電子制御装置
【課題】電子制御装置において、通気孔が形成された収容ケースにおける防水性能の向上を図る。
【解決手段】電子制御装置は、通気孔24が形成された収容ケース4と、通気孔24を通過する気体を濾過するフィルタ装置23と、フィルタ装置23の周囲で相互に間隔をあけて収容ケース4の外面3bに突設された複数の壁部25a,25cによってフィルタ装置23を囲繞する防護壁25と、を備える。壁部25a,25cの外面25gは、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されている。
【解決手段】電子制御装置は、通気孔24が形成された収容ケース4と、通気孔24を通過する気体を濾過するフィルタ装置23と、フィルタ装置23の周囲で相互に間隔をあけて収容ケース4の外面3bに突設された複数の壁部25a,25cによってフィルタ装置23を囲繞する防護壁25と、を備える。壁部25a,25cの外面25gは、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を収容ケース内に収容した電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、回路基板を収容ケース内に収容した電子制御装置では、収容ケース内の温度変化に伴なう収容ケース内の気体の膨張又は収縮による収容ケースの内圧の変動を抑制するために、収容ケースに通気孔が設けられている。
【0003】
このような構成の電子制御装置では、通気孔から収容ケースに異物が進入するのを防止するために、フィルタ装置がその通気孔に嵌着されている。この種の電子制御装置として、フィルタ装置に撥水性のフィルタが設けられ、さらに、複数の壁部を有する防護壁がフィルタ装置の周囲に設けられた構成の電子制御装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
この特許文献1の電子制御装置によれば、フィルタ装置から収容ケース内に水が浸入するのをフィルタによって抑制できるとともに、フィルタ装置と収容ケースとの間に水がかかることを防護壁が抑制し、これにより、フィルタ装置と収容ケースとの間を水が通過して通気孔から収容ケース内にその水が浸入するのを抑制することができる。
【特許文献1】特開2006−332699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の防護壁の壁部(防護片)は、その厚さが一定でその側面の面積が広いため、例えば、高圧洗浄機から噴射された水がその側面にあたると、その側面で水が防護壁の内部に向かって反射して防護壁の内側に入り込みやすい。このため、フィルタ装置と収容ケースとの間に水が浸入しやすい。
【0006】
フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入した水が低温になって氷結して膨張すると、フィルタ装置を持ち上げてしまい、フィルタ装置と収容ケースとの間に隙間ができ、その隙間を通過して水が通気孔から収容ケース内に浸入するおそれがある。
【0007】
また、特許文献1に記載された収容ケースでは、防護壁が設置される面が平面であるため、収容ケースの外面に沿って流れた水が各壁部(防護片)の間の開口から防護壁の内側に浸入して、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入しやすい。この場合、上述したように、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入した水が低温になって氷結して膨張すると、フィルタ装置を持ち上げてしまい、フィルタ装置と収容ケースとの間に隙間ができ、その隙間を通過した水が通気孔から収容ケース内に浸入するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、電子制御装置において、通気孔が形成された収容ケースにおける防水性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、回路基板と、通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、前記フィルタ装置の周囲で相互に間隔をあけて前記収容ケースの外面に突設された複数の壁部によって、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、を備える電子制御装置において、前記壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