説明

電動歯ブラシ

電動歯ブラシを開示する。電動歯ブラシは、1つ以上のモータ、バッテリ、及び駆動機構を保持する内部中空領域を有する本体を含む。歯ブラシは、1つ以上の毛支持体を含む。各毛支持体は数種類の動作を行い、1つ以上のモータ及び駆動機構により駆動される。毛支持体の各種組み合わせの動きを記載する。更に、記載した運動を実現する多数の動力伝達機構を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参考として本明細書に組み込まれる、2003年12月19日出願の米国仮出願第60/531,071号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は歯ブラシの分野に関し、より詳細には、本発明は電動式歯ブラシの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
最もよく知られている電動歯ブラシは、歯ブラシに組み込まれている電動モータで動くか、又は駆動する単一毛支持体を利用している。こうした歯ブラシの毛支持体は、多様な運動を行う。例えば、回転運動を行う毛支持体が良く知られている。ブラシの平面内で線状に前後に動く毛支持体も知られている。また、米国特許第5,974,615号など、ブラシの平面に垂直な線状に動く毛支持体も知られている。これらの毛支持体はある点においては十分であるが、動力を備えた歯ブラシの設計において未だ改善の必要性がある。
【0004】
電気歯ブラシのデザイン、性能、洗浄効果、簡素化、及び/又は商業可能性を改善しようという多くの試みがなされている。その1つの方法は、複数電動毛支持体を備えることである。ほとんどの技術者は、ブラシの一端に沿って毛を複数セットに分け、各組の毛を同時に回転させる駆動機構を組み込んでいる。そうした設計例として、米国特許第3,242,516号、第4,156,620号、第4,845,795号、第5,088,145号、第5,020,179号、第4,827,550号、及び第4,545,087号に記載されたものが挙げられ、これら全ての特許は本明細書に参照により組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な組み合わせの動きをする毛支持体が、従来技術において開示されているが、更なる組み合わせの運動を行う1つ以上の毛支持体を備えた電気歯ブラシを提供する必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の態様において、内部に配置されたモータを有する細長いハンドルと、長手方向軸及び可動毛支持体を有するヘッドと、を含む電動歯ブラシであって、使用中にヘッドが静止している電動歯ブラシを提供する。つまり、ヘッドは、歯ブラシのハンドル又は本体部分に関して静止している。電動歯ブラシは又はンドルとヘッドとの間に延伸するネックを含む。歯ブラシは、可動毛支持体に直接的に連結され、且つモータに作動的に接続されたシャフトを更に含む。シャフトの動作により、可動毛支持体は、ヘッドの長手方向軸に対して概ね垂直な軸線の周りで振動運動し、更にヘッドの長手方向軸に対して概ね垂直な軸線に沿って往復運動する。可動毛支持体は、更に支持体の下面に配置された傾斜を含む。更に、ヘッドの内部内に柱を設ける。柱は、歯ブラシの作動中、傾斜と柱とが互いに摺動的に係合することにより毛支持体の往復運動を生じさせるように配置され構成される。
【0007】
更に別の態様において、本発明は、長手方向軸と内部に配置されたモータとを有する細長いハンドルを含む電動歯ブラシを提供する。電動歯ブラシはまた、第2長手方向軸と可動毛支持体とを有する可動ヘッドを含む。可動ヘッドは、ハンドルに対して可動的である電動歯ブラシは、更にハンドルとヘッドとの間に延伸する可動ネックを含む。また、電動歯ブラシは、モータ及び可動毛支持体に作動的に連結されたシャフトを含む。シャフトは、シャフトの動作により、可動毛支持体がヘッドの第2長手方向軸に対して概ね垂直な軸線の周りで振動運動するように、可動ネックを作動的に係合させる。シャフトの動作により、更に可動ネック及び可動ヘッドは、ハンドルの長手方向軸に対して概ね横断方向に動く。
【0008】
更に別の態様において、本発明は、長手方向軸と内部に配置されたモータとを有する細長いハンドルを含む電動歯ブラシを提供する。電動歯ブラシは、第2長手方向軸と可動毛支持体とを有する可動ヘッドを更に含み、可動ヘッドはハンドルに対して可動的である。電動歯ブラシは、ハンドルとヘッドとの間に延伸する可動ネックを更に含む。また、電動歯ブラシは、モータ及び可動毛支持体に作動的に連結されたシャフトを含む。シャフトは、モータがシャフトにわずか一回の運動を付与し、シャフトの動作により、可動毛支持体がヘッドの第2長手方向軸に対して概ね垂直な軸線の周りで振動運動するように、可動ネックを作動的に係合させる。更に、シャフトの動作により、可動ネック及び可動ヘッドは、ハンドルの長手方向軸に対して概ね横断方向に動く。
【0009】
更に別の態様において、本発明は、長手方向軸と内部に配置されたモータとを有する細長いハンドルを含む電動歯ブラシを提供する。歯ブラシは、更に第2長手方向軸と可動毛支持体とを有する可動ヘッドを含む。可動ヘッドは、ハンドルに対して可動的である。歯ブラシは、更にハンドルとヘッドとの間に延伸する可動ネックを含む。また、電動歯ブラシは、モータ及び可動毛支持体に作動的に連結されたシャフトを含み、シャフトは、可動ネックを作動的に係合させる。シャフトの動作により、可動毛支持体は、ヘッドの第2長手方向軸に対して概ね垂直な軸線の周りで振動運動する。更に、シャフトの動作により、可動ネック及び可動ヘッドは、ハンドルに近接したネックの末端部にある枢支点の周りで、ハンドルの長手方向軸に対して概ね横断方向に動く。
【0010】
