説明

電子内視鏡装置の電力供給装置および電子内視鏡装置

【課題】ノイズの発生防止、スコープ挿入部の細径化が可能であって、スコープの構造を簡素化できる電子内視鏡装置用の電力供給装置等を実現する。
【解決手段】電子内視鏡装置30のスコープ40には、電力供給装置10が設けられている。電力供給装置10は、照明光ガイドファイバ42の先端部42Tの近傍において、照明光ガイドファイバ42の側面42Sに沿って配置された太陽電池12を含む。照明光Lの一部が、矢印Bの示すように、照明光ガイドファイバ42の側面42Sを透過し、太陽電池12に供給される。太陽電池12は、受光した照明光Lの光電気変換により発電する。太陽電池12により発電された電力は、電源回路54を介して、CCD48等に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡装置の電力供給装置および電子内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡装置は、通常、撮像素子等を含むスコープと、撮像素子により生成された映像信号を処理するプロセッサとを含む。一般に、電子内視鏡装置においては、電源ラインを用いることにより、プロセッサ側に設けられた電源回路からスコープ側の撮像素子等に電力が供給されているが、プロセッサとスコープの接合部に設けたトランス等による電磁結合を利用して撮像素子等に電力を供給する電子内視鏡装置も知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、スコープ(挿入部)側において、被写体を照明するための照明光を伝達する照明用ライトガイドファイババンドルを分岐させ、分岐部分の先端部から供給される照明光の一部を利用して発電する太陽電池を含む電子内視鏡装置が知られている(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−295635号公報
【特許文献2】特開平6−331906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子内視鏡装置において、スコープ側への電力供給のために電源ラインを設けた場合、電源ラインが外乱ノイズを送受信するアンテナとして機能してしまい、被写体画像の画質を低下させたり、撮像素子の誤作動を引き起こすおそれがある。また、電源ラインや電磁結合を利用して電力を供給する場合、被験者の体内に挿入されるスコープの挿入部の径が太くなってしまう。
【0005】
そして、照明用ライトガイドファイババンドルの分岐部分の先端部から照明光の供給を受ける太陽電池においては、スコープ内の限られたスペースの中で、充分な面積の受光面を確保することが困難である。このため、効率的な発電が困難となるおそれがある。そして、太陽電池の発電量を向上させるためには、照明用ライトガイドファイババンドルの分岐部分の大型化等が必要であり、スコープ内の部材配置における立体的な障害が大きくなるとともにスコープの内部構造が複雑化してしまう。
【0006】
そこで本発明は、ノイズの発生防止、スコープ挿入部の細径化が可能であって、スコープの構造を簡素化できる電子内視鏡装置用の電力供給装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電力供給装置は、被験者の体内に挿入されるスコープを備えた電子内視鏡装置の電力供給装置であって、被験者の体内を照明するための照明光をスコープの先端部に伝達する照明光ガイドファイバと、スコープにおいて照明光ガイドファイバの側面に沿って配置され、その側面を透過した照明光により発電する光電気変換手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
光電気変換手段は、例えば複数の太陽電池を有し、複数の太陽電池が、少なくとも1箇所で直列的に接続されている。この場合において、複数の太陽電池が、出力電圧の異なる少なくとも2種類の太陽電池であることが好ましい。また、層状の太陽電池が、螺旋状であることが好ましい。
【0009】
照明光ガイドファイバは、コアとクラッドとを含み、コアの周囲のうちクラッドによって覆われていない非被覆領域から照明光が光電気変換手段に供給されることが望ましい。また、照明光ガイドファイバがコアとクラッドとを含み、照明光ガイドファイバの湾曲部における側面を透過した照明光が光電気変換手段に供給されることが望ましい。この場合において、照明光ガイドファイバは、螺旋状の湾曲部を含むことがより望ましい。
【0010】
電力供給装置は、光電気変換手段により発生された電力を充電可能な二次電池をさらに有することが好ましい。そしてこの場合、スコープの内部に設けられた二次電池が、電磁結合によりスコープの外部から充電可能であることがより好ましい。