様は、回路基板と、通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、前記収容ケースの外面に突設され、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、を備える電子制御装置において、前記収容ケースの外面における前記防護壁の周囲に溝部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子制御装置によれば、収容ケースにおける防水性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
「電子制御装置の構成」
図1〜図9は、本発明の第1の実施形態を示し、図1は、電子制御装置をカバー側から見たときの全体斜視図、図2は、図1の分解斜視図、図3は、電子制御装置をケース本体側から見たときの全体斜視図、図4は、図3の分解斜視図、図5は、図1のA−A線断面図であり、接触抑制手段が設けられた部位を示し、図6は、電子制御装置をカバー側からみたときの平面図、図7は、図6のB−B線断面図、図8は、図6のC−C線断面図、図9は、図6のフィルタ装置が設けられた部位を示す要部拡大平面図である。
【0014】
本実施形態の電子制御装置は、図1〜図4に示すように、回路基板であるプリント配線板1と、ケース本体2及びカバー3を有してプリント配線板1を収容した収容ケース4と、を備えて構成されている。プリント配線板1は、ケース本体2に固定された状態でカバー3によって覆われて、収容ケース4に収容される。電子制御装置は、例えば自動車用のエンジン制御ユニットやステアリング制御ユニット或いはブレーキ制御ユニット等に使用され、自動車車体に取り付けられる。もちろん、この電子制御装置は、自動車用に限定されるものではない。
【0015】
プリント配線板1は、図2に示すように、例えばガラスエポキシ樹脂等の如き絶縁樹脂材料等をベースとし、そのベースの表裏面に配線回路パターンを形成すると共に電子部品5を実装させることで電気回路部を構成する。電気回路部は、単層基板であれば表面と裏面に配線回路パターンを形成して構成され、多層基板であれば間に挟まれる中間基板にも配線回路パターンを形成して構成される。配線回路パターンは、図示を省略する絶縁層によってその表面が覆われて保護されている。図2及び図4では、配線回路パターンは、絶縁層で覆われることから図示していない。
【0016】
プリント配線板1に実装される電子部品5には、エンジン制御ユニットではそのユニットを構成するための各種電子部品が使用され、例えばコンデンサ、コイル、トランジスタ、半導体IC等が用いられる。図2は、複数種類ある電子部品5のうち、一部の電子部品5のみを示してあり、電子部品5のうち、5a,5bは、比較的発熱性の高い電子部品(例えばパワートランジスタやインバータなど)である。その他の電子部品は図示を省略してある。
【0017】
また、プリント配線板1には、図4に示すように、ケース本体2への取り付け面となる裏面1aに外部コネクタと接続されるコネクタ6が取り付けられている。コネクタ6は、プリント配線板1の平面視長方形状をなす長手方向の一側縁寄りで、かつ該長手方向長さの中央部位近傍の位置に設けられている。プリント配線板1の中で熱変形量が多いのが、コネクタ6が取り付けられる部位である。プリント配線板1は、後述するケース本体2内の四隅からケース本体2の内方に向かって延設して設けられた基板固定部12に載せられ、基板四隅から同様にケース本体2の内方に向かった位置に形成された取付孔7に挿通されるネジ8にて固定される。また、プリント配線板1は、後述する基板固定部12の近傍に設けられた位置決めピン9に位置決め孔10を遊嵌させてケース本体2に対する装着位置を定め、このとき位置決めピン9と位置決め孔10とは遊嵌されており、両部材間にクリアランスが形成されている。
【0018】
ケース本体2は、図2及び図4に示すように、上向きに開口した略四角形状の有底箱状体に形成されている。かかるケース本体2は、電気回路部で発生した熱を外部へ放熱するために、放熱性に優れたアルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属材料から形成される。ケース本体2の底部2aには、コネクタ6の接続口をケース本体2外に突出させるためのコネクタ挿通孔11が形成されている。また、ケース本体2の底部2aには、ケース本体2の開口側へと垂直方向に突出し、プリント配線板1が載置される天面12aを有する基板固定部12が設けられている。
【0019】
