説明

電子写真用トナーおよびそれを用いる画像形成方法

【課題】転写効率が改善されると共に定着工程でドット散りが生じない、球形化および小粒径化された電子写真用トナーおよびそれを用いる、高精細画像を実現し得る画像形成方法を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含むトナー母粒子と外添剤とを含み、前記トナー母粒子が、特定の条件を満足する粒子であり、前記外添剤が疎水化処理された特定の無機微粒子であり、かつ小粒径無機微粒子であるか、または特定の配合割合の小粒径無機微粒子と大粒径無機微粒子との混合体であることを特徴とする電子写真用トナーにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成過程における静電潜像の現像などに用いられる電子写真用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)およびそれを用いる画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式において用いられるトナーは、例えば、結着樹脂および着色剤を主成分とし、必要に応じて帯電制御剤、離型剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練した後冷却して固化させ、その後粉砕・分級する混練粉砕法や、懸濁重合法、乳化重合凝集法などの重合法などによって得られる。また、トナーには、通常、流動性および帯電安定性などを向上させる目的で、例えば、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(酸化チタン)などの無機微粒子が外添剤として添加される。
【0003】
近年、コンピュータに関する各種技術のさらなる向上によって、例えば、コンピュータ画像の高精細化が進み、電子写真方式の画像形成装置にも、コンピュータ画像における微細な形状、微妙な色相の変化などを正確にかつ鮮明に再現し、コンピュータ画像に匹敵する高精細画像を形成することが要求されている。この要求に応えるために、例えば、トナーの小粒径化が図られ、画像の高精細化に有効な小粒径トナーを製造するために種々の検討がなされている。
【0004】
しかしながら、小粒径トナーは、高精細画像の形成には有用であるが、微粉を多く含むために転写効率が低いという欠点を有する。小粒径トナーは、例えば粒径が10μm以上のトナーに比べて比表面積が大きいので、感光体および中間転写媒体(「中間転写体」ともいう)への非静電的な付着力が増加する。これにより小粒径トナーが記録媒体に転写し難くなり、記録媒体への可視像の転写後に感光体ドラムおよび中間転写媒体に残留するトナー量が増大する。このような傾向はフルカラー画像形成時に特に顕著に見られる。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(B)の各色に対応した感光体上に形成されたトナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写した後、記録媒体上に複数色のトナーからなるトナー像を重ねて一括転写することによりフルカラー画像を形成するため、トナーの転写性が問題になることが多い。
【0005】
このような問題に鑑み、トナーを球形化することにより、感光体あるいは中間転写媒体とトナーとの接触面積を減少させてトナーの転写性を向上させる提案がなされている。
例えば、特開平11−295922号公報(特許文献1)および特許第3870600号公報(特許文献2)に記載の非磁性トナーでは、加熱処理によりトナー粒子に表面改質を施した、平均円形度が0.96以上であり、平均円形度の標準偏差(BET比表面積からの換算粒径Dを重量平均粒径d50で除した値)が0.40以上である、表面積を抑えた表面性状を有するトナーにより転写性の改善を図っている。
しかしながら、トナーの転写性は、トナーの流動性や帯電性に大きく関わり、流動性が低くなるとドット抜けなどの転写不良が生じ易くなる。
【0006】
また、外添剤にはトナーの付着力を下げる効果があり、トナーの表面に外添剤を適量付着させるのが効果的である。感光体あるいは中間転写媒体とトナーとの接触面積を減少させるために、外添剤の添加量を減らして球形度を高めたトナーの比表面積を小さくする方法では、外添剤の添加量を減らし過ぎるとトナーの流動性が悪くなり、帯電性も保持できず、トナーの付着力が増加する結果、転写不良が生じてしまうという問題がある。
【0007】
また、特開平8−272139号公報(特許文献3)および特開平8−278656号公報(特許文献4)では、トナーを凹凸の少ない表面性状にし、かつ外添剤を添加することにより、トナーの転写効率の改善をはかる提案がなされている。
しかしながら、球形化処理した小粒径トナーに外添剤を添加し過ぎると、転写性は向上しても、トナー粒子の非静電的な付着力が低下して静電的な影響を受け易くなり、特に定着ニップ部で摩擦帯電をする定着ローラとの間の電気的反発力の影響が相対的に強くなるためにドット散りが生じるという問題がある。
【0008】
すなわち、上記のように高精細画像を形成するために球形化および小粒径化を図ったトナーには、転写効率が低くなり易いという問題と、定着工程でドット散りが生じ易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−295922号公報
【特許文献2】特許第3870600号公報
【特許文献3】特開平8−272139号公報
【特許文献4】特開平8−278656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、転写効率が改善されると共に定着工程でドット散りが生じない、球形化および小粒径化された電子写真用トナーおよびそれを用いる、高精細画像を実現し得る画像形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含むトナー母粒子と外添剤とを混合することにより製造されるトナーにおいて、トナー母粒子の球形化および小粒径化を図ると共に、トナー母粒子の比表面積が特定の条件を満足するように設定し、外添剤として疎水化処理された特定の無機微粒子であり、かつ小粒径無機微粒子または特定の配合割合の小粒径無機微粒子と大粒径無機微粒子との混合体を用いることにより、転写効率が改善されると共に定着工程でドット散りが生じないことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
かくして、本発明によれば、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含むトナー母粒子と外添剤とを含み、
前記トナー母粒子が、式(1)〜(3):
0.95≦a<0.985 (1)
3≦d50≦9 (2)
2≦Sb≦6 (3)
(式中、aは平均円形度、d50はトナーの重量平均粒径(μm)、SbはBET法によって測定されたトナーの単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)を示す)
の条件に加えて、さらに式(4)および(5):
1.5≦Sb−St (4)
(Sb−St)/d50≦0.7 (5)
(式中、Sbは前記式(3)と同義であり、Stはトナーを真球と仮定して重量平均粒径より求めた単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)を示す)
の条件を満足する粒子であり、
前記外添剤が、
疎水化処理された、シリカ、アルミナおよびチタニアから選択される1種以上の無機微粒子であり、かつ
3nm以上40nm以下の平均一次粒径を有する小粒径無機微粒子でありかつ前記トナー母粒子100重量部に対して2〜5重量部配合されてなるか、または
前記小粒径無機微粒子と100nm以上200nm以下の平均一次粒径を有する大粒径無機微粒子との混合体であり、式(6):
1<A/B<10 (6)
(式中、AおよびBは、それぞれトナー母粒子100重量部に対する小粒径無機微粒子および大粒径無機微粒子の配合量(重量部)を示す)
の条件を満足しかつ前記トナー母粒子100重量部に対して1.5〜5重量部配合されてなる
ことを特徴とする電子写真用トナーが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、帯電部材により電圧が印加されて帯電した静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、上記の電子写真用トナーにより前記静電潜像を現像して、トナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上の前記トナー像を、中間転写体を介してまたは介さずに記録媒体に転写する転写工程と、加熱加圧部材の加熱ローラと加圧ローラの間に前記記録媒体上の前記トナー像を通過させて定着画像を形成する定着工程とを少なくとも有することを特徴とする画像形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、転写効率が改善されると共に定着工程でドット散りが生じない、球形化および小粒径化された電子写真用トナーおよびそれを用いる、高精細画像を実現し得る画像形成方法を提供することができる。
なお、本発明の構成と作用・効果との関係については、各構成の項において詳述する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含むトナー母粒子と外添剤とを含み、
前記トナー母粒子が、式(1)〜(3):
0.95≦a<0.985 (1)
3≦d50≦9 (2)
2≦Sb≦6 (3)
(式中、aは平均円形度、d50はトナーの重量平均粒径(μm)、SbはBET法によって測定されたトナーの単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)を示す)
の条件に加えて、さらに式(4)および(5):
1.5≦Sb−St (4)
(Sb−St)/d50≦0.7 (5)
(式中、Sbは前記式(3)と同義であり、Stはトナーを真球と仮定して重量平均粒径より求めた単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)を示す)
の条件を満足する粒子であり、
前記外添剤が、
疎水化処理された、シリカ、アルミナおよびチタニアから選択される1種以上の無機微粒子であり、かつ
3nm以上40nm以下の平均一次粒径を有する小粒径無機微粒子でありかつ前記トナー母粒子100重量部に対して2〜5重量部配合されてなるか、または
前記小粒径無機微粒子と100nm以上200nm以下の平均一次粒径を有する大粒径無機微粒子との混合体であり、式(6):
1<A/B<10 (6)
(式中、AおよびBは、それぞれトナー母粒子100重量部に対する小粒径無機微粒子および大粒径無機微粒子の配合量(重量部)を示す)
の条件を満足しかつ前記トナー母粒子100重量部に対して1.5〜5重量部配合されてなる
ことを特徴とする。
なお、本明細書において、「粒径」と「粒子径」とを同義とする。
まず、上記の条件式(1)〜(5)について説明する。
【0016】
[条件式(1)]
本発明では、トナー母粒子の平均円形度aが、式(1):
0.95≦a<0.985 (1)
の条件を満足するので、転写性の改善を図り、ドット抜けをなくしてドット再現性を向上させることができる。
