電子デバイス製造プロセス
【課題】ディジタル・リソグラフィを採用し、従来よりも小さいフィーチャ・サイズを有する構造体を製造可能とする。
【解決手段】基板の上に相変化材料を堆積させる第1のステップと、ギャップ内に少なくとも部分的にターゲット材料を堆積させてターゲット材料のフィーチャを形成する、第2のステップと、相変化材料を除去し、基板上にターゲット材料のフィーチャを残す、第3のステップと、を含む方法により、基板上に構造体を形成する。第1のステップは、プリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して、相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、第1のプリント・パターンが、相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、第1のプリント・パターンがギャップを画定する。
【解決手段】基板の上に相変化材料を堆積させる第1のステップと、ギャップ内に少なくとも部分的にターゲット材料を堆積させてターゲット材料のフィーチャを形成する、第2のステップと、相変化材料を除去し、基板上にターゲット材料のフィーチャを残す、第3のステップと、を含む方法により、基板上に構造体を形成する。第1のステップは、プリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して、相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、第1のプリント・パターンが、相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、第1のプリント・パターンがギャップを画定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子デバイス製造プロセスに関し、より詳細に述べれば、プリント・マスクを採用してプリント・マスクのフィーチャの幅(feature width)より細いフィーチャ(features narrower)を形成するための方法に関する。
【0002】
ディジタル・リソグラフィは、フォトリソグラフィ・プロセス(photolithographic process)に関連付けされるコストを削減するべく設計された成熟しつつあるテクノロジであり、しばしばマイクロ電子デバイス、集積回路、および関連する構造体の製造に使用される。ディジタル・リソグラフィは、従来の製造プロセスに使用されている繊細かつ時間を要するフォトリソグラフィ・プロセスに代えてパターン化された材料を基板上に直接堆積させる(deposit)。ディジタル・リソグラフィによって作られるプリント・パターンは、実際のデバイスのフィーチャ(すなわち、最終的なデバイスまたは回路に組み込まれることになる、薄膜トランジスタのソース領域、ドレイン領域、およびゲート領域、信号線、光電子デバイス・コンポーネント等の素子または要素(element))を構成すること、もしくはその後に続く半導体プロセス(たとえば、エッチング、インプラント等)のためのマスクとすることができる。重要なことは、ディジタル・リソグラフィ・システムが、伝統的なリソグラフィ・システムとは異なり、レティクル(reticle)またはマスクの使用に関連付けされるコストおよび問題を回避することである。
【0003】
通常、ディジタル・リソグラフィは、プリントヘッドと基板を互いに対して相対的に、単一軸(『プリント動程軸(print travel axis)』)に沿って移動することによってプリント材料を堆積させることを伴う。プリントヘッドおよび、特にそれらのプリントヘッドに組み込まれる放出器(ejector)の配列は、このプリント動程軸に沿った印刷のために最適化される。印刷はラスタ形式(raster fashion)で行われ、プリントヘッドは、プリントヘッド内の放出器(1または複数)による基板上へのプリント材料の個別の『小滴(droplets)』の繰り出し(dispense)に従って基板を横切る『プリント・パス(printing passes)』を構成する。通常、各プリント・パス内では基板に対してプリントヘッドが移動するが、プリント・パス内でプリントヘッドに対して基板を(たとえば、基板を移動ステージに固定して)移動させた場合にも同等の結果を得ることができる。各プリント・パスの最後(end)においては、新しいプリント・パスを開始する前に、プリントヘッド(または基板)がプリント動程軸に対して垂直のシフトを行う。プリント・パスは、所望のパターンが完全に基板上にプリントされるまでこの態様で続けられる。
【0004】
一般にディジタル・リソグラフィ・システムによってプリントされる材料は、相変化材料および高分子の溶液、溶媒またはキャリア内の所望の電子的特性を伴った材料の懸濁液等のコロイド状懸濁液を含む。たとえば、特許文献1および特許文献2(それぞれ参照によりこれに援用される)は、マスキングのために相変化材料を基板上にプリントするためのシステムおよびプロセスをそれぞれ教示している。これらの参考文献によれば、ステアリル・エルカ酸アミド・ワックス(stearyl erucamide wax)等の適切な材料がインクジェット形式の圧電プリントヘッドの上に液相で維持され、ワックスの小滴が基板の上に形成される層上に所望のパターンで所望の位置に堆積するように、一滴一滴の小滴をベースに選択的に放出される。小滴は液体状態でプリントヘッドを出るが、その層と衝突した後に固化し、そのためこの材料は相変化であると言われる。
【0005】
放出器から繰り出されたプリント材料の小滴は、濡れ作用(wetting action)により基板に付着し、その後その同じ位置での固化に移る。相変化材料のプリントの場合においては、加熱されて液化されたプリント小滴(printed droplet)が基板および/または環境に対してその熱エネルギを失い、固化が生じて固体形状に戻る。懸濁液の場合においては、基板を濡らした後に、ほとんどの場合懸濁していた材料を基板表面上に残してキャリアが蒸発するか、あるいはキャリアが固まるか硬化する。プリント材料および基板の温度状態ならびに物理的性質は、周囲の状態ならびにプリント材料の性質とともに堆積するプリント材料が液体から固体に変化するときの特定のレートを決定し、したがって固化後の堆積した材料の高さならびにプロファイルを決定する。
【0006】
2つの隣接する小滴が、一方もしくは両方の小滴の固化に先行する時間内に基板に塗られると、それらの小滴が濡れて互いに合体し、単一の連続するプリントされたフィーチャを形成する。小滴材料の表面張力、放出時の小滴の温度、周囲温度、および基板の温度が、この小滴の合体、および基板表面上において合体した材料の横方向の広がりの程度をコントロールするための主要な属性である。これらの属性は、所望のフィーチャ・サイズが獲得されるように選択することができる。
【0007】
しかしながらディジタル・リソグラフィの1つの欠点は、比較的大きな小滴サイズ、すなわち現在のところ20〜40μm(マイクロメートル)程度の直径であるが、それに起因してこのプロセスによって製造されるデバイス・フィーチャ(device features)が比較的大きくなる傾向にあることである。たとえば、最近のカラー・フラット−パネル・ディスプレイの各ピクセルは、薄膜トランジスタ類の上または下側に配置されるカラー・フィルタを備えている。各ピクセルは、グリッドまたはフレームによって分離されたレッド、グリーン、およびブルーの各色について1つ、合計3つのサブ−ピクセルを備える。一般にフレームが最初に形成され、その後着色材料が充填されてサブ−ピクセルが形成される。現在のカラー・ピクセルは、幅が100μmの近傍にある。各サブ−ピクセルの幅は25〜30μm程度であり、フレームの各セクションの幅は10μm程度である。したがって、20μmより小さい幅の液滴を生成し得ないディジタル・リソグラフィ・プロセスは、サブ−ピクセル・フレームを形成するための小滴マスクを直接提供することができない。このように利用可能なプリンティング・システムが非常に正確な滴配置(drop placement)の能力を有することは知られているが、これまでは比較的大きな滴サイズ(drop size)がディジタル・リソグラフィ・システムの応用範囲を制限していた。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,742,884号明細書
【特許文献2】米国特許第6,872,320号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ディジタル・リソグラフィを採用し、しかもデバイスがこれまでディジタル・リソグラフィを用いて可能であったより小さいフィーチャ・サイズを有するマイクロ電子、光電子、バイオ電子、および類似のデバイスを製造するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の構成は以下のとおりである。
【0011】
(1)基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、前記ギャップ内に少なくとも部分的にターゲット材料を堆積させてターゲット材料のフィーチャを形成する、第2のステップと、前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ターゲット材料のフィーチャを残す、第3のステップと、を含む、基板上に構造体を形成する方法。
【0012】
(2)基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、前記ブラック・マトリクス材料を加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャを残す、第4のステップと、を含む、カラー・フィルタ用のサブ−ピクセル・フレームを形成する方法。
【0013】
(3)基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、前記ブラック・マトリクス材料を前記相変化材料の融点より低い温度まで加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、前記ブラック・マトリクス材料および前記相変化材料を、前記相変化材料の融解温度より高い温度まで加熱する、第4のステップと、前記相変化材料は溶解するが前記基板上のブラック・マトリクス・フィーチャは影響を与えずに残す溶剤を使用して前記相変化材料を除去する、第5のステップと、液相中の硬化可能な着色流体を放出するための少なくとも1つの放出器を含むプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して、前記基板上に第3のプリント・パターンで、硬化可能な着色流体が前記ブラック・マトリクス・フィーチャの間の間隙領域に堆積されるように前記硬化可能な着色流体を堆積させる、第6のステップと、前記硬化可能な着色流体を硬化させる第7のステップと、を含む、カラー・フィルタを形成する方法。
【0014】
(4)前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャが、すべての側面においてそれによって囲まれ、かつさらに前記基板が複数の構造体を、前記構造体の底を形成するところで形成し、その結果、前記構造体がその中に堆積する材料を受け入れ、かつ実質的に含有し、前記硬化可能な着色流体を堆積させるステップは、前記構造の第1のグループ内に第1の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、前記構造の第2のグループ内に前記第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、前記構造の第3のグループ内に前記第1および第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、を含む、上記(3)に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にかかるプロセスは、相変化材料を堆積させるディジタル・リソグラフィ・システムを好ましく使用する。相変化材料は、間接マスクを形成するパターンで堆積する。その後に続くプロセスのステップが、追加の材料の堆積または除去を行い、ターゲット・フィーチャを得る。