更に別の態様において、本発明は、長手方向軸と内部に配置されたモータとを有する細長いハンドルを含む電動歯ブラシを提供する。電動歯ブラシは、第2長手方向軸と可動毛支持体とを有する可動ヘッドを更に含み、可動ヘッドは、ハンドルに対して可動的である。電動歯ブラシは、ハンドルとヘッドとの間に延伸する可動ネックを更に含む。また、電動歯ブラシは、モータ及び可動毛支持体に作動的に連結されたシャフトを含み、シャフトは、可動ネックを繰り返し係合させたり係合離脱させたりする。シャフトの動作により、可動毛支持体は、ヘッドの第2長手方向軸に対して概ね垂直な軸線の周りで振動運動し、シャフトが繰り返し係合したり係合離脱することにより、可動ネック及び可動ヘッドは、ハンドルの長手方向軸に対して概ね横断方向に動く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、様々な構成要素及び構成要素の配置、並びに様々な技法、方法、又は手順及び工程の構成にて具体化してもよい。参照図面は、好ましい実施形態を図示する目的だけであり、必ずしも寸法には従っておらず、本発明を限定するものと解すべきではない。
【0012】
本発明は、以下の説明に添付図面を参照することで、より良く理解されると考えられる。
【0013】
当然のことながら、本発明は、交換式のブラシ先端頭部、交換式の毛支持体を有する電動歯ブラシ及び、1つ以上の毛支持体を有する電動歯ブラシといった、電動歯ブラシに関する。本発明は、特に、2つの毛支持体を有する電動歯ブラシに関するものである。この毛支持体はそれぞれ、歯ブラシ本体に組み込まれている電動モータによって作動する。
【0014】
具体的には、本発明は、電動歯ブラシ、ブラシヘッド、毛支持体を組み合わせて使用することができる。この場合、毛支持体には、回転、振動、軌道運動又は往復運動する(並びにこれらの動きを組み合わせた動きをする)シャフトが備わっており、このシャフトによって第1及び第2毛支持体が作動するようになる。更に、本発明は、電動歯ブラシと、ブラシヘッドと、第1及び第2毛支持体の双方、又はどちらか1つの毛支持体にのみシャフトが作動的に連結されている毛支持体、とを組み合わせて使用することができる。後者の例では、シャフトと直接結合していない毛支持体が作動するように、毛支持体そのものが相互に連結し合っている。
【0015】
様々な好ましい実施形態の歯ブラシを取り上げる前に、本明細書で引用される様々なタイプの運動について定義することが有益であろう。本明細書で使用する用語「角運動」は、任意の角度変位を指す。「直線運動」は、まっすぐ又は実質的にまっすぐな線若しくは方向に沿う動作である。「主に直線運動」は、以下で説明する。「曲線運動」は、完全に直線状でも完全に角度を成すでもなく、その2つの組み合わせ(例えば、曲線状)の動作である。これらの運動は、一定にも又は周期的にもすることができる。一定運動は、方向又は経路を変化させない(即ち、単一方向の)運動を指す。周期運動は、方向又は経路を逆転させる運動を指す。実質的に円の形体である一定の角運動(即ち、360度以上を通じて延びる運動)は、回転運動と呼ばれる。周期角運動は、360度未満を通じて延びる運動であり、揺動運動と呼ばれる。曲線運動もまた、一定(即ち単一方向)又は周期(即ち方向逆転)のいずれかにすることができる。周期直線運動は、「往復運動」と呼ばれる。軌道運動は、一般に本体の中心点とは異なる点の周りでの、本体のほぼ環状の運動である。
【0016】
上述した運動は、毛支持体の1つ以上の軸線に沿っても起こり得る。したがって、本明細書で示される動作は、軸座標の数に応じて、1次元、2次元、又は3次元の動きとして描かれ、この軸座標は、動作中における毛支持体の位置を示すために必要となるものである。図1に軸X、Y、Zを示す。1次元動作は、1つの座標(例えばX、Y、又はZ座標)によって表すことのできる動きである。典型的には、1次元運動になり得るのは線状運動のみである。例えば、概ねY軸に沿ってのみ動く周期線状運動は、1次元運動である(本明細書ではこれを「パルシング運動」と呼ぶ)。2次元運動とは、毛支持体の移動経路を表すために2つの座標(例えば、X及びY座標)が必要となる毛支持体による動きを意味する。1平面上の角運動は2次元運動である。3次元運動とは、毛支持体の移動経路を表すために3つの座標(例えば、X、Y及びZ座標)が必要となる毛支持体による動きを意味する。3次元運動の例としては、らせん状の経路を取る毛支持体の動きが挙げられる。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態である歯ブラシ2の斜視図である。この歯ブラシ2は、ハンドル30と、ヘッド50と、ハンドル30及びヘッド50の間に延伸するネック40とを有する伸長型本体10から構成されている。本体10の外側領域に沿って、スイッチ20が配置又はアクセスできるようになっている。当然のことながら、スイッチ20によって、歯ブラシ2の本体10内に包含されている電動モータが作動する。このモータ(図示せず)及び本明細書に記載の駆動機構(図示せず)によって、歯ブラシの遠位端近くに配置された1つ以上の毛支持体に電動力が供給される。具体的には、歯ブラシ2には更に、第1毛支持体60と第2毛支持体70が備わっている。第1支持体60は、ヘッド50の最遠位端52に近接して配置されている。本明細書でより詳細に述べる通り、駆動機構を稼動させると、第1及び第2毛支持体は、特定の動作が組み合わさった動きを行う。これらの動作は、軸X、Y、Z、及びこれらの軸を含む平面によって最もよく表される。本明細書で述べる通り、これらの平面は、X平面、Y平面、又はZ平面と呼ばれる。
【0018】
本明細書では、X軸は、通常は長手方向軸と呼ばれ、一般的に、歯ブラシヘッド又は毛支持体の長手方向又は縦方向の面(歯ブラシの平面図に見られるように)に沿って延在している。歯ブラシヘッド又は毛支持体の長手方向軸は、歯ブラシのネック及び/又はハンドルの長手方向軸と一致する場合があるが、例えば、歯ブラシヘッドがネック又はハンドルのどちらかに対して斜めに配置されている場合には、一致させる必要はない。本明細書に記載されたある実施形態では、ヘッド及び/又はネック構成要素は、ハンドルの長手方向軸とは異なる長手方向軸を有してもよい。この場合、ハンドルの長手方向軸は、第1長手方向軸と呼ぶことができ、ヘッド及び/又はネックの長手方向軸は、第2長手方向軸と呼ぶことができる。Y軸はX軸と交わる軸で、歯ブラシヘッドを概ね左右に等分させる軸である。Z軸は、X及びY軸に直角、つまり垂直の軸である。
