説明

電力監視システム

【課題】逆潮流を迅速に検出する。
【解決手段】電力計測センサ10は、電力系統200と需要家構内の機器とを繋ぐ電力線を介して供給される電力量を計測する。逆潮流センサ20は、電力線における逆潮流を検出する。制御装置30は、電力計測センサ10および逆潮流センサ20と同一通信回線で接続され、電力計測センサ10および逆潮流センサ20とシリアル通信する。通信回線を介して、制御装置30から電力計測センサ10への計測データ要求の送信、およびその要求に対する応答としての電力計測センサ10から制御装置30への計測データの送信が定期的に実行される。逆潮流センサ20は、電力線における逆潮流を検出すると、通信回線に割込処理を実行して、制御装置30へ逆潮流検出通知を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統と需要家構内の機器とを繋ぐ電力線の電力を監視する電力監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムの普及が加速している。太陽光発電システムでは、太陽電池で発電された電力を需要家構内の負荷で使用することができる。それとともに、日本を含む多くの国や地域では、余剰電力を電力系統へ逆潮流させて電力会社に売電することができる。
【0003】
太陽光発電システムでは、センサを設けて発電電力を検出し、ユーザが確認できるように構成することが一般的である(たとえば、特許文献1参照)。センサを電力系統と分電盤との間に設置すれば、逆潮流の有無を検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−20390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、太陽光発電システムに蓄電システムを連携させたシステムが実用化されている。日本では夜間電力の割引制度があり、夜間に系統から蓄電池(二次電池ともいう)に充電した電力を昼間に逆潮流させて売電することを防止するため、電力会社は蓄電池からの逆潮流を禁止している(2011年9月現在)。したがって、逆潮流が発生した場合において逆潮流電力に蓄電池から放電された電力が含まれると判定される場合、速やかに蓄電池からの放電を中止する必要がある。その前提として、逆潮流自体を迅速に検出する必要がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、逆潮流を迅速に検出する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の電力監視システムは、電力系統と需要家構内の機器とを繋ぐ電力線を介して供給される電力量を計測するための電力計測センサと、電力線における逆潮流を検出するための逆潮流センサと、電力計測センサおよび逆潮流センサと同一通信回線で接続され、電力計測センサおよび逆潮流センサとシリアル通信する制御装置と、を備える。通信回線を介して、制御装置から電力計測センサへの計測データ要求の送信、およびその要求に対する応答としての電力計測センサから制御装置への計測データの送信が定期的に実行され、逆潮流センサは、電力線における逆潮流を検出すると、通信回線に割込処理を実行して、制御装置へ逆潮流検出通知を送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、逆潮流を迅速に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電力監視システムを説明するための図である。
【図2】電力計測センサおよび逆潮流センサの構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る、電力計測センサ、逆潮流センサおよび制御装置間の通信シーケンスの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る、電力計測センサ、逆潮流センサおよび制御装置間の通信シーケンスの別の例を示す図である。
