説明

電子写真感光体

【課題】耐摩耗性及び電気特性に優れ、塗布液の安定性が高いバインダー樹脂を含む電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性支持体と前記導電性支持体上に形成された感光層とを有し、前記感光層は下記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。但し、式(1)中、0.5<{a/(a+b)}<1であり、Aは分子量250以下の2価フェノール残基、Bは2価フェノール残基、Xは下記式(2)に示す構造であり、Yは2価カルボン酸残基である。尚、式(2)中、R及びRは、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基であり、n,mは、各々独立に0〜4の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真感光体に関し、より詳しくは、耐摩耗性等が良好な電子写真感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られること等から、複写機、各種プリンタ等の分野で広く使われている。電子写真技術の中核となる感光体については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電性物質を使用した感光体が使用されている。
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体と、電荷発生層及び電荷移動層を積層した積層型感光体とが知られている。なかでも、積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷移動物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
【0003】
電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的なダメージ、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れること、除電光または外部からの光による感光層組成物の分解等の化学的、電気的劣化がある。さらに、クリーニングブレード、磁気ブラシ等の摺擦、現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗、傷の発生、膜の剥がれ等の機械的劣化がある。特に、このような感光層表面に生じる損傷は画像上に現れやすく、直接画像品質を損なうため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。
【0004】
表面保護層等の機能層を設けない一般的な感光体の場合、感光層がこのような負荷を受ける。感光層は、通常、バインダー樹脂と光導電性物質とからなり、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため充分な機械強度を持たせるには至っていない。また、高速印刷の要求の高まりから、より高速の電子写真プロセス対応の材料が求められている。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性が良いことも必要となる。
【0005】
また、これらの電子写真感光体を構成する各層は、通常、基体上に光導電性物質、バインダー樹脂等を含有する塗布液を、浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等により塗布して形成される。これらの層形成方法では、層に含有させる物質を溶剤に溶解させて得られる塗布溶液として、塗布する等の公知の方法が適用されている。
【0006】
感光層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(特許文献1〜特許文献3参照)。
【0007】
一方、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリアリレート樹脂をバインダーとして用いた電子写真感光体は、ポリカーボネートを用いる場合と比較して感度が向上することが報告されている(特許文献4参照)。また、特定構造の2価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いる場合は、電子写真感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性が向上し、さらに、電子写真感光体の機械的強度、耐摩耗性が改良されることが報告されている(特許文献5及び特許文献6参照)。
【0008】
【特許文献1】特開昭50−098332号公報
【特許文献2】特開昭59−071057号公報
【特許文献3】特開昭59−184251号公報
【特許文献4】特開昭56−135844号公報
【特許文献5】特開平03−006567号公報
【特許文献6】特開平10−288845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前述したような従来の電子写真感光体は、トナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブレード)による摩擦等の実用上の負荷により、電子写真感光体の表面が摩耗、表面に傷が生じる等の課題を有し、実用上は限られた印刷性能にとどまっているのが現状である。
【0010】
例えば、市販のポリアリレート樹脂「U−ポリマー」は、耐摩耗性、感度の点で向上が見られるものの、この樹脂を溶解して調製した塗布液の安定性が低く、塗布製造が困難な場合がある。また、特定構造のポリアリレート樹脂を用いることにより、溶解性や溶液安定性、機械的強度等を向上させることができるものの、電気特性、特に、応答性に関して不充分なものがある。ビスフェノール成分として、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いるポリアリレート共重合体を使用する場合も、機械物性にやや向上は見られるが、電気特性、感度、応答性の面では充分な性能は得られず、基板との接着性が不充分な場合が多い。
そのため、電子写真感光体に用いられる樹脂として、機械的強度が高く、溶媒に対する溶解性が高く、液安定性に優れ、且つ、接着性、応答性に優れたバインダー樹脂が望まれているのが現状である。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、実用上の負荷に対する耐摩耗性に優れ、高い機械的強度を保ちつつ電気特性に優れ、さらに、感光層形成用塗布液の安定性が高いバインダー樹脂を含有する電子写真感光体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで本発明者等は鋭意検討の結果、感光層に特定の化学構造を有するポリエステル樹脂を含有させることにより、充分な機械的特性を有し、感光層形成用塗布液に用いる溶媒に対して高い溶解性及び優れた塗布液安定性を有し、且つ、電気特性に優れる電子写真感光体を得ることができることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、請求項1に係る発明は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成された感光層と、を有し、前記感光層は、下記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0014】
【化1】

【0015】
(式(1)中、0.5<{a/(a+b)}<1であり、Aは分子量250以下の2価フェノール残基、Bは2価フェノール残基、Xは下記式(2)に示す構造であり、Yは2価カルボン酸残基である。)
【0016】
【化2】

【0017】
(式(2)中、R及びRは、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基であり、n,mは、各々独立に0〜4の整数である。)
【0018】
請求項2に係る発明は、前記式(1)中のAが、下記式(3)に示す構造であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体である。
【0019】
【化3】

【0020】
(式(3)中、Rは水素原子またはアルキル基であり、R及びRは、各々独立にアルキル基である。)
【0021】
請求項3に係る発明は、前記式(1)中のBが、下記式(4)に示す構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体である。
【0022】
【化4】

【0023】
(式(4)中、R及びRは、各々独立に水素原子、アルキル基、または互いに結合して環状構造を形成しても良い置換基であり、R及びRは、各々独立にアルキル基であり、n,mは、各々独立に1〜4の整数である。)
【0024】
請求項4に係る発明は、前記感光層は、さらに下記式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の電子写真感光体である。
【0025】
【化5】

【0026】
(式(5)中、Ar〜Arは各々独立して、置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良い2価の複素環基を表す。m,mは各々独立して0または1を表す。Qは、直接結合または2価の残基を表す。R10〜R17は各々独立して水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、または置換基を有しても良い複素環基を表す。n〜nは各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar〜Arは互いに結合して環状構造を形成しても良い。)
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、耐摩耗性等に優れた電子写真感光体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0029】
(電子写真感光体)
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
【0030】
本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用される感光層の具体的な構成としては、例えば、積層型感光体の場合は電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有し、静電荷を保持して露光により発生した電荷を輸送する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有し、露光により電荷対を発生する電荷発生層と、を有する。また、その他にも必要に応じて、例えば、導電性支持体からの電荷注入を阻止する電荷阻止層、レーザ光等の光を拡散させて干渉縞の発生を防止する光拡散層等を有する場合がある。分散型(単層型)感光体の場合は、感光層は、電荷移動物質及び電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散されている。
【0031】
(ポリエステル樹脂)
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層は、下記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有する。
【0032】
【化6】

【0033】
式(1)中、Aは分子量250以下の2価フェノール残基である。この2価フェノール残基とは、ポリエステル樹脂を製造する際に原料として用いる2価フェノール化合物の2つの水酸基から2つの水素原子を除いた構造を示している。Aの分子量は250以下であるが、245以下、180以上が特に好ましい。
【0034】
式(1)中のAで表される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の具体例としては、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン等が挙げられる。これらの二価フェノール成分は、複数組み合わせて用いることも可能である。
また、前記式(1)中のAが、下記式(3)に示す構造を有する化合物であることが好ましい。
【0035】
【化7】

