説明

電子スイッチ

【課題】精度が高く感度が良い電子スイッチを提供する。
【解決手段】第1の面と、第1の面に対応してチャンバーを画成する第2の面とを有するハウジングと、第2の面に取り付けられてハウジング内に封入される発光体及び受光体を有し、発光体からの発光を受光体が受光して感知する感知手段と、チャンバー内において、発光体から発光して第1の面で反射され受光体で受光する光の光路から離脱した透光位置と、当該光路を遮断する遮光位置との間とを、移動自在に内蔵されており、遮光位置に移動したとき、発光体または受光体と、第1の面との間を隔てるように設けられる可動部材とを備えていることを特徴とする電子スイッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子スイッチの例として、図14に示すように、光学モジュール11と、制御モジュール12とを備えているものがある。光学モジュール11は、光源111と、光源111を挟んで配置された2つの受光体112、113とを有し、光源111及び2つの受光体112、113は一列に並べられ電子スイッチの一側に設置される。制御モジュール12は、中空部122が画成されたハウジング121と、中空部122内に移動自在に設けられた反射ボール123とを有する。光源111が発光している時、反射ボール123が中空部122内を転がって移動することにより、反射ボール123に反射される反射光の方向が変化し、受光体112および受光体113がそれぞれ、当該反射光を受光する状態または受光しない状態になり、ON・OFFどちらかの信号を出力する。
【0003】
しかしながら、上記従来の電子スイッチは、反射ボール123の位置が安定しにくい上、反射ボール123の表面に光が当たると反射光が散乱し、受光体112、113が光を正確に感知できないため、誤作動を起こすことがある。
【0004】
そこで、図15に示すような、光学モジュール13と、制御モジュール14とを備えている筐体状の電子スイッチが開発された。
【0005】
光学モジュール13は、光源131と、2つの受光体132、133と、光源131及び2つの受光体132、133を搭載し、電子スイッチの一側に設置された基板とを有する。制御モジュール14は、反射面を有し電子スイッチの他側に設置された外カバー(図示なし)と、光学モジュール13と外カバーとの間に設置され、反射面側に開口を有するケース142と、中空部143内に設けられた遮光ボール144とを有する。このスイッチは、基板と、ケース142と、外カバーとから中空部143が画成された筐体となっている。
【0006】
ケース142の光学モジュール13に対する面には、光路を画成する穴部(図示なし)が設けられており、光源131から発光した光が、外カバーに反射されて受光体132、133で受光できるように構成されている。そして、遮光ボール144が中空部143内を転がって移動することにより、光路を遮断することができるので、受光体132および受光体133がそれぞれ、当該反射光を受光する状態または受光しない状態になり、ON・OFFどちらかの信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】台湾特許公告第568480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の電子スイッチは、中空部143で遮光ボール144が転がって移動するとき、光学モジュール13の光路を画成する穴部に遮光ボール144が嵌ってしまい、電子スイッチが傾いたときに遮光ボール144が確実に転がることができず、電子スイッチの精度に影響を及ぼす虞がある。
また、基板と、外カバーと、ケースとの3つの構成要件から1つの筐体を形成するには、接合作業を少なくとも2回行わなければならず、組立ての際にずれが生じやすくなる。組立ての際にずれが生じれば、密封度が低下することから、防水性の低下、光を感知する感度の低下を引き起こす虞がある。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであり、精度が高く感度がよい電子スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子スイッチは、第1の面と、前記第1の面に対応してチャンバーを画成する第2の面とを有するハウジングと、前記第2の面に取り付けられて前記ハウジング内に封入される発光体及び少なくとも1つの受光体を有し、前記発光体からの発光を前記第1の面で反射し前記受光体が受光して感知する感知手段と、前記チャンバー内において、前記発光体から発光して第1の面で反射され前記受光体で受光する光の光路から離脱した透光位置と、当該光路を遮断する遮光位置との間とを移動自在に内蔵されており、前記遮光位置に移動したとき、前記発光体または前記受光体と前記第1の面との間を隔てるように設けられた可動部材とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子スイッチによれば、精度が向上し、感度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態における電子スイッチを示す分解斜視図である。
【図2】図1の電子スイッチの断面を示す組み立て斜視図である。
【図3】図1の電子スイッチにおける第1作動状態を示す平面図である。
【図4】図3のIV―IV線の側面断面図である。
【図5】図1の電子スイッチにおける第2作動状態を示す平面図である。
【図6】図5のVI―VI線の側面断面図である。
【図7】図1の電子スイッチにおける第3作動状態を示す平面図である。
【図8】図7VIII―VIII線の側面断面図である。
