説明

電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法

【課題】経時での抵抗低下に伴うベタ画像部におけるキャリア付着が生じず、非画像部におけるトナーの汚れ(地肌かぶり)が生じない電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法を提供すること。
【解決手段】電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法であって、少なくとも結着樹脂と固体粒子を含む溶液を、5mm以下のビーズを用いて分散する本分散工程を有し、前記本分散工程は、前記溶液を分散室外より分散室内下部へと送液し、前記ビーズ及び攪拌ローターからなる攪拌部を通過させつつ分散処理した後、遠心分離機構を通過させることで前記ビーズを分離し、次いで分散室内上部から分散室外へと排出することを特徴とする被覆コート液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用キャリア、電子写真用現像剤に係り、特に静電潜像をトナー像化するために使用される電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による静電潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナー粒子を付着させて可視像を形成した後、該トナー像を紙等の記録媒体に転写し、定着され、出力画像となる。
近年、電子写真方式を用いたコピーやプリンタの技術は、モノクロからフルカラーへの展開が急速になりつつあり、フルカラーの市場は拡大する傾向にある。フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はそれに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色の再現を行なうものである。
従って、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を得るためには、定着されたトナー画像表面をある程度平滑にして光散乱を減少させる必要がある。このような理由から従来のフルカラー複写機等の画像光沢は10〜50%の中〜高光沢のものが多かった。
【0003】
一般に、乾式のトナー像を記録媒体に定着する方法としては、平滑な表面を持ったローラやベルトを加熱し、トナーと圧着する接触加熱定着方法が多用されている。この方法は熱効率が高く高速定着が可能であり、カラートナーに光沢や透明性を与えることが可能であるという利点がある反面、加熱定着部材表面と溶融状態のトナーとを加圧下で接触させた後加熱定着部材表面から剥離するために、トナー像の一部が加熱定着部材表面に付着して別の画像上に転移する、いわゆるオフセット現象が生じる。このオフセット現象を防止することを目的として、離型性に優れたシリコーンゴムやフッ素樹脂で加熱定着部材表面を形成し、さらにその加熱定着部材表面にシリコーンオイル等の離型オイルを塗布する方法が一般に採用されていた。
しかしこの方法は、トナーのオフセットを防止する点ではきわめて有効であるが、離型オイルを供給するための装置が必要であり、定着装置が大型化しマシンの小型化に不向きである。このためモノクロトナーでは、溶融したトナーが内部破断しないように結着樹脂の分子量分布の調整等でトナーの溶融時の粘弾性を高め、さらにトナー中にワックス等の離型剤を含有させることにより、定着ローラに離型オイルを塗布しない(オイルレス化)、或いはオイル塗布量をごく微量とする方法が採用される傾向にある。
【0004】
一方、カラートナーにおいてもモノクロ同様マシンの小型化、構成の簡素化の目的でオイルレス化の傾向が見られている。しかし、前述したようにカラートナーでは色再現性を向上させるために定着画像の表面を平滑にする必要があるため溶融時の粘弾性を低下させねばならず、而してカラートナーは、光沢のないモノクロトナーよりオフセットし易く、定着装置のオイルレス化や微量塗布化がより困難となる。
また、トナー中に離型剤を含有させると、トナーの付着性が高まり転写紙への転写性が低下し、さらにトナー中の離型剤がキャリア等の摩擦帯電部材を汚染し帯電性を低下させることにより耐久性が低下するという問題を生じる。
【0005】
また、キャリアに関しては、画像形成をより速く、より美しくという要望は高まる一方で、近年のマシンの高速化に伴い、キャリアとトナーを含む現像剤が受けるストレスも飛躍的に増大しており、従来高寿命とされたキャリアにおいても充分な寿命が得られなくなってきている。更に、高画質という面においては、トナー小径化、キャリアの小径化に伴い、帯電量分布に対する画質面での許容幅が狭くなっており、特に非画像部におけるトナーの汚れ(地肌かぶり)については、非常に欠陥画像となり易くなっている。
【0006】
このような問題に対処するため、例えば、特許文献1の特開2007−102159号公報、特許文献2の特開2008−70837号公報では、被覆層に膜厚よりも大きな径の粒子を含有させた電子写真用キャリアが提案されている。
更に、特許文献3の特開2007−286078号公報では、トナーと、膜厚よりも大きな径を有する第1粒子と膜厚よりも小さな径を有する第2粒子との2種類の粒子を含む被覆膜を芯材表面上に設けたキャリアとを現像装置に補給するとともに、前記現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行なう方法が提案されている。
また、特許文献4の特開平11−184167号公報には、磁性コア上に複数の樹脂被覆層を有し、磁性コア直上の第1の被覆層に針状又は燐片状の導電性粉末が、ガラスビーズを用いたビーズミルにより分散されてなる電子写真現像剤用キャリアが記載されている。
しかしながら、特許文献1〜4記載のものでは、その効果が不充分であり、経時での抵抗低下に伴うベタ画像部におけるキャリア付着や、非画像部におけるトナーの汚れ(地肌かぶり)については、不充分であり問題である。
ところで、塗工液中の固形粒子の分散を含む塗工液の調製のため、ビーズミルがしばしば用いられるが、ビーズミルは、ベッセルと呼ばれる分散のための室部位を中心に、被分散液の導入部位、排出部位を初め他の付属手段が所望により設けられたものであり、通常、分散室(ベッセル)は、外壁を形成する円筒形のステータと、ステータの中心で回転するロータとの間の分散空間(分散室)からなり、この分散室で被分散液を分散処理する。
ロータからは放射状に複数のブレードが突出しており、分散室に、被分散液を送液し、分散メディアであるビーズを充填し、ロータを回転させることにより、ブレードによってビーズが攪拌され、その攪拌の運動によって固形粒子が微小粒子に分散される。分散室から被分散液を排出する際には、分散メディアである多少のビーズを不可避的かつ不如意に随伴することが多い。一度分散室を出た被分散液を再度循環させ繰り返し分散処理するときには、このビーズの随伴は本質的にさほど問題とはならないが、最終製品がビーズを含むとすれば、特にキャリア被覆の分野において重大な問題になることは、論を待たない。
ちなみに、塗工液の分散、調製に関し、我々は、長年検討を重ねてきており、その成果の一つとして、ベッセル(分散室)で分散処理され微細分散メディアを含む分散処理済みの液から目的とする分散済み液のみを、分散室から系外に満足裡に追い出すための溶剤の送液方式の1つを既に提案(特許文献5の特開2010-102054号公報参照)しているが、この提案された送液方式は、横方向送液方式であって、本発明におけるコート液の給配方式とは対照的なものであるといえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、経時での抵抗低下に伴うベタ画像部におけるキャリア付着が生じず、非画像部におけるトナーの汚れ(地肌かぶり)が生じない電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、上記課題は本発明の下記(1)〜(11)によって解決される。
(1)「電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法であって、少なくとも結着樹脂と固体粒子を含む溶液を、5mm以下のビーズを用いて分散する本分散工程を有し、前記本分散工程は、前記溶液を分散室外より分散室内下部へと送液し、前記ビーズ及び攪拌ローターからなる攪拌部を通過させつつ分散処理した後、遠心分離機構を通過させることで前記ビーズを分離し、次いで分散室内上部から分散室外へと排出することを特徴とする被覆コート液の製造方法」、
(2)「前記本分散工程の前に、前記ビーズを用いないプレ分散工程を有することを特徴とする、前記第(1)に記載の被覆コート液の製造方法」、
