説明

電動飛行機用非燃焼式ダクト付きエンジン

【課題】
炭酸ガスを発生しない高速飛行用エンジンにしたい。
【解決手段】
ラバール管型のケーシング内に電動ファンを敷設し、ラバール管型のノズルから高速空気を噴出させて超音速飛行可能なエンジンとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
飛行機を推進するための、電動モータ駆動によるファン回転によるエンジン。
【背景技術】
【0002】
航空機用推進装置には、液体燃料を燃焼させてレシプロエンジンによりプロペラを回転させて推進させるのが一般的だった。機体の速度が高くなると、飛行速度と回転速度の合成であるプロペラの対気速度、特に先端での速度が音速以下ではあるが音速に近づき始めた(遷音速領域)。プロペラの一部が音速を超えると衝撃波が発生し、効率が大きく低下する。
そこで、プロペラ先端での合成速度が遷音速になるような飛行速度以上での飛行には、プロペラでなくジェットエンジンを使うことが一般的となっている。
普通、ジェットエンジンと言えばターボジェットエンジンを指す。吸入した空気を圧縮機で圧縮し、燃焼室で液体燃料を噴射して燃焼させ、圧縮機を回転させるためにタービンを駆動したあと、燃焼ガスをジェットとしてノズルから噴出して飛行機の推進力とする。
燃焼で得られたエネルギーの多くが高温のガスとして大気中に放出されるため効率はそれ程良くはない。
超音速は達成可能である。しかし、旅客機は元より軍用機でも飛行時間中の大半は音速以下で飛行する。遷音速で飛行することを重視してターボジェットエンジンを改良したのがターボファンジェットエンジンである。
図1は、ターボファンジェットエンジンの概観図である。
図2は、ターボファンジェットエンジンのモデル図である。空気取入口から大量の空気を取り入れる。円筒形のダクト内にプロペラ様のファンを敷設する。ファンを通った空気のうち、1部はエンジン内部の圧縮機に導かれ燃焼器で燃料を燃焼させ高温で高速の燃焼ガスを作る。燃焼ガスはタービンに排出され、燃焼ガスエネルギーを回転動力に変換する。タービンの回転動力が圧縮機を回転させる。ファン無しジェットエンジンでは圧縮機を回転させた後でも高温で高速である排気ガスをノズルから噴出して推力としていた。ファン付きジェットエンジンでは別途最集段タ−ビンを敷設し、この圧縮機を回転させた後でも高温で高速である排気ガスにより最集段タ−ビンを回転させファンを回転させる。最集段タ−ビンをでた排気ガスはコア流れと呼ばれ低温でエネルギーが相当低くなっている。
ファンを通った空気のうち、大部分は圧縮機の外を流れるバイパス流となり、残りは圧縮機を通ったコア流となる。
バイパス流は音速以下の大量の空気流れである。気流の大部分は圧縮機を通さずにダクトから後方にバイパス流れとして噴射し大推力が発生する。コア流からの推力は微々たるものである。
空気取入口の内面には、騒音を抑制するための吸音器が敷設される場合が多い。
ファンと呼ばれる回転動翼は、空気を後方に押し出して圧縮、噴出して推力を発生させる。回転動翼は上流側が凸状態で下流側が凹状態になっていて下流側の静圧力が高くなる。この結果、回転動翼は後ろから前方へ力を受ける。
回転動翼は中心から外向きの空気流も作る。したがって、気流は回転動翼によって周方向のエネルギーを受けることになる。
回転動翼後ろに固定静翼を敷設することが多い。周方向の気流を中心軸方向に曲げ直し、軸方向の気流の運動エネルギーを増加させる効果がある。
【0003】
空気の質量流量をw、飛行速度をV、飛行機後方への排出速度をVinfとすると、推力Tは運動量増加分に比例するから
T = w x ( Vinf - V)
と近似できる。
プロペラ推進ではwを大きくすることで推力を発生させる。Vが音速に近づくと衝撃波で効率が悪化する。
ファン無しジェット機では衝撃波に影響されにくくできるため、Vinfを大きくすることで推力を発生させる。しかし、排出された空気は高温高速でまだ大きなエネルギーが残っていて、無駄になっている。
ファン有りジェット機では、ファンとダクトによりTを大きくすることができる。プロペラ飛行機は周方向の速度増加まで推力に使うことはできない。ダクトが有ることによりファンの負担が軽減され、音速に近いVまで上げられる。
ファン無しジェット機で捨てられていた高温ガスをファン回転に利用するためファン無しジェット機よりも燃費がよい。
ファン有りジェット機のターボファンエンジンに係わる特許の1例として特許文献1がある。
【特許文献1】:特開2008-151134「ダクト燃焼式混成流ターボファン」。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境問題が重要になってきた。化石燃料燃焼によって発生する炭酸ガスが環境を悪化させるとされている。液体燃料として化石燃料を使うジェット機も例外ではない。軍用ジェット機ですら、化石燃料に植物由来の液体燃料を混合して燃焼させようとしている。
電気で電動モータを駆動してプロペラを回転させれば炭酸ガス問題は解決できるが飛行機速度は遅い。ビジネスチャンスを制限することになる。また、長時間椅子で過ごすのは健康に良くないし、不快である。
炭酸ガスを発生させずに長時間電力を発生させる原子力発電を利用したい。しかし、安全性に十分な配慮が必要である。
炭酸ガスを発生させることなく燃費が良くて高速な飛行機にしたい。更に、飛行時間中の大半は騒音が有ってもよいが離着陸時空港周辺のみ騒音を小さくしたい。
飛行機に内蔵した電池だけを使うエンジンでは大量のエネルギーが消費される離陸は大きな負担になる。電池を使うエンジンを搭載した飛行機を離発着させる空港には種々の設備を取り入れた空港とすることが重要である。