【0019】
X面はX軸を含む面で、本明細書では一般的に、歯ブラシの平面又は歯ブラシヘッドの平面と呼ばれる。一般的に、この平面は、歯ブラシ又は歯ブラシヘッドの長手方向面に沿って広がる面である。Y面はY軸を含む面で、歯ブラシ全体にわたって延在し、X面に垂直な面である。Y面は、歯ブラシを二分する面、又は歯ブラシを二分する面と平行な面である。Z面は、X面及びY面の双方に垂直な面である。
【0020】
更に、好ましい実施形態の歯ブラシ及び毛支持体について説明する際に使用する専門用語について取り上げるのも有益である。本明細書で使用する場合、用語「前方」とは、ハンドルからヘッドに向かう方向を意味し、用語「後方」とは、ヘッドからハンドルに向かう方向を意味する。長手方向とは、長手方向軸、つまりX軸と概ね一致する方向を意味するが、この軸と同じ面内にある必要はない。例えば、シャフト及び毛支持体の長手方向軸は、同じ面内に延在する軸である必要はないが、上平面から見て、概ね同じ方向に延在する軸である。同様に、相互に斜めに配置されているネックとヘッドには、同じ面内に延伸する長手方向軸がない場合もあるが、平面図上から見て、概ね同じ長手方向に延伸する軸が存在する。好ましい実施形態である電気歯ブラシの多くには、通常は歯ブラシの最長面を通る長手方向軸を有する細長いヘッドが備わっている。この軸は、典型的には、歯ブラシのネック及び/又はシャフトの長手方向軸と概ね同一の方向に延在する。この軸は、一般的に歯ブラシの長手方向軸と呼ばれる。「概ね同じ方向」という表現は、軸間の角度に幾分偏差があることを意味する。また、本明細書では「歯ブラシの面」という表現が頻繁に使われる。当然のことながら、通常、この表現は、歯ブラシヘッドの長手方向軸内に広がる面を意味する。
【0021】
また、第1毛支持体とは、本明細書で使用する場合、歯ブラシの最遠位端にある毛支持体を意味する。第2毛支持体とは、第1毛支持体の横又は隣りに配置されており、第1毛支持体の後部にある次の毛支持体を意味する。第3毛支持体とは、第2毛支持体と隣接しており、第2毛支持体の後部に位置付けられた毛支持体を意味する。第4毛支持体とは、第3毛支持体の後部にある毛支持体を意味し、以下も同様である。
【0022】
一般に、本発明の好ましい実施形態である歯ブラシは、電動モータ及び駆動機構を保持する中空の伸長型本体を含み、この駆動機構は、1つ、2つ、又はそれ以上の可動毛支持体を作動させるために使用される。また、中空の伸長型本体には、モータに電力を供給するバッテリを1つ以上収めるための内部チェンバーがある。また、モータ及び駆動機構を作動させるために、本体の外部領域に沿って1つ以上のスイッチが設けられている。当然のことながら、取り外し可能な端部キャップを付けて内部チェンバーを囲み、外部の物質から歯ブラシの本体内の構成要素を密封するようにする。本明細書で詳細に述べるように、好ましい実施形態である歯ブラシは、1つ、2つ、又はそれ以上の可動毛支持体を含む。毛支持体はそれぞれ、特定タイプの運動を行い、結果的に、動作が組み合わさることにより、独特の洗浄効果を発揮する。
【0023】
既に述べた通り、好ましい実施形態の電気歯ブラシには、歯ブラシに組み込まれた電動モータ及び駆動機構によって作動する毛支持体が1つ以上備わっている。これらの歯ブラシには、それぞれ異なる運動を行う2つの毛支持体が用いられるのが好ましい。
【0024】
図2は、好ましい実施形態の歯ブラシ2の第1毛支持体60と、ヘッド及びネック(すなわちそれぞれ50及び40)部分との間の好ましいアセンブリ構成を図解している。第1毛支持体60は、そこから外側に延伸する複数本の毛114を有する基部110を包含する。ヘッド50の内部内に画定されているのは、スリーブ受け部126である。スリーブ受け部126は、好ましくは、内側合わせ面128を画定する円筒形の突起部の形態である。合わせ面128は、スリーブ122を受け入れるように適合される。次に、スリーブ122は、スリーブ122の内部内に配置された軸118を収容する大きさに作られる。スリーブ受け部126と、ヘッド部分50の最遠位端52との間に延在するのは、好ましくは案内部材即ち柱140である。案内部材140は、本明細書でより詳細に説明する案内面142を画定する。
【0025】
図3は、第1毛支持体60の詳細な側面図である。第1毛支持体の基部110の下面に沿って延在しているのは、第1毛支持体のカム部材150である。カム部材150は、一般的にカム表面152上の第1の位置152aと第2の位置152bとの間に延在するカム表面即ち傾斜152を画定する。やはり第1毛支持体の基部110の下面から延伸しているのは、係合部材156である。係合部材は、本明細書でより詳細に説明する駆動シャフトに取り付けられるか、又は駆動シャフトと係合するようになされる。係合部材156は、図に示した円筒形突起物以外の種々の形体であってもよい。駆動シャフトは、支持体に直接的に連結されていることが好ましく、また最も好ましくは係合部材に直接連結されている。「直接」連結とは、駆動シャフトの動作の全段階又は発生中において、シャフトが支持体に連結されていることを意味する。係合部材156はまた、やはり本明細書でより詳細に説明する停止部材としての機能を果たしてもよい。
【0026】
図4は、第1毛支持体60の基部110の下面を図解している。カム部材150は、好ましくは、軸118が配置されている基部110の中心の周りに延在している弓形部材の形体である。傾斜面152の第1及び第2の位置152a及び152bは、それぞれ図4に示されている。同様に、係合部材156は、第1位置152aに近接して配置されていることが理解されるであろう。
【0027】