すなわち、トナーを球形化し、感光体ドラムまたは中間転写媒体とトナーとの接触面積を減少させることにより転写性を向上させることができる。この接触面積はトナーの粒径の依存性が小さく、主にトナー形状に依存するものと考えられる。
【0017】
トナーが平均円形度0.985以上となり、真球形(a=1)に近くなると、転写性は向上するが、非静電的な付着力が弱くなり、特に定着工程では定着ニップ部で摩擦帯電をしている定着ローラとの間の電気的反発力が相対的に強くなるために、ドット散りやトナー散りが発生し易くなる。
トナー粒径を小さくし、平均円形度を高める程、トナー散りの発生率が高くなる傾向があり、この場合にはトナー粒径への依存性が認められる。また、トナーの小粒径化と球形化をすすめ、平均円形度が0.985以上の場合にはクリーニング不良が生じ易くなるという問題もある。
一方、平均円形度が0.95未満では、転写性が低下してドット抜けが発生することがあり、良好な画像を形成することができないことがある。
【0018】
トナー母粒子の円形度(ai)は、式(7):
ai=Cv/Ct (7)
(式中、aiはトナー母粒子の円形度、CVはトナー母粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長、CTはトナー母粒子の投影像の周囲長を示す)
によって定義され、トナー母粒子の平均円形度(a)は、式(8):
【0019】
(数1)

a= Σai/m (8)
i=1
(式中、aは平均円形度、aiはトナー母粒子の円形度、mはトナー母粒子数(個)を示す)
によって定義される。
【0020】
すなわち、平均円形度(a)は、例えば、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、型式:FPIA−3000)のような粒子像分析装置を用いて、トナー母粒子像を分析し、m個のトナー母粒子について測定した各トナー母粒子の円形度(ai)の総和をトナー粒子数mで除算することにより得られる算術平均値である。
【0021】
具体的には、フロー式粒子像分析装置では、界面活性剤を約0.1mg溶解させた水10mLにトナー母粒子5mgを分散させ、得られた分散液に周波数20kHz、出力50Wの超音波を5分間照射し、分散液中のトナー母粒子濃度を5000〜20000個/μLとしてトナー母粒子の円形度(ai)を測定し、上記式(8)により平均円形度(a)を算出することができる。
【0022】
[条件式(2)]
本発明では、トナー母粒子の重量平均粒径d50が、式(2):
3≦d50≦9 (2)
の条件を満足するので、高精細な画像を形成することができる。
重量平均粒径d50が、3μmより小さくなるとトナーに過帯電が生じやすくなり、現像性不良や転写性不良が起こることがある。また、9μmよりも大きいと画質が粗くなり高精細な画像を得ることが難しくなる。
【0023】
トナー母粒子の重量平均粒径は、例えば粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、型式:Multisizer3)のような公知の測定装置を用いて測定することができる。
具体的には、上記の粒度分布測定装置では、電解液(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:ISOTON−II)50mlに、トナー母粒子20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散機(株式会社エスエムテー製、型式:UH−50)により超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製し、得られた測定用試料をアパーチャ径100μm、測定粒子数50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の重量粒度分布から重量平均粒径を求めることができる。
【0024】
[条件式(3)]
本発明では、BET法によって測定されたトナーの単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)Sbが、式(3):
2≦Sb≦6 (3)
の条件を満足するので、転写効率を高めることができる。
BET法によって測定されたトナーの単位体積当たりの比表面積Sbが、2m2/cm3未満になると、外添剤の働きが悪くなり、トナーの流動性や帯電性が低下し、現像不良や転写不良が生じることがある。また、6m2/cm3以上になると、外添剤の添加量が多くなり過ぎて、画像濃度の低下を招くことがある。
【0025】
[条件式(4)]
本発明では、BET法によって測定されたトナー母粒子の単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)Sbと、トナー母粒子を真球と仮定して重量平均粒径より求めた単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)Stとが、式(4):
1.5≦Sb−St (4)
の条件を満足するので、少なくとも1.5(m2/cm3)となる一定量の外添剤をトナー母粒子に添加することで転写性を改善することができる。
【0026】
トナーを球形化し、感光体ドラムまたは中間転写媒体とトナーとの接触面積を減少させることにより転写性の向上させることができるが、接触面積を減少させるために外添剤の添加量を減少させ過ぎると、感光体ドラムまたは中間転写媒体へのトナーの付着力が高くなり、逆に転写性が悪化してしまう。
トナー粒径が小さくなると非静電的な付着力が増加するが、外添剤を適量添加することにより、非静電的な付着力は弱まる。そして、帯電されたトナーは静電力が主体となって感光体ドラムまたは中間転写媒体に付着するが、帯電量(Q/M)が同じでも外添剤の添加量の増加に従い付着量が小さくなることが知られており、付着力は帯電された外添剤の面積に反比例するModelが提唱されている。
【0027】
重量平均粒径d50のトナー母粒子を球形(真球)と仮定し、その表面積および体積をそれぞれSおよびVとすると、トナー母粒子の単位体積あたりの比表面積Stは、次式で表される。
St=S/V=6/d50
外添剤がトナー母粒子表面の面積S全体を被覆したときのBET表面積は、外添剤による有効面積比をaとすると、a×Sになり、外添剤の被覆率をθとすると、単位体積中の外添剤の表面積は次式で表される。
S×θ×a/V=k1×θ/d50 (k1は定数)
【0028】
外添剤の帯電面積が単位体積中の外添剤の表面積に比例すると仮定して、単位体積当たりのトナーの付着力をFaとすると、Faは上記式に反比例するので、次式で表される。
Fa=k2×d50/θ (k2は定数)
転写がスムースに生じるには、付着力がFa1以下でなければならないとすれば、
Fa1≧k2×d50/θ
θ≧k2×d50/Fa1
θの最小値は、k2/Fa1を定数k3とおけば、k3×d50となる。
ところで、重量平均粒径d50のトナー母粒子の単位体積中の表面積Sbは、次式で表される。
Sb={S×θ×a+S×(1−θ)}/V
={S×θ×(a−1)+S}/V
θの最小値としてk3×d50を代入すると
Sb=S/V×k3×d50×(a−1)+S/V
=k4+St (k4は定数)
以上の検討の結果から、少なくとも1.5(m2/cm3)となる一定量の外添剤をトナーに添加することで転写性を改善できることがわかる。
【0029】
BET法によって測定されたトナー母粒子の単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)Sbは、例えば、BET比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、型式:Nova4200e)のような公知の測定装置を用いて、トナー母粒子のBET比表面積SB(m2/g)および真比重ρ(g/cm3)(但し、Sb=SB・ρ)を測定し、得られた測定結果から求めることができる。同様にして、トナー母粒子を真球と仮定して重量平均粒径より求めた単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)Stを求めることができる。
【0030】
[条件式(5)]
本発明では、BET法によって測定されたトナー母粒子の単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)Sbと、トナー母粒子を真球と仮定して重量平均粒径より求めた単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)Stとが、式(5):
(Sb−St)/d50≦0.7 (5)
の条件を満足するので、0.7×d50(m2/cm3)以下となる範囲で外添剤を添加することでドット散りを抑えることができる。
【0031】
トナーを定着させる際に、外添剤の量が多過ぎるとドット散りが生じる。ドット散りは、静電的に帯電した定着ローラと帯電トナーとの間で生じる現象であるが、特に外添剤を添加しないトナーでは生じないこと、外添剤の量が多くなるとドット散りの確立が高まることなどから、帯電された外添剤の面積に比例するものと考えられる。
【0032】
重量平均粒径d50のトナー母粒子を球形(真球)と仮定し、その表面積および体積をそれぞれSおよびV、外添剤の被覆率をθ、外添剤がトナー母粒子表面の面積S全体を被覆したときのBET表面積をa×S(aは外添剤による有効面積比)とすると、単位体積中の外添剤の表面積は、次式で表される。
S×θ×a/V=k1×θ/d50 (k1は定数)
【0033】
外添剤の帯電面積が単位体積中の外添剤の表面積に比例すると仮定して、単位体積当たりのトナーの散りに働く静電力をFqとすると、Fqは上記式に比例するので、次式で表される。
Fq=k5×θ/d50 (k5は定数)
一方、紙などの転写材(「記録媒体」ともいう)への付着力は非静電的付着力が主体に働くものと考えられ、非静電的付着力はトナー粒径に比例するので、転写材への付着力Fbは、次式で表される。
Fb=k6×d50 (k6は定数)
ドット散りを防ぐためには、付着力Fbが静電力Fq以上とする必要があると仮定すると、次式からθのとれる最大値はk7×d50^2となる。
k6×d50≧k5×θ/d50
θ≦k7×d502 (k7は定数)
【0034】
ところで、重量平均粒径d50のトナー母粒子の単位体積中の表面積Sbは、次式で表される。
Sb={S×θ×a+S×(1−θ)}/V
={S×θ×(a−1)+S}/V
θの最大値としてk7×d502を代入すると
Sb=S/V×k7×d502×(a−1)+S/V
=k8×d50+St (k8は定数)
以上の検討の結果から、0.7×d50(m2/cm3)以下となる範囲で外添剤を添加することでドット散りを抑えることができることがわかる。
【0035】
本発明のトナーは、公知の方法により、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含むトナー母粒子とを混合することにより製造される。
本発明のトナー母粒子(「トナー母体」ともいう)は、粉砕法、湿式法などの公知の方法により製造(粒造)することができる。
粉砕法では、結着樹脂、着色剤、離型剤としてのワックス、帯電制御剤などのトナー組成物を、ヘンシェルミキサーなどの混合機で均一に混合し、二軸押出混練機またはオープンロール混練機などで溶融混練し、得られた混練物を冷却・粗粉砕し、ジェットミルなどで微粉砕した後、風力分級機などで分級することによりトナー母体を得る(粒造する)ことができる。
