説明

電力系統監視制御システム

【課題】オンライン業務への影響を小さくし、メンテナンス作業を効率化することである。
【解決手段】電力系統設備の状態が表されたスケルトンをモニタ2に表示してオペレータに通知するとともにオペレータからの操作要求が送信可能なクライアント装置1と、電力系統設備の状態情報とオペレータからの操作要求とをクライアント装置1と互いに送受信可能な監視制御サーバ10とを有する。監視制御サーバ10は、既存の電力系統設備の定義情報を格納するメインデータベース26と、簡易設備機器の定義情報を格納するための簡易データベース27と、オペレータからのデータベースメンテナンスの要求により簡易設備機器の定義情報を更新しメンテナンス結果として簡易データベースに格納する簡易メンテナンス手段28と、電力系統設備の定義情報と簡易設備機器の定義情報との両方を参照して電力系統の監視制御を行う監視制御手段22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力系統内に配置された電力系統設備を監視制御する電力系統監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統内の施設、例えば変電所や発電所などに配置された電力系統設備は、電力系統監視制御システムによって監視制御されている。この電力系統監視制御システムは、オペレータに電力系統設備の状態を通知するとともにオペレータからの操作情報が入力されるクライアント装置と、このクライアント装置とネットワークを介して通信し、電力系統設備を監視制御する監視制御サーバと、監視制御サーバとネットワークを介して通信し、電力系統設備のメンテナンスを行うメンテナンスサーバとを有する。
【0003】
クライアント装置は、監視制御サーバから電力系統設備の状態情報を取得して現在の電力系統状態を表わす単相結線図(以下、スケルトンと記す)を表示するスケルトン表示手段と、表示用モニタとを有する。
【0004】
監視制御サーバは、1台の制御系と複数台の待機系とで構成され、1台の制御系は、電力系統の監視制御業務(以下、オンライン業務と記す)を行い、待機系は、制御系の障害発生時にバックアップする。各監視制御サーバは電力系統設備の定義情報とスケルトン情報との保存エリアを有する。
【0005】
メンテナンスサーバは、電力系統設備の定義情報を保存した設備データベースと、単線結線図の結線データを保存したスケルトンデータベースと、設備データベースとスケルトンデータベースとをメンテナンスするメンテナンス手段と、設備データベースとスケルトンデータベースとを監視制御サーバへ等価(コピー)する等価手段とを有する。
【0006】
このような電力系統監視制御システムは、電力系統設備の新設または撤去により、設備データベース、スケルトンデータベース、設備間の接続情報を保持した接続情報データベースをメンテナンスすることがある。
【0007】
このメンテナンスは、制御系の監視制御サーバは稼働したままで、メンテナンスサーバにより、設備データベース、スケルトンデータベース、接続情報データベースを、電力系統設備の新設または撤去に見合うように編集し、その編集の後に、待機系の監視制御サーバに編集後のデータベースを等価して確認試験を行う。そして、その確認試験の完了後に、制御系と待機系とを切り替える切替(以下、制待切替という)を行い、制待切替後に、制御系であった監視制御サーバにも同様にメンテナンス後のデータベースを等価することでメンテナンスを完了する。
【0008】
通常、このような電力系統監視制御システムのデータベースのメンテナンスは、メンテナンス情報の入力操作などオペレータへの負担が大きく、また、制待切替によるオンライン業務への影響が大きい。
【0009】
そこで、設備データベース及びスケルトンデータベースの同一設備に対する情報に共通のキーコードを設け、スケルトンデータベースの生成時に設備データベースのキーコードが一致する設備の情報を参照してスケルトンデータを生成することにより、メンテナンス時にデータベース間の整合性確認を自動でチェックでき作業の効率化を図ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、スケルトン画面上で表示用シンボルを選択してその表示位置を所望の位置に移動させることにより自動的にデータを更新し、接続関係を示す接続線データも同様に自動的に更新するようにし、スケルトンのメンテナンス時に電力系統設備を表わした表示シンボルをデータの再入力作業無く表示位置を変更可能として、作業を効率化させたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−335165号公報
【特許文献2】特開平6−351179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
