説明

電圧供給回路及び表示装置

【課題】電圧供給回路及び表示装置において、メモリ性を有する表示装置の画像の消去時と描画時の電圧の切り替えを正常に行うことを目的とする。
【解決手段】表示装置の駆動回路部に複数の駆動電圧を供給する電圧供給回路において、前記表示装置の動作モードに応じて前記複数の駆動電圧の電位を切り替える回路部を備え、前記回路部は、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、前記第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧供給回路及び表示装置に係り、特に表示内容を保持できる書き替え可能な表示装置に適した電圧供給回路、及びそのような電圧供給回路を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源を切っても表示内容を保持できる書替え可能な電子ペーパー等と呼ばれる表示装置の開発が進められている。電子ペーパーの有力な表示方式の一つに、コレステリック相が形成される液晶組成物を用いた表示方式がある。コレステリック相が形成される液晶組成物には、コレステリック液晶(Cholesteric Liquid Crystals)が含まれる。コレステリック液晶は、カイラルネマティック(Chiral Nematic Liquid Crystals)液晶と呼ばれることもある。コレステリック液晶は、ネマティック液晶にキラル性の添加剤を添加することにより、ネマティック液晶の分子が螺旋状のコレステリック相を形成する。コレステリック液晶は、半永久的な表示保持特性(又は、メモリ性)、鮮やかなカラー表示特性、高コントラスト比、及び高解像度特性等の優れた特徴を有している。
【0003】
コレステリック液晶を用いた表示装置は、異なる波長の光を選択的に反射するコレステリック液晶層を使用して多色カラー表示を行う。このようなコレステリック液晶を用いた表示装置は、表示素子に印加する電圧を制御することにより特定の波長の光を反射するプレーナ状態、光を透過するフォーカルコニック状態、及びプレーナ状態とフォーカルコニック状態の中間状態に制御することができる。
【0004】
コレステリック液晶を用いた従来の表示装置では、表示素子がマトリクス状に配置された表示素子部(又は、表示パネル)をセグメントドライバ及びコモンドライバにより駆動する。セグメントドライバは、1ラインの画像データに対応したオン/オフ電圧を表示素子部に出力し、コモンドライバは、選択ライン位置に対応したオン/オフ電圧を表示素子部に出力する。コレステリック液晶を用いた表示装置は、表示画像を保持できるメモリ性を有するので、表示画像を書き替える前に前の表示画像を消去する必要がある。表示画像の描画時と消去時とでは、セグメントドライバ及びコモンドライバの出力電圧が異なるため、電圧供給回路は少なくとも2系統の電位の異なる電圧をセグメントドライバ及びコモンドライバに供給する必要がある。
【0005】
セグメントドライバの出力電圧同士は、所定の大小関係を満たしており、コモンドライバの出力電圧同士は、所定の大小関係を満たしている。しかし、セグメントドライバ及びコモンドライバは、例えばボルテージフォロアで構成されていることが一般的であり、電圧供給回路において画像の消去時と描画時にセグメントドライバ及びコモンドライバに供給する電圧の切り替えが正常に行われないと、セグメントドライバ内及びコモンドライバ内において上記所定の大小関係が満たされなくなる場合もある。又、セグメントドライバ及びコモンドライバに供給する電圧の切り替え異常が発生してしまうと、セグメントドライバ及びコモンドライバ内の回路素子の破損や、表示装置の消費電力の増大も起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−251453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メモリ性を有する従来の表示装置では、電圧供給回路において画像の消去時と描画時の電圧の切り替えが正常に行われないと、セグメントドライバの出力電圧及びコモンドライバの出力電圧が上記所定の大小関係を満たさなくなるため画像を正常に表示できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、メモリ性を有する表示装置の画像の消去時と描画時の電圧の切り替えを正常に行うことのできる電圧供給回路及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、表示装置の駆動回路部に複数の駆動電圧を供給する電圧供給回路であって、前記表示装置の動作モードに応じて前記複数の駆動電圧の電位を切り替える回路部を備え、前記回路部は、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、前記第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御することを特徴とする電圧供給回路が提供される。
【0010】