基板固定部12は、ケース本体2の四隅(図2では2箇所のみを示してある)から、ケース本体2の内方に向かって延設されており、またコネクタ挿通孔11とは反対側位置のケース本体2の長手方向中央位置近傍にも同じくケース本体2の内方に向け基板固定部12が設けられている。この基板固定部12の天面12aは、プリント配線板1に対して面接触状態で接するように平坦面とされている。そして、基板固定部12の天面12aには、プリント配線板1を該基板固定部12にネジ8で固定させるためのネジ孔13が形成されている。
【0020】
また、ケース本体2には、図2および図5に示すように、電子部品5で発生した熱を当該ケース本体2を介して外部へ放熱させる放熱用台座14が設けられている。放熱用台座14は、前記したプリント配線板1に実装される他の電子部品に対して発熱量が多い電子部品5(5a,5b)と対応する位置に、ケース本体2の底部2aから開口側へ向かって垂直方向に突出した矩形体として形成されている。本実施形態では、コネクタ挿通孔11とは反対側の左右隅部にそれぞれ設けられている。
【0021】
また、放熱用台座14は、プリント配線板1において放熱が要求される発熱領域(発熱部品の実装領域)に対応して形成され、1つ或いは複数設けることができ、また、放熱用台座14の形状、面積は放熱要求領域に併せて適宜設定されるものである。
【0022】
放熱用台座14は、好ましくは、この上に配置される電子部品5の外形寸法(幅及び長さ)よりも大とされ、該電子部品5で発生した熱を効率良く放熱させる。かかる放熱用台座14は、基板固定部12にプリント配線板1を載せたときに、このプリント配線板1との間に絶縁空間として機能する微小間隙Sを有する高さとされている。このプリント配線板1に接近する放熱用台座14の上面14aは、凹凸の無い平坦面とされ、電子部品5から放熱された熱を効率よく筐体へ伝熱させるための放熱伝達面として機能する。以下、放熱用台座14の上面14aを、放熱伝達面14aと称する。
【0023】
放熱伝達面14aには、ケース本体2と配線回路パターンとの接触を抑制する接触抑制手段である突起部15が設けられている。かかる突起部15は、放熱用台座14の上面周縁部にプリント配線板1に向かって突出している。
【0024】
かかる突起部15の配置位置は、プリント配線板1の大きさによりその位置が決められ、例えば図2よりもプリント配線板1が大きい場合には同図中の放熱用台座14の上面周縁部14b、14cの領域に適宜設けられる。
【0025】
また、この突起部15と放熱伝達面14aと基板固定部12の天面12aとの関係は、図5に示すとおり放熱伝達面14a、突起部15、基板固定部12の天面12aの順でその高さが高くなっている。
【0026】
また、図5に示すように、この突起部15と対向するプリント配線板1の部位には、変形で突起部15とプリント配線板1とが接触し絶縁層を破って配線回路パターンと接触してショートすることを防止するために、配線回路が形成されていない部位1bを設けてある。別の見方をすると、配線回路パターンを形成していない部位1bに接触するように、突起部15の位置を決めて設けている。図5では、配線パターンを形成していない部位1bを網掛けNで表している。
【0027】
放熱伝達面14aとプリント配線板1との間に形成された絶縁空間として機能する微小間隙Sには、電子部品5で発生した熱をケース本体2へと伝熱させるために、熱伝導性に優れたセラミックス粉等を含んだシート状又はゲル状のシリコン材料からなる放熱材17が介在される。放熱材17は、電子部品5から発生された熱をケース本体2の放熱伝達面14aに逃がし、プリント配線板1が高温となるのを防止する。
【0028】
そして、該電子部品5a,5bに対応したプリント配線板1の領域(図2中T1,T2)は、放熱用台座14の放熱伝達面14aに、放熱材17を介して弾性的に支承されている。
【0029】
また、本実施形態において放熱伝達面14aは凹凸の無い平坦面としたが、凹凸を設けても良く、そのようにすれば放熱伝達面14aと放熱材17との接触面積が多くなり、放熱効果を高めることができる。
【0030】
また、放熱材17は柔軟性を有するため、車両振動等によるプリント配線板1の変形や、振動を効果的に吸収することができる。
【0031】
