを判断し(S636)、余剰電力があっても蓄電池40への蓄電は行わず(S640)、余剰電力が無い場合には電力会社への緊急通報を制御する(S644)。
【0059】
一方、判別部242により環境非影響型エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S648)、電力制御部244は、環境非影響型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、環境非影響型エネルギーを使用する(S652)。さらに、電力制御部244は、環境非影響型エネルギーに余剰電力がある場合(S656)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S660)。一方、環境非影響型エネルギーに余剰電力が無い場合(S656)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S664)。
【0060】
また、環境非影響型エネルギーの電力パケットおよび環境影響型エネルギーの電力パケットのいずれも無い場合(S668)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S664)。一方、判別部242により環境影響型エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S668)、環境影響型エネルギーの電力パケットの受電を制御し、環境影響型エネルギーを使用する(S672)。その後、S636の処理に進む。
【0061】
以上説明したように、第1Cの制御例によれば、環境非影響型エネルギーと環境影響型エネルギーの双方がある場合には環境非影響型エネルギーの使用を優先することが可能である。なお、上記では、環境非影響型エネルギーの余剰電力は蓄電し、環境影響型エネルギーの余剰電力は蓄電しない例を説明したが、本制御例は多様に変形可能である。例えば、電力制御部244は、環境非影響型エネルギーの余剰電力は全て蓄電し、環境影響型エネルギーの余剰電力は所定の割合を蓄電してもよい。ここで、この所定の割合は、地域または国によって異なる値であってもよい。また、電力制御部244は、蓄電池40の目標蓄電量を設定し、目標蓄電量が達成されるように環境非影響型エネルギーおよび環境影響型エネルギーの蓄電を制御してもよい。
【0062】
(第1Dの制御例:非原子力エネルギーの優先)
電力制御部244は、第1Dの制御例として、非原子力エネルギーの使用を優先する。以下、図4Dを参照し、この第1Dの制御例についてより具体的に説明する。
【0063】
図4Dは、電力制御部244による第1Dの制御例を示したフローチャートである。図4Dに示したように、まず、電力入力部240により電力パケットのヘッダが検出されると(S704)、判別部242が、ヘッダに発電形態情報が含まれる場合、発電形態情報から電力パケットにより伝送される電力の発電形態を判別する(S708)。ここで、ヘッダに発電形態情報が含まれない場合、電力制御装置20は通常の制御を行う(S712)。
【0064】
一方、判別部242により非原子力エネルギーと判別された電力パケット、および原子力エネルギーと判別された電力パケットの両方がある場合(S716)、電力制御部244は、非原子力エネルギーの電力パケットの受電を制御し、非原子力エネルギーを使用する(S720)。
【0065】
さらに、電力制御部244は、非原子力エネルギーに余剰電力がある場合(S724)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S728)。一方、非原子力エネルギーに余剰電力が無い場合(S724)、電力制御部244は、原子力エネルギーの電力パケットの受電を制御し、原子力エネルギーを使用する(S732)。さらに、電力制御部244は、原子力エネルギーに余剰電力があるか否かを判断し(S736)、余剰電力があっても蓄電池40への蓄電は行わず(S740)、余剰電力が無い場合には電力会社への緊急通報を制御する(S744)。
【0066】
一方、判別部242により非原子力エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S748)、電力制御部244は、非原子力エネルギーの電力パケットの受電を制御し、非原子力エネルギーを使用する(S752)。さらに、電力制御部244は、非原子力エネルギーに余剰電力がある場合(S756)、蓄電池40への余剰電力の蓄電を制御する(S760)。一方、非原子力エネルギーに余剰電力が無い場合(S756)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S764)。
【0067】
また、非原子力エネルギーの電力パケットおよび原子力エネルギーの電力パケットのいずれも無い場合(S768)、電力制御部244は電力会社への緊急通報を制御する(S764)。一方、判別部242により原子力エネルギーと判別された電力パケットのみがある場合(S768)、原子力エネルギーの電力パケットの受電を制御し、原子力エネルギーを使用する(S772)。その後、S736の処理に進む。