本発明の一観点によれば、メモリ性を有する表示素子部と、前記表示素子部を駆動する駆動回路部と、前記表示素子部における画像の消去時と描画時で複数の駆動電圧の電位を切り替えて前記駆動回路部に供給する多電圧生成部を備え、前記多電圧生成部は、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、前記第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御する電圧供給回路を有することを特徴とする表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の電圧供給回路及び表示装置によれば、メモリ性を有する表示装置の画像の消去時と描画時の電圧の切り替えを正常に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例における表示装置の一例を示すブロック図である。
【図2】表示素子部の駆動例を説明する図である。
【図3】セグメントドライバ及びコモンドライバの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】セグメントドライバ及びコモンドライバの出力電圧を説明する図である。
【図5】セグメントドライバ及びコモンドライバの出力電圧の一例を説明する図である。
【図6】セグメントドライバ及びコモンドライバの出力電圧の極性の一例を説明する図である。
【図7】多電圧生成部の一例を説明する図である。
【図8】セグメントドライバ又はコモンドライバ内部の一例を示す図である。
【図9】消去電圧の一例を説明する図である。
【図10】消去時と描画時のドライバの出力電圧を説明する図である。
【図11】多電圧生成部の電圧供給回路におけるドライバに供給する電圧の切り替えを説明する図である。
【図12】電圧供給回路において消去時と描画時の電圧の切り替えが正常に行われた場合の電圧波形を示す図である。
【図13】電圧供給回路において消去時と描画時の電圧の切り替えが正常に行われない場合の電圧波形を示す図である。
【図14】電圧供給回路の第1の構成を示す図である。
【図15】図14の電圧供給回路の電圧切り替え時の出力電圧を説明する図である。
【図16】電圧供給回路の第2の構成を示す図である。
【図17】電圧供給回路の第3の構成を示す図である。
【図18】図17の電流制限回路の一例を示す図である。
【図19】電圧供給回路の第4の構成を示す図である。
【図20】図19の電圧供給回路の電圧切り替え時の出力電圧を説明する図である。
【図21】消去時における電圧供給回路の第5の構成を示す図である。
【図22】描画時における電圧供給回路の第5の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示の電圧供給回路及び表示装置では、表示装置の駆動回路部に複数の駆動電圧を供給する。表示装置の動作モードに応じて複数の駆動電圧の電位を切り替え、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御する。
【0014】
比較的簡単な構成の電圧供給回路により、メモリ性を有する表示装置の画像の消去時と描画時といった動作モードに応じて駆動電圧の電位の切り替えを正常に行うことができる。このため、電圧供給回路から少なくとも2系統の異なる電位の電圧を供給されるセグメントドライバの出力電圧及びコモンドライバの出力電圧は、所定の大小関係を満たすことができ、表示装置は正常な画像を表示することができる。又、上記所定の大小関係が満たされるので、セグメントドライバ及びコモンドライバ内の回路素子の破損や、表示装置の消費電力の増大を避けることができる。
【0015】
以下に、開示の電圧供給回路及び表示装置の各実施例を図面と共に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例における表示装置の一例を示すブロック図である。図1に示す表示装置1はメモリ性を有し、本実施例ではコレステリック液晶を用いたカラー表示装置である。
【0017】
表示装置1は、電源11、昇圧部12、多電圧生成部13、クロック生成部14、ドライバ制御回路15、セグメントドライバ16、コモンドライバ17、及び表示素子部(又は、表示パネル)18を有する。
【0018】
後述するように、多電圧生成部13は電圧供給回路を有する。この電圧供給回路は、第1及び第2の増幅回路を有しても良い。電圧供給回路は、第1及び第2の増幅回路と、電流制限回路を有しても良い。又、電圧供給回路は、第1及び第2の増幅回路と、ブースタ回路を有しても良い。更に、電圧供給回路は、第1及び第2のスイッチを有しても良い。
【0019】
電源11は、例えば3V〜5Vの電源電圧を出力する。昇圧部12は、DC−DCコンバータ等のレギュレータを有し、電源11からの電源電圧を例えば24V〜40Vに昇圧する。このようなレギュレータを有する昇圧部12には、一般的な集積回路(IC)を使用することができる。このようなICは、フィードバック電圧を設定することにより、昇圧電圧を調整する機能を有するので、抵抗による分圧等により生成した複数の電圧を選択してフィードバック端子に供給することで、昇圧電圧を変化させることが可能である。多電圧生成部13は、昇圧部12からの昇圧電圧を抵抗分割等により各種の電圧を生成すると共に、生成された各種の電圧を安定化させる。多電圧生成部13が生成した各種電圧は、表示装置1の駆動回路部を形成するセグメントドライバ16及びコモンドライバ17に駆動電圧として供給される。