(3)「前記ビーズの真密度が、2.8g/cm以上であることを特徴とする、前記第(1)項又は第(2)項に記載の被覆コート液の製造方法」、
(4)「前記ビーズの粒径が、0.015mm以上、1mm以下であることを特徴とする、前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の被覆コート液の製造方法」、
(5)「前記本分散工程のビーズ充填率が、10%以上、90%以下であることを特徴とする、前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の被覆コート液の製造方法」、
(6)「前記攪拌ローターの線速が、4m/sec以上、20m/sec以下であることを特徴とする、前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載の被覆コート液の製造方法」、
(7)「前記本分散工程は、分散室内を温調するためのジャケットを有し、そのジャケットに投入する温調媒体の温度が、0℃以上、20℃以下であることを特徴とする、前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載の被覆コート液の製造方法」、
(8)「前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする、電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液」、
(9)「芯材粒子表面に前記第(8)項に記載の被覆コート液により形成された被覆層を有することを特徴とする電子写真用キャリア」、
(10)「トナーと、前記第(9)項に記載の電子写真用キャリアを含むことを特徴とする、電子写真用二成分現像剤」、
(11)「静電潜像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する手段と、該静電潜像を現像するための現像手段とを少なくとも備え、該現像手段が前記第(10)項に記載の二成分現像剤を用いるものであることを特徴とする画像形成装置」。
【発明の効果】
【0009】
以下の詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明により、経時での抵抗低下に伴うベタ画像部におけるキャリア付着が生じず、非画像部におけるトナーの汚れ(地肌かぶり)が生じない電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法を提供することができるというきわめて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の画像形成装置の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明のさらに他の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)の一例を示す概略図である。
【図4】図3に示す画像形成装置における一部拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明について更に具体的に詳しく説明する。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するために鋭意検討を続けてきた結果、電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法であって、少なくとも結着樹脂と固体粒子を含む溶液を、5mm以下のビーズを用いて分散する本分散工程を有し、該本分散工程内の分散機による被覆コート液の処理方法は、分散室外より分散室下部へと前記被覆コート液を送液し、ビーズ及び攪拌ローターからなる攪拌部を通過後、ビーズを遠心分離機構により分離し、該遠心分離機構内を通過し、分散室上部から分散室外へと被覆コート液を排出することを特徴とする分散機を用いることで改善効果が顕著であることが判った。
すなわち、分散機の上から下への送液では、ビーズが重力の影響をうけ分散室下部に沈む。そのため、ビーズの分級が困難になる。結果として、製品へのコンタミ等問題が生じる。また、粗大な固体粒子が重力の影響で分散室内をショートパスしてしまい分散液の均一性が損なわれる。
横方向では、分散時にローターの周速が、低速である時に、ビーズ漏れが発生し、製品へのコンタミが生じる不具合が生じる(特開2010-102054号公報記載の実施例で用いているナノゲッター(DMR-L110、アシザワファインテック製)は横方向に送液が行われる。そのため、分散液の送液方向と、重力成分とが直角となり、ビーズが分散室の下部側に偏ることで、分散液の均一性が低くなり、分散液の均一性が低くなることで、下記のようなキャリアとしてのメリットの効果が薄れる。また、分散機の下から上への送液のビーズミルに対して、横方向への送液と言うことで、重力の影響がビーズの漏れを抑える方向に働かないため、特にローターを低速で回転させた時にビーズの漏れが発生する不具合がある)。
本発明における「下から上へのの送液」により、固体粒子の分散を向上させることで、被覆層のどの場所においても、同じ被覆層状態を維持することが可能となるため、キャリア粒子間での均一性が増す(どの粒子を取っても同質のキャリア粒子となる)ことになり、帯電量分布や耐磨耗性が飛躍的に向上させることが可能となる。更に、固体粒子が被覆層中で均一に分散することで、固体粒子表面は樹脂で確実に覆われるため脱離がし難くなり、また、大きな凝集状態で存在する場合と異なり、固体粒子の脱離による被覆膜がなくなり、芯材が剥き出しになることが抑えられる。
【0012】
これは、被覆層中における、固体粒子の分散状態が、本発明の課題に対して重要な要件であり、被覆層中に均一に分散することで、安定した品質が得られることになる。
即ち、固体粒子の分散を向上させることで、被覆層のどの場所においても、同じ被覆層状態を維持することが可能となるため、キャリア粒子間での均一性が増す(どの粒子を取っても同質のキャリア粒子となる)ことになり、帯電量分布や耐磨耗性が飛躍的に向上させることが可能となる。
更に、固体粒子が被覆層中で均一に分散することで、固体粒子表面は樹脂で確実に覆われるため脱離がし難くなり、また、大きな凝集状態で存在する場合と異なり、固体粒子の脱離による被覆膜がなくなり、芯材が剥き出しになることが抑えられる。
従って、本発明の課題である、経時での抵抗低下に伴うベタ画像部におけるキャリア付着や、非画像部におけるトナーの汚れ(地肌かぶり)を改善することができる。
【0013】
以上のように、被覆樹脂中での固体粒子の分散については、キャリア品質に対して非常に重要であることが判ったが、キャリア分野において、これまで充分な検討がなされてきていなかった。
例えば、特開2007−102159号公報(特許文献1)では、原材料をホモミキサーに投入し、10分間分散処理するだけといった分散処理しかなされておらず、本発明のように、ビーズを用いた分散方法により、積極的に固体粒子を分散させるように試みは、これまでなされてきていない。
更に、特開平11−184167号公報(特許文献4)で記されるサンドミルは、使用しているビーズ径が比較的大きいこともあり、分散液中からビーズを分離することが容易であるため、分散室内にビーズを分離させる分級機を備えていない。しかし、ビーズ径が小さくなるにつれ、ここで記されているサンドミルでは、分散室外へビーズが漏れる割合が多くなり、ビーズ量が時間と共に減少するので、実質的に分散行為ができなくなる。また、サンドミルではなく、従来のビーズミルを用いた場合には、ビーズ径が5mm以下のビーズを用いると上記と同様に、実質的に分散行為ができなくなる。
一方で、ビーズ径を大きくすると、1粒当りの分散エネルギーが大きくなるので、固体粒子表面を過剰に活性化させてしまい、固体粒子の再凝集を引き起こすこと、分散液中の他の材料を分解・反応させてしまうこと、更には分散液がゲル化する等の不具合が生じてしまうので、目的の分散粒径及び液性状が得られない。
つまり、目的の分散粒径とするためには、できるだけ小粒径のビーズを用いた方がよいが、従来の分散機で5mm以下の小粒径ビーズを採用することは困難であった。
【0014】
しかしながら、本発明の分散機は、ビーズと分散液との分離機構を有しており、その分離機構も微小ビーズに対応できる遠心分離機構を備えている。遠心分離機構とは、ビーズと分散液の比重差を利用し、遠心力によりビーズと分散液とを分離する機構である。これにより、本分散工程では、5mm以下の微小ビーズを使用することが可能となり、ビーズ径が5mm以下の領域では改善効果が顕著であった。
