説明

電力貯蔵機器の制御方法、電力貯蔵機器制御装置及び電力貯蔵システム

【課題】電力貯蔵機器の最適制御を行うための制御方法、この制御方法を実装した電力貯蔵機器制御装置、及び、これらの機器から構成される電力貯蔵システムを提供する。
【解決手段】電力貯蔵機器の放電量を、需要の上振値に基づいて契約電力超過防止のために必要となる電力量(ピークオーバ防止用確保量)を算出して残量を放電可能量とし、また、下振値に基づいて逆潮流せずに今後放電可能な電力量(料金単価の昼夜間格差利用放電可能量)を算出して残量を放電必要量とし、これらの放電可能量と放電必要量との範囲内で決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に代表される電力貯蔵機器の制御方法、この制御方法を実装した電力貯蔵機器制御装置、及び、これらの機器から構成される電力貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気料金削減のために、夜間に電気を充電(貯蔵)し、昼間に放電することを基本的な運用とする電力貯蔵システムが設置される場合がある。電気料金を削減するための運用方法としては、夜間に充電した電気を昼間の高需要時に放電することで、最大電力抑制による契約電力の削減、すなわち、電気料金の基本料金の削減や、契約電力超過(以下、「ピークオーバ」と呼ぶ)を防止することによる違約金の削減が図られる。これに加えて、電気料金の安い夜間に充電し、電気料金の高い昼間に放電することで、従量料金の削減を図る(以下、「料金単価の昼夜間格差利用」と呼ぶ)こともできる。
【0003】
電力貯蔵システムは、一般に、実際に電力を充放電する電力貯蔵機器と、その充放電を制御する電力貯蔵機器制御装置(以下、単に「制御装置」と呼ぶ)とから構成される。この制御装置が放電を決定するに当たっては、将来の高需要時に放電するために電力を温存する必要がある一方、料金単価の昼夜間格差を最大限利用するためには全量放電し切る必要があるといった、相反する制約がある。この相反する制約のため、従来は、日負荷曲線を想定し、この想定値に基づき放電量を決定するような種々の制御装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の制御装置によると、実際の需要が想定値と一致した場合には、電力貯蔵機器の最適な制御が行われることになる。
【特許文献1】特開2006−109621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、想定した日負荷曲線はあくまで見込み値であり、多くの場合実際の値とは差が生じ、電力貯蔵機器の最適な制御とはならない。すなわち、従来の制御装置による制御では、多くの場合、電力貯蔵機器の最適制御となっていないという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、電力貯蔵機器の最適制御を行うための制御方法、この制御方法を実装した電力貯蔵機器制御装置、及び、これらの機器から構成される電力貯蔵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る電力貯蔵機器の制御方法は、負荷に電力を供給する電力貯蔵機器の制御方法であって、負荷の需要予測データの上振値に基づいて、契約電力超過防止のために必要となるピークオーバ防止用確保量を算出し、電力貯蔵機器の現在の電池容量からの残量を放電可能量とし、需要予測データの下振値に基づいて、逆潮流せずに今後放電可能な電池容量を料金単価の昼夜間格差利用放電可能量として算出し、電力貯蔵機器の現在の電池容量からの残量を放電必要量とし、電力貯蔵機器の放電量を、放電可能量以下で、且つ、放電必要量以上の範囲で決定する。
【0007】
このような本発明に係る電力貯蔵機器の制御方法は、現在時刻tnの翌時刻tn+1以降の需要予測データの上振値をpH(t)とし、二部料金制における昼間料金が終了する時刻をteとし、契約電力をPcとし、電力貯蔵機器の最大出力をDmaxとしたとき、現在時刻tnにおけるピークオーバ防止用確保量Ed(tn)を、次式
【数9】

により算出し、現在時刻tnの翌時刻tn+1以降の需要予測データの下振値をpL(t)とし、最低受電量をRlとしたとき、現在時刻tnにおける料金単価の昼夜間格差利用放電可能量Ef(tn)を、次式
【数10】

により算出することが好ましい。
【0008】
また、このような本発明に係る電力貯蔵機器の制御方法は、電力貯蔵機器の放電量の上限制約U0を、現在時刻tnにおける負荷の実需要をP(tn)とし、現在時刻tnにおける電力貯蔵機器の電池残量をQ(t)として、次式
【数11】