高空に達するまでにエネルギーを消費するし、高空での低圧に対処した設備を飛行機内に敷設することは輸送コストの負担になる。低空飛行航行が可能になると効率が上がると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の非燃焼式ダクト付きファンエンジン(11)は、当該エンジンを搭載した飛行機本体に内蔵した飛行機本体からの電線(6)から供給される電気で駆動される電動モータ(7)と、当該電動モータ(7)によって回転される回転動翼(4)と、ケーシング(9) 内面に固定した固定静翼(2)と、電動モータ(7)及び回転動翼(4)及び固定静翼(2)を囲むケーシング(9)と、非耐熱軽量ノズル(8)からなる。
ケーシング(9)は中間部がくびれた喉部(10)を持つラバール管とする。ラバール管の入口内面に刃を敷設する。
回転動翼(4)を喉部(10)の後ろに配置する。回転動翼(4)の後ろに固定静翼(2)を配置する。固定静翼(2)の後に電動モータ(7)を配置する。最後部に非耐熱軽量ノズル(8)を敷設する。
回転動翼(4)及び固定静翼(2) 及びケーシング(9)によって空気の後方軸流を加速し、非耐熱軽量ノズル(8)から当該ケーシング(9)の後方に空気を吐出することにより推進力を得る。非耐熱軽量ノズル(8)は高温に曝されることがないから、ノズル形状を飛行速度に適した形に変えられる可変ノズルとするのは容易である。
電動モータ(7)に用いるコイルや電線は、アルミニウムやカーボンナノチューブにすれば軽量になる。電動モータ(7)をコアレスモータとすれば軽量になる。
当該エンジンを駆動するための電池は、1次電池または2次電池またはキャパシタまたは燃料電池とする。
【0006】
本発明のエンジンの電動モータ(7)の電源は、溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉に核燃料を追加挿入することにより核分裂連鎖反応を維持して発生する出力を高温熱源とし外気を低温熱源とした熱電半導体による発電装置である。
チタン(Ti)またはスカンジウム(Sc)またはチタン-アルミ(Ti-Al)またはアルミ-ベリリウム-シリコン(Al-Be-Si)である軽量耐熱材製の軽量耐熱容器(201)の中に溶融鉛で冷却される溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉を内蔵する。
溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉は、冷却材を溶融鉛冷却材(303)とし、核燃料追加管集合体(400)を中心に配置しその周りに減速過多MOX核燃料集合体(300)を多数体正方格子状に配列装荷し炉心枠(205)で囲みMOX混合割合により定常出力運転時相当の高温での実効増倍率が0.95と0.99の間に納まっている亜臨界原子炉にする。
減速過多MOX核燃料集合体(300)は、減速過多MOX核燃料棒(302)を多数本正方格子状に配列しチャンネルボックス(301)で束ねてなる。
減速過多MOX核燃料棒(302)は、MOXに劣化リチウムまたはベリリウムの酸化物である固体減速材を混合した粉末を高さ約1cmの円柱状に焼結してなる固体減速材混合MOXペレット(312)を軽量耐熱材製の軽量耐熱被覆管(311)内に多数個充填し気密閉塞してなる。
なお、MOXにメタステイブルアメリシウム(Am242m)またはキューリウム245(Cm245)の酸化物を混合すれば当該炉の大きさと重量を1/3程度にすることも可能となる。商用原子炉の使用済核燃料の再処理で抽出が可能なAm242m やCm245の核分裂断面積は熱中性子に対して非常に大きい。
核燃料追加管集合体(400)は、金属円筒の管である核燃料追加管(401)を多数本正方格子状に配列しチャンネルボックス(301)で束ねてなる。
臨界の維持は核燃料追加管(401)に反応維持棒(402)を挿入し、反応維持棒(402)の冷却も溶融鉛冷却材(303)である。
反応維持棒(402)は、濃縮ウランの酸化物であるEUOXに上記固体減速材を混合した粉末を高さ約1cmの円柱状に焼結してなる固体減速材混合EUOXペレット(412)を軽量耐熱材製の追加軽量耐熱被覆管(411)内に多数個充填し気密閉塞してなる。
軽量耐熱容器(201)と炉心枠(205)との間の溶融鉛下降域(204)に、核燃料反応の熱で高温になった溶融鉛を下降させる。
軽量耐熱容器(201)の高温外壁に熱電半導体(202)を敷設し熱電半導体(202)の反対側を外気で冷却して発電する。
なお、本発明の発電装置は冷却材として溶融鉛冷却材(303)の代わりにヘリウムとしてもよい。軽量耐熱容器(201)と炉心枠(205)との間のヘリウム下降域(214)にヘリウムを下降させる。
鉛またはヘリウムの高温冷却材を原子炉外の外部冷却材タンク(216)に導き出しその表面に熱電半導体(202)を敷設し、空気で冷却すれば発電量を増加させることができる。
【0007】
環境に優しい非燃焼式ダクト付きエンジン(11)及び飛行機内蔵電池(512)を搭載した電動飛行機(510)を効率良く運用するために、当該飛行機と空港設備を一体として考えた空港とする。
電動飛行機(510)を乗客専用機と乗客携行荷物専用貨物機とに分け乗客携行荷物専用貨物機を先行させそのすぐ後に乗客専用機を離発着させる運用をとる空港に次のような工夫を凝らす。
滑走路は、離陸寸前部は基礎床(501)の上にクッション板(502)とゴム状弾性板(503)を層状に敷いてから外表面をシート(504)で覆った低反発滑走路(500)とする。滑走中部は基礎床(501)を外表面まで厚く敷きシート(504)で覆う。基礎床(501)はアスファルトやコンクリートの様な頑丈な物質がよい。クッション板(502)は多泡性のウレタンフォームの様なクッション性能の高い物質がよい。ゴム状弾性板(503)はウレタンゴムの様なゴム状弾性を持つ物質がよい。シート(504)はビニロンやナイロンの様な一連の広く一様な面を形成できる物質がよい。
低反発滑走路(500)は滑走時騒音を抑制する。更に、着陸時の衝撃を和らげるから、車輪を軽量化できる。航空母艦甲板を低反発滑走路(500)にすれば着艦が容易になる。