これは、本発明のように電子写真用キャリアの場合、分散対象となる固体粒子が小さく粒子数が多いので、ビーズ径が5mm以下の領域ではビーズ個数が多くなるため、有効に分散が進むが、ビーズ径が5mm超過の領域では個数が稼げないので、充分な分散効果を得ることができなく好ましくない。
また、前述したように、ビーズ径が大きくなるほど、ビーズ1粒当りの分散エネルギーが大きくなるので、固体粒子表面を過剰に活性化させてしまい、固体粒子の再凝集を引き起こすこと、分散液中の他の材料を分解・反応させてしまうこと、更には分散液がゲル化する等の不具合が生じてしまうため、5mm以下であることが重要である。
更に、本分散機の処理方法の特徴として、被覆コート液を分散室の下部から投入し、上部から抜く送液方法とすることで分散液やビーズに重力の影響を与え、分散液のショートパスやビーズ漏れを抑制する効果を与えている。
【0015】
更に、ビーズを用いた分散工程の前に、ビーズを用いないプレ分散工程を有することで、改善効果が顕著である。これは、原材料の固体粒子は数百μmの凝集体として存在しているため、ビーズ径が小さくなるに連れてビーズによる分散がし難くなることが原因である。
更に詳しく説明すると、ビーズによる分散の場合、ビーズが凝集物にあたることで凝集物を小さく解きほぐしていくため、ビーズの体積及び重量と凝集物の大きさとの関係が重要となる。即ち、ビーズ径が小さくなるに連れ相対的に凝集物の大きさに対してビーズが小さくなり、粗大な凝集物をビーズで分散することができなくなる。従って、ビーズを用いないプレ分散により、凝集物を1次分散させておくことで、ビーズを用いた本分散工程での分散仕事量が、少なくて済むことが知見されたためである。
【0016】
更に、本分散に用いるビーズの真密度が、2.8g/cm以上の高密度ビーズを用いることで、改善効果が顕著である。これは、ビーズを用いた分散機は、ビーズが分散させたい固体粒子に衝突することで分散させるため、ビーズの真密度が大きい程その分散エネルギーが増大するため、高い分散効果を得ることが可能となるためである。
一方、2.8g/cmを下回った場合には、密度が小さいことから充分な分散効果が得られないため、好ましくはない。それに加え、ガラス素材のようなビーズの場合、真密度が小さいだけではなく脆性が高いため、分散処理中に割れが発生し、分散効率の低下、製品へのコンタミの原因となるため、好ましくない。
更に、遠心力によりビーズと被覆コート液を分離している本分散機においては、真密度の小さいビーズを使用すると、遠心力が小さくなるので、ビーズが分散室外へ排出し易くなってしまう。このことより、ビーズ比重は3以上が好ましく、更に好ましくは5以上である。
本発明でいう真密度2.8g/cm以上のビーズとしては、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、スチール、ステンレス等が挙げられ、これらは真密度だけではなく、耐脆性(割れ)や耐磨耗に関しても、非常に良好であるが、あくまでも例示であり、これらに限定するものではない。
更に、本分散機の処理方法の特徴として、被覆コート液を分散室の下部から投入し、上部から抜く送液方法とすることで分散液やビーズに重力の影響を与え、分散液のショートパスやビーズ漏れを抑制する効果を与えている。これにより、横方向に送液する場合と比較し、ローターを低速で使用してもビーズ漏れが発生し難くなる。そして、分散液の送液面に対して重力が垂直に掛かっていることから、分散室内でのビーズの偏りの発生や、それに伴う、部品の偏磨耗やビーズの異常磨耗、異常発熱等の問題を抑えること可能である。
【0017】
更に、ビーズ径が0.015mm以上、1mm以下であることで改善効果が顕著である。
これは、ビーズ径が1mm以下の領域では、ビーズ1粒当りの分散エネルギーが小さく、より固体粒子表面の活性を抑えながら分散をすることができ、再凝集、分散液中の他の材料を分解・反応させてしまうこと、更には分散液がゲル化する等の不具合を抑えながら分散することが可能となる。
更に、ビーズ個数も増えるため、有効に分散することが可能となる。しかしながら、ビーズ径が0.015mm未満の領域では、ビーズ重量が軽すぎ、遠心力が小さくなり、分散に寄与するエネルギーが低下する。更に、液粘度の影響を受けやすくなり分散効率が低下するため、ビーズ経が0.015mm以上であることが好ましい。
【0018】
更に、本分散工程における分散室内のビーズ充填率が、10%以上、90%以下であることで、改善効果が顕著である。そして、更に好ましい範囲としては、ビーズ充填率が40%以上、80%以下である。ここで、ビーズ充填率が10%未満の領域では、対象とする固体粒子とビーズとの衝突回数が少なくなり、分散効率が著しく低下するので、好ましくない。
一方で、ビーズ充填率が90%超過の領域では、固体粒子表面へのビーズ衝突回数が増加し、固体粒子表面を過剰に活性化させてしまい、固体粒子の再凝集を引き起こすこと、分散液中の他の材料を分解・反応させてしまうこと、更には分散液がゲル化する等の不具合が生じてしまうので、目的の分散粒径及び液性状が得られないので好ましくない。
また、ビーズ同士の衝突回数が増えるため、ビーズ同士の衝突によるビーズの磨耗、ビーズの割れ等が懸念される。
尚、本発明でいう分散室内のビーズ充填率とは、下記式より求める。
【0019】
【数1】

攪拌部容積:分散室内における攪拌に寄与する部分の容積
【0020】
更に、本分散工程に用いる攪拌ローターの線速が、4m/sec以上、20m/sec以下であることで、改善効果が顕著である。そして、更に好ましい範囲としては、ローター線速8m/sec以上、12m/sec以下である。ここで、一般的に、ローター線速が速くなる程、ビーズへの遠心力が大きくなり、ビーズの分散に寄与するエネルギーが増大する。しかしながら、ローター線速が20m/secを超過すると、ビーズの速度が速すぎるため、ビーズの分散に寄与するエネルギーが大きくなり過ぎ、固体粒子を分散するのではなく、粉砕してしまったり、固体粒子表面を過剰に活性化させてしまい、固体粒子の再凝集を引き起こすこと、分散液中の他の材料を分解・反応させてしまうこと、分散液がゲル化する等の不具合が生じてしまうので、好ましくない。
また、部品の偏磨耗やビーズの磨耗にも繋がる。一方、ローター線速が4m/sec未満の領域では、ビーズの速度が遅いため、ビーズの分散に寄与するエネルギーが小さく、凝集物を崩せず分散が進まなく、好ましくない。
【0021】
更に、本分散工程は、分散室内を温調するためのジャケットを有し、そのジャケットに投入する温調媒体の温度は0℃以上、20℃以下であることで、改善効果が顕著である。
これは、分散部では、ビーズ分散作用により発熱が生じ、分散液温度が昇温する。分散液が昇温すると固体粒子自体や固体粒子表面が活性化し易くなり、固体粒子の再凝集を引き起こすこと、分散液中の他の材料を分解・反応させてしまうこと、更には分散液がゲル化する等の不具合が生じてしまうので、目的の分散粒径及び液性状が得られないので、好ましくない。
【0022】
尚、本発明における被覆コート液の分散室への送液速度は、分散効果に大きな影響を与える。これは、送液速度が速すぎる領域では、攪拌ローターの線速、ビーズ径、分散液粘度等の兼ね合いにはなるが、ビーズの分散室外への漏れの要因となる。また、ビーズの偏りの発生や、部品の偏磨耗やビーズの異常磨耗、更には異常発熱等問題が生じる可能性がある。
一方で、送液速度が遅すぎる領域では、分散液がより長い時間分散室内に滞留することになり、一度に長時間固体粒子表面にエネルギー掛け続けることになる。このことにより、固体粒子表面を過度に活性化させてしまい、固体粒子の再凝集を引き起こすこと、分散液中の他の材料を分解・反応させてしまうこと、更には分散液がゲル化する等の不具合が生じる。しかし、固体粒子表面の活性を緩和すべく、一度分散室外へ分散液を排出する等の方法を取ることで、固体粒子の再凝集、分散液中の他の材料を分解・反応、更には分散液のゲル化を抑制することができる。このように、分散室外への適度な分散液の排出を行なうためにも、分散液の分散室内への送液速度は適正な数量にする必要がある。しかし、適切な送液速度を決めるにあたり、分散機のスケールを考慮する必要があるが、概して10〜400kg/hが適正な範囲である。
【0023】
[キャリア芯材粒子]
本発明のキャリア用芯材粒子としては、電子写真用二成分キャリアとして公知のもの、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト、コバルト、鉄系、マグネタイト系、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、Mn−Mgフェライト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、等キャリアの用途、使用目的に合わせ適宜選択して用いればよく、上記例に限るものではない。