暫定的な仮設設備(例えば、移動発電機車)や電力系統設備の付属機器などの簡易設備機器の新設や撤去に伴うデータベースのメンテナンスであっても、前述したようにメンテナンス結果を制御系に反映させるには制待切替を実施する必要がある。
【0013】
制待切替時には、制御系を停止し待機系を稼働させることになるので、制御中断などオンライン業務への影響が大きく、制待切替のためのスケジューリング作業やメンテナンスのデータ入力作業に労力を要する。
【0014】
制待切替時には、制御系を停止し待機系を稼働させることになるので制御が中断する。制御中断は監視制御サーバによる監視制御のなどオンライン業務への影響が大きい。そこで、制御中断の影響が少ない時期に制待切替を行うことになるが、そのための制待切替を行うスケジューリング作業やメンテナンスのデータ入力作業に労力を要する。
【0015】
本発明の実施形態は、オンライン業務への影響を小さくし、メンテナンス作業を効率化することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態に係る電力系統監視制御システムは、電力系統内に配置された複数の電力系統設備の状態が表されたスケルトンをモニタに表示してオペレータに通知するとともにオペレータからの操作要求が送信可能なクライアント装置と、電力系統設備の状態情報とオペレータからの操作要求とをクライアント装置と互いに送受信可能な監視制御サーバとを有する。クライアント装置は、電力系統内に配置された複数の電力系統設備の状態が表されたスケルトンをモニタに表示するスケルトン表示手段と、仮設設備や電力系統設備の付属機器などの簡易設備機器の新設や撤去に伴うオペレータからのデータベースメンテナンスの要求通知や情報に関して監視制御サーバと互いに送受信する簡易メンテナンス情報送受信手段とを備える。また、監視制御サーバは、既存の電力系統設備の定義情報を格納するメインデータベースと、簡易設備機器の定義情報を格納するための簡易データベースと、オペレータからのデータベースメンテナンスの要求により簡易設備機器の定義情報を更新しメンテナンス結果として簡易データベースに格納する簡易メンテナンス手段と、電力系統設備の定義情報と簡易設備機器の定義情報との両方を参照して電力系統の監視制御を行う監視制御手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図。
【図2】本発明の実施形態1に係る電力系統監視制御システムのメンテナンス動作の一例を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施形態2に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図。
【図4】本発明の実施形態3に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図。
【図5】本発明の実施形態3に係る電力系統監視制御システムのメンテナンス動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態4に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態1に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図である。本発明の実施形態1は、監視制御サーバに、簡易データベース及び簡易メンテナンス手段を設け、仮設設備や電力系統設備の付属機器などの簡易設備機器の新設や撤去の場合には、メンテナンスサーバを用いることなく、簡易設備機器の新設や撤去に対応できるようにしたものである。
【0019】
電力系統監視制御システムは、クライアント装置1と監視制御サーバ10とを有し、クライアント装置1と監視制御サーバ10とは互いに通信可能に構成されている。図1では、クライアント装置1と監視制御サーバ10とは1対1で通信する形態として示しているが、これに限らず多対多で構成してもよい。
【0020】
クライアント装置1は、電力系統内に配置された複数の電力系統設備の状態が表されたスケルトンをモニタ2に表示するスケルトン表示手段3と、仮設設備や電力系統設備の付属機器などの簡易設備機器の新設や撤去に伴うオペレータからのデータベースメンテナンスの要求通知や情報に関して、監視制御サーバ10と互いに送受信する簡易メンテナンス情報送受信手段4とを備えている。
【0021】
モニタ2はスケルトン表示手段3を介して、現在の電力系統状態を表すスケルトンを表示する表示装置であり、これにより、オペレータが視覚的に電力系統状態を確認することができる。
【0022】
スケルトン表示手段3は、監視制御サーバ10に具備したメインデータベース26のスケルトンデータベース11と、簡易データベース27の簡易メンテナンス用スケルトン情報16とを基にスケルトンをモニタ2に表示する。
【0023】