滑走路脇に段差無しの給電用レール(505)を配置する。給電用レール(505)と当該飛行機とを繋ぐ集電帯(506)を介して上記飛行機が離陸するまでに消耗する電力を当該飛行機に給電し続ける。集電帯(506)は電車のパンタグラフの役割をする。給電用レール(505)は地下鉄やモノレールの電線レールの役割をする。
集電帯(506)を空港側の設備とした場合は、飛行機側に設けた磁石吸着方式または真空吸引方式のソケット(514)で集電帯(506)の端を接触させる。当該飛行機搭載のエンジンが消耗する電力を集電帯(506)を介して給電用レール(505)から供給し続ける。
当該エンジンとソケット(514)は当該飛行機内に敷設せる外部接続電線(513)で接続する。滑走路を離れるまでは、当該飛行機搭載の飛行機内蔵電池(512)の蓄電量は減少しない。
集電帯(506)を自走式として当該飛行機を後押しして音速近くまで加速させれば効率は更に上がる。
集電帯(506)を当該飛行機側に付帯すれば、空中給電も可能である。
飛行機内蔵電池(512)への充電は、滑走路周辺に敷設した太陽光電池(531)からの太陽光発電電力を電灯線電力で補完した電力を充電器(530)で実施する。太陽光電池(531)は、空港滑走路側を高く傾けて滑走路周辺に敷設する。操縦者は反射光の眩しさを受けることが無い。飛行機内蔵電池(512)は、交換可能とし予め充電器(530)で充電し終わった電池に交換搭載する。
空港周辺地に音波検出器(523)及び音波調整器(522)及びスピーカ(521)を敷設し、音波検出器(523)で検出した音波の周波数と強度は同じで位相を逆位相にした音波を音波調整器(522)で作成しスピーカ(521)から発し音波検出器(523)の音量が減少するように音波調整器(522)で強度修正を高速で実施する。例えば、初期強度から5%減らした音波を発し、音波検出器(523)からの騒音が減少したら更に5%減らす。初期強度から5%減らした音波を発し、音波検出器(523)からの騒音が逆に増加したら初期強度から5%強度を高めた音波を発する。
乗客専用機と乗客携行荷物専用貨物機とに分けて、乗客専用機を軽くする。貨物機は安全性や快適性を犠牲にして軽くする。与圧しなくて済むため大幅な軽量化が可能である。
貨物機を先行させれば乱気流状態を即座に把握できるためルート変更といった回避対応が可能となる。双方の飛行機が互いの概観を観察できるからトラブル対応が容易になる。
ミサイル攻撃に対して、乗客携行荷物専用貨物機を乗客専用機の盾とすることができる。
乗客手荷物は少なくなるためハイジャックされ難い。
電動モータ駆動エンジンは、一般に高速タービンからの金属音や液体燃料燃焼室からの連続爆発音がないため比較的静であるから、ダクトに重い消音部材を付けなくてもすむ。空港周辺には人家が少ないから騒音被害が軽減されるが念のために音波の干渉を利用して消音する。
【0008】
目的地まで長くして通した低反発滑走路(500)上に、電動飛行機(510)の主翼を短くした短翼(601)を左右4枚以上にした電動多短翼飛行機(600)を浮き上がり飛行させる。
低反発滑走路(500)内及び路肩に沿って敷設した太陽光電池(531)からの太陽光発電電力を電灯線電力で補完した電力を、当該低反発滑走路(500)の要所に敷設した給電板(602)から、電動多短翼飛行機(600)に付帯した集電帯(506)によって当該電動多短翼飛行機(600)に給電する低空飛行システムとする。
前記飛行機が高空航行中に事故があった場合に、低反発滑走路(500)は緊急避難着地場ともなる。
滑走路からの誘導電波に乗って進行すれば無人運転も可能である。
低空飛行であるから海面効果により高揚力が得られる。用地取得難の地域や富士山爆発の際の溶岩流対応は、上空を航行すればよい。高速道路の中央分離帯または路肩上空を飛行することもできる。
電動多短翼飛行機(600)同士のすれ違いは、進行高さを変えるか路肩上通行で解決できる。
レールなしの低反発滑走路(500)内は、電動多短翼飛行機(600)が停止着地しない限り空き地であるから、そこに太陽光電池を設置することはコスト低減になる。
レールや電線や電柱といったインフラが不要なためコスト低減になる。
【発明の効果】
【0009】
当該エンジンは高温燃焼部分がないので、常温での強度があればよい。重量の嵩む耐熱材料を使用する必要がないから軽量で安価なエンジンを製造できるから運賃コストを低下させることができる。
自爆テロが生じても、電池や軽量エンジンなら貫通力が小さく、可燃性燃料を積んでいないから火災や爆発による被害は小さい。したがって、空港での厳重な身体検査は緩和される。
プロペラ推進に比べて、本発明はラバール管内に内蔵させた回転動翼を回転させて推力を得ることができるため、音速近傍の飛行機に対応したエンジンとなり得る。高速で安全に、かつ環境にやさしく飛行することができる。
電池で駆動する電動モータは酸素濃度が薄い高空でも回転動翼を回転させて推力を得ることができるため、空気抵抗が少なく高速飛行が可能であると同時に、高空であれば気象変動や鳥類の影響を受けにくく安全性が増す。
飛行方向に大きく開いた吸入口を持ったラバール管は高空の希薄酸素を大量にエンジン内に導くことができるため、空気が希薄な高空でも推力を得ることができる。
電動モータは、化石燃料を使わないから環境変動をさせるとされている炭酸ガスを発生させることがない。電動モータは、騒音も少ないから都市近郊での離着陸が可能となり、空港へのアクセスが良くなって利用効率が向上する。
排出空気温度は大気中の空気温度とほぼ同じであるため、熱エネルギーの喪失が少なく効率的である。
低反発滑走路(500)には、高空から急に水平落下のように着地してもショックが小さいため、滑走路が短くできて、かつ、地対空ミサイルで狙われる機会が少なくなる。更に、車輪無しの飛行機が可能である。
離陸時の電力は、空港側から供給されるため当該飛行機の飛行機内蔵電池(512)量を減らすことができるから長距離飛行に有利になる。化石燃料エンジン搭載飛行機では、滑走中給油は危険であるから大量の燃料を積載する必要がある。離陸失敗時の飛行機や空港へのダメジが大きい。
