説明

電動アクチュエータ

【課題】低コストにより、電磁クラッチへの潤滑剤の侵入を防止できる電動アクチュエータを提供すること。
【解決手段】電動アクチュエータ21は、シフトセレクト軸15を収容するハウジング22と、回転駆動力を発生させる電動モータ23と、回転駆動力をシフトセレクト軸15に伝達するセレクト変換機構25およびシフト変換機構24と、回転駆動力をセレクト変換機構25に伝達/遮断するセレクト電磁クラッチ45と、回転駆動力をシフト変換機構24に伝達/遮断するシフト電磁クラッチ43と、ハウジング22に収容され、セレクト電磁クラッチ45およびシフト電磁クラッチ43を収容するクラッチケーシング140とを含む。ハウジング22内には、クラッチケーシング140の内外を遮断するためのシール部材(Oリング151やシールベアリング147,148)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変速機における変速ギヤの位置を切り換えるために、セレクト動作およびシフト動作といった変速駆動を行うための電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マニュアルトランスミッションの変速が自動化された自動制御式マニュアルトランスミッション(Automated Manual Transmission)の変速装置が知られている。変速装置は、変速ギヤ等を収容する変速機と、変速機を変速駆動するための電動アクチュエータとを含んでいる。
下記特許文献1では、電動モータ等を備え、電動モータの駆動力によって、シフトセレクト軸を軸方向にスライドさせてセレクト動作を行ったり、シフトセレクト軸を軸中心に回転させてシフト動作を行ったりするシフト/セレクト駆動装置が、電動アクチュエータの一例として開示されている。
【0003】
このシフト/セレクト駆動装置は、電動モータの駆動力を、シフトセレクト軸を回転させる力に変換するための第1変換機構と、当該駆動力を、シフトセレクト軸をスライドさせる力に変換するための第2変換機構と、当該駆動力を第1変換機構に伝達/遮断する第1電磁クラッチと、当該駆動力を第2変換機構に伝達/遮断する第2電磁クラッチとをさらに備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−75097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシフト/セレクト駆動装置によって変速駆動される変速機には、変速ギヤを潤滑させるための潤滑剤が存在する。この潤滑剤がシフト/セレクト駆動装置の第1電磁クラッチや第2電磁クラッチに侵入すると、これらの電磁クラッチが滑ってしまい、電磁クラッチにおける駆動力の伝達効率が低下する虞がある。
そこで、変速機の潤滑剤がシフト/セレクト駆動装置まで到達しないように、シフトセレクト軸(シフト/セレクト駆動装置から露出される部分近傍)にパッキンを外嵌して、潤滑剤をパッキンによって堰き止める構成が考えられる。しかし、この構成だと、パッキンとシフトセレクト軸との間の摺動抵抗によって、シフトセレクト軸の動き(回転やスライド)にロスが生じ、その分、電動モータの駆動電力が余分に必要となる虞がある。また、この構成で摺動抵抗を減らすためには、シフトセレクト軸においてパッキンに接触する部分に対して高度な表面処理(熱処理や研磨処理等)を施す必要があるため、コスト上昇が不可避となる。
【0006】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、低コストにより、電磁クラッチへの潤滑剤の侵入を防止できる電動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、シフトレバー(16)が連結されたシフトセレクト軸(15)を軸方向(M4)へスライドさせることで前記シフトレバーをセレクト動作させ、前記シフトセレクト軸を軸回りに回転させることによって前記シフトレバーをシフト動作させるための電動アクチュエータ(21)であって、前記シフトセレクト軸を収容するハウジング(22)と、前記ハウジングに設けられ、回転駆動力を発生させる電動モータ(23)と、前記ハウジングに収容され、前記回転駆動力を、前記シフトセレクト軸を軸方向へスライドさせる力に変換して、前記シフトセレクト軸に伝達するセレクト変換機構(25)と、前記ハウジングに収容され、前記回転駆動力を、前記シフトセレクト軸を軸回りに回転させる力に変換して、前記シフトセレクト軸に伝達するシフト変換機構(24)と、前記電動モータからの回転駆動力を前記セレクト変換機構に伝達/遮断するセレクト電磁クラッチ(45)と、前記電動モータからの回転駆動力を前記シフト変換機構に伝達/遮断するシフト電磁クラッチ(43)と、前記ハウジングに収容され、前記セレクト電磁クラッチおよびシフト電磁クラッチを収容するクラッチケーシング(140)と、前記ハウジング内に設けられ、前記クラッチケーシングの内外を遮断するためのシール部材(147,148,151)と、を含む、電動アクチュエータである。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、電動アクチュエータでは、セレクト電磁クラッチおよびシフト電磁クラッチがクラッチケーシングに収容され、このクラッチケーシングがハウジングに収容されているうえに、クラッチケーシングの内外を遮断するためのシール部材がハウジング内に設けられているので、電磁クラッチへの潤滑剤の侵入を多段階に亘って確実に防止できる。
【0009】
さらに、シール部材が、動作部材であるシフトセレクト軸に摺接するように設けられていないことから、シール部材とシフトセレクト軸との間に摺動抵抗が発生することはないので、シフトセレクト軸を動作させる電動モータの駆動電力の浪費を防げる。さらに、前記摺動抵抗が小さくなるようにシフトセレクト軸に高度な表面処理を施さなくて済む。
つまり、低コストにより、電磁クラッチへの潤滑剤の侵入を防止できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記シール部材は、前記ハウジングと前記クラッチケーシングとの間に介装される、請求項1記載の電動アクチュエータである。
この構成によれば、潤滑剤がハウジング内に侵入したとしても、この潤滑剤は、シール部材によって堰き止められるので、シール部材を越えてハウジングとクラッチケーシングとの間へと進むことができない。そのため、潤滑剤がハウジングとクラッチケーシングとの間を経由してクラッチケーシング内の電磁クラッチへ侵入することを防止できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記シール部材は、Oリング(151)を含む、請求項2記載の電動アクチュエータである。
この構成によれば、シール部材をOリングによって簡易に(低コストで)構成することができる。
請求項4記載の発明は、前記セレクト電磁クラッチおよびシフト電磁クラッチの少なくとも一方から前記回転駆動力を受けて回転する回転体(42,44)を含み、前記クラッチケーシングには、前記回転体の回転軸(90,91)が挿通される挿通孔(140A,140B)が形成され、前記シール部材は、前記挿通孔に嵌め込まれて前記回転体を回転自在に支持するシールベアリング(147,148)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータである。
【0012】