【0068】
以上説明したように、第1Dの制御例によれば、非原子力エネルギーと原子力エネルギーの双方がある場合には非原子力エネルギーの使用を優先することが可能である。なお、上記では、非原子力エネルギーの余剰電力は蓄電し、原子力エネルギーの余剰電力は蓄電しない例を説明したが、本制御例は多様に変形可能である。例えば、電力制御部244は、非原子力エネルギーの余剰電力は全て蓄電し、原子力エネルギーの余剰電力は所定の割合を蓄電してもよい。ここで、この所定の割合は、地域または国によって異なる値であってもよい。また、電力制御部244は、蓄電池40の目標蓄電量を設定し、目標蓄電量が達成されるように非原子力エネルギーおよび原子力エネルギーの蓄電を制御してもよい。
【0069】
(第2の制御例:電力料金に基づく制御)
電力制御部244は、第2の制御例として、発電形態ごとの電力料金の関係に応じて電力の使用を制御する。以下、図5を参照し、この第2の制御例についてより具体的に説明する。
【0070】
図5は、電力制御部244による第2の制御例を示したフローチャートである。まず、電力制御部244は、図5に示したように再生可能エネルギーの単位量当たりの料金A(円/kWh)と、枯渇性エネルギーの単位量当たりの料金B(円/kWh)を認識する(S404、S408)。なお、電力制御部244が認識する電気料金は、ネットワーク上で公開されている電気料金、またはユーザに入力された電気料金であってもよい。さらに、電力パケットに電気料金情報が含まれる場合、電力制御部244は電力パケットに含まれる電気料金情報に基づいて電気料金を認識してもよい。
【0071】
その後、電力制御部244は、料金Aが、料金Bと設定値Cとの加算値を下回る場合(S412)、再生可能エネルギーの電力パケットの受電を制御し、再生可能エネルギーを使用する(S416)。一方、料金Aが、料金Bと設定値Cとの加算値以上である場合(S412)、電力制御部244は枯渇性エネルギーの電力パケットの受電を制御し、枯渇性エネルギーを使用する(S420)。
【0072】
例えば、C=10、A=35、B=20である場合、電力制御部244は図5に示したフローに従い枯渇性エネルギーを使用する。一方、C=10、A=28、B=20である場合、電力制御部244は図5に示したフローに従い再生可能エネルギーを使用する。ここで、設定値Cは、地域または国によって異なる値であってもよいし、ユーザによって指定された値であってもよい。
【0073】
なお、上記では電気料金に基づいて再生可能エネルギーまたは枯渇性エネルギーの一方を使用する例を説明したが、本制御例は多様に変形可能である。例えば、電力制御部244は、再生可能エネルギーの料金と枯渇性エネルギーの料金の差分に応じた割合で再生可能エネルギーおよび枯渇性エネルギーを使用してもよい。
【0074】
具体例として、電力制御部244は、(A−B)の値に応じて、以下のように電力の使用を制御してもよい。
・A−B<3円 再生可能エネルギー:枯渇性エネルギー=10:0
・3円≦A−B<7円 再生可能エネルギー:枯渇性エネルギー= 7:3
・7円≦A−B 再生可能エネルギー:枯渇性エネルギー= 0:10
【0075】
また、上記では電力が再生可能エネルギーおよび枯渇性エネルギーに大別される例を説明したが、再生可能エネルギーが太陽光発電、太陽熱発電、風力発電、地熱発電、波力発電、温度差発電およびバイオマス発電などの発電形態ごとの電力に細分化され、枯渇性エネルギーが火力発電および原子力発電など、さらには同じ火力発電でも化石燃料の種類、例えば石炭、石油、天然ガス、メタンハイドレートで分類するなど、詳細な発電形態ごとの電力に細分化された場合にも本制御例は応用可能である。また、本制御例は、電気料金が固定的に設定される場合にも、リアルタイムに変動する場合にも適用可能である。
【0076】
(第3の制御例:温室効果ガス排出量に基づく制御)
電力制御部244は、第3の制御例として、温室効果ガス排出量を考慮して電力の使用を制御する。例えば、第3の制御例による電力制御部244は、通常枯渇性エネルギーの料金の方が再生可能エネルギーよりも安いので、枯渇性エネルギーの使用を優先する。なお、温室効果ガスとしては、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、亜酸化窒素(NO)などが挙げられるが、温室効果ガス排出量について、一般では二酸化炭素(CO)排出量と同義にされている場合もある。
【0077】
具体例として、電力制御部244は、単位時間あたりの温室効果ガス排出量(kg/h)が所定値を超えない範囲で枯渇性エネルギーを使用し、使用電力に対する不足が生じた場合には、不足分に再生可能エネルギーを使用する。かかる構成により、温室効果ガス排出量を継続的に一定量以下に抑えることが可能となる。ここで、枯渇性エネルギーの使用による温室効果ガス排出量(kg/h)は、事前に設定されていてもよいし、温室効果ガス排出量を示す情報が電力パケットに含まれていてもよい。