離着陸時のみ空港近辺に設置した消音スピーカで騒音を減らす。大半の飛行時間中は高空を飛行するから騒音があっても問題にならない。消音装置を飛行機のダクトに敷設するのは、騒音があっても問題にならない高空でも消音することになり無駄が多いことになる。
噴火に伴って大気中に噴出する浮遊物に影響を受けることが少ないから、災害や軍事における緊急対応飛行機に支障をきたす事が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
炭酸ガスを発生させずに高速の飛行機を電動エンジンの工夫並びに空港設備の工夫により提供できた。
【実施例1】
【0011】
図3は本発明の非燃焼式ダクト付きエンジン(11)の模式図である。中空円筒形状のケーシング(9)は中間部がくびれた喉部(10)を持つラバール管になっている。ラバール管は円筒形の管で、空気流入口は広口になっていて、下流に行くほど管の直径が狭くなっていていく縮流部を経て、管の直径が最も狭くなっている喉部(10)に至り、更に下流に行くほど今度は管の直径が広くなるディフューザ部となる。ラバール管の入口内面に刃を敷設する場合がある。
ラバール管の入口内面に刃を施すと、流入空気を1次元流れに整流し、乱れによる損失を抑制すると共に、鳥が衝突した際には切り裂いて回転動翼(4)及び固定静翼(2) 及び電動モータ(7)を保護する。
ラバール管の入口は広口であるため流入空気量wは大きいから、推力を高める効果がある。
亜音速飛行では、縮流部で流速は加速される。超音速飛行では、縮流部で流速は減速される(非特許文献2)。喉部(10)での空気速度は亜音速飛行でも超音速飛行でも音速以下となるように設定する。ディフューザ部では減速流となる。ディフューザ部を通過して減速した空気は回転動翼(4)で加速される。
回転動翼(4)は喉部(10)よりも下流のディフューザ部に敷設される。回転動翼(4)の後ろのラバール管内面に固定静翼(2)を固定しこの後ろに電動モータ(7)を敷設し、電動モータ(7)の後の最後部に非耐熱軽量ノズル(8)を敷設する。
電動モータ(7)は、モータ支持兼固定翼(1)によってケーシング(9)に固定されている。
電動モータ(7)は、当該エンジンを搭載した飛行機本体に内蔵した電池から伸びた飛行機本体からの電線(6)を介して供給される電気で駆動される。飛行機本体からの電線(6)は、モータ支持兼固定翼(1)表面または中に埋め込んで電動モータ(7)に接続する。当該電動モータ(7)の上流に配置された回転動翼(4)は電動モータ(7)の回転軸(5)と接続していて、電動モータ(7)の回転によって回転し、推力を発生させる。
回転動翼(4)を通過した空気は、大半は下流軸方向の向きに流れるが1部周方向の速度を持つ。固定静翼(2)があれば、周方向の速度を下流軸方向の向きに変えることができる。更に、固定静翼(2)の後ろのディフューザ部での管内面壁によっても、管半径方向への速度を下流軸方向の向きに変えられる。回転動翼(4)の後ろ側は圧力が高く、回転動翼(4)を後ろから押すことになり、その力は推力となる。
回転動翼(4)によって加速され固定静翼(2)下流を通過した空気は、当該ケーシング(9)の後に敷設せる非耐熱軽量ノズル(8)によって更に加速され後方に吐出される。非耐熱軽量ノズル(8)は空気が進むにつれて円筒直径が小さくなっていき、下流に行くほど空気は加速される。噴出の反動で推力を得る。非耐熱軽量ノズル(8)形状は、亜音速飛行であれば先細形状が適しているが、超音速飛行ではラバール管状が適している。排気温度が低いからノズル形状を可変にするのは容易である。
ジェットエンジンでの排気は高温であるが、本発明のエンジンの排気は空気のみであるから低温である。したがって、密度が大きい耐熱合金を使用する必要がないから軽量な材料であるジュラルミンや炭素材でよい。軽量な材料は飛行に有利である。
ラバール管やノズルの作用は、例えば非特許文献2に示されている。
回転動翼(4)前方端に半円形状の緩衝円盤(3)を敷設すれば、鳥の衝突から回転動翼(4)及び電動モータ(7)の損傷を緩和させる。
電動モータ(7)の電源は、二次電池または一次電池またはキャパシタにすれば爆発や火災のおそれが少ない。燃料電池を使用すれば長時間飛行が可能となるが燃料は一般に可燃性であるから爆発や火災のおそれはある。
【非特許文献2】昭41年、谷下、裳華房「大学演習工業熱力学」
【実施例2】
【0012】
本発明のエンジンにおける電動モータ(7)の電源は、溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉に核燃料を追加挿入することにより核分裂連鎖反応を維持して発生する出力を熱源として熱電半導体で発生した電気である。
核燃料を装荷しているが核分裂連鎖反応を維持できない原子炉を未臨界原子炉という。核分裂によって生じた中性子割合÷中性子吸収割合を増倍率と言い、有限の大きさの原子炉に対して中性子が原子炉の外に漏洩することを考慮に入れた場合の増倍率を実効増倍率という。実効増倍率が1.0ならば臨界で、1.0より小さければ未臨界である。本発明では、原子炉に装荷した核燃料棒の本数形状を変えずに、定常出力運転時相当の高温での実効増倍率が0.95と0.99の間に納まっている原子炉を亜臨界原子炉と呼ぶことにする。
図4は本発明の溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉の平面図であり、図5は縦断面図である。チタン(Ti)や、スカンジウム(Sc)や、チタンとアルミニウム(Al)の化合物であるチタンアルミ(Ti-Al)や、Alとベリリウム(Be)とシリコン(Si) の合金であるアルミ-ベリリウム-シリコン(Al-Be-Si)合金(競争自動車エンジン母材に使用)といった軽量耐熱材製の軽量耐熱容器(201)の中に、核燃料追加管集合体(400)を中心にして溶融鉛冷却材(303)で冷却される減速過多MOX核燃料集合体(300)を多数体正方格子状に配列装荷し炉心枠(205)で囲んだ減速過多亜臨界原子炉を内蔵する。軽量耐熱容器(201)と炉心枠(205)との間は溶融鉛下降域(204)とし、減速過多MOX核燃料集合体(300)及び核燃料追加管集合体(400)に挿入せる後述反応維持棒(402)の核反応熱で高温になった溶融鉛が下降する領域である。軽量耐熱容器(201)の外壁に熱電半導体(202)を敷設する。熱電半導体(202)は放射線の遮蔽体の役割もする。
