説明

電動式安全かみそりシステム

剃毛システムであって、剃毛ヘッド構造と、長手軸を画定するブレードフレームと、それぞれ前記長手軸に平行に伸びた刃先を有する、前記ブレードフレームに取り付けられた少なくとも2枚のブレードと、を備える、剃毛システム。前記フレームは、前記長手軸に垂直に振動運動するか、又は前記長手軸に平行な軸の周りを振動運動するように、前記構造に取り付けられており、前記フレームに連結された駆動システムが前記振動運動を発生させる。平均切断速度が400mm/秒超であるように、前記振動運動の振幅は0.4mmより大きくなるように選択され、周波数は80Hzより大きくなるように選択される。
ある実施形態では、少なくとも1枚のブレードが2つの向かい合った剃毛方向のそれぞれに向いており、前記振動運動の振幅が前記の向かい合ったブレードの刃先間の間隔より大きい。前記間隔は好ましくは0.6〜1.4mmの範囲であり、前記振幅は好ましくは0.4〜2.0mmの範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式剃毛システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動式剃毛システムは、これまで、ほぼ例外なく、アンダーカッターをフォイルに対して振動させるフォイル及びアンダーカッタータイプのシステム、及び回転式の鋭利なアンダーカッターをカバーする硬質ガードを有するシステムの2つのカテゴリーのいずれかに分類されている。露出したかみそりの鋭利なブレードを(通常、潤滑剤を適用して)皮膚に接触させるシステムでは、例外もあるが、その大部分は依然として非電動式のままである。
【0003】
欧州特許A−1−201,375号は、いわゆる「スライドシュー(slide shoe)」に取り付けられた1組の振動ブレードを有する湿式剃毛機器について記載している。ブレードは、電気駆動式バイブレータを用いて刃先の長手方向に振動を生じさせられる。
【0004】
別の提案はダトー(Dato)らの米国特許第6,421,918号に見ることができる。剃毛システムは、かみそりヘッドに縦一列に並んで取り付けられた1組のかみそりブレード、及びブレードを15kHz〜2MHzの範囲の周波数で振動させる構造を有する。このような方法でブレードを振動させると、切断効率が向上するとされている。ブレードと併せたヘッドの振動の振幅は、10〜100ミクロンの範囲である。
【0005】
WO2004/018165号(ゾイデルバート(Zuidervaart)ら)は、100〜1000Hzの範囲、好ましくは200Hzの周波数で周期的な楕円運動で駆動される2枚の平行なかみそりブレードを有する電動式剃毛機器について記載している。楕円の長軸は0.1〜0.6mm、短軸は0.02〜0.15mmの長さを有する。すなわち、長軸に沿った運動の振幅は0.05〜0.3mmの範囲であり、これはおそらく効率的な剃毛には不適切であろう。
【0006】
WO04/018166号(ティーウ(Teeuw)ら)には、湿式剃毛ブレード用の特殊コーティングについて記載されており、このコーティングは駆動ブレードの往復運動又は振動で切削抵抗を低減するのに特に好適であるとされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来式又は湿式剃毛システムは、いわゆる「ヒステリシス効果」の利用を意図した複数のブレードを有することが知られている。しかしながら、通常の剃毛では、各ブレードが特定の毛と係合する時間間隔が長すぎて、第2のブレードが前記毛と係合する前に毛が引っ込まないようにすることができない傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、切断効率が向上された電動式剃毛システムを提供することである。
【0009】
本発明のある態様によると、剃毛ヘッド構造と、長手軸を画定するブレードフレームと、それぞれ前記長手軸に平行に伸びた刃先を有する、前記ブレードフレームに取り付けられた少なくとも2枚のブレードと、を備え、前記フレームは、前記長手軸に垂直に振動運動するように前記構造に取り付けられ、前記振動運動を発生させるように前記フレームに連結された駆動システムであって、前記振動運動の振幅が少なくとも0.4mmであり、前記振動運動の周波数が少なくとも80Hzである駆動システムが設けられている、剃毛システムが提供されている。好ましくは、前記振動運動の振幅は0.4〜2.0mmの範囲で選択され、前記振動運動の周波数は80〜300Hzの範囲で選択される。