【0036】
湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法などが挙げられる。
懸濁重合法では、結着樹脂としての重合性モノマー、着色剤、離型剤としてのワックス、重合開始剤、必要に応じて荷電制御剤、架橋剤などをイオン交換水に加え、ホモジナイザーなどの攪拌機を用いて攪拌しつつ加温して重合反応を進めて粒造し、得られた粒子を濾過・洗浄・乾燥することによりトナー母体を得ることができる。
【0037】
[樹脂]
粉砕法においてトナー母粒子の調製に用いられる結着樹脂しては、一般にトナー用の結着樹脂として常用されている公知の樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、現像性や定着性の点でポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂などが好ましい。
トナー母粒子中の樹脂の含有量は、好ましくは 70〜95重量%、より好ましくは80〜90重量%である。
【0038】
ポリエステル樹脂は、通常、二価アルコールと二塩基酸、必要に応じて三価以上の多価アルコールあるいは三価以上の多塩基酸からなるモノマー組成物を、公知の方法で重合することにより得られる。
重合反応における条件は、モノマー成分の反応性により適宜設定すればよく、また重合体が後述する好ましい物性になった時点で反応を終了させればよい。例えば、反応温度は170〜250℃程度、反応圧力は5mmHg〜常圧程度である。
【0039】
重合反応には、モノマー成分に応じて重合開始剤を用いてもよく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。また、レドックス開始剤として前記過酸化物と、ジメチルアニリン,メルカプタン類,第三アミン類,鉄(II)塩,亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤とを組み合わせて用いてもよい。これら重合開始剤は所望の分子量を得るために好適に使用されるが、一般には、重合性モノマーの0.1〜10重量%の添加量で充分である。
【0040】
二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール類;およびビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのビスフェノールAアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0041】
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、シュクロース(蔗糖)、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
【0042】
二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸およびこれらの酸無水物;低級アルキルエステル;およびn−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類またはアルキルコハク酸類などが挙げられる。
【0043】
三価以上の多塩基酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸およびこれらの無水物などが挙げられる。
【0044】
スチレン系樹脂(「スチレン系ポリマー」ともいう)としては、例えば、スチレン系モノマーのホモポリマー、スチレン系モノマーとスチレン系モノマーに共重合可能なモノマー(他のモノマー)とのコポリマーが挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル系モノマー類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;およびN−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドールなどのN−ビニル化合物などが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
(メタ)アクリル酸系樹脂(「(メタ)アクリル酸系ポリマー」ともいう)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類のホモポリマー、(メタ)アクリル酸エステル類と(メタ)アクリル酸エステル類に共重合可能なモノマー(他のモノマー)とのコポリマーが挙げられる。
本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、前述の(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
他のモノマーとしては、例えば、前述の(メタ)アクリル系モノマー類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N−ビニル化合物などが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
湿式法で用いられ得る重合性モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類;その他アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのモノマーが挙げられる。これらを単独もしくは複数混合して用いることができる。
【0049】
[着色剤]
本発明のトナーの着色剤としては、有機系および無機系を問わず、公知の様々な種類および色の着色剤を用いることができ、例えばイエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。
【0050】
イエロートナー用着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74などのアゾ系顔料;C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料;C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料;黄色酸化鉄、黄土などの無機系顔料などが挙げられる。
【0051】
マゼンタトナー用着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、C.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
【0052】
シアントナー用着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー 25、C.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。
【0053】
ブラックトナー用着色剤としては、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。
【0054】
上記の着色剤以外にも、紅色顔料および緑色顔料などを用いることができ、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切な着色剤を適宜選択すればよい。
また、着色剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、2種以上の組み合わせは、同色系、異色系のいずれであってもよい。
【0055】
着色剤の配合量は特に限定されないが、結着樹脂100重量部に対して3〜15重量部が好ましく、5〜10重量部が特に好ましい。
着色剤の配合量が上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができ、またトナーの消費量を抑え、低コスト化に寄与できる。
着色剤の配合量が3重量部未満では、高い画像濃度を得るために付着量を上げる必要があり、トナー消費量を増大させてしまうことがある。一方、着色剤の配合量が15重量部を超えると、色再現性に問題が生じることがある。
【0056】
[離型剤]
本発明のトナーの離型剤としては、一般にトナー用の離型剤として常用されている公知のワックスが挙げられる。
離型剤としては、例えば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス;フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、ポリエチレンワックスおよびその誘導体、ポリプロピレンワックスおよびその誘導体、ポリエチレンプロピレン重合体ワックスおよびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス;カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス;蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス;脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス;長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸、エステルワックスおよびその誘導体などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。
【0057】
離型剤の配合量特に限定されないが、結着樹脂100重量部に対して0.2〜10重量部が好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。
離型剤の配合量が0.2重量部未満であると、適切な離型性が得られず、低温でもオフセット現象が生じ、良好な定着性が得られないことがある。また、離型剤の配合量が10重量部を超えると、トナーの付着力が高まり、適切なトナーの流動性が得られず、現像性や転写性に問題が生じることがある。
【0058】
[帯電制御剤]
本発明のトナーの帯電制御剤としては、当該技術分野で公知の帯電制御剤が挙げられ、例えば、
クロム・アゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルト・アゾ錯体染料などの含金属アゾ染料;銅フタロシアニン染料;サリチル酸とそのアルキル誘導体の金属錯体およびその塩;ナフトール酸とその誘導体の金属錯体およびその塩;ベンジル酸とその誘導体の金属錯体およびその塩;長鎖アルキルカルボン酸塩および長鎖アルキルスルホン酸塩などの負帯電性トナー用帯電制御剤、
ニグロシン染料とその誘導体;ベンゾグアナミン;トリフェニルメタン誘導体;4級アンモニウム塩;4級ホスフォニウム塩;4級ピリジニウム塩;グアニジン塩およびアミジン塩などの正帯電性トナー用帯電制御剤、
N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類などの含窒素官能基を有するモノマーのラジカル重合性共重合体などが挙げられる。
上記の負帯電性トナー用帯電制御剤における金属錯体の金属としては、例えば、クロム、亜鉛、アルミニウム、硼素などが挙げられる。
【0059】
帯電制御剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
