説明

電子写真用トナーと画像形成方法

【課題】Cu系フタロシアニン化合物を着色剤として用いながら、トナーの帯電量のバラツキにより、現像時にトナー粉が粉煙状に飛散し機内を汚染することが無く、しかも、色濁りのないトナー画像を得ることができる電子写真用トナーと画像形成方法を提供する。
【解決手段】着色剤としてCuフタロシアニン化合物を含有させたトナーに、Siフタロシアニン化合物を含有させたトナーを混合し、全トナーに質量に対するSiフタロシアニン化合物を含有するトナーの混合比率が、0.1〜12質量%である電子写真用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用トナーとそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、電子写真方式による画像形成方法は、従来のビジネス文書のコピーやプリントアウトのみならず、オンデマンド印刷の領域にまで広く用いられる様になってきている。これら軽印刷領域においては出力画像そのものが商品であるから、当然高い画質が求められる。
【0003】
また、画質の観点から小粒径トナーが多く用いられる様になってきており、小粒径でしかも粒径の揃ったトナーを製造するためには、従来の粉砕型のトナー製造方法に代わり、所謂重合トナー製造方法が主流になっている。さらにその中でも乳化会合型トナーが総合的に優れていることが判ってきているが、トナーの粉煙による機内飛散と、それによる画像汚染は改善されず、特に高画質画像形成の際に問題となり、対応策が望まれていた。
【0004】
従来、電子写真方式による画像形成方法で、シアントナーとしてはCu系フタロシアニンを含有したトナーが主に用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、Cu系フタロシアニン化合物を着色剤として用いたトナーを単独で使用すると、帯電性等に問題を生じることがある。特に、トナー中の帯電性分布のバラツキにより、現像時にトナーが粉煙状に飛散し、画像形成装置の機内を汚染することが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−156792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされた。
【0008】
即ち、本発明の目的は、Cuフタロシアニン化合物を着色剤として用いながら、トナーの帯電性のバラツキにより、現像時にトナーが粉煙状に飛散して機内を汚染することが無く、しかも、色濁りのない高彩度のトナー画像を得ることができる電子写真用トナーと画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らの検討によって、着色剤としてCuフタロシアニンを含有したトナー中に、Siフタロシアニン化合物を含有するトナーを混合すると、トナー全体の中でのトナー粒子の帯電性分布が平準化され、現像時にトナーが粉煙状に飛散して機内を汚染するという問題が解決された。
【0010】
即ち、本発明の目的は下記構成を採ることにより達成される。
【0011】
(1)
着色剤として下記一般式(1)で表されるCuフタロシアニン化合物を含有させたトナーに、下記一般式(2)で表されるSiフタロシアニン化合物を含有させたトナーを混合し、且つ、全トナー質量に対する該Siフタロシアニン化合物を含有するトナーの混合比率が、0.1〜12質量%であることを特徴とする電子写真用トナー。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、A、A、A及びAは、各々独立に上記式A−1〜A−7で表される1または2の塩素原子または臭素原子の置換基を有してもよい、芳香環を形成する原子団を示す。)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、Zは、各々独立に、炭素数1〜22のアルキル基、或いは下記一般式(3)で表される基を示す。A、A、A及びAは、各々独立に上記式A−1〜A−7で表される、1または2の塩素原子または臭素原子の置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団を示す。)
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。なお、R、R、Rはお互いに同じ基であっても異なる基であってもよい。)
(2)
前記Cuフタロシアニン化合物を含有させたトナーとSiフタロシアニン化合物を含有するトナーのいずれもが、結着樹脂を水系媒体中に乳化分散させて、着色剤粒子と会合融着させたことを特徴とする(1)記載の電子写真用トナー。
【0018】
(3)
(1)又は(2)のいずれか1項に記載の電子写真用トナーを用い、電子写真感光体上の静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。
【0019】
トナー飛散が起こる理由については、Cuフタロシアニン含有トナーのバルク中には、一部帯電され過ぎたトナー粒子や、帯電不足のトナー粒子が存在し、この各粒子間の帯電状態のバラツキが大きく関係していると考えられる。しかしながら、Siフタロシアニン含有トナーを混合することにより、これとCuフタロシアニン含有トナーが混合し接触することで、高帯電トナー粒子、低帯電トナー粒子の電位を中和することができ、この各粒子間の帯電量のバラツキがずっと少なくなると考えている。
【0020】
一方、Siフタロシアニン含有トナーを、Cuフタロシアニン含有トナー中に余りに多く添加してしまうと、色相のズレが大きくなり、彩度が低下してきて、求める色彩画像の色域といて、問題を生じるという問題が起こる。
【0021】