図5は、好ましい実施形態の歯ブラシ2のヘッド部分50及びネック部分40の部分分解図の詳細な斜視図である。この図において、第1毛支持体60は、受け口126内に受け入れられた軸118により、ヘッド50上に取り付けられて及び/又は回転自在に支持されて示されている。更に、カム部材150は、案内部材140の案内面142と係合していることに留意されるであろう。具体的には、カム表面152(図示せず)は、案内面142と接触している。
【0028】
図6は、好ましい実施形態の歯ブラシ2の作動中に第1毛支持体60が行うそれぞれの運動を図解している。上の側面図は、下のブラシヘッドの平面図に一致することが理解されるであろう。下のブラシヘッドの図は概略図であり、あたかもヘッド50の下面が透明であるかのごとく支持体基部110の下面、カム部材150、及び案内部材即ち柱140を図示していることが理解されるであろう。左端の図は、その作動中の第1段階における歯ブラシを図解しており、一方、右端の図は、歯ブラシの作動の第2段階におけるブラシ構成要素の位置を図解している。具体的には、好ましい実施形態の歯ブラシ2は、駆動シャフト90を包含する。駆動シャフト90の遠位端は、係合部材156に連結されている。明瞭化のために、この連結具は図示されていない。駆動シャフト90は、好ましくは歯ブラシ2の作動中に往復運動を行う。駆動シャフト90を左下の図に示した矢印の方向に(即ち矢印Jの方向に)動かすと、第1毛支持体の基部110は、矢印Kの方向に回転する。こうして中心即ち軸118の周りで回転させることにより、基部110は、左上の図に示した矢印Lの方向に動くことができる。駆動シャフト90を右下の図に示した矢印Mの方向に動かすと、基部110は、軸118の周りで矢印Nの方向に回転する。この回転運動により、支持体60及び具体的にはその基部110は、ヘッド50から外側に右上の図に示した矢印Oの方向に進む。係合部材156は、作動中に基部110の過度回旋又は過大振動を防ぐため、停止部材としての機能を果たしてもよい。つまり、係合部材156は、案内面142をカム表面152に確実に接触して保持する働きをすることができる。一般的に、支持体60が外側に矢印Oの方向に距離Dを移動した後、ブラッシング動作中にユーザーがブラシヘッドに力を加えると、支持体60は、矢印Lの方向に変位して元に戻る。本発明は、支持体60をブラシヘッドに向って矢印L方向に元に戻らせるため、又は支持体が元に戻るのを補助するため、バネ若しくは他のバイアス部材を利用した実施形態を包含する。
【0029】
更に図3及び4を参照すると、カム部材150の構成、形状、及び大きさは、所望の脈動運動の程度、駆動シャフト90の往復運動の頻度及びストローク長、及び他の要因に応じて変化してもよいことが理解されるであろう。例えば、傾斜面152の傾斜角は、特に位置152aと152bとの間において、ブラシの平面Xに対して一定の角度であってもよく、或いは変化する角度であってもよい。傾斜面152に関して、変化する角度又は他の非直線的な構成が使用される場合、支持体60の脈動特性は、容易に変化し得ることが理解されるであろう。加えて、図3に図示した寸法Hにより示すような位置152aと152bとの間の高さの違いは、図6に図示した寸法Hを主に決定する。一般にこの寸法は、下限値として約0.1mm、より好ましくは約0.5mm、より好ましくは約0.75mm、より好ましくは約1.0mm、より好ましくは約1.5mmから、上限値として約5.0mm、より好ましくは約4.0mm、より好ましくは約3.0mm、及びより好ましくは約2.5mmまでの範囲であってもよい。
【0030】
好ましい実施形態の歯ブラシは、更に静止毛の集合体又は配列と組み合わせて、いかなる数の毛支持体の組み合わせを利用してもよい。例えば、図7は、ヘッド50aとネック40aとを有する別の好ましい実施形態の歯ブラシ2aの実施形態を図解している。ヘッド50aの最遠位端上に配置されているのは、第1毛支持体60aである。ヘッド50a上の他の場所に配置されているのは、複数個の静止毛80aである。
【0031】
図8は、本発明による別の好ましい実施形態の歯ブラシ2bを図解している。歯ブラシ2bは、ヘッド50bとネック40bとを備えている。ヘッド50b上に配置されているのは、第1毛支持体60b及び第2毛支持体70bである。
【0032】
図9は、別の好ましい実施形態の歯ブラシ2cを図示している。歯ブラシ2cは、ヘッド50cとネック40cとを包含する。ヘッド50cの最遠位端上に配置されているのは、第1毛支持体60cである。第2毛支持体70cは、第1毛支持体60cの横に、又は近接して配置されている。静止毛80cの配列は、第2毛支持体70cとネック40cとの間に位置している。
【0033】
図7、8、及び9に図示した実施形態の各々において、第1毛支持体60a、60b、及び60cは、歯ブラシ2の毛支持体60に関して本明細書で説明したように、好ましくは同じ組み合わせの動作を行う。つまり、歯ブラシ2a、2b、又は2cを稼動すると、支持体60a、60b、又は60cは、振動運動及び脈動運動の両方を行う。
【0034】
第2毛支持体(例えば、支持体70b及び70cなど)、又は第3支持体若しくは第4支持体などの追加的な支持体のいずれかは、いかなる種類の運動を行ってもよいことが理解されるであろう。好ましくは、第2毛支持体は、横方向の運動(即ち平面X内で)を行うこと、また好ましくはこの運動は往復運動であることが考慮される。或いは、第2毛支持体は、歯ブラシのヘッド及び/又はハンドルの長手方向軸と概ね平行な往復運動を行うことも好ましい。本発明は、第2毛支持体が第1支持体と同様の方式で脈動する実施形態も包含する。その上、本発明は、第2支持体が振動及び脈動運動を行う一方、第1支持体及び/又は別の支持体がある種の運動を行う実施形態を包含する。前述の通り、支持体のいずれかは、角運動、直線運動、曲線運動、及びこれらの運動の種類の変形など、あらゆる種類の運動を行ってもよい。
【0035】