帯電制御剤の配合量は特に限定されないが、結着樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量%が好ましく、0.5〜2.0重量%が特に好ましい。
【0060】
上記のようにして製造されたトナー母粒子の少なくとも一部は、球形化処理が施されているのが好ましい。この球状化処理により、上記の条件式を満足するトナー母粒子が得られ易い。
球形化処理としては、例えば、衝撃式球形化装置および熱風式球形化装置など公知の装置を用いた処理が挙げられる。
衝撃式球形化装置としては、例えば、多機能型粒子設計装置(ホソカワミクロン株式会社製、製品名:ファカルティF)、粒子設計/表面改質装置(株式会社奈良機械製作所製、製品名:ハイブリダイゼーションシステム)などが挙げられる。
また、熱風式球形化装置としては、例えば、表面改質機(日本ニューマチック工業株式会社製、製品名:メテオレインボー)などが挙げられる。
【0061】
[外添剤]
本発明のトナーの外添剤は、トナーの搬送性および帯電性ならびにトナーを二成分現像剤にする場合のキャリアとの撹拌性などを向上させるために用いられる。
本発明では、外添剤は、
疎水化処理された、シリカ、アルミナおよびチタニアから選択される1種以上の無機微粒子であり、かつ
3nm以上40nm以下、好ましくは5以上20nm以下の平均一次粒径を有する小粒径無機微粒子でありかつ前記トナー母粒子100重量部に対して2〜5重量部配合されてなるか、または
前記小粒径無機微粒子と100nm以上200nm以下の平均一次粒径を有する大粒径無機微粒子との混合体であり、式(6):
1<A/B<10 (6)
(式中、AおよびBは、それぞれトナー母粒子100重量部に対する前記小粒径無機微粒子および前記大粒径無機微粒子の配合量(重量部)を示す)
の条件を満足しかつ前記トナー母粒子100重量部に対して1.5〜5重量部配合されてなる。
【0062】
本発明のトナーの外添剤は、疎水化処理された、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)およびチタニア(酸化チタン)から選択される1種以上の無機微粒子である。
疎水化処理された無機微粒子は、例えば、ジメチルジクロルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクチルシラン、イソブチルトリメトキシシランなどの各種シランカップリング剤、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニスなどの疎水化処理剤を用いて、無機微粒子を公知の方法により表面処理することにより得ることができる。
これらの外添剤は、保存安定性に優れ、トナーに適切な流動性と帯電性を付与することができ、感光体ドラムあるいは中間転写媒体へのトナーの付着力を低下させ、結果として転写効率を高めることができる。
【0063】
外添剤は、上記の条件を満足する小粒径無機微粒子、または小粒径無機微粒子と大粒径無機微粒子との混合体であるのが、小粒径無機微粒子と大粒径無機微粒子とを併用することで、トナーに適切な流動性と帯電性を付与することができ、感光体ドラムあるいは中間転写媒体へのトナーの付着力を低下させ、転写効率を高めることができるだけでなく、定着時のドット散りを抑制することができるので、後者が特に好ましい。
小粒径無機微粒子と大粒径無機微粒子との配合割合A/Bが1以下である場合には、大粒径無機微粒子によるトナー間のスペーサー効果が十分に働かず、適切な流動性と帯電性を付与できず、トナーの凝集などが生じ、転写性が低下することがある。また、A/Bが10以上である場合には、感光体に与える磨耗効果が大きく、感光体や転写ベルトに傷が生じ易くなる。
【0064】
外添剤の配合量については、外添剤が小粒径無機微粒子のみである場合、トナー母粒子100重量部に対して2重量部未満では、トナーの流動性や帯電性が低下し、現像不良や転写不良が生じることがある。また、5重量部を超えると、画像濃度の低下や感光体にフィルミングや傷を生じさせる等の不良が生じることがある。
また、外添剤が小粒径無機微粒子と大粒径無機微粒子との混合体である場合、外添剤の配合量が、トナー母粒子100重量部に対して1.5重量部未満では、トナーの流動性や帯電性が低下し、現像不良や転写不良が生じることがある。また、5重量部を超えると、画像濃度の低下や感光体にフィルミングや傷を生じさせる等の不良が生じることがある。
但し、BET法によって測定されたトナー母粒子の単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)が2〜6(m2/cm3)になるように外添剤を添加することが好ましい。
【0065】
トナー母粒子と外添剤とは、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサなどの公知の混合機により攪拌・混合され、トナー粒子表面に外添剤を付着させた後、篩などによって凝集物、異物などを除去することにより、外添剤を含む本発明のトナーを得ることができる。
【0066】
本発明のトナーは、上記のように外添剤を添加したトナーに、公知のキャリアを配合することにより、画像形成装置の静電荷現像用トナー(2成分現像剤)として供される。
キャリアとしては、例えば、実施例に記載のキャリアなどが挙げられる。
【0067】
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、帯電部材により電圧が印加されて帯電した静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、本発明のトナーにより前記静電潜像を現像して、トナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上の前記トナー像を、中間転写体を介してまたは介さずに記録媒体に転写する転写工程と、加熱加圧部材の加熱ローラと加圧ローラの間に前記記録媒体上の前記トナー像を通過させて定着画像を形成する定着工程とを少なくとも有することを特徴とする。
すなわち、本発明の画像形成方法は、現像工程において本発明のトナーを用いることを特徴とし、他の工程については特に限定されない。
【実施例】
【0068】
以下に作製例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの作製例および実施例により本発明が限定されるものではない。
【0069】
(作製例1:第1トナー母粒子の作製)
ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FMミキサ)を用いて、下記の配合割合の成分を含むトナー原料45kgを7分間混合して原料混合物を得た。
次いで、二軸押出混練機(株式会社池貝製、型式:PCM65)を用いて、得られた原料混合物を溶融混練して溶融混練物を得た。
次いで、得られた溶融混練物を室温まで冷却して固化物を得、カッティングミル(菱興産業株式会社製、型式:VM−16)を用いて、得られた固化物を粗粉砕して粗粉砕物を得た。
その後、流動層式ジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製、型式:400TFG)を用いて、得られた粗粉砕物を設定粒径4μmで微粉砕し、次いでロータリー式分級機を用いて、過粉砕物を分級除去して粉砕物を得た。この粉砕物を第1シアントナー母粒子とした。
【0070】
(成分)
結着樹脂 :ポリエステル(花王株式会社製、製品名:タフトン)
100重量部
着色剤 :C.I.ピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製)
6.0重量部
離型剤 :パラフィンワックス(製品名:HNP−9、日本精鑞株式会社製)
3.5重量部
帯電制御剤:有機ホウ素化合物(日本カーリット株式会社製、製品名:LR−147)
1.2重量部
【0071】
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりに、C.I.ピグメントレッド122(大日精化工業株式会社製)またはC.I.ピグメントイエロー17(大日精化工業株式会社製)を用いたこと以外は、第1シアントナー母粒子の作製と同様にして、第1マゼンタトナー母粒子および第1イエロートナー母粒子を得た。
第1シアントナー母粒子、第1マゼンタトナー母粒子および第1イエロートナー母粒子の重量平均粒径および円形度を測定し、それらを平均して第1トナー母粒子の重量平均粒径4.3μmおよび円形度0.955を決定した。
【0072】
(作製例2:第2トナー母粒子の作製)
流動層式ジェットミルの設定粒径4μmを5μmにしたこと以外は、作製例1と同様にして、第2シアントナー母粒子、第2マゼンタトナー母粒子および第2イエロートナー母粒子を得た。第2トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ5.3μmおよび0.947であった。
【0073】
(作製例3:第3トナー母粒子の作製)
流動層式ジェットミルの設定粒径4μmを6μmにしたこと以外は、作製例1と同様にして、第3シアントナー母粒子、第3マゼンタトナー母粒子および第3イエロートナー母粒子を得た。第3トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ6.2μmおよび0.942であった。
【0074】
(作製例4:第4トナー母粒子の作製)
流動層式ジェットミルの設定粒径4μmを8μmにしたこと以外は、作製例1と同様にして、第4シアントナー母粒子、第4マゼンタトナー母粒子および第4イエロートナー母粒子を得た。第4トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ8.4μmおよび0.937であった。
【0075】
(作製例5:第5トナー母粒子の作製)
温度70℃に保温したハイラインミルを用いて、下記の成分のスチレンの一部(約80重量部)、離型剤および着色剤を1時間混合・分散し、その後下記の成分の残りを加えて5時間混合・分散し、さらにハイラインミルの設定温度を70℃に保持しながら、開始剤としてジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート10重量部およびベンゾイルパーオキサイド2重量部、アニオン系界面活性剤2重量部を加えて溶解して単量体組成物を得た。
次いで、ホモジナイザー(日本特殊機化工業株式会社製、製品名:ホモミキサー)にイオン交換水1300重量部を加え、さらに得られた単量体組成分を投入し、温度70℃、窒素雰囲気下で回転数15000rpmで15分間撹拌して単量体組成物を造粒した。その後、温度70℃、窒素雰囲気下で、パドル撹拌翼を用いて回転数150rpmで8時間撹拌を継続して単量体組成物を反応させた後、冷却し、濾過・水洗・乾燥することにより第5シアントナー母粒子を得た。
【0076】
(成分)
結着樹脂の単量体:スチレン
170重量部
結着樹脂の単量体:n−ブチルアクリレート
30重量部
結着樹脂 :スチレン−メタクリル酸メチル共重合体
2.5重量部
着色剤 :C.I.ピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製)
13重量部
離型剤 :パラフィンワックス(製品名:HNP−9、日本精鑞社製)
7重量部
帯電制御剤:有機ホウ素化合物(製品名:LR−147、日本カーリット株式会社製)