この構成によれば、回転体の回転軸と、クラッチケーシングの挿通孔との間から、潤滑剤がクラッチケーシング内に侵入しようとしても、この潤滑剤は、挿通孔に嵌め込まれたシール部材によって堰き止められるので、シール部材を越えてクラッチケーシング内へと進むことができない。そのため、潤滑剤が回転軸とクラッチケーシングの挿通孔との間を経由してクラッチケーシング内の電磁クラッチへ侵入することを防止できる。
【0013】
さらに、シール部材を、前記回転体を回転自在に支持するシールベアリングによって簡易に(低コストで)構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の電動アクチュエータが適用された変速装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す変速装置における変速駆動装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、変速駆動装置の構成を示す底面図である。
【図4】図4は、変速駆動装置の構成を示す断面図である。
【図5】図5は、図4のA−A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態の電動アクチュエータが適用された変速装置の概略構成を示す分解斜視図である。
変速装置1は、変速機2と、変速機2を変速駆動する変速駆動装置3とを備えている。
変速機2は、公知の常時かみ合い式の平行歯車式変速機であり、乗用車やトラックなどの車両に搭載される。変速機2は、ギヤハウジング7と、ギヤハウジング7内に収容される常時かみ合い式の平行歯車式変速機構(図示せず)とを備えている。
【0016】
変速駆動装置3は、変速機構にシフト動作またはセレクト動作を行わせるシフトセレクト軸15と、シフトセレクト軸15をシフト動作またはセレクト動作させるための共通の駆動源として用いられる電動アクチュエータ21とを含む。なお、図1は、各部材を簡略化して示した図なので、各部材の詳しい構成(特に電動アクチュエータ21について)は、後述する図2以降に図示されている。
【0017】
シフトセレクト軸15は、所定方向(図示されたM4の方向)に長手の軸状体である。
シフトセレクト軸15の途中部には、ギヤハウジング7内に収容されるシフトレバー16の一端16Aが連結されている。シフトレバー16は、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに、シフトセレクト軸15と同伴回転する。シフトセレクト軸15の先端側(図1に示す右奥側)は、ギヤハウジング7外に突出している。ここで、シフトレバー16は、シフトセレクト軸15が軸回りに回転したり軸方向M4へスライドしたりするに応じて、実際のシフト動作やセレクト動作を行う。そして、電動アクチュエータ21は、シフトセレクト軸15を回転させることでシフトレバー16をシフト動作させ、シフトセレクト軸15をスライドさせることでシフトレバー16をセレクト動作させる(詳しくは後述する)。
【0018】
ギヤハウジング7内には、互いに平行に延びる複数のシフトロッド10A,10B,10Cが収容されている。各シフトロッド10A,10B,10Cには、シフトレバー16の他端16Bと係合可能なシフトブロック12A,12B,12Cが固定されている。また、各シフトロッド10A,10B,10Cには、クラッチスリーブ(図示せず)と係合するシフトフォーク11が設けられている。なお、図1では、シフトロッド10Aに設けられたシフトフォーク11のみを示している。
【0019】
電動アクチュエータ21により、シフトセレクト軸15が、その軸方向M4に移動(スライド)されると、シフトレバー16が軸方向M4に移動される。その結果、シフトレバー16の他端16Bがシフトブロック12A,12B,12Cのいずれかに対して選択的に係合し、これによりセレクト動作が達成される。
一方、電動アクチュエータ21によりシフトセレクト軸15がその中心軸線17まわりに回転されると、シフトレバー16が中心軸線17まわりに揺動する。その結果、シフトレバー16と係合しているいずれかのシフトブロック12A,12B,12Cが、シフトロッド10A,10B,10Cの軸方向M1,M2,M3に移動し、これにより、シフト動作が達成される。なお、このシフト動作のために必要なシフトセレクト軸15の回転角は360°(シフトセレクト軸15一周分)よりも著しく小さい(たとえば120°程度)。
【0020】
図2は、図1に示す変速装置における変速駆動装置の構成を示す斜視図である。図3は、変速駆動装置の構成を示す底面図である。図4は、変速駆動装置の構成を示す断面図である。図5は、図4のA−A線に沿う断面図である。
以下では、図2〜図5を参照して、電動アクチュエータ21の構成について説明する。
図4に示すように、電動アクチュエータ21は、その外郭をなしてシフトセレクト軸15等を収容するボックス状のハウジング22を備えている。電動アクチュエータ21は、ギヤハウジング7(図1参照)の外表面に固定されている。
【0021】
具体的には、電動アクチュエータ21は、ハウジング22の他に、図2に示す取付ステー18を備えている。取付ステー18は、本体部19と、延設部20とを一体的に備えている。
本体部19は、平面視(底面視)でホームベース形状(略五角形)の輪郭を有するブロック形状である(図3も参照)。本体部19の一側面には、凹状に窪む平面視矩形状の中空部分19Aが形成されている。
【0022】
延設部20は、円管状であり、本体部19からハウジング22側へ延びている。延設部20においてハウジング22側(図3における下側)の端部には、延設部20の径方向へ張り出すフランジ部20Aが一体的に設けられている。延設部20の延びる方向から見たときのフランジ部20Aの輪郭は、略矩形状をなしている。フランジ部20Aがハウジング22に接触した状態で、フランジ部20A(四隅の部分)およびハウジング22に対して共通の複数(ここでは4本)のボルト14が組み付けられている。これにより、取付ステー18がハウジング22に対して固定されている。
【0023】
そして、延設部20の延びる方向から見た場合において、本体部19で延設部20の中空部分の円中心と一致する部分には、本体部19を貫通して中空部分19Aに連通する丸い挿通孔19Bが形成されている。図2では、挿通孔19Bは、本体部19において延設部20側に形成されている。
取付ステー18では、本体部19がギヤハウジング7(図1参照)に対してボルト(図示せず)によって組み付けられている。これによって、電動アクチュエータ21(換言すれば、変速駆動装置3全体)は、ギヤハウジング7の外表面に固定されている。この状態で、シフトセレクト軸15では、シフトレバー16側の部分が、ハウジング22の外にはみ出ている。シフトセレクト軸15においてハウジング22の外にはみ出た部分は、延設部20の内部および本体部19の中空部分19A内に配置されている。この状態で、当該部分は、本体部19の挿通孔19Bに対して挿通されているとともに、本体部19の中空部分19Aから外部に露出されている。シフトレバー16は、本体部19の中空部分19Aに配置されており、ハウジング22の外にはみ出ている。そして、シフトレバー16の他端16Bは、中空部分19Aから本体部19の外側へはみ出ており、前述したシフトブロック12A,12B,12C(図1参照)のいずれかに係合している。
【0024】