【0010】
好ましくは、前記の第1及び第2のブレードが向かい合った剃毛方向で剃毛を実行するように配向されている。
【0011】
本発明の別の態様により、間隔を開けた少なくとも2枚のブレードを保持するブレードフレームが顔面上で直線運動を実行されて、ブレードフレームが少なくとも0.4mmの振幅及び少なくとも80Hzの周波数で前記直線運動の方向に振動を生じさせられる、剃毛の方法が提供されている。
【0012】
好ましくは、前記振幅は0.4〜2.0mmの範囲であり、前記周波数は80〜300Hzの範囲である。前記振幅は約1.2mmであり、前記周波数は約120Hzであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明による剃毛システムの第1の実施形態の斜視図を示す。図に示すように、剃毛ヘッド1は、軸線A−Aの周りを回転運動するようにヨーク構成要素2に取り付けられている。モータ3はヨーク2の下に備え付けられている。剃毛ヘッド1は皮膚支持ガード21を有する。皮膚支持ガード21は、一般に上部皮膚係合面4及び2つの側面5から成るU字型の横断面であり、図1で側面の1つが見られる。上面4は、それぞれ横方向のガードバー7で分割された複数個の窓8を有する。ブレードカートリッジ6は、これらの窓8を通じて皮膚に露出される。矢印Bは、ブレードカートリッジ6が振動させられる方向を示す。
【0014】
図2は、図1の組立体の分解図を示す。一般に方形のカートリッジ22は、2組の鋭利なかみそりブレード221及び222を有する。カートリッジは支持部材23上に保持される。支持部材23、カートリッジ22、及び支持ガード21は、すべて回転軸受け241及び242を有するメインシャーシ24上に組み立てられる。駆動リンク部25には、シャーシの長手方向の運動を横断運動に変換する第1のリンク部材251及び第2のリンク部材252が含まれる。各リンク部材251及び252は、メインシャーシ24の下に取り付けられる駆動ブリッジ26の軸受け開口部261及び262それぞれに嵌合する軸受けピン2511及び2521を有する。弓型スロット263は、駆動ブリッジ26の下側に形成される。駆動ブリッジ26の下には、弓型スロット263に嵌合するピン271を有するカム27が配置される。U字型のヨーク部材28は、皮膚支持ガード21、カートリッジ22、カートリッジ支持部材23、メインシャーシ24、駆動リンク部25、及び駆動ブリッジ26から成るヘッド組立体を受け入れ支持する。メインシャーシ24の軸受けピン241及び242は、ヨークの直立外側脚283及び284の軸受け開口部281及び282にそれぞれ嵌合する。駆動モータ3はヨーク28の開口部を通じてカム27に連結され、その結果、カートリッジがその長手軸の横方向に振動を起こすようにカートリッジ22に動力が提供される。。
【0015】
図3は、本発明による剃毛システムの第2の実施形態の斜視図を示す。図に示すように、剃毛ヘッド31は、軸線A−Aの周りを回転運動するようにヨーク構成要素32に取り付けられている。モータ33はヨーク32の下にあるハウジング内に収容されている。剃毛ヘッド31は、上部皮膚係合面34及び2つの側面35を有し、図3で側面の1つが見られる。上面34は、ブレードカートリッジ36を露出させる窓38、及びカートリッジ上を覆う皮膚固定ガード37を有する。矢印Bは、ブレードカートリッジ36の振動方向を示す。
【0016】