この他、ケース本体2には、冷却効果を高めるための放熱フィン16が設けられている。放熱フィン16は、各放熱用台座14が設けられた部位と対応するケース本体2の底面に設けられている。また、ケース本体2には、この電子制御装置を車体に固定するための固定用ブラケット18、19が設けられている。また、ケース本体2の四隅のうち対角となる角部には、プリント配線板1を覆って配置されるカバー3の取付け位置を規制するための一対のカバー位置決め片20、20が形成されている。また、ケース本体2の四隅には、後述するカバー3を取り付けるためのカバー取付けネジ孔21が形成されている。さらに、このケース本体2の開口外周縁部には、カバー3を接着固定させるためのシール溝22が全周に亘って形成されている。
【0032】
カバー3は、図1〜図4に示すように、ケース本体2と同様、放熱性に優れたアルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属材料から形成され、ケース本体2内に固定したプリント配線板1を覆って該ケース本体2に装着される。本実施形態では、カバー3は、平面視矩形状をなす平板とされている。
【0033】
カバー3の四隅のうち対角となる角部には、一対のカバー位置決め片20、20間に嵌入されて位置決めされる位置決め部27が形成されている。また、カバー3の四隅には、ケース本体2に形成されたカバー取付けネジ孔21に固定ネジ28でネジ止めするための固定ネジ取付け孔29が形成されている。さらに、カバー3には、ケース本体2に形成されたシール溝22に接着剤等の如きシール材30と共に挿入される環状突条部31が形成されている。
【0034】
このカバー3には、収容ケース4の内外を連通し収容ケース4内の圧力を調整する通気孔24が貫通形成されており、この通気孔24には、フィルタ装置23が嵌着されている。そして、カバー3における通気孔24の周囲には、フィルタ装置23を囲繞して、通気孔24から収容ケース4内へ水が進入するのを防止する防護壁25が設けられている。
【0035】
図6〜図8に示すように、通気孔24は、プリント配線板1に実装される一部の電子部品5に対向する位置に形成されており、電子カバーの4隅のうちの一つに寄った位置に位置している。詳しくは、カバー3には、プリント配線板1に実装される一部の電子部品5に対向する位置にカバー3の外方へ向かって膨出する膨出部3aが形成されており、この膨出部3aに通気孔24が貫通形成されている。
【0036】
フィルタ装置23は、収容ケース4(カバー3)の外部に少なくとも一部が位置するように収容ケース4(カバー3)に取り付けられ、通気孔24を通過する気体を濾過するようになっている。このフィルタ装置23は、気体を濾過するフィルタ23aと、このフィルタ23aを収容したフィルタケース23bと、を備えて構成されている。
【0037】
フィルタ23aは、フィルタケース23bに収容されて、カバー3(収容ケース4)の外部に位置している。このフィルタ23aは、気体は通すが液体は通さない撥液性のフィルタであり、例えば円盤状のシート状に形成さている。
【0038】
フィルタケース23bは、フィルタ23aが固定される略円環状のフィルタ支持部23cと、このフィルタ支持部23cに複数の柱23eを介して接続されフィルタ23aを覆うフィルタカバー23dと、フィルタ支持部23cの中心開口23fの縁部からフィルタ23a側とは反対方向に突設されたフック部23gと、を備えて構成さている。隣合う柱23e同士の間には開口23hが形成され、この開口23h、フィルタ支持部23cの中心開口23f及びカバー3の通気孔24によって通気路が形成され、フィルタ23aは、通気孔24(通気孔24)を通過する気体を濾過する。
【0039】
フィルタケース23bは、フック部23gの外径がカバー3の通気孔24の内径よりも大きく形成されることで、通気孔24内にフック部23gが挿通されてカバー3の膨出部3aの内面に係止することで、カバー3の膨出部3aに係止する。即ち、カバー3の膨出部3aは、フィルタ装置23が取り付けられるフィルタ取付部として機能している。また、カバー3におけるフィルタ取付部(膨出部3a)は、カバー3の他の部位よりも高くなっている。これによって、収納ケース4内の空気が膨出部3aに集約されやすくなり、圧力調整機能が向上する。また、フィルタ装置23とカバー3の膨出部3aとの間には、シール材としてのゴム製のOリング32が介在されている。
【0040】
防護壁25は、フィルタ装置23の周囲で相互に間隔をあけて収容ケース4のカバー3の外面3bに突設された複数の壁部としての複数の第1の壁部25a及び複数の第2の壁部25cによって、フィルタ装置23を囲繞している。複数の第1の壁部25aは、第1の防護壁25bを構成しており、複数の第2の壁部25cは、第1の防護壁25bの外側に位置する第2の防護壁25dを構成している。即ち、防護壁25は、第1の防護壁25bと第2の防護壁25dとによって構成されている。
【0041】