【図5】図5(a)、(b)は、図4の動作シーケンスの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、電力監視システム100を説明するための図である。電力系統200は電力線を介して需要家構内の分電盤300に配電する。本明細書では需要家として一般家庭を想定する。分電盤300は電力線を分岐して、負荷400、太陽電池500および蓄電池ユニット600にそれぞれ接続する。また、分電盤300はそれぞれの経路ごとに分岐ブレーカを有する。
【0011】
分電盤300と太陽電池500との間に、パワーコンディショナ520および切替ユニット510が挿入される。太陽電池500は複数の太陽電池パネルを有し、複数の太陽電池パネルのそれぞれからの配線は、図示しない接続箱により束ねられ、切替ユニット510に接続される。切替ユニット510は、太陽電池500により発電された直流電力をパワーコンディショナ520に供給するか、蓄電池ユニット600に供給するか切り替える。パワーコンディショナ520は、太陽電池500により発電された直流電力を交流電力に変換して分電盤300に供給する。分電盤300に供給された当該交流電力は、負荷400に供給されるか、電力系統200に逆潮流される。
【0012】
蓄電池ユニット600は、蓄電池と充放電回路を有する。蓄電池にはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池などが採用される。充放電回路は充電スイッチおよび放電スイッチを有する。蓄電池は充電スイッチを介して電力系統200または太陽電池500から充電される。また、蓄電池は放電スイッチを介して負荷400または図示しない蓄電池専用の負荷に放電する。
【0013】
分電盤300と蓄電池ユニット600との間に、双方向AC−DCコンバータ610が挿入される。双方向AC−DCコンバータ610は、電力系統200から分電盤300を介して供給される交流電力を直流電力に変換して、蓄電池ユニット600に供給する。また、双方向AC−DCコンバータ610は、蓄電池ユニット600から供給される直流電力を交流電力に変換し、分電盤300を介して負荷400に供給する。なお、双方向AC−DCコンバータ610の代わりに、AC−DCコンバータとDC−ACコンバータを別々に設けてもよい。
【0014】
電力監視システム100は、電力計測センサ10、逆潮流センサ20および制御装置30を備える。電力計測センサ10は、電力系統200と需要家構内の機器(本実施の形態では、負荷400、太陽電池500、蓄電池ユニット600)とを繋ぐ電力線を介して供給される電力量を計測する。より具体的には、電力系統200と分電盤300とを繋ぐ電力線に取付けられ、電力系統200から分電盤300への順方向電力および分電盤300から電力系統200への逆潮流電力を検出する。電力量の検出方法の具体例は後述する。逆潮流センサ20は、上述の電力線に取付けられ、当該電力線における逆潮流を検出する。逆潮流の検出方法の具体例は後述する。
【0015】
制御装置30、電力計測センサ10および逆潮流センサ20は、同一通信回線で接続され、制御装置30、電力計測センサ10および逆潮流センサ20は相互にシリアル通信する。本実施の形態ではRS−485に準拠したシリアル通信を行う。また、通信回線は有線、無線および両者の併用のいずれでもよいが、本実施の形態ではノイズの影響を受けにくい有線ケーブルを用いる。制御装置30、電力計測センサ10および逆潮流センサ20はバス型のネットワークを構築し、バス40には、別のセンサや装置をさらに接続してネットワークを拡張できる。
【0016】
上記通信回線を介して、制御装置30から電力計測センサ10への計測データ要求の送信、およびその要求に対する応答としての電力計測センサ10から制御装置30への計測データの送信が定期的(たとえば、毎秒1回)に実行される。これにより、制御装置30は時々刻々変化する電力線の電力量を取得できる。順方向電力が検出されている間は、需要家の使用電力量が取得される。太陽電池500により発電された電力が負荷400に供給されている間は、その分の電力量が本来の使用電力量から差し引かれる。逆潮流電力が検出されている間は逆潮流電力量が取得される。
【0017】
逆潮流センサ20は、上記電力線における逆潮流を検出すると、上記通信回線に割込処理を実行して、制御装置30へ逆潮流検出通知を送信する。より具体的には、逆潮流センサ20は、当該電力線における逆潮流を検出すると、当該通信回線が空いているとき当該通信回線を介して制御装置30へ逆潮流検出通知を送信し、当該通信回線が使用中のとき当該通信回線に通信妨害データを送出し、当該通信回線が空いてから制御装置30へ逆潮流検出通知を送信する。
