説明

電子写真液体現像装置における絞りローラのクリーニング方法および装置

【発明の詳細な説明】
(A)産業上の利用分野本発明は、電子写真液体現像装置における絞りローラのクリーニング装置ならびに該装置を用いたクリーニング方法に関する。
(B)従来技術及びその問題点第3図は、従来の電子写真現像装置の断面概略図である。コロナ帯電され、画像露光された電子写真感光体1は、第3図において矢印の方向から、送りローラ対4、5によって、現像電極板対9、10に送り込まれる。現像電極板対9、10には、液体現像剤2がポンプによって(図示せず)現像剤供給スリット11から均一に送られ、充満されている。
現像電極板対9、10内で現像された電子写真感光体は、絞りローラ対6、7によって、余剰の液体現像剤が絞られ次工程(例えば、乾燥、定着工程)へ送り出される。クリーニングパッド8は、カブリ除去を効果的に行うために、弾力性のある材料、例えば、木綿等で構成されており、上部絞りローラ6に押し当てられる様にされ、ローラの回転によってそれを拭い清め、電子写真感光体の感光層面から除去された余剰の現像剤がローラを介して再び感光層面に付着することがないようにされている。
クリーニングパッドによるクリーニング方法は、例えば特開昭50−15561、同昭50−98844、同昭51−118437、実開昭56−126656などに開示されているが、充分なクリーニング効果があるとは言い難い。特に現像装置は、常時連続して使用される場合は少なく、夜間または休日には運転が停止されることから、この休止期間に絞りローラ対に残存しているトナーを含む現像剤が蒸発し、乾燥すると皮膜となって固着すると共に、濃縮されたトナーが局部的に固着し、運転再開時に、上部絞りローラ6の表面に傷を付けたり、ときには、絞りローラ対同士や、クリーニングパッド8と上部ローラとを互いにこびりつかせ、駆動を妨げるにいたることがある。
(C)発明の目的本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決したクリーニング方法および装置を提供することにあり、汚れのない良好な電子写真感光体の現像を可能にすることにある。
(D)発明の構成本発明のクリーニング方法は、電子写真液体現像装置の絞りローラをクリーニングパッドでクリーニングする方法に於て、作業の中断あるいは終了時に、(a)絞りローラ対を溶剤供給ノズルにより供給される液体現像剤の溶剤で洗浄すること、(b)絞りローラ対を昇降手段によって離隔すること、および(c)感光体の感光面と接する側の絞りローラとクリーニングパッドを絞りローラ対が離隔した後または離隔と同時に当接せしめることを含み、絞りローラ対を離間した状態でクリーニングパッドによりクリーニングし、クリーニング後はクリーニングパッドを元の位置に復帰させることを特徴とするものである。
また上記方法を好適に実施するための本発明のクリーニング装置は、電子写真感光体の余剰の液体現像剤を絞るための絞りローラ対とクリーニングパッドを有する電子写真液体現像装置であって、昇降手段を有するクリーニングパッドは絞りローラ対から離れて位置し、洗浄液として液体現像剤の溶剤を供給するための溶剤供給ノズルを絞りローラ対の上に設け、絞りローラ対は昇降手段によって互いに離隔しうるようになっており、クリーニング時、離間した絞りローラ対のうち感光面に接する側のローラとクリーニングパッドがクリーニングパッドの昇降手段により当接するようにしたことを特徴とする絞りローラのクリーニング装置である。
以下、図面を用いながら本発明を更に詳しく説明する。
第1図は、本発明の絞りローラのクリーニング装置を備えた電子写真液体現像装置の1例を示す断面略図である。第2図は、第1図のクリーニングローラ対をクリーニングしている時の状態を示す要部断面略図である。
第1図において、11は現像剤供給スリットであり、図示していないが、ポンプによって液体現像剤2を連続的に供給する部分である。9、10は現像電極板対であり、通常、電気の良導体が用いられる。4、5は送りローラ対、6、7は絞りローラ対であり、通常は絶縁性のゴムローラであるが、場合によっては、一方が金属ローラであってもよい。8は、布のような吸液性の材質からなるクリーニングパッドであり、3は、液体現像剤の溶剤を絞りローラ対に供給するためのノズルである。
液体現像剤2は、高絶縁性炭化水素系溶剤中に顔料や染料の着色剤、被覆樹脂あるいは樹脂粒子、さらには電荷制御剤などからなる周知のものが使用できる。かかる溶剤としては、ノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素などが挙げられるが、安全性、揮発性等の面から実用上好ましくはイソパラフィン系炭化水素溶媒であるシェルゾル71(シェル石油製)、アイソパーO、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーG(アイソパーはエクソン社の商品名)やアイピーソルベント(出光石油化学製)等が使用出来る。溶剤供給ノズル3により供給される溶剤は、上記した液体現像剤2の溶剤が用いられる。
