説明

電力設備の状態検出装置

【課題】電力設備の状態を検出する。
【解決手段】第1モードと前記第1モードとは異なる第2モードとが手動により選択的に設定される電力設備に設けられ、前記第1モードが設定されると開き、前記第2モードが設定されると閉じるスイッチと、前記スイッチに並列接続される抵抗と、前記抵抗に電流が流れるか否かに応じて、前記スイッチの開閉を検出する検出装置と、前記検出装置による前記スイッチの開閉の検出結果が事前に定められている前記スイッチの開閉と異なる場合、警報を発生する警報装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力設備の状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水力発電所に設けられた水車発電機から漏水した水を排水するための電力設備として、排水ポンプ(特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−162659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電力設備(排水ポンプ)は、例えば、作業員等の手動操作によって電力設備を動作させる第1モードと、所定のプログラムに基づいて自動的に電力設備を動作させる第2モードとが、電力設備に設けられた切替スイッチによって手動で選択的に設定される。この電力設備では、電力設備が第1モード、第2モードの何れのモードに設定されているかの確認は、例えば、作業員による切替スイッチの目視によって行われているため、作業員が切替スイッチを目視できない場合、電力設備の状態を確認できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1モードと前記第1モードとは異なる第2モードとが手動により選択的に設定される電力設備に設けられ、前記第1モードが設定されると開き、前記第2モードが設定されると閉じるスイッチと、前記スイッチに並列接続される抵抗と、前記抵抗に電流が流れるか否かに応じて、前記スイッチの開閉を検出する検出装置と、前記検出装置による前記スイッチの開閉の検出結果が事前に定められている前記スイッチの開閉と異なる場合、警報を発生する警報装置と、を備えたことを特徴とする電力設備の状態検出装置である。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電力設備の状態を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態における監視装置を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるスイッチの開閉と測定装置で検出される電圧との関係を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態における状態監視装置の機能を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態における管理装置の機能を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態における端末装置の機能を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態における状態監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態における状態監視装置の機能を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態における管理装置の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
[第1実施形態]
===排水ポンプ盤===
以下、図1を参照して、本実施形態に用いられる排水ポンプ盤について説明する。
図1は、本実施形態における監視装置を示す図である。尚、説明の便宜上、例えば3個の排水ポンプ盤1乃至3(電力設備)が発電所200に設けられているものとする。排水ポンプ盤1乃至3は、同様な構成であるので、排水ポンプ盤1の構成についてのみ説明し、排水ポンプ盤2、3の構成の説明は省略する。
【0010】
