説明

電場処理装置

【課題】 同極性の交流電圧を電極の相対部分に印加して得られた電場が十分に確保され、意図した装置性能を十分に発揮させること。
【解決手段】 揚油Lが内部に収容される油槽11と、この油槽11内に配置された一対の絶縁体12,12と、これら絶縁体12,12の内部に配置された一対の電極13,13と、揚油Lを加熱する加熱パイプ14とを備えてフライヤー10が構成されている。電極13,13は、油槽11や加熱パイプ14等、アースに繋がる装置構成部材に対し、少なくとも10mm以上、好ましくは、20mm以上の絶縁距離を隔てて配置されており、同じタイミングで相互に同極、同相となる交流電圧が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電場処理装置に係り、更に詳しくは、同極性の交流電圧を電極の相対部分に印加して電界を形成することで、当該電界内の被処理体を電場処理する電場処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の被処理体を電場処理する電場処理装置として、図4に示されるように、フライ食品を油で揚げるフライヤー120が知られている(特許文献1参照)。当該フライヤー120は、揚油Lが収容された油槽121と、油槽121内に配置されて揚油Lを加熱する加熱パイプ122と、加熱パイプ122の上方に配置されるとともに、電圧制御装置123から交流電圧が印加される通電電極125と、この通電電極125の上方に相対配置されたアース電極126とを備えている。ここで、フライ食品Fをアース電極126の下面側に接触させた状態で、通電電極125に交流電圧を印加すると、通電電極125とアース電極126との間に電場が発生し、揚油Lやフライ食品Fに高電圧微弱電流が印加され、揚油Fの酸化が抑制されるとともに、フライ食品Fの加工時間の短縮が図られる。
【0003】
ところが、前記フライヤー120にあっては、加工現場からの最大の要求事項であるフライ加工時間の短縮には一定の限界があり、また、フライ食品Fが通電電極125に密着すると、フライ食品Fの上下両面で表皮形成の進行状態が異なり、フライ食品Fを満遍なく加工できなくなる等の問題がある。
【0004】
そこで、以上の問題を解決するために、いわゆる同期電場を使ったフライヤーが提案されている(特許文献2参照)。このフライヤーは、揚油が収容された油槽と、油槽内に配置されて揚油を加熱する加熱パイプと、加熱パイプの上方に相対配置された一対の電極とを備えている。これら電極には、同じタイミングで相互に同極となるように交流電圧が印加され、その結果、無限遠方空間をアース電位として、前記各電極間に位置する電場処理空間にプラス電場とマイナス電場とが交互に発生し、前記電場処理空間内に位置するフライ食品に対してフライ加工処理が行われる。このようなフライヤーによれば、フライ食品の分子構造レベルでの電場処理が可能であり、これによって、フライ加工時間の短縮化を図れるとともに、フライ食品の均一な加温が可能になる等の効果を得る。
【特許文献1】特開2002−142997号公報
【特許文献2】国際公開第WO2004/110179号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のフライヤーにあっては、電極や加熱パイプ等の装置構成部材の配置条件について考慮されておらず、当該配置によっては、前記電場処理空間内での電場形成が大きく損なわれ、前述した本フライヤーの意図した性能を十分に発揮することができない。これは、本発明者らが実験等を行って鋭意研究した結果、油槽の外側の筐体や加熱パイプ等のアース電位となる装置構成部材が、前記電極の近傍に配置され、且つ、当該電極からアース電位の装置構成部材に多くの電気力線が向うような構造であると、前記電場処理空間内の電気力線の数が大幅に減って、電極表面側の電位が著しく低下することに起因する。
【0006】