【0020】
クロック生成部14は、表示装置1内の動作タイミングを決めるクロックを生成する。ドライバ制御回路15は、クロック及び画像データに基づいて各種制御信号を生成して、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17に供給する。ドライバ制御回路15は、例えばマイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)/CPLD(Complex Programmable Logic Device)等で形成可能である。
【0021】
セグメントドライバ16は、1ラインの画像データに対応したオン/オフ電圧を表示素子部18に出力し、コモンドライバ17は、選択ライン位置に対応したオン/オフ電圧を表示素子部18に出力する。例えば、セグメントドライバ16は768本のデータラインを駆動し、コモンドライバ17は1024本のスキャン(走査)ラインを駆動する。RGBの各画素に与える画像データは異なるため、セグメントドライバ16は各データラインを独立して駆動する。コモンドライバ17は、RGBのラインを共通に駆動する。セグメントドライバ16へ入力する画像データは、例えばフルカラーの原画像を誤差拡散法によりRGB各16階調の4096色のデータに変換した、4ビットのデータである。この階調変換に用いる方法は、高い表示品質を得られる方法であることが好ましく、誤差拡散法に準じてブルーノイズマスク法等が使用することもできる。
【0022】
表示素子部18は、例えばA4判XGA(eXtended Graphics Array)仕様で、コレステリック液晶を用いた1024×768個の表示画素がマトリクス状に配置された構造を有する。表示素子部18は、用途に応じた適切な柔軟性を有する構造であっても、柔軟性を有さない強固な構造であっても良い。
【0023】
電源11、昇圧部12、クロック生成部14、ドライバ制御回路15、セグメントドライバ16、コモンドライバ17、及び表示素子部18には、例えば上記特許文献1の記載からも明らかなように、周知の構成のものを使用可能である。又、表示装置1の基本構成は、画像の消去時と描画時の電圧の切り替えを多電圧生成部13にて行う構成であれば特に限定されない。
【0024】
本実施例では、ドライバ制御回路15は、セグメントドライバ16に供給する画像データDataを出力すると共に、各種制御信号として、コモンドライバ17が走査するべきスキャンラインを示すデータラッチ・スキャンシフト信号LPCOM、画像データの転送タイミングを制御するデータ取込クロックXSCL、表示ラインの開始を示すフレーム開始信号DIO、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17に供給する電圧の極性の反転を示すパルス極性制御信号FR、表示ラインの更新を示すデータラッチ・スキャンシフト信号LPSEG、及びセグメントドライバ16及びコモンドライバ17に供給する電圧を強制的にオフにするドライバ出力オフ信号/DSPOFを出力する。セグメントドライバ16及びコモンドライバ17は、これらの各種制御信号を用いて表示素子部18に画像データに応じた画像を表示させる。
【0025】
尚、この例では、データ取込クロックXSCLはコモンドライバ17では使用されないので、コモンドライバ17へ供給しなくても良い。又、コモンドライバ17にはフレーム開始信号DIOが供給されるが、セグメントドライバ16に供給されるフレーム開始信号DIOに相当する信号はグランドGNDに固定されている。
【0026】
図2は、表示素子部18の駆動例を説明する図である。この例では、セグメントドライバ16は1ラインの画像データに対応してオン/オフ電圧を出力し、コモンドライバ17は選択ライン位置に対応したオン/オフ電圧を出力する。図2では、選択された表示画素及び表示素子の位置を黒く塗りつぶして示す。図2中、(a)は1ライン目の画像データの表示画素が選択された状態、(b)は2ライン目の画像データの表示画素が選択された状態、(c)は3ライン目の画像データの表示画素が選択された状態を示す。
【0027】
図3は、マトリクス表示を行う場合に使用するセグメントドライバ16及びコモンドライバ17の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図3(a)に示すように、セグメントドライバ16は、データレジスタ161、ラッチレジスタ162、電圧変換回路163、及び出力ドライバ164を有する。セグメントドライバ16では、データラッチ・スキャンシフト信号LPSEGによりデータレジスタ161からラッチレジスタ162に画像データが取り込まれる。ラッチレジスタ162に格納された画像データに対応した電圧は、電圧変換回路163において表示素子部18の駆動に適した電圧に変換された後、出力ドライバ164を介して出力される。データレジスタ161とラッチレジスタ162の2ライン分のバッファが設けられているため、ラッチレジスタ162の画像データに対応した電圧が出力されている間に、フレーム開始信号DIO及びデータ取込クロックXSCLに基づいて画像データDataの次のラインの画像データをデータレジスタ161に格納することができる。このようにして、セグメントドライバ16は、1ラインの画像データに対応したオン/オフ電圧を表示素子部18に出力する。