図4を参照して、電動アクチュエータ21は、電動モータ23と、シフト変換機構24と、セレクト変換機構25と、切換ユニット26とを備えている。電動モータ23は、たとえばブラシレスモータからなり、回転駆動力を発生させるためのものである。シフト変換機構24は、電動モータ23の回転トルク(回転駆動力)を、シフトセレクト軸15を中心軸線17まわり(軸回り)に回転させる力に変換してシフトセレクト軸15に伝達するためのものである。セレクト変換機構25は、電動モータ23の回転トルクを、シフトセレクト軸15をその軸方向M4(図4における紙面に直交する方向)へ移動(スライド)させる力に変換してシフトセレクト軸15に伝達するためのものである。切換ユニット26は、電動モータ23の回転駆動力の伝達先を、シフト変換機構24とセレクト変換機構25との間で切り換えるためのものである。電動モータ23は、ハウジング22に対して外から取り付けられていて、シフト変換機構24、セレクト変換機構25および切換ユニット26は、ハウジング22内に収容されている。
【0025】
ハウジング22では、電動モータ23側(図4における左側)に、モータ用開口部13が形成されている。モータ用開口部13は、略板状の蓋27によって閉塞されている。蓋27は、ハウジング22の一部である。これらのハウジング22および蓋27は、それぞれたとえば鋳鉄やアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されており、蓋27の外周がハウジング22のモータ用開口部13に嵌め合わされている。蓋27には、その内面(図4に示す右面)と外面(図4に示す左面)とを貫通する円形の貫通孔29が形成されている。また、蓋27の外面には、電動モータ23の本体ケーシングが固定されている。電動モータ23は正逆回転可能に設けられており、この電動モータ23としてたとえばブラシレスモータが採用されている。電動モータ23は、その本体ケーシングがハウジング22外に露出するように取り付けられている。電動モータ23の出力軸40は、シフトセレクト軸15と、平面視(図4において上方から見た場合)における食い違い角が90°の食い違い角の関係をなして配置されている。そのため、出力軸40は、軸方向M4と直交する所定の方向(図4に示す左右方向)に沿って延びている。出力軸40は蓋27の貫通孔29を介してハウジング22の内部に臨んでおり、切換ユニット26に対向している。
【0026】
ハウジング22は、前述したようにボックス状であり、シフトセレクト軸15における先端側(図1に示す右奥側)の領域や、シフト変換機構24、セレクト変換機構25および切換ユニット26の各構成部品を主に収容する。詳しくは、図5に示すように、ハウジング22は、側方(図5における右側)に底を有する箱状をなしている。ハウジング22は、底壁111と、底壁111の一端部(図5に示す上端部)と、他端部(図5に示す下端部)とからそれぞれ、互いに平行に立ち上がる一対の側壁112,113とを主に備えている。ハウジング22には、側壁112,113の先端部(図5に示す左端部)などによって区画された開口部115が形成されている。開口部115は平板状の蓋114によって閉塞されている。蓋114は、ハウジング22の一部をなしている。蓋114においてハウジング22内に露出される部分は、内側面114Aである。
【0027】
図5に示すように、底壁111の内側の底面111Aは、平坦面によって形成されている。底壁111には、シフトセレクト軸15の途中部(後述するスプライン部120およびラック部122よりも基端(図5における右端)寄り)を支持するため軸ホルダ116が形成されている。軸ホルダ116は、底壁111と一体的に形成されており、底壁111の外壁面(底面111Aとは反対側の面)よりも外方に膨出してたとえば直方体状をなしている(図2も参照)。前述した取付ステー18のフランジ部20Aは、軸ホルダ116に対して、ボルト14で固定される(図2参照)。底壁111および軸ホルダ116には、断面円形の(丸い)通過孔104が形成されている。通過孔104は、軸ホルダ116および底壁111を、それらの厚み方向(図5に示す左右方向。底面111Aと直交する方向)に貫通している。通過孔104には、シフトセレクト軸15が挿通されている。通過孔104は、シフトセレクト軸15(通過孔104を塞いでいる部分)よりも若干大径である。そのため、底壁111および軸ホルダ116において通過孔104を区画する内周面とシフトセレクト軸15の外周面との間には、ハウジング22の内外を連通させる隙間Sが形成されている。
【0028】
通過孔104の内周面には、すべり軸受101が内嵌固定されている。すべり軸受101は、通過孔104に挿通されているシフトセレクト軸15の途中部(後述する閉塞部160)の外周を取り囲み、当該シフトセレクト軸15の閉塞部160の外周を摺接支持している。
軸ホルダ116において、厚み方向(図5に示す左右方向)における途中には、ロックボール106が配設されている。具体的には、通過孔104の内周面と、軸ホルダ116の外周面とを貫通する貫通孔105内にロックボール106が収容されている。ロックボール106は、通過孔104の中心軸線(すなわちシフトセレクト軸15の中心軸線17)と直交する方向に延びる略円筒状をなすとともに、当該方向に沿って移動可能に設けられている。ロックボール106の先端部は半球状をなしており、次に述べる係合溝107に係合する。
【0029】
ここで、シフトセレクト軸15において通過孔104をちょうど塞ぐ部分(軸方向M4において通過孔104と一致する位置にある部分)を閉塞部160ということにする。閉塞部160は、シフトセレクト軸15に対して同軸状で一体化された円筒体であって、通過孔104を塞ぐ位置に配置されている。閉塞部160の外周には、軸方向M4に間隔を空けて、周方向に延びる複数本(たとえば3本)の係合溝107が形成されている。各係合溝107は全周にわたって設定されている。ロックボール106がその長手方向に移動することにより、先端部が通過孔104の内周面よりも中心軸線17側(図5に示す下方)に突出して、その先端部が係合溝107と係合して、シフトセレクト軸15の軸方向M4における移動を阻止する。これにより、シフトセレクト軸15は、軸方向M4への移動が阻止された状態で、一定力で保持される。
【0030】
第1ハウジング22Aの側壁113の内面は、底面111Aと直交する第1内壁面113Aになっている。
図5に示すように、シフトセレクト軸15において、通過孔104よりも先端側(ハウジング22の内側)の部分には、スプライン部120と、後述するピニオンギヤ36が噛み合うラック部122とが、通過孔104に近い側からこの順で設けられている。つまり、シフトセレクト軸15において、スプライン部120およびラック部122は、ハウジング22内側へ通過孔104から離れた位置にあり、特に、ラック部122は、スプライン部120に比べてハウジング22内側へ通過孔104から離れた位置にある。スプライン部120およびラック部122は、いずれも、シフトセレクト軸15に対して同軸状で一体化される円筒体であり、軸方向に所定の長さを有している。スプライン部120およびラック部122は、シフトセレクト軸15の軸部15A(シフトセレクト軸15のうち、スプライン部120およびラック部122を除く部分)よりも大径である。
【0031】
スプライン部120の外周面には、スプライン121(軸方向に延びる筋状の凸部)が周方向に間隔を隔てつつ、全域に亘って形成されている。
ラック部122の外周面には、その周方向における全域に、ラック歯形成領域130が設けられている。ラック歯形成領域130では、ラック部122の軸方向M4の一端(図5に示す左端)から他端(図5に示す右端)にわたって、複数のラック歯123がそれぞれ中心軸線17に沿って互いに平行に延びている。ラック歯形成領域130のラック歯123が、後述するピニオンギヤ36と噛み合っている。
【0032】