【0011】
本発明の電子内視鏡装置は、撮像素子と、上述の電力供給装置を備え、撮像素子が、光電気変換手段により発電された電力により駆動可能であることを特徴とする。電子内視鏡装置においては、光電気変換手段が、スコープの先端部において撮像素子の近傍に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ノイズの発生防止、スコープ挿入部の細径化が可能であって、スコープの構造を簡素化できる電子内視鏡装置用の電力供給装置等を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態における電力供給装置を含む電子内視鏡装置を示す図である。図2は、本実施形態の太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。図3は、本実施形態の照明光ガイドファイバの先端部におけるコアとクラッドとを示す斜視図である。
【0014】
電子内視鏡装置30は、スコープ40とプロセッサ60とを含む。スコープ40は、挿入部40Iを含み、スコープ40の使用時には、挿入部40Iが被観察体Sを含む被験者の体内に挿入される。プロセッサ60には、光源62が設けられており、光源62は照明光Lを出射する。照明光Lは、スコープ40に設けられた照明光ガイドファイバ42、配光レンズ44等を介してスコープ40の先端部40Tに伝達される。被観察体Sは、スコープ40の先端面40Sから出射された照明光Lにより照明される。
【0015】
被観察体Sにおける反射光Rは、スコープ40の先端面40Sに入射する。スコープ40の先端部40Tには、対物レンズ46、およびCCD48(撮像素子)が設けられている。CCD48においては、入射した反射光Rに基づき映像信号が生成される。生成された映像信号は、映像信号伝送経路50を介してプロセッサ60に送信される。映像信号は、プロセッサ60に設けられた信号処理回路64によって処理される。この結果、被観察体Sの画像が生成される。
【0016】
CCD48は、プロセッサ60に設けられた制御回路66によって制御される。すなわち、CCD48は、スコープ40の制御信号伝送経路52を介して制御回路66から送信される制御信号により制御される。
【0017】
スコープ40には、電力供給装置10が設けられている。電力供給装置10は、層状の太陽電池12(光電気変換手段)を含む。太陽電池12が以下のように発電すると、電力が電源回路54を介してCCD48に供給され、CCD48が駆動可能となる。そして、太陽電池12とCCD48とが、いずれもスコープ40の先端、すなわちスコープ40の先端部40Tにおける先端面40S近傍において、互いに近接するように配置されていることから、太陽電池12からCCD48への送電のために用いられる配線等の部材(図示せず)はわずかなもので足りる。
【0018】
太陽電池12は、照明光ガイドファイバ42の先端部42T(図1における斜線で示された領域、および図2における破線の円Cと照明光Lの出射面42Dとの間の領域)近傍において、照明光ガイドファイバ42の側面42Sに沿うように複数配置されている。複数の太陽電池12の少なくとも一部は、必要とされる電圧を供給するために直列に接続されている。
【0019】
照明光Lのほとんどは、矢印Aの示すように、配光レンズ44を介してスコープ40の先端面40Sから被観察体Sに出射される(図2参照)が、その一部は、矢印Bの示すように、照明光ガイドファイバ42の側面42Sのうち、先端部42Tに含まれる領域を透過し、太陽電池12に供給される。太陽電池12は、このようにして受光した照明光Lの光電気変換により発電する。
【0020】
照明光ガイドファイバ42は、複数のファイバ56が束ねられたファイババンドルである(図3参照)。各ファイバ56は、コア57とクラッド58を含んでおり、照明光L(図1および図2参照)は、コア57とクラッド58との境界面における全反射を繰り返しながら伝達される。スコープ40の先端部40Tでは、一部のファイバ56において、コア57がクラッド58により被覆されていない領域である非被覆領域56Lが設けられている。
【0021】
コア57の周囲がクラッド58によって覆われていない非被覆領域56Lからは、照明光Lの一部が、図1および図2の矢印Bにより示されるように照明光ガイドファイバ42から漏れ出し、太陽電池12に入射する。なお、説明の便宜上、図1、図2および後述する図4〜図7の図面においては、非被覆領域56Lは省略されている。
【0022】
なお、層状の太陽電池12と照明光ガイドファイバ42の側面42Sとの間には、透光性の樹脂チューブ(図示せず)が設けられている。そして、太陽電池12は樹脂チューブの表面上に貼付されており、樹脂チューブは照明光ガイドファイバ42に対して摺動可能である。