【0029】
図3(b)に示すように、コモンドライバ17は、シフトレジスタ171、ラッチレジスタ172、電圧変換回路173、及び出力ドライバ174を有する。フレーム開始信号DIOは、データラッチ・スキャンシフト信号LPCOMに基づいてシフトされ、且つ、ラッチレジスタ172に取り込まれる。ラッチレジスタ172に格納された選択ライン位置に対応した電圧は、電圧変換回路173において表示素子部18の駆動に適した電圧に変換された後、出力ドライバ174を介して出力される。このようにして、コモンドライバ17は、選択ライン位置に対応したオン/オフ電圧を表示素子部18に出力する。
【0030】
セグメントドライバ16及びコモンドライバ17により、1ライン毎に表示素子部18を走査することができる。
【0031】
次に、多電圧生成部13の出力電圧とセグメントドライバ16及びコモンドライバ17の出力電圧の関係を、図4〜図7と共に説明する。
【0032】
図4は、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17の出力電圧を説明する図である。図4中、(a)はセグメントドライバ16へのデータ信号及びパルス極性制御信号FRに対する出力電圧の一例を示し、(b)はコモンドライバ17へのデータ信号及びパルス極性制御信号FRに対する出力電圧の一例を示す。この例では、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17の出力電圧は、V0,V5,V21,V34のいずれかの電圧である。尚、以後の説明では、セグメントドライバ16の出力電圧V21,V34に「S」を付したV21S,V34Sで表す場合もあり、コモンドライバ17の出力電圧V21,V34に「C」を付したV21C,V34Cで表す場合もある。
【0033】
図5は、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17の出力電圧の一例を説明する図であり、図6は、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17の出力電圧の極性の一例を説明する図である。図5中、(a)はセグメントドライバ16の出力電圧V0,V21S,V34S,V5を示し、(b)はコモンドライバ17の出力電圧V0,V21C,V34C,V5を示す。この例では、V0=16V、V21S=V34S=8V、V5=0V、V21C=8V、V34C=4Vである。
【0034】
図7は、多電圧生成部13の一例を説明する図である。図7中、(a)は昇圧部12からのリファレンス電圧V1に基づいて各種電圧を生成する電圧供給回路、(b)は昇圧部12からのリファレンス電圧V2に基づいて各種電圧を生成する電圧供給回路、(c)は1つのドライバの構成の一例を示す。図7(a)において、抵抗群20−1はリファレンス電圧(電源)V1と接地(0V)の間に接続された複数の直列接続された抵抗を有し、増幅回路群21−1は抵抗群20−1の隣接する抵抗を接続するノードに接続された複数の増幅回路を有する。図7(a)の電圧供給回路は、出力電圧V0,V21C,V21Sを供給する。抵抗群20−1内には、スイッチ22が接続されている。又、図7(b)において、抵抗群20−2はリファレンス電圧(電源)V2と接地の間に接続された複数の直列接続された抵抗を有し、増幅回路群21−2は抵抗群20−2内のノードに接続された複数の増幅回路を有する。図7(b)の電圧供給回路は、出力電圧V34S,V34Sを供給する。増幅回路群21−1及び増幅回路群21−2を形成する各増幅回路(Gain)は、例えば図7(c)に示す如き接続のオペアンプ210を有する。
【0035】
この例では、表示素子部18の画像描画時にはスイッチ22が閉成(又は、オン)状態となり、セグメントドライバ16はV0=16V、V21S=8V、V34S=8Vの出力電圧が必要となり、コモンドライバ17はV0=16V、V21C=12V、V34C=4Vの出力電圧が必要となる。又、セグメントドライバ16の出力電圧はV0≧V21S≧V34S≧V5≧0Vなる関係を満足する必要があり、コモンドライバ17の出力電圧はV0≧V21C≧V34C≧V5≧0Vなる関係を満足する必要がある。つまり、描画時のセグメントドライバ16及びコモンドライバ17の出力電圧は、V0≧V21≧V34≧V5≧0Vなる関係を満足する必要がある。
【0036】
図8は、セグメントドライバ16又はコモンドライバ17内部の一例を示す図である。図8に示すドライバは、図示の如く接続されたインバータ31、4個の保護ダイオード又は寄生ダイオードで形成されたダイオード群32、及び6個のスイッチで形成されたスイッチ群33を有する。スイッチ群33は、セグメント/コモン切替信号S/Cにより制御される2個のスイッチ、画像データDataにより制御される2個のスイッチ、パルス極性制御信号FRにより制御される1個のスイッチ、及びドライバ出力オフ信号/DSPOFにより制御される1個のスイッチを有する。スイッチ群33のスイッチの制御により、ドライバは多電圧生成部13からの電圧V0,V21,V34,V5のいずれかの電圧を出力電圧OUTとして出力する。図8に示すドライバは、セグメント/コモン切替信号S/Cの論理レベルを第1の値に固定することによりセグメントドライバ16として使用可能であり、第2の値に固定することによりコモンドライバ17として使用可能である。