【0036】
式(3)中、Rは水素原子またはアルキル基であり、R及びRは、各々独立にアルキル基である。
【0037】
式(3)中のRとしては、例えば、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基が挙げられるが、式(3)で示される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、Rとして、水素原子、炭素数4以下のアルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。
【0038】
式(3)のR及びRとしては、炭素数1〜炭素数6のアルキル基が挙げられるが、式(3)で示される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、Rとして、炭素数4以下のアルキル基が好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。
【0039】
式(3)の具体例としては、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン等が挙げられる。これらの二価フェノール成分は、複数組み合わせて用いることも可能である。
【0040】
式(1)中、Bは2価フェノール残基である。この2価フェノール残基とは、Aと同様に、ポリエステル樹脂を製造する際に原料として用いる2価フェノール化合物の2つの水酸基から2つの水素原子を除いた構造を示している。2価フェノール残基であればBの構造には特に制限は無く、通常電子写真感光体の感光層を結着するのに用いられる公知の樹脂が有する構造であれば、どのような構造であってもかまわない。
式(1)中のBで表される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の具体例としては、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらの二価フェノール成分は、複数組み合わせて用いることも可能である。
また、前記式(1)中のBが、下記式(4)に示す構造を有する化合物であることが好ましい。
【0041】
【化8】

【0042】
式(4)中、R及びRは、各々独立に水素原子、アルキル基、または互いに結合して環状構造を形成しても良い置換基であり、R及びRは、各々独立にアルキル基であり、n,mは、各々独立に1〜4の整数である。
【0043】
式(4)中のR及びRとしては、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基、または互いに結合したシクロヘキサン環が挙げられる。式(4)で示される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R及びRとして、水素原子、炭素数4以下のアルキル基、または互いに結合したシクロヘキサン環が好ましく、水素原子、炭素数1のアルキル基(メチル基)、または互いに結合したシクロヘキサン環が特に好ましい。
【0044】
式(4)中のR及びRとしては、炭素数1〜炭素数6のアルキル基が挙げられる。式(4)で示される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R及びRとして、炭素数4以下のアルキル基が好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。
【0045】
式(4)中のn,mは、各々独立に1〜4の整数である。式(4)で示される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、n,mとして好ましくは2以下であり、特に好ましくは1である。
【0046】
式(4)の具体例としては、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらの2価フェノール成分は、複数組み合わせて用いることも可能である。
式(1)中のXは、下記式(2)に示す構造を有する2価カルボン酸残基である。
【0047】
【化9】

【0048】
式(2)中、R及びRは、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基であり、n,mは、各々独立に0〜4の整数である。
【0049】
式(2)中のR及びRとしては、例えば、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。式(2)で示される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R及びRは、水素原子、炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。
【0050】
,mは各々独立に、0〜4の整数であり、特に好ましくは、n=m=0である。
式(2)で示される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が特に好ましい。これらの式(2)として例示した化合物は、必要に応じて複数の化合物を組み合わせて用いることも可能である。
【0051】
式(1)中のYは2価カルボン酸残基である。Yを誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエン−2,5−ジカルボン酸、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が特に好ましい。これらの式(1)中のYとして例示した化合物は、必要に応じて複数の化合物を組み合わせて用いることも可能である。
【0052】
尚、本実施の形態が適用される電子写真感光体における感光層には、前述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂と他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体またはその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂または種々の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂が好ましい。また、併用する樹脂の混合割合は、特に限定されないが、通常、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましい。
【0053】
式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常、10,000〜300,000、好ましくは、20,000〜200,000、特に好ましくは、25,000〜150,000の範囲である。粘度平均分子量(Mv)が過度に小さい場合、感光体を形成する等の膜として得たときの機械的強度が低下する傾向がある。また、粘度平均分子量(Mv)が過度に大きい場合は、塗布液としての粘度が上昇し、適当な膜厚に塗布することが困難になる傾向がある。
【0054】
(ポリエステル樹脂の製造方法)
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用する式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂の製造方法について説明する。ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の公知の重合方法を用いることができる。ここでポリエステル樹脂の製造法の一例を説明する。
【0055】
界面重合法による製造の場合は、例えば、2価フェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライド化合物を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。
【0056】
界面重合法で用いられるアルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。
【0057】
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0058】
触媒として用いられる4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩としては、例えば、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
【0059】
また、界面重合法では、分子量調節剤を使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類;o,m,p−フェニルフェノール等の1官能性のフェノール;酢酸クロライド、酪酸クロライド、オクチル酸クロライド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルフィニルクロライド、スルフィニルクロライド、ベンゼンホスホニルクロライドやそれらの置換体等の1官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。これら分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
【0060】
(導電性支持体)
本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用される導電性支持体の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化スズ等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が挙げられる。
【0061】
導電性支持体の形態としては、例えば、ドラム状、シート状、ベルト状等が挙げられる。また、金属材料を用いた導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御または欠陥被覆等を目的として、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものでも良い。
【0062】
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いる場合、予め、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施しても良い。尚、陽極酸化処理を施す場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
【0063】
導電性支持体の表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法または研磨処理により、または、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
【0064】
(下引き層)
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体と感光層との間に、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、例えば、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらの金属酸化物粒子は、1種類の粒子のみを用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。
【0065】
これらの中でも、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均1次粒径として10nm以上、100nm以下が好ましく、特に好ましいのは、10nm以上、50nm以下である。
【0066】
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアクリル酸樹脂、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できる。これらの中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
【0067】
バインダー樹脂に対する金属酸化物粒子の配合組成比は、特に限定されないが、通常、10重量%〜500重量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。尚、下引き層の膜厚は、特に限定されないが、感光体特性及び塗布性から0.1μm〜20μmが好ましい。また、下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
【0068】
(感光層)
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層に含有される他の成分について説明する。
【0069】
(電荷発生層)
本実施の形態が適用される電子写真感光体が積層型感光体である場合、感光層を構成する電荷発生層には電荷発生物質が含有される。電荷発生物質としては、例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料等の各種光導電材料が挙げられる。これらの中でも、特に、有機顔料、更に、フタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。
【0070】
これらの電荷発生層物質の微粒子は、例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル等の各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。
【0071】
電荷発生物質の使用量は、特に限定されないが、通常、バインダー樹脂100重量部に対して30重量部〜500重量部の範囲で使用される。尚、電荷発生層の膜厚は、通常、0.1μm〜1μm、好ましくは、0.15μm〜0.6μmが好適である。
【0072】
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を使用する場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。
【0073】
3価以上の金属原子への配位子の例としては、酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。特に、感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。
【0074】
尚、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型については、W.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2°が27.3°に明瞭なピークを示す結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物または結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
【0075】
(電荷輸送層)
本実施の形態が適用される電子写真感光体が積層型感光体である場合、感光層を構成する電荷輸送層には電荷輸送物質が含有される。電荷輸送物質としては、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物;テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物;ジフェノキノン等のキノン類等の電子吸引性物質;カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物;アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物またはこれらの化合物が複数結合されたもの;あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体の複数結合されてなるものが好ましい。
電荷輸送物質のなかでも、下記式(5)で表される構造を有する化合物が好ましく用いられる。
【0076】
【化10】