【0023】
電力供給装置10のこのような構造により、太陽電池12および樹脂チューブと、照明光ガイドファイバ42との相対位置のずれを伴う、スコープ40の挿入部40Iの円滑な湾曲が可能である。ただし、太陽電池12が充分に薄い場合等においては、樹脂チューブは不要である。この場合、太陽電池12は、照明光ガイドファイバ42の側面42Sを覆うように、側面42Sに直接貼付される。この点については、以下の実施形態においても同様である。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、電源ラインを設けることなしに、スコープ先端部40TのCCD48等に電力を供給できるため、電源ラインによるノイズの発生を防止できる。また、スコープ先端部40Tにおいて電力供給装置10を設ける必要があるものの、電源ラインが不要であるため、被験者の体内に挿入されるスコープ40の挿入部40Iの細径化が可能である。
【0025】
さらに、太陽電池12を照明光ガイドファイバ42の側面42Sに沿って配置させることにより、照明光ガイドファイバ42を分岐させて太陽電池12に照明光を供給する場合に比べ、受光面が大きい太陽電池12を使用することによる効率的な発電と、スコープ40の先端部40T内部の構造の簡素化、および限られたスペースの有効活用が可能である。
【0026】
なお、電力供給装置10により発電された電力は、CCD48の駆動のためのみならず、スコープ40内に設けられたCCD48以外の部品に含まれる回路等に供給、使用されても良い。この点は、以下の実施形態においても同様である。
【0027】
次に、第2の実施形態につき、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図4は、本実施形態における太陽電池12と照明光ガイドファイバ42とを示す斜視図である。なお、図4および以下の図面においては、第1の実施形態と同一、もしくは対応する構成要素には同じ符号が付されている。
【0028】
本実施形態は、電力供給装置10において、第1および第2の太陽電池121、122が、照明光ガイドファイバ42の長手方向に沿うように直列に設けられている点が第1の実施形態と異なる。このように、第1および第2の太陽電池121、122を適宜組み合わせることにより、一般に出力電圧を調整することのできない太陽電池を用いるにも係わらず、電源回路54(図1参照)等への供給電圧を所望の大きさとした電力供給装置10を容易に製造することができる。
【0029】
なお、本実施形態のように、異なる種類の第1、第2の太陽電池121、122を、照明光ガイドファイバ42の長手方向に沿うように直列接続する代わりに、第1、第2の太陽電池121、122に相当する部材を積層させた単一の太陽電池を用いても良い。例えば、表面には短波長吸収型、下層には長波長吸収型の半導体構造を持つ単一の太陽電池12を設けることによっても、所望の出力電圧を容易に実現できるからである。
【0030】
次に、第3の実施形態につき、これまでの実施形態との相違点を中心に説明する。図5は、本実施形態における太陽電池12と照明光ガイドファイバ42とを示す斜視図である。
【0031】
本実施形態は、層状の太陽電池12が螺旋状である点が第1の実施形態と異なる。このように、照明光ガイドファイバ42を中心とした螺旋状の太陽電池12においては、直線的に配置された第1の実施形態の太陽電池12(図2参照)に比べ、スコープ40および照明光ガイドファイバ42の湾曲への追従性を確保しつつ、照明光ガイドファイバ42の側面42Sに対する太陽電池12の受光面12Sの対向面積、もしくは接触面積を広げることができる。
【0032】
このため、本実施形態では、太陽電池12による効率的な発電が可能である。なお、一般に、スコープ40の挿入部40Iにおいては、プロセッサ60側の領域で湾曲性が必要とされるのに対し、電力供給装置10が設けられている先端部40Tでは湾曲性をさほど必要としない。このため、太陽電池12を螺旋状とすることにより、照明光ガイドファイバ42の先端部42Tにおけるわずかな湾曲に対して必要とされる追従性を充分に確保できる。
【0033】
次に、第4の実施形態につき説明する。図6は、本実施形態における太陽電池12と照明光ガイドファイバ42とを示す斜視図である。
【0034】
本実施形態は、いずれも帯状の第1および第2の太陽電池121、122を、それぞれの端部である121E、122E同士のみで近接する螺旋状とした点が第3の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態は、上述の第2および第3の実施形態を組み合わせたものであるといえる。