簡易メンテナンス情報送受信手段4はオペレータからの設備のメンテナンス要求や、モニタ2を介してオペレータが入力した情報を監視制御サーバ10へ送信する。
【0024】
監視制御サーバ10は、既存の電力系統設備の定義情報を格納するメインデータベース26と、簡易設備機器の定義情報を格納するための簡易データベース27と、オペレータからのデータベースメンテナンスの要求により簡易設備機器の定義情報を更新しメンテナンス結果として簡易データベース27に格納する簡易メンテナンス手段28と、電力系統設備の定義情報と簡易設備機器の定義情報との両方を参照して電力系統の監視制御を行う監視制御手段22と、各電力系統設備の形状や色などの定義情報を保持する表示シンボル定義情報15とを備えている。
【0025】
メインデータベース26は、電力系統設備の単線結線図を表す表示シンボル及びその描画位置を保持するスケルトンデータベース11と、電力系統設備の設備名や設備種別などの属性情報を保持する設備データベース12と、各電力系統設備間の接続情報を保持する接続情報データベース13とからなる。
【0026】
簡易データベース27は、メンテナンス対象の簡易設備機器に関するスケルトンの描画情報である簡易メンテナンス用スケルトン情報16と、メンテナンス対象の簡易設備機器の属性情報である簡易メンテナンス用設備情報18と、メンテナンス対象の簡易設備機器の接続情報である簡易メンテナンス用接続情報21とからなる。
【0027】
簡易メンテナンス手段28は、表示シンボル定義情報15を基にメンテナンス対象の簡易設備機器に関するスケルトンの描画情報を作成する表示シンボル描画手段14と、メンテナンス対象の簡易設備機器の属性情報を編集する設備情報編集手段17と、メンテナンス対象の簡易設備機器の接続先を設定する接続先設定手段19と、メンテナンス対象の簡易設備機器の接続情報を作成する接続情報作成手段20とからなる。
【0028】
簡易メンテナンス手段28の表示シンボル描画手段14は、クライアント装置1の簡易メンテナンス用情報送受信手段4からメンテナンス要求を受信すると、表示シンボル定義情報15を基にスケルトン上のどの位置にどの表示シンボルを描画するかの入力要求を簡易メンテナンス用情報送受信手段4に通知する。そして、表示シンボル描画手段14は、オペレータからの入力情報を簡易メンテナンス用情報送受信手段4から受信すると、スケルトンの描画情報を簡易メンテナンス用スケルトン情報16へ保存し、表示シンボルの描画が完了したことを設備情報編集手段17へ通知する。
【0029】
設備情報編集手段17は表示シンボル描画手段14から描画完了通知を受信すると、簡易メンテナンス情報送受信手段4を介してオペレータへ設備の属性情報の入力要求を通知する。設備情報編集手段17はオペレータから設備の属性情報を受信すると、簡易メンテナンス用設備情報18へ受信情報を保存するとともに、接続先設定手段19へ設備情報の入力が完了したことを通知する。
【0030】
接続先設定手段19は設備情報編集手段17から設備情報の入力完了通知を受信すると、オペレータに対象シンボルがどの設備に接続するかの入力要求を通知し、接続先情報を受信すると接続情報作成手段20へ情報を送信する。接続情報作成手段20は接続先設定手段19から接続先設備情報を受信すると、接続情報データベース13と接続先設備名を基にメンテナンス対象設備の接続情報を作成して、簡易メンテナンス用接続情報21に保存する。
【0031】
監視制御手段22は、設備データベース12と簡易メンテナンス用設備情報18と、接続情報データベース13と簡易メンテナンス用接続情報21とを基に電力系統設備の監視制御を行う。
【0032】
次に、本発明の実施形態1に係る電力系統監視制御システムのメンテナンス動作について説明する。図2は、本発明の実施形態1に係る電力系統監視制御システムのメンテナンス動作の一例を示すフローチャートである。図2では、仮設設備や付属機器などの簡易設備機器の新設や撤去に伴うデータベースのメンテナンス方法について示している。
【0033】
図2に示すように、まず、オペレータからのメンテナンス要求がモニタ2を介して、簡易メンテナンス情報送受信手段4へ送信される(S1)。簡易メンテナンス情報送受信手段4はオペレータからの要求種別を判定する(S2)。オペレータからの要求種別には、簡易設備機器の新設要求、撤去要求、編集要求があるので、これらの要求のいずれかであるかを判別し、その結果を監視制御サーバ10へ送信する。
【0034】
オペレータからの要求種別が新設要求の場合には、監視制御サーバ10の表示シンボル描画手段14は、表示シンボル定義情報15を基にオペレータへ新設設備のシンボルの選択を促す。オペレータが新設設備のシンボルを選択すると(S3)、次に、表示シンボル描画手段14はスケルトン上のどこに描画するのかの表示位置の選択を促す。オペレータがシンボルの表示位置を選択すると(S4)、表示シンボル描画手段14はオペレータからの受信情報を基にスケルトン情報を作成して簡易メンテナンス用スケルトン情報16へ保存する(S5)。