本発明の歯ブラシはまた、歯ブラシのヘッド全体及び/又はネック部分の少なくとも一部に運動が付与される実施形態を包含する。これは、ヘッド上に配置されている唯一又はそれ以上の毛支持体が、歯ブラシの作動中に運動を行う前述の実施形態とは対照的である。図10は、かかる好ましい実施形態の歯ブラシ202を図解しており、ヘッド250、ハンドル230、及びそれらの間に延在するネック240を有している。本明細書でより詳細に説明する通り、ネック240及びハンドル230の末端部又は基部の間に、可撓性部材300が設けられているのが好ましい。ヘッド250上に配置されているのは、第1毛支持体260、及び第2毛支持体270である。駆動シャフト290は、ネック240内に延びており、ブラシの作動中に好ましくは往復運動を行う。駆動シャフト290の外周に沿って配置されているのは、嵌合カラー292である。嵌合カラー292は、駆動シャフト290上の位置に配置されており、歯ブラシの作動中及び駆動シャフト290の往復運動中、カラー292は、案内部材242に周期的に接触し、また好ましくは係合する。案内部材242は、好ましくはネック240の内面から内側に延伸するように形成される。図10は、駆動シャフト290が矢印Sの方向に動く間、カラー292は、案内部材242に周期的に接触して係合することを図解している。本明細書でより詳細に説明する案内部材242の構成により、ネック240及びヘッド250は、矢印Tの方向に変位する。更に具体的には、変位は、一般的には点Fの周りで角又は旋回運動にて生じる。
【0036】
図11は、ブラシの継続運転中のヘッド250及びネック240の動作と、駆動シャフト290の矢印Uの方向への動作とを図解している。カラー292と案内部材242との間におけるこの係合離脱は、結果としてヘッドを、図11において矢印Vの方向に示したような反対方向に動かす。
【0037】
図12は、駆動シャフト290のカラー292と、ネック240の内面から延伸する案内部材242と、の間の関係の詳細な部分断面図である。好ましくは、案内部材242は、案内面244を画定する。駆動シャフト290が長手方向軸Lに沿って動作する間、カラー292の一部分に接触してネック240を変位させるのは、この案内面244である。案内面244は、好ましくは、駆動シャフト290の長手方向軸Lに対して幾らかの角度をなして延伸する。この角度は、図12に示すように、角度Aとして表される。角度Aは、案内面244のいかなる角度であってもよく、駆動シャフト290の往復運動中にカラー292と周期的に係合する結果、歯ブラシのヘッドに運動を付与する。一般的に角度Aは、下限値として、約5°、より好ましくは約10°、より好ましくは約20°、より好ましくは約30°、及びより好ましくは約40°からである。角度Aは、上限値として、約85°まで、より好ましくは約80°まで、より好ましくは約70°まで、より好ましくは約60°まで、及びより好ましくは約50°までである。
【0038】
カラー292は、駆動シャフト290から分離した構成要素ではなく、その上に組立又は固着されなければならず、駆動シャフト290と一体的に形成され得ることが理解されるであろう。
【0039】
図13は、好ましい実施形態の歯ブラシ202の変異型構成を図解している。この代替例においては、ネック部分240の内部に、第2部材246が設けられている。この二次的部材246は、駆動シャフト290の往復運動中、駆動シャフト290の位置整合を支援し促進する。
【0040】
好ましい実施形態の歯ブラシはまた、駆動シャフト290が往復運動ではなく軌道型運動を行う駆動機構を利用してもよい。例えば、図14及び15に示すように、駆動シャフト290は、軌道運動を行うと同時に、図15に示した中心点Cの周囲を経路Pにほぼ沿って回転する。図14を参照すると、この場合、駆動シャフト290が回転するとき、駆動シャフトはネック240の内側から延伸する第1軌道案内部材245に周期的に接触して、好ましくは係合することが分かるであろう。前述のとおり、この接触及び係合により、ネック部分及びヘッド部分が変位する。駆動シャフト290がその経路Pをたどり続けて部材245から係合離脱するとき、ヘッド部分及びネック部分は、その元の位置に戻る。好ましい態様において、駆動シャフト290は、単一の運動を行う。つまり、駆動シャフト290が中心点Cの周りで軌道運動を行うとき、シャフト290は、その末端部のいずれか又は両方の直線的変位、又は軌道運動から生じる円形経路からの逸脱などの、他のいかなる運動をも行っていない。
【0041】
更に別の代替例を図16に図示する。この代替例において、第1軌道案内部材245及び第2軌道案内部材247などの、複数個の案内部材が設けられる。
【0042】
更に図10及び11を参照すると、ブラシヘッド250の第1方向の移動は、主に駆動シャフト290、より厳密に言えばそのカラー292と、案内部材242との間の係合に起因することが理解されるであろう。第2方向の移動(即ち、一般に第1方向とは反対方向)は、主に可撓性部材300の先の負荷の解除に起因する。この特性は、本明細書でバイアス復帰(bias return)と呼ばれる。ヘッド250及びネック240が第1方向、例えば図10に示した矢印Tの方向に移動する間、部材300の領域300bは圧縮され、また部材300の反対の領域300aは張力下に置かれる。ブラシヘッド250及びネック240が第2方向、例えば図11に示した矢印Vの方向に移動する間、ヘッド250及びネック240は可撓性部材300がその元の形状に戻るときに動く。可撓性部材300の剛性、弾性、並びに変形の程度及び容易さ(又は抵抗)は、所望により選択されてもよい。その上、歯ブラシの作動中に運動の望ましい態様をもたらすため、領域300a及び/又は300bなどの、異なる物理的特性を有する部材300の1つ以上の領域が設けられてもよいことが考慮される。
【0043】