【0077】
式(5)中、Ar〜Arは各々独立して、置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良い2価の複素環基を表す。m,mは各々独立して0または1を表す。m=0の場合のAr,m=0の場合のArは、それぞれ置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、または置換基を有しても良い1価の複素環基である。m=1の場合のAr,m=1の場合のArは、それぞれ置換基を有しても良いアルキレン基、置換基を有しても良いアリーレン基、または置換基を有しても良い2価の複素環基を表す。Qは、直接結合または2価の残基を表す。R10〜R17は各々独立して水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、または置換基を有しても良い複素環基を表す。n〜nは各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar〜Arは互いに結合して環状構造を形成しても良い。
【0078】
さらに、式(5)中、R10〜R17は、各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。
【0079】
式(5)中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの内、炭素数1〜炭素数6のアルキル基が好ましい。アルキル基がアリール置換基を有する場合は、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜炭素数12のアルキル基が好ましい。
【0080】
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、炭素数6〜炭素数12のアリール基が好ましい。
複素環基は、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。
10〜R17において、最も好ましいものは、メチル基及びフェニル基である。
【0081】
式(5)中、Ar〜Arは、各々独立して、置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良い2価の複素環基を表す。m,mは各々独立して0または1を表す。m=0の場合のAr,m=0の場合のArは、それぞれ置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、または置換基を有しても良い1価の複素環基を表し、m=1の場合のAr,m=1の場合のArは、それぞれ置換基を有しても良いアルキレン基、置換基を有しても良いアリーレン基、または置換基を有しても良い2価の複素環基を表す。
具体的には、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。なかでも、炭素数6〜炭素数14のアリール基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
【0082】
式(5)中、1価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。2価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えば、ピリジレン基、チエニレン基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。これらのうち、最も好ましいものは、Ar及びArはフェニレン基であり、Arはフェニル基である。
【0083】
式(5)中、R10〜R17及びAr〜Arで表される基のうち、アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基は、さらに置換基を有していても良い。その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;スチリル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基または上述したアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基;シアノ基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。これらの置換基は互いに結合して、単結合、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、ビニリデン基、エチレニレン基等を介した環状炭化水素基や複素環基を形成しても良い。
【0084】
これらの中、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、炭素数1〜炭素数6のアルキル基、炭素数1〜炭素数6のアルコキシ基、炭素数1〜炭素数6のアルキルチオ基、炭素数6〜炭素数12のアリールオキシ基、炭素数6〜炭素数12のアリールチオ基、炭素数2〜炭素数8のジアルキルアミノ基が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
【0085】
式(5)中、n〜nは各々独立して0〜4の整数を表すが、0〜2が好ましく、1が特に好ましい。m,mは0又は1を表し、0が好ましい。
【0086】
式(5)中、Qは、直接結合又は2価の残基を表し、2価の残基として好ましいものは、16族原子、置換基を有しても良いアルキレン、置換基を有しても良いアリーレン基、置換基を有しても良いシクロアルキリデン基、またはこれらが互いに結合した、例えば[−O−Z−O−]、[−Z−O−Z−]、[−S−Z−S−]、[−Z−Z−]等が挙げられる(但し、Oは酸素原子、Sは硫黄原子、Zは置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良いアルキレン基を表す)。
【0087】
Qを構成するアルキレン基としては、炭素数1〜炭素数6のものが好ましく、中でもメチレン基及びエチレン基が更に好ましい。また、シクロアルキリデン基としては、炭素数5〜炭素数8のものが好ましく、中でもシクロペンチリデン基及びシクロヘキシリデン基が更に好ましい。アリーレン基としては、炭素数6〜炭素数14のものが好ましく、中でもフェニレン基及びナフチレン基が更に好ましい。
【0088】
また、これらアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキリデン基は置換基を有しても良い。好ましい置換基としては、例えば、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基、炭素数1〜炭素数6のアルケニル基、炭素数6〜炭素数14のアリール基が挙げられる。
【0089】
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層を構成する電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の具体例としては、例えば、特開平9−244278号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2002−275133号公報に記載されるアリールアミン系化合物等が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合しても良い。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
【0090】
式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質30重量部〜200重量部、好ましくは、40重量部〜150重量部の範囲で使用される。また電荷輸送層の膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
【0091】
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加剤を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
【0092】
(分散型(単層型)感光層)
分散型感光層の場合には、上述したバインダー樹脂と電荷輸送物質とからなる電荷輸送媒体中に、前述した電荷発生物質が分散される。電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。分散型感光層内に分散される電荷発生物質の量が過度に少ないと、充分な感度が得られず、過度に多いと、帯電性の低下、感度の低下等の弊害がある。電荷発生物質の使用量は、好ましくは0.5重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜20重量%の範囲で使用される。
【0093】
分散型感光層の膜厚は、通常5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜45μmで使用される。またこの場合にも成膜性、可撓制、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えば、シリコーンオイル、フッ素系オイル、その他の添加剤が添加されていても良い。分散型感光層の上に、分散型感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による分散型感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。また、電子写真感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層には、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
【0094】
(電子写真感光体の調製方法)
本実施の形態が適用される電子写真感光体の調製方法は、特に限定されないが、通常、導電性支持体上に、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有する感光層形成塗布液を、例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法等の公知の方法により塗布して形成される。これらの中でも生産性の高さから浸漬塗布法が好ましい。
【0095】
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体を用いた画像形成装置の一例について説明する。図1は、画像形成装置を説明する図である。図1に示された画像形成装置10は、所定の導電性支持体上に、前述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有する感光層を設けた電子写真感光体1と、電子写真感光体1を帯電させる帯電ローラーからなる帯電装置2と、電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成する露光装置3と、電子写真感光体1表面にトナー(T)を供給する現像装置4とを有する。
さらに、トナー(T)の帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(P)に転写する転写装置5と、電子写真感光体1に付着した残留トナーを掻き落とし回収するクリーニング装置6と、記録紙(P)に転写されたトナー像を定着させる定着装置7と、を有している。
【0096】
電子写真感光体1は、円筒状の導電性支持体の表面に上述したポリエステル樹脂を含有する感光層を設けたドラム状の形状を有している。
帯電装置2は、ローラー型の帯電ローラーを有している。尚、帯電装置2は、例えば、コロトロンまたはスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置等が良く用いられる。尚、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下、感光体カートリッジと言うことがある。)として、画像形成装置10の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば、電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置10本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置10本体に装着することができるようになっている(図示せず)。
【0097】
露光装置3は、電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成できるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザやHe−Neレーザ等のレーザ、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうこともできる。露光を行なう際に使用する光は特に限定されないが、例えば、波長780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等が挙げられる。
【0098】
現像装置4は、内部にトナー(T)が貯留されている現像槽41を備え、さらに、現像槽41は、トナー(T)を撹拌するアジテータ42と、貯留されているトナー(T)を担持して後述する現像ローラー44に供給する供給ローラー43と、電子写真感光体1及び供給ローラー43に各々当接し、供給ローラー43によって供給されるトナー(T)を担持して電子写真感光体1の表面に接触させる現像ローラー44と、現像ローラー44に当接する規制部材45と、を有している。また、必要に応じ、ボトル、カートリッジ等の容器から現像槽41にトナー(T)を補給する補給装置(図示せず)を付帯させても良い。現像装置4の種類に特に制限は無く、例えば、カスケード現象、1成分導電トナー現象、2成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方法等の任意の装置を用いることができる。
【0099】
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナー(T)を撹拌するとともに、トナー(T)を供給ローラー43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けても良い。
【0100】
供給ローラー43は、例えば、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラー44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロールまたは金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。現像ローラー44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えても良い。規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード又は金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。
【0101】
規制部材45は、現像ローラー44に当接し、バネ等によって現像ローラー44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、規制部材45にトナー(T)との摩擦帯電によりトナー(T)に帯電を付与する機能を設けても良い。尚、供給ローラー43及び現像ローラー44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。
【0102】
トナー(T)の種類は特に限定されないが、通常、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナー(T)の粒子の形状も球形に近いものからポテト状の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
【0103】
尚、トナー(T)は、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置10本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナー(T)が無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置10本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2及びトナー(T)が備えられたカートリッジを用いることもできる。
【0104】
転写装置5は、図示しないが、電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラー、転写ベルト等から構成されている。また、転写装置5の種類に特に制限は無く、例えば、コロナ転写、ローラー転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。
【0105】
クリーニング装置6は、特に限定はされないが、例えば、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。
【0106】
定着装置7は、定着ローラーからなる上部定着部材71と、上部定着部材71に当接する定着ローラーからなる下部定着部材72と、上部定着部材71の内部に設けられた加熱装置73と、を有している。尚、加熱装置73は下部定着部材72内部に設けても良い。上部定着部材71または下部定着部材72は、ステンレス、アルミニウム等の金属素管にシリコーンゴムを被覆した定着ロール、テフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等の公知の熱定着部材を使用することができる。更に、上部定着部材71または下部定着部材72は、離型性を向上させるためにシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としても良い。尚、定着装置7の種類に特に制限は無く、例えば、熱ローラー定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
【0107】
次に、画像形成装置10の作用について説明する。
電子写真感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば、−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させても良い。続いて、帯電された電子写真感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。
次に、電子写真感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。即ち、現像装置4は、供給ローラー43により供給されるトナー(T)を、現像ブレード等の規制部材45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは電子写真感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラー44に担持しながら搬送して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
【0108】
現像ローラー44に担持された帯電トナー(T)が電子写真感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が電子写真感光体1の感光面に形成される。続いて、このトナー像は、転写装置5によって記録紙(P)に転写される。この後、転写されずに電子写真感光体1の感光面に残留しているトナー(T)は、クリーニング装置6で除去される。記録紙(P)上に転写されたトナー(T)は、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナー(T)が溶融状態まで加熱され、通過後冷却されて記録紙(P)上にトナー(T)が定着され、最終的な画像が得られる。
【0109】
尚、画像形成装置10は、上述した構成に加え、例えば、除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体1に露光を行うことで電子写真感光体1の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
【0110】
また、画像形成装置10は更に変形して構成しても良く、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行うことができる構成としたり、オフセット印刷を行う構成としたり、更には複数種のトナー(T)を用いたフルカラータンデム方式の構成としても良い。
【実施例】
【0111】
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。尚、本実施の形態は実施例に限定されない。尚、実施例及び比較例中の部及び%は、特に限定しない限り重量基準である。
【0112】
(1)粘度平均分子量
ウベローデ型毛細管粘度計(ジクロロメタンの流下時間t0:135.40秒)を用いて、20.0℃において、樹脂のジクロロメタン溶液(濃度:C=6.00g/L)の流下時間(t)を測定し、以下の式に基づき、樹脂の粘度平均分子量(Mv)を算出した。ηsp=(t/t)−1
X=(0.2092×ηsp)+1.0734
Y=100×ηsp/C
C=6.00
η=Y/X
Mv=3207×(η1.205
【0113】
(2)感光体シートの調製
10重量部のオキシチタニウムフタロシアニンと、150重量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンとを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。尚、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示す。
【0114】
この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製、商品名デンカブチラール♯6000C)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50重量部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHH)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50重量部混合し、更に、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、固形分濃度4.0%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が0.4μmになるように塗布、乾燥して電荷発生層を設けた。
【0115】
次に、この電荷発生層上に、電荷輸送層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを調製した。電荷輸送層形成用塗布液は、後述する表1及び表2に示すそれぞれの樹脂100重量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.03重量部、及び、下記に示す化学構造を有する電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体からなる、特開2002−080432号公報の実施例1に記載の方法で製造した電荷輸送物質50重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に混合して調製した。
【0116】
【化11】