ここで、シフトセレクト軸15における、ハウジング22に収容される部分は、すべり軸受101によって摺接支持されている。なお、シフトセレクト軸15においてラック部122に対してスプライン部120の反対側における先端部(図5における左端部)は、ハウジング22の蓋114を貫通してハウジング22の外に突出している。当該先端部には、円環状のすべり軸受102を介して、円筒状のキャップ100が外嵌されている。シフトセレクト軸15は、すべり軸受102によっても摺接支持されている。
【0033】
図4に示すように、切換ユニット26は、電動モータ23の出力軸40と同軸に連結された伝達軸41と、伝達軸41と同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた回転体である第1ロータ42と、伝達軸41に同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた回転体である第2ロータ44と、第1ロータ42と第2ロータ44との間で伝達軸41の連結先を切り換えるためのクラッチ機構39とを備えている。
【0034】
伝達軸41は、電動モータ23側に設けられた小径の主軸部46と、主軸部46の第1ロータ42側の軸方向端部(図4に示す右端部)に、主軸部46と一体的に設けられ、主軸部46よりも大径の大径部47とを備えている。
第1ロータ42は、伝達軸41に対し電動モータ23側と反対側(図4における右側)に配置されている。第1ロータ42は、電動モータ23側の軸方向端部(図4に示す左端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第1アーマチュアハブ54を備えている。第1アーマチュアハブ54は、大径部47の電動モータ23側と反対側の面(図4に示す右面)に対向して配置されている。
【0035】
第2ロータ44は、伝達軸41の大径部47に対し第1ロータ42と反対側、すなわち電動モータ23側(図4における左側)に配置されており、伝達軸41の主軸部46の周囲を非接触状態で取り囲んでいる。第2ロータ44は、電動モータ23側と反対側の軸方向端部(図4に示す右端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第2アーマチュアハブ55を備えている。第2アーマチュアハブ55は、大径部47の電動モータ23側の面(図4に示す左面)に対向して配置されている。言い換えれば、第1ロータ42(の第1アーマチュアハブ54)および第2ロータ44(の第2アーマチュアハブ55)が、伝達軸41の大径部47を挟むように配置されている。この状態で、第1ロータ42と、第2ロータ44と、伝達軸41とは、同軸状に配置されていて、それぞれが軸回りに回転可能である。
【0036】
クラッチ機構39は、第1ロータ42と断続して、伝達軸41と第1ロータ42とを連結/解放するシフト電磁クラッチ43と、第2ロータ44と断続して、伝達軸41と第2ロータ44とを連結/解放するセレクト電磁クラッチ45とを備えている。シフト電磁クラッチ43は、電動モータ23からの回転駆動力を第1ロータ42に伝達して第1ロータ42を回転させることができる。セレクト電磁クラッチ45は、電動モータ23からの回転駆動力を第2ロータ44に伝達して第2ロータ44を回転させることができる。
【0037】
シフト電磁クラッチ43は、第1フィールド48と第1アーマチュア49とを備えている。第1アーマチュア49は、伝達軸41の大径部47の軸方向他方側の面(図4に示す右面)に設けられ、第1アーマチュアハブ54の電動モータ23側の面(図4に示す左面)と微小間隔を隔てて配置されており、伝達軸41と同軸状をなす略円環板状をなしている。第1アーマチュア49は、伝達軸41(大径部47)とともに回転する回転体である。第1アーマチュア49は、鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第1フィールド48は、周方向から見た断面がU字をなす環状のボビン31と、ボビン31内(U字の内側)に内蔵される第1電磁コイル50とを含む環状体であり、後述するクラッチケーシング140を介してハウジング22に固定されている。
【0038】
セレクト電磁クラッチ45は、第2フィールド51と、第2アーマチュア52とを備えている。第2アーマチュア52は、伝達軸41の大径部47の軸方向一方側の面(図4に示す左面)に設けられ、第2アーマチュアハブ55の電動モータ23と反対側の面(図4に示す右面)と微小間隔を隔てて配置されており、伝達軸41と同軸状をなす略円環板状をなしている。第2アーマチュア52は、伝達軸41(大径部47)とともに回転する回転体である。第2アーマチュア52は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第2フィールド51は、周方向から見た断面がU字をなす環状のボビン32と、ボビン32内(U字の内側)に内蔵される第2電磁コイル53とを含む環状体であり、クラッチケーシング140を介してハウジング22に固定されている。
【0039】
なお、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45のそれぞれに関し、クラッチケーシング140は、対応するボビン(ボビン31,32)および電磁コイル(第1電磁コイル50および第2電磁コイル53)によって磁気回路が形成されることで、電磁アクチュエータのコアとして機能している。
第1フィールド48および第2フィールド51は、大径部47、第1アーマチュアハブ54および第2アーマチュアハブ55を挟んで、軸方向(第1ロータ42、第2ロータ44および伝達軸41のそれぞれの中心軸の延びる方向であり、図4では左右方向)に沿って並置されている。
【0040】
クラッチ機構39には、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45を駆動するためのクラッチ駆動回路(図示せず)が接続されている。クラッチ駆動回路に関連して、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)88および操作レバー93が設けられている。ECU88は、所定のプログラムに応じた自動変速指令や、操作者(ドライバー)による操作レバー93の操作等に応じて、モータドライバ(図示せず)を介して電動モータ23を駆動制御したり、クラッチ駆動回路を介してシフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45を駆動制御したりする。なお、ECU88は、車体に固定されていてもよく、ギヤハウジング7(図1参照)内に収容されていてもよい。
【0041】
また、クラッチ駆動回路には、配線などを介して電源(たとえば24V。図示せず)から電圧供給(給電)されている。クラッチ駆動回路は、リレー回路などを含む構成であり、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45に対し、それぞれ個別に給電および給電停止を切換え可能に設けられている。なお、クラッチ駆動回路は、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45の双方を駆動する構成に限られず、シフト電磁クラッチ43を駆動するためのクラッチ駆動回路と、セレクト電磁クラッチ45を駆動するためのクラッチ駆動回路とを個別に設けることもできる。
【0042】