排水ポンプ盤1は、発電所200に設けられた、漏水した水を排水するための排水ポンプ(不図示)を制御するための設備である。排水ポンプ盤1は、切替スイッチSW11、スイッチSW12、端子11、12を有している。切替スイッチSW11は、排水ポンプ盤1に対して自動モード又は手動モードを手動で選択的に設定するためのスイッチである。尚、自動モード、手動モードの詳細については、後述する。スイッチSW12は、切替スイッチ11によって設定されたモードに基づいて開閉するスイッチである。端子11、12は、排水ポンプ盤1に電気機器を接続するための、排水ポンプ盤1に設けられた端子である。端子11、12の間にはスイッチSW12が接続されている。
【0011】
例えば、切替スイッチSW11をA1方向に回動させた場合、排水ポンプ盤1は自動モードに設定される。この場合、排水ポンプ盤1は、排水ポンプが所定のプログラムに基づいて自動的に動作するように、排水ポンプの動作モードを切り替える。又、この場合、排水ポンプ盤1に設定されたモードを示すモード信号D1に基づいて、スイッチSW12は閉じる。
【0012】
例えば、切替スイッチSW11をB1方向に回動させた場合、排水ポンプ盤1は手動モードに設定される。この場合、排水ポンプ盤1は、排水ポンプが手動操作で動作するように、排水ポンプの動作モードを切り替える。この場合、例えば、排水ポンプ盤1に設けられた操作ボタン(不図示)によって、排水ポンプを起動させたり、停止させたりできる状態となる。又、この場合、排水ポンプ盤1に設定されたモードを示すモード信号D1に基づいて、スイッチSW12は開く。
【0013】
===監視装置===
以下、図1を参照して、本実施形態における監視装置について説明する。
監視装置100は、排水ポンプ盤1乃至3に設定されたモードを監視するための装置である。監視装置100は、測定装置4(検出装置)、状態監視装置5、管理装置6、端末装置7、例えば3個の抵抗R1乃至R3を含んで構成される。
【0014】
抵抗R1乃至R3は夫々、スイッチSW12、SW22、SW32の開閉を検出するための抵抗である。抵抗R1は、スイッチSW12に対して並列接続されるように、一端が端子11に接続され、他端が端子12に接続される。抵抗R2は、スイッチSW22に対して並列接続されるように、一端が端子21に接続され、他端が端子22に接続される。抵抗R3は、スイッチSW32に対して並列接続されるように、一端が端子31に接続され、他端が端子32に接続される。スイッチSW12及び抵抗R1からなる並列接続体(以下、「排水ポンプ盤1の並列接続体」と称する)、スイッチSW22及び抵抗R2からなる並列接続体(以下、「排水ポンプ盤2の並列接続体」と称する)、スイッチSW32及び抵抗R3からなる並列接続体(以下、「排水ポンプ盤3の並列接続体」と称する)が直列接続されるように、端子12と端子21、端子22と端子31は接続される。尚、抵抗R1乃至R3の抵抗値については後述する。
【0015】
測定装置4は、直列接続された排水ポンプ盤1乃至3の並列接続体に対して一定電流を供給して、直列接続された排水ポンプ盤1乃至3の並列接続体の両端の電圧を測定するための装置である。測定装置4は、例えば発電所200内に設けられる。測定装置4は、電流源43、電圧計44、端子41、42を有している。電流源43は、一定電流(例えば1アンペア)を供給する。電圧計44は、端子41、42の間の電圧を測定する。端子41、42の間には電流源43、電圧計44が接続されている。尚、測定装置4は、電圧計44で測定された電圧を示す電圧情報D4を、例えば1秒間隔で状態監視装置5に送信するものとする。
【0016】
状態監視装置5は、排水ポンプ盤1乃至3に設定されたモードを、電圧情報D4に基づいて監視する。又、状態監視装置5は、発電所200の排水ポンプ盤1乃至3が設けられた建屋(不図示)(以下、「発電所200の建屋」と称する)への入室を管理する。状態監視装置5は、例えば発電所200内に設けられる。尚、状態監視装置5の詳細については後述する。
【0017】
管理装置6は、状態監視装置5の監視結果を表示したり、端末装置7に警報を発生させたりする装置である。管理装置6は、例えば制御所300内に設けられる。尚、管理装置6の詳細については後述する。
【0018】
端末装置7は、例えば発電所200の建屋内で作業を行う作業員が携帯する装置である。尚、端末装置7の詳細については後述する。
【0019】
===抵抗値、測定装置の測定結果===
以下、図1、図2を参照して、本実施形態における抵抗の抵抗値と測定装置の測定結果について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態におけるスイッチの開閉と測定装置で検出される電圧との関係を示す図である。