先の説明は、一般的に、単一の内側の案内部材242を利用したネック構成に関する。好ましくは、案内部材242は、その範囲内でヘッド250及びネック240が動く運動の望ましい平面内に設けられる。例えば、ヘッド及びネックがブラシのY平面のほぼ範囲内で旋回すること又は動作することが望ましい場合、案内部材242は、図10及び11に示すように、歯ブラシの作動中にユーザーの最も近く又は最も遠くに位置するネックの領域において、ネック240の内側領域に沿って配置されるべきである。
【0044】
図16に図示された歯ブラシの実施形態は、2つの案内部材245及び247を利用しており、ヘッド及びネックにバイアス復帰をもたらす可撓性部材の必要性を排除することができる。
【0045】
その上、可撓性部材300が存在しなくても、歯ブラシにバイアス復帰をもたらすことができる。代わりに、ネック240及び/又はヘッド250の構成材料によりバイアス復帰をもたらすことができる。
【0046】
様々な組み合わせ及び数の毛支持体と、任意に、ヘッド及び/又はネック領域から延伸する毛(静止毛と呼ばれる)とを併せて利用した図7〜9に示した代替実施形態と同様に、図10〜16に図示された歯ブラシも、様々な組み合わせ及び様々な数の毛支持体を利用してもよい。その上、図10〜16の歯ブラシはまた、ヘッド及び/又はネック領域から直接的に延伸する毛を利用してもよい。歯ブラシが稼動してヘッド及びネックが動くと、毛は運動するので、かかる毛は、本明細書でその用語を使用する際の「静的」ではない。しかし、毛は、ヘッド及びネックに対してなおも「静的」であると見なすことができる。
【0047】
本発明の実施形態では、簡略化のために、毛支持体の長手方向軸と表面にほぼ垂直な方向に延伸する毛を示したが、毛を第1及び/又は第2毛支持体を完成させ、或いは更に強化するために異なる配置にすることが考えられる。つまり、いくつかの又は全ての毛は、毛支持体の表面に対して鋭角を形成する方向に延伸する、及びハンドルに向かって又はそれから離れる方向に延伸することも可能である。他の実施形態では、いくつかの毛が他の方向においてヘッドから外方向に離れて延伸することも可能で、この場合でも毛支持体の表面に対して鋭角を形成する。米国特許意匠第330,286号及び434,563号に記載されているような、マッサージ毛又は高さの異なる毛を使用してもよく、その要旨を参考として本明細書に組み込む。使用に適したその他の好ましい毛の配置の一部又は全容が示される、米国特許第6,006,394号、第4,081,876号、第5,046,213号、第5,335,389号、第5,392,483号、第5,446,940号、第4,894,880号及びPCT国際公開特許WO99/23910に記載され、その要旨を参考として本明細書に組み込む。
【0048】
本明細書で記載される好ましい実施形態の歯ブラシにおいて、様々な駆動機構を利用してもよい。既に述べた通り、動力式の往復運動又は軌道運動を生み出す駆動機構が好ましい。例えば、その内容が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第5,617,603号、第5,850,603号、第5,974,615号、第6,032,313号、第5,504,959号、第5,524,312号、第5,625,916号、第5,732,432号、第5,070,567号、第5,170,525号、第5,416,942号、第3,588,936号、第5,867,856号及び第4,397,055号は、適したその他のモータ及び回転又は振動シャフト配置を開示する。更に、その内容が本明細書に参照により組み込まれる、2001年12月21日出願の米国特許出願番号10/027,594及び2001年11月6日出願の09/993,167に開示される駆動機構を使用してもよい。更に、その内容が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第5,617,601号及び第5,435,032号の任意の又は全ての態様が本明細書に記載される歯ブラシに利用されてもよい。
【0049】
1つ以上の毛支持体に運動を付与するその他の好ましい機構は、本明細書に参照により組み込まれる、2002年3月4日出願の仮出願第60/361,625号に記載される。この機構は「横方向」運動を毛支持体に付与する。図1を参照すると、このような運動により毛支持体60及び70のいずれか又はその両方が、歯ブラシヘッドの平面内、例えばX平面内で、又は歯ブラシヘッドに平行な平面内で、及び歯ブラシの長手方向軸にほぼ垂直な方向に往復運動する。
【0050】
本明細書に記載した運動を備えるため、様々な異なる機構を使用してもよい。これらの機構は、回転シャフト又は振動シャフトのどちらか一方、又は線状往復運動シャフトを動源として利用してもよい。一般に、様々な反復周期的運動は、旋回する部材の配置及び予め定められた自由に動く部分を有する連結組立体により得られる。それ故に、動力シャフトから起こる回転運動又は往復運動は、駆動機構を形成する構成要素の特定の選択や構成により、線状、一次線状、曲線的、又は3次元的な運動に変換されてもよい。更に、毛支持体の動きを補助し又は導くために、ヘッド又は毛支持体付近の歯ブラシ本体部に沿って又はその内部に、案内溝を備えてもよい。
【0051】
更に、本明細書に記述もしくは図解した機構又は動力伝達系のいずれも、本明細書に記載した他の機構又は動力伝達系のいずれとも組み合わせてもよいことが理解されるであろう。また、これらの機構のいずれの部分も、本明細書に記載した他の機構のいずれの部分と組み合わせてもよい。本明細書に記述した歯ブラシには、本明細書中の2つの動力伝達系を用いてもよく、それぞれの動力伝達系は、特定の毛支持体に動力を供給すると考えられる。それ故に、2つの電気モータをそれぞれの動力伝達系に利用することもできる。
【0052】
その上、歯ブラシの実施形態は、図1〜9に図示されている歯ブラシの特徴と、更に図10〜16に図示されている歯ブラシの特徴の両方を利用できることが考慮される。例えば、歯ブラシは、カム部材150と、支持体60をヘッドに対して脈動運動及び/又は振動運動させる柱140とを有する毛支持体60と併せて、可撓性部材300、案内部材242、及びヘッド及びネックの集合体全体を運動させる往復運動駆動シャフト290を設けることができる。