また、フライ加工を行うと、油槽内の揚油の量が経時的に減少していくが、油槽内への揚油の補充や交換は、一定タイミング(一日若しくは数日おき)で行うのが一般的な使用態様である。このような使用態様の下、前記フライヤーにあっては、揚油の補充や交換が行われないと、経時的な揚油の量の減少に伴う油面の低下により、前記電極の上側の一部分が、揚油の外側にはみ出してしまい、当該はみ出し部分の周囲に空気が存在することになる。ここで、油は、空気の2倍以上の比誘電率を有するため、前記はみ出し部分が揚油中に存在する場合に比べ、当該はみ出し部分から無限遠方空間に向う電気力線の数が2倍以上となる。その結果、揚油内に存在する電極間の電場処理空間に十分な電場を発生させられなくなり、フライに対する加工性能が低下することになる。つまり、電場処理空間内で電場が形成されていない、若しくは、電場形成が不均一となると、フライ食品F中の水成分が大量に蒸発することになって、揚油の温度が下がってしまい、フライ加工を十分に行うことができなくなる。このような問題を解決するには、揚油の補充や交換を頻繁に行わなければならず、これでは、フライ加工現場の作業要請に沿うことができない。
【0007】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、同極性の交流電圧を電極の相対部分に印加して得られた電場が十分に確保され、意図した装置性能を十分に発揮させることができる電場処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前記目的を達成するため、本発明は、同極となる交流電圧がそれぞれ印加される電極の相対部分の間の電場処理空間に、プラス電場とマイナス電場とを交互に発生させ、前記電場処理空間内に位置する誘電性の被処理体に対して所定の処理を行う電場処理装置において、
アースに繋がる装置構成部材と前記電極との間に絶縁体が設けられ、
前記電極は、前記装置構成部材から少なくとも10mm以上の絶縁距離を隔てて配置される、という構成を採っている。
【0009】
(2)ここで、前記絶縁距離を20mm以上に設定するとよい。
【0010】
(3)また、前記電極の周囲に存在する流体の状態に応じて、前記電極の絶縁状態を調整する絶縁調整手段を備える、という構成も併せて採用することができる。
【0011】
(4)ここで、前記絶縁調整手段は、前記電極の内側に沿って移動可能な補助絶縁体を備え、
前記補助絶縁体は、前記電極が前記流体の外側にはみ出したときに、当該はみ出し部分に相対するように配置される、という構成を採ることができる。
【0012】
(5)更に、前記絶縁調整手段は、前記電極が前記流体中に存在するように、前記電極を移動させる、という構成を採ることもできる。
【0013】
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「絶縁体」とは、密度が0.8(g/m)以上で、比誘電率が1〜10、好ましくは2.5以下の物体を意味する。
【0014】
また、「絶縁距離」は、電極と物体との間に配置された絶縁体内における距離を意味し、電極に印加される交流電源の周波数を数十kHz〜数百kHzとした場合の距離、若しくは、その周波数帯に変換した場合の距離を意味する。
【0015】
更に、「電極の内側」とは、電極の相対部分が存在する側を意味し、「電極の外側」とは、その反対側を意味する。
【発明の効果】
【0016】
前記(1)、(2)の構成によれば、本発明者らによる実験の結果、アースに繋がる装置構成部材があっても、電極から前記装置構成部材に向う電気力線を極力抑制でき、電場処理空間内に形成される電気力線を十分に確保できることが判明した。その結果、本発明によれば、電場処理空間に得られた電場を十分に確保することができ、意図した装置性能を十分に発揮させることが可能となる。
【0017】
前記(3)、(4)、(5)のように構成することで、例えば、電場処理装置をフライヤーとした場合、揚油の経時的な減少によって、電極の一部が揚油の外側の空気部分にはみ出た場合でも、当該はみ出し部分が揚油中に存在する場合と同様な絶縁状態に調整できる。このようにすることで、揚油の量が多少減っても、加工性能を低下させずにフライ加工を行うことが可能になり、これによって、フライ加工処理中に揚油を頻繁に補充する作業が不要となり、フライ加工現場の要請に十分に応えることができる。また、電場処理空間内の電場形成が安定化、均一化されるため、当該電場によって、フライ食品F中の水成分の蒸発による揚油の温度低下を抑制することができる。従来では、このような温度低下を見込んで揚油の温度を高めに設定していたが、本発明によれば、揚油を従来よりも低い温度にしても、従来と同じ加工時間にてフライ加工を行うことができ、フライヤーの省エネルギー化を促進することができる。その他、蒸し器等の他の電場処理装置に適用した場合であっても、電極の周囲の流体(蒸気)の状態に応じて、電極の絶縁状態をほぼ一定に保つことができ、流体の状態に拘らず、電場処理空間内で処理を行うのに十分な電場の状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