減速過多MOX核燃料集合体(300)は、多数本正方格子状に配列された減速過多MOX核燃料棒(302)をチャンネルボックス(301)で束ねてなる。減速過多MOX核燃料棒(302)は、上記軽量耐熱材製の円筒形の鞘である軽量耐熱被覆管(311)に、混合酸化物(MOX)に固体減速材を混合した粉末を高さ約1cmの円柱状に焼結してなる固体減速材混合MOXペレット(312)を多数個充填し気密閉塞してなる。MOXはプルトニウム(Pu)とウラン(U)の混合酸化物である。固体減速材は劣化リチウムまたはベリリウムの酸化物とした。劣化リチウムは、天然リチウム(Li)成分の内リチウム6(中性子吸収材であるが核融合炉燃料用として使われる予定。)を減じて残った、リチウム7の成分に富んだ減速材である。リチウム6が中性子を吸収するのに対してリチウム7は中性子を殆ど吸収せずに中性子速度を減少させる性質が高い。ベリリウム(Be)も劣化リチウム同様に軽量で中性子速度を減少させる性質が高い。
固体減速材混合MOXペレット(312)は、中心を固体酸化物減速材とし周辺を濃縮ウランの酸化物またはMOXとしてもよい。
【0013】
Puは崩壊熱を放出しかつ自発中性子も放出するため、臨界未満であっても発熱している。したがって、溶融鉛冷却材(303)が固化することはない。
固体減速材を過剰に装荷した固体減速材混合MOXペレット(312)が中性子減速作用の大きい水と混合したとしても減速作用は飽和しているから増倍率は殆ど変化しない。むしろ、水は中性子を吸収作用があるから増倍率は低下する。溶融鉛が喪失しても中性子吸収作用も減速作用も小さいから増倍率は殆ど変化しない。
装荷した核燃料を少なくして臨界には至らない本亜臨界原子炉は連続的に高出力を発生させることができない。一時的に臨界になっても固体減速材が過剰で核燃料が少ないため、増倍率は急激に減少する。高出力を維持するためには、石炭焚き蒸気機関車のように頻繁に核燃料を補給する必要がある。
核燃料追加管集合体(400)は、金属円筒の管である核燃料追加管(401)を多数本正方格子状に配列しチャンネルボックス(301)で束ねてなる。
臨界の維持は核燃料追加管(401)に反応維持棒(402)を挿入し、反応維持棒(402)の冷却も溶融鉛冷却材(303)である。
反応維持棒(402)は、濃縮ウランの酸化物であるEUOXに上記固体減速材を混合した粉末を高さ約1cmの円柱状に焼結してなる固体減速材混合EUOXペレット(412)を軽量耐熱材製の追加軽量耐熱被覆管(411)内に多数個充填し気密閉塞してなる。
当該亜臨界原子炉の実効増倍率が0.98とすると、1本の反応維持棒(402)挿入による増倍率増加を0.001に設定すれば20本挿入で臨界になる。
実効増倍率が0.95よりも小さいと反応維持棒(402)の挿入本数が著しく多くなり操作が困難になる。
U235が100%以下の高濃縮ウランでは、ウラン238(U238)が存在するから、燃焼が進むに従って増倍率はそれ程急激には低下しない。U238が中性子を吸収すると核分裂し易いプルトニウム239(Pu239)が生成されるからである。ウラン235(U235)が100%の高濃縮ウランなら燃焼が進んでもPu239の生成がないから増倍率は急激に低下する。濃縮度が高いウランほど増倍率は急激に低下するから安全性が高いと言える。
減速材が多いと、U238があってもPu239の生成される割合が低く増倍率は急激に低下するから安全である。U238は中性子速度が中位の中性子を吸収してPuになる。減速材が多いと大部分の中性子は減速されてしまうからPu239の生成割合が少なくなるから燃焼が進むに従って増倍率は急激に低下する。
反応維持棒(402) の追加挿入で臨界を維持する。事故が生じても反応維持棒(402)の挿入を停止すれば出力は減少する。既に挿入してある反応維持棒(402)を引き抜けば原子炉は急激に出力を減少する。
反応維持棒(402) を冷却する冷却材は、図5に記載のように冷却材流入口(403)から入り冷却材流出口(404)から出て行く。
【0014】
熱電半導体(202)の外側を放射線に対する遮蔽体で覆い、遮蔽体を外気で冷却すれば熱電半導体(202)の冷熱源となる。
溶融鉛冷却材(303)は、高温になっても圧力が低いため軽量耐熱容器(201)に大きな圧力をかけることがないから当容器の肉厚を薄くできて軽量化が計れる。
軽量耐熱容器(201)の内壁にMOX燃料板(203)を敷設すれば炉心中心部から漏洩してきた中性子を吸収して核分裂し、軽量耐熱容器(201)の壁を高温にすることができる。軽量耐熱容器(201)の外壁に敷設された熱電半導体(202)はこの壁を高温熱源とし、周囲の空気を低温熱源として電気を発生する。
軽量耐熱容器(201)の内壁にMOX燃料板(203)を敷設したのは、溶融鉛下降域(204)の温度は安全性上それほど高くはできない。そこで、原子炉から漏洩してくる中性子によるMOX燃料板(203)の核反応熱によって軽量耐熱容器(201)の壁を高温にし、発電を高めた。
MOX燃料板(203)は、固体減速材混合MOXペレット(312)を板状にして上記軽量耐熱材製の板状の箱の鞘に密封収納したものである。
飛行機の離発着時には本原子炉から反応維持棒(402) を引き抜き亜臨界原子炉とし、別途搭載せる電池を電源とする。離陸直前に本原子炉に反応維持棒(402)を若干本挿入して温帯待機状態にし、上空で反応維持棒(402)を臨界になるまで挿入して、当該原子炉を臨界にして発電する。