により算出し、放電量の下限制約L0を、次式
【数12】

のように設定し、放電量の下限制約L1を、次式
【数13】

により算出し、放電量の上限制約U2を、次式
【数14】

により算出し、放電量の下限制約L3を、次式
【数15】

により算出し、現在時刻tnにおける電力貯蔵機器の放電量D(tn)を、次式
【数16】

により決定するように構成されることが好ましい。
【0009】
また、このような本発明に係る電力貯蔵機器の制御方法は、需要予測データの上振値及び下振値を任意の時点で置き換えて、任意の時間間隔で放電量を決定するように構成されることが好ましい。需要予測データの上振値及び下振値は、定期的あるいは事前の需要予測と現在時刻までの需要実績の誤差が大きくなった際等に適宜与え直すことにより、より最適な制御とすることができる。
【0010】
また本発明に係る電力貯蔵機器制御装置は、上述の電力貯蔵機器の制御方法のいずれかが実装され、電力貯蔵機器の放電動作を制御するように構成される。
【0011】
また本発明に係る電力貯蔵システムは、負荷に電力を供給する電力貯蔵機器と、この電力貯蔵機器の放電動作を制御する上述の電力貯蔵機器制御装置と、を有して構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電力貯蔵機器の制御方法、この制御方法を実装した電力貯蔵機器制御装置、及び、これらの機器から構成される電力貯蔵システムによれば、将来需要の見込み値と実際の値とに誤差が生じた場合にも、電力貯蔵機器の最適な制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて、本発明に係る電力貯蔵機器の制御方法が実装された制御装置を有する電力貯蔵システムの構成について説明する。この電力貯蔵システム10は、二次電池等で構成される電力貯蔵機器20と、この電力貯蔵機器20の運転状態を制御する電力貯蔵機器制御装置30とから構成される。電力貯蔵機器20は、制御装置30からの指令信号に応じて、系統50から電力供給を受けて電力を蓄える(充電する)か、若しくは、蓄えられた電力を負荷60に供給する(放電する)ように構成されている。
【0014】
制御装置30は、電力貯蔵機器20を制御するための基本データが記憶される第1の記憶部33と、所定の期間内の需要予測データが記憶される第2の記憶部34と、例えば需要予測システム40のような外部のシステム若しくは装置から上記需要予測データを受信して第2の記憶装置34に記憶する需要予測取得部31と、第1及び第2の記憶部33,34等に記憶されたデータに基づいて電力貯蔵機器20の放電量を決定する制御処理部32と、を有して構成される。なお、第1の記憶部33に記憶される基本データとしては、電力貯蔵機器20の電池最大出力、この電力貯蔵システム10が設置されている需要家の契約電力、最低受電量、時間帯別料金制における昼間料金終了時刻等であり、予め設定されている。また、第2の記憶部34に記憶される需要予測データは、表1に示すように、所定の時刻t毎の、予測需要の上振れ値(これより大きくならないと見込まれる値)pH(t)及び下振れ値(これより小さくならないと見込まれる値)pL(t)の組で構成され、少なくとも現在時刻tnの次の時刻tn+1から昼間料金終了時刻teまでの予測値が含まれる。なお、需要予測取得部31は、所定の周期で需要予測システム40から需要予測データを受信するように構成しても良いし、制御処理部32の指示により需要予測データを取得するように構成しても良い。
【0015】
【表1】