さらに、本発明のようにCuフタロシアニンとSiフタロシアニンを含有したトナーであっても、双方の着色剤粒子と樹脂粒子を会合時に添加して、一粒子中に融着させて造られたトナーにおいては、その出力画像の色域としては、CuフタロシアニンとSiフタロシアニンをそれぞれの粒子として混合したものと同様になるものの、本発明の目的は達成できない。即ち、このような系ではトナー飛散の発生を抑制する効果は認められなかった。これは本発明のごとく、Cuフタロシアニン含有トナーとSiフタロシアニン含有トナーを、予めトナー粒子として作製後、混合したものとの大きな違いである。
【0022】
これは、Cuフタロシアニン含有トナー粒子の外に、異種の帯電中和粒子を存在させる必要があることを示すものであり、前記した推論を支持する現象と言える。
【0023】
なお、2種類のトナーが混合していることの確認は、光学顕微鏡やマイクロスコープを用いて、2種類の色の粒子が存在することで確認できる。たとえば、キーエンス社製マイクロスコープ・VHX−1000を用いて観察し、判断できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、Cu系フタロシアニン化合物を着色剤として用いながら、トナーの帯電性のバラツキにより、現像時にトナーが粉煙状に飛散し機内を汚染することが無く、しかも、色濁りのない高彩度のトナー画像を得ることができる、電子写真用トナーと画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の電子写真用トナーを、好ましく用いることが出来る画像形成装置の一例を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明について更に説明する。
【0027】
まず、本発明の記載においてトナーとは、トナー粒子の集まり(バルク)をいい、通常はシリカ微粉末等の外添剤が添加されている。たとえば、多機能プリンタの機器においては、カートリッジに入っているトナーのことをいう。
【0028】
本発明のトナー構成においては、色濁りのない高彩度なトナー画像形成のために、Cuフタロシアニン系化合物が必要だが、Cuフタロシアニン系化合物を使用したトナーだけでは、各トナーの帯電性がわずかなバラツキを発生し、現像時にトナーが粉煙状に飛散し、画像形成装置の機内を汚染する問題を生じる。
【0029】
それを補うべくチタニアなどの外添剤で帯電調整すると、キャリア汚染や定着性が悪化してしまい、画質に影響がでる。しかし、Siフタロシアニン含有トナーを、Cuフタロシアニン含有トナーに適正量添加し混合すると、恐らくCuフタロシアニン系化合物による強帯電性を平準化させるために、現像時にトナーが粉煙状に飛散し機内を汚染することが無く、環境依存性が少なく、転写性にも優れているトナーとなることが確認された。詳細な検討の結果、該Siフタロシアニン化合物を含有させたトナーを、全トナー質量の0.1〜10質量%混合するのが良いことがわかった。
【0030】
このとき、Cuフタロシアニン含有トナーに混合するSiフタロシアニン含有トナーの割合が、5質量%まではΔEが3以内を確保し、また、12質量%以内では色彩性能への影響は顕在化しない。しかしながら、12質量%を超える含有率では、色相のズレが生じることが確認された。
【0031】
〔Cuフタロシアニン化合物〕
本発明におけるCu系フタロシアニン化合物は、前記一般式(1)中、A、A、A及びAは、各々独立に上記式A−1〜A−7で表される1または2の塩素原子または臭素原子の置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団を示す。
【0032】
具体的化合物は、その代表例を下記に示す。
【0033】
【化4】

【0034】
これらCuフタロシアニン化合物の製造方法については、従来より用いられている公知の方法を用いることが出来る。
【0035】
〔Siフタロシアニン化合物〕
錯形成キレート基が前記一般式(2)で表され、中心金属原子がSiである本発明に用いられるSiフタロシアニン化合物の色味は、シアントナーとしての着色性には問題がない。
【0036】
また、前記一般式(2)中、Zは、炭素数1〜22のアルキル基、或いは前記一般式(3)で表される基を示す。
【0037】
さらに、前記一般式(2)中、A〜Aは、各々独立に上記式A−1〜A−7で表される塩素原子または臭素原子を置換基として有していてもよい芳香環を形成する原子団を示す。
【0038】
本発明において前記一般式(2)の化合物として、具体例を下記に示すが、本発明に係るトナーに使用可能な一般式(2)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
【0039】
【化5】

【0040】
これらSiフタロシアニン化合物の製造方法については、従来より用いられている公知の方法を用いることが出来る。
【0041】
〔トナーの混合方法〕
一般式(1)で表される錯形成キレート基を用いたCuフタロシアニン含有トナーと、Siフタロシアニン含有トナーとの混合方法については、両着色剤が含有されるトナーを別々に作製してから、トナーを混合する方法であれば、特に限定はない。
【0042】
2種のトナーの混合は、トナーにストレスを与えず混合できるものが好ましく、公知の混合機を用いて行うことができる。具体的には、V型混合機、ナウター混合機、ヘンシェルミキサー等を挙げることができる。
【0043】
〔2種類のトナーの定量方法〕
2種類のトナーの混合量については、仕込み時の投入量で管理できるが、実際の正確な含有量は、完成したトナーをサンプルとして、WDXにて元素分析を行うことで測定可能である。
【0044】
即ち、元素量の測定は、蛍光X線分析装置「XRF−1700」((株)島津製作所製)を用いて測定できる。具体的な測定方法としては、サンプル2gを加圧してペレット化し、定量分析にて下記条件で測定する。
【0045】
測定には、2θテーブルより測定したい元素のKαピーク角度を決定して用いた。
【0046】
・X線発生部条件/ターゲット:Rh、管電圧:40kV、管電流:95mA、フィルタ:なし
SiKα分析線のNet強度の値/CuKα分析線のNet強度の値でコンタミ量を算出する(別途検量線を作成する)。
【0047】