【0024】
[結着樹脂]
本発明のキャリアの被覆層を形成する樹脂は、一般的にキャリアに用いられるものであれば特に限定はない。
例えば、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリル樹脂とアミノ樹脂の反応生成物、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂変性シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂、エポキシ変性シリコン樹脂、ウレタン変性シリコン樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。また、被覆樹脂は、1種類を単独で用いても、複数で用いても良いし、変性タイプにして使用しても良い。
【0025】
[固体粒子]
本発明では、固体粒子として、分散用ビーズと濾別でできる程度の小粒径のもの、すなわち一次粒子の平均粒径が5〜500nmのものを好ましく用いることができる。
例えば、酸化スズ、酸化インジウムドープした酸化スズ、導電処理した酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、亜酸化鉄、チタンブラック、カーボンブラック等の微粒粉体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、針状粉末(酸化チタン、酸化亜鉛等)、燐片状粉末(黒鉛、アルミフレーク、銅フレーク、ニッケルフレークのような金属フレーク、導電処理マイカ等)を用いることができる。これらは、単独でまたは混合して用いることができる。さらに、これらに、疎水化シリカやアルミナ粉のような高抵抗のものを併用することができる。
【0026】
[コート液]
本発明におけるコート液は、液媒体100重量部中に、0.02〜90重量部の結着樹脂を溶解または分散したものが好ましく、他に固体粒子、及び、所望により用いるその余の成分(例えば樹脂の架橋剤、抵抗調節剤等)を含み得る。
結着樹脂に対する固体粒子の割合は、5/100〜600/100の範囲であることが好ましい。結着樹脂を溶解または分散し得る液媒体としては、通常用いられているものであってよく、例えばノルマルへキサン、ケロシンのような石油系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル系溶媒、ジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンのような環状エーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ(登録商標))、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ(登録商標))のようなグリコールエーテル、ジメチルホルムアミドのような含窒素有機溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
[トナー]
本発明でいうカラー用とは、一般的にカラー単色で用いられるカラートナーだけではなく、フルカラー用として用いられるイエロー、マゼンダ、シアン、レッド、グリーン、ブルーなどに加え、ブラックトナーも含まれる。
更に、本発明でいうトナーとは、モノクロトナー、カラートナー、フルカラートナーを問わず、一般的にいうトナーを用いることができる。例えば、従来より用いられている混練粉砕型のトナーや、近年用いられるようになってきた多種の重合トナーなどが挙げられる。
【0028】
更に、離型剤を含有するトナー、いわゆるオイルレストナーも用いることができる。
一般的に、オイルレストナーは離型剤を含有するため、この離型剤がキャリア表面に移行するいわゆるスペントが生じやすいが、本発明のキャリアは耐スペント性が優れているため、長期にわたり良好な品質を維持できる。特にオイルレスフルカラートナーにおいては、結着樹脂が軟らかいため一般的にスペントし易いといわれるが、本発明のキャリアは非常に向いているといえる。
【0029】
本発明のトナーに用いる結着樹脂としては、公知のものが使用できる。
例えばポリスチレン、ポリ−p−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独あるいは混合して使用できる。
【0030】
さらに、圧力定着用結着樹脂としては、公知のものを混合して使用できる。
例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン共重合体、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂などが単独あるいは混合して使用でき、これらに限られるものではない。
【0031】
また、本発明で用いるトナーには、上記結着樹脂、着色剤、帯電制御剤の他に、定着助剤を含有することもできる。これにより、定着ロールにトナー固着防止用オイルを塗布しない定着システム、いわゆるオイルレスシステムにおいても使用できる。
定着助剤としては、公知のものが使用できる。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールワックス、シリコーンワニス、カルナウバワックス、エステルワックス等が使用でき、これらに限られるものではない。
【0032】
本発明のカラートナー等のトナーに用いられる着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な公知の顔料や染料が使用でき、ここで挙げるものに限らない。
例えば、黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、等がある。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。また、これら着色剤は1種または2種以上を使用することができる。
【0033】
本発明のカラートナー等のトナーには必要に応じ帯電制御剤をトナー中に含有させることができる。
例えば、本発明のカラートナーは必要に応じ荷電制御剤をトナー中に含有させることができる。例えば、ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料(特公昭42−1627号公報参照)、塩基性染料(例えばC.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.BasicRed 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)など、これらの塩基性染料のレーキ顔料、C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド、等の4級アンモニウム塩、或いはジブチル又はジオクチルなどのジアルキルスズ化合物、ジアルキルスズボレート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩、カリックスアレン系化合物等が挙げられる。ブラック以外のカラートナーは、当然目的の色を損なう荷電制御剤の使用は避けるべきであり、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好適に使用される。
【0034】
外添剤については、シリカや酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機微粒子や樹脂微粒子を母体トナー粒子に外添することにより転写性、耐久性をさらに向上させている。
転写性や耐久性を低下させるワックスをこれらの外添剤で覆い隠すこととトナー表面が微粒子で覆われることによる接触面積が低下することによりこの効果が得られる。これらの無機微粒子はその表面が疎水化処理されていることが好ましく、疎水化処理されたシリカや酸化チタン、といった金属酸化物微粒子が好適に用いられる。樹脂微粒子としては、ソープフリー乳化重合法により得られた平均粒径0.05〜1μm程度のポリメチルメタクリレートやポリスチレン微粒子が好適に用いられる。
【0035】
さらに、疎水化処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを併用し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより湿度に対する帯電の安定性にも優れたトナーとすることができる。上記の無機微粒子と併用して、比表面積20〜50m/gのシリカや平均粒径がトナーの平均粒径の1/100〜1/8である樹脂微粒子のように従来用いられていた外添剤より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより耐久性を向上させることができる。