【0016】
本発明の1つの態様によれば、マスク・パターンがディジタル・リソグラフィによって基板の表面上に形成される。このマスク・パターンは、形成されることになる最終フィーチャ(ターゲット・フィーチャ)に希望される幅に等しい幅のギャップを含むべく形成される。これは、ディジタル・リソグラフィ・システムが小滴の直径より小さい小滴間隔を伴う小滴をコントロール可能に堆積できることから可能になる。ターゲット材料は、ディジタル・リソグラフィ、毛管作用、またはそのほかの適切な方法によってマスクの上(または間)に堆積する。マスク材料は分散、濡れ等に関して良好にコントロールされるが、ターゲット材料はあまり良好にコントロールされない。ターゲット材料は、マスク内に形成されたギャップを満たす。マスクは、ターゲット材料用の型枠として作用し、ターゲット材料の堆積のコントロールに関連する問題を克服する。ターゲット材料は、その後、必要であれば硬化させ、または固めることができ、マスクが除去されてターゲット・フィーチャが作られる。
【0017】
また、好適には、このターゲット材料が、液相中のターゲット材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含むプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、かつ主として前記ターゲット材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に差し込まれるように第2のパターンを形成するべく堆積する。
【0018】
本発明のこの態様の変形によれば、ターゲット材料がブラック・マトリクス材料(たとえば着色高分子)になる。ターゲット・フィーチャは、カラー・ディスプレイ・デバイス用のサブ−ピクセル・フレームである。マスク材料内のギャップは幅が10μm程度であり、相応じて結果として得られるサブ−ピクセル・フレームのセグメントの幅は10μm程度であり、マスクを形成する個別の小滴の直径より狭い。
【0019】
本発明の別の態様によれば、ターゲット・フィーチャがターゲット材料の層から形成され、各層が所望の性質を有する。たとえば多層化されたターゲット・フィーチャを、疎水性材料の層およびその下側の親水性材料の層から構成することができる。その種のターゲット構造体は、当該ターゲット構造体に接する材料の濡れ、たとえば構造の1つの側面から、その上端を越えてその構造の反対の側面上への第1の流体の広がりを防止する上で有用である。
【0020】
まず図1Aおよび1Bを参照するが、そこには本発明の1つの実施態様によって形成されるタイプの構造体が示されている。図1Aおよび1Bは、フラット−パネル・ディスプレイのためのカラー・フィルタ10の一部の例示である。前述したとおり、その種のフィルタは、それぞれのピクセルが3またはそれより多くの数のサブ−ピクセル14を含む多数のピクセル12を備える。サブ−ピクセルの実際のジオメトリ、たとえば三角形、縞状、斜線等は、本発明の工程にそれほど重要ではないが、さらに詳細について後述する。サブ−ピクセル14はそれぞれ、レッド、グリーン、またはブルーといった特定色の光に対して主として(primarily)透過性を有する。個別のサブ−ピクセル14は、ピクセル・フレーム16によって分けられている。ピクセル・フレーム16は、多数の水平および垂直の要素(elements)を含み、それらは、図1Bに示されているとおり、サブ−ピクセル14を形成する材料を受け入れるためのキャビティを形成する。参考のために述べるが、各サブ−ピクセルの幅wspは25〜30μm程度であり、各ピクセル・フレーム要素の幅wfは10μm程度である。
【0021】
図1Aおよび1Bに例示されている構造体を形成するために、本発明に従った特定のステップを説明する。図2A〜2Hは、図3に例示されているプロセスに従ったこの構造体の製造におけるいくつかの中間段階を例示している。以下の説明では、図2A〜2Hに例示されている構造に対して特定の参照がなされているが、その説明は、特にそれ以上の参照を行うことなく図3に例示されているシーケンスに従っている。
【0022】
最初に図2Aを参照すると、このプロセスは、上にマスク22が形成されるガラスまたはプラスティック等、たとえばポリエチレンナフタレート等の適切な基板20を伴って開始する。マスク22は、ディジタル・リソグラフィ・プロセスによって好ましく形成され(そのため、『プリント・パターン・マスク(print patterned mask)』と呼ばれる)、ステアリル・エルカ酸アミド・ワックス(たとえば、コネチカット州ミドルバリーのクロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)のケムアミド180(Kemamide 180)ベースのワックス)または類似の、プリント品質(すなわち、小滴サイズ(droplet size)ならびに形状、固化時間、固化後の構造体の硬さ等)に関して良好にコントロールされる材料等の相変化材料の個別の、または合体した小滴を含む。相変化材料の小滴の放出に適したシステムの例として:インクジェット・システム(参照によってこれに援用される米国特許第4,131,899号に開示されているもの等)、バリスティック・エアロゾル・マーキング(BAM)デバイス(参照によってこれに援用される米国特許第6,116,718号に開示されているもの等)、音響インク・プリンタ(AIP)システム(参照によってこれに援用される米国特許第4,959,674号)、キャリア−ジェット放出器(参照によってこれに援用される米国特許第5,958,122号に開示されているとおり)、偏向コントロール付きインクジェット・システム(参照によってこれに援用される米国特許第3,958,252号に開示されているもの等)が含まれる。その種のシステムは、電子写真、イオノグラフィ、スクリーン、密着、およびグラビア印刷システム等のパターン転写システムも含む。
【0023】
ここで論じている実施態様は、基板20上におけるプリント・パターン・マスクの直接形成を伴うが、その種のマスク、およびそれによって形成されるフィーチャは、先行して形成されたデバイスを含む層等のほかの層の上に形成してもよく、本発明の趣旨および範囲に含まれる。したがって、マスク22の形成の位置合わせ(positionally register)が必要になることがある。位置合わせ(registration)は、ディジタル・リソグラフィ・システムにおいて、基準(fiduciary)マーク、ディジタル・イメージングおよび処理、ならびにプロセッサにより、コントロールされる放出器と基板の相対移動を使用して日常的に達成される。パターン形成に先行するイメージ処理を介してマスク層を整列する能力は、そのほかのパターン形成方法の上を行くディジタル・リソグラフィ・プロセスの有意な利点である。
【0024】
図2Aは、例示を目的として、3つの個別の、近接しているが接触していないディジタル・リソグラフィ・マスキング要素(すなわち小滴)24、26、28を示している。この配列の平面図が図2Bに例示されている。例示を目的として、小滴24、26、28の直径を、カラー・フラット−スクリーン・ディスプレイのサブ−ピクセルの幅に対応する25〜30μm程度と仮定する。しかしながら、個別のプリント・パターン・マスクのフィーチャの幅は、形成されることになるフィーチャおよびデバイスに応じて、使用されるディジタル・リソグラフィ・システムによって放出される小滴の最小直径より大きいか、それに等しい任意のサイズとすることができる。たとえば、単一の小滴の直径より広い幅を達成するためには、隣接する小滴を、それらが固化したときに単一のフィーチャとして合体するように堆積させればよい。さらに、例示を目的として、小滴間のエッジからエッジまでの間隔が、サブ−ピクセル・フレーム要素の幅に対応する、10μm程度に仮定されている。しかしながら、本発明によれば個別のプリント・パターン・マスクのフィーチャの間の間隔は任意のサイズにすることができ、ディジタル・リソグラフィ・システムによって採用されているプリントヘッドまたはステージの分解能、および形成されることになるフィーチャならびにデバイスの機能によってのみ制限される。
【0025】
場合によっては、半導体処理分野においてフォトレジスト材料とともに一般に用いられているタイプの接着促進剤が相変化材料の接着を改善する。たとえば、基板を化学的に乾燥させて接着を促進するためにヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilizane、HMDS)が使用される。そのほかの方法は焼きなまし(annealing)およびプラズマ・クリーニングであり、それに続いてフォトレジスト接着用の表面のクリーニングおよび準備のためのHMDSコーティングが行われる。
【0026】
サブ−ピクセル・フレーム要素(図1A、1B)の幅が10μm程度であることが前提となっており、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素(すなわち個別の小滴)が一般にはるかに広く(たとえば、25〜30μm程度)、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素が適切なフィーチャ・マスクを作らないことを考える。したがってマスキング要素は、その種のフィーチャ・マスクに直接使用されないが、それに代えて間接マスクとして使用される。
【0027】
この実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料がマスク22の選択された部分の上に堆積され、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素24、26、28の間の間隙を満たし、図2Cに例示されているような、ブラック・マトリクス領域30、32を形成する。プロセスのこの時点における構造の平面図が図2Dに例示されている。このブラック・マトリクス材料は、通常、有機溶剤内に溶解もしくは懸濁されたポリイミド等の暗色顔料が懸濁された硬化可能な高分子である。ブラック・マトリクス材料は、熱硬化性もしくは光硬化性のいずれとすることも可能である。熱硬化材料の場合には、材料を部分的に硬化させて、その最終硬化温度、たとえば150〜200℃より有意に低い温度、たとえば100℃の溶剤による攻撃に対する耐性を向上させることが可能である。特定の材料は、ほかに比べてプリント品質に関してあまり良好なコントロールが得られない。たとえば、基板上に直接堆積した場合に、硬化していないブラック・マトリクス材料は、基板表面を濡らし、つぶれた(in flattened)、広い、コントロールされていないジオメトリ(uncontrolled geometries)で広がる傾向にある。したがってマスク22、より正確にはディジタル・リソグラフィのマスキング要素24、26、28は、型枠と非常によく似ており、ブラック・マトリクス材料が硬化するまでその分散を制約する。
【0028】
ブラック・マトリクス材料は、多数の技法を使用して堆積させることが可能である。マスク材料が完全に各ピクセルの開口を覆う場合には、浸漬コーティングまたはブレードもしくはスリット・コーティングによってブラック・マトリクス材料を基板上にコーティングすることができる。代替方法は、特定の実施態様においてマスキング要素が基板上に開いた流体チャンネルのセットを形成することから、毛管充填(capillary filling)によって間隙を満たす。この場合に、適切な体積の液体ブラック・マトリクス材料を基板の小さい部分(1または複数)(small portion or portions)上に堆積させることが可能になり、基板のより大きな部分にわたる開いたチャンネル内にそれが流れることを可能にするために液体形状に維持される。この方法は、毛管または吸い上げ力が配列全体にわたってブラック・マトリクス流体の一様な分布を提供することから、ブラック・マトリクスのプリント(printing)を最小化することができる。