【0018】
制御装置30は、上記逆潮流検出通知を受信すると、逆潮流センサ20に当該逆潮流検出通知に対する応答を送信する。逆潮流センサ20は、その応答を受信すると一定時間、上記電力線における逆潮流センサ20の検出を中断する。これにより、制御装置30への無駄な逆潮流検出通知の送信が回避される。制御装置30は一定時間経過後に新たな逆潮流検出通知を受信すれば逆潮流が止まっていないと判断し、受信しなければ逆潮流が止まったと判断する。
【0019】
制御装置30は、蓄電池が放電中に、上記逆潮流検出通知を受信すると、蓄電池の放電を停止させる。具体的には放電スイッチをオフする信号を蓄電池ユニット600に送出する。また、太陽電池500により発電された電力も逆潮流させない設定の場合、蓄電池の状態に関わらず、切替ユニット510からパワーコンディショナ520への経路を開路するための信号を切替ユニット510に送出する。その場合、切替ユニット510から蓄電池ユニット600への経路を閉路して蓄電池に充電してもよい。制御装置30と蓄電池ユニット600との間、および制御装置30と切替ユニット510との間の信号線は、上記通信回線と別に設けられる。
【0020】
図2は、電力計測センサ10および逆潮流センサ20の構成例を示す。電力計測センサ10は、第1電流センサ11、第1電圧センサ12、第1演算部13および第1通信制御部14を含む。第1電流センサ11および第1電圧センサ12は、上記電力線に取付けられる。なお、第1電流センサ11はクランプ式であってもよい。第1演算部13は、第1電圧センサ12の検出値と第1電流センサ11の検出値をもとに、上記電力線の電力量を算出する。第1通信制御部14は、電力計測センサ10と制御装置30との間の通信を制御する。
【0021】
逆潮流センサ20は、第2電流センサ21、第2電圧センサ22、第2演算部23および第2通信制御部24を含む。第2電流センサ21および第2電圧センサ22は、上記電力線に取付けられる。なお、第2電流センサ21はクランプ式であってもよい。第2演算部23は、第2電圧センサ22の検出値と第2電流センサ21の検出値をもとに、上記電力線における逆潮流を検出する。第2通信制御部24は、逆潮流センサ20と制御装置30との間の通信を制御する。
【0022】
第1演算部13および第2演算部23は、マイクロコンピュータで構成されてもよいし、それぞれの演算を実行する各種ハードウェア回路の組合せにより構成されてもよい。または両者の併用でもよい。
【0023】
電力計測センサ10および逆潮流センサ20には、基本的に同一種類または同一仕様のセンサを採用できる。ただし、両者の間で演算アルゴリズムまたは回路構成が異なる。第2演算部23は、第1演算部13より簡易な演算を実行することにより、第1演算部13より高速に逆潮流を検出する。
【0024】
すなわち、逆潮流センサ20は逆潮流を検出できればよいため、厳密な有効電力の算出は必要ない。一方、電力計測センサ10は厳密な有効電力を算出する必要がある。したがって、逆潮流センサ20は、簡易な演算を実行することにより、有効電力を算出せずに、または低精度な有効電力を算出し、その代わり逆潮流を高速に検出する。なお、電流計、電圧計および通信制御部は、電力計測センサ10と逆潮流センサ20との間で同一のものを使用できる。
【0025】
図2では、単相三線式の配電方法を例に説明する。上記電力線は、電力系統200のR相、O相およびT相に対応して、R相電力線、O相電力線およびT相電力線の三本の線からなる。R−O線間電圧は交流100V、T−O線間電圧は交流100V、およびR−T線間電圧は交流200Vである。
【0026】
第1電流計11aはR相電力線の交流電流を検出する。第1電流計11bはT相電力線の交流電流を検出する。第1電圧計12aはR−O線間の交流電圧を検出する。第1電圧計12bはT−O線間の交流電圧を検出する。第1電流計11a、第1電流計11b、第1電圧計12aおよび第1電圧計12bはそれぞれの検出結果を第1演算部13に出力する。なお、第1電流計11aおよび第1電流計11bの検出値は、図示しない電流−電圧変換回路により電圧に変換され、図示しないA/D変換回路によりデジタル値に変換されて、第1演算部13に出力される。第1電圧計12aおよび第1電圧計12bの検出値は、図示しないA/D変換回路によりデジタル値に変換されて、第1演算部13に出力される。