2.5重量部
【0077】
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3の代わりに、C.I.ピグメントレッド122(大日精化工業株式会社製)またはC.I.ピグメントイエロー17(大日精化工業株式会社製)を用いたこと以外は、第5シアントナー母粒子の作製と同様にして、第5マゼンタトナー母粒子および第5イエロートナー母粒子を得た。
第5シアントナー母粒子、第5マゼンタトナー母粒子および第5イエロートナー母粒子の重量平均粒径および円形度を測定し、それらを平均して第5トナー母粒子の重量平均粒径3.5μmおよび円形度0.976を決定した。
【0078】
(作製例6:第6トナー母粒子の作製)
熱風式球形化装置(日本ニューマチック工業株式会社製、製品名:メテオレインボー)を用いて、熱風温度を180℃に設定して、分級後の粉砕物(第1トナー母粒子)を球形化処理したこと以外は、第1トナー母粒子の作製と同様にして、第6シアントナー母粒子、第6マゼンタトナー母粒子および第6イエロートナー母粒子を得た。第6トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ4.3μmおよび0.965であった。
【0079】
(作製例7:第7トナー母粒子の作製)
上記の熱風式球形化装置を用いて、熱風温度を190℃に設定して、分級後の粉砕物(第2トナー母粒子)を球形化処理したこと以外は、第2トナー母粒子の作製と同様にして、第7シアントナー母粒子、第7マゼンタトナー母粒子および第7イエロートナー母粒子を得た。第7トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ5.3μmおよび0.962であった。
【0080】
(作製例8:第8トナー母粒子の作製)
上記の熱風式球形化装置を用いて、熱風温度を200℃に設定して、分級後の粉砕物(第3トナー母粒子)を球形化処理したこと以外は、第3トナー母粒子の作製と同様にして、第8シアントナー母粒子、第8マゼンタトナー母粒子および第8イエロートナー母粒子を得た。第8トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ6.2μmおよび0.963であった。
【0081】
(作製例9:第9トナー母粒子の作製)
上記の熱風式球形化装置を用いて、熱風温度を210℃に設定して、分級後の粉砕物(第4トナー母粒子)を球形化処理したこと以外は、第4トナー母粒子の作製と同様にして、第9シアントナー母粒子、第9マゼンタトナー母粒子および第9イエロートナー母粒子を得た。第9トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ8.4μmおよび0.962であった。
【0082】
(作製例10:第10トナー母粒子の作製)
上記の熱風式球形化装置を用いて、熱風温度を200℃に設定して、分級後の粉砕物(第5トナー母粒子)を球形化処理したこと以外は、第5トナー母粒子の作製と同様にして、第10シアントナー母粒子、第10マゼンタトナー母粒子および第10イエロートナー母粒子を得た。第10トナー母粒子の重量平均粒径および平均円形度は、それぞれ3.5μmおよび0.985であった。
【0083】
(実施例1:現像剤1の作製)
第6シアントナー母粒子、第6マゼンタトナー母粒子および第6イエロートナー母粒子のそれぞれ100重量部に、外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転部材の周速35m/sの条件で3分間混合し、実施例1の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。
【0084】
BET比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、型式:Nova4200e)、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、型式:FPIA−3000)を用いて、得られたシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーのBET表面積と円形度をそれぞれ測定し、それらを平均して実施例1のトナーのBET表面積2.90m2/gおよび円形度0.965を決定した。
次いで、シアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーのそれぞれ5重量部に、キャリアとしてフェライトコアキャリア(重量平均粒径45μm)95重量部を加え、V型混合器混合機を用いて20分間混合してトナー濃度5重量%の実施例1のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0085】
(実施例2:現像剤2の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を1.6重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例2のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.65m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例2のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0086】
(実施例3:現像剤3の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を2.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例3のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは4.42m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例3のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0087】
(比較例1:比較現像剤1の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を0.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例1のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは2.33m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例1のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0088】
(比較例2:比較現像剤2の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を2.8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例2のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは5.11m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例2のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0089】
(実施例4:現像剤4の作製)
トナー母粒子として第6シアントナー母粒子、第6マゼンタトナー母粒子および第6イエロートナー母粒子に代えて、第1シアントナー母粒子、第1マゼンタトナー母粒子および第1イエロートナー母粒子を用い、かつ外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を1.6重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例4のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.67m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例4のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0090】
[評価]
高速現像機を搭載したデジタルフルカラー複合機(シャープ株式会社製、型式:MX-2700)を用いて、エージング印刷前(初期)およびエージング印刷後における、得られた実施例1〜4ならびに比較例1および2の二成分現像剤の画像濃度、帯電性、転写効率、ドット抜けおよびトナー散りを下記の方法により評価した。NN環境(温度20℃/相対湿度50%RH)において、記録用紙(シャープ株式会社製、A4判、52g/m2、型式:PPC用紙SF−4AM3)10000枚に、印字率5%のカラー原稿を印刷することにより、エージング印刷を行った。さらに、40000枚のエージング印刷を行い、50000枚のエージング印刷後における感光体ドラム磨耗量を評価した。
また、得られた評価結果を総合的に評価した。
得られた評価結果をトナー(二成分現像剤)の物性と共に表1および2に示す。
【0091】
[画像濃度]
反射濃度計(グレタグマクベス社製、型式:RD918)を用いて、シアン、マゼンタ、イエローおよび黒(シアン、マゼンタおよびイエローで形成)のべた画像部の光学反射濃度を測定して画像濃度とし、次の基準により画像濃度を評価した。
○:良好 (画像濃度が1.3以上)
△:使用可(画像濃度が1.2以上1.3未満)
×:不良 (画像濃度が1.2未満)
【0092】
[帯電性]
上記のデジタルフルカラー複合機において、感光体上に現像されないように調整した状態で現像器のみ3分間連続駆動した後、現像剤を採取し、吸引式小型帯電量測定装置(トレックジャパン株式会社製、型式:210HS−2A)を用いて、二成分現像剤の帯電量を測定し、次の基準により評価した。
○:良好 (帯電量が19μC/g以上23μC/g未満)
△:使用可(帯電量が17μC/g以上19μC/g未満)
×:不良 (帯電量が上記範囲以外)
【0093】
[転写効率]
上記のデジタルフルカラー複合機において、シアン、マゼンタ、イエローおよび黒(シアン、マゼンタおよびイエローで形成)のべた画像をそれぞれ形成する場合に、感光体ドラム表面から中間転写ベルトに転写されたトナーの割合を1次転写効率とし、中間転写ベルトから定着前の記録用紙に転写されたトナーの割合を2次転写効率とし、1次転写効率と2次転写効率の積を転写効率とし、次の基準により評価した。
なお、黒のべた画像の場合の1次転写効率を、転写前の各感光体ドラムに存在するトナー量の和を100%として算出した。
上記のデジタルフルカラー複合機をプロセス毎に停止して、上記の吸引式小型帯電量測定装置を用いて、それぞれのプロセス部材上のトナーを吸引することにより、トナー量を測定した。
○:良好 (転写効率が80%以上)
△:使用可(転写効率が70%以上80%未満)
×:不良 (転写効率が70%未満)
【0094】
[ドット抜け]
上記のデジタルフルカラー複合機において、感光体上のトナー付着量が0.4mg/cm2となるように調整し、シアン、マゼンタ、イエローおよび黒(シアン、マゼンタおよびイエローで形成)の3×5孤立ドットの画像をそれぞれ形成した。