[第1実施例]
図1には、第1実施例に係る電場処理装置としてのフライヤーの概略断面正面図が示されている。この図において、フライヤー10は、上部開放して揚油Lが内部に収容される油槽11と、この油槽11内に配置された一対の絶縁体12,12と、これら絶縁体12,12の内部に配置された一対の平板状の電極13,13と、これら電極13,13の下方に配置されて揚油Lを加熱する加熱パイプ14と、電極13,13に交流電圧を印加する電圧供給装置15とを備えて構成されている。
【0019】
前記油槽11は、内面側が絶縁施工された周壁17と、この周壁17の下端側に連なる底壁18を備えており、上側の開放部分にてフライ食品Fの出し入れを行えるようになっている。
【0020】
前記絶縁体12,12は、耐熱性を有する絶縁材料により形成され、周壁17の内面に沿って固定されている。この絶縁材料としては、耐熱性を有するものであれば何でも良く、例えば、ポリテトラフルエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びそれら架橋体も含むパーフルオロ系のフッ素樹脂や、ガラスやセラミック等をコートした樹脂を採用できる。特に、好ましくは、例えば、特開2001−335643号公報、特開2002−30166号公報、特開2002−256080号公報に開示された改質PTFEを用いるとよい。この改質PTFEは、靭性があって裂け難いため、フライ加工中に調理器具等により絶縁体12の表面への傷付きが起こり難くなり、当該傷付きによる絶縁不良やそれに伴う感電を防止することができる。
【0021】
前記電極13,13は、絶縁体12の内部中央よりも内寄り部分で、相互に同じ高さとなるように相対配置されており、電圧供給装置15から、同じタイミングで相互に同極、同相となる交流電圧が印加される。これによって、電極13,13の内側の相対面(相対部分)の間には、被処理体としてのフライ食品Fを電場処理によってフライ加工する電場処理空間20が形成されることになる。また、電極13,13は、油槽11や加熱パイプ14等、図示しないアースに繋がる装置構成部材に対し、少なくとも10mm以上、好ましくは、20mm以上の絶縁距離を隔てて配置されている。なお、電極13,13は、そのエッジを丸く加工するとよく、これにより、万一、絶縁不良が発生した場合の放電等を低減させることができる。なお、各電極13,13の面には、所定の絶縁フィルムを貼付してもよい。
【0022】
前記電圧供給装置15は、図2に示されるように、商用周波数の交流電圧を発生する交流電源25と、この交流電源25に繋がる変圧器26とを備えて構成されている。この変圧器26は、交流電源25からの交流電圧が印加される一次側回路27と、一次側回路27の電圧と異なる電圧を発生させる二次側回路29とを備えた構成となっている。この二次側回路は、抵抗28を介して、電極13,13に対し、同時にそれぞれ同極になるように交流電圧を印加する。
【0023】
この電圧供給装置15では、出力電圧が100V以上で、好ましくは、500V〜10000Vの範囲内の高電圧に調整される。なお、出力電流は、電極13のサイズと電場処理の態様とに応じて決定、調整される。その結果、二次側回路29から、電極13,13に対し、高電圧微弱電流が供給されるようになっている。なお、電圧供給装置15としては、電極13,13に対し、同時にそれぞれ同極になるように交流電圧を印加できる回路構成であれば何でもよく、前述した回路構成に限定されるものではない。この結果、電極13,13の内側の表面には、数百ボルトから数千ボルトの電位が発生することになる。
【0024】
次に、前記フライヤー10の作用について説明する。
【0025】