これはトナーが現像装置内でキャリアと混合・攪拌され帯電し現像に供される過程でトナーに外添された金属酸化物微粒子は母体トナー粒子に埋め込まれていく傾向にあるが、これらの金属酸化物微粒子より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより金属酸化物微粒子が埋め込まれることを抑制することができるためである。
【0036】
上記した無機微粒子や樹脂微粒子はトナー中に含有(内添)させることにより外添した場合より効果は減少するが転写性や耐久性を向上させる効果が得られるとともにトナーの粉砕性を向上させることができる。また、外添と内添を併用することにより外添した微粒子が埋め込まれることを抑制することができるため優れた転写性が安定して得られるとともに耐久性も向上する。
【0037】
なお、ここで用いる疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニューム系カップリング剤も使用可能である。この他、クリーニング性の向上等を目的とした外添剤として、脂肪酸金属塩やポリフッ化ビニリデンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。
【0038】
本発明におけるトナーの製造には粉砕法、重合法など従来公知の方法が適用できる。
例えば粉砕法の場合、トナーを混練する装置としては、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等が好適に用いられる。
以上により得られた溶融混練物は冷却した後粉砕されるが、粉砕は、例えば、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができる。粉砕は、平均粒径が3〜15μmになるように行なうのが望ましい。さらに、粉砕物は風力式分級機等により、5〜20μmに粒度調整されることが好ましい。
【0039】
次いで、外添剤の母体トナーへ外添が行なわれるが、母体トナーと外添剤をミキサー類を用い混合・攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー表面に被覆される。このとき、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤が均一にかつ強固に母体トナーに付着させることが耐久性の点で重要である。以上はあくまでも例でありこれに限るものではない。
【0040】
[画像形成装置および画像形成方法]
本発明の画像形成装置例(例えば、図1〜4に示される画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する態様について、図1を参照しながら説明する。
図1に示す例の画像形成装置(100)は、静電潜像担持体としての感光体ドラム(10)(以下「感光体(10)」という)と、ローラ状帯電手段(20)と、露光手段(30)と、現像手段(40)と、中間転写体(50)と、クリーニングブレードを有するクリーニング手段(60)と、除電手段(70)としての除電ランプとを備える。
【0041】
中間転写体(50)は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ(51)によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ(51)の一部は、中間転写体(50)へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体(50)には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング手段(90)が配置されており、また、最終転写材としての転写紙(95)に現像像(画像形成粒子像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な転写手段(80)としての転写ローラが対向して配置されている。中間転写体(50)の周囲には、中間転写体(50)上の画像形成粒子像に電荷を付与するためのコロナ帯電器(58)が、該中間転写体(50)の回転方向において、感光体(10)と中間転写体(50)との接触部と、中間転写体(50)と転写紙(95)との接触部との間に配置されている。
【0042】
現像手段(40)は、現像剤担持体としての現像ベルト(41)と、現像ベルト(41)の周囲に併設したブラック現像手段(ユニット)(45K)、イエロー現像手段(ユニット)(45Y)、マゼンタ現像手段(ユニット)(45M)及びシアン現像手段(ユニット)(45C)とから構成されている。なお、ブラック現像手段(45K)は、現像剤収容部(42K)と現像剤供給ローラ(43K)と現像ローラ(44K)とを備えており、イエロー現像手段(45Y)は、現像剤収容部(42Y)と現像剤供給ローラ(43Y)と現像ローラ(44Y)とを備えており、マゼンタ現像手段(45M)は、現像剤収容部(42M)と現像剤供給ローラ(43M)と現像ローラ(44M)とを備えており、シアン現像手段(45C)は、現像剤収容部(42C)と現像剤供給ローラ(43C)と現像ローラ(44C)とを備えている。また、現像ベルト(41)は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体(10)と接触している。
【0043】
図1に示す画像形成装置(100)において、例えば、帯電手段(20)が感光体ドラム(10)を一様に帯電させる。露光手段(30)が感光ドラム(10)上に像様に露光を行ない、静電潜像を形成する。感光ドラム(10)上に形成された静電潜像を、現像手段(40)から画像形成粒子を供給して現像して可視像(画像形成粒子像)を形成する。
該可視像(画像形成粒子像)が、ローラ(51)から印加された電圧により中間転写体(50)上に転写(一次転写)され、更に転写紙(95)上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙(95)上には転写像が形成される。なお、感光体(10)上の残存画像形成粒子は、クリーニング手段(60)により除去され、感光体(10)における帯電は除電手段(除電ランプ)(70)により一旦、除去される。
【0044】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図2を参照しながら説明する。
図2に示す画像形成装置(100)は、図1に示す画像形成装置(100)における現像ベルト(41)を備えてなく、感光体(10)の周囲に、ブラック現像手段(現像ユニット)(45K)、イエロー現像手段(現像ユニット)(45Y)、マゼンタ現像手段(現像ユニット)(45M)及びシアン現像手段(現像ユニット)(45C)が直接対向して配置されていること以外は、図1に示す画像形成装置(100)と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図2においては、図1におけるものと同じものは同符号で示した。
【0045】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する更に他の態様について、図3を参照しながら説明する。
図3に示すタンデム画像形成装置(120)は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置(120)は、複写装置本体(150)と、給紙テーブル(200)と、スキャナ(300)と、原稿自動搬送装置(ADF)(400)とを備えている。複写装置本体(150)には、無端ベルト状の中間転写体(50)が中央部に設けられている。
そして、中間転写体(50)は、支持ローラ(14)、(15)及び(16)に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ(15)の近傍には、中間転写体(50)上の残留画像形成粒子を除去するための中間転写体クリーニング装置(17)が配置されている。支持ローラ(14)と支持ローラ(15)とにより張架された中間転写体(50)には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段(18)が対向して並置されたタンデム型現像手段(120)が配置されている。タンデム型現像手段(120)の近傍には、露光手段(21)が配置されている。