【0027】
同様に、第2電流計21aはR相電力線の交流電流を検出する。第2電流計21bはT相電力線の交流電流を検出する。第2電圧計22aはR−O線間の交流電圧を検出する。第2電圧計22bはT−O線間の交流電圧を検出する。第2電流計21a、第2電流計21b、第2電圧計22aおよび第2電圧計22bはそれぞれの検出結果を第2演算部23に出力する。
【0028】
第1演算部13は、R−O線間の交流電圧およびT−O線間の交流電圧を、単位周期内に所定のサンプリング間隔で複数回サンプリングする。第1演算部13は、R−O線間の交流電圧およびT−O線間の交流電圧に同期して、R相電力線の交流電流およびT相電力線の交流電流をサンプリングする。第1演算部13は、R−O線間の交流電圧およびR相電力線の交流電流にもとづき、R相の有効電力を算出し、T−O線間の交流電圧およびT相電力線の交流電流にもとづき、T相の有効電力を算出する。
【0029】
以下、より具体的に説明する。第1演算部13は、R−O線間の交流電圧およびR相電力線の交流電流の対応する時刻のサンプリング値を乗算し、単位周期内の複数の乗算値を積算する。そして、この積算値を単位周期内のサンプリング回数で除算してR相の有効電力を算出する。T相の有効電力も同様の演算により算出する。
【0030】
ここで、R相の有効電力またはT相の有効電力が負の値の場合、逆潮流が発生していると判断できる。R相電力線において逆潮流が発生していない場合、R−O線間の交流電圧とR相電力線の交流電流との位相差は90°以内であり、R相の有効電力は0または正の値となる。T相電力線において逆潮流が発生していない場合、T−O線間の交流電圧とT相電力線の交流電流との位相差は90°以内であり、T相の有効電力は0または正の値となる。
【0031】
反対に、R相電力線において逆潮流が発生している場合、R−O線間の交流電圧とR相電力線の交流電流との位相差は90°より大きくなり、R相の有効電力は負の値となる。同様に、T相電力線において逆潮流が発生している場合、T−O線間の交流電圧とT相電力線の交流電流との位相差は90°より大きくなり、T相の有効電力は負の値となる。
【0032】
電力計測センサ10はこれら有効電力を制御装置30に通知する。逆潮流センサ20は電力計測センサ10より高速に逆潮流を検出しなければならない。たとえば、逆潮流センサ20が電力計測センサ10と同じ演算方法を採用する場合、単位周期あたりのサンプリング数を減らすことにより、有効電力を算出するための演算時間を短縮できる。また、第2演算部23は位相差検出器を備え、R−O線間の交流電圧とR相電力線の交流電流との位相差、およびT−O線間の交流電圧とT相電力線の交流電流との位相差を直接検出してもよい。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態に係る、電力計測センサ10、逆潮流センサ20および制御装置30間の通信シーケンスの一例を示す図である。図3に示す例は、逆潮流センサ20が逆潮流を検出し、逆潮流検出通知を制御装置30に送出する際、上記通信回線が空いている例である。
【0034】
まず、制御装置30は上記通信回線を介して電力計測センサ10に初期化コマンドを送信する。電力計測センサ10は当該初期化コマンドを受信すると、その初期化コマンドに応じた初期化処理を実行し、正常/異常を示す応答を当該通信回線を介して制御装置30に送信する。
【0035】
つぎに、制御装置30は電力計測センサ10から上記応答を受信すると、上記通信回線を介して逆潮流センサ20に初期化コマンドを送信する。当該初期化コマンドには、逆潮流検出アルゴリズム、逆潮流検出通知が完了した後、検出を中断する時間などの設定データが含まれていてもよい。逆潮流センサ20は初期化コマンドを受信すると、その初期化コマンドに応じた初期化処理を実行し、正常/異常を示す応答を当該通信回線を介して制御装置30に送信する。図3では、電力計測センサ10および逆潮流センサ20とも正常である例を示している。
【0036】