〔静電潜像現像用トナー〕
次に、トナーについて説明する。
【0048】
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤及び必要により離型剤を含む着色粒子に、通常は外添剤を添加・混合して作製する。
【0049】
トナーの製造方法としては、特に限定されるものではないが、乳化会合法による方法が好ましい。特に、ミニエマルジョン重合粒子を乳化重合によって、多段重合構成とした樹脂粒子を、会合融着する製造方法が好ましい。
【0050】
以下に、本発明で用いるトナーの作製手順の一例を示す。
【0051】
すなわち、本発明で用いられる代表的トナーは以下の様な工程を経て作製されるものである。
【0052】
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散させる溶解/分散工程
(2)重合性単量体を重合して樹脂粒子の分散液を作製する重合工程
(3)水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を会合融着させて着色粒子を作製する会合・融着工程
(4)前記会合・融着工程の途中、或いは終了後に、前記着色粒子の分散液中に一般式(1)で示される化合物を含有する分散液を添加し、着色粒子の表面あるいは表面近傍に固着させる荷電処理工程
(5)着色粒子の表面或いは表面近傍に荷電処理剤が、固着した粒子(以下、着色粒子)を熱エネルギーにより熟成して、着色粒子の形状を調整する熟成工程
(6)着色粒子分散液を冷却し、冷却した着色粒子分散液より着色粒子を固液分離し、分離した着色粒子より界面活性剤等を除去する洗浄工程
(7)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程
(8)着色粒子に外添剤を添加する外添剤処理工程
を有する。
【0053】
尚、上記工程中でいう「着色粒子」とはトナーの母体粒子を意味するもので、外添剤処理を行わない場合には、そのままトナーとなるものである。
【0054】
本発明のトナーは、体積基準におけるメディアン径(D50)が3〜8μmであるものが好ましい。
【0055】
尚、トナーの体積基準メディアン径(D50)は、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定し、算出することができる。
【0056】
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。尚、マルチサイザー3のアパチャー径は50μmのものを使用する。
【0057】
本発明のトナーの形状は、粒径1μm以上のトナー粒子2000個以上を測定したとき、下記式で示される円形度(形状係数)の平均値が、0.93〜0.99、より好ましくは0.94〜0.97である。
【0058】
トナーの円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。
【0059】
具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散を1分行い分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある同一測定値が得られる。下記式にて定義された円形度を測定した。
【0060】
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
次に、本発明のトナーに使用可能な樹脂、着色剤、離型剤、外添剤等のトナーを構成する材料について、具体例を挙げて説明する。
【0061】
(樹脂)
先ず、本発明のトナーに使用可能な樹脂について説明する。トナーに使用可能な樹脂は、特に限定されるものではなく、公知の樹脂が使用できる。
【0062】
例えば、下記(1)〜(10)に示す様なビニル系単量体に代表される重合性単量体を重合して作製される重合体である。すなわち、本発明で用いられるトナーに使用可能な樹脂は、下記に示すビニル系単量体を単独或いは複数種類組み合わせて重合を行って得られるものが挙げられる。
(1)スチレン或いはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体。
【0063】
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等。
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等。
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等。
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等。
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等。
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等。
(8)N−ビニル化合物
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等。
(9)ビニル化合物類
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等。
(10)アクリル酸或いはメタクリル酸誘導体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等。
【0064】
又、樹脂を構成する重合性単量体として、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて使用することも可能である。イオン性解離基としては、例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基が挙げられ、イオン性解離基を有する重合性単量体はこれらの置換基を有するものである。
【0065】