【0117】
(3)電気特性試験
電子写真学会測定標準に準拠した電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、第404頁〜405頁記載)を使用し、予め調製した感光体シートをアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。
初期表面電位を−700V、露光光として780nm、除電光として660nmの単色光を用い、露光光を2.4μJ/cm照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%(NN環境)と、温度5℃、相対湿度10%(LL環境)とで行った。VL値の絶対値が小さいほど応答性が良い(単位:−V)。
【0118】
(4)摩耗試験
予め調製した感光体シートを直径10cmの円状に切断して試験片を調製し、これを、テーバー摩耗試験機(東洋精機社製)を用いて摩耗試験を行った。試験条件は、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。摩耗量が少ないほど耐摩耗性が良好である(単位:mg)。
【0119】
(5)ポリエステル樹脂の製造例
以下の方法により、樹脂を製造した。
製造例1(樹脂1)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.81g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、BP−a)、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、BP−b)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、BP−c)の混合物(混合比率、BP−a:BP−b:BP−c=約35:48:17(以下、BP−d))(14.28g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン(以下、BP−e)(6.98g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0120】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2699g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5662g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(30.65g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0121】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.92mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂1を得た。得られた樹脂1の粘度平均分子量は25,000であった。樹脂1の繰り返し構造を以下に示す。
【0122】
【化12】

【0123】
製造例2(樹脂2)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.06g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−d(14.07g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下、BP−f)(7.72g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0124】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2687g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.7236g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.75g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0125】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(1.29mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂2を得た。得られた樹脂2の粘度平均分子量は25,000であった。樹脂2の繰り返し構造を以下に示す。
【0126】
【化13】

【0127】
製造例3(樹脂3)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.70g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−a(14.15g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(以下、BP−g)(7.34g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0128】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2674g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5609g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(30.36g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0129】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.88mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂3を得た。得られた樹脂3の粘度平均分子量は44,800であった。樹脂3の繰り返し構造を以下に示す。
【0130】
【化14】

【0131】
製造例4(樹脂4)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.71g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−a(14.16g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、BP−f(7.77g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0132】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2676g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5614g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.78g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0133】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.89mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂4を得た。得られた樹脂4の粘度平均分子量は51,600であった。樹脂4の繰り返し構造を以下に示す。
【0134】
【化15】

【0135】
製造例5(樹脂5)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.71g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−a(14.16g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(以下、BP−h)(7.77g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0136】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2676g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5614g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.78g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0137】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.89mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂5を得た。得られた樹脂5の粘度平均分子量は40,600であった。樹脂5の繰り返し構造を以下に示す。
【0138】
【化16】

【0139】
製造例6(樹脂6)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.61g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−a(14.03g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン(以下、BP−i)(8.12g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量268)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0140】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2651g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5561g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.50g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0141】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.85mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂6を得た。得られた樹脂6の粘度平均分子量は52,500であった。樹脂6の繰り返し構造を以下に示す。
【0142】
【化17】

【0143】
製造例7(樹脂7)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.52g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−a(13.90g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(以下、BP−j)(8.46g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量282)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0144】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2626g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5510g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.23g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0145】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.81mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂7を得た。得られた樹脂7の粘度平均分子量は48,200であった。樹脂7の繰り返し構造を以下に示す。
【0146】
【化18】

【0147】
製造例8(樹脂8)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.43g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−a(13.79g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(以下、BP−k)(8.75g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量294)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0148】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2606g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5466g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.00g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0149】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.78mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂8を得た。得られた樹脂8の粘度平均分子量は52,000であった。樹脂8の繰り返し構造を以下に示す。
【0150】
【化19】

【0151】
製造例9(樹脂9)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.68g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下、BP−l)(15.10g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−e(6.90g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0152】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2668g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5596g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.69g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0153】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.87mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂9を得た。得られた樹脂9の粘度平均分子量は56,500であった。樹脂9の繰り返し構造を以下に示す。
【0154】
【化20】

【0155】
製造例10(樹脂10)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.58g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.96g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−g(7.25g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0156】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2643g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5544g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.41g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0157】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.84mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂10を得た。得られた樹脂10の粘度平均分子量は54,300であった。樹脂10の繰り返し構造を以下に示す。
【0158】
【化21】