抵抗R1乃至R3の抵抗値は、測定装置4で測定された電圧に基づいてスイッチSW12、SW22、SW32夫々の開閉を検出できるように、相互に異なる2のべき乗に応じた値に設定される。抵抗R1乃至R3の抵抗値は夫々、例えば、1オーム、2オーム、4オームに設定される。
【0021】
例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が全て閉じた(ON)場合(ケース0)、抵抗R1乃至R3に電流(例えば1アンペア)が供給されないので、測定装置4の測定結果は0ボルトとなる。例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が夫々、開(OFF)、閉、閉とされた場合(ケース1)、抵抗R1に電流が供給されて、抵抗R2、R3に電流が供給されないので、測定装置4の測定結果は1ボルトとなる。例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が夫々、ON、OFF、ONとされた場合(ケース2)、抵抗R2に電流が供給されて、抵抗R1、R3に電流が供給されないので、測定装置4の測定結果は2ボルトとなる。例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が夫々、OFF、OFF、ONとされた場合(ケース3)、抵抗R1、R2に電流が供給されて、抵抗R3に電流が供給されないので、測定装置4の測定結果は3ボルトとなる。例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が夫々、ON、ON、OFFとされた場合(ケース4)、抵抗R3に電流が供給されて、抵抗R1、R2に電流が供給されないので、測定装置4の測定結果は4ボルトとなる。例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が夫々、OFF、ON、OFFとされた場合(ケース5)、抵抗R1、R3に電流が供給されて、抵抗R2に電流が供給されないので、測定装置4の測定結果は5ボルトとなる。例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が夫々、ON、OFF、OFFとされた場合(ケース6)、抵抗R2、R3に電流が供給されて、抵抗R1に電流が供給されないので、測定装置4の測定結果は6ボルトとなる。例えば、スイッチSW12、SW22、SW32が全てOFFとされた場合(ケース7)、抵抗R1乃至3に電流が供給されるので、測定装置4の測定結果は7ボルトとなる。
【0022】
===状態監視装置===
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態における状態監視装置について説明する。図3は、本実施形態における状態監視装置の機能を示すブロック図である。
【0023】
状態監視装置5は、送受信部51、読取部52、入力部53、比較部54、表示警報部55、入室管理部56、制御部57、計時部58、記憶部59を有している。尚、比較部54、表示警報部55が、警報装置に相当する。スイッチSW12、SW22、SW32、抵抗R1乃至R3、測定装置4、比較部54、表示警報部55が、電力設備の状態検出装置に相当する。
【0024】
送受信部51は、測定装置4から電圧情報D4を受信したり、管理装置6に対して監視情報D5を送信したりする。尚、監視情報D5には、電圧情報D4と、後述する比較部54から出力される比較情報とが含まれているものとする。
【0025】
読取部52は、端末装置7との間で近距離無線通信を行って、端末装置7のメモリ(不図示)に記憶された識別番号を読み取るための装置である。尚、端末装置7の詳細については後述する。読取部52は、端末装置7との間で近距離無線通信を行うための電波を例えば1秒間隔で発射しており、端末装置7と読取部52との間の距離が例えば10センチメートル以内となった際に、端末装置7の識別番号を示す識別情報を端末装置7から受信するものとする。
【0026】
入力部53は、状態監視装置5に対して情報を入力するための例えばキーボードである。
計時部58は、現在時刻を計時するタイマである。
【0027】
記憶部59は、例えば第1の領域591、第2の領域592、第3の領域593、第4の領域594を有している。第1の領域591には、状態監視装置5を動作させるためのプログラムが記憶される。第2の領域592には、発電所200の建屋に入室するときに受信した電圧情報D4(以下、「入室時の電圧情報」と称する)が記憶される。第3の領域593には、発電所200の建屋から退室するときに受信した電圧情報D4(以下、「退室時の電圧情報」と称する)が記憶される。第4の領域594には、端末装置7の識別番号を認証するための認証情報が記憶される。