図4は、図3の組立体の原寸大の分解図を示す。剃毛ヘッド31には2つの皮膚支持ガード37、37aが含まれる。皮膚支持ガード37、37aは、刃先付近で皮膚を固定する。一般に方形のカートリッジ42は、2組の鋭利なかみそりブレード421及び422を有する。カートリッジは支持部材43上に保持される。支持部材43、カートリッジ42、及び支持ガード37、37aは、すべて回転軸受け441及び442を有するメインシャーシ44上に組み立てられる。支持部材43は、メインシャーシ44の末端部に枢動可能に取り付けられる。駆動リンク部45には、シャーシの長手方向の運動を、シャーシの長手軸に平行な軸の周りを振動する支持部材43の運動に変換する、第1のリンク部材451及び第2のリンク部材452が含まれる。リンク部材452は、駆動ブリッジ46の軸受け開口部464に嵌合する軸受けピン4521を有する。第1のリンク部材451のピン(図示なし)は、メインシャーシ44の軸受け開口部462に嵌合する。弓型スロット463は、駆動ブリッジ46の下側に形成される。駆動ブリッジ46の下には、弓型スロット463に嵌合するピン471を有するカム47が配置される。U字型のヨーク部材48は、皮膚支持ガード31、カートリッジ42、カートリッジ支持部材43、メインシャーシ44、駆動リンク部45、及び駆動ブリッジ46から成るヘッド組立体を受け入れ支持する。メインシャーシ44の回転軸受け441及び442は、ヨーク48の直立外側脚483及び484の軸受け開口部481及び482それぞれに嵌合する。駆動モータ(図示なし)はヨーク48の開口部を通じてカム47に連結され、その結果、カートリッジが長手軸の横方向に振動を起こすようにカートリッジ42に動力が提供される。
【0017】
図5、6、及び7は、図1及び2の剃毛ヘッドを、組み立てられた状態で下から見たものを示す。カム27は概略的に表示されている。図5、6、及び7に示す各図では、カム27が180°回転した場合の駆動機構の位置を示す。よって、駆動ピン271は、図5の下の位置から、図6の中間の位置を経て、図7の上の位置まで移動している。駆動ピンはスロット263に嵌合され、こうしてピンが図5の下の位置から図7の上の位置まで移動するとき、スロットは次第に上方に移動するようになる。上方のリンク部材252はベルクランク253に連結されており、同様に下方の駆動レバー251は別のベルクランクレバー254に連結されていることが見て取れる。各ベルクランクレバー253及び254の回転動作により、カートリッジ支持部材23に横断運動が付与され、その結果、カートリッジ22本体にも横断運動が付与される。
【0018】
図1及び2に示す好ましい実施形態では、カートリッジ22は2つの組に配置された4枚のブレードを有する。4枚のブレードの好ましい配置を図8に示す。図8では、ブレード61及び62の第1組は右側を向いており、ブレード63及び64の第2組は左側を向いている。各ブレード61〜64はかみそりのように鋭利であり、各ブレード支持部材65〜68に取り付けられている。図9、10、及び11は、別のブレードの配置を示す。図9では、第1組のブレード71及び72は向い合った方向で切断するように配置されており、第2組のブレード73及び74も同様である。図10の実施形態では、第1の組のブレード81及び82は左側を向いており、一方の第2組のブレード83及び84は右側を向いている。最後に図10の実施形態では、ブレード91及び92の第1組は互いに逆の方向に向いており、ブレード93及び94の第2組も同様に配置されている。
【0019】
反対方向に取り付けられた2組のブレードを使用し、十分なストローク及び速度で動かすことにより、かみそりが移動する方向とは反対方向で切断を達成することができる。換言すれば、かみそりをきめ(grain)の方向に移動させると同時に、「きめ(grain)に逆らった」切断が可能になる。この動作で、1組のブレードが皮膚を横切って移動する際に低く寝た毛を起こし、次にこのような毛を第2の組によって切断することができる。また、この動作では、適正な速度、ストローク、及び運動速度が与えられると、毛が皮膚表面の下に引っ込む前に第2のブレードが毛に係合することでヒステリシスを達成することができる。剃毛ヘッドを旋回させることにより、顔面からかみそりを離すことなく、上下にストロークさせて剃毛することができる。
【0020】
図6、7、8、及び9に示すように、本発明の範囲内において、反対方向を向いた2組のブレードを提供することが好ましいが、反対方向又は同一方向を向いた1組だけのブレードを提供することも可能である。この場合、ヒステリシス効果は達成されないと考えられるが、上述した起毛効果は依然として達成可能であると考えられる。別のオプションは、1枚のブレードに対向する1組のブレードである。
【0021】