【0159】
製造例11(樹脂11)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.48g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.83g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−f(7.60g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0160】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2618g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5493g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.14g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0161】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.80mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂11を得た。得られた樹脂11の粘度平均分子量は46,300であった。樹脂11の繰り返し構造を以下に示す。
【0162】
【化22】

【0163】
製造例12(樹脂12)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.40g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.71g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BP−m)(7.89g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量266)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0164】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2598g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5450g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.91g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0165】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.77mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂12を得た。得られた樹脂12の粘度平均分子量は45,200であった。樹脂12の繰り返し構造を以下に示す。
【0166】
【化23】

【0167】
製造例13(樹脂13)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.39g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.69g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−i(7.94g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量268)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0168】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2594g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5442g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.87g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0169】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.77mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂13を得た。得られた樹脂13の粘度平均分子量は55,600であった。樹脂13の繰り返し構造を以下に示す。
【0170】
【化24】

【0171】
製造例14(樹脂14)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.29g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.56g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−j(8.28g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量282)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0172】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2571g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5393g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.61g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0173】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.73mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂14を得た。得られた樹脂14の粘度平均分子量は45,100であった。樹脂14の繰り返し構造を以下に示す。
【0174】
【化25】

【0175】
製造例15(樹脂15)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.21g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.44g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−k(8.56g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量294)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0176】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2551g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5351g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.39g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0177】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.70mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂15を得た。得られた樹脂15の粘度平均分子量は59,700であった。樹脂15の繰り返し構造を以下に示す。
【0178】
【化26】

【0179】
製造例16(樹脂16)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.45g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BP−n)(15.75g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−e(6.75g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0180】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2610g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5476g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.05g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0181】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.79mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂16を得た。得られた樹脂16の粘度平均分子量は51,500であった。樹脂16の繰り返し構造を以下に示す。
【0182】
【化27】

【0183】
製造例17(樹脂17)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.36g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−n(15.60g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−g(7.10g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0184】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2586g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5426g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.79g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0185】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.76mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂17を得た。得られた樹脂17の粘度平均分子量は47,000であった。樹脂17の繰り返し構造を以下に示す。
【0186】
【化28】

【0187】
製造例18(樹脂18)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.26g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−n(15.46g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−f(7.44g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0188】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2563g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5377g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.53g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0189】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.72mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂18を得た。得られた樹脂18の粘度平均分子量は43,500であった。樹脂18の繰り返し構造を以下に示す。
【0190】
【化29】

【0191】
製造例19(樹脂19)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.26g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−n(15.46g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−h(7.44g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0192】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2563g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5377g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.53g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0193】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.72mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂19を得た。得られた樹脂19の粘度平均分子量は48,400であった。樹脂19の繰り返し構造を以下に示す。
【0194】
【化30】

【0195】
製造例20(樹脂20)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.18g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−n(15.34g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−m(7.73g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量266)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0196】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2543g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5335g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.31g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0197】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.69mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂20を得た。得られた樹脂20の粘度平均分子量は42,000であった。樹脂20の繰り返し構造を以下に示す。
【0198】
【化31】

【0199】
製造例21(樹脂21)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.17g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−n(15.32g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−i(7.78g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量268)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0200】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2540g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5329g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.27g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0201】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.69mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂21を得た。得られた樹脂21の粘度平均分子量は48,800であった。樹脂21の繰り返し構造を以下に示す。
【0202】
【化32】

【0203】
製造例22(樹脂22)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.00g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−n(15.07g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−k(8.39g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量294)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0204】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2498g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.5241g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(27.81g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0205】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.63mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂22を得た。得られた樹脂22の粘度平均分子量は45,400であった。樹脂22の繰り返し構造を以下に示す。
【0206】
【化33】

【0207】
製造例23(樹脂23)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.66g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(16.06g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−a(6.04g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0208】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2662g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5064g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.63g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0209】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.87mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂23を得た。得られた樹脂23の粘度平均分子量は51,800であった。樹脂23の繰り返し構造を以下に示す。
【0210】
【化34】

【0211】
製造例24(樹脂24)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.54g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.88g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル(以下、BP−o)(6.03g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量200)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0212】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2632g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5006g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.89g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0213】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.82mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂24を得た。得られた樹脂24の粘度平均分子量は29,700であった。樹脂24の繰り返し構造を以下に示す。
【0214】
【化35】

【0215】
製造例25(樹脂25)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.56g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.91g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−l(6.40g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0216】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2637g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5017g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.36g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0217】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.83mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂25を得た。得られた樹脂25の粘度平均分子量は57,600であった。樹脂25の繰り返し構造を以下に示す。
【0218】
【化36】

【0219】
製造例26(樹脂26)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.46g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.76g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−n(6.76g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0220】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2613g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4970g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.08g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0221】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.79mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂26を得た。得られた樹脂26の粘度平均分子量は59,400であった。樹脂26の繰り返し構造を以下に示す。
【0222】
【化37】

【0223】
製造例27(樹脂27)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.37g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.62g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−g(7.11g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0224】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2589g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4925g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.82g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0225】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.76mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂27を得た。得られた樹脂27の粘度平均分子量は63,400であった。樹脂27の繰り返し構造を以下に示す。
【0226】
【化38】

【0227】
製造例28(樹脂28)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.27g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.48g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−f(7.45g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0228】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2566g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4880g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.56g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0229】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.73mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂28を得た。得られた樹脂28の粘度平均分子量は53,800であった。樹脂28の繰り返し構造を以下に示す。
【0230】
【化39】

【0231】
製造例29(樹脂29)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.27g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.48g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−h(7.45g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0232】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2566g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4880g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.56g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0233】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.73mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂29を得た。得られた樹脂29の粘度平均分子量は54,300であった。樹脂29の繰り返し構造を以下に示す。
【0234】
【化40】

【0235】
製造例30(樹脂30)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.19g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.36g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−m(7.74g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量266)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0236】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2546g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4843g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.34g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0237】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.70mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂30を得た。得られた樹脂30の粘度平均分子量は49,300であった。樹脂30の繰り返し構造を以下に示す。
【0238】
【化41】

【0239】
製造例31(樹脂31)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.18g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(15.34g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−i(7.79g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量268)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0240】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2543g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4837g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.30g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0241】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.69mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂31を得た。得られた樹脂31の粘度平均分子量は56,200であった。樹脂31の繰り返し構造を以下に示す。
【0242】
【化42】

【0243】
製造例32(樹脂32)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(8.83g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.68g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−d(5.91g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0244】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2605g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4955g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.00g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0245】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(1.26mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂32を得た。得られた樹脂32の粘度平均分子量は48,600であった。樹脂32の繰り返し構造を以下に示す。
【0246】
【化43】

【0247】
製造例33(樹脂33)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.43g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.68g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−a(5.91g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0248】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2605g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4955g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.00g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0249】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.78mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂33を得た。得られた樹脂33の粘度平均分子量は40,000であった。樹脂33の繰り返し構造を以下に示す。
【0250】
【化44】

【0251】
製造例34(樹脂34)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.31g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.49g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−o(5.90g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量200)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0252】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2576g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4900g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.26g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0253】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.74mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂34を得た。得られた樹脂34の粘度平均分子量は36,000であった。樹脂34の繰り返し構造を以下に示す。
【0254】
【化45】

【0255】
製造例35(樹脂35)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.34g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.53g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル(以下、BP−p)(6.26g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0256】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2581g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4910g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.73g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0257】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.75mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂35を得た。得られた樹脂35の粘度平均分子量は29,300であった。樹脂35の繰り返し構造を以下に示す。
【0258】
【化46】