中間転写体(50)における、タンデム型現像手段(120)が配置された側とは反対側には、二次転写手段(22)が配置されている。二次転写手段(22)においては、無端ベルトである二次転写ベルト(24)が一対のローラ(23)に張架されており、二次転写ベルト(24)上を搬送される転写紙と中間転写体(50)とは互いに接触可能である。二次転写手段(22)の近傍には定着手段(25)が配置されている。定着手段(25)は、無端ベルトである定着ベルト(26)と、これに押圧されて配置された加圧ローラ(27)とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置(120)においては、二次転写手段(22)及び定着手段(25)の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行なうために該転写紙を反転させるためのシート反転装置(28)が配置されている。
【0046】
次に、タンデム型現像手段(120)を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)(400)の原稿台(130)上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置(400)を開いてスキャナ(300)のコンタクトガラス(32)上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置(400)を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置(400)に原稿をセットしたときは、原稿が搬送されてコンタクトガラス(32)上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス(32)上に原稿をセットしたときは直ちに、スキャナ(300)が駆動し、第1走行体(33)及び第2走行体(34)が走行する。このとき、第1走行体(33)により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体(34)におけるミラーで反射し、結像レンズ(35)をとおして読取りセンサ(36)で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0047】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像手段(120)における各画像形成手段(18)(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成粒子画像が形成される。
即ち、タンデム型現像手段(120)における各画像形成手段(18)(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図3の一部拡大概略図である図4に示すように、それぞれ、感光体(10)(ブラック用感光体(10K)、イエロー用感光体(10Y)、マゼンタ用感光体(10M)及びシアン用感光体(10C))と、該感光体を一様に帯電させる帯電手段(59)と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図4中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像を本発明の各カラー現像剤(ブラック現像剤、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤)を用いて現像して各カラー現像剤によるトナー画像を形成する現像手段(61)と、現像されたトナー画像を中間転写体(50)上に転写させるための転写帯電器(62)と、感光体クリーニング手段(63)と、除電器(64)とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。
こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、図3における支持ローラ(14)、(15)及び(16)により回転移動される中間転写体(50)上にそれぞれ、ブラック用感光体(10K)上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体(10Y)上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体(10M)上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体(10C)上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。
そして、中間転写体(50)上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0048】
一方、給紙テーブル(200)においては、給紙ローラ(142)の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク(143)に多段に備える給紙カセット(144)の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ(145)で1枚ずつ分離して給紙路(146)に送出し、搬送ローラ(147)で搬送して複写機本体(150)内の給紙路(148)に導き、レジストローラ(49)に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ(142)を回転して手差しトレイ(54)上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ(52)で1枚ずつ分離して手差し給紙路(53)に入れ、同じくレジストローラ(49)に突き当てて止める。なお、レジストローラ(49)は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体(50)上に各トナーの合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ(49)を回転させ、中間転写体(50)と二次転写手段(22)との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写手段(22)により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体(50)上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置(17)によりクリーニングされる。
【0049】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写手段(22)により搬送されて、定着手段(25)へと送出され、定着手段(25)において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪(55)で切り換えて排出ローラ(56)により排出され、排紙トレイ(57)上にスタックされ、あるいは、切換爪(55)で切り換えてシート反転装置(28)により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ(56)により排出され、排紙トレイ(57)上にスタックされる。
【実施例】
【0050】
次に、本発明による電子写真用キャリアについて、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0051】
・アクリル樹脂溶液(固形分率;50質量%) 85質量部
・グアナミン溶液(固形分率;70質量%) 26質量部
・酸性触媒(固形分率;40質量%) 1質量部
・シリコン樹脂溶液(固形分率;20質量%) 290質量部
・アミノシラン(固形分率;100質量%) 2質量部
・導電処理酸化チタン粒子
(表面;ITO処理,1次粒子径;50nm,体積固有抵抗;1.0×10Ω・cm) 185質量部
・トルエン 1300質量部
を、以下条件にて分散処理を行ない、被覆コート液を得た。
・ビーズミル分散機:ウルトラアペックスミル(UAM−015型)[寿工業株式会社製]
・ビーズ
材質:ジルコニア(真密度;6.0g/cm
粒径:0.1mm
・ビーズ充填率(嵩):40%
・ローター線速:8m/sec
・送液速度:10kg/h
・ジャケット温度:7℃
次に、芯材粒子として平均粒径;35μm焼成フェライト粉[DFC−400M(Mnフェライト,DOWA IP クリエイション株式会社製)]を用い、上記被覆コート液1を芯材粒子表面に膜厚0.2μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度40℃で塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し[キャリア1]を得た。