【0035】
次に、設備情報編集手段17は、表示シンボル描画手段14からスケルトン情報の作成完了通知を受信すると、オペレータへ設備の属性情報の入力要求をメンテナンス情報送受信手段4を介して通知する。オペレータがメンテナンス対象設備の属性情報を入力すると(S6)、設備情報編集手段17はオペレータからの受信情報を基に設備情報を作成して簡易メンテナンス用設備情報18へ保存する(S7)。
【0036】
接続先設定手段19は、簡易メンテナンス情報送受信手段4を介してオペレータへメンテナンス対象設備が既存のどの設備と接続するのかの入力要求を通知する。接続先設定手段19は、オペレータがシンボルの接続先を選択すると(S8)、接続線が追加された旨の内容を簡易メンテナンス用スケルトン情報16へ反映させる。つまり、スケルトン情報の更新を行う(S9)。接続情報作成手段20は、接続情報データベース13と接続先情報とを基にメンテナンス対象設備の接続情報を作成して簡易メンテナンス用接続情報21へ保存し(S10)、メンテナンスを完了する(S21)。
【0037】
次に、ステップS2での判定で、オペレータからの要求種別が撤去要求の場合には、表示シンボル描画手段14はオペレータへどの設備(シンボル)を撤去するのかの要求を簡易メンテナンス情報送受信手段4を介して通知する。オペレータが撤去対象の設備(シンボル)を選択すると(S11)、表示シンボル描画手段14は、オペレータが選択した撤去対象設備の情報を簡易メンテナンス用スケルトン情報16から削除する(S12)。
【0038】
スケルトン情報の削除を通知された設備情報編集手段17は簡易メンテナンス用設備情報18から当該設備の情報を削除する(S13)。設備情報の削除を通知された接続先設定手段20は撤去対象設備の情報を設備接続情報作成手段21へ通知する。設備撤去を通知された簡易メンテナンス用接続情報21から撤去対象設備の情報を削除し(S14)、メンテナンスを完了する(S21)。
【0039】
次に、ステップS2での判定で、オペレータからの要求種別が編集要求の場合には、一度定義された設備の描画位置などを編集する。
【0040】
まず、編集要求を受信した表示シンボル描画手段14は、オペレータへシンボルの表示位置変更の要求があるかを通知する。そして、オペレータからシンボルの表示位置の変更があるか否かを判断する(S15)。表示位置の変更がない場合にはステップS16に進む。表示位置の変更があるときは、シンボル表示位置の変更を入力し(S15a)、設備新設の場合と同様にスケルトン情報を更新し(S15b)、ステップS16に進む。
【0041】
スケルトン情報の変更完了通知を受信した設備情報更新手段17は、オペレータへ設備情報の変更要求があるか通知する。そして、オペレータから設備情報の変更の要求があるかどうかを判定し(S16)、設備情報の変更が入力されない場合にはステップS17に進む。設備情報の変更があるときは、シンボル表示位置の変更を入力し(S16a)、設備新設の場合と同様に設備情報を更新する(S16b)。
【0042】
設備情報の変更完了通知を受信した接続先設定手段19は、オペレータへ当該設備の接続先の変更要求があるか通知する。そして、オペレータから接続先の変更要求があるかどうかを判定し(S17)、接続先の変更がある場合は、オペレータに対しシンボルの接続先の選択を促し、オペレータがシンボルの接続先を選択すると(S17a)、スケルトン情報の更新を行う(S17b)。そして、接続情報を作成して簡易メンテナンス用接続情報21へ保存し(S17c)、メンテナンスを完了する(S21)。
【0043】
以上のように、仮設設備や付属機器などの設備機器の新設、撤去、情報編集に伴うデータベースのメンテナンスを監視制御サーバ10に備えた簡易メンテナンス手段28で行い、監視制御手段22はデータベースと簡易メンテナンス手段28で作成された情報の両者を参照することで、メンテナンス直後から仮設設備や付属機器などの設備機器の監視制御を行うことが可能となる。これにより、従来の電力系統監視制御システムで必要であった監視制御サーバ10の制待切替を実施せずとも設備データベースのメンテナンスを行える。
【0044】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2を説明する。図3は、本発明の実施形態2に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図である。この実施形態2は、図1に示した実施形態1に対し、スケルトンに描画する電力系統設備を表す表示シンボルをメンテナンスする表示シンボルメンテナンス手段5を追加して設けたものである。図2と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0045】