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例を以下に挙げる。
【0066】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等。
【0067】
更に、樹脂を構成する重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に挙げる。
【0068】
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。
【0069】
(その他の着色剤)
本発明のトナーはシアン色のトナーであり、フルカラー画像形成用として組み合わせることができる、他の色トナーに使用される着色剤としては、以下に示す如き公知のものが挙げられる。
【0070】
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0071】
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0072】
又、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0073】
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。又、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのがよい。
【0074】
(離型剤)
次に、本発明に係るトナーに使用可能な離型剤について説明する。本発明に係るトナーに使用可能な離型剤としては、従来公知のものが挙げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
(1)長鎖炭化水素系離型剤
ポリエチレン離型剤、ポリプロピレン等のポリオレフィン離型剤、パラフィン離型剤、サゾール離型剤等。
(2)エステル系離型剤
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等。
(3)アミド系離型剤
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等。
(4)ジアルキルケトン系離型剤
ジステアリルケトン等。
(5)その他
カルナウバワックス離型剤、モンタン離型剤等。
【0075】
又、トナー中の離型剤含有量は、1.0〜30質量%が好ましく、更に好ましくは5.0〜20質量%である。
【0076】
(外添剤)
本発明のトナーは、流動性、帯電性の改良及びクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を着色粒子に混合して使用しても良い。これら外添剤としては、特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0077】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等を、好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては、必要に応じて疎水化処理したものを用いても良い。具体的なシリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0078】
チタニア微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0079】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604等が挙げられる。
【0080】
又、有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体や、これらの共重合体を使用することができる。
【0081】
これら外添剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%とすることが好ましい。
【0082】
次に、本発明に係わる現像剤について説明する。
【0083】
〔現像剤〕
本発明のトナーは、そのまま非磁性一成分現像に用いることが出来るが、より好ましくはキャリアと混合して二成分現像剤として用いる。
【0084】
キャリアとしては高耐久性を確保するため、樹脂コートされたものが好ましい。キャリアは、磁性体粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性体粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。
【0085】
又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0086】
磁性体粒子の粒子径は、20〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
【0087】
磁性体粒子の粒子径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0088】
トナーとキャリアの混合比は、キャリア100質量部に対してトナー2〜18質量部が好ましい。
【0089】
トナーとキャリアの混合は、トナーとキャリアにストレスを与えず混合できれば良く、公知の混合機を用いて行うことができる。具体的には、V型混合機、ナウター混合機、ヘンシェルミキサー等を挙げることができる。
【0090】
〔画像形成方法と画像形成装置〕
次に、本発明の現像剤(電子写真用トナー)が使用可能な画像形成方法について説明する。本発明の現像剤は、例えば、プリント速度が300mm/sec(A4用紙に換算して65枚/分の出力性能)レベル以上の高速のフルカラー画像形成装置に使用されることが好ましい。具体的には、短時間で大量の文書をオンデマンドに作成ことが可能なプリンタ等が挙げられる。
【0091】
図1は、本発明の現像剤が好ましく用いられる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【0092】