【0016】
それでは、以上のような構成の電力貯蔵システム10における制御装置30による電力貯蔵機器20の放電量(電池出力)の決定方法について図2を合わせて用いて説明する。なお、以降の説明において前提とする電気需給契約は、種々ある電気料金メニューのうち、電力貯蔵システム10を導入した需要家が一般的に採用する契約と考えられる、年間最大の受電電力[kW]を元に定まる基本料金[円/kW]と、実際に使用した電力量[kWh]に応じて定まる従量料金[円/kWh]とからなる二部料金制で、且つ、従量料金は昼間時間帯に比べて夜間時間帯の方が安い、時間帯別料金制を前提としている。
【0017】
一般的には、ピークオーバ防止の方が昼夜間料金格差利用よりも経済的であるため、高需要時に契約電力を超過しないための放電を優先し、次に、夜間に貯めた安価な電力を最大限に利用すべく、逆潮流制約等の各種制約の下、昼間料金時間帯終了時刻までに全量放電しきるようにする。この2つの目的には背反する点がある。例えば、契約電力超過対応に電池残量を温存しすぎると、昼間料金時間帯終了時刻までに放電しきれず、昼夜間料金差のメリットを生かせなくなる。反対に、昼夜間料金差利用のため早めに放電を始めると、夕刻に予想外の高需要となった場合、電池残量が枯渇し受電抑制ができず、契約電力超過となる。
【0018】
そのため、本実施の形態に係る制御装置30の制御処理部32では、まず、今後見込まれる需要の上振れ値を元に、契約電力超過防止に必要となる電池残量を優先して確保し、残量を放電可能量とする。次に、今後見込まれる需要の下振れ値を元に逆潮流せずに放電可能な量を算出し、残量を放電必要量とする。そして、現時点での放電量は、この放電必要量(下限)から放電可能量(上限)までの範囲内を基本とし、他の種々の制約を考慮して決定する。具体的には以下に示す電力貯蔵機器20の放電量の制約条件0(優先度高:U0,L0)から制約条件4(優先度低:U4)に向かって順次、条件が満たされなくなるまで適用する。ここで、「条件が満たされなくなる」とは、その制約条件が上限制約の場合は直前に適用した下限制約より小さな値になることを言い、反対に、下限制約の場合は直前に適用した上限制約より大きな値になることを言う。なお、条件が満たされなくなった制約は、条件を満たしていないものの、放電量を制約する制約側の値(上限制約の場合は低値、下限制約の場合は高値)とする。但し、優先度の最も高い上限制約U0と下限制約L0の範囲を超えないものとする。
【0019】
(上限制約U0
まず、制御処理部32は、優先度の最も高い上限制約U0を、電力貯蔵機器20の最大出力をDmaxとし、現在時刻tnにおける負荷60の実需要をP(tn)とし、最低受電量をRlとし、現在時刻tnにおいて電力貯蔵機器20に蓄えられている電気エネルギー残量(仕事率換算値であって、以下「電池残量」と呼ぶ)をQ(t)として、次式(1)により算出して適用する。ここで、現在の実需要P(tn)は負荷60に電力を供給する設備(例えば電力量計)から取得し、電池残量Q(t)は電力貯蔵機器20から取得し、最大出力Dmax及び最低受電量Rlは第1の記憶部33から取得することができる。
【0020】
【数17】

【0021】
この式(1)に示される上限制約U0は、電力貯蔵機器20の放電量が、この電力貯蔵機器20の最大出力Dmax、逆潮流を防止するための出力max{P(tn)−Rl,0}、及び、電力貯蔵機器20の電池残量Q(t)のいずれをも超えない値(すなわち、これらの値のうち最も低い値)にするための制約条件である。上述のように逆潮流制約があるため電力貯蔵機器20の放電量を実需要P(tn)を超えた値にすることはできず、また、この電力貯蔵機器20は、その最大出力Dmaxを超えた放電や、現在の電池残量Q(t)を超えた放電を行うことはできないからである。なお、逆潮流を防止するための条件は、理論的には現在の実需要P(tn)だけでも良いが(すなわち、Rl=0と等価)、一般的には電力貯蔵機器20の出力を時々刻々と変化する需要に瞬時に追従させることは困難であり、必ず誤差や時間遅れが生じるため、逆潮流を起こさせないように、この電力貯蔵機器20から放電される電力量に余裕を持たせるために、この余裕を最低受電量Rlで確保している。なお、逆潮流が許される場合は、最低受電量Rlに、許される逆潮流電力量を負の値として設定することで対応可能である。
【0022】
(下限制約L0
また、制御処理部32は、優先度の最も高い下限制約L0を、次式(2)に示すように0に設定して適用する。これは、充電を行わない場合の電力貯蔵機器20の放電量の最低値である(すなわち、放電をしていない状態)。
【0023】
【数18】

【0024】
(下限制約L1
次に、制御処理部32は、この需要家の契約電力をPcとして、下限制約L1を次式(3)により算出して適用する。
【0025】
【数19】