【0035】
従って、本実施形態においては、CCD48等への供給電圧の大きさを調整することが容易であり、さらに、第1、第2の太陽電池121、122において、照明光ガイドファイバ42の湾曲への追従性を確保しつつ、効率的な発電のために第1および第2の受光面121S、122Sの面積を広げることができる。
【0036】
次に、第5の実施形態につき説明する。図7は、本実施形態における太陽電池12と照明光ガイドファイバ42とを示す斜視図である。
【0037】
本実施形態は、いずれも帯状の第1および第2の太陽電池121、122を、互いに平行な螺旋状、すなわち二重螺旋構造とした点が第4の実施形態と異なる。このように第1および第2の太陽電池121、122を組み合わせることにより、第4の実施形態に比べて、照明光ガイドファイバ42の側面42Sの単位面積当たりの第1および第2の受光面121S、122Sの対向面積(接触面積)をより容易に拡張することができる。
【0038】
これは、第4の実施形態(図6参照)において、照明光ガイドファイバ42の側面42Sの単位面積当たりの受光面12Sの接触、もしくは対向面積をさらに拡張しようとした場合、螺旋状の第1、第2の太陽電池121、122の帯の間隔が狭まり、第1、第2の太陽電池121、122に対するひずみが増加してしまうのに対し、本実施形態においては、第1、第2の太陽電池121、122のひずみを第4の実施形態と同程度のままで、照明光ガイドファイバ42の側面42Sの単位面積当たりの接触面積、もしくは対向面積をほぼ2倍にすることができるためである。
【0039】
次に、第6の実施形態につき説明する。図8は、本実施形態における太陽電池12と照明光ガイドファイバ42とを示す斜視図である。
【0040】
本実施形態は、照明光ガイドファイバ42がその先端部42Tにおいて螺旋状の湾曲部42Cを有し、非被覆領域56L(図3参照)が設けられていない点が、第1の実施形態と異なる。すなわち本実施形態では、電力供給装置10において、コア57とクラッド58を有するファイバ56(図3参照)を湾曲させることにより、照明光Lが照明光ガイドファイバ42から漏れ出すという公知技術を用いて、太陽電池12に発電させている。
【0041】
本実施形態においては、照明光ガイドファイバ42の湾曲部42Cを螺旋状としていることにより、照明光Lは、先端部42Tに含まれる側面42Sの広い範囲を透過して太陽電池12に供給され、太陽電池12による効率的な発電が可能である。また、螺旋状の照明光ガイドファイバ42を成形すれば、非被覆領域56L(図3参照)を設けることが不要となるため、電力供給装置10の製造が容易になる。
【0042】
次に、第7の実施形態につき説明する。図9は、本実施形態における太陽電池12と照明光ガイドファイバ42とを示す斜視図である。
【0043】
本実施形態は、照明光ガイドファイバ42が平面的に湾曲している点が、第6の実施形態と異なる。本実施形態では、照明光ガイドファイバ42の湾曲部42Cにおけるファイバ56の湾曲が緩やかであるため、第6の実施形態に比べて、太陽電池12に供給される照明光Lの光量が低下し、発電量が低下する可能性があるものの、照明光ガイドファイバ42の占有部分を小さくし、スコープ40の挿入部40I等のさらなる細径化が可能である。
【0044】
次に、第8の実施形態につき説明する。図10は、本実施形態における電力供給装置10を含む電子内視鏡装置30を示す図である。
【0045】
本実施形態は、太陽電池12によって発電された電力を充電可能な二次電池20が電力供給装置10に設けられている点が、第1の実施形態と異なる。すなわち、二次電池20は、電源回路54から供給される過剰な電力を蓄えるとともに、必要に応じて電力をCCD48等に電源回路54を介して供給する。このため、本実施形態においては、第1の実施形態よりも安定した電力を確実にCCD48等に供給することができる。
【0046】
なお、図10においては、説明の便宜上、二次電池20および電源回路54をCCD48から離れた位置に図示している。しかしながら、上述のように、CCD48への電力供給のための部材等を削減し、スコープ40内部の構造を簡素化するために、二次電池20および電源回路54は、実際にはCCD48側に配置されている。
【0047】
次に、第9の実施形態につき説明する。図11は、本実施形態における電力供給装置10を含む電子内視鏡装置30を示す図である。
【0048】