クラッチ駆動回路によるシフト電磁クラッチ43に対する給電により、第1電磁コイル50に通電されると、第1電磁コイル50が励磁状態になり、第1電磁コイル50を含む第1フィールド48に電磁吸引力が発生する。そして、第1アーマチュア49が、第1フィールド48に吸引されて第1フィールド48に向けて変形し、第1アーマチュアハブ54と摩擦接触する。したがって、第1電磁コイル50への通電により、第1アーマチュア49側の(伝達軸41の)大径部47が、第1アーマチュアハブ54(第1ロータ42)に接続され、伝達軸41が第1ロータ42に連結される。そして、第1電磁コイル50に対する電圧供給が停止され、第1電磁コイル50に電流が流れなくなることにより、第1アーマチュア49に対する吸引力もなくなり、第1アーマチュア49が元の形状に復帰する。これにより、シフト電磁クラッチ43が接続状態から切断状態になり、伝達軸41が第1ロータ42から解放(遮断)される。つまり、シフト電磁クラッチ43に対する給電/給電停止を切り換えることにより、シフト電磁クラッチ43の接続状態と切断状態とを切り換えることができる。接続状態のシフト電磁クラッチ43は、電動モータ23からの(回転)駆動力をシフト変換機構24に伝達することができ、切断状態のシフト電磁クラッチ43は、当該駆動力をシフト変換機構24に対して遮断することができる。
【0043】
一方、クラッチ駆動回路によるセレクト電磁クラッチ45に対する給電により、第2電磁コイル53に通電されると、その第2電磁コイル53が励磁状態になり、第2電磁コイル53を含む第2フィールド51に電磁吸引力が発生する。そして、第2アーマチュア52が第2フィールド51に吸引されて第2フィールド51に向けて変形し、第2アーマチュア52が第2アーマチュアハブ55と摩擦接触する。したがって、第2電磁コイル53への通電により、第2アーマチュア52側の(伝達軸41の)大径部47が、第2アーマチュアハブ55(第2ロータ44)に接続され、伝達軸41が第2ロータ44に連結される。そして、第2電磁コイル53に対する電圧供給が停止され、第2電磁コイル53に電流が流れなくなることにより、第2アーマチュア52に対する吸引力もなくなり、第2アーマチュア52が元の形状に復帰する。これにより、セレクト電磁クラッチ45が接続状態から切断状態になり、伝達軸41が第2ロータ44から解放(遮断)される。つまり、第2電磁コイル53への給電/給電停止を切り換えることにより、セレクト電磁クラッチ45の接続状態と、切断状態とを切り換えることができる。接続状態のセレクト電磁クラッチ45は、電動モータ23からの駆動力をセレクト変換機構25に伝達することができ、切断状態のセレクト電磁クラッチ45は、当該駆動力をセレクト変換機構25に対して遮断することができる。
【0044】
電動アクチュエータ21の制御では、通常、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45の一方のみが選択的に接続されるようになっている。すなわち、シフト電磁クラッチ43が接続状態にあるときには、セレクト電磁クラッチ45が切断状態にあり、セレクト電磁クラッチ45が接続状態にあるときには、シフト電磁クラッチ43が切断状態にある。
【0045】
第2ロータ44の外周には、小径の円環状の第1歯車56が外嵌固定されている。第1歯車56は第2ロータ44と同軸に設けられている。第1歯車56は転がり軸受57によって支持されている。転がり軸受57の外輪は、第1歯車56に内嵌固定されている。転がり軸受57の内輪は、伝達軸41の主軸部46の外周に外嵌固定されている。
シフト変換機構24は、回転運動を直線運動に変換する減速機としてのボールねじ機構58と、このボールねじ機構58に備えられるナット59と、ナット59の軸方向移動に伴ってシフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに回動するアーム60とを主に備えている。
【0046】
ボールねじ機構58は、第1ロータ42と同軸(すなわち伝達軸41と同軸)に延びるねじ軸61と、ねじ軸61にボール(図示せず)を介して螺合する前述したナット59とを備えている。ねじ軸61は、図4の上方から見た平面視において、シフトセレクト軸15と、食い違い角が90°の食い違い軸の関係をなしている。言い換えれば、ねじ軸61の軸方向およびシフトセレクト軸15の軸方向M4の双方に直交する方向(図4の上方)から見て、ねじ軸61およびシフトセレクト軸15は互いに直交している。
【0047】
ねじ軸61は、転がり軸受64,67によって軸方向への移動が規制されつつ支持されている。具体的には、ねじ軸61の一端部(図4に示す左端部)は転がり軸受64によって支持されており、また、ねじ軸61の他端部(図4に示す右端部)は転がり軸受67によって支持されている。これらの転がり軸受64,67により、ねじ軸61がその中心軸線80(図5参照)まわりに回転可能に支持されている。
【0048】
転がり軸受64の内輪は、ねじ軸61の一端部に外嵌固定されている。また、転がり軸受64の外輪は、ハウジング22に固定された、後述するクラッチケーシング140の固定板65の内外面を貫通する貫通孔68に内嵌されている。また、転がり軸受64の外輪には、ロックナット66が係合されて、ねじ軸61の軸方向の他方(図4に示す右方)への転がり軸受64の移動が規制されている。ねじ軸61の一端部における転がり軸受64よりも電動モータ23側(図4に示す左側)の部分は、第1ロータ42の内周に挿通されて、この第1ロータ42に同伴回転可能に連結されている。転がり軸受67の外輪は、ハウジング22に固定されている。
【0049】
ナット59の一側面(図4に示す手前側側面。図5に示す左側側面)、および当該一側面とは反対側の他側面(図4に示す奥側側面。図5に示す右側側面)には、それぞれシフトセレクト軸15の軸方向M4に沿う方向(図4の紙面に直交する方向)に延びる円柱状の突出軸70(図4では一方のみ図示。図5を併せて参照)が突出形成されている。一対の突出軸70は、同軸状に配置されている(図5参照)。ナット59は、アーム60の第1係合部72(後述する)によって、ねじ軸61まわりの回転が規制されている。したがって、ねじ軸61が回転されると、ねじ軸61の回転に同伴して、ナット59がねじ軸61の軸方向に移動する。なお、図5では、ねじ軸61の軸方向に関し、図4に示すナット59の位置よりも、第1ロータ42に対し離反する方向(図4に示す右方)にナット59が位置するときの断面状態を示している。
【0050】
図4および図5に示すように、アーム60は、ナット59に係合するための第1係合部72と、シフトセレクト軸15のスプライン部120にスプライン嵌合するための第2係合部73(図5参照)と、第1係合部72と第2係合部73とを接続する直線状の接続ロッド74とを備えている。接続ロッド74は、たとえば、その全長にわたって断面矩形状をなしている。第2係合部73は、リング状(円環状)をなし、シフトセレクト軸15のスプライン部120に対して外嵌されている。第2係合部73の内周面には、スプライン75が形成されており、第2係合部73のスプライン75とスプライン部120のスプライン121とが噛み合うことで、第2係合部73とスプライン部120とのスプライン嵌合が達成されている。なお、第2係合部73は、円環板状をなしているが、円筒状(軸方向に所定の厚みを有する形状)をなしていてもよい。
【0051】
第1係合部72は、互いに対向する一対の支持板部76(図4では、一方の支持板部76のみを図示)と、一対の支持板部76の基端辺同士を連結する連結板部77とを備え、側面視で略U字状をなしている。各支持板部76には、各突出軸70の外周と、当該突出軸70の回転を許容しつつ係合するU字係合溝78が形成されている。U字係合溝78は、前記の基端辺と反対側の先端辺(図4および図5における上端辺)から切り欠かれている。そのため、第1係合部72は、ナット59に、突出軸70まわりに相対回転可能にかつ、ねじ軸61の軸方向に同行移動可能に係合している。また、各U字係合溝78と各突出軸70との係合により、ナット59では、アーム60の第1係合部72によってねじ軸61まわりの回転が規制されている。したがって、ねじ軸61の回転に伴って、ナット59および第1係合部72がねじ軸61の軸方向に移動する。