つぎに、制御装置30は上記通信回線を介して電力計測センサ10にデータ要求コマンドを送信する。電力計測センサ10は当該データ要求コマンドを受信すると、計測データを含む応答を当該通信回線を介して制御装置30に送信する。このデータ要求コマンドの送信とその応答の送信は、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0037】
逆潮流センサ20は逆潮流を検出すると、上記通信回線が空いているか否かを検出し、当該通信回線が空いている場合、逆潮流検出通知を当該通信回線を介して制御装置30に送信する。制御装置30はその逆潮流検出通知を受信すると、逆潮流を止めるための所定の制御を実行するとともに、当該通信回線を介して逆潮流センサ20に応答を送信する。逆潮流センサ20は、制御装置30から当該応答を受信すると、一定時間、逆潮流の検出を中断する。この中断時間は、初期化コマンドに含まれている時間データにもとづく時間であってもよいし、あらかじめ逆潮流センサ20に設定された時間であってもよい。
【0038】
図4は、本発明の実施の形態に係る、電力計測センサ10、逆潮流センサ20および制御装置30間の通信シーケンスの別の例を示す図である。図4に示す例は、逆潮流センサ20が逆潮流を検出し、逆潮流検出通知を制御装置30に送出する際、制御装置30から電力計測センサ10にデータ要求コマンドが送信されていることにより、上記通信回線が使用中である例である。
【0039】
制御装置30と電力計測センサ10との間の初期化処理、および制御装置30と逆潮流センサ20との初期化処理は、図3に示した通信シーケンスと同じであるため、図4では省略している。
【0040】
逆潮流センサ20は逆潮流を検出すると、上記通信回線が空いているか否かを検出する。図4の例では、制御装置30から電力計測センサ10にデータ要求コマンドが送信されている最中であり、当該通信回線はビジーである。この場合、逆潮流センサ20は、通信妨害データを当該通信回線に送出する。制御装置30は、通信妨害データを検出すると、データ要求コマンドの送信を停止する。
【0041】
逆潮流センサ20は上記通信回線が空いたことを確認すると、逆潮流検出通知を当該通信回線を介して制御装置30に送信する。制御装置30はその逆潮流検出通知を受信すると、逆潮流を止めるための所定の制御を実行するとともに、当該通信回線を介して逆潮流センサ20に応答を送信する。逆潮流センサ20は、制御装置30から当該応答を受信すると、一定時間、逆潮流の検出を中断する。制御装置30は、逆潮流センサ20に応答を送信した後、当該通信回線を介して電力計測センサ10にデータ要求コマンドを再送する。
以下、楕円f5で囲まれた通信シーケンスをより具体的に説明する。
【0042】
図5(a)、(b)は、図4の動作シーケンスの詳細図である。図5(a)は逆潮流が検出されない通常時のシーケンスを、図5(b)は逆潮流検出時のシーケンスを示す。図5(a)、(b)において、1バイト(8ビット)データのスタートビットStとストップビットSpを黒塗りで描いている。データ要求コマンドや応答などの各種の送出データは、複数バイトで構成される。
【0043】
図5(a)において、電力計測センサ10は、制御装置30から送出されたデータ要求コマンドを受信すると、応答を送出する。図5(b)において、逆潮流センサ20は逆潮流を検出し、逆潮流検出通知を送出しようとする際、上記通信回線には制御装置30から送出されたデータ要求コマンドが存在する(楕円t1参照)。そこで、逆潮流センサ20は通信妨害データを送出する。これにより、制御装置30から送出されたデータ要求コマンドのエコーバックデータは少なくともフレーミングエラーを起こす(楕円t2参照)。制御装置30はこのエラーを検出すると、データ要求コマンドの送出を停止する。その後、上記通信回線上のデータがなくなり、空き状態となる(楕円t3参照)。逆潮流センサ20は、それを確認すると、逆潮流検出通知を送出する。電力計測センサ10は、データ要求コマンドを受信しないため、無応答である。
【0044】