【0026】
この式(3)は、契約電力超過防止のための制約条件であり、現在時刻tnにおいて、系統50から受電する電力量が契約電力量を超えないようにするために電力貯蔵機器20が出力(放電)すべき量である。
【0027】
(上限制約U2
また、制御処理部32は、電力貯蔵機器20の放電量が、下限制約L1を満足する場合は、現在時刻tnにおいて、翌時刻以降当日昼間料金時間終了までの間に、ピークオーバ防止のために必要となる電力量(需要上振れリスク込のピークオーバ防止用確保量)をEd(tn)として、上限制約U2を次式(4)により算出して適用する。
【0028】
【数20】

【0029】
この式(4)は、図2に示すように、現時点での電池残量から、需要予測データに従って今後ピークオーバ防止のために必要となる量を差し引いた電力量を示し、この電力量が、現時点で出力して良い量とするものである。ここで、現在時刻tnにおけるピークオーバ防止用確保量Ed(tn)は、第2の記憶部34に記憶されている需要予測データから、次式(5)により求められる。なお、teは、昼間料金終了時刻であって、第1の記憶部33から取得することができる。
【0030】
【数21】

【0031】
この式(5)に示すように、現在時刻tnにおけるピークオーバ防止用確保量Ed(tn)は、翌時刻tn+1から昼間料金終了時刻teまでの間に、需要上振リスク環境で、電池出力制約の下、ピークオーバ防止のため放電する可能性がある電力量の積算値である。
【0032】
(下限制約L3
さらに、制御処理部32は、電力貯蔵機器20の放電量が、上限制約U2を満足する場合は、現在時刻tnにおいて、翌時刻以降当日昼間料金時間終了までの間に、逆潮流せずに放電可能な量(需要下振リスク込の料金単価の昼夜間格差利用放電可能量)をEf(tn)として、下限制約L3を次式(6)により算出して適用する。
【0033】
【数22】

【0034】
この式(6)は、図2に示すように、現在時刻での電池残量から、需要予測データに従って翌時刻以降昼間料金時間終了までの間に放電することができる量を差し引いた電力量を示し、この電力量を現時点で出力すべき値とするものである。ここで、現在時刻tnにおける料金単価の昼夜間格差利用放電可能量Ef(tn)は、第2の記憶部34に記憶されている需要予測データから、次式(7)により求められる。
【0035】
【数23】

【0036】
この式(7)に示すように、現在時刻(tn)における料金単価の昼夜間格差利用放電可能量Ef(tn)は、翌時刻tn+1から昼間料金終了時刻teまでの間に、需要下振リスク環境で、逆潮流制約及び電池出力制約の下、昼夜間格差利用のため放電可能な電力量の積算値である。
【0037】
(低値U4
なお、電力貯蔵機器20の電池容量に余裕がある場合は、ピークオーバ防止用電力の確保を優先し、放電量を抑えるものとする。
【0038】
(現在時刻の放電量)
以上より、電力貯蔵機器20は、現在時刻tnにおける放電量D(tn)を、次式(8)により算出して決定する。
【0039】
【数24】

【0040】
以上のような方法で、制御装置30による電力貯蔵機器20の放電量を決定することにより、将来需要の見込み値と実際に負荷60で使われる電力量の値とに誤差が生じた場合でも、需要の上振値に基づいて契約電力超過防止のために必要となる電池容量(ピークオーバ防止用確保量)を算出して残量を放電可能量とし、また、下振値に基づいて逆潮流せずに今後放電可能な電池容量(料金単価の昼夜間格差利用放電可能量)を算出して残量を放電必要量とし、これらの放電可能量と放電必要量との範囲内で放電量を決定するため、高需要時に放電する電力が無くなったり、昼間料金終了時刻までに放電しきれていない電力が残ったりする可能性が低くなるため、従来の制御装置による制御に比べて、電気料金の削減効果を大きくすることができる。
【0041】
例えば、実際の需要が想定値よりも大きくなった場合は、従来の制御装置では、早め・多めの放電を行ってしまい結果的に電池が枯渇し、高需要時にピークオーバ防止のための放電が行えない場合があるのに対し、本実施形態に係る制御装置30では、予め需要の上振れリスクを見込んで放電を開始するので、高需要時の電池枯渇を回避することができる。反対に、実際の需要が想定値よりも小さくなった場合、従来装置では電池残量を温存しすぎてしまい、結果的に昼間料金(割高)時間内に放電しきれず、料金単価の昼夜間格差を利用した電気料金削減策を充分に行えない場合があるのに対し、本実施形態に係る制御装置30では、予め需要の下振れリスクを見込んで放電を開始するので、放電未了を回避することができる。
【実施例】
【0042】
それでは、数値例に基づいて、上述の電力貯蔵機器の制御方法により決定される放電量について説明する。まず、放電量を決定するための条件値を以下の表2に示す(現在時刻は、図2に示す11時の場合を示している)。
【0043】
【表2】

