説明

電動サンシェード装置、その最下点ストップリミッターおよびシェード最下点検知方法

【課題】ローマンシェードなどの電動サンシェード装置において、シェードの最下点を簡便かつ確実に検知する。
【解決手段】シェード巻き取り紐9の張力を検出するリミッターアーム17と、シェード巻き取り紐9の張力が低下したときに最下点到達信号を出力するセンサー13と、最下点到達信号を受けてシェード巻き取り紐9の動作を停止させる主制御部が設けられている。これにより、シェードの下端部が最下点に達すると、シェード巻き取り紐9が緩んで張力が急激に低下する。すると、リミッターアーム17が下方に揺動し、マグネット16がセンサー13に接近する。その結果、シェード巻き取り紐9の送り出し動作が停止し、シェードの下降動作が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローマンシェードなどの電動サンシェード装置と、その最下点ストップリミッターおよびシェード最下点検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動サンシェード装置においては、シェード(スクリーン)の最下点をリミットスイッチで検知する技術(以下、公知技術1という。)が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−275827号公報(段落〔0012〕の欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この公知技術1では、リミットスイッチによる検知機構が不詳であり、シェードの最下点を簡便かつ確実に検知することが望まれていた。
【0004】
本発明は、こうした要望に応えることが可能な、電動サンシェード装置、その最下点ストップリミッターおよびシェード最下点検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
まず、請求項1に係る電動サンシェード装置の最下点ストップリミッターの発明では、シェード昇降線状体を上下させてシェードを昇降させる電動サンシェード装置において、前記シェード昇降線状体の張力が低下したときに最下点到達信号を出力する信号出力手段が設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に係る電動サンシェード装置の最下点ストップリミッターの発明では、前記シェード昇降線状体の張力を検出する張力検出手段が設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に係る電動サンシェード装置の発明では、請求項1または2に記載の最下点ストップリミッターを具備していることを特徴とする。
また、請求項4に係る電動サンシェード装置の発明では、前記最下点ストップリミッターからの最下点到達信号を受けて前記シェード昇降線状体の動作を停止させる線状体停止手段が設けられていることを特徴とする。
また、請求項5に係る電動サンシェード装置のシェード最下点検知方法の発明では、シェード巻き取りを上下させてシェードを昇降させる電動サンシェード装置において、前記シェード昇降線状体の張力の低下によって前記シェードの最下点を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シェード昇降線状体の張力の低下によってシェードの最下点が検知されることから、シェードの最下点を簡便かつ確実に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1は本発明に係る電動サンシェード装置の一実施形態のシェード上昇状態を示す正面図、図2は図1の電動サンシェード装置の最下点ストップリミッター近傍を示す右側面図、図3は図1の電動サンシェード装置のシェード下降状態を示す正面図、図4は図3の電動サンシェード装置の最下点ストップリミッター近傍を示す右側面図、図5は図1の電動サンシェード装置の最下点ストップリミッターを示す斜視図、図6は図1の電動サンシェード装置のアーム支持ブラケットを示す正面図(左図)および右側面図(右図)、図7は図1の電動サンシェード装置のマグネットホルダーを示す正面図(上左図)、右側面図(上右図)および底面図(下図)、図8は図1の電動サンシェード装置のリミッターアームを示す正面図、図9は図1の電動サンシェード装置のモーターコントローラーを示す制御ブロック図である。
【0009】
電動サンシェード装置1は、図1および図3に示すように、ボックスや内壁に取り付けられるアルミニウム製のヘッドレール2を有している。ヘッドレール2の前面には面ファスナー3を介してシェード(日よけ)5が着脱自在に取り付けられており、シェード5の下端部にはウェイトバー4が水平に縫い込まれている。また、ヘッドレール2には巻き取りドラム6が、その両端に設置された一対のシンクロナスモーター7により、正逆方向に回転自在に支持されており、巻き取りドラム6には複数本(例えば、5本)のシェード巻き取り紐(シェード昇降線状体)9が互いに等間隔で垂設されている。各シェード巻き取り紐9は、図2および図3に示すように、その下端部がシェード5の下端部に止め付けられているとともに、シェード5の裏面に一定の高さごとに縦に一列に並んで縫い付けられた複数個(例えば、5個)のリング10に挿通されている。
【0010】
また、ヘッドレール2の下面には、図1に示すように、最下点ストップリミッター11が水平方向に摺動自在に嵌合しており、最下点ストップリミッター11は、図5に示すように、合成樹脂製のアーム支持ブラケット12、センサー(信号出力手段)13、合成樹脂製のマグネットホルダー15、マグネット16、ステンレス製のリミッターアーム(張力検出手段)17などから構成されている。
【0011】