以上説明したように本実施の形態によれば、電力計測センサに加えて逆潮流センサを設けたことにより、逆潮流を低コストで迅速に検出できる。電力計測センサで逆潮流をリアルタイムに検出するためには、高速に有効電力を算出する必要があるが、それを実現するためにはハイスペックな回路構成が必要であり、コスト高を招く。この点、有効電力の検出と逆潮流の検出を別々のセンサで役割分担することにより、個々のセンサのコストを抑えることができる。また、電力計測センサしか設置されていない電力監視システムにおいて、追加的に逆潮流センサを設置することにより、既存の電力計測センサをそのまま生かすことができる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0046】
100 電力監視システム、 10 電力計測センサ、 11a,11b 第1電流計、 12a,12b 第1電圧計、 13 第1演算部、 14 第1通信制御部、 20 逆潮流センサ、 21a,21b 第2電流計、 22a,22b 第2電圧計、 23 第2演算部、 24 第2通信制御部、 30 制御装置、 40 バス、 200 電力系統、 300 分電盤、 400 負荷、 500 太陽電池、 510 切替ユニット、 520 パワーコンディショナ、 600 蓄電池ユニット、 610 双方向AC−DCコンバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と需要家構内の機器とを繋ぐ電力線を介して供給される電力量を計測するための電力計測センサと、
前記電力線における逆潮流を検出するための逆潮流センサと、
前記電力計測センサおよび前記逆潮流センサと同一通信回線で接続され、前記電力計測センサおよび前記逆潮流センサとシリアル通信する制御装置と、を備え、
前記通信回線を介して、前記制御装置から前記電力計測センサへの計測データ要求の送信、およびその要求に対する応答としての前記電力計測センサから前記制御装置への計測データの送信が定期的に実行され、
前記逆潮流センサは、前記電力線における逆潮流を検出すると、前記通信回線に割込処理を実行して、前記制御装置へ逆潮流検出通知を送信することを特徴とする電力監視システム。
【請求項2】
前記逆潮流センサは、前記電力線における逆潮流を検出すると、前記通信回線が空いているとき通信回線を介して前記制御装置へ逆潮流検出通知を送信し、前記通信回線が使用中のとき前記通信回線に通信妨害データを送出し、前記通信回線が空いてから前記制御装置へ逆潮流検出通知を送信することを特徴とする請求項1に記載の電力監視システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記逆潮流検出通知を受信すると、前記逆潮流センサに前記逆潮流検出通知に対する応答を送信し、
前記逆潮流センサは、前記応答を受信すると一定時間、前記電力線における逆潮流の検出を中断することを特徴とする請求項1または2に記載の電力監視システム。
【請求項4】
前記電力計測センサは、
前記電力線に取付けられる第1電圧センサと、
前記電力線に取付けられる第1電流センサと、
前記第1電圧センサの検出値と前記第1電流センサの検出値をもとに、前記電力量を算出する第1演算部と、を有し、
前記逆潮流センサは、
前記電力線に取付けられる第2電圧センサと、
前記電力線に取付けられる第2電流センサと、
前記第2電圧センサの検出値と前記第2電流センサの検出値をもとに、前記電力線における逆潮流を検出する第2演算部と、を有し、
前記第2演算部は、前記第1演算部より簡易な演算を実行することにより、前記第1演算部より高速に逆潮流を検出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電力監視システム。
【請求項5】
前記需要家構内の機器には、蓄電池が含まれ、
前記制御装置は、前記蓄電池が放電中に、前記逆潮流検出通知を受信すると、前記蓄電池の放電を停止させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電力監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−74637(P2013−74637A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209751(P2011−209751)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】