【0052】
前述したように、シフトセレクト軸15のスプライン部120の外周と、第2係合部73の内周とはスプライン嵌合している。具体的には、第2係合部73の内周に設けられたスプライン75に、スプライン部120の外周に設けられたスプライン121が噛み合っている。このとき、スプライン121とスプライン75との間には噛合いのための隙間が確保されている。
【0053】
言い換えれば、シフトセレクト軸15のスプライン部120の外周に対して、第2係合部73が、当該シフトセレクト軸15に対して相対回転不能にかつ相対軸方向移動が許容された状態で連結されている。したがって、シフト電磁クラッチ43が接続状態にあって、ねじ軸61が回転し、これに伴ってナット59がねじ軸61の軸方向に移動すると、アーム60がシフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに回動し、このアーム60の揺動に同伴してシフトセレクト軸15が、中心軸線17まわりに回転する。つまり、スプライン部120が電動モータ23の駆動力を第2係合部73から受けることで、シフトセレクト軸15が軸回りに回転する。これにより、前述したシフト動作が達成される。
【0054】
図4に示すように、セレクト変換機構25は、前述した第1歯車56と、伝達軸41と平行に延びた状態で回転可能に設けられたピニオン軸95と、ピニオン軸95の一端部(図4に示す左端部)寄りの所定位置に同軸に固定されて第1歯車56と噛み合う第2歯車81と、ピニオン軸95の他端部(図4に示す右端部)寄りの所定位置に同軸に固定された小径のピニオンギヤ36とを備え、全体として減速機を構成している。なお、第2歯車81は、第1歯車56およびピニオンギヤ36の双方よりも大径に形成されている。
【0055】
ピニオン軸95の一端部(図4に示す左端部)は、ハウジング22に固定された転がり軸受96によって支持されている。転がり軸受96の内輪は、ピニオン軸95の一端部(図4に示す左端部)に外嵌固定されている。また、転がり軸受96の外輪は、蓋27の内面に形成された円筒状の凹部97内に固定されている。また、ピニオン軸95の他端部(図4に示す右端部)は、転がり軸受84によって支持されている。ピニオンギヤ36とラック部122(図5参照)とがラック・アンド・ピニオン機構により噛み合っているので、セレクト電磁クラッチ45が接続状態にあって、伝達軸41の回転に伴ってピニオン軸95が回転すると、これに伴って、シフトセレクト軸15が軸方向M4(図1参照)に移動する。つまり、ラック部122が電動モータ23の駆動力をピニオンギヤ36から受けることで、シフトセレクト軸15が軸方向にスライドする。これにより、前述したセレクト動作が達成される。なお、シフトセレクト軸15がスライドしても、第2係合部73とスプライン部120とのスプライン嵌合は維持されている。
【0056】
ここで、図2を参照して、前述したハウジング22は、第1ハウジング22Aと、第2ハウジング22Bとを有している。なお、第1ハウジング22Aと第2ハウジング22Bとは一体化されていて、これらのハウジングの継ぎ目に隙間は存在しない。そのため、第1ハウジング22Aと第2ハウジング22Bとの継ぎ目からハウジング22の内外が連通することはない。
【0057】
第1ハウジング22Aは、図2におけるハウジング22の右側部分をなす略直方体のボックス形状であり、主にシフトセレクト軸15、ボールねじ機構58、アーム60およびピニオンギヤ36(図4参照)を収容している。第1ハウジング22Aは、前述した底壁111、側壁112、側壁113および蓋114(図5参照)等によって区画されている。
【0058】
第2ハウジング22Bは、第1ハウジング22Aから、平面視においてシフトセレクト軸15に直交する方向(図2における左側)へ延び出る中空円筒状である。第2ハウジング22Bにおいて第1ハウジング22Aとは反対側の端面には、前述したモータ用開口部13が形成されていて、この端面に対して、蓋27を介して電動モータ23が取り付けられている(図4参照)。図4を参照して、第2ハウジング22B内には、前述した切換ユニット26や第1歯車81等が収容されている。
【0059】
そして、第2ハウジング22B内には、クラッチ収容部141が一体的に設けられている。詳しくは、クラッチ収容部141は、伝達軸41と同軸状をなす中空円筒状であり、その軸方向における両端は、丸穴をなす開口部142として開放されている。クラッチ収容部141の一部(図4における上側部分)は、第2ハウジング22Bの外周壁143になっている。つまり、クラッチ収容部141は、外周壁143の内周面から連続して設けられていて、ハウジング22(第2ハウジング22B)の一部になっている。クラッチ収容部141は、第2ハウジング22B内において、外周壁143の内周面とピニオン軸95とに挟まれた空間(図4におけるピニオン軸95よりも上側の空間)に配置されている。
【0060】
そして、クラッチ収容部141内には、クラッチケーシング140(図4において、前述した蓋27以外で右下に延びるハッチングが付された部分)が収容されている。クラッチケーシング140の全体形状は、クラッチ収容部141と同軸状の中空円筒状である。クラッチケーシング140は、セレクト側保持部144と、シフト側保持部145と、前述した固定板65とを含んでいる。
【0061】
セレクト側保持部144、シフト側保持部145および固定板65は、ほぼ同じ外径を有するリング状(円環状)であり、軸方向に所定の厚みを有している。セレクト側保持部144、シフト側保持部145および固定板65は、電動モータ23に近い側(図4の左側)から、この順番で配置されており、同軸状をなしている。
セレクト側保持部144では、電動モータ23側の端縁に、屈曲部144Aが一体的に設けられている。屈曲部144Aは、セレクト側保持部144の前記端縁から径方向内側へ延びる環状である。屈曲部144Aの内周縁には、折返部144Bが一体的に設けられている。折返部144Bは、セレクト側保持部144の軸方向に沿って屈曲部144Aの内周縁からシフト側保持部145側(電動モータ23から離れる側であり、図4における右側)へ延びる環状である。
【0062】
シフト側保持部145では、電動モータ23側とは反対側(図4における右側)の端縁に、屈曲部145Aが一体的に設けられている。屈曲部145Aは、シフト側保持部145の前記端縁から径方向内側へ延びる環状である。屈曲部145Aの内周縁には、折返部145Bが一体的に設けられている。折返部145Bは、シフト側保持部145の軸方向に沿って屈曲部145Aの内周縁からセレクト側保持部144側(電動モータ23に近づく側であり、図4における左側)へ延びる環状である。セレクト側保持部144の折返部144Bと、シフト側保持部145の折返部145Bとはほぼ同径になっている。
【0063】
固定板65は、セレクト側保持部144やシフト側保持部145に比べて軸方向にやや肉厚である。固定板65の円中心位置には、前述した貫通孔68が形成されており、これによって、固定板65がリング状になっている。固定板65の内周面においてシフト側保持部145側(図4における左側)の端部には、径方向内側へ突出する突出部65Aが一体的に設けられている。
【0064】