第1の防護壁25bと第2の防護壁25dとはフィルタ装置23と略同一高さ、もしくはそれよりも高く形成される。これによって水がフィルタ装置23に浸入することを抑制できる。
【0042】
図8及び図9に示すように、第1の壁部25aは、膨出部3aの周縁部において、カバー3の外面3bに立設されている。第1の壁部25aは、本実施形態では、4個設けられている。これらの第1の壁部25aは、フィルタ装置23の周囲に等間隔に配置されており、隣合う第1の壁部25a間には、排水口である第1の排水口25eが形成されている。この第1の排水口25eは、第1の防護壁25b内に入り込んだ水を排出する。これらの第1の壁部25aは、フィルタ装置23を囲繞する環状に、第1の排水口25eを介して配列されている。詳しくは、各第1の壁部25aは、単一の仮想円上に配置されており、それら各第1の壁部25aは、その仮想円に沿ってほぼ円弧状に形成されている。
【0043】
各第1の壁部25aの外面25gは、その先端に向かうにしたがい防護壁25(第1の防護壁25b)の内側(フィルタ装置23)に近づくように傾斜して形成されている。第1の壁部25aの外面25gは、第1の防護壁25bの外側(フィルタ装置23側とは反対側)に向いた面である。このとき、第1の壁部25aは、その基端部から先端部に向かって厚さが徐々に薄くなるように形成さている。かかる第1の壁部25aの傾斜によって、第1の防護壁25bは、その先端(カバー3の外面3bから外方)に向かって先細りに形成(縮径)されている。
【0044】
図7及び図9に示すように、第2の壁部25cは、膨出部3aの周縁部において、カバー3の外面3bに立設されている。第2の壁部25cは、本実施形態では、4個設けられている。第2の壁部25cは、第1の排水口25eにおけるフィルタ装置23側とは反対側で当該第1の排水口25eに対向しているとともに、これらの第2の壁部25cは、フィルタ装置23の周囲に等間隔に配置さている。隣合う第2の壁部25c間には、第2の排水口25fが形成されており、この第2の排水口25fを挟み込むように第1の壁部25aの一部が位置している。この第2の排水口25fは、第2の防護壁25d内に入り込んだ水を排出する。各第2の壁部25cの外面25hは、その先端に向かうにしたがい防護壁25(第2の防護壁25d)の内側(フィルタ装置23)に近づくように傾斜して形成されている。第2の壁部25cの外面25hは、第2の防護壁25dの外側(フィルタ装置23側とは反対側)に向いた面である。このとき、第2の壁部25cは、その基端部から先端部に向かって厚さが徐々に薄くなるように形成さている。かかる第2の壁部25cの傾斜によって、第2の防護壁25dは、その先端(カバー3の外面3bから外方)に向かって先細りに形成(縮径)されている。
【0045】
ここで、第1の壁部25aの傾斜、第2の壁部25cの傾斜は、水が外面25g、25hにあたる水量や、製造時の抜き勾配によって適宜設定されるものである。
【0046】
「電子制御装置の組立手順」
次に、上述のように構成された電子制御装置の組立手順について説明する。先ず、図2に示すように、2箇所の放熱伝達面14aに放熱材17を取り付ける。次に、ケース本体2の外周囲に形成されたシール溝22内にシール材30を充填する。次に、ケース本体2にプリント配線板1を取り付ける。プリント配線板1をケース本体2に取り付けるには、コネクタ6を下向きとし、2箇所に形成した位置決め孔10をケース本体2の位置決めピン9に遊嵌させると共にプリント配線板1の四隅を各基板固定部12上に載せる。また、このとき、コネクタ6をコネクタ挿通孔11よりケース本体2の底面より外方へ突出させる。
【0047】
そして、ネジ8を取付孔7を介してネジ孔13に螺合する。この結果、プリント配線板1は、四隅とコネクタ挿通孔11が設けられた位置とは反対側の側縁部中央に設けられた合計5箇所の基板固定部12上に固定される。また、プリント配線板1は、放熱伝達面14a上に配置された放熱材17とほぼ隙間なく密着する。このプリント配線板1は、前記5箇所の基板固定部12と放熱材17と密着する部位以外は、ケース本体2の底部2aに対して接触することなく所定の空間を有したフローティング配置とされる。
【0048】
次に、ケース本体2の外周囲に形成されたシール溝22内にシール材を充填する。そして、カバー3の対角に形成した2箇所の位置決め部27を、ケース本体2に形成した一対のカバー位置決め片20、20間に遊嵌させる。また、このとき、環状突条部31をシール溝22内に挿入させて固定ネジ28をカバー3に形成した固定ネジ取付け孔29を介してケース本体2のカバー取付けネジ孔21にねじ込む。その結果、カバー3は、内部にプリント配線板1を収容させた状態でケース本体2に固定される。ケース本体2とカバー3はシール材30でシールされることから、ケース本体2とカバー3との間からの収容ケース4内への水の進入が阻止される。