【0029】
1つの実施態様によれば、その後ブラック・マトリクス材料がその温度を高めることによって硬化される。これを達成するためには、選択された長さの時間にわたって所望の温度の炉内に構造体を置けばよい。ブラック・マトリクス材料が十分に硬化するまでマスク22が同じ位置にとどまらなければならないことから、ブラック・マトリクス材料の硬化に必要な温度は、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素24、26、28を形成する相変化材料の溶融温度より低くなければならない。したがって、相変化材料の溶融温度は、ディジタル・フォトリソグラフィ・システムからの放出に問題をもたらすほど高くてはならず、またブラック・マトリクス材料の硬化に干渉するほど低くてもならない。ブラック・マトリクス材料の適切な焼き付けの条件の例は、50℃〜60℃で15〜20分間である(しかし、最終的にはブラック・マトリクス材料の実際の選択に依存する)。
【0030】
代替可能な実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料を、マスク材料より高い融点を有し、選択的に除去可能な別の相変化材料とすることができる。たとえば、コルセア・ワックス(Corsair Wax)(コネチカット州スタンフォードのゼロックス・コーポレーション)は高い溶融温度を有し、前述のケムアミド・ワックスほど容易に溶媒中で溶解しない。したがって、着色すればコルセア・ワックス(Corsair Wax)はブラック・マトリクス材料として役立てることができる。さらに、硬化可能なコロイド溶液(すなわち、ナノ粒子等の固体材料を残してキャリア溶媒が蒸発すると固くなる溶液)を液体として処理し、固体として乾燥することも可能である。このように、着色された固体を担持する適切なコロイド溶液を堆積させてブラック・マトリクスを形成してもよい。しかしながらそれぞれの場合において、硬化が、固められたブラック・マトリクスを作成するための対応するプロセス(すなわち、冷却、蒸発)に置き換えられる。
【0031】
さらに別の実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料が、暗色顔料が懸濁された熱硬化性高分子になる。この場合のブラック・マトリクス材料の処理は、ブラック・マトリクス膜内における硬化の程度、または架橋の慎重なコントロールを必要とする。ブラック・マトリクス材料の堆積後に、標準的なTMAH浴内における現像によってパターン形成を可能にするポイントまで膜を部分的に硬化させる。これらのタイプのブラック・マトリクス材料は市販されており、ブリューワ・サイエンス(Brewer Science)(マサチューセッツ州ダンバーズ)のダーク400(DARC 400)等がある。
【0032】
ブラック・マトリクス材料が固くなり、自立する(self-supporting)ブラック・マトリクス領域30、32が形成された後は、マスク22を除去することができる。この目的のために、SVC‐28(マサチューセッツ州ニュートンのマイクロケム・コーポレーション(MicroChem Corporation))等、種々の溶剤の1つを使用することができる。SVC‐28は、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)によって製造されている剥離溶液(debonding solution)である。活性成分は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、柑橘類留出物(citrus distallate)、合成イソパラフィン系炭化水素(synthetic isoparraffinic hydrocarbon)、および脂肪族炭化水素である。ブラック・マトリクス材料が、ポジ型フォトレジスト材料と同様に有機溶剤内に溶解もしくは懸濁されるポリイミド−ベースの材料となる場合には、ネガ型フォトレジスト剥離剤が硬化したブラック・マトリクス材料に影響を与えずに残し、選択的にマスキング要素を除去することができる。(したがって、使用される溶剤は、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素およびブラック・マトリクス領域を形成する材料の実際の選択に依存することになる。)この溶剤が、硬化したブラック・マトリクス材料あるいは基板(または前述の構造体が上に形成されるデバイスもしくは層)のいずれでもなく、マスキング材料を選択的に除去する。これが断面図で図2Eに、平面図で図2Fにそれぞれ例示されている。
【0033】
特定の状況においては、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素を除去するための攻撃ポイントを形成すると好ましいことがある。それらは、溶剤にマスキング要素の表面に対するより大きなアクセスが与えられるポイントである。比較的低い温度の焼き付け(『ソフト焼き付け(soft bake)』と称する)によってブラック・マトリクス材料が硬化した後は、より高い、120℃〜150℃台の温度で第2の焼き付け(『ハード焼き付け(hard bake)』と称する)を5〜15分間にわたって構造体に施すことができる。ハード焼き付けは、マスキング要素に部分的な融解または溶融を生じさせ、その結果として硬化したブラック・マトリクス材料の表面からマスキング材料を分離させる。このようにしてブラック・マトリクス材料とマスキング材料の間に形成されたギャップは、マスキング材料に対する溶剤のより良好なアクセスを可能にし、それによって構造体からのその材料のより徹底した完全な除去が可能になる。しかしながら、ハード焼き付けはこのプロセスにおいて、必要に応じて行なわれるステップである。
【0034】
マスクの除去の後、ブラック・マトリクスの形成のいくつかは、その材料を完全に固くする追加の硬化ステップを必要とする。通常は、その種のステップのための温度が150℃もしくはそれを超える。
【0035】
この時点において、この構造体が、種々の目的に役立てることのできる堅牢なブラック・マトリクス構造体30、32を構成する。第1にその種の構造を、その下側に形成される層(図示せず)のための露出またはエッチング・マスクとして役立てることができる。上記は、ブラック・マトリクス材料からの形成として説明されているが、構造体30、32は、それに代えて、電気的、熱的、もしくは光学的な伝導性または絶縁性、あるいは所望の程度の剛性もしくは柔軟性といった選択された性質を示すほかの材料から形成してもよい。したがって、構造体30、32が電気接触、導体、チャンネル、熱または光フィルタ、マイクロメカニカルアクチュエータ等となり得る広範多様な構造体を製造できる。しかしながら前述の説明を続きとして、以下においては、本発明の範囲を限定する意図ではないが、ブラック・マトリクス構造体30、32がサブ−ピクセル・フレームの要素としての機能を備える。
【0036】
マスキング材料の除去の結果として、図2Eに示されているように、自立するブラック・マトリクス材料の領域30、32の間の領域内にウェル34の形成がもたらされる。ウェル34は、図2Fに例示されているように、ブラック・マトリクス材料によってそのすべての辺に境界が設定されている。したがってウェル34は、カラー・フィルタ材料のための好都合な容器を形成する。カラー・フィルタ材料は、たとえば着色高分子を含有することができる。顔料または着色剤は、レッド、グリーン、またはブルーの光を選択的に透過させることができる。したがって適切なカラー・フィルタ材料を、選択されたウェル内に、たとえばディジタル・リソグラフィ・システムによって堆積させて、図2Gに示されているように、カラー・フィルタのためのサブ−ピクセルを形成することができる。たとえば、インクジェット・プリンティング・システムを使用して、最初は1番目、4番目、7番目等々のウェルのそれぞれに、レッドに着色したフィルタ材料(R)を満たすことができる。次に、同じシステムを使用して、2番目、5番目、8番目等々のウェルのそれぞれに、グリーンに着色したフィルタ材料(G)を堆積させることができる。さらに同様に、構造体の上の3番目の通過において、ブルーに着色したカラー・フィルタ材料(B)を、3番目、6番目、9番目等々のウェルのそれぞれに堆積させることができる。カラー・フィルタ材料は、通常、熱硬化されて膜を固くする。このようにして得られた、ウェル36、38、40が満たされたカラー・フィルタを図2Hに示す。
【0037】
カラー・フィルタ材料の堆積においては、種々の個別のカラー・フィルタ材料の相互汚染(cross-contamination)の防止に注意しなければならない。たとえば、グリーンのカラー・フィルタ材料がレッドのカラー・フィルタ材料を収めているウェル内に導入されると、最終的なディスプレイに不充分な色分解がもたらされることになる。その種の相互汚染は、ウェルの充填における不正確、カラー・フィルタ構造体の物理的な破損、不適切なサブ−ピクセル・フレーム構造(体)、および指定のウェル外の周囲ウェル内への散布を招くカラー・フィルタ材料の濡れに起因して生じ得る。本発明の1つの利点は、サブ−ピクセル・フレーム要素(ブラック・マトリクス・フィーチャ)の断面が凹面、すなわちウェルの上端に向かって内側に湾曲していることである。これは、ウェルの上端に向かって外側に先細りになる輪郭(profile)を一般に有し、それが実際に近隣のウェル内へのカラー・フィルタ材料の濡れを促進する従来技術の構造体と鮮明な対比を示す。ここで認識されることになろうが、サブ−ピクセル・フレーム要素の湾曲または凹形の程度は、プリント・パターン・マスキング要素の広がりの程度をコントロールすることによって調節することができる。
【0038】
さらに、本発明の別の実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料が、その高さに沿って所望の疎水性または親水性の性質を有するべく『設計され(engineered)』、この種の濡れにより導かれる(wetting-induced)相互汚染の防止を補助する。ブラック・マトリクス材料を多層構造として形成し、低い層ほど親水性が高く、高い層ほど疎水性が高くなるようにしてもよい。層の混合を回避するために、ブラック・マトリクス材料を中間で硬化させるか、固めることを伴って多層で堆積させてもよく、あるいは単一の化合物として堆積させ、その後、たとえば焼きなまし(thermal annealing)によって処理し、それらの材料を明瞭な層に分離させてもよい。この種の構造体は、カラー・フィルタ材料によるサブ−ピクセル・フレームの境界を横切る濡れの傾向を好適に抑える。
【0039】
本発明のこの態様に従ったプロセスによって製造される構造体を図4A〜図4Jに示す。図5は、この実施態様に従ったプロセス・フローを例示している。最初に述べるが、この構造体は、図2Aおよび2Bに関連して前述したものに極めて似ている。図4Aを参照すると、ガラス、シリコン、溶融石英(fused silica)、水晶、MgO、サファイア、ガラスまたはポリエチレンナフタレート等のプラスティック等、適切な基板70が選択される。カラー・フィルタ・パネルが製造されることになる場合には、基板が一般にガラスまたはプラスティック等の透明材料になる。基板70上にプリント・パターン・マスク72が形成される。プリント・パターン・マスク72は、ディジタル・リソグラフィ・プロセスによって好ましく形成され、間隔が空けられた(spaced-apart)多数のマスク・フィーチャ74、76、78を備える。接着促進剤を使用してもよく、また前述したとおりに整列を達成することもできる。図4Bは、製造のこの時点における構造体の平面図である。