「3×5孤立ドットの画像」とは、600dpi(dot per inch)において、縦3ドット、横3ドットの大きさである複数のドット部が、隣り合うドット部同士の間隔が5ドットとなるように、形成される画像である。
光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、型式:VHX−600)を用いて、形成した画像を100倍に拡大してモニタに表示し、200個の3×5孤立ドットのうち、ドット抜けの発生した数を確認し、次の基準により評価した。
○:良好 (ドット抜けが20個未満)
△:使用可(ドット抜けが20個以上35個未満)
×:不良 (ドット抜けが35個以上)
【0095】
[トナー散り]
上記のデジタルフルカラー複合機において、感光体上のトナー付着量が0.4mg/cm2となるように調整し、シアン、マゼンタ、イエローおよび黒(シアン、マゼンタおよびイエローで形成)の3×5孤立ドットの画像をそれぞれ形成した。
光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、型式:VHX−600)を用いて、形成した画像を200倍に拡大してモニタに表示し、30個の3×5孤立ドットのドット部(3×3)周りのトナー粒子の散りを目視で数えて平均し、3×5孤立ドット1個あたりのトナー散りを計測し、次の基準により評価した。
○:良好 (トナー散りが30個未満)
△:使用可(トナー散りが30個以上50個未満)
×:不良 (トナー散りが50個以上)
【0096】
[感光体の磨耗量]
膜厚測定器(製品名:MCPD1100、大塚電子株式会社製)を用いて、感光体ドラムにおける導電性支持体上の総膜厚を測定し、エージング印刷前の初期膜厚T1および50000枚のエージング印刷後の膜厚T2から各感光体ドラムの摩耗量ΔT(=T1−T2)を求め、次の基準により評価した。
○:良好 (摩耗量ΔTが2.5μm未満)
×:不良 (摩耗量ΔTが2.5μm以上)
【0097】
[総合評価]
以上の各評価結果に基づいて、次の基準で総合的に評価した。
◎:特に良好(各評価結果の全てが○)
○:良好(各評価結果において、△の評価が5個未満)
△:可 (各評価結果において、△の評価が5個以上10個未満
×:不可(各評価結果において、×の評価が1個以上あるいは△の評価が10個以上)
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
(実施例5:現像剤5の作製)
第7シアントナー母粒子、第7マゼンタトナー母粒子および第7イエロートナー母粒子のそれぞれ100重量部に、外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したアルミナ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積50m2/g)1.0重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転部材の周速35m/sの条件で3分間混合し、実施例5の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。
実施例1と同様にして、実施例5のトナーのBET表面積2.68m2/gおよび円形度0.962を決定した。
また、実施例1と同様にして、トナー濃度5重量%の実施例5のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0101】
(実施例6:現像剤6の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したアルミナ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積50m2/g)1.0重量部を1.8重量部としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例6の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例6のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.66m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例6のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0102】
(実施例7:現像剤7の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したアルミナ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積50m2/g)1.0重量部を2.5重量部としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例7の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例7のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは4.61m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例7のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0103】
(比較例3:の比較現像剤3の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したアルミナ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積50m2/g)1.0重量部を0.5重量部としたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例3の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例3のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは2.12m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例3のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0104】
(比較例4:比較現像剤4の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したアルミナ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積50m2/g)1.0重量部を3.2重量部としたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例4の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例4のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは5.41m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例4のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0105】
(比較例5:比較現像剤5の作製)
第2シアントナー母粒子、第2マゼンタトナー母粒子および第2イエロートナー母粒子のそれぞれ100重量部に、外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したアルミナ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積50m2/g)1.8重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転部材の周速35m/sの条件で3分間混合し、比較例5の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。
実施例1と同様にして、比較例5のトナーのBET表面積3.65m2/gおよび円形度0.947を決定した。
また、実施例1と同様にして、トナー濃度5重量%の比較例5のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0106】
[評価]
実施例1〜4ならびに比較例1および2の二成分現像剤と同様にして、得られた実施例5〜7および比較例3〜5の二成分現像剤の画像濃度、帯電性、転写効率、ドット抜け、トナー散りおよび50000枚のエージング印刷後における感光体ドラム磨耗量を評価し、得られた評価結果を総合的に評価した。
得られた評価結果をトナー(二成分現像剤)の物性と共に表3および4に示す。
【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
(実施例8:現像剤8の作製)
第5シアントナー母粒子、第5マゼンタトナー母粒子および第5イエロートナー母粒子のそれぞれ100重量部に、外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転部材の周速35m/sの条件で3分間混合し、実施例8の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。
実施例1と同様にして、実施例8のトナーのBET表面積3.25m2/gおよび円形度0.976を決定した。
また、実施例1と同様にして、トナー濃度5重量%の実施例8のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0110】
(実施例9:現像剤9の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を1.6重量部としたこと以外は、実施例8と同様にして、実施例9の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例9のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.99m2/gおよび0.976であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例9のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0111】
(比較例6:比較現像剤6の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を0.6重量部としたこと以外は、実施例8と同様にして、比較例6の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例6のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは2.71m2/gおよび0.976であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例6のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0112】