【0028】
比較部54は、入室時の電圧情報に示された電圧値と、退室時の電圧情報に示された電圧値とが一致しているか否か比較し、比較結果を示す比較情報を出力する。
【0029】
表示警報部55は、比較部54から出力された比較情報に基づいて、入室時の電圧情報に示された電圧値と、退室時の電圧情報に示された電圧値とが一致していない場合、警報を発生する装置である。表示警報部55は、例えば警報音を発生するスピーカ(不図示)、比較情報に基づく情報を表示するためのディスプレイ(不図示)を有している。
【0030】
入室管理部56は、読取部52で受信した識別情報と、第4の領域594に記憶された認証情報とに基づいて、発電所200の建屋の入口(不図示)の錠前を開錠したり、施錠したりする。例えば、読取部52で受信した識別情報が、発電所200の建屋への入室を許可されたものと認証された場合、入室管理部56は、発電所200の建屋の入口の錠前を開錠する。一方、例えば、読取部52で受信した識別情報が、発電所200の建屋への入室を許可されたものと認証されない場合、入室管理部56は、発電所200の建屋の入口の錠前を開錠しない。
制御部57は、第1の領域591に記憶されたプログラムに基づいて、状態監視装置5を制御する。
【0031】
===管理装置===
以下、図1乃至図4を参照して、本実施形態における管理装置について説明する。図4は、本実施形態における管理装置の機能を示すブロック図である。
管理装置6は、送受信部61、入力部62、表示部63、判断部64、計時部65、制御部66、記憶部67を有している。
【0032】
送受信部61は、状態監視装置5から監視情報D5を受信する。送受信部61は、端末装置7に対して、警報を発生させたり、情報を表示させたりする指示情報D7を送信する。送受信部61は、端末装置7から端末装置7の位置を示す位置情報D8を受信する。尚、端末装置7の詳細については後述する。
【0033】
入力部62は、管理装置6に対して情報を入力するための例えばキーボードである。
表示部63は、比較情報に基づく情報を表示するための例えばディスプレイである。
計時部65は、現在時刻を計時するタイマである。
【0034】
記憶部67は、例えば第1の領域671、第2の領域672、第3の領域673を有している。第1の領域671には、管理装置6を動作させるためのプログラムが記憶される。第2の領域672には、測定装置4で測定された電圧と、監視情報D5を受信した時刻とが関連付けられた状態で記憶される。第3の領域673には、例えば発電所200の建屋の位置を示す位置情報が記憶される。
【0035】
判断部64は、端末装置7から受信した位置情報D8、第3の領域673に記憶された位置情報に基づいて、発電所200の建屋と端末装置7との間の距離が所定距離(例えば100メートル)以上となったか否かを判断する。
【0036】
制御部66は、第1の領域671に記憶されたプログラムに基づいて、管理装置6を制御する。
【0037】
例えば、入室時の電圧情報に示された電圧値と、退室時の電圧情報に示された電圧値とが一致していない場合、制御部66は、表示部63に、例えば、スイッチSW12、SW22、SW32開閉のうち、何れのスイッチの開閉が一致していないかを表示する。
【0038】
例えば、発電所200の建屋と端末装置7との間の距離が所定距離以上となったと判断部64が判断した場合、制御部66は、端末装置7に対して警報を発生させるための指示情報D7を送受信部61から送信する。
【0039】
例えば、端末装置7に表示させる情報が入力部62から入力された場合、制御部66は、端末装置7に情報を表示させるための指示情報D7を送受信部61から送信する。
【0040】
===端末装置===
以下、図1乃至図5を参照して、本実施形態における端末装置について説明する。図5は、本実施形態における端末装置の機能を示すブロック図である。
端末装置7は、送受信部71、表示部72、位置検出部73、記憶部74、無線通信部75、制御部76、警報部77を有している。
【0041】
送受信部71は、管理装置6から指示情報D7を受信したり、位置情報D8を送信したりする。送受信部71は、例えば30秒毎に位置情報D8を送信するものとする。
表示部72は、指示情報D7に基づく情報を表示するための例えばディスプレイである。
位置検出部73は、例えばGPS衛星を利用して端末装置7の位置を検出する装置である。
【0042】