図6、7に、溶融鉛冷却材(303)をヘリウムにした気体冷却減速過多亜臨界原子炉を示した。なお、冷却材を原子炉の外の外部冷却材タンク(216)に導いて熱電半導体(202)を多く敷設した。外部冷却材タンク(216)から原子炉へのガス戻しは低容量の送風機(217)で実施する。
常時核燃料からの発熱がなくとも鉛のように固化することはないから、核燃料としてPuの代わりに濃縮ウランが使える。軽量耐熱容器(201)の外の外部冷却材タンク(216)に配管(215)を通ってヘリウムを導き出し、外部冷却材タンク(216)の壁面に熱電半導体(202)を貼り付けることにより発電を増加することができる。発電量の増加が期待できる。熱電半導体(202)の冷熱源は空気である。
【実施例3】
【0015】
環境には優しい電動モータ駆動である非燃焼式ダクト付きファンエンジン(11)及び飛行機内蔵電池(512)を搭載した電動飛行機(510)を効率良く運用するための空港である。
当該飛行機を乗客専用機と乗客携行荷物専用貨物機とに分け乗客携行荷物専用貨物機を先行させそのすぐ後に乗客専用機を離発着させる運用をとる空港に次のような工夫を凝らす。
図8は本発明の低反発滑走路(500)を含んだ空港の模式図である。図9は縦断面図である。離陸寸前部の滑走路は、基礎床(501)の上にクッション板(502)とゴム状弾性板(503)を層状に敷いてから外表面をシート(504)で覆った低反発滑走路(500)である。滑走中部の滑走路は、基礎床(501)を外表面まで厚く敷きシート(504)で覆う。
滑走路脇に段差無しの給電用レール(505)を配置する。給電用レール(505)と当該飛行機とを繋ぐ集電帯(506)を介して上記飛行機が離陸するまでに消耗する電力を当該飛行機に給電し続ける。集電帯(506)は電車のパンタグラフの役割をする。給電用レール(505)は地下鉄やモノレールの電線レールの役割をする。
集電帯(506)を空港側の設備とした場合は、飛行機側に設けた磁石吸着方式または真空吸引方式のソケット(514)で集電帯(506)の端を接触させる。当該飛行機搭載のエンジンが消耗する電力は集電帯(506)を介して飛行場側から受電し続ける。
当該エンジンとソケット(514)は当該飛行機内に敷設せる外部接続電線(513)で接続する。
滑走路を離れるまでは、当該飛行機搭載の飛行機内蔵電池(512)の蓄電量は減少しない。集電帯(506)がストッパ(507)に当たるとソケット(514)から外れる。
集電帯(506)を自走式として当該飛行機を後押しして音速近くまで加速させれば効率は更に上がる。
着陸時に失速しないように比較的高速で低反発滑走路(500)に進入し、比較的高い高度から水平落下するように着地することが可能となり、着地が容易になる。
集電帯(506)を当該飛行機に付帯すれば、空中給電も可能である。
集電帯(506)を自走式として当該飛行機を後押しして音速近くまで加速させれば効率は更に上がる。
太陽光発電装置を搭載した人工衛星にマイクロ波送信機を敷設し、当該飛行機にマイクロ波受信機を搭載すれば集電帯(506)が不要となる。
飛行機内蔵電池(512)は滑走路周辺に敷設した太陽光電池(531)からの太陽光発電電力を電灯線電力で補完した充電器(530)で予め充電しておいた電池に交換搭載する。太陽光電池(531)は、空港滑走路側を高く傾けて滑走路周辺に敷設する。操縦者は反射光の眩しさを受けることが無い。
空港周辺地に音波検出器(523)及び音波調整器(522)及びスピーカ(521)を敷設し、音波検出器(523)で検出した音波の周波数と強度は同じで位相を逆位相にした音波を音波調整器(522)で作成しスピーカ(521)から発し音波検出器(523)の音量が減少するように音波調整器(522)で強度修正を高速で実施する。例えば、初期強度から5%減らした音波を発し、音波検出器(523)からの騒音が減少したら更に5%減らす。初期強度から5%減らした音波を発し、音波検出器(523)からの騒音が逆に増加したら初期強度から5%強度を高めた音波を発する。
空港周辺の騒音被害地に消音装置を設置しておけば各位置のその時刻その外気状態に則った騒音が検出でき、調整もできる。飛行機側に消音装置を敷設したのでは、騒音被害地で実際に騒音が抑制されるとは保証できない。騒音が問題になる空港周辺地外気温や外気気圧等の外気雰囲気により騒音の程度が変わることに対応できない。
空港周辺の騒音被害地の騒音を能動的に抑制する。数回の試行錯誤により大方の位相と周波数と強度は決定できる。
乗客専用機と乗客携行荷物専用貨物機とに分ければ乗客専用機は軽くなる。貨物機は安全性や快適性を犠牲にして軽くすることができる。与圧しなくて済むだけでも機体構造材の大幅な軽量化が可能である。
貨物機を先行させれば乱気流状態を即座に把握できるためルート変更といった回避対応が可能となる。双方の飛行機が互いの概観を観察できるからトラブル対応が容易になる。
ミサイル攻撃に対して、乗客携行荷物専用貨物機を乗客専用機の盾とすることができる。
こうした空港の工夫によって飛行機は軽くなり、航行の経済性及び安全性及び環境性が高まる。
空港周辺は万一の事故に備えて、広い空き地を持っている。空き地に注ぐ太陽エネルギーを利用する。太陽電池を滑走路に背を向けて敷設したため、離着陸機への眩しさがない。空港利用頻度が低下すれば、周辺地域に売電するための太陽光発電所になる。
鳥が住み着かなくなり、鳥をエンジンに吸い込む事故が軽減される。
火山灰が降っても電気駆動エンジンだから火山灰吸入によるエンジン停止は生じ難い。
使い捨てまたは回収を前提とした使用済電池を飛行途中に滑空または落下傘降下させると重量軽減が期待できる。
【特許文献2】能動消音制御装置、特開平9-106290
【実施例4】
【0016】
低反発滑走路(500)を目的地まで長く通して鉄道のようにする。
図10は、低空飛行システムの概念図である。