(比較例7:比較現像剤7の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を2.2重量部としたこと以外は、実施例8と同様にして、比較例7の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例7のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは4.71m2/gおよび0.976であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例7のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0113】
(比較例8:比較現像剤8の作製)
第5シアントナー母粒子、第5マゼンタトナー母粒子および第5イエロートナー母粒子の代わりに、第10シアントナー母粒子、第10マゼンタトナー母粒子および第10イエロートナー母粒子を用い、かつ外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を1.6重量部としたこと以外は、実施例8と同様にして、比較例8の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例8のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.96m2/gおよび0.985であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例8のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0114】
[評価]
実施例1〜4ならびに比較例1および2の二成分現像剤と同様にして、得られた実施例8および9ならびに比較例6〜8の二成分現像剤の画像濃度、帯電性、転写効率、ドット抜け、トナー散りおよび50000枚のエージング印刷後における感光体ドラム磨耗量を評価し、得られた評価結果を総合的に評価した。
得られた評価結果をトナー(二成分現像剤)の物性と共に表5および6に示す。
【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
(実施例10:現像剤10の作製)
第8シアントナー母粒子、第8マゼンタトナー母粒子および第8イエロートナー母粒子のそれぞれ100重量部に、外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)を0.5重量部とを加え、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転部材の周速35m/sの条件で3分間混合し、実施例10の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。
実施例1と同様にして、実施例10のトナーのBET表面積2.50m2/gおよび円形度0.963を決定した。
また、実施例1と同様にして、トナー濃度5重量%の実施例10のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0118】
(実施例11:現像剤11の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を1.9重量部としたこと以外は、実施例10と同様にして、実施例11の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例11のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.64m2/gおよび0.963であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例11のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0119】
(実施例12:現像剤12の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を3.2重量部としたこと以外は、実施例10と同様にして、実施例12の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例12のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは5.17m2/gおよび0.963であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例12のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0120】
(比較例9:比較現像剤9の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を0.6重量部としたこと以外は、実施例10と同様にして、比較例9の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例9のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは2.03m2/gおよび0.963であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例9のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0121】
(比較例10:比較現像剤10の作製)
外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を3.7重量部としたこと以外は、実施例10と同様にして、比較例10の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例10のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは5.81m2/gおよび0.963であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例10のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0122】
(比較例11:比較現像剤11の作製)
第8シアントナー母粒子、第8マゼンタトナー母粒子および第8イエロートナー母粒子の代わりに、第3シアントナー母粒子、第3マゼンタトナー母粒子および第3イエロートナー母粒子を用い、かつ外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.0重量部を1.9重量部としたこと以外は、実施例10と同様にして、比較例11の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例11のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.62m2/gおよび0.942であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例11のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0123】
[評価]
実施例1〜4ならびに比較例1および2の二成分現像剤と同様にして、得られた実施例10〜12および比較例9〜11の二成分現像剤の画像濃度、帯電性、転写効率、ドット抜け、トナー散りおよび50000枚のエージング印刷後における感光体ドラム磨耗量を評価し、得られた評価結果を総合的に評価した。
得られた評価結果をトナー(二成分現像剤)の物性と共に表7および8に示す。
【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

【0126】
(実施例13:現像剤13の作製)
第9シアントナー母粒子、第9マゼンタトナー母粒子および第9イエロートナー母粒子のそれぞれ100重量部に、外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部、イソブチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化チタン微粒子(1次粒子の平均粒径40nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転部材の周速35m/sの条件で3分間混合し、実施例13の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。
実施例1と同様にして、実施例13のトナーのBET表面積2.25m2/gおよび円形度0.962を決定した。
また、実施例1と同様にして、トナー濃度5重量%の実施例13のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0127】
(実施例14:現像剤14の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を1.4重量部とし、かつイソブチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化チタン微粒子(1次粒子の平均粒径40nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を1.4重量部としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例14の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例14のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは4.37m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例14のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0128】
(実施例15:現像剤15の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を2.0重量部とし、かつイソブチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化チタン微粒子(1次粒子の平均粒径40nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を2.0重量部としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例15の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。実施例15のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは5.94m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の実施例15のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0129】