第1図においてコロナ帯電され、画像露光された電子写真感光体が送りローラ対4、5によって現像電極板対9、10内に送り込まれる。現像電極板対9、10の内部には、液体現像剤2がポンプによって(図示せず)現像剤供給スリット11から均一に送られ、充満されており、静電潜像に応じてトナー現像が行なわれる。現像された電子写真感光体は、絞りローラ対6、7によって余剰の液体現像剤が絞られ、次工程(例えば乾燥、定着工程)へ送り出される。
電子写真感光体を連続的に現像する場合には、絞りローラ対6、7のクリーニングは通常必要としないが、作業の中断あるいは終了時にクリーニング工程を必要とする。
本発明のクリーニング方法は次の工程を含んでいる。第1図に於て、液体現像剤の溶剤を収納した容器(図示せず)から溶剤供給ノズル3へ送られた溶剤は、絞りローラ対6、7の長さ方向にわたって設けられたノズル3のスリットあるいは多数の孔からシャワー状に絞りローラ対6、7に供給される。絞りローラ対6、7は回転によって、付着した液体現像剤2の洗浄が行なわれる(工程a)。次いで、絞りローラ6は両側の軸に設けられた周知の昇降手段(例えばエアーシリンダー駆動機構など)により絞りローラ7から離隔される(工程b)。0.5mm〜5mm程度が好ましいが、それ以上の間隔であってもよい。一方、クリーニングパッド8は、周知の昇降手段により下降し、第2図に示すように絞りローラ6の外周に当接され(工程c)、この状態で絞りローラ6を回転しながら完全な清掃を行うのである。クリーニングが終了したら、第2図の状態からクリーニングパッド8だけが元の位置へ復帰し、次の作業の準備状態となる。現像再開時、絞りローラ対6、7は、第1図の状態に戻され、絞りローラとして機能する。
前記した工程a、b及びcは、任意の順序であってよく、最終的に第2図の状態でクリーニングされればよい。例えば、b→a→c、a→c→bなどであり、bとcあるいはa、b及びcを同時に行ってもよい。また、工程bの離隔は、絞りローラ7が下降してもよく、工程cはクリーニングパッド8及び絞りローラ6のいずれか一方を動かしてパッド8が絞りローラ6に当接するようにしてもよい。溶剤供給ノズル3から絞りローラ対6、7への溶剤供給量は、絞りローラ対6、7の大きさ(外周面積)などにより異なるが、一回のクリーニングで数10ml〜100ml程度が好ましい。また溶剤は、連続的に供給しても間欠的に供給してもよい。
第1図の現像装置は、アルミニウム板を支持体とする印刷版を製版するのに好適なように水平になっているが、本発明は水平に限定されることなく、公知の傾斜した構造であってもよい。又、現像装置が水平になると、現像部を電子写真感光体が通過する時に、送りローラ対にも液体現像剤が付着し、絞りローラ対で生じた問題が、送りローラ対でも生じる。従って、この場合は、送りローラ対にも絞りローラ対と同様のクリーニング機構を設けることが望ましい。
(E)発明の効果本発明によれば、絞りローラ対に付着した液体現像剤が固着する前に効率良く簡便にクリーニングできるので、長期休止後の再運転もスムーズに行え、クリーニングパッドを時々取替えるだけでよいからメンテナンスも容易になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の絞りローラクリーニング装置を備えた電子写真液体現像装置の1例を示す断面略図である。第2図は、第1図のクリーニングローラ対をクリーニングしている時の状態を示す要部断面略図である。第3図は、従来の電子写真液体現像装置を示す断面略図である。
6、7…絞りローラ対
8…クリーニングパッド
3…溶剤供給ノズル
4、5…送りローラ対
1…電子写真感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】電子写真液体現像装置の絞りローラをクリーニングパッドでクリーニングする方法に於て、作業の中断あるいは終了時に、絞りローラ対を溶剤供給ノズルにより供給される液体現像剤の溶剤で洗浄すること、絞りローラ対を昇降手段によって離隔すること、及び感光体の感光面と接する側の絞りローラとクリーニングパッドを絞りローラ対が離隔した後または離隔と同時に当接せしめることを含み、絞りローラ対を離間した状態でクリーニングパッドによりクリーニングし、クリーニング後はクリーニングパッドを元の位置に復帰させることを特徴とする上記方法。
【請求項2】絞りローラ対とクリーニングパッドを有する電子写真液体現像装置であって、昇降手段を有するクリーニングパッドは絞りローラ対から離れて位置し、洗浄液として液体現像剤の溶剤を供給するための溶剤供給ノズルを絞りローラ対の上に設け、絞りローラ対は昇降手段によって互いに離隔しうるようになっており、クリーニング時、離間した絞りローラ対のうち感光面に接する側のローラとクリーニングパッドがクリーニングパッドの昇降手段により当接するようにしたことを特徴とする電子写真液体現像装置における絞りローラのクリーニング装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【公告番号】特公平7−19099
【公告日】平成7年(1995)3月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−149314
【出願日】昭和63年(1988)6月17日
【公開番号】特開平1−316770
【公開日】平成1年(1989)12月21日
【出願人】(999999999)三菱製紙株式会社
【参考文献】
【文献】実開昭56−126656(JP,U)