本実施形態は、二次電池20がスコープ先端部40Tの壁面40Wの外部からも充電可能である点が、第8の実施形態と異なる。すなわち、電源回路54のコイル55と、充電器(図示せず)に設けられた外部電源74の外部電源コイル75との電磁結合により、電源回路54に電気的に接続された二次電池20を充電することができる。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、電子内視鏡装置10の使用前、すなわちスコープ40の挿入部40Iが被験者の体内に挿入されていない状態で、外部電源74を用いて二次電池20を充電しておくことができる。従って、電子内視鏡装置10の起動時に照明光Lが光源62から出射され始め、太陽電池12による発電が開始されたばかりの状態にあっても、CCD48等をより確実に駆動することができる。
【0050】
そして被観察体Sの観察中においては、これまでの実施形態と同様に太陽電池12によって発電された電力を使用できる。このため、被観察体Sの観察、処置中においては、外部電源74によって二次電池20を充電できないものの、被観察体Sの観察動作に支障をきたす恐れはない。
【0051】
次に、第10の実施形態につき説明する。図12は、本実施形態における電力供給装置10を含む電子内視鏡装置30を示す図である。
【0052】
本実施形態は、以下の点で第1の実施形態と異なる。すなわち、被観察体Sの照明、観察に用いられる照明光ガイドファイバ42は電力供給装置10に含まれず、電力供給装置10は、照明光ガイドファイバ42の代わりに発電のためだけの光ガイドファイバ24を有している。そして光ガイドファイバ24の先端部24T近傍において、光ガイドファイバ24の側面24Sに沿うように複数の太陽電池12が配置されている。
【0053】
照明光Lは、光ガイドファイバ24の側面24Sのうち、斜線で示された先端部24Tに含まれる領域を透過する。発電のみを目的とする光ガイドファイバ24によって伝達される照明光Lは、被観察体Sの照明には用いられないことから、太陽電池12は、光ガイドファイバ24の先端部24Tにおける側面24Sのみならず、先端面24Dも覆うように配置することができる。このため、本実施形態によれば、光ガイドファイバ24から供給される照明光Lを、発電のためにより有効に活用することが可能である。
【0054】
なお、プロセッサ60において、光源62に加え、スコープ40側での発電のためだけの光を出射する発電用光源(図示せず)を設け、ガイドファイバ24は、この発電用光源からの光を太陽電池12まで伝達しても良い。
【0055】
次に、比較例の電子内視鏡装置につき説明する。図13は、比較例の電子内視鏡装置を示す図である。
【0056】
比較例の電子内視鏡装置70においては、電力供給装置10が設けられていない。このため、スコープ先端部40Tに配置されたCCD48等を駆動するための電力は、プロセッサ30側に設けられたプロセッサ電源回路72から、電源ライン74を介してCCD48に供給される。
【0057】
従って、電源ライン74が外乱ノイズを送受信するアンテナとして機能してしまい、被写体画像の画質を低下させ、あるいはCCD48の誤作動を引き起こすおそれがある。さらに、電源ライン74を設けるため、スコープ40の挿入部40Iを細径化することはできず、被験者の体内への挿入動作が困難になる可能性もある。
【0058】
これに対し、電力供給装置10を設けた上述の実施形態によれば、比較例の電子内視鏡装置70とは異なり、電源ライン74(図13参照)によるノイズの防止、およびスコープ40の挿入部40Iの細径化が可能である。さらに、太陽電池12を照明光ガイドファイバ42の側面42Sに沿って配置させることにより、照明光ガイドファイバ42を分岐させて太陽電池12に照明光を供給する場合に比べ、スコープ40内部の構造を簡素化し、限られたスペースを有効に活用できる。
【0059】
電力供給装置10を構成する部材、部材の配置等は、上述の実施形態に限定されない。例えば、いずれの実施形態においても、太陽電池12以外の光電変換素子を用いても良く、また、太陽電池12等の光電変換素子は、照明光ガイドファイバ42の先端部42T近傍ではなく、途中に設けられていても良い。そして、複数の太陽電池12を用いる場合、いずれの実施形態においても、出力電圧の異なる種類の太陽電池12を組み合わせて所望の供給電圧を実現しても良い。また、複数の太陽電池12は、並列に接続されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施形態における電力供給装置を含む電子内視鏡装置を示す図である。
【図2】本実施形態の太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。
【図3】本実施形態の照明光ガイドファイバの先端部におけるコアとクラッドとを示す斜視図である。
【図4】第2の実施形態における太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。