図1において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像手段、5Y、5M、5C、5Kは一次転写手段としての一次転写ローラ、5Aは二次転写手段としての二次転写ローラ、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング手段、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
【0093】
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0094】
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0095】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0096】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ローラ式定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0097】
一方、二次転写ローラ5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0098】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
【0099】
二次転写ローラ5Aは、ここを記録部材Pが通過して二次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
【0100】
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、熱ロール式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後に、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
【実施例】
【0101】
次に、本発明の実施態様とその効果を示し、本発明の内容をさらに説明するが、本発明の態様は、これらに限定されるものではない。
【0102】
また、フタロシアニンをPcと略すことがある。
【0103】
〔Cuフタロシアニンを含有するトナーの作製〕
トナー製造例C1:
1.「着色剤分散液Cu」の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム5.0質量部をイオン交換水110質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に「Cuフタロシアニン化合物C−2」20.0質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、「着色剤分散液C1」を調製した。「着色剤分散液C1」中の「着色剤(化合物C−2)」は、体積基準メディアン径が185nmであった。
【0104】
着色剤の体積基準メディアン径は、「MICROTRAC UPA 150」(HONEWELL社製)により、下記の測定条件下で測定したものである。すなわち、
〔測定条件〕
サンプル屈折率:1.59
サンプル比重 :1.05(球状粒子換算)
溶媒屈折率 :1.33
溶媒粘度 :0.797(30℃)、1.002(20℃)
ゼロ点調整 :測定セル内にイオン交換水を入れて行った。
【0105】
さらに、上記「着色剤分散液C1」の調製に用いた「Cuフタロシアニン化合物C−2」20.0質量部に代えて、後述する表1に示す様に化合物を変更した他は、同じ手順で「着色剤分散液C2〜C5」を作製した。
【0106】
2.「樹脂粒子1」の作製
(重合工程)
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有する「樹脂粒子1」を作製した。
【0107】
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に下記(構造式1)に示すアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部とともに投入し、界面活性剤水溶液を調製した。
【0108】
(構造式1) C1021(OCHCHSONa
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
【0109】
スチレン 532質量部
n−ブチルアクリレート 200質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A1」とする。なお、第1段重合で作製した「樹脂粒子A1」の重量平均分子量は17,700だった。
【0110】
(b)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に下記化合物からなる単量体混合液を投入し、続いて、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57(日本製蝋社製)」96.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。この様にして単量体溶液を調製した。
【0111】
スチレン 101.1質量部
n−ブチルアクリレート 62.2質量部
メタクリル酸 12.3質量部
n−オクチルメルカプタン 1.75質量部
一方、前記アニオン界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に前記「樹脂粒子A1」を32.8質量部(固形分換算)添加し、さらに、上記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エムテクニック社製)」で8時間混合分散した。前記混合分散により分散粒子径が385nmの乳化粒子を含有する乳化粒子分散液を調製した。