【0259】
製造例36(樹脂36)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.34g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.53g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−l(6.26g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0260】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2581g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4910g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.73g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0261】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.75mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂36を得た。得られた樹脂36の粘度平均分子量は43,900であった。樹脂36の繰り返し構造を以下に示す。
【0262】
【化47】

【0263】
製造例37(樹脂37)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.24g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.38g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−n(6.61g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0264】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2558g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4866g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.47g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0265】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.71mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂37を得た。得られた樹脂37の粘度平均分子量は47,900であった。樹脂37の繰り返し構造を以下に示す。
【0266】
【化48】

【0267】
製造例38(樹脂38)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.24g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.25g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−e(6.56g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2575g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.6785g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.46g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0268】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.71mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂38を得た。得られた樹脂38の粘度平均分子量は43,100であった。樹脂38の繰り返し構造を以下に示す。
【0269】
【化49】

【0270】
製造例39(樹脂39)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.15g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(16.23g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル(以下、BP−q)(6.96g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0271】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2535g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.4822g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.22g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0272】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.68mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂39を得た。得られた樹脂39の粘度平均分子量は45,800であった。樹脂39の繰り返し構造を以下に示す。
【0273】
【化50】

【0274】
製造例40(樹脂40)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.06g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(15.97g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−f(7.24g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0275】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2529g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.6665g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(27.96g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0276】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.65mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂40を得た。得られた樹脂40の粘度平均分子量は38,000であった。樹脂40の繰り返し構造を以下に示す。
【0277】
【化51】

【0278】
製造例41(樹脂41)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.06g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(15.97g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−h(7.24g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0279】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2529g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.6665g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(27.96g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0280】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.65mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂41を得た。得られた樹脂41の粘度平均分子量は39,800であった。樹脂41の繰り返し構造を以下に示す。
【0281】
【化52】

【0282】
製造例42(樹脂42)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.98g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(15.85g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−m(7.52g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量266)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0283】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2511g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.6615g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(27.75g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0284】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.62mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂42を得た。得られた樹脂42の粘度平均分子量は35,400であった。樹脂42の繰り返し構造を以下に示す。
【0285】
【化53】

【0286】
製造例43(樹脂43)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.03g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−h(16.97g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)と、BP−n(6.48g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0287】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2505g)、および、2,3,6−トリメチルフェノール(0.4765g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(27.88g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0288】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.64mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂43を得た。得られた樹脂43の粘度平均分子量は45,700であった。樹脂43の繰り返し構造を以下に示す。
【0289】
【化54】

【0290】
製造例44(樹脂44)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.78g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−h(16.55g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)と、BP−m(7.43g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量266)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2444g)、および、2,3,6−トリメチルフェノール(0.4648g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(27.20g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0291】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.55mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂44を得た。得られた樹脂44の粘度平均分子量は39,900であった。樹脂44の繰り返し構造を以下に示す。
【0292】
【化55】

【0293】
製造例45(樹脂45)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.45g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−m(16.73g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量266)と、BP−k(7.92g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量294)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0294】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2360g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.4951g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(26.26g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0295】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.43mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂45を得た。得られた樹脂45の粘度平均分子量は47,300であった。樹脂45の繰り返し構造を以下に示す。
【0296】
【化56】

【0297】
製造例46(樹脂46)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.15g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(10.17g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−i(12.84g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量268)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
【0298】
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2552g)、および、2,3,6−トリメチルフェノール(0.6725g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.20g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
【0299】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.68mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂46を得た。得られた樹脂46の粘度平均分子量は35,400であった。樹脂46の繰り返し構造を以下に示す。
【0300】
【化57】

【0301】
(実施例1〜実施例42、比較例1〜比較例4)
前述した樹脂1〜樹脂46を用いて調製した感光体シートについて、電気特性試験及び摩耗試験を行った。樹脂1〜樹脂46の各粘度平均分子量(Mv)と併せて結果を表1及び表2に示す。尚、表3に、略語で示した2価フェノール残基Aを与える2価フェノール化合物及び2価フェノール残基Bを与える2価フェノール化合物の化合物名を示す。
【0302】
【表1】

【0303】
【表2】

【0304】
【表3】

【0305】
表1及び表2に示す結果から、分子量250以下の2価フェノール残基を用い、且つ、式(1)における{a/(a+b)}が0.7であるポリエステル樹脂(樹脂1〜樹脂42)を含有する感光体シート(実施例1〜実施例42)は、電気特性及び摩耗試験において良好な性能を示すことが分かる。
これに対して、分子量250以上の2価フェノール残基を用い、且つ、式(1)における{a/(a+b)}が0.7であるポリエステル樹脂(樹脂43、樹脂44、樹脂45)を含有する感光体シート(比較例1〜比較例3)は、摩耗試験において充分な結果が得られない。さらに、分子量250以下の2価フェノール残基を用い、且つ、式(1)における{a/(a+b)}が0.5であるポリエステル樹脂(樹脂46)を含有する感光体シート(比較例4)も、摩耗試験において充分な結果が得られないことが分かる。
【0306】
製造例47(樹脂47)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.57g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.86g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−g(7.20g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2655g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.7292g)を順次反応槽に添加した。
【0307】
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.38g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.83mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂47を得た。得られた樹脂47の粘度平均分子量は42,100であった。樹脂47の繰り返し構造を以下に示す。
【0308】
【化58】

【0309】
製造例48(樹脂48)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.38g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−l(14.58g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)と、BP−i(7.89g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量268)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2608g)、および、p−(tert−ブチル)フェノール(0.7301g)を順次反応槽に添加した。
【0310】
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.85g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.76mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂48を得た。得られた樹脂48の粘度平均分子量は46,200であった。樹脂48の繰り返し構造を以下に示す。
【0311】
【化59】

【0312】
製造例49(樹脂49)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.66g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−e(16.03g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量226)と、BP−d(6.03g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2666g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5465g)を順次反応槽に添加した。
【0313】
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(29.63g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.86mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂49を得た。得られた樹脂49の粘度平均分子量は40,600であった。樹脂49の繰り返し構造を以下に示す。
【0314】
【化60】

【0315】
製造例50(樹脂50)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.27g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(18.75g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−l(4.14g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2569g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5268g)を順次反応槽に添加した。
【0316】
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.55g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.73mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂50を得た。得られた樹脂50の粘度平均分子量は45,700であった。樹脂50の繰り返し構造を以下に示す。
【0317】
【化61】

【0318】
製造例51(樹脂51)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.40g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(14.23g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−l(8.39g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量212)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2601g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5332g)を順次反応槽に添加した。
【0319】
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.90g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.77mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂51を得た。得られた樹脂51の粘度平均分子量は43,400であった。樹脂51の繰り返し構造を以下に示す。
【0320】
【化62】

【0321】
製造例52(樹脂52)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.97g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−g(15.88g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量240)と、BP−i(7.59g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量268)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2500g)、および、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5738g)を順次反応槽に添加した。
【0322】
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(27.72g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.62mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂52を得た。得られた樹脂52の粘度平均分子量は45,000であった。樹脂52の繰り返し構造を以下に示す。
【0323】
【化63】

【0324】
製造例53(樹脂53)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.22g)とHO(423mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、BP−h(17.40g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量254)と、BP−d(5.83g、繰り返し構造中の2価フェノール残基分子量198)を添加、撹拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2535g)、および、2,3,6−トリメチルフェノール(0.3038g)を順次反応槽に添加した。
【0325】
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(28.40g)とジクロロメタン(211mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(3.70mL)を加え30分撹拌した後、撹拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(424mL)にて洗浄を2回行い、次に、0.1N塩酸(424mL)にて洗浄を4回行い、さらに、HO(424mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2,820mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂53を得た。得られた樹脂53の粘度平均分子量は42,800であった。樹脂53の繰り返し構造を以下に示す。
【0326】
【化64】