【0053】
本発明の歯ブラシにおける様々な構成要素のための材料の選択は、重要な考慮要件である。歯ブラシは、特定の運動を1つ以上の毛支持体に付与するために、様々な傾いた傾斜即ちカム表面を採用している。したがって、適切な材料を選択して、これら構成要素とその各表面の耐久性及び耐摩耗性を増進するのが望ましい。これらの構成要素は、広範な材料から形成されてもよい。一般に、これらの構成要素は、低い摩擦特性を示すことが好ましい。本明細書に記載された歯ブラシにおいて利用される他の構成要素は、軸受、又は回転要素を支持するための点としての機能を果たす。これらの構成要素は、好ましくは低摩擦材料、又は内部潤滑性さえも有する材料から形成される。
【0054】
ある応用法では、ヘッド又はネック領域に開口部又は開口へのアクセスを設け、通常のブラッシング動作によって周囲に存在する水が、ブラシヘッドの内部に浸入して、様々な構成要素の様々な外部表面を潤滑する働きをしてもよいことがさらに考慮される。
【0055】
加えて、図10〜16に記載された歯ブラシにおいて、可撓性部材300は、種々の材料から作られてもよい。一般に、これらの材料は可撓性であり、変形に対する限定的な程度又は抵抗を示す。当該材料は、変形する(即ち、その上に負荷がかけられた後に負荷が取り除かれる)と、その元の形状及び配置に容易に戻るべきである。可撓性部材に使用される材料の望ましい圧縮、剛性、及び/又は弾力特性についての目安は、次の通りである。典型的な寸法の電動歯ブラシに関して、可撓性材料は、可撓性部材が完全に圧縮されることなく、約450〜約1360グラム(約1〜約3ポンド)のブラッシング負荷をブラシヘッド上にかけられるような厚さ及び特性を有することが好ましい。つまり、そのような負荷をブラシヘッド上にかけた際、可撓性部材は、更に負荷を追加するための適切な残量又は容量を保持すること、また負荷を解除した際、そのような負荷(即ち約450〜約1360グラム(約1〜3ポンド))は、可撓性部材を永続的に変形させないことが望ましい。
【0056】
可撓性部材に関して広範な材料及び/又は材料の組み合わせを利用できることが考慮される。例えば、様々な発泡材料又は他の多孔性マトリックス(cellular matrix)を採用することができる。時間依存特性を有する、粘弾性の発泡体又はマトリックスを使用することができる。2つ又はそれ以上の異なる発泡体が一つに接着された結合発泡体を使用することができる。その上、発泡体の代わりに、又は発泡体に加えて、一般に非圧縮性の粘弾性流体を使用することができる。したがって、非圧縮性材料から形成された可撓性部材は、圧縮されないが、その代わりにある種の運動に耐える。加えて、可撓性部材は、1つ以上の区分の領域を利用することができ、各領域は、分離した別個の特性を有する。更に、可撓性部材は、下にある材料を保護する、又は可撓性部材の剛性、弾力、若しくは変形特性を補助する働きをし得る、1つ以上の被覆材料を利用することが考慮される。
【0057】
本明細書に記載された好ましい実施形態の歯ブラシのヘッド及びネック部分は、数々の高分子材料から形成され得る。本発明で使用するための好ましいポリマー材料についての以下の説明において、当業者が幾つかのポリマーを指すのに通常使用する略語を、ポリマーの全名称の後に括弧書きしている。好ましいポリマーの例は、は、ポリプロピレン(「PP」)であるか、又は、ポリスチレン(「PS」)、ポリエチレン(「PE」)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(「SAN」)、及びセルロースアセテートプロピオネート(「CAP」)などの、他の従来型歯ブラシの材料からなる群から選択されてもよい。別の代表的なポリマーは、好ましくは、熱可塑性エラストマー(「TPE」)、熱可塑性オレフィン(「TPO」)、軟質熱可塑性ポリオレフィン(例えば、ポリブチレン)であるか、又は、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(「EVA」)、及びエチレンプロピレンゴム(「EPR」)などの、他のエラストマー材料から選択されてもよい。本発明において適した熱可塑性エラストマーの例としては、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(「SEBS」)、スチレン−ブタジエン−スチレン(「SBS」)、及びスチレン−イソプレン−スチレン(「SIS」)が挙げられる。本発明において適した熱可塑性オレフィンの例としては、ポリブチレン(「PB」)及びポリエチレン(「PE」)が挙げられる。ヘッド及び/又はネックを形成するのに用いるための特に好ましい高分子材料は、セルコン(Celcon)(登録商標)の名称で市販される材料である。
【0058】
更に、歯ブラシのネック及びヘッド部分に審美的に好ましい外観を与えるために色彩が提供されてもよい。不透明な又は半透明の色彩が提供されてもよい。半透明のブラシのために、ネック及び/又はヘッドに挿入物を更に設けることができる。そのような挿入物はいかなる色彩であってもよく、典型的にポリプロピレン材から作成される。
【0059】
ヘッド及びネック構成要素を製造するために、射出成形など、当業者に既知である技術を使用することができる。ハンドル及び/又は毛に関するいかなる設計、形状、又は構成も本明細書において好している。
【0060】
可撓性ネックは、ユーザーにより及ぼされることもある、歯及び歯肉上の過剰な力を緩衝するような作用も可能である。ブラシング中に過剰な力を付加することは、歯肉に対して有害である。したがって、本明細書で説明する好ましい実施形態の歯ブラシのネックを形成する材料を適切に選択することにより、過剰な力の付加を防止することができる。
【0061】