車輪用レールを敷かない低反発滑走路(500)上には、電動飛行機(510)の主翼を短くした短翼(601)を左右4枚以上にした電動多短翼飛行機(600)を浮き上がり飛行させる。低反発滑走路(500)内及び路肩に沿って敷設した太陽光電池からの太陽光発電電力を電灯線電力で補完した電力を、当該低反発滑走路(500)の要所に敷設した給電板(602)から電動多短翼飛行機(600)に付帯した集電帯(506)によって供電することを特徴とする低空飛行システムである。
滑走路からの誘導電波に乗って進行すれば無人運転も可能である。
従来の飛行機では主翼は一般に左右1枚ずつであるが、本発明の電動多短翼飛行機(600)は左右に4枚以上複数の短い短翼(601)を設置する。長い翼では、滑走路幅を広くする必要がるが、幅の広い滑走路は建設コストが嵩む。滑走路幅が狭くてもよいように翼の長さを短くした。短い翼が1対では揚力が不足するから複数枚とした。翼と翼の間隔を開ける事により前方に設置する翼の上下風速の違いによる乱れが収まり、後方の翼の揚力発生に効果的になる。
駅ごとに飛行機内蔵電池(512)に充電補給してもよい。
滑走路からの誘導電波に乗って進行すれば無人運転も可能である。
低空飛行であるから海面効果により高揚力が得られる。用地取得難の地域や富士山爆発の際の溶岩流対応は、上空を航行すればよい。高速道路の中央分離帯または路肩上空を飛行することもできる。
電動多短翼飛行機(600)同士のすれ違いは、進行高さを変えるか路肩上通行で解決できる。
レールを敷かない低反発滑走路(500)内は、電動多短翼飛行機(600)が停止着地しない限り空き地であるから、そこに太陽電池を設置することはコスト低減になる。
レールや電線や電柱といったインフラが不要なためコスト低減になる。
大地震が襲っても走行が乱されることはない。火山爆発による溶岩流が長期間当該滑走路の往来を妨げても溶岩流固化滑走路上空を飛行することができる。
レールが無いから、軌道幅に左右されずに建設できるため、規格が異なる国にも輸出が容易になるから大量生産が可能となり、製造コスト強いては運賃コストを下げることができる。
高空航行前記飛行機に事故があった場合に、目的地まで通った低反発滑走路(500)は、緊急避難着地場となる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
石油は便利で安価ではあるが、掘削や輸送時や備蓄タンクに事故が生じると環境へ多大な負担をかける。その結果、修復のための上限無しの賠償金がかかる。油価が低くとも輸送等各種損害保険料が高くなると思われる。
戦争には必須の戦略物資であるから重要ではあるが、石油依存度低下を検討しておく必要がある。他国で戦争になっても石油が輸入できなくなる恐れがある(石炭なら見逃してもらえるかもしれない)。
そんな石油を備蓄するよりも、石炭発電やLNG発電や太陽光発電や風力発電や電池設置に重点が移るだろう。それでも不足なら原子力発電がある。
乗客のみの飛行機に随伴させて乗客携行荷物専用無人貨物機を飛ばせば運賃コストを抑制できる。無人貨物機ならば安全性や快適性を犠牲にして経済性を重視した飛行機でよい。無人貨物機の速度が少々遅くとも、搭乗手続きの時間で補うことができる。
大人数を一気に運ぶのに対して、中人数を数回に分けて運ぶ方が乗客の都合にあった時間が増えるから便利である。当該飛行機なら機関士は不要で、操縦士もそれほど有能である必要がないから人件費増にはならない。
狭い国土の国に適している。外国航路や長距離爆撃には化石燃料エンジンによる長距離飛行機にする。
大空港周辺は騒音対策として太陽光発電所とし、場合によっては近隣民家・小学校を他所に移し跡地は太陽光発電所とする。使い道の少ない小空港周辺を太陽光発電所とする。
将来安価な乾電池が出現すれば、消耗乾電池を飛行途中定点に落下傘やグライダーや空中サーフィンで降下させて身軽にすることができる。回収再生が可能となれば経済性が増す。
日本の強いインフラ関連産業を生かして空港の諸施設インフラを整備することにより、輸入石油に頼ることなく環境にも優しく速い電動飛行機はコスト的に成立させ得る。
石油を基礎とする産業は日本及び先進国では飽和し、供給過剰になっている。過剰なものの自主的破壊は起きにくい。そこで、石油を基礎とする産業は置き去りまたは新興国に展開し、国内産業は太陽光や原子力や石炭からの電力を基礎とした産業を興すことにより、社会を再構築すれば新規需要が生まれる。
上記原子炉は、将来の宇宙炉への布石となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ターボファンジェットエンジンの概観図。
【図2】図2は、ターボファンジェットエンジンのモデル図。
【図3】図3は、本発明の非燃焼式ダクト付きエンジン(11)の模式図。
【図4】図4は、本発明の溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉の平面図。
【図5】図5は、溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉の縦断面図。
【図6】図6は、気体冷却減速過多亜臨界原子炉の平面図。
【図7】図7は、気体冷却減速過多亜臨界原子炉の縦断面図。
【図8】図8は、本発明の低反発滑走路(500)を含んだ空港の模式図。
【図9】図9は、低反発滑走路(500)の縦断面図。
【図10】図10は、本発明の低空飛行システムの模式図。
【符号の説明】
【0019】
1はモータ支持兼固定静翼。
2は固定静翼。
3は緩衝円盤。
4は回転動翼。
5は回転軸。
6は飛行機本体からの電線。
7は電動モータ。
8は非耐熱軽量ノズル。
9はケーシング。
10は喉部。
11は非燃焼式ダクト付きエンジン。
201は軽量耐熱原子炉容器。
202は熱電半導体。
203はMOX燃料板。
204は溶融鉛下降域。
205は炉心枠。
214はヘリウム下降域。
215は配管。
216は外部冷却材タンク。
217は送風機。
300は減速過多燃料集合体。
301はチャンネルボックス。
302は減速過多核燃料棒。
303は溶融鉛冷却材。
311は軽量耐熱被覆管。
312は固体減速材混合MOXペレット。
313はヘリウム冷却材。