【0112】
次いで、前記乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌を行うことで重合(第2段重合)を行って樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A2」とする。なお、第2段重合で作製した「樹脂粒子A2」の重量平均分子量は25,500だった。
【0113】
(c)第3段重合
上記第2段重合で得られた「樹脂粒子A2」に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記化合物からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
【0114】
スチレン 293.8質量部
n−ブチルアクリレート 154.1質量部
n−オクチルメルカプタン 7.08質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合(第3段重合)を行い、重合終了後、28℃に冷却して「樹脂粒子1(重合液1)」を作製した。第3段重合で作製した。「コア部用樹脂粒子1」の重量平均分子量は23,400であった。
【0115】
3.Cuフタロシアニン含有トナー1の作製
下記の手順により「Cuフタロシアニン含有トナー1」を作製した。
【0116】
(a)コア部の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
樹脂粒子1(重合液1) 400質量部(樹脂固とワックスの形分換算量:重合液としては、1569質量部)
イオン交換水 1200質量部
着色剤分散液C1 20質量部(着色剤固形分換算量)
を投入、撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを8〜9に調整した。
【0117】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物77質量部をイオン交換水77質量部に溶解した水溶液を撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温させ、上記粒子の会合を行った。この状態で「マルチサイザー3(コールター社製)」を用いて会合粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径が6.4μmになった時に、塩化ナトリウム97質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた水溶液を添加して会合粒径成長を停止させた。
【0118】
会合停止後、さらに、熟成加熱処理として液温を90℃にして3時間にわたり加熱撹拌を行うことにより融着を継続させた。
【0119】
その後、8℃/分の速度で30℃に冷却して生成した、次いで着色粒子をろ過し、35〜40℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃±2℃の温風で乾燥することにより、Cuフタロシアニン着色粒子を作製した。
【0120】
4.外添処理
作製したCuフタロシアニン着色粒子に、下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、「Cuフタロシアニン含有トナー1」を作製した。
【0121】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)
0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0122】
「マルチサイザー3(コールター社製)」を用いてトナー粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径が6.3.μm。平均円形度を「FPIA2100(シスメックス社製)」で測定したところ、0.962であった。
【0123】
5.Cuフタロシアニン含有トナーC2〜C5の作製
さらに、上記トナー製造例C1で、フタロシアニン化合物C−2とその添加量を表1のように変更した他は、トナー製造例C1と同様に、後述の表1に示す様にトナー製造例C2〜C5のトナーを作成した。
【0124】
〔Siフタロシアニンを含有するトナーの作製〕
トナー製造例S1:
1.Siフタロシアニン含有トナー1(混合法によるトナー)の作製
(1)着色剤分散液S1の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム5.0質量部をイオン交換水110質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に「フタロシアニン化合物S−1」20.0質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、「着色剤分散液S1」を調製した。「着色剤分散液S1」中の着色剤は、体積基準メディアン径が152nmであった。
【0125】
着色剤の体積基準メディアン径は、「MICROTRAC UPA 150」(HONEWELL社製)により、下記の測定条件下で測定したものである。
【0126】
すなわち、
〔測定条件〕
サンプル屈折率:1.59
サンプル比重 :1.05(球状粒子換算)
溶媒屈折率 :1.33
溶媒粘度 :0.797(30℃)、1.002(20℃)
ゼロ点調整 :測定セル内にイオン交換水を入れて行った。
【0127】
(2)樹脂粒子の作製
(重合工程)
重合工程は、「Cuフタロシアニン含有トナー1」と同様に作製した。
【0128】
(Siフタロシアニン含有トナー1の作製)
「Cuフタロシアニン含有トナーC1」の作製」で、「着色剤分散液C1」を、「着色剤分散液S1」に替えSiフタロシアニン着色粒子を得た。
【0129】
(外添処理工程)
作製したSiフタロシアニン着色粒子に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、「Siフタロシアニン含有トナー1」を作製した。