(比較例12:比較現像剤12の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を0.3重量部とし、かつイソブチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化チタン微粒子(1次粒子の平均粒径40nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を0.3重量部としたこと以外は、実施例13と同様にして、比較例12の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例12のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは6.45m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例12のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0130】
(比較例13:比較現像剤13の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を2.2重量部とし、かつイソブチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化チタン微粒子(1次粒子の平均粒径40nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を2.2重量部としたこと以外は、実施例13と同様にして、比較例13の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例13のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは6.36m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例13のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0131】
(比較例14:比較現像剤14の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を2.5重量部とし、かつイソブチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化チタン微粒子(1次粒子の平均粒径40nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を2.5重量部としたこと以外は、実施例13と同様にして、比較例14の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例14のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは7.24m2/gおよび0.962であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例14のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0132】
(比較例15:比較現像剤15の作製)
第9シアントナー母粒子、第9マゼンタトナー母粒子および第9イエロートナー母粒子の代わりに、第4シアントナー母粒子、第4マゼンタトナー母粒子および第4イエロートナー母粒子を用い、かつ外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を1.4重量部とし、かつイソブチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化チタン微粒子(1次粒子の平均粒径40nm、BET表面積100m2/g)0.5重量部を1.4重量部としたこと以外は、実施例13と同様にして、比較例15の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例15のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは4.43m2/gおよび0.937であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例15のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0133】
[評価]
実施例1〜4ならびに比較例1および2の二成分現像剤と同様にして、得られた実施例13〜15および比較例12〜15の二成分現像剤の画像濃度、帯電性、転写効率、ドット抜け、トナー散りおよび50000枚のエージング印刷後における感光体ドラム磨耗量を評価し、得られた評価結果を総合的に評価した。
得られた評価結果をトナー(二成分現像剤)の物性と共に表9および10に示す。
【0134】
【表9】

【0135】
【表10】

【0136】
(実施例16:現像剤16の作製)
第6シアントナー母粒子、第6マゼンタトナー母粒子および第6イエロートナー母粒子のそれぞれ100重量部に、外添剤としてヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)2.5重量部を加え、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転部材の周速35m/sの条件で3分間混合し、実施例16の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。
実施例1と同様にして、実施例16のトナーのBET表面積4.40m2/gおよび円形度0.965を決定した。
また、実施例1と同様にして、トナー濃度5重量%の実施例16のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0137】
(比較例16:比較現像剤16の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)2.5重量部を1.8重量部としたこと以外は、実施例16と同様にして、比較例16の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例16のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.62m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例16のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0138】
(比較例17:比較現像剤17の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)2.5重量部の代わりに、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.7重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)0.17重量部を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、比較例17の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例17のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.56m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例17のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0139】
(比較例18:比較現像剤18の作製)
外添剤として、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)2.5重量部の代わりに、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径20nm、BET表面積100m2/g)1.2重量部およびジメチルジクロールシランで疎水化処理したシリカ微粒子(1次粒子の平均粒径120nm、BET表面積22m2/g)1.2重量部を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、比較例18の負帯電のシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーを得た。比較例18のトナーのBET表面積および平均円形度は、それぞれは3.60m2/gおよび0.965であった。
次いで、実施例1と同様にしてキャリアを混合してトナー濃度5重量%の比較例18のシアン、マゼンタおよびイエローの二成分現像剤を得た。
【0140】
[評価]
実施例1〜4ならびに比較例1および2の二成分現像剤と同様にして、得られた実施例16および比較例16〜18の二成分現像剤の画像濃度、帯電性、転写効率、ドット抜け、トナー散りおよび50000枚のエージング印刷後における感光体ドラム磨耗量を評価し、得られた評価結果を総合的に評価した。
得られた評価結果をトナー(二成分現像剤)の物性と共に表11および12に示す。
【0141】
【表11】

【0142】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含むトナー母粒子と外添剤とを含み、
前記トナー母粒子が、式(1)〜(3):
0.95≦a<0.985 (1)
3≦d50≦9 (2)
2≦Sb≦6 (3)
(式中、aは平均円形度、d50はトナーの重量平均粒径(μm)、SbはBET法によって測定されたトナーの単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)を示す)
の条件に加えて、さらに式(4)および(5):
1.5≦Sb−St (4)
(Sb−St)/d50≦0.7 (5)
(式中、Sbは前記式(3)と同義であり、Stはトナーを真球と仮定して重量平均粒径より求めた単位体積当たりの比表面積(m2/cm3)を示す)
の条件を満足する粒子であり、
前記外添剤が、
疎水化処理された、シリカ、アルミナおよびチタニアから選択される1種以上の無機微粒子であり、かつ
3nm以上40nm以下の平均一次粒径を有する小粒径無機微粒子でありかつ前記トナー母粒子100重量部に対して2〜5重量部配合されてなるか、または
前記小粒径無機微粒子と100nm以上200nm以下の平均一次粒径を有する大粒径無機微粒子との混合体であり、式(6):
1<A/B<10 (6)
(式中、AおよびBは、それぞれトナー母粒子100重量部に対する小粒径無機微粒子および大粒径無機微粒子の配合量(重量部)を示す)
の条件を満足しかつ前記トナー母粒子100重量部に対して1.5〜5重量部配合されてなる
ことを特徴とする電子写真用トナー。
【請求項2】
帯電部材により電圧が印加されて帯電した静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、請求項1に記載の電子写真用トナーにより前記静電潜像を現像して、トナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上の前記トナー像を、中間転写体を介してまたは介さずに記録媒体に転写する転写工程と、加熱加圧部材の加熱ローラと加圧ローラの間に前記記録媒体上の前記トナー像を通過させて定着画像を形成する定着工程とを少なくとも有することを特徴とする画像形成方法。