一方、トナーは、
・結着樹脂:ポリエステル樹脂 100質量部
・離型剤:カルナウバワックス 5質量部
・帯電制御剤:E−84[オリエント化学工業社製] 1質量部
・着色剤:C.I.P.Y.180 8質量部
上記材料のうち、着色剤と結着樹脂及び純水を1:1:0.5の割合で、混合し、2本ロールにより混練した。混練を70℃で行ない、その後ロール温度を120℃まで上げて、水を蒸発させマスターバッチを予め作成した。こうして得たマスターバッチを使用して、上記処方と同じになるように材料を計量し、ヘンシェルミキサーにより混合し、2本ロールで120℃で40分溶融混練し、冷却後、ハンマーミルで粗粉砕後、エアージェット粉砕機で微粉砕し得られた微粉末を分級して重量平均粒径5μmのトナー母体粒子を作った。
さらに、このトナー母体100部に対し、表面を疎水化処理したシリカ:1部、表面を疎水化処理した酸化チタン:1部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することでイエロートナーである[トナー1]を得た。
こうして得た[トナー1]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌し、トナー濃度7wt%の現像剤を調製した。
【実施例2】
【0052】
実施例1において、ビーズミル分散処理の前に、ホモジナイザー[PRIMIX社製;T.K.ホモミキサーMARKII]にて、15000rpm、10分間のプレ分散処理を行なったこと以外は同様にしてキャリア化し、[キャリア2]を得た。[キャリア2]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例3】
【0053】
実施例2において、ビーズ材質がガラスで、真比重が2.5g/cmであるビーズに変更になったこと以外は同様にしてキャリア化し[キャリア3]を得た。こうして得た[キャリア3]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例4】
【0054】
実施例2において、ビーズ材質が窒化ケイ素で、真比重が3.1g/cmであるビーズに変更になったこと以外は同様にしてキャリア化し[キャリア4]を得た。こうして得た[キャリア4]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例5】
【0055】
実施例2において、ビーズ径を、0.015mmに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア5]を得た。こうして得た[キャリア5]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例6】
【0056】
実施例2において、ビーズ径を、1mmに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア6]を得た。こうして得た[キャリア6]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例7】
【0057】
実施例2において、ビーズ径を、5mmに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア7]を得た。こうして得た[キャリア7]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例8】
【0058】
実施例2において、ビーズ充填率を、5%に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア8]を得た。こうして得た[キャリア8]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例9】
【0059】
実施例2において、ビーズ充填率を、10%に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア9]を得た。こうして得た[キャリア9]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例10】
【0060】
実施例2において、ビーズ充填率を、80%に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア10]を得た。こうして得た[キャリア10]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例11】
【0061】
実施例2において、ビーズ充填率を、90%に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア11]を得た。こうして得た[キャリア11]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例12】
【0062】
実施例2において、ビーズ充填率を、95%に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア12]を得た。こうして得た[キャリア12]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例13】
【0063】
実施例2において、ローター線速を、3m/secに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア13]を得た。こうして得た[キャリア13]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例14】
【0064】
実施例2において、ローター線速を、4m/secに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア14]を得た。こうして得た[キャリア14]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例15】
【0065】
実施例2において、ローター線速を、12m/secに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア15]を得た。こうして得た[キャリア15]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例16】
【0066】
実施例2において、ローター線速を、14m/secに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア16]を得た。こうして得た[キャリア16]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例17】
【0067】
実施例2において、ローター線速を、20m/secに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア17]を得た。こうして得た[キャリア17]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例18】
【0068】
実施例2において、ローター線速を、22m/secに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア18]を得た。こうして得た[キャリア18]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例19】
【0069】
実施例2において、分散室を温調するためのジャケットに投入する温調媒体の温度を、−5℃に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア19]を得た。こうして得た[キャリア19]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例20】
【0070】
実施例2において、分散室を温調するためのジャケットに投入する温調媒体の温度を、0℃に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア20]を得た。こうして得た[キャリア20]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例21】
【0071】
