説明

電動装置及びこのような電動装置を下水管の前方に取り付ける方法

下水坑道(50)内の下水管の穴(41)の前方に電動装置(1)を設置するための方法及び操作台であり、当該方法は、前記電動装置を、応力がかかっていない状態で前記下水管の穴の内半径より若干大きな外半径を有している弾性の筒状部材(40)に取り付けるようになされている操作台を備えた前記弾性の筒状部材を選択するステップと、前記電動装置を前記弾性の筒状部材の操作台上に取り付けるステップと、前記弾性の筒状部材を前記下水管の穴の前方に位置決めし且つ前記弾性の筒状部材を前記下水管の穴の内半径より小さい外半径となるように圧縮するステップと、前記電動装置を備えた前記操作台が下水坑道内に延びるように、前記弾性の筒状部材の少なくとも一部分を前記下水管内に挿入するステップと、前記弾性の筒状部材を拡張させて前記下水管の穴(41)の内壁と係合させるように、前記弾性の筒状部材(40)の圧縮を解放するステップと、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水坑道に設けられた下水管の穴の前方に電動装置を配備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、下水管内の水面、流量、流れ、水質/汚染、PH値若しくは温度の監視及び/又は連続的な記録のような多くの目的のために又はネズミを駆除するために使用することができる。例えば、ネズミ捕獲機には、これらの作業のための1以上の装置を配備することができる。
【0003】
本明細書においては、ネズミを駆除するためのネズミ捕獲機は、このような電動装置の一例として使用されている。
【0004】
例えば下水管内のネズミを駆除するためのネズミ捕獲機はEP 1400172によって公知であり、当該ネズミ捕獲機においては、ネズミを感知するための手段と、下水管内のネズミを殺すための手段とが配備されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP 1400172
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の装置における課題は、特にバッテリのような電源を備えているので完備のための空間が必要とされること、ばね若しくは圧縮空気のためには装置が比較的大きな断面積の管内にのみ設置されることが必要とされること、又は電動装置の少なくとも一部は管の外部に設置せざるを得ないこと、及びネズミを殺すための手段のような電動装置を管の外部から管内へ挿入するための開口部を管に設けなければならないことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明による電動装置を設置する方法によって解決することができる。
当該方法は、
電動装置を、応力がかかっていない状態で前記下水管の穴の内半径より若干大きな外半径を有している弾性の筒状部材に取り付けることができるようになされている操作台を備えている前記弾性の筒状部材を選択するステップと、
前記電動装置を前記弾性の筒状部材の操作台上に取り付けるステップと、
前記弾性の筒状部材を前記下水管の穴の前方に位置決めし且つ当該弾性の筒状部材を前記下水管の穴の内半径より小さい外半径となるように圧縮するステップと、
前記電動装置を備えた前記操作台が下水坑道内に延びるように、前記弾性の筒状部材の少なくとも一部分を前記下水管内に挿入するステップと、
前記弾性の筒状部材を拡張させて前記下水管の穴の内壁と係合させるために、前記弾性の筒状部材の圧縮を解放するステップと、を含んでいる。
【0008】
前記弾性の筒状部材と前記電動装置を取り付けるための操作台とによって、前記下水管が下水坑道内へと伸長せしめられ、その結果、下水坑道は前記電動装置のためのスペースを提供するが、ネズミがまだ下水管内にいたときにはネズミが動き回ることが依然として確実になる。
【0009】
本発明はまた、下水坑道内に設けられた下水管の前方に電動装置を設置するための操作台をも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、ネズミ捕獲機の形態の電動装置が取り付けられた操作台の一実施形態の構造を示している概略図である。
【図2】図2は、下水坑道内に取り付けられた図1のネズミ捕獲機を示している概略図である。
【図3】図3は、取り付け機具を備えている下水管内に取り付けるための本発明による操作台を示している概略図である。
【図4】図4は、取り付け機具を備えている下水管内に取り付けるための本発明による操作台の第二の実施形態を示している概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を各図の違いによって更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
最初に図1を参照して本発明の一実施形態を更に詳細に説明する。ネズミ捕獲機1は、バッテリのような電源と、スパイク(大釘)3を発射すること及び突き刺されたネズミを外すために当該スパイクを引き戻すことの両方を行うことができる自動化された機構(図示せず)とを備えている。このネズミ捕獲機は、単に、下水管の穴の前方において下水坑道内に取り付けられる電動装置の一例と見ることができる。当該電動装置の下水管内への取り付けは、当該電動装置を下水管に設置するのにスペースが必要とされるので、困難であった。