ここで、アーム支持ブラケット12は、図6に示すように、長方形平板状の基板12aを有しており、基板12aの裏面上部には、ヘッドレール2に係合するレール係合部12bが形成されている。さらに、基板12aの表面下部にはセンサー13が貼設されている。また、基板12aの左右両端部には、一対の立ち上がり片12cが形成されており、各立ち上がり片12cにはそれぞれ円孔12dが穿設されている。
【0012】
そして、これらの円孔12dにはマグネットホルダー15が揺動自在に嵌合している。このマグネットホルダー15は、図7に示すように、長方形平板状の本体15aを有しており、本体15aの左右両端部には、アーム支持ブラケット12の一対の円孔12dに嵌合する一対のピン15bが突設されている。また、本体15aの表面下部にはマグネット16が貼設されており、本体15aの下面には2個の丸穴15cが凹設されている。
【0013】
そして、これらの丸穴15cにはリミッターアーム17が装着されている。このリミッターアーム17は、図8に示すように、所定の線径(例えば、2.5mm)のステンレス線材をループ状に折り曲げて形成したものである。なお、1本のシェード巻き取り紐9は、図2および図5に示すように、リミッターアーム17の内側に挿通されて係合している。
【0014】
また、ヘッドレール2の上部には、図1に示すように、モーターコントローラー21が組み込まれており、モーターコントローラー21は、図9に示すように、CPU(中央演算処理装置)などの主制御部(線状体停止手段)22を有している。主制御部22には、リモコン受光部23、シンクロナスモーター7、センサー13、上限メモリー25が接続されている。
【0015】
さらに、電動サンシェード装置1は、図9に示すように、シェード5の昇降(開閉)を遠隔操作するための赤外線リモコンなどのリモコン(リモートコントローラー)29を備えており、リモコン29には、上昇ボタン29a、停止ボタン29b、下降ボタン29c、上限設定ボタン29d、発光部29eが設けられている。
【0016】
以上のような構成を有する電動サンシェード装置1において、シェード5を下ろす際には、リモコン29の下降ボタン29cを押す。すると、所定のシェード下降信号が発光部29eから送信され、リモコン受光部23に受信される。これを受けて主制御部22は、一対のシンクロナスモーター7を駆動して巻き取りドラム6を正方向に回転させる。その結果、シェード巻き取り紐9が巻き取りドラム6から解かれて下向きに送り出されるため、シェード5の下端部はウェイトバー4の自重で引っ張られて下降していく。このとき、シェード巻き取り紐9には張力が作用しているため、図3に示すように、最下点ストップリミッター11のリミッターアーム17がマグネットホルダー15とともに自重に抗する形で上方に位置し、マグネット16がセンサー13から離れた状態となっている。
【0017】
そして、シェード5の下端部が最下点に達すると、シェード5は伸びきっているにもかかわらず、巻き取りドラム6が依然としてシェード巻き取り紐9を下方へ送り出すため、シェード巻き取り紐9が緩んで張力が急激に低下する。そのため、図4に示すように、最下点ストップリミッター11のリミッターアーム17がマグネットホルダー15とともに自重で下方に揺動し、マグネット16がセンサー13に接近する。すると、センサー13は、主制御部22に最下点到達信号を出力する。この最下点到達信号を受けて主制御部22は、シェード5の下端部が最下点に達したと認識し、それまでのシンクロナスモーター7の駆動を停止させる。その結果、巻き取りドラム6の回転が止まり、シェード巻き取り紐9の送り出し動作が停止する。ここで、シェード5の下降動作が完了する。
【0018】
このように、電動サンシェード装置1では、シェード巻き取り紐9の張力の低下によってシェード5が最下点に達したと認識するため、シェード5の最下点を簡便かつ確実に検知することができる。
【0019】
なお、シェード5の下降中にシェード5を任意の位置で止めることもできる。それには、シェード5が所望の位置まで下降したところで、リモコン29の停止ボタン29bを押す。すると、所定のシェード停止信号が発光部29eから送信され、リモコン受光部23に受信される。これを受けて主制御部22は、それまでのシンクロナスモーター7の駆動を停止させる。その結果、巻き取りドラム6の回転が止まり、シェード5が現在位置で停止する。
【0020】
一方、シェード5を上げる際には、リモコン29の上昇ボタン29aを押す。すると、所定のシェード上昇信号が発光部29eから送信され、リモコン受光部23に受信される。これを受けて主制御部22は、一対のシンクロナスモーター7を駆動して巻き取りドラム6を逆方向に回転させる。その結果、シェード巻き取り紐9が巻き取りドラム6に巻き取られていくため、シェード5の下端部はウェイトバー4の重量に抗する形で上昇する。このとき、シェード巻き取り紐9には張力が作用しているため、図3に示すように、最下点ストップリミッター11のリミッターアーム17がマグネットホルダー15とともに上方に位置していることから、最下点ストップリミッター11の誤動作を招く恐れはない。
【0021】
なお、シェード5の上昇中にシェード5を任意の位置で止めることもできる。それには、シェード5が所望の位置まで上昇したところで、リモコン29の停止ボタン29bを押す。すると、所定のシェード停止信号が発光部29eから送信され、リモコン受光部23に受信される。これを受けて主制御部22は、それまでのシンクロナスモーター7の駆動を停止させる。その結果、巻き取りドラム6の回転が止まり、シェード5が現在位置で停止する。
【0022】
このように、電動サンシェード装置1では、巻き取りドラム6の駆動源としてシンクロナスモーター7を採用しているので、シェード5の昇降音が極めて静かであるとともに、消費電力が少なくなる。また、このシンクロナスモーター7を2個一対で使用しているため、各シンクロナスモーター7のトルクが少なくて済むことから、コンパクト設計に対応可能となる。
【0023】