セレクト側保持部144、シフト側保持部145および固定板65は、ボルト等によって一体化されて、クラッチケーシング140を構成している。セレクト側保持部144において屈曲部144Aとは反対側の端縁(図4における右端縁)と、シフト側保持部145において屈曲部145Aとは反対側の端縁(図4における左端縁)とは、軸方向に隙間Xを隔てて対向している。固定板65は、シフト側保持部145の屈曲部145Aに対して、セレクト側保持部144側とは反対側(図4における右側)から隙間なく接続されている。この状態で、セレクト側保持部144の折返部144Bに区画された筒状空間と、シフト側保持部145の折返部145Bによって区画された筒状空間と、固定板65の貫通孔68とが同軸状になっている、ここで、クラッチケーシング140では、セレクト側保持部144の折返部144Bの内周面に区画された筒状空間が、軸線方向における一方側の挿通孔140Aになっていて、シフト側保持部145の折返部145Bの内周面に区画された筒状空間および貫通孔68が、軸線方向における他方側の挿通孔140Bになっている。挿通孔140Aおよび挿通孔140Bのそれぞれは、クラッチ収容部141における同じ側の開口部142に連通している。
【0065】
シフト側保持部145およびセレクト側保持部144の内側において、セレクト側保持部144の折返部144Bとシフト側保持部145の折返部145Bとは、軸方向に間隔を隔てて対向している。シフト側保持部145およびセレクト側保持部144の内側において折返部144Bと折返部145Bに挟まれた空間には、第2アーマチュアハブ55と伝達軸41の大径部47と第1アーマチュアハブ54とが収容されている。そのため、第1アーマチュアハブ54および大径部47において接離する部分(第1アーマチュア49周辺)と、第2アーマチュアハブ55および大径部47とにおいて接離する部分(第2アーマチュア52周辺)とは、シフト側保持部145およびセレクト側保持部144(つまり、クラッチケーシング140)の(径方向および軸方向における)内側に収容されている。
【0066】
そして、セレクト側保持部144の折返部144Bには、セレクト電磁クラッチ45における環状の第2フィールド51が外嵌された状態で固定されている。シフト側保持部145の折返部145Bには、シフト電磁クラッチ43における環状の第1フィールド48が外嵌された状態で固定されている。この状態のセレクト側保持部144の挿通孔140Aに対して屈曲部144Aとは反対側(図4における右側)から伝達軸41および第2ロータ44を挿通し、この状態のシフト側保持部145の挿通孔140Bに対して屈曲部145Aとは反対側(図4における左側)から第1ロータ42を挿通してから、前述した隙間Xが生じるように、セレクト側保持部144とシフト側保持部145とを組み合わせる。
【0067】
セレクト側保持部144の折返部144Bの内側(径方向内側)空間(前述した挿通孔140A)には、伝達軸41の主軸部46および第2ロータ44(第2アーマチュアハブ55よりも電動モータ23側の回転軸90)が配置(挿通)されている。主軸部46および第2ロータ44のそれぞれにおいて、電動モータ23側の端部(図4における左端部)は、クラッチ収容部141における同じ側の開口部142からクラッチ収容部141の外側(図4における左外側)へはみ出ている。
【0068】
挿通孔140Aにおける折返部144Bと第2ロータ44との間には、転がり軸受147が嵌め込まれている。転がり軸受147の外輪が折返部144Bの内周面に対して圧入されており、転がり軸受147の内輪が第2ロータ44(前述した回転軸90)の外周面に圧入されている。これにより、第2ロータ44が転がり軸受147によって回転自在に支持されている。ここで、第2ロータ44において転がり軸受147に対して第2アーマチュアハブ55側(図4における右側)から接近する部分には、段付部分(第2ロータ44の外径が階段状に変化する部分)44Aが設けられており、この段付部分44Aが転がり軸受147の内輪に当接することにより、転がり軸受147が軸方向において位置決めされている。
【0069】
シフト側保持部145の折返部145Bの内側(径方向内側)空間(前述した挿通孔140B)には、ねじ軸61と第1ロータ42(第1アーマチュアハブ54よりも電動モータ23から離れた側の回転軸91)とが配置(挿通)されている。第1ロータ42は、クラッチケーシング140(厳密には、シフト側保持部145)内におさまっているものの、ねじ軸61は、クラッチ収容部141における同じ側(図4における右側)の開口部142からクラッチ収容部141の外側(図4における右外側)へはみ出ている。
【0070】
挿通孔140Bにおける折返部145Bと第1ロータ42との間には、転がり軸受148が嵌め込まれている。転がり軸受148の外輪が折返部145Bの内周面に対して圧入されており、転がり軸受148の内輪が第1ロータ42(前述した回転軸91)の外周面に圧入されている。これにより、第1ロータ42およびねじ軸61が転がり軸受148によって回転自在に支持されている。ここで、第1ロータ42において転がり軸受148に対して第1アーマチュアハブ54側(図4における左側)から接近する部分には、段付部分(第1ロータ42の外径が階段状に変化する部分)42Aが設けられている。この段付部分42Aが転がり軸受148の内輪に当接するとともに、固定板65の突出部65Aが第1アーマチュアハブ54側とは反対側(図4における右側)から転がり軸受148の外輪に当接することにより、転がり軸受148が軸方向において位置決めされている。
【0071】
なお、突出部65Aは、第1アーマチュアハブ54側から転がり軸受64の外輪に当接しており、これによって、前述した転がり軸受64が軸方向において位置決めされている。また、転がり軸受64を位置決めするために、ねじ軸61の外周面に溝61Aを設けて、この溝61Aにはめ込んだ止め輪149を第1アーマチュアハブ54側から転がり軸受64の内輪に当接させてもよい。
【0072】
以上のより、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45は、クラッチケーシング140(詳しくは、セレクト側保持部144とシフト側保持部145との集合体)内に収容されていることがわかる。なお、前述した隙間Xを設けることによって、セレクト側保持部144とシフト側保持部145とが電気的に絶縁されているので、これらの保持部のうちの一方に通電されたときに他方にも通電されることでシフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45の両方が不意に駆動されてしまうことが防止されている。
【0073】
そして、前述したように、クラッチケーシング140は、クラッチ収容部141内に収容されている。このとき、クラッチケーシング140の外周面(セレクト側保持部144、シフト側保持部145および固定板65のそれぞれの外周面)は、クラッチ収容部141の内周面に対して径方向内側から対向している。この状態で、クラッチケーシング140の外周面とクラッチ収容部141の内周面との間には、径方向における隙間Tが存在する。
【0074】
ここで、セレクト側保持部144およびシフト側保持部145のそれぞれの外周面には、周方向全域に亘って延びる位置決め溝150が形成されている。そして、各位置決め溝150には、Oリング151が嵌め込まれている。Oリング151は、各位置決め溝150においてクラッチケーシング140に対して外嵌された状態になっていて、位置決め溝150から部分的にはみ出ている。そして、各Oリング151において位置決め溝150からはみ出た部分が、ハウジング22内において、クラッチ収容部141の内周面に対して全周に亘って接触している。これにより、各Oリング151がハウジング22とクラッチケーシング140との間(前述した隙間T)に介装されていて、シフト側保持部145とセレクト側保持部144との隙間Xが、外部(ハウジング22内におけるクラッチ収容部141外の空間)から遮断されている。