【0037】
図8に示すドライバの出力電圧も、V0≧V21≧V34≧V5≧0Vなる上記の関係を満足する必要がある。これは、図8に示すドライバのように、V0,V21,V34,V5の電位を有するノードの間にはダイオードが設けられているために、上記の関係を満たさないとダイオード経由で貫通電流が流れてしまうからである。上記の関係を満たさないと、最悪の場合、ドライバが破損する可能性がある。尚、ドライバ内部で貫通電流が流れても、貫通電流はそのドライバ内で発生するものであるため、セグメントドライバ16の出力電圧とコモンドライバ17の出力電圧との間には上記の関係のような特別な制約は無い。
【0038】
コレステリック液晶を用いた表示装置1は、表示内容を保持できるメモリ性を有する。このため、表示の書き替えを行う前には前の画像を消去する必要がある。図9は、この消去電圧の一例を説明する図である。図9中、縦軸は表示素子部18のコレステリック液晶層の反射率を任意単位で示し、横軸は消去電圧を任意単位で示す。図9からもわかるように、この例では、閾値電圧Vth以上の消去電圧を表示素子部18に供給することで前の表示画像(即ち、前の状態)を消去することができる。閾値電圧Vthは、例えば28Vである。
【0039】
図10は、消去時と描画時のドライバの出力電圧を説明する図である。図10中、(a)は消去時のドライバの出力信号を示し、(b)は描画時のドライバの出力信号を示し、GNDは接地電位(0V)を示す。消去時と描画時とでは、セグメントドライバ16及びコモンドライバ17の出力電圧が異なるため、多電圧生成部13内の電圧供給回路は2系統の異なる電位の電圧を各ドライバ16,17に供給する必要がある。
【0040】
図11は、多電圧生成部13内の電圧供給回路におけるドライバ16,17に供給する電圧の切り替えを説明する図である。図11中、図7と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図11中、(a)はスイッチ22が開成(又は、オフ)である消去時の状態を示し、(b)はスイッチ22が閉成(又は、オン)である描画時の状態を示す。図11のような増幅回路を用いたボルテージフォロアで構成された電圧供給回路の場合、リファレンス電圧を消去時と描画時でV1とV2に切り替えることで2系統の異なる電位の電圧を各ドライバ16,17に供給する。
【0041】
しかし、上記の如き消去時と描画時とでドライバ16,17に供給する電圧を切り替える際、何らかの理由で電圧の切り替えが正常に行われないと、ドライバ16,17においてV0≧V21≧V34≧V5≧0Vなる上記の関係を満たせなくなり、ドライバ16,17内で短絡状態が発生する場合がある。このような場合には、ドライバ16,17が破損したり、表示装置1の消費電力が増大してしまう可能性がある。
【0042】
図12は、電圧供給回路において消去時と描画時の電圧の切り替えが正常に行われた場合の電圧波形を示す図であり、図13は、電圧供給回路において消去時と描画時の電圧の切り替えが正常に行われない場合の電圧波形を示す図である。図12及び図13において、縦軸は電圧供給回路の出力電圧(V)を示し、横軸は時間を任意単位で示す。図12の例では、電圧V34Cが0Vから4Vに切り替わり、電圧V34Sが0Vから8Vに切り替わり、電圧V0が28Vから16Vへ切り替わり、電圧V21Cが28Vから12Vに切り替わり、電圧V21Sが28Vから8Vに切り替わっている。図12の例では、ドライバ16,17においてV0≧V21≧V34≧V5≧0Vなる上記の関係を満たしている。これに対し、消去時と描画時の電圧の切り替えが何らかの理由で正常に行われない場合、図13からもわかるように、ドライバ16,17においてV0≧V21≧V34≧V5≧0Vなる上記の関係を満たせなくなるため、正常に画像の描画及び表示が行えないという、消去電圧が必要な表示装置1に特有の不都合が生じる。
【0043】
そこで、多電圧生成部13の電圧供給回路の構成に起因して消去時と描画時の電圧の切り替えが何らかの理由で正常に行われない不都合を解消可能な電圧供給回路の構成について以下に説明する。本実施例では、電圧供給回路が出力する電圧のうち、最高電位の電圧V0をある電圧から他の電圧に切り替える電圧切替速度と、電圧V0より低電位の電圧V21をある電圧から他の電圧に切り替える電圧切替速度に差を付けることで、2系統の電圧の切り替え異常を防止する。電圧切替速度は、(V0の切替速度)<V21Cの切替速度)及び(V0の切替速度)<(V21Sの切替速度)なる関係を満足するように設定することで、セグメントドライバ16はV0≧V21Sなる関係を満たし、コモンドライバ17はV0≧V21Cなる関係を満たした状態で電圧供給回路において電圧の切り替えを行うことが可能となる。低電位の電圧V34S及びV34Cは、消去時は0Vであり、描画時はV34S=8V、V34C=5Vと消去時から描画時への電圧の切り替えは電圧を上げる方向であり、常にV5=0Vより大きくなる。
【0044】
具体的には、例えば以下の手法(1)〜(3)のいずれかを用いることにより、高電位と低電位の電圧を夫々ある電圧から他の電圧に切り替える電圧切替速度、又は、高電位と低電位の電圧を夫々ある電圧から他の電圧に切り替える電圧切替タイミングに差を付けることができる。