【図5】第3の実施形態における太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。
【図6】第4の実施形態における太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。
【図7】第5の実施形態における太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。
【図8】第6の実施形態における太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。
【図9】第7の実施形態における太陽電池と照明光ガイドファイバとを示す斜視図である。
【図10】第8の実施形態における電力供給装置を含む電子内視鏡装置を示す図である。
【図11】第9の実施形態における電力供給装置を含む電子内視鏡装置を示す図である。
【図12】第10の実施形態における電力供給装置を含む電子内視鏡装置を示す図である。
【図13】比較例の電子内視鏡装置を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 電力供給装置
12 太陽電池(光電気変換手段)
121 第1の太陽電池(光電気変換手段)
122 第2の太陽電池(光電気変換手段)
20 二次電池
24 光ガイドファイバ
30 電子内視鏡装置
40 スコープ
40T 先端部
42 照明光ガイドファイバ(光ガイドファイバ)
48 CCD(撮像素子)
56L 非被覆領域
57 コア
58 クラッド
L 照明光(光)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体内に挿入されるスコープを備えた電子内視鏡装置の電力供給装置であって、
前記被験者の体内を照明するための照明光を前記スコープの先端部に伝達する照明光ガイドファイバと、
前記スコープにおいて前記照明光ガイドファイバの側面に沿って配置され、前記側面を透過した前記照明光により発電する光電気変換手段とを備えることを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記光電気変換手段が太陽電池であることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記光電気変換手段が複数の前記太陽電池を有し、前記複数の太陽電池が、少なくとも1箇所で直列的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記複数の太陽電池が、出力電圧の異なる少なくとも2種類の太陽電池であることを特徴とする請求項3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
層状の前記太陽電池が螺旋状であることを特徴とする請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記照明光ガイドファイバがコアとクラッドとを含み、前記コアの周囲のうち前記クラッドによって覆われていない非被覆領域から前記照明光が光電気変換手段に供給されることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記照明光ガイドファイバがコアとクラッドとを含み、前記照明光ガイドファイバの湾曲部における前記側面を透過した前記照明光が光電気変換手段に供給されることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項8】
前記照明光ガイドファイバが、螺旋状の前記湾曲部を含むことを特徴とする請求項7に記載の電力供給装置。
【請求項9】
前記光電気変換手段により発生された電力を充電可能な二次電池をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項10】
前記スコープの内部に設けられた前記二次電池が、電磁結合により前記スコープの外部から充電可能であることを特徴とする請求項9に記載の電力供給装置。
【請求項11】
撮像素子と、請求項1に記載の電力供給装置とを備え、前記撮像素子が、前記光電気変換手段により発電された電力により駆動可能であることを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項12】
前記光電気変換手段が、前記スコープの先端部において前記撮像素子の近傍に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の電子内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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