実施例2において、分散室を温調するためのジャケットに投入する温調媒体の温度を、20℃に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア21]を得た。こうして得た[キャリア21]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【実施例22】
【0072】
実施例2において、被覆コート液を温調するためのジャケットに投入する温調媒体の温度を、25℃に変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア22]を得た。こうして得た[キャリア22]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【0073】
〔比較例1〕
実施例1において、ビーズミル分散の代わりに、ホモジナイザー[PRIMIX社製;T.K.ホモミキサーMARKII]にて、15000rpm、10分の分散処理を行なった被覆コート液を使用しキャリア化し、[キャリア23]を得た。[キャリア23]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【0074】
〔比較例2〕
実施例2において、ビーズ径を、6mmに変更させた以外は同様にして、キャリア化し[キャリア24]を得た。こうして得た[キャリア24]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【0075】
〔比較例3〕
実施例1で用いたビーズミル分散機の代わりに、ナノゲッター(DMR−L110型)[アシザワ・ファインテック社製、送液方向:横]にて、分散処理を行い、キャリア化し [キャリア25]を得た。この時の運転状態は、実施例1と同様である。こうして得た[キャリア25]と[トナー1]を、実施例1と同様の方法により現像剤を製作した。
【0076】
上記実施例1〜22及び比較例1〜3で調整された現像剤を使用して、地肌かぶり、経時ベタキャリア付着評価を実施した。評価結果を表1に示す。尚、上記評価項目に関する測定方法及び評価方法は下記に従った。
【0077】
【表1】

【0078】
〔地肌かぶり評価方法〕
市販のデジタルフルカラープリンタ(株式会社リコー製、imagio MP C5000)改造機に現像剤をセットし、画像面積5%のA4画像を1枚/JOBで1000枚出力した後、画像面積0%のA3画像を出力し、地肌部のトナーかぶり状態を観察し、トナーかぶり全くなしを◎、目視では殆ど判らないを○、少し見られるを△、はっきりと見られるを×として判定し、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
【0079】
〔経時ベタキャリア付着評価方法〕
市販のデジタルフルカラープリンタ(株式会社リコー製、imagio MP C5000)改造機に現像剤をセットし、単色による300,000枚のランニング評価を行なった。そして、このランニングを終えた現像剤のベタキャリア付着を評価した。
ベタ画像のキャリア付着評価方法については、上記複写機を用いて、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、A3サイズ用紙に全面ベタ画像を現像し、ルーペで観察することにより評価した。画像上の白抜け個所の個数及び実際に付着しているキャリアの個数の総数が0個である場合を◎、1〜3個である場合を○、4〜7個である場合を△、8個以上である場合を×として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
【0080】
表1で示す評価結果から、本発明による実施例1〜22による現像剤は、比較例1〜3と比較して地肌かぶり、経時ベタキャリア付着が抑制されていることが明らかである。
【符号の説明】
【0081】
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 ローラ帯電手段
21 露光手段
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光手段
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像手段
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像手段(現像ユニット)
45Y イエロー用現像手段(現像ユニット)
45M マゼンタ用現像手段(現像ユニット)
45C シアン用現像手段(現像ユニット)
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
59 帯電手段
60 クリーニング手段
61 現像手段
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング手段
64 除電器
65 現在位置
66 現像器ケース
67 現像器ケース
68 搬送スクリュー
69 現像部隔壁
70 除電手段(除電ランプ)
71 トナー濃度センサ
72 現像スリーブ
73 現像ドクタ
75 クリーニングブレード
76 トナー回収ローラ
77 回収バイアスローラ
78 回収ブレード
79 回収トナー搬送スクリュー
80 転写ローラ
90 クリーニング手段
95 転写紙
100 画像形成装置
120 タンデム型現像手段
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
L 露光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2007−102159号公報
【特許文献2】特開2008−70837号公報
【特許文献3】特開2007−286078号公報
【特許文献4】特開平11−184167号公報
【特許文献5】特開2010−102054号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液の製造方法であって、少なくとも結着樹脂と固体粒子を含む溶液を、5mm以下のビーズを用いて分散する本分散工程を有し、前記本分散工程は、前記溶液を分散室外より分散室内下部へと送液し、前記ビーズ及び攪拌ローターからなる攪拌部を通過させつつ分散処理した後、遠心分離機構を通過させることで前記ビーズを分離し、次いで分散室内上部から分散室外へと排出することを特徴とする被覆コート液の製造方法。
【請求項2】
前記本分散工程の前に、前記ビーズを用いないプレ分散工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の被覆コート液の製造方法。
【請求項3】
前記ビーズの真密度が、2.8g/cm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の被覆コート液の製造方法。
【請求項4】
前記ビーズの粒径が、0.015mm以上、1mm以下であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の被覆コート液の製造方法。
【請求項5】
前記本分散工程のビーズ充填率が、10%以上、90%以下であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載の被覆コート液の製造方法。
【請求項6】
前記攪拌ローターの線速が、4m/sec以上、20m/sec以下であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れかに記載の被覆コート液の製造方法。
【請求項7】
前記本分散工程は、分散室内を温調するためのジャケットを有し、そのジャケットに投入する温調媒体の温度が、0℃以上、20℃以下であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れかに記載の被覆コート液の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする、電子写真用キャリアの芯材を被覆するための被覆コート液。
【請求項9】
芯材粒子表面に請求項8に記載の被覆コート液により形成された被覆層を有することを特徴とする電子写真用キャリア。
【請求項10】
トナーと、請求項9に記載の電子写真用キャリアを含むことを特徴とする、電子写真用二成分現像剤。
【請求項11】
静電潜像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する手段と、該静電潜像を現像するための現像手段とを少なくとも備え、該現像手段が請求項10に記載の二成分現像剤を用いるものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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