【0045】
(1) 電圧供給回路内の電圧V0を出力するオペアンプの電流吸い込み速度を電圧V21S,V21Cを出力するオペアンプの電流吸い込み速度よりも低くする。電流吸い込み速度は、スルーレート(Through Rate)又はシンクスルーレート(Sink Through Rate))とも呼ばれ、以下の説明ではシンクスルーレートと言う。
【0046】
(2) 電圧供給回路内の電圧V0を出力するオペアンプに電流制限回路を接続し、電圧の切り替え時に電流を制限する。
【0047】
(3) 電圧供給回路内に電圧V21S,V21Cを出力するオペアンプにブースタ回路を接続し、オペアンプの吸い込み電流(又は、電流吸い込み能力)を電圧V0を出力するオペアンプに比べて大きく(又は、高く)する。
【0048】
(4) 電圧供給回路内で高い方の電位を有する電圧V0を切り替えるスイッチを、低い方の電位を有する電圧V21S,V21Cを切り替えるスイッチより先に切り替えて、電圧の切り替えに時間差を付ける。
【0049】
高電位の電圧V0の電圧切替速度(又は、切替タイミング)と低電位の電圧V21電圧切替速度(又は、切替タイミング)に差を付けるという簡単な構成により、ドライバ16,17側は多電圧生成部13(即ち、電圧供給回路)を意識することなく、2系統の電圧の切り替え異常を防止することができる。その結果、ドライバ16,17の破損や表示装置1の消費電力の増大を抑制できる。
【0050】
図14は、電圧供給回路の第1の構成を示す図であり、図15は、図14の電圧供給回路の電圧切り替え時の出力電圧を説明する図である。図15中、縦軸は電圧供給回路の出力電圧(V)、横軸は時間(ms)を示す。
【0051】
図14に示すように、電圧供給回路は、オペアンプ131−1,132,133を有する。オペアンプ131−1には、図11(a),(b)の増幅回路群21−1のうち一番上の増幅回路からの電圧V0が供給される。オペアンプ132には、図11(a),(b)の増幅回路群21−1のうち一番上から2番目の増幅回路からの電圧V21Cが供給される。オペアンプ133には、図11(a),(b)の増幅回路群21−1のうち一番下の増幅回路からの電圧V21Sが供給される。電圧V0を出力するオペアンプ131−1のシンクスルーレートは、電圧V21S,V21Cを出力するオペアンプ132,133のシンクスルーレートよりも低い。例えば、電圧V21C,V21Cを出力するオペアンプ132,133のシンクスルーレートが2V/msの場合、電圧V0を出力するオペアンプ131−1のシンクスルーレートは1V/ms程度である。電流吐き出し速度(又は、ソーススルーレート)は、電圧V0,V21S,V21Cを出力する全てのオペアンプ131−1,132,133とも同じで良い。
【0052】
この例では、消去時から描画時への電圧切り替え時の電圧は、セグメントドライバ16でV0=28V→16Vを1V/msで変化させ、V21S=28V→8Vを2V/msで変化させることになる。電圧を切り替え開始時の消去電圧出力時は、電圧V0=V21S=28Vと同じであり、電圧V21Sの方を高速に描画電圧へ切り替えることができるため、V0≧V21Sなる関係が満たされる。又、図15からもわかるように、常に電圧V0を高く保ったまま電圧を切り替えることができる。コモンドライバ17においても、セグメントドライバ16の場合と同様に、電圧V0=28V→16Vを1V/msで変化させ、V21C=28V→12Vを2V/msで変化させるため、V0≧V21Cなる関係が満たされる。
【0053】
図16は、電圧供給回路の第2の構成を示す図である。図16中、図14と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0054】
図16に示すように、電圧供給回路は、オペアンプ131−1の代わりに、負電源端子に抵抗134が接続されたオペアンプ131−2を有する。電圧V0を供給されるオペアンプ131−2の負電源端子に抵抗134を接続することで、オペアンプ131−2の吸い込み電流(又は、シンク電流(Sink Current))が抑制される。例えば、電圧V21C、V21Sを供給されるオペアンプ132,133の吸い込み電流が1mAの場合、抵抗134の抵抗値を1kΩから2kΩに設定することにより、オペアンプ131−2の吸い込み電流を1mA未満にすることができる。これにより、電圧V0を供給されるオペアンプ131−2の吸い込み電流が電圧V21C,V21Sを供給されるオペアンプ132,133の吸い込み電流より制限されるので、上記第1の構成を有する電圧供給回路の場合と同様の効果を得ることができる。
【0055】
図17は、電圧供給回路の第3の構成を示す図であり、図18は、図17の電流制限回路の一例を示す図である。図17中、図14と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
図17に示すように、電圧供給回路は、オペアンプ131−1の出力に接続された電流制限回路135を有する。電流制限回路135は、例えば図18に示す如く接続されたダイオード41,42,43、トランジスタ44,45、及び抵抗46,47を有するが、回路構成は図18の構成に限定されない。図18の電流制限回路135の場合、抵抗47の抵抗値によって制限される電流を選定可能であり、この抵抗値によりオペアンプ131−1の吸い込み電流をオペアンプ132,133の吸い込み電流未満に制限することができるので、上記第1の構成を有する電圧供給回路の場合と同様の効果を得ることができる。