【0075】
また、シフト側保持部145の折返部145Bと第1ロータ42との間の転がり軸受148、および、セレクト側保持部144の折返部144Bと第2ロータ44との間の転がり軸受147は、いずれもシールベアリング(外輪と内輪との隙間が軸方向からシール86(各軸受において黒く塗り潰された板状部分)によって塞がれた構造のベアリング)である。さらに、第2ロータ44の内側に位置する伝達軸41の主軸部46に対して外嵌された転がり軸受57、および、固定板65の内周面とねじ軸61との間の転がり軸受64の両方もシールベアリングである。
【0076】
そのため、クラッチケーシング140における全ての継ぎ目(前述した隙間X)や、クラッチケーシング140(前述した挿通孔140A,Bにおける内周縁)と回転部材(伝達軸41や第1ロータ42や第2ロータ44やねじ軸61)との隙間が、Oリング151や前記シールベアリングといったハウジング22内のシール部材によって密封されている。これにより、当該シール部材によってクラッチケーシング140の内外が遮断されている。
【0077】
このように、電動アクチュエータ21では、セレクト電磁クラッチ45およびシフト電磁クラッチ43(以下では、まとめて「電磁クラッチ」と省略して呼ぶ)がクラッチケーシング140に収容され、このクラッチケーシング140がハウジング22に収容されている。そのうえ、クラッチケーシング140の内外を遮断するためのシール部材(Oリング151や前記シールベアリング)がハウジング22内に設けられている。よって、ギヤハウジング7(図1参照)からの潤滑剤がシフトセレクト軸15の表面を伝って、前述した通過孔104の隙間S(図5参照)経由でハウジング22内に侵入したとしても、電磁クラッチへの潤滑剤(特に、ミスト状になった潤滑剤)の侵入を多段階に亘って確実に防止できる。
【0078】
そして、ハウジング22内に侵入した潤滑剤は、簡易(低コスト)な構成のOリング151によって堰き止められるので、Oリング151を越えてハウジング22とクラッチケーシング140との間(前述した隙間T)へと進むことができない。そのため、潤滑剤がハウジング22とクラッチケーシング140との隙間Tを経由してクラッチケーシング140内の前記電磁クラッチへ侵入することを防止できる。なお、Oリング151は、できるだけクラッチケーシング140の軸方向端部に寄った位置に設けられているとよい。そうすれば、Oリング151が前述した隙間Xから離れるので、Oリング151に堰き止められた潤滑剤が隙間Xに到達することを確実に防止できる。
【0079】
また、ハウジング22内の回転体である(第1ロータ42や第2ロータ44)の回転軸90,91と、クラッチケーシング140の挿通孔140A,140B(詳しくは、これらの挿通孔を区画する折返部144Bや145B)との間から、潤滑剤がクラッチケーシング140内に侵入しようとしても、この潤滑剤は、当該挿通孔に嵌め込まれた簡易(低コスト)な構成のシールベアリングによって堰き止められる。そのため、潤滑剤は、当該シールベアリングを越えてクラッチケーシング140内へと進むことができない。よって、潤滑剤が前記回転軸とクラッチケーシング140の挿通孔140A,140Bとの間を経由してクラッチケーシング140内の前記電磁クラッチへ侵入することを防止できる。
【0080】
さらに、Oリング151は、動作部材であるシフトセレクト軸15に摺接するように設けられていないとともに、前述したシールベアリングは、第1ロータ42や第2ロータ44等を回転自在に支持する軸受であるから、Oリング151やシールベアリングとシフトセレクト軸15との間に摺動抵抗が発生することはない。そのため、シフトセレクト軸15を動作させる電動モータ23の駆動電力の浪費を防げる。また、Oリング151がシフトセレクト軸15に摺接しないので、Oリング151とシフトセレクト軸15との間における摺動抵抗が小さくなるようにシフトセレクト軸15に高度な表面処理を施さなくて済む。
【0081】
つまり、低コストにより、電動モータ23の駆動電力の浪費を防ぎつつ電磁クラッチへの潤滑剤の侵入を防止できる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
たとえば、前述した固定板65をクラッチケーシング140の一部としているが、クラッチケーシング140とは別の部品とみなしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
15…シフトセレクト軸、16…シフトレバー、21…電動アクチュエータ、22…ハウジング、23…電動モータ、24…シフト変換機構、25…セレクト変換機構、42…第1ロータ、43…シフト電磁クラッチ、44…第2ロータ、45…セレクト電磁クラッチ、90…回転軸、91…回転軸、140…クラッチケーシング、140A…挿通孔、140B…挿通孔、147…転がり軸受、148…転がり軸受、151…Oリング、M4…軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトレバーが連結されたシフトセレクト軸を軸方向へスライドさせることで前記シフトレバーをセレクト動作させ、前記シフトセレクト軸を軸回りに回転させることによって前記シフトレバーをシフト動作させるための電動アクチュエータであって、
前記シフトセレクト軸を収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、回転駆動力を発生させる電動モータと、
前記ハウジングに収容され、前記回転駆動力を、前記シフトセレクト軸を軸方向へスライドさせる力に変換して、前記シフトセレクト軸に伝達するセレクト変換機構と、
前記ハウジングに収容され、前記回転駆動力を、前記シフトセレクト軸を軸回りに回転させる力に変換して、前記シフトセレクト軸に伝達するシフト変換機構と、
前記電動モータからの回転駆動力を前記セレクト変換機構に伝達/遮断するセレクト電磁クラッチと、
前記電動モータからの回転駆動力を前記シフト変換機構に伝達/遮断するシフト電磁クラッチと、
前記ハウジングに収容され、前記セレクト電磁クラッチおよびシフト電磁クラッチを収容するクラッチケーシングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記クラッチケーシングの内外を遮断するためのシール部材と、を含む、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記シール部材は、前記ハウジングと前記クラッチケーシングとの間に介装される、請求項1記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記シール部材は、Oリングを含む、請求項2記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記セレクト電磁クラッチおよびシフト電磁クラッチの少なくとも一方から前記回転駆動力を受けて回転する回転体を含み、
前記クラッチケーシングには、前記回転体の回転軸が挿通される挿通孔が形成され、
前記シール部材は、前記挿通孔に嵌め込まれて前記回転体を回転自在に支持するシールベアリングを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104500(P2013−104500A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249539(P2011−249539)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】