記憶部74は、例えば第1の領域741、第2の領域742を有している。
第1の領域741には、端末装置7を制御するためのプログラムが記憶される。第2の領域742には、例えば発電所200の建屋に入室するための識別番号が記憶される。
【0043】
無線通信部75は、端末装置7と読取部52との間の距離が例えば10センチメートル以内となった際に、読取部52との間で近距離無線通信を行う。
制御部76は、第1の領域741に記憶されたプログラムに基づいて、端末装置7を制御する。
【0044】
警報部77は、指示情報D7に基づいて、警報を発生する例えばスピーカである。
例えば、指示情報D7を受信した場合、制御部76は、表示部72に情報を表示させたり、警報部77から警報を発生させたりする。
【0045】
===状態監視装置の動作===
以下、図1乃至図6を参照して、本実施形態における状態監視装置の動作について説明する。図6は、本実施形態における状態監視装置の動作を示すフローチャートである。
例えば、状態監視装置5の開始ボタン(不図示)を押下して、第1の領域591に記憶されたプログラムの実行が開始し、制御部57が状態監視装置5の制御動作を開始したところから説明する。
【0046】
状態監視装置5は、読取部52と端末装置7との間で近距離無線通信が行われるように、端末装置7が読取部52にかざされた否かを判断する(ステップS1)。例えば、端末装置7が読取部52にかざされない場合(ステップS1のNO)、状態監視装置5は、上記ステップS1の判断を再度行う。一方、例えば、端末装置7が読取部52にかざされた場合(ステップS1のYES)、状態監視装置5は、入室時の電圧情報を第2の領域592に記憶する(ステップS2)。
【0047】
状態監視装置5は、読取部52と端末装置7との間で近距離無線通信が行われるように、端末装置7が読取部52にかざされた否かを再度判断する(ステップS3)。例えば、端末装置7が読取部52にかざされない場合(ステップS3のNO)、状態監視装置5は、上記ステップS3の判断を再度行う。一方、例えば、端末装置7が読取部52にかざされた場合(ステップS3のYES)、状態監視装置5は、退室時の電圧情報を第3の領域593に記憶する(ステップS4)。
【0048】
状態監視装置5は、入室時の電圧情報に示された電圧値と、退室時の電圧情報に示された電圧値とが一致しているか否かを比較し、比較結果を示す比較情報を出力する(ステップS5)。状態監視装置5は、比較情報に基づいて、入室時の電圧情報に示された電圧値(以下、「入室時の電圧値」と称する)と、退室時の電圧情報に示された電圧値(以下、「退室時の電圧値」と称する)とが一致しているか否かを判断する(ステップS6)。例えば、入室時の電圧値と退室時の電圧値とが一致していると判断された場合(ステップS6のYES)、制御部57は、状態監視装置5の制御動作を終了する。一方、例えば、入室時の電圧値と退室時の電圧値とが一致していないと判断された場合(ステップS6のNO)、状態監視装置5は、表示警報部55から警報を発生させる(ステップS7)。状態監視装置5は、表示警報部55から警報を発生させてから所定時間以内に、読取部52と端末装置7との間で近距離無線通信が行われるように、端末装置7が読取部52にかざされた否かを判断する(ステップS8)。例えば、所定時間以内に、端末装置7が読取部52にかざされない場合(ステップS8のNO)、制御部57は状態監視装置5の制御動作を終了する。一方、例えば、所定時間以内に、端末装置7が読取部52にかざされた場合(ステップS8のYES)、状態監視装置5は、上記ステップS4の制御を再度行う。
【0049】
前述したように、排水ポンプ盤1は、自動モードと手動モードとが手動により選択的に設定される。スイッチSW12は、排水ポンプ盤1に設けられる。例えば、排水ポンプ盤1が自動モードに設定された場合、スイッチSW12は閉じる。例えば、排水ポンプ盤1が手動モードに設定された場合、スイッチSW12は開く。抵抗R1は、スイッチSW12に対して並列接続される。測定装置4は、抵抗R1に電流が流れるか否かに応じて、スイッチSW12の開閉を検出する。表示警報部55は、第2の領域592に記憶された電圧情報に示される電圧値と、第3の領域593に記憶された電圧情報に示される電圧値とが一致していない場合、警報を発生する。よって、監視装置100は、排水ポンプ盤1(電力設備)が自動モードと手動モードの何れのモードに設定されているかの、電力設備の状態を検出できる。
【0050】