【0327】
[感光体ドラムの製造]
<電荷発生層用分散液の製造>
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を、1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を製造した。
ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製、商品名デンカブチラール#6000C)5重量部を1,2−ジメトキシエタン95重量部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液1を製造した。
【0328】
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHH)5重量部を1,2−ジメトキシエタン95重量部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液2を製造した。先に製造した顔料分散液160重量部に、バインダー溶液1を50重量部、バインダー溶液2を50重量部、適量の1,2−ジメトキシエタンと、適量の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを加え固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン=9:1の電荷発生層用分散液αを調製した。
【0329】
実施例43
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ285mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後、酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーに、先に製造した電荷発生層用分散液αを浸漬塗布し、その乾燥後の膜厚が、約0.3μmとなるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質50重量部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂4を100重量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)に溶解させた電荷輸送層形成用塗布液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚20μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをL4とする。
【0330】
実施例44
樹脂4を樹脂11に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL11を作成した。
【0331】
実施例45
樹脂4を樹脂47に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL47を作成した。
【0332】
実施例46
樹脂4を樹脂48に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL48を作成した。
【0333】
実施例47
樹脂4を樹脂18に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL18を作成した。
【0334】
実施例48
樹脂4を樹脂49に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL49を作成した。
【0335】
実施例49
樹脂4を樹脂25に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL25を作成した。
【0336】
実施例50
樹脂4を樹脂26に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL26を作成した。
【0337】
実施例51
樹脂4を樹脂27に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL27を作成した。
【0338】
実施例52
樹脂4を樹脂28に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL28を作成した。
【0339】
実施例53
樹脂4を樹脂29に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL29を作成した。
【0340】
実施例54
樹脂4を樹脂30に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL30を作成した。
【0341】
実施例55
樹脂4を樹脂32に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL32を作成した。
【0342】
実施例56
樹脂4を樹脂33に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL33を作成した。
【0343】
実施例57
樹脂4を樹脂50に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL50を作成した。
【0344】
実施例58
樹脂4を樹脂36に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL36を作成した。
【0345】
実施例59
樹脂4を樹脂51に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL51を作成した。
【0346】
実施例60
樹脂4を樹脂37に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL37を作成した。
【0347】
実施例61
樹脂4を樹脂38に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL38を作成した。
【0348】
実施例62
樹脂4を樹脂40に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL40を作成した。
【0349】
実施例63
樹脂4を樹脂41に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL41を作成した。
【0350】
実施例64
樹脂4を樹脂42に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL42を作成した。
【0351】
実施例65
樹脂4を樹脂52に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL52を作成した。
【0352】
比較例5
樹脂4を樹脂53に変えた以外は実施例43と同様にして、感光体ドラムL53を作成した。
【0353】
[磨耗試験による膜減り量測定]
これらの感光体ドラムを市販のカラーレーザプリンタ(エプソン社製 LP3000C、スコロトロン帯電、非磁性一成分ジャンピング現像、中間転写方式、4サイクル方式)に装着して常温常湿環境下においてモノクロ(黒)モードで6,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から、膜減り量を計算した。結果を表4に示す。膜減り量が少ないほど、耐磨耗性が良好である。
【0354】
【表4】

【0355】
<下引き層用分散液の作製>
平均一次粒径40nmのルチル型白色酸化チタン(石原産業株式会社製、製品名 TTO55N)と該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシラン(東芝シリコーン株式会社製 製品名TSL8117)を高速流動式混合混練機(株式会社カワタ製、製品名SMG300)に投入し、高速混合(回転周速 34.5m/秒)を行ない表面処理酸化チタンを得た。
該表面処理酸化チタンを、ボールミルによりメタノール/n−プロパノール=7/3の混合溶媒中で分散し、その酸化チタンスラリーに、下記構造式(1)の共重合ポリアミド溶解液を混合し、更に超音波分散処理を行い、溶媒組成が、メタノール/n−プロパノール=7/3で、酸化チタン/ポリアミド=3/1で、固形分濃度16重量%の分散液を調整し、下引き層用分散液を作製した。
【0356】
【化65】

【0357】
<電荷発生層用分散液の作製>
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を、1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。
【0358】
この顔料分散液160重量部に、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製、商品名デンカブチラール#6000C)5重量部を1,2−ジメトキシエタン95重量部に溶解した、固形分濃度5重量%のバインダー溶液100重量部と、適量の1,2−ジメトキシエタン、適量の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを加え、固形分濃度4.0重量%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン=9:1の電荷発生層用分散液β1を作製した。
【0359】
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を、1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。
【0360】
この顔料分散液160重量部に、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製、商品名デンカブチラール#6000C)5重量部を1,2−ジメトキシエタン95重量部に溶解した、固形分濃度5重量%のバインダー溶液100重量部と、適量の1,2−ジメトキシエタン、適量の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを加え、固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン=9:1の電荷発生層用分散液β2を作製した。
電荷発生層用分散液β1と電荷発生層用分散液β2を8:2の割合で混合し、電荷発生層用分散液βを調製した。
【0361】
<感光体ドラムの作製>
実施例66
表面が粗切削(Rmax=0.8)された外径30mm、長さ254mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを、先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、膜厚約1.3μmの下引き層を形成した。このシリンダーを先に調製した電荷発生層用分散液βに浸漬塗布し、乾燥後の重量が0.3g/m(膜厚約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質50重量部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂4を100重量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚25μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをS4とする。
【0362】
実施例67
樹脂4を樹脂11に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS11を作成した。
【0363】
実施例68
樹脂4を樹脂47に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS47を作成した。
【0364】
実施例69
樹脂4を樹脂48に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS48を作成した。
【0365】
実施例70
樹脂4を樹脂18に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS18を作成した。
【0366】
実施例71
樹脂4を樹脂49に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS49を作成した。
【0367】
実施例72
樹脂4を樹脂25に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS25を作成した。
【0368】
実施例73
樹脂4を樹脂26に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS26を作成した。
【0369】
実施例74
樹脂4を樹脂27に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS27を作成した。
【0370】
実施例75
樹脂4を樹脂28に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS28を作成した。
【0371】
実施例76
樹脂4を樹脂29に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS29を作成した。
【0372】
実施例77
樹脂4を樹脂30に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS30を作成した。
【0373】
実施例78
樹脂4を樹脂32に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS32を作成した。
【0374】
実施例79
樹脂4を樹脂33に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS33を作成した。
【0375】
実施例80
樹脂4を樹脂50に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS50を作成した。
【0376】
実施例81
樹脂4を樹脂36に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS36を作成した。
【0377】
実施例82
樹脂4を樹脂51に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS51を作成した。
【0378】
実施例83
樹脂4を樹脂37に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS37を作成した。
【0379】
実施例84
樹脂4を樹脂38に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS38を作成した。
【0380】
実施例85
樹脂4を樹脂40に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS40を作成した。
【0381】
実施例86
樹脂4を樹脂41に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS41を作成した。
【0382】
実施例87
樹脂4を樹脂42に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS42を作成した。
【0383】
実施例88
樹脂4を樹脂52に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS52を作成した。
【0384】
比較例6
樹脂4を樹脂53に変えた以外は実施例66と同様にして、感光体ドラムS53を作成した。
【0385】
[磨耗試験による膜減り量測定]
これらの感光体ドラムを市販のモノクロレーザプリンタ(レックスマーク社製、Optra S2450、A4縦送りで24枚/分、直流電圧印加のローラー帯電、非磁性一成分接触現像、ローラー転写)に装着して常温常湿下において30,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から、膜減り量を計算した。結果を表5に示す。膜減り量が少ないほど、耐磨耗性が良好である。
【0386】
【表5】