【0040】
図4Cを参照すると、マスク72(図4A)の選択された部分の上に第1のブラック・マトリクス材料を堆積させて、マスキング要素74、76、78の間の間隙を部分的に埋めて第1のブラック・マトリクス領域80、82を形成する。第1のブラック・マトリクス材料は、この第1のブラック・マトリクス材料がウェル内にカラー・フィルタ材料を保持するべく作用することをねらいとして親水性、またはカラー・フィルタ材料の溶剤によって比較的濡れやすいものが選択される。この時点において構造体に対し、第1のブラック・マトリクス材料の硬化に充分であるが、マスキング要素74、76、78の融点より低い温度での焼き付け、いわゆるソフト焼き付けが行われる。この時点における構造体の平面図が図4Dに例示されている。
【0041】
次に図4Eを参照すると、第1のブラック・マトリクス領域80、82の上に第2のブラック・マトリクス材料が堆積され、さらにマスキング要素74、76、78の間の間隙を部分的に埋めて第2のブラック・マトリクス領域84、86が形成される。(第2のブラック・マトリクス材料は、必ずしも『ブラック』、さらには不透明である必要はない。これは、疎水性の溶液処理可能な材料、あるいは第1の材料の表面を疎水性に変える材料とすることもできる。)第2のブラック・マトリクス材料は、この第2のブラック・マトリクス材料がサブ−ピクセル・フレーム要素を越えるカラー・フィルタ材料による濡れを防止するべく作用することをねらいとして疎水性のものが選択される。この時点において再度この構造体に対しソフト焼き付けが行われて、第2のブラック・マトリクス材料が硬化される。この時点における構造体の平面図が図4Fに例示されている。
【0042】
2層構造を使用してブラック・マトリクスのための構造体を形成する場合は、一方の層が他方と異なる透明度を有することが可能である。この構造体は、両方の層を同程度に着色すると濡れ性における適切な相違の達成が困難になる場合に有用である。たとえば、下側の親水性の層の光学濃度(optical density)が充分に高いときには、疎水性の上側の層を透明にすることができる。
【0043】
この時点において、補助的な攻撃ポイントを作成するために必要に応じてハード焼き付けを行い、あるいはそれを行わずにマスク72を除去することができる。マスク72の除去に使用される溶剤は、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素を形成する材料の実際の選択に依存することになるが、前述したテトラヒドロフランもしくは加熱したSVC−28を含めることができる。(マスク72がワックスの場合には、SVC−28はワックスが容易に溶解しない界面活性剤であるが、それにもかかわらず、そのワックスの融点または融解温度を超える温度においてSVC−28が表面からワックスを除去することになる。)この溶剤が、第1または第2の硬化したブラック・マトリクス材料あるいは基板(または前述の構造が上に形成されるデバイスもしくは層)のいずれでもなく、マスキング材料を選択的に除去する。これが断面図で図4Gに、平面図で図4Hにそれぞれ例示されている。
【0044】
残存するブラック・マトリクス構造体の下側および上側部分を形成する材料は異なるが、層の硬化のための条件が構造的な層の結合を可能にし、構造的に堅牢であり、自立する、下側領域が親水性であり、上側領域が疎水性の2層ブラック・マトリクス材料の構造体80/84、82/86を形成する。これらの構造は、図4Gに示されているようにウェル88を画定する(define)。その後ウェル88は、前述したように、また図4Iに示されるようにカラー・フィルタ材料によって満たされる。図4Jに示した充填済みウェル90、92、94を備えるカラー・フィルタは、このようにして得られる。
【0045】
一般に、図4Iに例示する多層構造80/84、82/86は、多様な望ましい属性およびこの分野で周知のプロセスから容易に得られない能力について強化することができる。たとえば、その種の構造体をマイクロメカニカルアクチュエータとして供する場合においては、より柔軟な材料をそれらのベースに、あまり柔軟でない材料をそれらの先端(tips)に備えるようにしても良い。この構造体が生体電気デバイス(bioelectrical devices)である場合においては、より大きな反応性をそれらのベースの材料に、より低い反応性をそれらの先端の材料に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】フラット−パネル・ディスプレイのためのカラー・フィルタの平面図である。
【図1B】図1Aのカラー・フィルタの側面図である。
【図2A】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第1の段階における構造体の断面図である。
【図2B】図2Aに示された構造体の平面図である。
【図2C】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第2の段階における構造体の断面図である。
【図2D】図2Cに示された構造体の平面図である。
【図2E】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第3の段階における構造体の断面図である。
【図2F】図2Eに示された構造体の平面図である。
【図2G】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第4の段階における構造体の断面図である。
【図2H】図2Gに示された構造体の平面図である。
【図3】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームの形成に関係するステップを例示したプロセス・フローチャートである。
【図4A】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第1の段階における構造体の断面図である。
【図4B】図4Aに示された構造体の平面図である。
【図4C】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第2の段階における構造体の断面図である。
【図4D】図4Cに示された構造体の平面図である。
【図4E】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第3の段階における構造体の断面図である。
【図4F】図4Eに示された構造体の平面図である。
【図4G】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第4の段階における構造体の断面図である。
【図4H】図4Gに示された構造体の平面図である。
【図4I】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第5の段階における構造体の断面図である。
【図4J】図4Iに示された構造体の平面図である。
【図5】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームの形成に関係するステップを例示したプロセス・フローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 カラー・フィルタ、12 ピクセル、14 サブ−ピクセル、16 ピクセル・フレーム、20,70 基板、22 マスク、24,26,28 マスキング要素(小滴)、30,32 ブラック・マトリクス領域(ブラック・マトリクス構造体)、34,36,38,40,88,90,92,94 ウェル、72 プリント・パターン・マスク、74,76,78 マスク・フィーチャ(マスキング要素)、80,82 第1のブラック・マトリクス領域、84,86 第2のブラック・マトリクス領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子デバイス製造プロセスに関し、より詳細に述べれば、プリント・マスクを採用してプリント・マスクのフィーチャの幅(feature width)より細いフィーチャ(features narrower)を形成するための方法に関する。
【0002】
ディジタル・リソグラフィは、フォトリソグラフィ・プロセス(photolithographic process)に関連付けされるコストを削減するべく設計された成熟しつつあるテクノロジであり、しばしばマイクロ電子デバイス、集積回路、および関連する構造体の製造に使用される。ディジタル・リソグラフィは、従来の製造プロセスに使用されている繊細かつ時間を要するフォトリソグラフィ・プロセスに代えてパターン化された材料を基板上に直接堆積させる(deposit)。ディジタル・リソグラフィによって作られるプリント・パターンは、実際のデバイスのフィーチャ(すなわち、最終的なデバイスまたは回路に組み込まれることになる、薄膜トランジスタのソース領域、ドレイン領域、およびゲート領域、信号線、光電子デバイス・コンポーネント等の素子または要素(element))を構成すること、もしくはその後に続く半導体プロセス(たとえば、エッチング、インプラント等)のためのマスクとすることができる。重要なことは、ディジタル・リソグラフィ・システムが、伝統的なリソグラフィ・システムとは異なり、レティクル(reticle)またはマスクの使用に関連付けされるコストおよび問題を回避することである。
【0003】
通常、ディジタル・リソグラフィは、プリントヘッドと基板を互いに対して相対的に、単一軸(『プリント動程軸(print travel axis)』)に沿って移動することによってプリント材料を堆積させることを伴う。プリントヘッドおよび、特にそれらのプリントヘッドに組み込まれる放出器(ejector)の配列は、このプリント動程軸に沿った印刷のために最適化される。印刷はラスタ形式(raster fashion)で行われ、プリントヘッドは、プリントヘッド内の放出器(1または複数)による基板上へのプリント材料の個別の『小滴(droplets)』の繰り出し(dispense)に従って基板を横切る『プリント・パス(printing passes)』を構成する。通常、各プリント・パス内では基板に対してプリントヘッドが移動するが、プリント・パス内でプリントヘッドに対して基板を(たとえば、基板を移動ステージに固定して)移動させた場合にも同等の結果を得ることができる。各プリント・パスの最後(end)においては、新しいプリント・パスを開始する前に、プリントヘッド(または基板)がプリント動程軸に対して垂直のシフトを行う。プリント・パスは、所望のパターンが完全に基板上にプリントされるまでこの態様で続けられる。
【0004】
一般にディジタル・リソグラフィ・システムによってプリントされる材料は、相変化材料および高分子の溶液、溶媒またはキャリア内の所望の電子的特性を伴った材料の懸濁液等のコロイド状懸濁液を含む。たとえば、特許文献1および特許文献2(それぞれ参照によりこれに援用される)は、マスキングのために相変化材料を基板上にプリントするためのシステムおよびプロセスをそれぞれ教示している。これらの参考文献によれば、ステアリル・エルカ酸アミド・ワックス(stearyl erucamide wax)等の適切な材料がインクジェット形式の圧電プリントヘッドの上に液相で維持され、ワックスの小滴が基板の上に形成される層上に所望のパターンで所望の位置に堆積するように、一滴一滴の小滴をベースに選択的に放出される。小滴は液体状態でプリントヘッドを出るが、その層と衝突した後に固化し、そのためこの材料は相変化であると言われる。
【0005】