表示シンボルメンテナンス手段5は、表示シンボルを単独または組合せて設備新設のパターンの結合表示シンボルを作成する。すなわち、表示シンボルメンテナンス手段5は、表示シンボル定義情報15を複数のシンボルを組み合わせたものを1つの結合表示シンボルとして登録可能に拡張し、表示シンボル描画手段14は結合表示シンボルを基にスケルトン情報を作成する。
【0046】
オペレータは、クライアント装置1のモニタ2を介して表示シンボルのメンテナンス要求を表示シンボルメンテナンス手段5へ通知する。表示シンボルメンテナンス手段5は表示シンボル定義情報15を参照して、オペレータが要求した各設備の表示シンボルの形状や、大きさ、色などのメンテナンスを行う。また、オペレータが要求した既に登録済のシンボルを結合させ,結合表示シンボルの登録も行う。
【0047】
実施形態2によれば、簡易設備機器の新設パターンを結合表示シンボルとして登録しておくことで、定期的に実施するような類似した設備データベースのメンテナンスにおいて作業性の向上が図れる。
【0048】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3を説明する。図4は、本発明の実施形態3に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図である。この実施形態3は、図3に示した実施形態2に対し、監視制御サーバ10に、簡易メンテナンス手段28で更新されたメンテナンス結果を監視制御に反映する反映時刻情報を設定するためのメンテナンス結果反映時刻設定手段23、及びメンテナンス結果反映時刻設定手段23で設定されたメンテナンス対象設備の反映時刻情報を保存する簡易メンテナンス結果反映時刻情報24を設けたものである。図3と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0049】
監視制御手段22は、反映時刻情報と現在時刻情報とを基に簡易設備機器の監視制御の実施可否を判定する。また、クライアント装置1に設置されたスケルトン表示手段3は、反映時刻情報と現在時刻情報とを基にメンテナンス結果を反映したスケルトンをモニタ2に表示する。
【0050】
次に、本発明の実施形態1に係る電力系統監視制御システムのメンテナンス動作について説明する。図5は、本発明の実施形態3に係る電力系統監視制御システムのメンテナンス動作の一例を示すフローチャートである。図5では、仮設設備や付属機器などの簡易設備機器の新設や撤去に伴うデータベースのメンテナンス方法について示している。
【0051】
まず、新設要求の場合のメンテナンス方法について説明する。ステップS10までは図2に示した実施形態1の場合と同様なので説明は省略する。ステップS10により、メンテナンス対象設備の接続情報が簡易メンテナンス用接続情報21へ保存されると、メンテナンス結果反映時刻設定手段23は、オペレータへメンテナンス結果反映時刻の入力要求をメンテナンス情報送受信手段4を介して通知し、オペレータによりメンテナンス対象設備の反映時刻情報が入力されると、そのメンテナンス対象設備の反映時刻情報を簡易メンテナンス結果反映時刻情報24へ保存する(S18)。
【0052】
次に、撤去要求の場合のメンテナンス方法について説明する。ステップS14までは図2に示した実施形態1と同様なので説明は省略する。ステップS14により、撤去対象設備の情報が削除されると、メンテナンス結果反映時刻設定手段23は、メンテナンス対象設備の反映時刻情報を簡易メンテナンス結果反映時刻情報24から削除する(S19)。
【0053】
次に、編集要求の場合のメンテナンス方法について説明する。ステップS17bまでは図2に示した実施形態1と同様なので説明は省略する。ステップS17cにより、接続情報が簡易メンテナンス用接続情報21へ保存されると、メンテナンス結果反映時刻設定手段23は、オペレータへメンテナンス結果反映時刻の入力要求をメンテナンス情報送受信手段4を介して通知して、オペレータにメンテナンス対象設備の反映時刻情報を変更してもらい(S20)、変更後の反映時刻情報を簡易メンテナンス結果反映時刻情報24へ保存する(S22)。
【0054】
ここで、スケルトン表示手段3は簡易メンテナンス結果反映時刻情報24を参照して、反映時刻と現在時刻と比較を行い、反映時刻が現在時刻に達していない場合は当該設備はスケルトンへは表示せず、反映時刻が現在時刻に達する場合は当該設備をスケルトンへ表示する。また、監視制御手段22も簡易メンテナンス結果反映時刻情報24を参照して、反映時刻と現在時刻との比較を行い、当該設備を監視制御対象とするかどうかを判定し、当該設備の監視制御を行う。
以上の説明では、図3に示した実施形態2に対し、メンテナンス結果反映時刻設定手段23及び簡易メンテナンス結果反映時刻情報24を追加して設けたが、図1に示した実施形態1に対し、メンテナンス結果反映時刻設定手段23及び簡易メンテナンス結果反映時刻情報24を設けるようにしてもよい。
【0055】