【図9】図1の電子スイッチにおける第4作動状態を示す平面図である。
【図10】図9のX―X線の側面断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態における電子スイッチを示す分解斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態における電子スイッチを示す側面断面図である。
【図13】図12の電子スイッチを回転させた後の状態を示す側面断面図である。
【図14】従来の電子スイッチを示す平面図である。
【図15】従来の電子スイッチを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
図1、図2は、本発明にかかる電子スイッチの第1実施形態を示している。
【0014】
電子スイッチは、ハウジング2と、感知手段3と、可動部材4と、内カバー5とを備えている。
【0015】
ハウジング2は、チャンバー20を画成する中空状筐体であり、チャンバー20に向かう面221(第1の面)を反射面として有する外カバー22と、第1の面221とでチャンバー20を画成する第2の面211を有するベース21とからなる。本実施形態において、第1の面221は平面状に形成され、第2の面211はベース21の第1の面221に対応する側から切削し、平面視で略四角形状になるように凹ませて形成されている。また、その凹みの内部の、凹み方向と直交する方向にある各隅部201〜204は丸めて滑らかにされている。
【0016】
感知手段3は、第2の面211に取り付けられてハウジング2内に封入される発光体31と、2つの受光体32、33を有し、発光体31からの発光を第1の面221で反射し、受光体32、33が受光し感知して電気信号を出力するように構成されている。発光体31と受光体32、33はベース21の第2の面211上の3つの隅部201、202、203付近に取り付けられている。本実施形態において、発光体31は隅部202付近に設けられ、受光体32、33は隅部201、203付近にそれぞれ取り付けられている。また、第2の面211の、発光体31及び受光体32、33を取り付ける箇所は、それぞれ凹状に形成されていることが好ましい。このような構造により、ハウジング2を形成する際は、ベース21と外カバー22とを接合するだけでよく、接合作業が1回で済む。
【0017】
可動部材4は、本実施形態においては円盤形状に形成され、チャンバー20内において、円盤の平面41が感知手段3の方に向くようにして内蔵されている。但し、可動部材4の形状はこれに限らず、感知手段3側が平面状に形成されていれば良く、外カバー5側は、例えば、ドーム状に形成されていても良い。
【0018】
内カバー5は、ハウジング2のチャンバー20内に、感知手段3と可動部材4との間に設けられ、ベース21の略四角形の凹みに緊密に嵌め込まれる略四角形の平板であり、光を透過させるための3つの透光部51、52、53を有し、各透光部51、52、53は、発光体31及び受光体32、33のそれぞれに対応して光路を狭めることができるように形成されている。本実施形態において、透光部51、52、53は貫通した孔であり、透光部51〜53の孔径は可動部材4の平面41の直径よりも小さいように形成されている。このような構造により、可動部材4は、平面41で、内カバー5上を滑らかに移動することができる。
【0019】
図3、4に示すように、可動部材4が、チャンバー20内で隅部202に滑り移動した時、受光体32に対応した内カバー5の透光部52を塞ぎ、光路を遮断する第1遮光位置に位置する。この時、透光部51、53は開放されており、隅部201付近に設けられた発光体31からの発光は遮断されていない状態であるため、内カバー5の透光部51を透過して光が照射され、外カバー22の第1の面221が光を反射し、隅部203付近に設けられた受光体33が受光してONの電気信号を出力する。このようにして、受光体32、33がそれぞれ同時にOFF、ONの電気信号を出力する第1作動状態となる。
【0020】
図5、6に示すように、可動部材4が、チャンバー20内で隅部201に滑り移動した時、発光体31に対応した内カバー5の透光部51を塞ぎ、光路を遮断する第2遮光位置に位置する。この時、隅部201付近に設けられた発光体31からの発光を遮断した状態であるため、光が外カバー22の第1の面221に反射されず、受光体32、33は受光せずにOFFの電気信号を出力する。このようにして、受光体32、33がそれぞれ同時にOFF・OFFの電気信号を出力する第2作動状態となる。
【0021】
図7、8に示すように、可動部材4が、チャンバー20内で隅部203に滑り移動した時、受光体33に対応した内カバー5の透光部53を塞ぎ、光路を遮断する第3遮光位置に位置する。この時、透光部51、52は開放されており、隅部201付近に設けられた発光体31からの発光が遮断されていない状態であるため、内カバー5の透光部51を透過して光が照射され、外カバー22の第1の面221が光を反射し、隅部202付近に設けられた受光体32が受光してONの電気信号を出力する。このようにして、受光体32、33がそれぞれ同時にON・OFFの電気信号を出力する第3作動状態となる。
【0022】
図9、10に示すように、可動部材4が、チャンバー20内で隅部204に滑り移動した時、透光部51、52、53を開放し、光路から離脱した透光位置に位置する。この時、隅部201付近に設けられた発光体31からの発光が遮断されていない状態であるため、内カバー5の透光部51を透過して光が照射され、外カバー22の第1の面221が光を反射し、隅部202、203付近に設けられた受光体32、33がそれぞれ受光してONの電気信号を出力する。このようにして、受光体32、33がそれぞれ同時にON・ONの電気信号を出力する第4作動状態となる。