ところで、主に電動サンシェード装置1の意匠上の要請から、シェード5を上げるときに、シェード5の下端部が最上点まで上がりきらない途中位置を上限としたい場合がある。この場合、シェード5の上限位置を予め設定しておくことにより、シェード5を途中位置で自動的に止めることもできる。
【0024】
それには、リモコン29の上昇ボタン29a、下降ボタン29c、停止ボタン29bを適宜押すことにより、シェード5を所望の位置で止め、この状態でリモコン29の上限設定ボタン29dを押す。すると、所定の上限設定信号が発光部29eから送信され、リモコン受光部23に受信される。これを受けて主制御部22は、シェード5の現在位置を上限位置として上限メモリー25に記憶する。これで、シェード5の上限の設定動作が終了する。
【0025】
こうしてシェード5の上限が設定されたところで、一旦シェード5を下ろしてからリモコン29の上昇ボタン29aを押す。すると、上述したとおり、シェード5は上昇するが、シェード5が上限位置に達したところで、主制御部22は、シンクロナスモーター7の駆動を停止させる。その結果、巻き取りドラム6の回転が止まり、シェード巻き取り紐9の巻き取り動作が停止し、シェード5がその位置で停止する。したがって、シェード5は所望の位置まで上昇して停止することになる。
【0026】
なお、上述の実施形態においては、シェード昇降線状体としてシェード巻き取り紐9を備えた電動サンシェード装置1について説明したが、シェード巻き取り紐9以外のシェード昇降線状体を代用しても構わない。
【0027】
なお、上述の実施形態においては、一対のシンクロナスモーター7によって巻き取りドラム6を回転させる機構を備えた電動サンシェード装置1について説明したが、シンクロナスモーター7以外のモーターを代用することも可能である。或いはまた、1個のモーターで巻き取りドラム6を回転させることも無論できる。
【0028】
なお、上述の実施形態においては、アルミニウム製のヘッドレール2、合成樹脂製のアーム支持ブラケット12、合成樹脂製のマグネットホルダー15、ステンレス製のリミッターアーム17を備えた電動サンシェード装置1について説明したが、これらの部品の材質は特に限定されるわけではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ローマンシェードをはじめとする各種の電動サンシェード装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る電動サンシェード装置の一実施形態のシェード上昇状態を示す正面図である。
【図2】図1の電動サンシェード装置の最下点ストップリミッター近傍を示す右側面図である。
【図3】図1の電動サンシェード装置のシェード下降状態を示す正面図である。
【図4】図3の電動サンシェード装置の最下点ストップリミッター近傍を示す右側面図である。
【図5】図1の電動サンシェード装置の最下点ストップリミッターを示す斜視図である。
【図6】図1の電動サンシェード装置のアーム支持ブラケットを示す正面図(左図)および右側面図(右図)である。
【図7】図1の電動サンシェード装置のマグネットホルダーを示す正面図(上左図)、右側面図(上右図)および底面図(下図)である。
【図8】図1の電動サンシェード装置のリミッターアームを示す正面図である。
【図9】図1の電動サンシェード装置のモーターコントローラーを示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0031】
1……電動サンシェード装置
5……シェード
6……巻き取りドラム
7……シンクロナスモーター
9……シェード巻き取り紐(シェード昇降線状体)
11……最下点ストップリミッター
12……アーム支持ブラケット
13……センサー(信号出力手段)
15……マグネットホルダー
16……マグネット
17……リミッターアーム(張力検出手段)
21……モーターコントローラー
22……主制御部(線状体停止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェード昇降線状体を上下させてシェードを昇降させる電動サンシェード装置において、
前記シェード昇降線状体の張力が低下したときに最下点到達信号を出力する信号出力手段が設けられていることを特徴とする、電動サンシェード装置の最下点ストップリミッター。
【請求項2】
前記シェード昇降線状体の張力を検出する張力検出手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電動サンシェード装置の最下点ストップリミッター。
【請求項3】
請求項1または2に記載の最下点ストップリミッターを具備していることを特徴とする電動サンシェード装置。
【請求項4】
前記最下点ストップリミッターからの最下点到達信号を受けて前記シェード昇降線状体の動作を停止させる線状体停止手段が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の電動サンシェード装置。
【請求項5】
シェード巻き取りを上下させてシェードを昇降させる電動サンシェード装置において、
前記シェード昇降線状体の張力の低下によって前記シェードの最下点を検知することを特徴とする、電動サンシェード装置のシェード最下点検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−125275(P2007−125275A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321804(P2005−321804)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(596168867)ナビオ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】