放出器から繰り出されたプリント材料の小滴は、濡れ作用(wetting action)により基板に付着し、その後その同じ位置での固化に移る。相変化材料のプリントの場合においては、加熱されて液化されたプリント小滴(printed droplet)が基板および/または環境に対してその熱エネルギを失い、固化が生じて固体形状に戻る。懸濁液の場合においては、基板を濡らした後に、ほとんどの場合懸濁していた材料を基板表面上に残してキャリアが蒸発するか、あるいはキャリアが固まるか硬化する。プリント材料および基板の温度状態ならびに物理的性質は、周囲の状態ならびにプリント材料の性質とともに堆積するプリント材料が液体から固体に変化するときの特定のレートを決定し、したがって固化後の堆積した材料の高さならびにプロファイルを決定する。
【0006】
2つの隣接する小滴が、一方もしくは両方の小滴の固化に先行する時間内に基板に塗られると、それらの小滴が濡れて互いに合体し、単一の連続するプリントされたフィーチャを形成する。小滴材料の表面張力、放出時の小滴の温度、周囲温度、および基板の温度が、この小滴の合体、および基板表面上において合体した材料の横方向の広がりの程度をコントロールするための主要な属性である。これらの属性は、所望のフィーチャ・サイズが獲得されるように選択することができる。
【0007】
しかしながらディジタル・リソグラフィの1つの欠点は、比較的大きな小滴サイズ、すなわち現在のところ20〜40μm(マイクロメートル)程度の直径であるが、それに起因してこのプロセスによって製造されるデバイス・フィーチャ(device features)が比較的大きくなる傾向にあることである。たとえば、最近のカラー・フラット−パネル・ディスプレイの各ピクセルは、薄膜トランジスタ類の上または下側に配置されるカラー・フィルタを備えている。各ピクセルは、グリッドまたはフレームによって分離されたレッド、グリーン、およびブルーの各色について1つ、合計3つのサブ−ピクセルを備える。一般にフレームが最初に形成され、その後着色材料が充填されてサブ−ピクセルが形成される。現在のカラー・ピクセルは、幅が100μmの近傍にある。各サブ−ピクセルの幅は25〜30μm程度であり、フレームの各セクションの幅は10μm程度である。したがって、20μmより小さい幅の液滴を生成し得ないディジタル・リソグラフィ・プロセスは、サブ−ピクセル・フレームを形成するための小滴マスクを直接提供することができない。このように利用可能なプリンティング・システムが非常に正確な滴配置(drop placement)の能力を有することは知られているが、これまでは比較的大きな滴サイズ(drop size)がディジタル・リソグラフィ・システムの応用範囲を制限していた。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,742,884号明細書
【特許文献2】米国特許第6,872,320号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ディジタル・リソグラフィを採用し、しかもデバイスがこれまでディジタル・リソグラフィを用いて可能であったより小さいフィーチャ・サイズを有するマイクロ電子、光電子、バイオ電子、および類似のデバイスを製造するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の構成は以下のとおりである。
【0011】
(1)基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、前記ギャップ内に少なくとも部分的にターゲット材料を堆積させてターゲット材料のフィーチャを形成する、第2のステップと、前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ターゲット材料のフィーチャを残す、第3のステップと、を含む、基板上に構造体を形成する方法。
【0012】
(2)基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、前記ブラック・マトリクス材料を加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャを残す、第4のステップと、を含む、カラー・フィルタ用のサブ−ピクセル・フレームを形成する方法。
【0013】
(3)基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、前記ブラック・マトリクス材料を前記相変化材料の融点より低い温度まで加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、前記ブラック・マトリクス材料および前記相変化材料を、前記相変化材料の融解温度より高い温度まで加熱する、第4のステップと、前記相変化材料は溶解するが前記基板上のブラック・マトリクス・フィーチャは影響を与えずに残す溶剤を使用して前記相変化材料を除去する、第5のステップと、液相中の硬化可能な着色流体を放出するための少なくとも1つの放出器を含むプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して、前記基板上に第3のプリント・パターンで、硬化可能な着色流体が前記ブラック・マトリクス・フィーチャの間の間隙領域に堆積されるように前記硬化可能な着色流体を堆積させる、第6のステップと、前記硬化可能な着色流体を硬化させる第7のステップと、を含む、カラー・フィルタを形成する方法。
【0014】
(4)前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャが、すべての側面においてそれによって囲まれ、かつさらに前記基板が複数の構造体を、前記構造体の底を形成するところで形成し、その結果、前記構造体がその中に堆積する材料を受け入れ、かつ実質的に含有し、前記硬化可能な着色流体を堆積させるステップは、前記構造の第1のグループ内に第1の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、前記構造の第2のグループ内に前記第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、前記構造の第3のグループ内に前記第1および第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、を含む、上記(3)に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にかかるプロセスは、相変化材料を堆積させるディジタル・リソグラフィ・システムを好ましく使用する。相変化材料は、間接マスクを形成するパターンで堆積する。その後に続くプロセスのステップが、追加の材料の堆積または除去を行い、ターゲット・フィーチャを得る。
【0016】
本発明の1つの態様によれば、マスク・パターンがディジタル・リソグラフィによって基板の表面上に形成される。このマスク・パターンは、形成されることになる最終フィーチャ(ターゲット・フィーチャ)に希望される幅に等しい幅のギャップを含むべく形成される。これは、ディジタル・リソグラフィ・システムが小滴の直径より小さい小滴間隔を伴う小滴をコントロール可能に堆積できることから可能になる。ターゲット材料は、ディジタル・リソグラフィ、毛管作用、またはそのほかの適切な方法によってマスクの上(または間)に堆積する。マスク材料は分散、濡れ等に関して良好にコントロールされるが、ターゲット材料はあまり良好にコントロールされない。ターゲット材料は、マスク内に形成されたギャップを満たす。マスクは、ターゲット材料用の型枠として作用し、ターゲット材料の堆積のコントロールに関連する問題を克服する。ターゲット材料は、その後、必要であれば硬化させ、または固めることができ、マスクが除去されてターゲット・フィーチャが作られる。
【0017】
また、好適には、このターゲット材料が、液相中のターゲット材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含むプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、かつ主として前記ターゲット材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に差し込まれるように第2のパターンを形成するべく堆積する。
【0018】
本発明のこの態様の変形によれば、ターゲット材料がブラック・マトリクス材料(たとえば着色高分子)になる。ターゲット・フィーチャは、カラー・ディスプレイ・デバイス用のサブ−ピクセル・フレームである。マスク材料内のギャップは幅が10μm程度であり、相応じて結果として得られるサブ−ピクセル・フレームのセグメントの幅は10μm程度であり、マスクを形成する個別の小滴の直径より狭い。
【0019】
本発明の別の態様によれば、ターゲット・フィーチャがターゲット材料の層から形成され、各層が所望の性質を有する。たとえば多層化されたターゲット・フィーチャを、疎水性材料の層およびその下側の親水性材料の層から構成することができる。その種のターゲット構造体は、当該ターゲット構造体に接する材料の濡れ、たとえば構造の1つの側面から、その上端を越えてその構造の反対の側面上への第1の流体の広がりを防止する上で有用である。
【0020】
まず図1Aおよび1Bを参照するが、そこには本発明の1つの実施態様によって形成されるタイプの構造体が示されている。図1Aおよび1Bは、フラット−パネル・ディスプレイのためのカラー・フィルタ10の一部の例示である。前述したとおり、その種のフィルタは、それぞれのピクセルが3またはそれより多くの数のサブ−ピクセル14を含む多数のピクセル12を備える。サブ−ピクセルの実際のジオメトリ、たとえば三角形、縞状、斜線等は、本発明の工程にそれほど重要ではないが、さらに詳細について後述する。サブ−ピクセル14はそれぞれ、レッド、グリーン、またはブルーといった特定色の光に対して主として(primarily)透過性を有する。個別のサブ−ピクセル14は、ピクセル・フレーム16によって分けられている。ピクセル・フレーム16は、多数の水平および垂直の要素(elements)を含み、それらは、図1Bに示されているとおり、サブ−ピクセル14を形成する材料を受け入れるためのキャビティを形成する。参考のために述べるが、各サブ−ピクセルの幅wspは25〜30μm程度であり、各ピクセル・フレーム要素の幅wfは10μm程度である。
【0021】
図1Aおよび1Bに例示されている構造体を形成するために、本発明に従った特定のステップを説明する。図2A〜2Hは、図3に例示されているプロセスに従ったこの構造体の製造におけるいくつかの中間段階を例示している。以下の説明では、図2A〜2Hに例示されている構造に対して特定の参照がなされているが、その説明は、特にそれ以上の参照を行うことなく図3に例示されているシーケンスに従っている。
【0022】
最初に図2Aを参照すると、このプロセスは、上にマスク22が形成されるガラスまたはプラスティック等、たとえばポリエチレンナフタレート等の適切な基板20を伴って開始する。マスク22は、ディジタル・リソグラフィ・プロセスによって好ましく形成され(そのため、『プリント・パターン・マスク(print patterned mask)』と呼ばれる)、ステアリル・エルカ酸アミド・ワックス(たとえば、コネチカット州ミドルバリーのクロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)のケムアミド180(Kemamide 180)ベースのワックス)または類似の、プリント品質(すなわち、小滴サイズ(droplet size)ならびに形状、固化時間、固化後の構造体の硬さ等)に関して良好にコントロールされる材料等の相変化材料の個別の、または合体した小滴を含む。相変化材料の小滴の放出に適したシステムの例として:インクジェット・システム(参照によってこれに援用される米国特許第4,131,899号に開示されているもの等)、バリスティック・エアロゾル・マーキング(BAM)デバイス(参照によってこれに援用される米国特許第6,116,718号に開示されているもの等)、音響インク・プリンタ(AIP)システム(参照によってこれに援用される米国特許第4,959,674号)、キャリア−ジェット放出器(参照によってこれに援用される米国特許第5,958,122号に開示されているとおり)、偏向コントロール付きインクジェット・システム(参照によってこれに援用される米国特許第3,958,252号に開示されているもの等)が含まれる。その種のシステムは、電子写真、イオノグラフィ、スクリーン、密着、およびグラビア印刷システム等のパターン転写システムも含む。