図8に示すタイプの4枚ブレードの振動カートリッジを使用して構築された試作品のかみそりを使用し、潤滑剤を使用しない剃毛試験(乾式剃毛)、及び剃毛前に顔面に潤滑剤を適用した剃毛試験(湿式剃毛)を実施した。湿式剃毛法では、快適性及び効率性に関して最良の主観的結果が得られた。ブレードは1.3mmのピッチ(各組のブレード間の間隔)で配置された。1mmのブレード間隔を採用すると、適切な速度及びストローク状態でヒステリシス効果が向上する。ブレード間隔をより狭くしても、適所にガードがあれば、快適性は向上し、さらにかみそりヘッドのサイズを小さくして、鼻の下などの難しい領域へのアクセスを向上させることが可能となる。
【0022】
ブレードの移動を2.4mm(すなわち振幅を1.2mm)と比較的大きくした試験では、効率は良いが、使用された特定の形状ではいくらか突っ掛かりが見られた。一方で、ストロークを小さくし過ぎると、効率も低下する。それ故に、ほどよい妥協域は、ストロークが総移動距離で1.5〜1.8mmの範囲であり、周波数が250Hzの領域であると考えられる。0.4mmの振幅(すなわち0.8mmのブレードストローク)は、依然として効率的に剃毛できる最低の実用値を表している。
【0023】
標準的な対ブレードの湿式かみそりを225mm/秒の直線剃毛速度で操作した場合、各組の第1と第2のブレードの係合の間の経過時間は5ミリ秒より大きい。毛が2ミリ秒未満で約200ミクロンまで引っ込むことは、以前から知られている。電動式ブレードの振動速度は、二重に係合することなく、又は洗浄性(すなわち、ブレード間のくず除去のための障害物のない経路の存在)を犠牲にすることなく、第1と第2の切断の間の経過時間を動的に減らすのに十分速く設定されるべきある。
【0024】
運動の振幅が±1.2mmであり、及び振動の周波数が100Hzの場合、1.3mmのブレード間隔を用いると、平均切断速度は480mm/秒になり、計算上のヒステリシス時間は2.7ミリ秒になる。この切断速度は良好な切断結果をもたらす。ヒステリシス時間を1.7ミリ秒(すなわち2ミリ秒未満)に減らすことが望ましい場合は、切断速度を600mm/秒、及び1mmのブレード間隔で達成可能である。これには、例えば、±0.5mmの振幅及び300Hzの周波数が必要である。
【0025】
周波数は80〜300Hzの範囲が好ましいが、最も好ましくは120Hzである。
【0026】
ブレードの運動を達成するため様々な方法を採用することができる。上記の実施形態では、モータ3は固定ハンドルに搭載されており、それに取り付けられたオフセットカム27を有する。カム27は、回転ヘッドに組み込まれた弓型カム従動部を駆動する。この配置により、ヘッドはモータによって駆動されたまま、顔の輪郭をなぞることができる。その結果生じる運動は、一般にブレードエッジの方向に沿った直線状である。この運動は、各自の場所で旋回する2つのL字型部材253、254(ベルクランク)によってブレードエッジに垂直な動きへと変換される。2つのベルクランクが、カートリッジの各末端部に1つずつ提供されることにより、運動は平行なまま保たれる。また、この運動は、ヘッド自体に取り付けられた電磁駆動装置の使用によっても達成可能であろう。
【0027】
次に、図12〜15に関して、第3の実施形態について説明する。この実施形態では、ブレードフレームカートリッジがブレードの配置された平面に平行な方向に振動する代わりに、この平面の接線方向に振動するように駆動される。この接線方向の運動、すなわちロッキング運動は、ブレードエッジによって画定される長手軸に平行な軸線A’−A’を有する。
【0028】
図12は、本発明による剃毛システムの第3の実施形態の斜視図を示し、図13はその分解図を示す。図に示すように、剃毛ヘッド600は、軸線A’−A’の周りを回転するようにY字型ヨーク部材601に取り付けられている。剃毛ヘッド600は、上面606及び2つの側面604を含むガードフレーム605を有し、図には側面の1つが見られる。ブレード619、620を含むブレードカートリッジ617は、上面606の窓を通して皮膚に露出される。図15の矢印Cは、ブレードカートリッジ617が振動されている方向を示す。
【0029】
図13の分解図では、個々の構成要素を見ることができる。窓の両側部には、ブレード619、620の長さに平行に、皮膚ガードフィンガー611が存在する。これらのフィンガーは、窓の中心方向に突き出た一連の突起の形態を有し、皮膚を支持すると同時に、皮膚が剃毛ヘッドの上面を容易に通過できるように、また特に切断領域では、皮膚がカートリッジの非切断部分とこすれ合ったり引っ掛かったりしないように設計される。また、これらのフィンガーは、ブレード619、620の刃先付近で皮膚を固定するのにも役立つ。