【0078】
なお、上記では単位時間あたりの温室効果ガス排出量として1時間当たりの温室効果ガス排出量(kg/h)を説明したが、本制御例によれば、1日当たりの温室効果ガス排出量(kg/d)が所定値を超えないように枯渇性エネルギーの使用を制御することも可能である。
【0079】
(第4の制御例:予測に基づく制御)
電力制御部244は、第4の制御例として、今後に供給される再生可能エネルギーの予測値に応じて、枯渇性エネルギーの使用量が少なくなるように蓄電池40への蓄電を制御する。以下、図6および図7を参照し、この第4の制御例についてより具体的に説明する。
【0080】
図6および図7は、今後の再生可能エネルギーの予測供給量と蓄電開始タイミングの関係を示した説明図である。図6に示したt1において蓄電池40の残量が0であり、t1においては再生可能エネルギーの供給量は少ないが、次第に再生可能エネルギーの供給量が増加すると予測される場合、電力制御部244は、t1において蓄電を開始せず、再生可能エネルギーの供給量が増加すると予測されるt2まで蓄電を待機し、t2において再生可能エネルギーを用いた蓄電を開始する。
【0081】
一方、図7に示したt1において蓄電池40の残量が0であり、t1においては再生可能エネルギーの供給量は少なく、しばらく再生可能エネルギーの供給量は増加しないと予測される場合、電力制御部244は、t1において枯渇性エネルギーを用いた蓄電を開始する。
【0082】
このように、蓄電池40の残量が少ない場合であっても、現在の再生可能エネルギーの供給量が少なければ、将来の再生可能エネルギーの予測供給量に基づいて蓄電を開始または待機することにより、枯渇性エネルギーの使用量を抑制することが可能である。なお、将来の再生可能エネルギーの予測供給量は、過去の統計値や予測される気象条件などに基づいて推定可能である。
【0083】
(第5の制御例:実測に基づく制御)
電力制御部244は、第5の制御例として、枯渇性エネルギーの実使用量に基づいて電力の使用を制御する。例えば、電力制御部244は、枯渇性エネルギーの使用上限値(単位時間当たり、1日当たり)を設定し、使用上限値を超えるまでは枯渇性エネルギーを使用する。そして、電力制御部244は、枯渇性エネルギーの実使用量が使用上限値を超えた後は再生可能エネルギーを用いることにより、枯渇性エネルギー節電モードに移行する。なお、電力制御部244は、枯渇性エネルギーの実使用量が使用上限値に近づいた場合に枯渇性エネルギーの使用量を抑制してもよい。
【0084】
また、本制御例は多様に変形可能である。例えば、電力制御部244は、再生可能エネルギーと枯渇性エネルギーの使用バランスの目標値を設定し、実際の使用バランスと目標値に応じて電力の使用を制御してもよい。例えば、再生可能エネルギーの使用割合の目標値が70%以上、枯渇性エネルギーの使用割合の目標値が30%未満である場合、電力制御部244は、再生可能エネルギーの使用割合が75%を下回った場合に枯渇性エネルギーの使用量を抑えてもよい。
【0085】
(第6の制御例:気象条件などに基づく制御)
電力制御部244は、第6の制御例として、気象条件などに基づいて電力の使用を制御する。例えば、晴れた日には太陽光発電による発電量が多いと考えられるので電力制御部244は、晴れた日には太陽光発電により得られた電力の使用を優先してもよい。また、台風のような風の強い日には風力発電による発電量が多いと考えられるので、電力制御部244は、台風のような風の強い日には風力発電により得られた電力の使用を優先してもよい。
【0086】
また、外気温や室内温度が例えば30度以上のように高くなると、一般的に枯渇性エネルギーが使用される可能性が高くなるので、電力制御部244は、再生可能エネルギーを通常時よりも高い比率で積極的に使用してもよい。
【0087】
また、外気温と室内温度の温度差が一定値以上である場合、冷房強度または暖房強度が強いと考えられるので、電力制御部244は、枯渇性エネルギーの使用を抑制してもよい。同時に、電力制御部244は、再生可能エネルギーの使用も抑制してもよい。
【0088】
また、日中の外気湿度が例えば80%以上のように高い場合、降雨中または降雨直前である可能性が高い。この場合、太陽光発電による発電量は低いので、電力制御部244は、太陽光発電以外の発電形態により得られた電力の使用を優先してもよい。
【0089】
(第7の制御例:優先度情報に基づく制御)
電力制御部244は、第7の制御例として、電力パケットに含まれる優先度情報に基づいて電力の使用を制御する。例えば、送電装置10は、再生可能エネルギーの電力パケットに高い優先度を示す優先度情報を付加してもよい。この場合、電力制御部244は、優先度情報に従って電力の使用を制御することにより、再生可能エネルギーを優先的に使用することができる。
【0090】