【0130】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)
0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0131】
さらに、上記トナー製造例S1で、「フタロシアニン化合物S−2」とその添加量を表1のように変更した他は、「トナー製造例S1」と同様に、下記表2に示す「トナー製造例S2、S3」のトナーを作製した。
【0132】
マルチサイザー3(コールター社製)を用いてトナー粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径が5.2μm。平均円形度を「FPIA2100(シスメックス社製)」で測定したところ、0.971であった。
【0133】
【表1】

【0134】
〔Cuフタロシアニン含有トナーとSiフタロシアニン含有トナーの混合トナー製造〕
実施例1:
後述する表2のように、Cuフタロシアニン含有トナー1とSiフタロシアニン含有トナー1を、V型混合機で混合して、トナー1を作製した。
【0135】
V型混合機での混合は、装置として徳寿工作所(株)V−10型を使用し、運転条件としては30rpmにて20min混合した。
【0136】
実施例2〜16:
実施例1で、Cuフタロシアニン含有トナーとSiフタロシアニン含有トナーと混合方法を、後述する表2のように変更した他は実施例1と同様に、トナー2〜16を作製した。
【0137】
各実施例の混合方法は表2に示した。
【0138】
各混合方法において、装置および運転条件は以下は使用した。
【0139】
V型混合機:装置は徳寿工作所(株)V−10型 。運転条件は、30rpmにて20min混合。
【0140】
ナウター混合機:装置はホソカワミクロン(株)製 NX−S型。運転条件は、100rpmにて20min混合した。
【0141】
ヘンシェル:装置は、三井三池製作所製 FM−10。運転条件は、2000rpmで10min混合した。
【0142】
〔比較用トナーの作製〕
比較例1:
実施例1で、表2のように混合したトナーを、Cuフタロシアニン含有トナー1のみ100質量部に変えた他は、実施例1と同様にして比較用トナー1を作製した。
【0143】
比較例2:
実施例1で、表2のように混合したトナーを、Cuフタロシアニン含有トナー2が86質量部、Siフタロシアニン含有トナー2が14質量部に変えた他は、実施例1と同様にして、比較用トナー2を作製した。
【0144】
V型混合機:装置は徳寿工作所(株)V−10型。運転条件は、30rpmにて20min混合。
【0145】
比較例3:
実施例1で、表2のように混合したトナーを、Cuフタロシアニン含有トナー3のみ100質量部に変えた他は、実施例1と同様にして、比較用トナー3を作製した。
【0146】
比較例4:
実施例1で、表2のように混合したトナーを、Cuフタロシアニン含有トナー3が85質量部、Siフタロシアニン含有トナー1が15質量部に変え、混合方法をナウター混合器に変えた他ほかは、実施例1と同様にして、比較用トナー4を作製した。
【0147】
ナウター混合機:装置はホソカワミクロン(株)製 NX−S型。運転条件は、100rpmにて20min混合。
【0148】
比較例5:
実施例1で、表2のように混合したトナーを、Cuフタロシアニン含有トナー3が80質量部、Siフタロシアニン含有トナー1が20質量部に変え、混合方法をヘンシェルに変えた他ほかは、実施例1と同様にして、比較用トナー5を作製した。
【0149】
ヘンシェル:装置は、三井三池製作所製 FM−10。運転条件は、2000rpm 10min混合
(Cuフタロシアニン/Siフタロシアニン混合導入トナーの作製)
比較例6:
(1)「着色剤分散液CS1」の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム5.0質量部をイオン交換水110質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に「フタロシアニン化合物C−9」19.8質量部と「フタロシアニン化合物S−1」0.2質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、「着色剤分散液CS1」を調製した。「着色剤分散液CS1」中の、フタロシアニン化合物C−9とフタロシアニン化合物S−1混合の着色剤は、体積基準メディアン径が170nmであった。
【0150】
着色剤の体積基準メディアン径は、「MICROTRAC UPA 150」(HONEWELL社製)により、下記の測定条件下で測定したものである。
【0151】
すなわち、
〔測定条件〕
サンプル屈折率:1.59
サンプル比重 :1.05(球状粒子換算)
溶媒屈折率 :1.33
溶媒粘度 :0.797(30℃)、1.002(20℃)
ゼロ点調整 :測定セル内にイオン交換水を入れて行った。
(重合工程)
重合工程は、「Cuフタロシアニン含有トナー1」と同様に作製した。
(トナーの作製)
「Cuフタロシアニン含有トナー1」の作製で、「着色剤分散液C1」を、「着色剤分散液CS1」に替え「Cuフタロシアニン/Siフタロシアニン混合導入トナー1」を得た。
(外添処理)
作製したCuフタロシアニン着色粒子に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、「CuPc/SiPc混合導入トナー1」を作製した。
【0152】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)
0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0153】
なお、上記トナーの測定したD50とFPIA形状係数の数値は前述の表1に示した。
【0154】
比較例7:
表1のように、比較例6で、「フタロシアニン化合物C−9」19.8質量部と「フタロシアニン化合物S−1」0.2質量部を、「フタロシアニン化合物C−9」19.0質量部と「フタロシアニン化合物S−1」1.0質量部に変更した他は、比較例6と同様にして、「CuPc/SiPc混合導入トナー2」を作製した。
【0155】
なお、上記トナーの測定したD50とFPIA形状係数の数値は前述の表1に示した。
【0156】
比較例8:
表1のように、比較例6で、「フタロシアニン化合物C−9」19.8質量部と「フタロシアニン化合物S−1」0.2質量部を、「フタロシアニン化合物S−9」18.2質量部と「フタロシアニン化合物S−1」1.8質量部に変更した他は、比較例6と同様にして、「CuPc/SiPc混合導入トナー3」を作製した。
【0157】
なお、上記トナーの測定したD50とFPIA形状係数の数値は前述の表1に示した。
【0158】
以上の手順で作製したトナー1〜16、比較用トナー1〜8の製造条件を下記表2に示す。
【0159】
【表2】

【0160】
〔トナー飛散の評価〕
トナー飛散は、評価機としてbizhub C452改造機を使用し、10万枚画出しの後、現像器を取り出し、空回転機にセットした。現像器のスリーブ真下を中心にA4の紙を置き、60分間の空回転を行ない、紙上に落ちたトナーの質量を測定し、以下の基準により評価した。現像器スリーブ回転周速は、620mm/秒とした。
【0161】
即ち、下記ランクA〜Cを合格とする。
A:3mg未満
B:3〜6mg未満
C:6〜9mg未満
D:9〜12mg未満
E:12〜15mg未満
F:15mg以上
表3に結果を示した。
【0162】
〔色再現性の評価:ΔE〕
bizhub C6500にて各トナー付着量を同一(4g/m)に調整後、グラデーションチャート(最大値が4g/m)をコート紙(POD128)にプリントする。トナーの色調は1976年に国際照明委員会(CIE1976)で規格された表色系の定義に基づき、定量的に測定した。すなわち、a,b(a,bは色相と彩度を示す色度)、L(明度)を測定した。測定器にはコニカミノルタ色彩色差計CM−2600dを用い測定。観察用光源はD50光源、視野角は2°とした。各色の色差ΔEに関しては、色差ΔE=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2の式により計算される。
【0163】
ΔEが2.0未満:人間の目では差を見分けられないレベル
ΔEが2.0〜3.5未満:離れている2つの色の差が見分けられないレベル
ΔEが3.5〜6.6未満:よく見ると別の色として判断できるレベル。
【0164】
ΔE6.6以上:明らかに別の色として判断できるレベル。
【0165】
判定基準としてΔEが3.5未満であれば人間の目では色差を感じないレベルと言える。
【0166】
表3に結果を示した。
【0167】
〔色再現性の評価〕
トナー飛散は、上記の評価機bizhaub C452改造機で、各実施例トナーのトナーを用いて、単色パッチ画像を出力して、比較例1のトナーで出力した単色パッチ画像と比較した。無作為に選んだ50人の男女に以下の5段階の評価基準に基づいて採点してもらった。
【0168】
5点:差が認められない。
【0169】
4点:色としての差は認めらないが、なんとなく違和感がある。
【0170】
3点:色として、わずかに差が認められる。
【0171】
2点:色の差が少しある。
【0172】
1点:明らかに異なる色である。
【0173】
表3に50人の平均値の結果を示した。
【0174】
【表3】

【0175】
上記表3から明らかな様に、本発明内の実施例1〜16はいずれの特性も良好であるが、本発明外の比較例1〜8は、少なくともいずれかの特性に問題があることがわかった。
【符号の説明】
【0176】
1Y、1M、1C、1K 感光体
4Y、4M、4C、4K 現像手段
5Y、5M、5C、5K 一次転写手段としての一次転写ローラ
5A 二次転写手段としての二次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K クリーニング手段
7 中間転写体ユニット
24 熱ロール式定着装置
70 中間転写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤として下記一般式(1)で表されるCuフタロシアニン化合物を含有させたトナーに、下記一般式(2)で表されるSiフタロシアニン化合物を含有させたトナーを混合し、且つ、全トナー質量に対する該Siフタロシアニン化合物を含有するトナーの混合比率が、0.1〜12質量%であることを特徴とする電子写真用トナー。
【化1】

(式中、A、A、A及びAは、各々独立に上記式A−1〜A−7で表される1または2の塩素原子または臭素原子の置換基を有してもよい、芳香環を形成する原子団を示す。)
【化2】

(式中、Zは、各々独立に、炭素数1〜22のアルキル基、或いは下記一般式(3)で表される基を示す。A、A、A及びAは、各々独立に上記式A−1〜A−7で表される、1または2の塩素原子または臭素原子の置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団を示す。)
【化3】

(式中、R、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。なお、R、R、Rはお互いに同じ基であっても異なる基であってもよい。)
【請求項2】
前記Cuフタロシアニン化合物を含有させたトナーとSiフタロシアニン化合物を含有するトナーのいずれもが、結着樹脂を水系媒体中に乳化分散させて、着色剤粒子と会合融着させたことを特徴とする請求項1記載の電子写真用トナー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の電子写真用トナーを用い、電子写真感光体上の静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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