【0013】
一方、下水坑道は装置を設置するための広いスペースを提供するが、かかる下水坑道内に例えばネズミ捕獲機を設置すると、ネズミがネズミ捕獲機を起動させることなく通り過ぎることができるかも知れないという不利な点を有している。
【0014】
本発明に従って、図2は、下水坑道50の底部に配置されているネズミ捕獲機1を示している。ネズミ捕獲機1は操作台40上に取り付けられており、操作台40は、図示されている実施形態においては、下水管41と弾性的に係合している可撓性の半円筒形筒状部材40であるが、当該取り付け部材はまた、下水管の内壁と係合できるように、例えば、拡張手段が設けられている半円筒形筒状部材の形態とすることもできる。弾性部材40は、鋼によって作ることができるが、例えばプラスチックのような他の材料を使用しても良い。
【0015】
応力がかかっていない状態では、弾性の筒状部材40の外半径は、下水管41の内半径よりも若干大きい。これによって、当該ネズミ捕獲機は、筒状部材40が下水管41内へ挿入できるのに適した程度まで筒状部材40を圧縮するネズミ捕獲機取り付け機具によって、下水管内に単に容易に固定することができる。次いで、当該取り付け機具は、筒状部材40を下水管41に挿入し且つ下水管内を進入させる。これに続いて、筒状部材40は下水管41の内壁に弾性的に係合する。筒状部材40は弾性材料によって作られたものとして説明されているけれども、例えば、機械的拡張スリーブのような当業者に公知の他の解決方法を使用しても良い。例示目的のために、当該捕獲機は、スパイクが飛び出た状態で示されているけれども、もちろん、通常は、当該捕獲機は作動状態等でない場合にはスパイクは飛び出ていない。
【0016】
図3及び4は、下水坑道内に捕獲機を取り付けるための機具を備えている本発明による操作台を示しており、以下、当該操作台の機能を更に詳細に説明する。当該取り付け機具は、2つの部品、すなわち、ハンドル部60と、操作台40の両側部から延びている2つの指状突起を備えている顎状掴み部70とによって構成されている。上記したように、当該捕獲機又はその他の電動装置は、通常は、操作台40上に取り付けられるが、明確化のために、図3に示されている描写においては、操作台上に取り付けられていない。
【0017】
ハンドル部分には取り付けピン61が設けられており、当該取り付けピン61は、図示されている実施形態においては、3つの部分62,63,64に分割されており、中央の部分63にだけねじが切られている。当該取り付けピンは、ねじ部がストッパ板の対応するねじ部と噛み合うように顎状掴み部70に適合せしめられており、部分63のねじ部の後方に配置されている取り付けピンのねじが切られていない部分64はストッパ板の厚みに適合されており、取り付けピン62,63,64は、取り付けピン61上のねじが切られた部分63がストッパ板70のねじと係合しない位置まで当該ストッパ板内へとねじ込むことができる。当該ストッパ板と同様に、弾性の筒状部材40には、取り付けピンのねじ部と噛み合うねじ部が設けられている。このねじ部は、(図示されているように、)ナット65によって構成することができるが、もちろん、他の種々の方法によって作ることができる。
【0018】
当該機具が使用されるときには、顎状掴み部70を取り付け軸51上に取り付けることから始められる。次いで、取り付けピンのねじ部63を筒状部材40上のナット内へねじ込むことができ、それによって、筒状部材40は顎状掴み部70の凸状部分内へと引き込まれる。この工程中に、筒状部材40は変形せしめられる(圧縮される)。筒状部材40を捕獲機が取り付けられるべき位置(図示せず)まで下水管内へ圧入できるまで、当該取り付け機具によってこの変形作業が続けられ、続いて、当該取り付け機具は、取り付けピンを単に回転させることによって筒状部材40との係合状態から解除することによって当該捕獲機を展開させる。
【実施例2】
【0019】
顎状掴み部70は、多くの方法、例えば(ねじ部63又は対応する板の頂面上に配置された)公知の割りピン機構によって取り付けピンに固定することができるけれども、図5に示されている実施形態は、幾つかのサイズ(異なる直径/曲率)の顎状掴み部を同じ取り付けピン61上に取り付けることができるという利点を伴う。これによって、取り付け機具は、一つのハンドル部を必要とするだけであり、当該ハンドル部は、下水管内に取り付けられるべき筒状部材49(捕獲機に嵌合されている)のサイズに応じて幾つかの異なる顎状掴み部(異なる直径/曲率の)に対して使用することができる。
【0020】
図4には、操作台がその一方の側面の外側から見た状態で示されており、この図から分かるように、当該操作台の筒状部材には、摩擦増大材料80が設けられている。当該摩擦増大材料は、操作台の筒状部材と下水管の内壁との間に良好な摩擦を付与するために、ゴムによって作られているのが好ましいが、特定の目的のために如何なる摩擦増大材料をも選択することができる。更に、多くの穴81が、操作台の外側から当該操作台内を伸長して当該操作台の内部まで延びており且つ図1及び2のネズミ捕獲機のような電動装置が取り付けられ且つスパイク3が外側から操作台の内部へと入るのを許容するように配置されている。