【0023】
<第2の実施形態>
図11に示されているように、本発明の電子スイッチの第2の実施形態は第1の実施形態と類似する構成を有しており、以下はその相違点について詳しく説明する。
【0024】
図示されているように、この第2の実施形態において、内カバー5は、略四角形の角部付近にそれぞれ形成された、4つの透光部51、52、53、54を有し、内カバー5をベース21の凹みに嵌め込んだとき、4つの透光部51〜54のうち3つが発光体31及び受光体32、33のそれぞれに対応するように形成されている。このような構造により、カバー5をベース21に嵌め込む際、内カバー5の透光部が発光体31及び受光体32、33それぞれに対応するように、内カバー5の表裏及び上下方向を配慮する必要がなくなるため、取り付けが簡単になる。
【0025】
<第3の実施形態>
図12、13に示されるように、本発明の電子スイッチの第3の実施形態は第1の実施形態と類似する構成を有しており、以下はその相違点について詳しく説明する。
【0026】
図示されているように、第3の実施形態の電子スイッチは、内カバー5を設けておらず、ハウジング2と、感知手段3と、可動部材4とを備えている。ハウジング2は、長尺状の筐体であることが好ましい。感知手段3は、本実施形態においては、発光体31と受光体32を1つずつ有し、発光体31と受光体32は、第2の面211上で、ハウジング2の長手方向に沿った一直線上に配置されている。可動部材4は、チャンバー20内を上記直線に沿って移動可能に設けられる。また、第2の面211の、発光体31及び受光体32を取り付ける箇所は、それぞれ凹状に形成されていることが好ましい。
【0027】
本実施例において、発光体31及び受光体32は、ハウジング2が180度回転した時、可動部材4が、光路から離脱した透光位置、または、受光体35を塞いで光路を遮断する遮断位置に位置するように配置されている。そして、それに合わせて、受光体35がONまたはOFFの電気信号を出力し、2種類の作動状態を切り替えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の電子スイッチは、可動部材4の一側が平面状に形成された平面41となっているので、ハウジング2を薄型化することができる。また、可動部材4が、平面41で内カバー5上を、透光部51、52、53に引っかかることがなく、滑らかに移動することができるので、電子スイッチの傾きに伴って確実に光路から離脱したり、光路を遮断したりすることができ、精度が向上する。また、発光体31と受光体32がベース21の第2の面211に取り付けられることにより、感知手段3、内カバー5、可動部材4が全てベース21内に設けられてハウジング2内に封入されるので、接合作業が1回だけでよく、密接度が向上することにより、防水性が向上し、感度が向上する。
【符号の説明】
【0029】
2 ハウジング
20 チャンバー
201、202、203、204 隅部
21 ベース
211 第2の面
22 外カバー
221 第1の面
3 感知手段
31 発光体
32、33 受光体
34 発光体
35 受光体
4 可動部材
41 平面
5 内カバー
51、52、53、54 透光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面に対応してチャンバーを画成する第2の面とを有するハウジングと、
前記第2の面に取り付けられて前記ハウジング内に封入される発光体及び少なくとも1つの受光体を有し、前記発光体からの発光を前記第1の面で反射し前記受光体が受光して感知する感知手段と、
前記チャンバー内において、前記発光体から発光して第1の面で反射され前記受光体で受光する光の光路から離脱した透光位置と、当該光路を遮断する遮光位置との間とを移動自在に内蔵されており、前記遮光位置に移動したとき、前記発光体または前記受光体と前記第1の面との間を隔てるように設けられた可動部材と
を備えていることを特徴とする電子スイッチ。
【請求項2】
前記可動部材の前記感知手段側が平面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子スイッチ。
【請求項3】
前記ハウジングは、その内表面に前記第1の面を有する外カバーと、その内表面に前記第2の面を有するベースとからなることを特徴とする請求項1に記載の電子スイッチ。
【請求項4】
前記チャンバー内に前記感知手段と前記可動部材との間に内カバーが設けられ、前記内カバーは光を透過させるための複数の透光部を有し、複数の前記透光部における一部は、それぞれ前記発光体及び前記受光体のそれぞれに対応するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子スイッチ。
【請求項5】
前記発光体と前記受光体は前記第2の面上で一直線上に配置され、前記可動部材は、前記チャンバー内を前記直線に沿って移動可能に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−84333(P2012−84333A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228764(P2010−228764)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(507367563)
【氏名又は名称原語表記】Tien−Ming CHOU
【住所又は居所原語表記】No.41,San−Hsi 5th St.,North Dist.,Taichung City,Taiwan
【Fターム(参考)】