【0057】
図19は、電圧供給回路の第4の構成を示す図であり、図20は、図19の電圧供給回路の電圧切り替え時の出力電圧を説明する図である。図19中、図14と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図20中、縦軸は電圧供給回路の出力電圧(V)、横軸は時間(ms)を示す。
【0058】
図19に示すように、電圧供給回路は、オペアンプ132の出力に接続されトランジスタ136と抵抗138で形成されたブースタ回路と、オペアンプ133の出力に接続されトランジスタ137と抵抗139で形成されたブースタ回路を有する。オペアンプ132,133に接続されたブースタ回路は、例えば抵抗138,139の抵抗値を1MΩに設定することで、オペアンプ132,133の吸い込み電流(又は、電流吸い込み能力)をオペアンプ131−1の吸い込み電流(又は、電流吸い込み能力)よりも大きく(又は、高く)する。オペアンプ132,133の吸い込み電流が大きくなったことで、図20に示すように、オペアンプ131−1の電圧変化よりオペアンプ132,133の電圧変化の方が速くなり、V0≧V21S及びV0≧V21Cなる関係を満たすことができるので、上記第1の構成を有する電圧供給回路の場合と同様の効果を得ることができる。
【0059】
図21は、消去時における電圧供給回路の第5の構成を示す図であり、図22は、描画時における電圧供給回路の第5の構成を示す図である。
【0060】
電圧供給回路は、図21及び図22に示す如く接続されたリファレンス電圧V1を供給される部分と、リファレンス電圧V2を供給される部分を有する。リファレンス電圧V1を供給される部分は、抵抗R1,R2,R3、スイッチSW1,SW2,SW3、抵抗R11,R12,R12、及び3個の増幅回路で形成された増幅回路群210−1を有する。リファレンス電圧V2を供給される部分は、2個の抵抗で形成された抵抗群200−2と、2個の増幅回路で形成された増幅回路群210−2を有する。リファレンス電圧V1は、抵抗R1,R11、抵抗R2,R12、及び抵抗R3,R13によりスイッチSW1,SW2,SW3の状態に応じて抵抗分割されるので、実質的にレファレンス電圧V1側の電源が複数設けられている場合に相当する。
【0061】
図21に示すように、消去時にはスイッチSW1,SW2,SW3は全て開成(又は、オフ)状態に制御される。一方、描画時には、図22の上部に3つの状態を示すように、スイッチSW1,SW2,SW3が全て開成状態にある状態から、先ずスイッチSW1のみを閉成(又は、オン)状態に切り替え、次にスイッチSW2を閉成状態に切り替え、次にスイッチSW3を閉成状態に切り替えるといった具合にスイッチSW1→SW2→SW3を順番に閉成状態に切り替えることで、電圧V0,V21C,V21Sの電圧値の切り替えに時間差を付けることができる。これにより、上記第1の構成を有する電圧供給回路の場合と同様の効果を得ることができる。
【0062】
上記実施例の電圧供給回路の構成によれば、消去時と描画時の電圧切り替え時において V0≧V21S及びV0≧V21Cなる関係を常に満たすことができる。このため、セグメントドライバ側及びコモンドライバ側では、電圧供給回路を意識することなく、電圧系統の切り替え異常を防止することができる。その結果、各ドライバの破損や表示装置の消費電力の増大を抑制できる。
【0063】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
表示装置の駆動回路部に複数の駆動電圧を供給する電圧供給回路であって、
前記表示装置の動作モードに応じて前記複数の駆動電圧の電位を切り替える回路部を備え、
前記回路部は、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、前記第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御することを特徴とする電圧供給回路。
(付記2)
前記回路部は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路を有し、前記第1の増幅回路のシンクスルーレートは前記第2の増幅回路のシンクスルーレートよりも低いことを特徴とする付記1記載の電圧供給回路。
(付記3)
前記回路部は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路と、前記第1の増幅回路に接続され前記駆動電圧の切替時に電流を制限する電流制限回路を有することを特徴とする付記1記載の電圧供給回路。
(付記4)
前記回路部は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路と、前記第2の増幅回路に接続され前記第2の増幅回路の吸い込み電流を前記第1の増幅回路の吸い込み電流より大きくするブースタ回路を有することを特徴とする付記1記載の電圧供給回路。
(付記5)
前記回路部は、前記第1の駆動電圧を切り替える第1のスイッチと、前記第2の駆動電圧を切り替える第2のスイッチを有し、前記第1のスイッチが切り替わった場合に前記第2のスイッチを切り替えることを特徴とする付記1記載の電圧供給回路。