また、発電形態ごとの電力量に偏りがある場合、送電装置10は、電力量の多い発電形態の電力パケットに高い優先度を示す優先度情報を付加してもよい。この場合、電力制御部244は、優先度情報に従って電力の使用を制御することにより、マクロ的な電力使用の最適化に寄与することができる。
【0091】
(第8の制御例:ピーク時間帯を考慮した制御)
電力制御部244は、第8の制御例として、ピーク時間帯を考慮して電力の使用を制御する。夏場においては、例えば13時〜15時程度の間がピーク時間帯に該当するが、このピーク時間帯には商用電力の供給量に対する電力需要が逼迫するので、商用電力の使用量は削減されることが望まれる。そこで、電力制御部244は、ピーク時間帯においては、全電力使用量に占める自家発電装置30による自家発電力の割合を、ピーク時間外における全電力使用量に占める自家発電装置30による自家発電力の割合より高くなるように電力の使用を制御してもよい。かかる構成により、ピーク時間帯における商用電力の使用量を削減することが可能となる。
【0092】
(第9の制御例:電力構成比率に基づく制御)
上記では、各電力パケットにより伝送される電力が、単一の発電形態により得られた電力である例を説明したが、各電力パケットにより伝送される電力は、複数の発電形態により得られた電力からなってもよい。また、送電装置10は、電力パケットのヘッダに、発電形態ごとの電力の構成比率を示す情報を付加してもよい。この場合、電力制御部244は、第9の制御例として、この電力の構成比率を示す情報に従って電力の使用を制御することができる。
【0093】
例えば、電力制御部244は、再生可能エネルギーの構成比率が枯渇性エネルギーの構成比率より高い場合や、再生可能エネルギーの構成比率が所定値より高い場合には送電装置10から送電される電力パケットを使用してもよい。一方、電力制御部244は、枯渇性エネルギーの構成比率が再生可能エネルギーの構成比率より高い場合や、枯渇性エネルギーの構成比率が所定値より高い場合には送電装置10から送電される電力パケットを使用しなくてもよい。
【0094】
<5.むすび>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0095】
例えば、本明細書の電力制御装置20の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、電力制御装置20の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0096】
また、上記では、各電力パケットに発電形態情報を付加する例を説明したが、電力パケットにより伝送される電力の発電形態と、発電形態情報の示す発電形態とは必ずしも一致しなくてもよい。例えば、送電装置10は、各発電施設から供給される電力を混合し、各発電施設における発電形態を示す発電形態情報を、各発電施設による発電量の比率に応じた数の電力パケットに付加してもよい。
【0097】
また、電力制御装置20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した電力制御装置20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【0098】
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
電力の発電形態に関する属性情報が入力される入力部と、
前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部と、
を備える、電力制御装置。
(2)
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が自然環境に対して影響が大きいエネルギーかを判別し、
前記電力制御部は、前記自然環境に対して影響が少ないエネルギーの使用を優先する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(3)
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの使用を優先する、前記(2)に記載の電力制御装置。
(4)
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が温室効果ガスを所定値以上排出するエネルギーか否かを判別し、
前記電力制御部は、前記温室効果ガスの排出量が前記所定値未満のエネルギーの使用を優先する、前記(2)に記載の電力制御装置。
(5)
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が原子力エネルギーであるか否かを判別し、
前記電力制御部は、前記原子力エネルギーでないエネルギーの使用を優先する、前記(2)に記載の電力制御装置。
(6)
前記電力制御部は、発電形態ごとの電力の料金の関係に応じて電力の使用を制御する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(7)