【0387】
実施例89
表面が粗切削(Rmax=1.0)された外径30mm、長さ346mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。
このシリンダーを先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚約1.3μmの下引き層を形成した。
さらに先に作製した電荷発生層用分散液β1に浸漬塗布し、乾燥後の重量が0.3g/m(膜厚約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
【0388】
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質30重量部と、酸化防止剤(チバガイギー社製、Irganox1076)4重量部、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂11を100重量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚25μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをD11とする。
【0389】
実施例90
樹脂11を樹脂48に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD48を作成した。
【0390】
実施例91
樹脂11を樹脂18に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD18を作成した。
【0391】
実施例92
樹脂11を樹脂49に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD49を作成した。
【0392】
実施例93
樹脂11を樹脂25に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD25を作成した。
【0393】
実施例94
樹脂11を樹脂26に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD26を作成した。
【0394】
実施例95
樹脂11を樹脂27に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD27を作成した。
【0395】
実施例96
樹脂11を樹脂28に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD28を作成した。
【0396】
実施例97
樹脂11を樹脂29に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD29を作成した。
【0397】
実施例98
樹脂11を樹脂30に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD30を作成した。
【0398】
実施例99
樹脂11を樹脂32に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD32を作成した。
【0399】
実施例100
樹脂11を樹脂50に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD50を作成した。
【0400】
実施例101
樹脂11を樹脂36に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD36を作成した。
【0401】
実施例102
樹脂11を樹脂51に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD51を作成した。
【0402】
実施例103
樹脂11を樹脂37に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD37を作成した。
【0403】
実施例104
樹脂11を樹脂38に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD38を作成した。
【0404】
実施例105
樹脂11を樹脂40に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD40を作成した。
【0405】
実施例106
樹脂11を樹脂41に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD41を作成した。
【0406】
実施例107
樹脂11を樹脂42に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD42を作成した。
【0407】
比較例7
樹脂11を樹脂53に変えた以外は実施例89と同様にして、感光体ドラムD53を作成した。
【0408】
[磨耗試験による膜減り量測定]
これらの感光体を市販のデジタル複合機(パナソニックコミュニケーションズ社製、WORKIO3200、A4横送りで32枚/分、交流重畳直流電圧印加のローラー帯電、磁性1成分ジャンピング現像、解像度600dpi×600dpi)に装着して常温常湿下において30,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から、10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表6に示す。膜減り量が少ないほど、耐磨耗性が良好である。
【0409】
【表6】

【0410】
実施例108
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダーの表面に、陽極酸化処理を行ない、その後、酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行なうことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーを、先に作製した電荷発生層用分散液β1に浸漬塗布して、その乾燥後の膜厚が約0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
【0411】
次に、前記電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質50重量部、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂47を100重量部、酸化防止剤(チバガイギー社製、Irganox1076)8重量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液に、先に電荷発生層を形成したシリンダーを浸漬塗布して、乾燥後の膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。このようにして得られた感光体ドラムをC47とする。
【0412】
実施例109
樹脂47を樹脂48に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC48を作成した。
【0413】
実施例110
樹脂47を樹脂18に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC18を作成した。
【0414】
実施例111
樹脂47を樹脂49に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC49を作成した。
【0415】
実施例112
樹脂47を樹脂25に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC25を作成した。
【0416】
実施例113
樹脂47を樹脂26に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC26を作成した。
【0417】
実施例114
樹脂47を樹脂27に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC27を作成した。
【0418】
実施例115
樹脂47を樹脂28に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC28を作成した。
【0419】
実施例116
樹脂47を樹脂29に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC29を作成した。
【0420】
実施例117
樹脂47を樹脂30に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC30を作成した。
【0421】
実施例118
樹脂47を樹脂32に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC32を作成した。
【0422】
実施例119
樹脂47を樹脂50に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC50を作成した。
【0423】
実施例120
樹脂47を樹脂36に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC36を作成した。
【0424】
実施例121
樹脂47を樹脂51に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC51を作成した。
【0425】
実施例122
樹脂47を樹脂37に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC37を作成した。
【0426】
実施例123
樹脂47を樹脂38に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC38を作成した。
【0427】
実施例124
樹脂47を樹脂40に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC40を作成した。
【0428】
実施例125
樹脂47を樹脂41に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC41を作成した。
【0429】
実施例126
樹脂47を樹脂42に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC42を作成した。
【0430】
実施例127
樹脂47を樹脂52に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC52を作成した。
【0431】
比較例8
樹脂47を樹脂53に変えた以外は実施例108と同様にして、感光体ドラムC53を作成した。
【0432】
これらの感光体を市販のカラータンデムプリンタ(株式会社沖データ製C3100、直流電圧印加の接触ローラー帯電、600dpi、LED露光、非磁性一成分接触現像)に装着して常温常湿下において10,000枚のプリントを行い、プリント前後の膜厚の差から、膜減り量を計算した。結果を表7に示す。膜減り量が少ないほど、耐磨耗性が良好である。
【0433】
【表7】

【0434】
表4、表5、表6、表7に示す結果から、分子量250以下の2価フェノール残基を用い、且つ、一般式(1)における{a/(a+b)}が0.6〜0.8であるポリエステル樹脂を含有する感光体ドラム(実施例43〜実施例127)は、摩耗試験において良好な性能を示すことが分かる。
これに対して、分子量250以上の2価フェノール残基を用い、且つ、一般式(1)における{a/(a+b)}が0.7であるポリエステル樹脂を含有する感光体ドラム(比較例5〜比較例8)は、摩耗試験において充分な結果が得られないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0435】
【図1】画像形成装置を説明する図である。
【符号の説明】
【0436】
1…電子写真感光体、2…帯電装置、3…露光装置、4…現像装置、5…転写装置、6…クリーニング装置、7…定着装置、41…現像槽、42…アジテータ、43…供給ローラー、44…現像ローラー、45…規制部材、71…上部定着部材、72…下部定着部材、73…加熱装置、T…トナー、P…記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と、
前記導電性支持体上に形成された感光層と、を有し、
前記感光層は、下記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体。
【化1】

(式(1)中、0.5<{a/(a+b)}<1であり、Aは分子量250以下の2価フェノール残基、Bは2価フェノール残基、Xは下記式(2)に示す構造であり、Yは2価カルボン酸残基である。)
【化2】

(式(2)中、R及びRは、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基であり、n,mは、各々独立に0〜4の整数である。)
【請求項2】
前記式(1)中のAが、下記式(3)に示す構造であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【化3】

(式(3)中、Rは水素原子またはアルキル基であり、R及びRは、各々独立にアルキル基である。)
【請求項3】
前記式(1)中のBが、下記式(4)に示す構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
【化4】

(式(4)中、R及びRは、各々独立に水素原子、アルキル基、または互いに結合して環状構造を形成しても良い置換基であり、R及びRは、各々独立にアルキル基であり、n,mは、各々独立に1〜4の整数である。)
【請求項4】
前記感光層は、さらに下記式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の電子写真感光体。
【化5】

(式(5)中、Ar〜Arは各々独立して、置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良い2価の複素環基を表す。m,mは各々独立して0または1を表す。Qは、直接結合または2価の残基を表す。R10〜R17は各々独立して水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、または置換基を有しても良い複素環基を表す。n〜nは各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar〜Arは互いに結合して環状構造を形成しても良い。)

【図1】
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【公開番号】特開2008−293006(P2008−293006A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114655(P2008−114655)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】