(付記6)
メモリ性を有する表示素子部と、
前記表示素子部を駆動する駆動回路部と、
前記表示素子部における画像の消去時と描画時で複数の駆動電圧の電位を切り替えて前記駆動回路部に供給する多電圧生成部を備え、
前記多電圧生成部は、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、前記第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御する電圧供給回路を有することを特徴とする表示装置。
(付記7)
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路を有し、前記第1の増幅回路のシンクスルーレートは前記第2の増幅回路のシンクスルーレートよりも低いことを特徴とする付記6記載の表示装置。
(付記8)
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路と、前記第1の増幅回路に接続され前記駆動電圧の切替時に電流を制限する電流制限回路を有することを特徴とする付記6記載の表示装置。
(付記9)
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路と、前記第2の増幅回路に接続され前記第2の増幅回路の吸い込み電流を前記第1の増幅回路の吸い込み電流より大きくするブースタ回路を有することを特徴とする付記6記載の表示装置。
(付記10)
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を切り替える第1のスイッチと、前記第2の駆動電圧を切り替える第2のスイッチを有し、前記第1のスイッチが切り替わった場合に前記第2のスイッチを切り替えることを特徴とする付記6記載の表示装置。
(付記11)
前記表示素子部は、コレステリック液晶を有することを特徴とする付記6乃至10のいずれか1項記載の表示装置。
(付記12)
前記表示素子部は、柔軟性を有する構造を備えることを特徴とする付記11記載の表示装置。
【0064】
以上、開示の電圧供給回路及び表示装置を実施例により説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 表示装置
11 電源
12 昇圧部
13 多電圧生成部
14 クロック生成部
15 ドライバ制御回路
16 セグメントドライバ
17 コモンドライバ
18 表示素子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の駆動回路部に複数の駆動電圧を供給する電圧供給回路であって、
前記表示装置の動作モードに応じて前記複数の駆動電圧の電位を切り替える回路部を備え、
前記回路部は、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、前記第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御することを特徴とする電圧供給回路。
【請求項2】
メモリ性を有する表示素子部と、
前記表示素子部を駆動する駆動回路部と、
前記表示素子部における画像の消去時と描画時で複数の駆動電圧の電位を切り替えて前記駆動回路部に供給する多電圧生成部を備え、
前記多電圧生成部は、第1の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングを、前記第1の駆動電圧より低い電位を有する第2の駆動電圧の切替速度又は切替タイミングより速くなるように制御する電圧供給回路を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路を有し、前記第1の増幅回路のシンクスルーレートは前記第2の増幅回路のシンクスルーレートよりも低いことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路と、前記第1の増幅回路に接続され前記駆動電圧の切替時に電流を制限する電流制限回路を有することを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を出力する第1の増幅回路と、前記第2の駆動電圧を出力する第2の増幅回路と、前記第2の増幅回路に接続され前記第2の増幅回路の吸い込み電流を前記第1の増幅回路の吸い込み電流より大きくするブースタ回路を有することを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項6】
前記電圧供給回路は、前記第1の駆動電圧を切り替える第1のスイッチと、前記第2の駆動電圧を切り替える第2のスイッチを有し、前記第1のスイッチが切り替わった場合に前記第2のスイッチを切り替えることを特徴とする請求項2記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−128440(P2011−128440A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287960(P2009−287960)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】