【0030】
窓の側面の1つには、ブレード619、620の長さに平行に、皮膚係合支持部材607が配置される。この支持部材の上面には、有利になるように皮膚伸長フィンを形成してもよい。皮膚係合支持部材607とは反対の窓側には、潤滑ストリップ609を配置してもよい。これにより皮膚の潤滑を助長し、快適性及び容易性を有したまま、剃毛ヘッドを皮膚上でより速く動かすことができる。
【0031】
カートリッジ617は、ブレード619、620が配置されたフレーム621からなる。これらのブレードは、フレーム621の両末端部を取り囲むクリップ622によって保持される。更に、皮膚支持ガード612が、一連の上を向いた歯の形態で中央のブレード間に配置される。これらの皮膚支持ガードは、剃毛ヘッド上の皮膚の移動を管理するのに役立ち、剃毛装置の性能を向上させ、切り傷やすり傷を防止する。
【0032】
カートリッジ617は支持部材616上に保持される。この支持部材616は、支持部材の各末端部に配置された軸受け632を有する。更に、支持部材616の下面から、駆動スロット640を有する駆動リンク部639が突き出ている。
【0033】
支持部材616、カートリッジ617、及びガードフレーム605は、すべてシャーシ618上に組み立てられる。シャーシ618は、ヨーク軸受け625及び支持部材軸受け634を有する。シャーシの支持部材軸受け634は、支持部材が軸受け632、634を通る軸線の周りを前後に振れることができるように、支持部材の軸受け632に連結される。ガードフレーム605及びシャーシ618は、筐体内で振動する支持部材616に対して、依然として静止したままの筐体を形成する。
【0034】
駆動リンク部639は、駆動スロット640を有し、シャーシ618のスロット633から突き出ており、このスロット633の周囲には水の浸入を防ぐ可撓性シール635がはめ込まれている。
【0035】
シャーシ基部650はシャーシ618の下面に固着及び封止されており、シャーシ基部に密封状態で配置されたケーブル接続部652を有する防水区画を形成する。モータ602はこの区画内に配置される。このモータにより、オフセット駆動カム603が駆動される。
【0036】
シャーシ618のスロット633から突き出た駆動リンク部639の駆動スロット640は、モータ区画内で駆動カム603と嵌合し、モータに電力が供給されると、モータによって駆動リンク部639が往復運動するように駆動される。この運動は駆動リンク部639を介して支持部材616に伝達され、その結果、支持部材616、カートリッジ617、及びブレード619、620が、ガードフレーム605の上面606を含む平面の接線方向で、軸受け632、634を通る軸線の周りを前後に振れる。
【0037】
Y字型ヨーク部材601は、ガードフレーム605、カートリッジ617、支持部材616、シャーシ618、駆動リンク部639、シャーシ基部650、及びモータ602から成る剃毛ヘッド組立体600を受け入れて支持する。ヨークの各アームに配置されたヨーク軸受け615は、シャーシのヨーク部材軸受け625とそれぞれ嵌合し、その結果、剃毛ヘッド組立体600が、嵌合した軸受け615、625を通る軸線の周りを自由に回転できる。
【0038】
図14において、モータ602はケーブルを介して電源に接続され、ケーブルは、シャーシ基部650の底部でケーブル接続部652を通過し、更にケーブル接続部652から剃毛装置のハンドル654まで延びた可撓性シール管656を通過する。
【0039】
試験により示された剃毛装置の動作の最適な特徴には、カートリッジのブレードが120Hzの周波数で±1.2mmの直線距離に等しい円弧運動を介して移動することが挙げられる。ただし、距離の範囲は±0.6〜±2.0mmであり、周波数の範囲は80〜250Hzであってもよい。更に、ブレード間の間隔は、中央の2枚のブレード間で0.75mmであり、存在する場合には、その他のブレード間で1.0mmである。また、ブレードが移動する速度及び距離は、先の2つの実施形態で上述した速度及び距離と同じである。ただし、「持ち上げて切断する」効果を達成するには、顔面を横断する移動速度が250mm/秒の場合、ブレードは好ましくは600mm/秒の平均速度で運動する必要がある。