又、排水ポンプ盤1乃至3に夫々設けられた抵抗R1乃至R3の抵抗値は、異なる値に設定される。排水ポンプ盤1乃至3の並列接続体は、直列接続される。測定装置4は、抵抗R1乃至R3に電流が流れるか否かに応じて、スイッチSW12、SW22、SW32の開閉を検出する。よって、複数の電力設備の状態を検出できる。
【0051】
又、抵抗R1乃至R3の抵抗値は、2のべき乗に応じた値に設定される。よって、例えば、スイッチSW12、SW22、SW32の開閉を、測定装置4で測定された電圧の値から容易に判断できる。よって、利便性の高い電力設備の状態検出装置を提供できる。
【0052】
又、検出装置4は、直列に接続された排水ポンプ盤1乃至3の並列接続体の両端の電圧に基づいて、スイッチSW12、SW22、SW32の開閉を検出する。よって、複数の電力設備の状態を検出するとき、複数の電力設備と測定装置4との間の配線を単純にできる。従って、電力設備の状態検出装置の利便性を更に向上できる。
【0053】
又、例えば、第2の領域592に入室時の電圧情報が記憶され、第3の領域593に退室時の電圧情報が記憶されている場合、発電所200の建屋から退室するときの電力設備の状態が、入室するときの電力設備の状態と異なる際、警報が発生する。よって、発電所200の建屋内で作業を行った際、電力設備のモードの戻し忘れを防止できる。
【0054】
又、管理装置6の第2の領域672には、監視情報D5に基づいて、測定装置4で測定された電圧と、監視情報D5を受信した時刻とが関連付けられた状態で記憶される。よって、第2の領域672に記憶された情報を確認することによって、発電所200の電力設備の状態を、発電所200から離れた例えば制御所300で確認できる。
【0055】
又、発電所200の建屋と端末装置7との間の距離が所定距離以上となったとき、管理装置6は、端末装置7に警報を発生させる。よって、例えば、発電所200の建屋から退室するときの電力設備の状態が、入室するときの電力設備の状態と一致するか否かの確認を行わずに、発電所200の建屋から端末装置7を携帯した作業員が離れるのを防止できる。
【0056】
[第2実施形態]
===監視装置、状態監視装置、管理装置===
本実施形態における監視装置100Aは、第1実施形態における状態監視装置5、管理装置6を夫々、状態監視装置5A、管理装置6Aに変更したものである。尚、状態監視装置5A、管理装置6A以外の構成は、第1実施形態における監視装置100と同様であるので、その説明は省略する。
【0057】
以下、図1、図7、図8を参照して、本実施形態における監視装置、状態監視装置、管理装置について説明する。図7は、本実施形態における状態監視装置の機能を示すブロック図である。尚、図3に示された機能を示すブロックと同様な機能を示すブロックについては、同様な符号を付すのみで、その説明は省略する。図8は、本実施形態における管理装置の機能を示すブロック図である。尚、図4に示された機能を示すブロックと同様な機能を示すブロックについては、同様な符号を付すのみで、その説明は省略する。
【0058】
監視装置100Aは、状態監視装置5A、管理装置6Aを有している。
状態監視装置5Aは、通常状態設定部58A、記憶部59Aを有している。記憶部59Aは、例えば第5の領域595Aを有している。第5の領域595Aには、第3の領域593に記憶された退室時の電圧情報に示される電圧値と比較するための、管理装置6Aから送信された情報に基づく作業後の電圧情報が記憶される。通常状態設定部58Aは、管理装置6Aから送信された情報に基づいて、作業後の電圧情報を第5の領域595Aに記憶する。
【0059】
管理装置6Aは、送受信部61A、選択部66Aを有している。送受信部61Aは、入力部62によって管理装置6Aに入力された情報に基づいて、作業後の電圧情報を状態監視装置5Aに送信する。選択部66Aは、状態監視部5Aで第3の領域593に記憶された退室時の電圧情報に示される電圧値の比較対象を、第2の領域592に記憶された入室時の電圧情報に示される電圧値、第5の領域595Aに記憶された作業後の電圧情報に示された電圧値から選択する。
【0060】
前述したように、入室時の電圧情報に示される電圧値、作業後の電圧情報に示された電圧値のうち何れか一方を、退室時の電圧情報に示される電圧値の比較対象として選択できる。よって、例えば電力設備のモードを所定のモードに変更した後の状態で測定装置4によって測定される電圧を、作業後の電圧情報として記憶した際、電力設備のモードが所定のモードに変更されているか否かを検出できる。又、選択部66Aによって比較対象を選択できるので、電力設備の状態検出装置の利便性を更に向上できる。
【0061】