【0023】
ここで論じている実施態様は、基板20上におけるプリント・パターン・マスクの直接形成を伴うが、その種のマスク、およびそれによって形成されるフィーチャは、先行して形成されたデバイスを含む層等のほかの層の上に形成してもよく、本発明の趣旨および範囲に含まれる。したがって、マスク22の形成の位置合わせ(positionally register)が必要になることがある。位置合わせ(registration)は、ディジタル・リソグラフィ・システムにおいて、基準(fiduciary)マーク、ディジタル・イメージングおよび処理、ならびにプロセッサにより、コントロールされる放出器と基板の相対移動を使用して日常的に達成される。パターン形成に先行するイメージ処理を介してマスク層を整列する能力は、そのほかのパターン形成方法の上を行くディジタル・リソグラフィ・プロセスの有意な利点である。
【0024】
図2Aは、例示を目的として、3つの個別の、近接しているが接触していないディジタル・リソグラフィ・マスキング要素(すなわち小滴)24、26、28を示している。この配列の平面図が図2Bに例示されている。例示を目的として、小滴24、26、28の直径を、カラー・フラット−スクリーン・ディスプレイのサブ−ピクセルの幅に対応する25〜30μm程度と仮定する。しかしながら、個別のプリント・パターン・マスクのフィーチャの幅は、形成されることになるフィーチャおよびデバイスに応じて、使用されるディジタル・リソグラフィ・システムによって放出される小滴の最小直径より大きいか、それに等しい任意のサイズとすることができる。たとえば、単一の小滴の直径より広い幅を達成するためには、隣接する小滴を、それらが固化したときに単一のフィーチャとして合体するように堆積させればよい。さらに、例示を目的として、小滴間のエッジからエッジまでの間隔が、サブ−ピクセル・フレーム要素の幅に対応する、10μm程度に仮定されている。しかしながら、本発明によれば個別のプリント・パターン・マスクのフィーチャの間の間隔は任意のサイズにすることができ、ディジタル・リソグラフィ・システムによって採用されているプリントヘッドまたはステージの分解能、および形成されることになるフィーチャならびにデバイスの機能によってのみ制限される。
【0025】
場合によっては、半導体処理分野においてフォトレジスト材料とともに一般に用いられているタイプの接着促進剤が相変化材料の接着を改善する。たとえば、基板を化学的に乾燥させて接着を促進するためにヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilizane、HMDS)が使用される。そのほかの方法は焼きなまし(annealing)およびプラズマ・クリーニングであり、それに続いてフォトレジスト接着用の表面のクリーニングおよび準備のためのHMDSコーティングが行われる。
【0026】
サブ−ピクセル・フレーム要素(図1A、1B)の幅が10μm程度であることが前提となっており、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素(すなわち個別の小滴)が一般にはるかに広く(たとえば、25〜30μm程度)、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素が適切なフィーチャ・マスクを作らないことを考える。したがってマスキング要素は、その種のフィーチャ・マスクに直接使用されないが、それに代えて間接マスクとして使用される。
【0027】
この実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料がマスク22の選択された部分の上に堆積され、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素24、26、28の間の間隙を満たし、図2Cに例示されているような、ブラック・マトリクス領域30、32を形成する。プロセスのこの時点における構造の平面図が図2Dに例示されている。このブラック・マトリクス材料は、通常、有機溶剤内に溶解もしくは懸濁されたポリイミド等の暗色顔料が懸濁された硬化可能な高分子である。ブラック・マトリクス材料は、熱硬化性もしくは光硬化性のいずれとすることも可能である。熱硬化材料の場合には、材料を部分的に硬化させて、その最終硬化温度、たとえば150〜200℃より有意に低い温度、たとえば100℃の溶剤による攻撃に対する耐性を向上させることが可能である。特定の材料は、ほかに比べてプリント品質に関してあまり良好なコントロールが得られない。たとえば、基板上に直接堆積した場合に、硬化していないブラック・マトリクス材料は、基板表面を濡らし、つぶれた(in flattened)、広い、コントロールされていないジオメトリ(uncontrolled geometries)で広がる傾向にある。したがってマスク22、より正確にはディジタル・リソグラフィのマスキング要素24、26、28は、型枠と非常によく似ており、ブラック・マトリクス材料が硬化するまでその分散を制約する。
【0028】
ブラック・マトリクス材料は、多数の技法を使用して堆積させることが可能である。マスク材料が完全に各ピクセルの開口を覆う場合には、浸漬コーティングまたはブレードもしくはスリット・コーティングによってブラック・マトリクス材料を基板上にコーティングすることができる。代替方法は、特定の実施態様においてマスキング要素が基板上に開いた流体チャンネルのセットを形成することから、毛管充填(capillary filling)によって間隙を満たす。この場合に、適切な体積の液体ブラック・マトリクス材料を基板の小さい部分(1または複数)(small portion or portions)上に堆積させることが可能になり、基板のより大きな部分にわたる開いたチャンネル内にそれが流れることを可能にするために液体形状に維持される。この方法は、毛管または吸い上げ力が配列全体にわたってブラック・マトリクス流体の一様な分布を提供することから、ブラック・マトリクスのプリント(printing)を最小化することができる。
【0029】
1つの実施態様によれば、その後ブラック・マトリクス材料がその温度を高めることによって硬化される。これを達成するためには、選択された長さの時間にわたって所望の温度の炉内に構造体を置けばよい。ブラック・マトリクス材料が十分に硬化するまでマスク22が同じ位置にとどまらなければならないことから、ブラック・マトリクス材料の硬化に必要な温度は、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素24、26、28を形成する相変化材料の溶融温度より低くなければならない。したがって、相変化材料の溶融温度は、ディジタル・フォトリソグラフィ・システムからの放出に問題をもたらすほど高くてはならず、またブラック・マトリクス材料の硬化に干渉するほど低くてもならない。ブラック・マトリクス材料の適切な焼き付けの条件の例は、50℃〜60℃で15〜20分間である(しかし、最終的にはブラック・マトリクス材料の実際の選択に依存する)。
【0030】
代替可能な実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料を、マスク材料より高い融点を有し、選択的に除去可能な別の相変化材料とすることができる。たとえば、コルセア・ワックス(Corsair Wax)(コネチカット州スタンフォードのゼロックス・コーポレーション)は高い溶融温度を有し、前述のケムアミド・ワックスほど容易に溶媒中で溶解しない。したがって、着色すればコルセア・ワックス(Corsair Wax)はブラック・マトリクス材料として役立てることができる。さらに、硬化可能なコロイド溶液(すなわち、ナノ粒子等の固体材料を残してキャリア溶媒が蒸発すると固くなる溶液)を液体として処理し、固体として乾燥することも可能である。このように、着色された固体を担持する適切なコロイド溶液を堆積させてブラック・マトリクスを形成してもよい。しかしながらそれぞれの場合において、硬化が、固められたブラック・マトリクスを作成するための対応するプロセス(すなわち、冷却、蒸発)に置き換えられる。
【0031】
さらに別の実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料が、暗色顔料が懸濁された熱硬化性高分子になる。この場合のブラック・マトリクス材料の処理は、ブラック・マトリクス膜内における硬化の程度、または架橋の慎重なコントロールを必要とする。ブラック・マトリクス材料の堆積後に、標準的なTMAH浴内における現像によってパターン形成を可能にするポイントまで膜を部分的に硬化させる。これらのタイプのブラック・マトリクス材料は市販されており、ブリューワ・サイエンス(Brewer Science)(マサチューセッツ州ダンバーズ)のダーク400(DARC 400)等がある。
【0032】
ブラック・マトリクス材料が固くなり、自立する(self-supporting)ブラック・マトリクス領域30、32が形成された後は、マスク22を除去することができる。この目的のために、SVC‐28(マサチューセッツ州ニュートンのマイクロケム・コーポレーション(MicroChem Corporation))等、種々の溶剤の1つを使用することができる。SVC‐28は、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)によって製造されている剥離溶液(debonding solution)である。活性成分は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、柑橘類留出物(citrus distallate)、合成イソパラフィン系炭化水素(synthetic isoparraffinic hydrocarbon)、および脂肪族炭化水素である。ブラック・マトリクス材料が、ポジ型フォトレジスト材料と同様に有機溶剤内に溶解もしくは懸濁されるポリイミド−ベースの材料となる場合には、ネガ型フォトレジスト剥離剤が硬化したブラック・マトリクス材料に影響を与えずに残し、選択的にマスキング要素を除去することができる。(したがって、使用される溶剤は、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素およびブラック・マトリクス領域を形成する材料の実際の選択に依存することになる。)この溶剤が、硬化したブラック・マトリクス材料あるいは基板(または前述の構造体が上に形成されるデバイスもしくは層)のいずれでもなく、マスキング材料を選択的に除去する。これが断面図で図2Eに、平面図で図2Fにそれぞれ例示されている。
【0033】
特定の状況においては、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素を除去するための攻撃ポイントを形成すると好ましいことがある。それらは、溶剤にマスキング要素の表面に対するより大きなアクセスが与えられるポイントである。比較的低い温度の焼き付け(『ソフト焼き付け(soft bake)』と称する)によってブラック・マトリクス材料が硬化した後は、より高い、120℃〜150℃台の温度で第2の焼き付け(『ハード焼き付け(hard bake)』と称する)を5〜15分間にわたって構造体に施すことができる。ハード焼き付けは、マスキング要素に部分的な融解または溶融を生じさせ、その結果として硬化したブラック・マトリクス材料の表面からマスキング材料を分離させる。このようにしてブラック・マトリクス材料とマスキング材料の間に形成されたギャップは、マスキング材料に対する溶剤のより良好なアクセスを可能にし、それによって構造体からのその材料のより徹底した完全な除去が可能になる。しかしながら、ハード焼き付けはこのプロセスにおいて、必要に応じて行なわれるステップである。