【0044】
この表2に与えられた条件のうち、将来の需要想定値を用いて現在時刻tn=11における、ピークオーバ防止用確保量Ed(11)と、料金単価の昼夜間格差利用放電可能量Ef(11)とを求める。
【0045】
【数25】

【0046】
続いて、各制約を求める。
【0047】
【数26】

【0048】
従って、現在時刻における電力貯蔵機器20の出力(放電量)D(11)は、上述の式(8)により、以下のようになる。
【0049】
【数27】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る電力貯蔵システムの構成を示すブロック図である。
【図2】需要予測データとピークオーバ防止用確保量及び料金単価の昼夜間格差利用放電可能量との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
10 電力貯蔵システム
20 電力貯蔵機器
30 電力貯蔵機器制御装置
60 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給する電力貯蔵機器の制御方法であって、
前記負荷の需要予測データの上振値に基づいて、契約電力超過防止のために必要となるピークオーバ防止用確保量を算出し、前記電力貯蔵機器の現在の電池容量からの残量を放電可能量とし、
前記需要予測データの下振値に基づいて、逆潮流せずに今後放電可能な電池容量を料金単価の昼夜間格差利用放電可能量として算出し、前記電力貯蔵機器の現在の電池容量からの残量を放電必要量とし、
前記電力貯蔵機器の放電量を、前記放電可能量以下で、且つ、前記放電必要量以上の範囲で決定する電力貯蔵機器の制御方法。
【請求項2】
現在時刻tnの翌時刻tn+1以降の前記需要予測データの上振値をpH(t)とし、二部料金制における昼間料金が終了する時刻をteとし、契約電力をPcとし、前記電力貯蔵機器の最大出力をDmaxとしたとき、現在時刻tnにおける前記ピークオーバ防止用確保量Ed(tn)を、次式
【数1】

により算出し、
現在時刻tnの翌時刻tn+1以降の前記需要予測データの下振値をpL(t)とし、最低受電量をRlとしたとき、現在時刻tnにおける前記料金単価の昼夜間格差利用放電可能量Ef(tn)を、次式
【数2】

により算出する請求項1に記載の電力貯蔵機器の制御方法。
【請求項3】
前記電力貯蔵機器の放電量の上限制約U0を、現在時刻tnにおける前記負荷の実需要をP(tn)とし、現在時刻tnにおける前記電力貯蔵機器の電池残量をQ(t)として、次式
【数3】

により算出し、
前記放電量の下限制約L0を、次式
【数4】

のように設定し、
前記放電量の下限制約L1を、次式
【数5】

により算出し、
前記放電量の上限制約U2を、次式
【数6】

により算出し、
前記放電量の下限制約L3を、次式
【数7】

により算出し、
現在時刻tnにおける前記電力貯蔵機器の放電量D(tn)を、次式
【数8】

により決定する請求項2に記載の電力貯蔵機器の制御方法。
【請求項4】
前記需要予測データの上振値及び下振値を任意の時点で置き換えて、任意の時間間隔で前記放電量を決定する請求項1〜3いずれか一項に記載の電力貯蔵機器の制御方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項に記載の電力貯蔵機器の制御方法が実装され、電力貯蔵機器の放電動作を制御する電力貯蔵機器制御装置。
【請求項6】
負荷に電力を供給する電力貯蔵機器と、
前記電力貯蔵機器の放電動作を制御する請求項5に記載の電力貯蔵機器制御装置と、を有する電力貯蔵システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−74968(P2010−74968A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240555(P2008−240555)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(500132214)学校法人明星学苑 (23)
【Fターム(参考)】