【0040】
上述した3つのすべての実施形態、並びに図8〜11に示した異なるブレードの配置において、別のブレードの組み合わせを使用してもよく、その中で各組の1枚目のブレードは「先端が丸く」、毛を切断せずに起こすか伸ばすためだけに使用されてもよい。
【0041】
横方向の皮膚係合バーを有する皮膚固定支持ガードの使用は、皮膚を固定し、振動しているブレード配列によって横断されている間に、皮膚が本質的に静止した状態を保つのを確実にする。
【0042】
当業者には、様々な修正及び代案が考えられるであろう。例えば、他の種類の動力を使用してもよく、また、上述した最初の2つの実施形態において、ハンドルに搭載されたモータによって、回転ジョイントのプッシュプル動作を使用してブレードが駆動されてもよい。更に、最初の2つの実施形態では、例えば、第3の実施形態で記載したように、皮膚を伸ばすための潤滑ストリップ及び/又はフィンを含む、他の種類の皮膚固定ガードを使用してもよい。最後に、従来の回転式モータ以外の、ソレノイド駆動装置などの動力源を使用してもよい。
【0043】
部品リスト:
【表1−1】

【表1−2】

【0044】
本発明をより良く理解するために、そしてそれをいかに実行に移すかを示すために、例証として、添付図面を参照に用いる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態による電動式剃毛システムの作動部品の斜視図。
【図2】図1の組立体の分解図。
【図3】本発明の第2の実施形態による電動式剃毛システムの作動部品の斜視図。
【図4】図3の組立体の分解図。
【図5】回転の種々の段階における、下から見たメインシャーシの振動運動。
【図6】回転の種々の段階における、下から見たメインシャーシの振動運動。
【図7】回転の種々の段階における、下から見たメインシャーシの振動運動。
【図8】種々の実行可能なブレードの配置。
【図9】種々の実行可能なブレードの配置。
【図10】種々の実行可能なブレードの配置。
【図11】種々の実行可能なブレードの配置。
【図12】本発明の第3の実施形態による電動式剃毛システムの作動部品の斜視図。
【図13】図12の組立体の分解図。
【図14】図12の組立体の側面図。
【図15】図14の組立体の部分の運動の方向を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剃毛システムであって、
剃毛ヘッド構造(24,28;44,48;616,618,650)と、
長手軸を画定するブレードフレーム(22;42;617)と、
それぞれ前記長手軸に平行に伸びた刃先を有する、前記ブレードフレームに取り付けられた少なくとも2枚のブレード(221,222;421,422;619,620)と、を備え、
前記フレームは、前記長手軸に垂直に振動運動するように前記構造に取り付けられ、
前記振動運動を発生させるように前記フレームに連結された駆動システム(25,26,27;45,46,47;603,640)であって、前記振動運動の振幅が少なくとも0.4mmであり、前記振動運動の周波数が少なくとも80Hzである駆動システムが設けられている、剃毛システム。
【請求項2】
前記振幅が0.4〜2.0mmの範囲であり、前記周波数が80〜300Hzの範囲である、請求項1に記載の剃毛システム。
【請求項3】
少なくとも1枚のブレードは、2つの向かい合った剃毛方向それぞれに向いており、前記振動運動のストロークが前記の向かい合ったブレードの刃先間の間隔より大きい、請求項1又は2に記載の剃毛システム。
【請求項4】
前記間隔が0.6〜1.4mmの範囲であり、前記振幅が0.4〜2.0mmの範囲である、請求項3に記載の剃毛システム。
【請求項5】
ブレードの第1組(61,62;81,82)は一方向を向いており、ブレードの第2組(63,64;83,84)は他方向を向いている、請求項3又は4に記載の剃毛システム。
【請求項6】
第1組及び第2組のブレード(61,62;63,64)が互いに向き合っている、請求項5に記載の剃毛システム。
【請求項7】
第1組及び第2組のブレードが互いに背き合っている、請求項5に記載の剃毛システム。