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの単位量当たりの料金と前記枯渇性エネルギーの単位量当たりの料金の関係に応じて電力の使用を制御する、前記(6)に記載の電力制御装置。
(8)
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの単位量当たりの料金が前記枯渇性エネルギーの単位量当たりの料金と設定値との加算値を下回る場合、前記再生可能エネルギーの使用を選択する、前記(7)に記載の電力制御装置。
(9)
前記設定値は、地域または国によって指定された値である、前記(8)に記載の電力制御装置。
(10)
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの単位量当たりの料金と前記枯渇性エネルギーの単位量当たりの差分に応じた割合で前記再生可能エネルギーの使用と前記枯渇性エネルギーの使用を選択する、前記(8)に記載の電力制御装置。
(11)
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの余剰電力がある場合には当該余剰電力が蓄電されるように制御する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(12)
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記枯渇性エネルギーの余剰電力がある場合には当該余剰電力の所定の割合が蓄電されるように制御する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(13)
前記電力制御部は、ピーク時間帯において使用する電力のうちの自家発電電力の割合が、他の時間帯より高くなるように電力の使用を制御する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(14)
前記電力制御部は、気象条件、温度または湿度に応じて優先的に使用する電力の発電形態を選択する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(15)
前記電力制御部は、今後に供給される再生可能エネルギーの予測値に応じて、蓄電池への蓄電を制御する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(16)
前記電力制御部は、枯渇性エネルギーの単位時間当たりの実使用量に応じて電力の使用を制御する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(17)
前記電力制御部は、電力に対応する他の属性情報に応じて電力の使用を制御する、前記(1)に記載電力制御装置。
(18)
前記属性情報は、発電形態ごとの電力の構成比率を示し、
前記電力制御部は、前記属性情報の示す構成比率に従って電力の使用を制御する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(19)
前記電力制御部は、発電形態を指定して電力を要求する、前記(1)に記載の電力制御装置。
(20)
送電部と、
前記送電部から送電される電力に、前記電力の発電形態に関する属性情報および優先度情報を付加する情報付加部と、
を備える、送電装置。
(21)
送電部、および
前記送電部から送電される電力に、前記電力の発電形態に関する属性情報を付加する情報付加部、
を有する送電装置と、
前記属性情報が入力される入力部、
前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部、および、
前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部、
を有する電力制御装置と、
を備える、電力制御システム。
【符号の説明】
【0099】
10 送電装置
20 電力制御装置
30 自家発電装置
40 蓄電池
50 電気機器
110 パケット生成部
120 送電部
220 システムコントローラ
224 表示部
232 記憶部
236 操作入力部
240 電力入力部
242 判別部
244 電力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の発電形態に関する属性情報が入力される入力部と、
前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部と、
を備える、電力制御装置。
【請求項2】
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が自然環境に対して影響が大きいエネルギーかを判別し、