【0034】
マスクの除去の後、ブラック・マトリクスの形成のいくつかは、その材料を完全に固くする追加の硬化ステップを必要とする。通常は、その種のステップのための温度が150℃もしくはそれを超える。
【0035】
この時点において、この構造体が、種々の目的に役立てることのできる堅牢なブラック・マトリクス構造体30、32を構成する。第1にその種の構造を、その下側に形成される層(図示せず)のための露出またはエッチング・マスクとして役立てることができる。上記は、ブラック・マトリクス材料からの形成として説明されているが、構造体30、32は、それに代えて、電気的、熱的、もしくは光学的な伝導性または絶縁性、あるいは所望の程度の剛性もしくは柔軟性といった選択された性質を示すほかの材料から形成してもよい。したがって、構造体30、32が電気接触、導体、チャンネル、熱または光フィルタ、マイクロメカニカルアクチュエータ等となり得る広範多様な構造体を製造できる。しかしながら前述の説明を続きとして、以下においては、本発明の範囲を限定する意図ではないが、ブラック・マトリクス構造体30、32がサブ−ピクセル・フレームの要素としての機能を備える。
【0036】
マスキング材料の除去の結果として、図2Eに示されているように、自立するブラック・マトリクス材料の領域30、32の間の領域内にウェル34の形成がもたらされる。ウェル34は、図2Fに例示されているように、ブラック・マトリクス材料によってそのすべての辺に境界が設定されている。したがってウェル34は、カラー・フィルタ材料のための好都合な容器を形成する。カラー・フィルタ材料は、たとえば着色高分子を含有することができる。顔料または着色剤は、レッド、グリーン、またはブルーの光を選択的に透過させることができる。したがって適切なカラー・フィルタ材料を、選択されたウェル内に、たとえばディジタル・リソグラフィ・システムによって堆積させて、図2Gに示されているように、カラー・フィルタのためのサブ−ピクセルを形成することができる。たとえば、インクジェット・プリンティング・システムを使用して、最初は1番目、4番目、7番目等々のウェルのそれぞれに、レッドに着色したフィルタ材料(R)を満たすことができる。次に、同じシステムを使用して、2番目、5番目、8番目等々のウェルのそれぞれに、グリーンに着色したフィルタ材料(G)を堆積させることができる。さらに同様に、構造体の上の3番目の通過において、ブルーに着色したカラー・フィルタ材料(B)を、3番目、6番目、9番目等々のウェルのそれぞれに堆積させることができる。カラー・フィルタ材料は、通常、熱硬化されて膜を固くする。このようにして得られた、ウェル36、38、40が満たされたカラー・フィルタを図2Hに示す。
【0037】
カラー・フィルタ材料の堆積においては、種々の個別のカラー・フィルタ材料の相互汚染(cross-contamination)の防止に注意しなければならない。たとえば、グリーンのカラー・フィルタ材料がレッドのカラー・フィルタ材料を収めているウェル内に導入されると、最終的なディスプレイに不充分な色分解がもたらされることになる。その種の相互汚染は、ウェルの充填における不正確、カラー・フィルタ構造体の物理的な破損、不適切なサブ−ピクセル・フレーム構造(体)、および指定のウェル外の周囲ウェル内への散布を招くカラー・フィルタ材料の濡れに起因して生じ得る。本発明の1つの利点は、サブ−ピクセル・フレーム要素(ブラック・マトリクス・フィーチャ)の断面が凹面、すなわちウェルの上端に向かって内側に湾曲していることである。これは、ウェルの上端に向かって外側に先細りになる輪郭(profile)を一般に有し、それが実際に近隣のウェル内へのカラー・フィルタ材料の濡れを促進する従来技術の構造体と鮮明な対比を示す。ここで認識されることになろうが、サブ−ピクセル・フレーム要素の湾曲または凹形の程度は、プリント・パターン・マスキング要素の広がりの程度をコントロールすることによって調節することができる。
【0038】
さらに、本発明の別の実施態様によれば、ブラック・マトリクス材料が、その高さに沿って所望の疎水性または親水性の性質を有するべく『設計され(engineered)』、この種の濡れにより導かれる(wetting-induced)相互汚染の防止を補助する。ブラック・マトリクス材料を多層構造として形成し、低い層ほど親水性が高く、高い層ほど疎水性が高くなるようにしてもよい。層の混合を回避するために、ブラック・マトリクス材料を中間で硬化させるか、固めることを伴って多層で堆積させてもよく、あるいは単一の化合物として堆積させ、その後、たとえば焼きなまし(thermal annealing)によって処理し、それらの材料を明瞭な層に分離させてもよい。この種の構造体は、カラー・フィルタ材料によるサブ−ピクセル・フレームの境界を横切る濡れの傾向を好適に抑える。
【0039】
本発明のこの態様に従ったプロセスによって製造される構造体を図4A〜図4Jに示す。図5は、この実施態様に従ったプロセス・フローを例示している。最初に述べるが、この構造体は、図2Aおよび2Bに関連して前述したものに極めて似ている。図4Aを参照すると、ガラス、シリコン、溶融石英(fused silica)、水晶、MgO、サファイア、ガラスまたはポリエチレンナフタレート等のプラスティック等、適切な基板70が選択される。カラー・フィルタ・パネルが製造されることになる場合には、基板が一般にガラスまたはプラスティック等の透明材料になる。基板70上にプリント・パターン・マスク72が形成される。プリント・パターン・マスク72は、ディジタル・リソグラフィ・プロセスによって好ましく形成され、間隔が空けられた(spaced-apart)多数のマスク・フィーチャ74、76、78を備える。接着促進剤を使用してもよく、また前述したとおりに整列を達成することもできる。図4Bは、製造のこの時点における構造体の平面図である。
【0040】
図4Cを参照すると、マスク72(図4A)の選択された部分の上に第1のブラック・マトリクス材料を堆積させて、マスキング要素74、76、78の間の間隙を部分的に埋めて第1のブラック・マトリクス領域80、82を形成する。第1のブラック・マトリクス材料は、この第1のブラック・マトリクス材料がウェル内にカラー・フィルタ材料を保持するべく作用することをねらいとして親水性、またはカラー・フィルタ材料の溶剤によって比較的濡れやすいものが選択される。この時点において構造体に対し、第1のブラック・マトリクス材料の硬化に充分であるが、マスキング要素74、76、78の融点より低い温度での焼き付け、いわゆるソフト焼き付けが行われる。この時点における構造体の平面図が図4Dに例示されている。
【0041】
次に図4Eを参照すると、第1のブラック・マトリクス領域80、82の上に第2のブラック・マトリクス材料が堆積され、さらにマスキング要素74、76、78の間の間隙を部分的に埋めて第2のブラック・マトリクス領域84、86が形成される。(第2のブラック・マトリクス材料は、必ずしも『ブラック』、さらには不透明である必要はない。これは、疎水性の溶液処理可能な材料、あるいは第1の材料の表面を疎水性に変える材料とすることもできる。)第2のブラック・マトリクス材料は、この第2のブラック・マトリクス材料がサブ−ピクセル・フレーム要素を越えるカラー・フィルタ材料による濡れを防止するべく作用することをねらいとして疎水性のものが選択される。この時点において再度この構造体に対しソフト焼き付けが行われて、第2のブラック・マトリクス材料が硬化される。この時点における構造体の平面図が図4Fに例示されている。
【0042】
2層構造を使用してブラック・マトリクスのための構造体を形成する場合は、一方の層が他方と異なる透明度を有することが可能である。この構造体は、両方の層を同程度に着色すると濡れ性における適切な相違の達成が困難になる場合に有用である。たとえば、下側の親水性の層の光学濃度(optical density)が充分に高いときには、疎水性の上側の層を透明にすることができる。
【0043】
この時点において、補助的な攻撃ポイントを作成するために必要に応じてハード焼き付けを行い、あるいはそれを行わずにマスク72を除去することができる。マスク72の除去に使用される溶剤は、ディジタル・リソグラフィのマスキング要素を形成する材料の実際の選択に依存することになるが、前述したテトラヒドロフランもしくは加熱したSVC−28を含めることができる。(マスク72がワックスの場合には、SVC−28はワックスが容易に溶解しない界面活性剤であるが、それにもかかわらず、そのワックスの融点または融解温度を超える温度においてSVC−28が表面からワックスを除去することになる。)この溶剤が、第1または第2の硬化したブラック・マトリクス材料あるいは基板(または前述の構造が上に形成されるデバイスもしくは層)のいずれでもなく、マスキング材料を選択的に除去する。これが断面図で図4Gに、平面図で図4Hにそれぞれ例示されている。
【0044】
残存するブラック・マトリクス構造体の下側および上側部分を形成する材料は異なるが、層の硬化のための条件が構造的な層の結合を可能にし、構造的に堅牢であり、自立する、下側領域が親水性であり、上側領域が疎水性の2層ブラック・マトリクス材料の構造体80/84、82/86を形成する。これらの構造は、図4Gに示されているようにウェル88を画定する(define)。その後ウェル88は、前述したように、また図4Iに示されるようにカラー・フィルタ材料によって満たされる。図4Jに示した充填済みウェル90、92、94を備えるカラー・フィルタは、このようにして得られる。
【0045】
一般に、図4Iに例示する多層構造80/84、82/86は、多様な望ましい属性およびこの分野で周知のプロセスから容易に得られない能力について強化することができる。たとえば、その種の構造体をマイクロメカニカルアクチュエータとして供する場合においては、より柔軟な材料をそれらのベースに、あまり柔軟でない材料をそれらの先端(tips)に備えるようにしても良い。この構造体が生体電気デバイス(bioelectrical devices)である場合においては、より大きな反応性をそれらのベースの材料に、より低い反応性をそれらの先端の材料に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】フラット−パネル・ディスプレイのためのカラー・フィルタの平面図である。
【図1B】図1Aのカラー・フィルタの側面図である。
【図2A】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第1の段階における構造体の断面図である。
【図2B】図2Aに示された構造体の平面図である。
【図2C】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第2の段階における構造体の断面図である。
【図2D】図2Cに示された構造体の平面図である。
【図2E】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第3の段階における構造体の断面図である。
【図2F】図2Eに示された構造体の平面図である。
【図2G】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第4の段階における構造体の断面図である。
【図2H】図2Gに示された構造体の平面図である。
【図3】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームの形成に関係するステップを例示したプロセス・フローチャートである。