加熱パイプ14によって揚油Lが所定の油温に加温され、フライ食品Fのフライ加工が行われるが、この際、電圧供給装置15が作動し、電極13,13には、相互に同極となる交流の高電圧微弱電流が供給され、電場処理空間20には、無限遠方空間をアースとしで、プラス電場とマイナス電場とが交互に形成される。ここで、フライ食品Fは、導電性物質であることから電極化され、フライ食品F内の電荷のうち、電場処理空間20に形成された電場に対して異極となる電荷が、揚油Fの界面側に誘導され、フライ食品Fの内部では分極が行われ、その極性は、電場の極性の変化に応じて反転する。この現象によって、揚油Lからフライ食品Fへの熱伝達率が高まり、フライ工程時間の短縮を図ることが可能になる他、これにより、フライ食品Fの油分吸収率を削減し、素材の色変化を抑制すること等が可能となる。
【0026】
この際、電極13,13は、油槽11、加熱パイプ14、図示省略した筐体等、前記アースに繋がる装置構成部材に対し、前述した絶縁距離を隔てて配置されているため、電場処理空間20内の電気力線が前記装置構成部材に向って逃げることを抑制でき、電極13,13の表面電位の低下を防止することができる。この結果、電場処理空間20内の電場形成が、高い状態で安定的に保たれ、いわゆる同期電場方式によるフライヤーの意図した性能を十分に発揮させることができる。
【0027】
ここで、加熱パイプ14等の前記アースに繋がる装置構成部材と電極13,13との間には、前述した絶縁材料により形成された絶縁板や絶縁ブロック等の絶縁体を更に配置するとよい。
【0028】
また、前記アースに繋がる装置構成部材に対して電極13,13が少なくとも10mm以上、好ましくは20mm以上の絶縁距離を隔てて配置されていれば、絶縁体12の形状は特に問わない。例えば、電極13に対して所定方向に前記装置構成部材が存在していれば、当該方向に絶縁体12を部分的に厚くする等、一様な厚みを持たない絶縁体12の形状にすることも可能である。
【0029】
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
[第2実施例]
本実施例は、図3に示されるように、電極13,13の周囲に存在する流体である揚油Lの状態、すなわち、油面(液面)の位置に応じて、電極13,13の絶縁状態を調整する絶縁調整手段31を更に備えたところに特徴を有する。
【0030】
前記絶縁調整手段31は、各電極13,13の内側に配置される補助絶縁体33と、当該補助絶縁体33に連なるとともに、絶縁体12の上方を跨いで電極13の外側(図3中右側)に延びる側面視ほぼL字状のホルダ34と、電極13の外側でホルダ34に連なるとともに、油面に浮遊可能となる比重のフロート35と、周壁17に設けられ、ホルダ34を上下方向に移動可能に支持するスライダー36とを備えている。この絶縁調整手段31は、油面の昇降に伴ってフロート35が昇降することで、固定配置された絶縁体12及び電極13に対して、ホルダ34を介して補助絶縁体33が昇降するように設定されている。つまり、この絶縁調整手段31は、揚油Lの減少により油面が下降し、電極13が油面よりも上方にはみ出した部分(以下、単に「はみ出し部分」と称する。)が出現すると、当該はみ出し部分の内側に、補助絶縁体33を配置させる構造となっている。
【0031】
前記補助絶縁体33は、前述した絶縁材料によって構成されており、揚油Lの減少による油面の下降に応じて、前記はみ出し部分に相対配置させることができ、且つ、当該はみ出し部分が揚油L中に存在するときと同様の電極13の絶縁状態にできるようなサイズ、材質となっている。
【0032】
このような第2実施例によれば、フライ加工中の揚油Lの減少により、当該揚油Lの油面が降下して、当該揚油L内に存在しない電極13の部分が出現した場合でも、電極13から空気中に逃げる電気力線の数を抑制し、電極13の全部分が揚油L内に存在するときと同じような絶縁状態とすることができる。これにより、揚油Lの減少に伴う装置性能の低下を防止することができ、装置性能を維持するための揚油Lの頻繁な補充が不要となり、装置の使い勝手を大幅に向上させることができるという効果を得る。
【0033】
なお、前記絶縁調整手段31は、前記第2実施例の構成に限定されるものではなく、揚油Lの油面の位置に応じて、電極13の絶縁状態を調整可能である限り、種々の構成を採用することができる。例えば、前記第2実施例の構成に対し、油面の高さを検知する液位検出用センサを設け、当該センサの検出値に応じて、補助絶縁体33を前述のように昇降させるようにしてもよい。また、第2実施例のフロートを絶縁体12に取り付けて、絶縁体12を昇降させる構成とし、若しくは、前記液位検出用センサの検出値に応じて、絶縁体12を昇降させる構成とし、揚油Lの量の減少に拘らず、揚油L中に常に電極13が位置するようにしてもよい。