好ましい歯ブラシの構成要素、製造、及び使用の更なる態様及び詳細は、米国特許出願60/410,864、60/410,556、60/410,865、60/387,841、10/128,018、60/419,672、60/410,902、60/410,903、60/410,853、60/464,787、60/487,670に記載されており、これらの全てを参考として本明細書に組み込む。
【0062】
本発明は、特定の実施形態に関して記述してきた。他者においては、本明細書を読み且つ理解することで、変更、並びに代替形態が生じるであろう。その上、本明細書に記載された歯ブラシのいずれかの特徴若しくは態様のいずれかは、本明細書に記載された歯ブラシのいずれかの他の特徴又は態様のいずれかと組み合わされて、又は併せて利用されてもよいことが考慮される。全てのそのような変形及び変更は、添付の特許請求又はそれに等しい範囲内にある限り包含されると意図する。
【0063】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0064】
本発明の特定の実施形態を図解し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による好ましい実施形態における歯ブラシの斜視図であり、歯ブラシに関する様々な平面及びその配向を図解している。
【図2】本発明による好ましい実施形態の歯ブラシのヘッド部分の部分分解図。
【図3】図2に図解された好ましい実施形態の歯ブラシにおいて用いる第1毛支持体の側面図。
【図4】図3に示した第1毛支持体の下面図。
【図5】好ましい実施形態の歯ブラシの部分的に組立てられたヘッド部分の斜視図。
【図6】ブラシの作動中の第1毛支持体の変位を図解する、好ましい実施形態の歯ブラシのヘッド部分の図の一群。
【図7】本発明による別の好ましい実施形態の歯ブラシのヘッド部分の正面図。
【図8】本発明に従う更に別の好ましい実施形態の歯ブラシの正面図。
【図9】本発明に従う更に別の好ましい実施形態の歯ブラシの正面図。
【図10】別の好ましい実施形態の歯ブラシのヘッド部分の部分断片側面図であり、本発明による往復運動する駆動シャフトが第1方向に移動中である。
【図11】図10に図示された歯ブラシの部分断片側面図であり、駆動シャフトが第2方向に移動中である。
【図12】図10に図示した歯ブラシに用いた駆動シャフトと案内部材との間の嵌合を図解する、詳細な部分断面図。
【図13】二次的な安定化部材を設けた、図10及び11に示した歯ブラシの部分断片側面図。
【図14】本発明による軌道運動駆動シャフトを用いた、更に別の好ましい実施形態の歯ブラシの部分断片側面図。
【図15】図14に図示した歯ブラシのネック及びヘッド部分の下面図。
【図16】図14に図示された歯ブラシの変形例のヘッド及びネック部分の下面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置されたモータを有する細長いハンドルと、
長手方向軸とその上に配置された可動毛支持体とを有するヘッドであって、使用中に静止しているヘッドと、
前記ハンドルと前記ヘッドとの間に延伸するネックと、
前記可動毛支持体に直接的に連結され、且つ前記モータに作動的に接続されたシャフトと、を含む電動歯ブラシであって、
前記シャフトの動作により、前記可動毛支持体は、前記ヘッドの前記長手方向軸に対して概ね垂直な軸線の周りで振動運動し、また前記ヘッドの前記長手方向軸に対して概ね垂直な前記軸線に沿って往復運動し、前記可動毛支持体はその下面に配置された傾斜を更に含み、前記ヘッドは更に柱を含み、前記傾斜及び前記柱は摺動的に係合する、電動歯ブラシ。
【請求項2】
第2可動毛支持体が、前記可動毛支持体と前記ハンドルとの間に配置されている、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記第2可動毛支持体が、前記ヘッドの前記長手方向軸に沿って往復運動する、請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記シャフトが往復運動する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記可動毛支持体が、前記第2傾斜の一端部の停止部材を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記停止部材が、前記可動毛支持体の下面から延伸するピンの形態である、請求項5に記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記ヘッド及び前記ネックの各々が可動的であり、前記ハンドルが第2長手方向軸を含み、前記ヘッドが前記ハンドルに対して可動的であり、
前記シャフトの動作により、前記ネック及び前記ヘッドが、前記ハンドルの前記長手方向軸に対して概ね横断方向に動く、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
前記電動歯ブラシが、前記ヘッド上に配置された第2可動毛支持体を更に含む、請求項7に記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
前記シャフトの動作により、前記第2可動毛支持体が、前記ヘッドの前記長手方向軸と概ね平行な軸線に沿って往復運動する、請求項8に記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
前記シャフトが往復運動する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−514503(P2007−514503A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545584(P2006−545584)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042977
【国際公開番号】WO2005/063144
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】