【0021】
当該捕獲機はまた、他の監視作業のための手段を有利に装備することもできる。例えば、当該捕獲機には、水面高さ、流量、流れ、水質/汚染、PH値又は温度の監視及び連続的な記録のような作業のための1以上の手段を設けることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ネズミ捕獲機、
3 スパイク、
40 操作台、
41 下水管、
50 下水坑道、
51 取り付け軸、
60 ハンドル部、
62,63,64 取り付けピン、
65 ナット、
70 顎状掴み部、
80 摩擦増大材料、
81 穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水坑道内の下水管の穴の前方に電動装置を取り付ける方法であり、
前記電動装置を、応力がかかっていない状態で前記下水管の穴の内半径より若干大きな外半径を有している弾性の筒状部材に取り付けるようになされている操作台を備えた前記弾性の筒状部材を選択するステップと、
前記電動装置を前記弾性の筒状部材の操作台上に取り付けるステップと、
前記弾性の筒状部材を前記下水管の穴の前方に位置決めし且つ前記弾性の筒状部材を前記下水管の穴の内半径より小さい外半径となるように圧縮するステップと、
前記電動装置を備えた前記操作台が下水坑道内に延びるように、前記弾性の筒状部材の少なくとも一部分を前記下水管内に挿入するステップと、
前記弾性の筒状部材を拡張させて前記下水管の穴の内壁と係合するように、前記弾性の筒状部材の圧縮を解放するステップと、を含んでいる方法。
【請求項2】
前記弾性の筒状部材を前記下水管の前方に位置決めするステップが、当該弾性の筒状部材を前記電動装置が取り付けられている状態で下水坑道内へと降下させるために、下水坑道の上方から延びている取り付け機具を使用することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下水坑道内の下水管の穴の前方に電動装置を取り付けるための操作台であり、
弾性材料によって作られ且つより小さな断面積まで圧縮されるのを可能にする細長いスリットを有する筒状部材が備えられた第一の端部と、前記電動装置を取り付けるための手段が備えられている第二の端部とを備えていることを特徴とする操作台。
【請求項4】
前記電動装置を取り付けるための手段が、当該操作台の外壁から内壁まで延びている多数の穴を備えている取り付け板を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の操作台。
【請求項5】
少なくとも前記筒状部材が弾性プラスチックによって作られていることを特徴とする請求項3に記載の操作台。
【請求項6】
前記筒状部材の外壁の少なくとも一部分が、当該筒状部材と前記下水管との間の摩擦を増大させるためのゴムのような摩擦増大材料によって覆われていることを特徴とする請求項5に記載の操作台。
【請求項7】
前記筒状部材を圧縮するための機具を備えていることを特徴とする請求項3〜6のうちのいずれか一の項に記載の操作台。
【請求項8】
前記筒状部材を圧縮するための機具が、前記筒状部材の外半径より小さい距離だけ相対的に隔置されている少なくとも2つの指状突起を備えている顎状掴み部と、前記指状突起を前記筒状部材の外壁に押し付ける手段とを備えていることを特徴とする請求項7に記載の操作台。
【請求項9】
前記指状突起を前記筒状部材の外壁に押し付けるための前記手段が、外ねじ部と、当該外ねじ部の端部に設けられたフランジ部とを備えている軸部と、当該軸部の外ねじ部を受け入れるための内ねじ部を備えている前記筒状部材に設けられた穴とを備えており、前記顎状掴み部が、前記軸部の前記ねじが切られた端部を受け入れ且つ前記軸上の前記フランジ部と係合するための前記指状突起同士の間に穴を備えていて、前記軸部が回されると前記筒状部材内へねじ込まれ、前記軸上のフランジ部が前記顎状掴み部上の前記指状突起を押圧して前記筒状部材を圧縮するようになされていることを特徴とする請求項8に記載の操作台。
【請求項10】
前記軸部が、入れ子式であるか又は相互に組み立てることができる2以上の軸部によって作られていることを特徴とする請求項7、8又は9に記載の操作台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−519437(P2010−519437A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550688(P2009−550688)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051458
【国際公開番号】WO2008/104448
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509111227)ピーエーエフ ホールディングス エイピーエス (3)