400は核燃料追加管集合体。
401は核燃料追加管。
402は反応維持追加核燃料棒。
403は冷却材流入口。
404は冷却材流出口。
411は反応維持棒被覆管。
412は固体減速材混合EUOXペレット。
500は低反発滑走路。
501は基礎床。
502はクッション板。
503はゴム状弾性板。
504はシート。
505は給電用レール。
506は集電帯。
507はストッパ。
510は電動飛行機。
512は飛行機内蔵電池。
513は外部接続電線。
514はソケット。
521はスピーカ。
522は音波調整器。
523は音波検出器。
530は充電器。
531は太陽光電池。
600は電動多短翼飛行機。
601は短翼。
602は給電板。
900は蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼式ダクト付きエンジン(11)は、
飛行機本体からの電線(6)から供給される電気で駆動される電動モータ(7)と、
当該電動モータ(7)によって回転される回転動翼(4)と、
ケーシング(9) 内面に固定せる固定静翼(2)と、
電動モータ(7)及び回転動翼(4)及び固定静翼(2)を囲むケーシング(9)と、
非耐熱軽量ノズル(8)からなり、
ケーシング(9)形状は中間部がくびれて喉部(10)を持つラバール管であって、
回転動翼(4)を喉部(10)の後ろに配置し、回転動翼(4)の後ろに固定静翼(2)を配置し、固定静翼(2)の後に当該電動モータ(7)を配置し、最後部に非耐熱軽量ノズル(8)を配置することにより、
回転動翼(4)及び固定静翼(2) 及びケーシング(9)によって空気の後方軸流を加速し、非耐熱軽量ノズル(8)から当該ケーシング(9)の後方に空気を吐出することにより推進力を得ることを特徴とする非燃焼式ダクト付きエンジン(11)。
【請求項2】
請求項1における非燃焼式ダクト付きエンジン(11)の電源として、
チタンまたはスカンジウムまたはチタン-アルミまたはアルミ-ベリリウム-シリコンである軽量耐熱材製の軽量耐熱容器(201)の中に、
金属円筒の管である核燃料追加管(401)を多数本正方格子状に配列しチャンネルボックス(301)で束ねてなる核燃料追加管集合体(400)を中心として、
MOXに劣化リチウムまたはベリリウムの酸化物である固体減速材を混合した粉末を高さ約1cmの円柱状に焼結してなる固体減速材混合MOXペレット(312)を軽量耐熱材製の軽量耐熱被覆管(311)内に多数個充填し気密閉塞してなる減速過多MOX核燃料棒(302)を多数本正方格子状に配列しチャンネルボックス(301)で束ねてなる減速過多MOX核燃料集合体(300)を多数体正方格子状に配列装荷し炉心枠(205)で囲み、溶融鉛冷却材(303)で冷却し、MOX混合割合により定常出力運転時相当の高温での実効増倍率が0.95と0.99の間に納まっている亜臨界原子炉とした溶融鉛冷却減速過多亜臨界原子炉を内蔵し、
EUOXに上記固体減速材を混合した粉末を高さ約1cmの円柱状に焼結してなる固体減速材混合EUOXペレット(412)を軽量耐熱材製の追加軽量耐熱被覆管(411)内に多数個充填し気密閉塞してなる反応維持棒(402)を核燃料追加管(401)に挿入することにより臨界を維持し溶融鉛冷却材(303)で冷却し、
軽量耐熱容器(201)と炉心枠(205)との間の溶融鉛下降域(204)に溶融鉛を下降させ、
軽量耐熱容器(201)の高温外壁または外部冷却材タンク(216)表面に熱電半導体(202)を敷設し熱電半導体(202)の反対側を外気で冷却することにより発電することを特徴とする発電装置、
または前記発電装置の冷却材として溶融鉛冷却材(303)の代わりにヘリウムとしたことを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1の非燃焼式ダクト付きエンジン(11)及び飛行機内蔵電池(512)を搭載した電動飛行機(510)を離発着させる空港において、
離陸寸前の滑走路部は基礎床(501)の上にクッション板(502)とゴム状弾性板(503)を層状に敷いてから外表面をシート(504)で覆った低反発滑走路(500)とし、滑走中の滑走路部は基礎床(501)を外表面まで厚く敷きシート(504)で覆い、滑走路に配置した給電用レール(505)から集電帯(506)を介して上記飛行機が離陸するまでに消耗する電力を当該飛行機に給電し続け、
飛行機内蔵電池(512)への充電を滑走路周辺に敷設した太陽光電池(531)からの太陽光発電電力を電灯線電力で補完した充電器(530)で成し、
空港周辺地に音波検出器(523)及び音波調整器(522)及びスピーカ(521)を敷設し、音波検出器(523)で検出した音波の周波数と強度は同じで位相を逆位相にした音波を音波調整器(522)で作成しスピーカ(521)から発し音波検出器(523)の音量が減少するように強度を修正することを特徴とする。
【請求項4】
請求項3に記載せる低反発滑走路(500)を長くして目的地まで通し、請求項3に記載せる電動飛行機(510)の主翼を短くした短翼(601)を左右4枚以上にした電動多短翼飛行機(600)を低反発滑走路(500)上に浮き上がり飛行させ、
低反発滑走路(500)内及び路肩に沿って敷設した太陽光電池(531)からの太陽光発電電力を電灯線電力で補完した電力を、当該低反発滑走路(500)要所に敷設した給電板(602)から、当該電動多短翼飛行機(600)に付帯せしめた集電帯(506)を介して当該電動多短翼飛行機(600)に給電することを特徴とする低空飛行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−6475(P2012−6475A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143829(P2010−143829)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(303002055)