本発明の実施形態3によれば、オペレータの作業が軽負荷の時間帯に予めメンテナンスを実施しておき、メンテナンス結果の反映時刻を指定しておくことで、その指定時間になったときにメンテナンス結果を反映することが可能となる。これにより、設備データベースのメンテナンス作業の効率化が図れる。
【0056】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4を説明する。図6は、本発明の実施形態4に係る電力系統監視制御システムのブロック構成図である。この実施形態4は、図4に示した実施形態3に対し、監視制御サーバ10に、メンテナンス結果を他の監視制御サーバ10a〜10kへ等価するメンテナンス結果等価手段25を追加して設けたものである。
【0057】
メンテナンス結果等価手段25は、簡易メンテナンス手段28で得られた簡易メンテナンス結果、簡易メンテナンス用スケルトン情報16、簡易メンテナンス用設備情報18、簡易メンテナンス用接続情報21、メンテナンス結果反映時刻24を他の監視制御サーバ10a〜10kに送信して等価(コピー)する。
【0058】
このように、複数台の監視制御サーバ10で構成された電力系統監視制御システムにおいて1台の監視制御サーバ10で行われた簡易メンテナンス結果が他の監視制御サーバ10へ等価されるので情報の共有が可能となる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…クライアント装置、2…モニタ、3…スケルトン表示手段、4…簡易メンテナンス情報送受信手段、10…監視制御サーバ、11…スケルトンデータベース、12…設備データベース、13…接続情報データベース、14…表示シンボル描画手段、15…表示シンボル定義情報、16…簡易メンテナンス用スケルトン情報、17…設備情報編集手段、18…簡易メンテナンス用設備情報、19…接続先指定手段、20…接続情報作成手段、21…簡易メンテナンス用接続情報、22…監視制御手段、23…メンテナンス結果反映時刻設定手段、24…簡易メンテナンス結果反映時刻情報、25…メンテナンス結果等価手段、26…メインデータベース、27…簡易データベース、28…簡易メンテナンス手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統内に配置された複数の電力系統設備の状態が表されたスケルトンをモニタに表示してオペレータに通知するとともにオペレータからの操作要求が送信可能なクライアント装置と、
電力系統設備の状態情報とオペレータからの操作要求とを前記クライアント装置と互いに送受信可能な監視制御サーバとを有し、
前記クライアント装置は、
電力系統内に配置された複数の電力系統設備の状態が表されたスケルトンをモニタに表示するスケルトン表示手段と、
仮設設備や電力系統設備の付属機器などの簡易設備機器の新設や撤去に伴うオペレータからのデータベースメンテナンスの要求通知や情報に関して前記監視制御サーバと互いに送受信する簡易メンテナンス情報送受信手段とを備え、
前記監視制御サーバは、既存の電力系統設備の定義情報を格納するメインデータベースと、
前記簡易設備機器の定義情報を格納するための簡易データベースと、
前記オペレータからのデータベースメンテナンスの要求により前記簡易設備機器の定義情報を更新しメンテナンス結果として前記簡易データベースに格納する簡易メンテナンス手段と、
前記電力系統設備の定義情報と前記簡易設備機器の定義情報との両方を参照して電力系統の監視制御を行う監視制御手段とを備えたことを特徴とする電力系統監視制御システム。
【請求項2】
前記クライアント装置は、スケルトンに描画する電力系統設備を表す表示シンボルをメンテナンスする表示シンボルメンテナンス手段を備え、前記表示シンボルメンテナンス手段は、前記表示シンボルを単独または組合せて設備新設のパターンの結合表示シンボルを作成することを特徴とする請求項1に記載の電力系統監視制御システム。
【請求項3】
前記監視制御サーバは、前記簡易メンテナンス手段で更新されたメンテナンス結果を監視制御に反映する反映時刻情報を設定するためのメンテナンス結果反映時刻設定手段を備え、
前記監視制御手段は、前記反映時刻情報と現在時刻情報とを基に前記簡易設備機器の監視制御の実施可否を判定し、
前記クライアント装置に設置された前記スケルトン表示手段は、前記反映時刻情報と現在時刻情報とを基にメンテナンス結果を反映したスケルトンをモニタに表示することを特徴とする請求項1または2記載の電力系統監視制御システム。
【請求項4】
前記監視制御サーバは、前記メンテナンス結果を他の監視制御サーバへ等価するメンテナンス結果等価手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電力系統監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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