【図4A】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第1の段階における構造体の断面図である。
【図4B】図4Aに示された構造体の平面図である。
【図4C】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第2の段階における構造体の断面図である。
【図4D】図4Cに示された構造体の平面図である。
【図4E】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第3の段階における構造体の断面図である。
【図4F】図4Eに示された構造体の平面図である。
【図4G】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第4の段階における構造体の断面図である。
【図4H】図4Gに示された構造体の平面図である。
【図4I】本発明の第2の実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームを形成するプロセスの、第5の段階における構造体の断面図である。
【図4J】図4Iに示された構造体の平面図である。
【図5】本発明の1つの実施態様におけるサブ−ピクセル・フレームの形成に関係するステップを例示したプロセス・フローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 カラー・フィルタ、12 ピクセル、14 サブ−ピクセル、16 ピクセル・フレーム、20,70 基板、22 マスク、24,26,28 マスキング要素(小滴)、30,32 ブラック・マトリクス領域(ブラック・マトリクス構造体)、34,36,38,40,88,90,92,94 ウェル、72 プリント・パターン・マスク、74,76,78 マスク・フィーチャ(マスキング要素)、80,82 第1のブラック・マトリクス領域、84,86 第2のブラック・マトリクス領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、
前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、
前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、
前記ギャップ内に少なくとも部分的にターゲット材料を堆積させてターゲット材料のフィーチャを形成する、第2のステップと、
前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ターゲット材料のフィーチャを残す、第3のステップと、
を含む、基板上に構造体を形成する方法。
【請求項2】
基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、
前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、
前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、
ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、
前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、
前記ブラック・マトリクス材料を加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、
前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャを残す、第4のステップと、
を含む、カラー・フィルタ用のサブ−ピクセル・フレームを形成する方法。
【請求項3】
基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、
前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、
前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、
ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、
前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、
前記ブラック・マトリクス材料を前記相変化材料の融点より低い温度まで加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、
前記ブラック・マトリクス材料および前記相変化材料を、前記相変化材料の融解温度より高い温度まで加熱する、第4のステップと、
前記相変化材料は溶解するが前記基板上のブラック・マトリクス・フィーチャは影響を与えずに残す溶剤を使用して前記相変化材料を除去する、第5のステップと、
液相中の硬化可能な着色流体を放出するための少なくとも1つの放出器を含むプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して、前記基板上に第3のプリント・パターンで、硬化可能な着色流体が前記ブラック・マトリクス・フィーチャの間の間隙領域に堆積されるように前記硬化可能な着色流体を堆積させる、第6のステップと、
前記硬化可能な着色流体を硬化させる第7のステップと、
を含む、カラー・フィルタを形成する方法。
【請求項4】
前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャが、すべての側面においてそれによって囲まれ、かつさらに前記基板が複数の構造体を、前記構造体の底を形成するところで形成し、その結果、前記構造体がその中に堆積する材料を受け入れ、かつ実質的に含有し、
前記硬化可能な着色流体を堆積させるステップは、
前記構造の第1のグループ内に第1の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、
前記構造の第2のグループ内に前記第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、
前記構造の第3のグループ内に前記第1および第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項1】
基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、
前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、
前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、
前記ギャップ内に少なくとも部分的にターゲット材料を堆積させてターゲット材料のフィーチャを形成する、第2のステップと、
前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ターゲット材料のフィーチャを残す、第3のステップと、
を含む、基板上に構造体を形成する方法。
【請求項2】
基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、
前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、
前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、
ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、
前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、
前記ブラック・マトリクス材料を加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、
前記相変化材料を除去し、前記基板上に前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャを残す、第4のステップと、
を含む、カラー・フィルタ用のサブ−ピクセル・フレームを形成する方法。
【請求項3】
基板の上に相変化材料を堆積させるステップであって、
前記相変化材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記相変化材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記相変化材料が第1のプリント・パターンで堆積し、その結果、前記第1のプリント・パターンが、前記相変化材料の液相から固相への変化に続いて残存し、
前記第1のプリント・パターンがギャップを画定する、第1のステップと、
ブラック・マトリクス材料を堆積させるステップであって、
前記ブラック・マトリクス材料がプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して堆積し、
前記プリントヘッドが液相中の前記ブラック・マトリクス材料を放出するための少なくとも1つの放出器を含み、
前記ブラック・マトリクス材料が、前記ブラック・マトリクス材料が前記第1のプリント・パターンによって画定された前記ギャップ内に選択的に差し込まれるように第2のプリント・パターンで堆積する、第2のステップと、
前記ブラック・マトリクス材料を前記相変化材料の融点より低い温度まで加熱して前記ブラック・マトリクス材料を固くさせ、ブラック・マトリクス材料のフィーチャを形成させる、第3のステップと、
前記ブラック・マトリクス材料および前記相変化材料を、前記相変化材料の融解温度より高い温度まで加熱する、第4のステップと、
前記相変化材料は溶解するが前記基板上のブラック・マトリクス・フィーチャは影響を与えずに残す溶剤を使用して前記相変化材料を除去する、第5のステップと、
液相中の硬化可能な着色流体を放出するための少なくとも1つの放出器を含むプリントヘッドを備えるプリンティング・システムを使用して、前記基板上に第3のプリント・パターンで、硬化可能な着色流体が前記ブラック・マトリクス・フィーチャの間の間隙領域に堆積されるように前記硬化可能な着色流体を堆積させる、第6のステップと、
前記硬化可能な着色流体を硬化させる第7のステップと、
を含む、カラー・フィルタを形成する方法。
【請求項4】
前記ブラック・マトリクス材料のフィーチャが、すべての側面においてそれによって囲まれ、かつさらに前記基板が複数の構造体を、前記構造体の底を形成するところで形成し、その結果、前記構造体がその中に堆積する材料を受け入れ、かつ実質的に含有し、
前記硬化可能な着色流体を堆積させるステップは、
前記構造の第1のグループ内に第1の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、
前記構造の第2のグループ内に前記第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、
前記構造の第3のグループ内に前記第1および第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲に対して主として透過性の、硬化可能な着色流体を堆積させることと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図5】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図5】
【公開番号】特開2007−193344(P2007−193344A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11715(P2007−11715)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
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