【請求項8】
1組のブレードが一方向を向き、1枚のブレードが反対方向を向いている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剃毛システム。
【請求項9】
前記切断速度が400mm/秒超である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の剃毛システム。
【請求項10】
前記ブレードがすべて同じブレード角度で取り付けられている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の剃毛システム。
【請求項11】
前記剃毛ヘッド構造は、固定された皮膚係合ガード部材(21;34;604)を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の剃毛システム。
【請求項12】
前記フレームが、前記振動運動が前記ブレードの刃先を含む平面に平行な方向で実行されるように取り付けられている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の剃毛システム。
【請求項13】
前記駆動システムが、前記フレームに前記振動運動を付与するために旋回動作するように前記構造に取り付けられた少なくとも1つのベルクランクレバー(253,254)を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の剃毛システム。
【請求項14】
前記駆動システムが、前記フレームに前記振動運動を付与するために旋回動作するように前記構造に取り付けられた2つのベルクランクレバーを含む、請求項11に記載の剃毛システム。
【請求項15】
前記フレーム(617)が前記長手軸に平行な軸の周りを振動するように駆動される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の剃毛システム。
【請求項16】
前記切断速度が450mm/秒超である、請求項15に記載の剃毛システム。
【請求項17】
前記駆動システムは、前記フレームに前記振動運動を付与するために旋回動作するように前記構造(616,618,650)に取り付けられた駆動スロット(640)に連結されたオフセット駆動カム(603)を含む、請求項15又は16に記載の剃毛システム。
【請求項18】
間隔を開けた少なくとも2枚のブレードを保持するブレードフレームが顔面上で直線運動を実行されて、前記ブレードフレームは、少なくとも0.4mmの振幅及び少なくとも80Hzの周波数で前記直線運動の方向に振動を生じさせられる、剃毛の方法。
【請求項19】
前記振幅が0.4〜2.0mmの範囲であり、前記周波数が80〜300Hzの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ブレードフレームがロッキング運動で振動を生じさせられる、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
第1及び第2のブレードが反対方向を向いている、請求項18〜20ののいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
平均切断速度が400mm/秒超である、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
平均切断速度が450mm/秒超である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
平均切断速度が600mm/秒超である、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−515501(P2008−515501A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535105(P2007−535105)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010836
【国際公開番号】WO2006/042649
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】