尚、上記第1及び第2実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0062】
第1実施形態においては、測定装置4で電圧を測定する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、測定装置4から一定電圧を出力して、電流を測定する構成としてもよい。
【0063】
又、第1実施形態においては、例えば1個の測定装置4によって電力設備の状態を検出する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、測定装置4と同様な測定装置を複数設けて、各測定装置から送信される電圧情報に基づいて、電力設備の状態を検出する構成としてもよい。その場合、例えば、スイッチ及び抵抗からなる並列接続体を直列接続する数を減らすことができる。よって、直列接続された並列接続体に対して一定電流を供給するための電流源の電力を低減できる。従って、汎用的な電流源を利用できるので、電力設備の状態検出装置を低コストで提供できる。
【0064】
又、第1実施形態においては、電力設備の状態検出装置を用いて排水ポンプ盤の状態を検出する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、変電所に設けられた所内変圧器を切り替えるためのGPT盤の状態を検出する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、2、3 排水ポンプ盤
4 測定装置
5、5A 状態監視装置
6、6A 管理装置
7 端末装置
11、12、21、22、31、32、41、42 端子
43 電流源
44 電圧計
51、61、61A、71 送受信部
52 読取部
53、62 入力部
54 比較部
55 表示警報部
56 入室管理部
57、66、76 制御部
58、65 計時部
58A 通常状態設定部
59、59A、67、74 記憶部
63、72 表示部
64 判断部
66A 選択部
73 位置検出部
75 無線通信部
77 警報部
100、100A 監視装置
200 発電所
300 制御所
591、671、741 第1の領域
592、672、742 第2の領域
593、673 第3の領域
594 第4の領域
595A 第5の領域
SW11、SW21、SW31 切替スイッチ
SW12、SW22、SW32 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モードと前記第1モードとは異なる第2モードとが手動により選択的に設定される電力設備に設けられ、前記第1モードが設定されると開き、前記第2モードが設定されると閉じるスイッチと、
前記スイッチに並列接続される抵抗と、
前記抵抗に電流が流れるか否かに応じて、前記スイッチの開閉を検出する検出装置と、
前記検出装置による前記スイッチの開閉の検出結果が事前に定められている前記スイッチの開閉と異なる場合、警報を発生する警報装置と、
を備えたことを特徴とする電力設備の状態検出装置。
【請求項2】
前記電力設備は、複数設けられ、
前記電力設備ごとの前記抵抗の値は、相互に異なる値に設定され、
前記電力設備ごとの前記スイッチ及び前記抵抗からなる並列接続体は、直列接続され、
前記検出装置は、前記複数の並列接続体を夫々構成する前記抵抗に電流が流れるか否かに応じて、前記複数の並列接続体を夫々構成する前記スイッチの開閉を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力設備の状態検出装置。
【請求項3】
前記電力設備ごとの前記抵抗の値は、2のべき乗に応じた値に設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の電力設備の状態検出装置。
【請求項4】
前記検出装置は、直列接続された前記複数の並列接続体の両端の電圧に基づいて、前記複数の並列接続体を夫々構成する前記スイッチの開閉を検出する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電力設備の状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−89186(P2013−89186A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232027(P2011−232027)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】