前記電力制御部は、前記自然環境に対して影響が少ないエネルギーの使用を優先する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの使用を優先する、請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が温室効果ガスを所定値以上排出するエネルギーか否かを判別し、
前記電力制御部は、前記温室効果ガスの排出量が前記所定値未満のエネルギーの使用を優先する、請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が原子力エネルギーであるか否かを判別し、
前記電力制御部は、前記原子力エネルギーでないエネルギーの使用を優先する、請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記電力制御部は、発電形態ごとの電力の料金の関係に応じて電力の使用を制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの単位量当たりの料金と前記枯渇性エネルギーの単位量当たりの料金の関係に応じて電力の使用を制御する、請求項6に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの単位量当たりの料金が前記枯渇性エネルギーの単位量当たりの料金と設定値との加算値を下回る場合、前記再生可能エネルギーの使用を選択する、請求項7に記載の電力制御装置。
【請求項9】
前記設定値は、地域または国によって指定された値である、請求項8に記載の電力制御装置。
【請求項10】
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの単位量当たりの料金と前記枯渇性エネルギーの単位量当たりの差分に応じた割合で前記再生可能エネルギーの使用と前記枯渇性エネルギーの使用を選択する、請求項8に記載の電力制御装置。
【請求項11】
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記再生可能エネルギーの余剰電力がある場合には当該余剰電力が蓄電されるように制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項12】
前記判別部は、前記属性情報に対応する電力が再生可能エネルギーであるか枯渇性エネルギーであるかを判別し、
前記電力制御部は、前記枯渇性エネルギーの余剰電力がある場合には当該余剰電力の所定の割合が蓄電されるように制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項13】
前記電力制御部は、ピーク時間帯において使用する電力のうちの自家発電電力の割合が、他の時間帯より高くなるように電力の使用を制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項14】
前記電力制御部は、気象条件、温度または湿度に応じて優先的に使用する電力の発電形態を選択する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項15】
前記電力制御部は、今後に供給される再生可能エネルギーの予測値に応じて、蓄電池への蓄電を制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項16】
前記電力制御部は、枯渇性エネルギーの単位時間当たりの実使用量に応じて電力の使用を制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項17】
前記電力制御部は、電力に対応する他の属性情報に応じて電力の使用を制御する、請求項1に記載電力制御装置。
【請求項18】
前記属性情報は、発電形態ごとの電力の構成比率を示し、
前記電力制御部は、前記属性情報の示す構成比率に従って電力の使用を制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項19】
前記電力制御部は、発電形態を指定して電力を要求する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項20】
送電部と、
前記送電部から送電される電力に、前記電力の発電形態に関する属性情報および優先度情報を付加する情報付加部と、
を備える、送電装置。
【請求項21】
送電部、および
前記送電部から送電される電力に、前記電力の発電形態に関する属性情報を付加する情報付加部、
を有する送電装置と、
前記属性情報が入力される入力部、
前記属性情報に応じて前記属性情報に対応する電力の発電形態を判別する判別部、および、
前記判別部による判別結果に応じて電力の使用を制御する電力制御部、
を有する電力制御装置と、
を備える、電力制御システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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