【0034】
また、以上の本発明は、前記各実施例で図示説明したフライヤー10の他に、水処理、食品保存、食品加工の他、異物の除去、殺菌等を行う各種の電場処理装置として適用することができ、例えば、収納庫、保蔵庫、冷蔵庫、冷凍庫、解凍庫、温蔵庫、蒸し器、煮炊き器、加熱装置、水処理装置、殺菌装置等への利用が可能となる。特に、冷蔵庫等に本発明を適用する場合には、庫内に配置された結露防止のニクロム線類は、安全性確保の観点から、電極13との間に前記絶縁距離を隔てて配置するか、除去するとよい。ここで、本発明によれば、冷蔵庫や冷凍庫等の庫内の水分は、形成される電場によって改質され、凍結し難くなることから、前述したニクロム線を含む結露防止のための装置を不要にすることもできる。また、電場形成が安定化、平均化することによって、水のクラスターの微細化に伴う水の不凍化により、水の凝固点や氷点における熱量の授受がほとんど無くなるために、冷蔵、冷凍装置などの冷却に要する消費電力を小さくできる等の利点も生じる。
【0035】
更に、電極13は、前記各実施例で説明した形状、数、配置に限定されるものではなく、同極性の交流電圧が印加される相対部分が存在するように配置されていればよく、例えば、平板状若しくは湾曲板状の電極13を二以上設けて、種々の向きに配置してもよいし、円筒状や角筒状等、閉ループ状に構成された少なくとも一つの電極13を配置してもよい。
【0036】
また、作業者の感電を防止する安全性確保の観点から、電場処理装置の周辺に位置する物体に対しては、絶縁処理を施すことで、アース電位とせずに、電気的に浮いた状態となる作業者と同一電位にすることが好ましい。
【0037】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施例に係るフライヤーの概略断面正面図。
【図2】電圧供給装置の概略回路図。
【図3】第2実施例に係るフライヤーの概略断面正面図。
【図4】従来例に係るフライヤーの概略断面正面図。
【符号の説明】
【0039】
10 フライヤー(電場処理装置)
11 油槽(装置構成部材)
12 絶縁体
13 電極
14 加熱パイプ(装置構成部材)
20 電場処理空間
31 絶縁調整手段
33 補助絶縁体
L 揚油(流体)
F フライ食品(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同極となる交流電圧がそれぞれ印加される電極の相対部分の間の電場処理空間に、プラス電場とマイナス電場とを交互に発生させ、前記電場処理空間内に位置する誘電性の被処理体に対して所定の処理を行う電場処理装置において、
アースに繋がる装置構成部材と前記電極との間に絶縁体が設けられ、
前記電極は、前記装置構成部材から少なくとも10mm以上の絶縁距離を隔てて配置されていることを特徴とする電場処理装置。
【請求項2】
前記絶縁距離は、20mm以上に設定されることを特徴とする請求項1記載の電場処理装置。
【請求項3】
前記電極の周囲に存在する流体の状態に応じて、前記電極の絶縁状態を調整する絶縁調整手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の電場処理装置。
【請求項4】
前記絶縁調整手段は、前記電極の内側に沿って移動可能な補助絶縁体を備え、
前記補助絶縁体は、前記電極が前記流体の外側にはみ出したときに、当該はみ出し部分に相対するように配置されることを特徴とする請求項3記載の電場処理装置。
【請求項5】
前記絶縁調整手段は、前記電極が前記流体中に存在するように、前記電極を移動させることを特徴とする請求項3記載の電場処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−190041(P2007−190041A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8156(P2006−8156)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(506019142)ヘキサ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】