【0049】
そして、カバー3の膨出部3aにフィルタ装置23を嵌着する。このとき膨出部3aとフィルタ装置23との間にOリング32を介在させる。なお、フィルタ装置23は、カバー3をケース本体2へ取り付ける前に、カバー3に取り付けても良い。
【0050】
「作用効果」
次に、本実施形態の電子制御装置の作用効果について説明する。
【0051】
特許文献1に記載された収容ケースでは、防護壁が設置される面が平面であるため、収容ケースの外面に沿って流れた水が各壁部(防護片)の間の開口から防護壁の内側に浸入して、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入しやすい。この場合、上述したように、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入した水が低温になって氷結して膨張すると、フィルタ装置を持ち上げてしまい、フィルタ装置と収容ケースとの間に隙間ができ、その隙間を通過した水が通気孔から収容ケース内に浸入するおそれがある。
【0052】
そこで、本実施形態では、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dが、その基端部(カバー3の外面3b)から先端部(カバー3の外面3bから外方)に向かって傾斜することによって先細りに形成(縮径)されていることで、フィルタ装置23の側面やフィルタ装置23と収容ケース4とのシール部としてのOリングに水がかかることを、抑制するので、フィルタ装置23とカバー3との間を通って通気孔24から収容ケース4内に水が浸入することを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、第1の壁部25a及び第2の壁部25cが、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜(縮径)して形成されていることにより、その厚さがカバー3の外面3bから外方に向けて一定であるものに比べて、その側面の面積を小さくすることができる。これにより例えば、第1の壁部25a及び第2の壁部25cが、カバー3の外面3bから外方に向けて一定であるものの場合は、高圧洗浄機から噴射された水がその側面に突きあたり、フィルタ装置23へ向けて進入する場合があったが、本実施形態における構造、すなわち第1の壁部25a及び第2の壁部25cが、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜(縮径)して形成されている場合にあっては、その側面の面積を小さく(薄く)抑えることで、水が側面に接触した時に、その勢いで壁部の外方(フィルタ装置23の反対方向)へ流れ出すことが可能となり、フィルタ装置23へ対する水の浸入を抑制することできる。ここで、高圧洗浄機から噴射された水の移動経路の一例を図9中に矢印a,bで示す。したがって、その水が第1の壁部25a及び第2の壁部25cにあたって第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dの内部に向かって反射しても、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dの内側に入り込むことを抑制できる。これにより、フィルタ装置23と収容ケース4(カバー3)との間に水が浸入することを抑制することができ、よって、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのを、上記従来構造に比べて、より抑制することができる。つまり、本実施形態の電子制御装置によれば、収容ケース4における防水性能の向上を図ることができる。
【0054】
また、このように、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dが、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されていることにより、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dをダイカスト成形する際には、その金型の寿命を大きく伸ばすことができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1の壁部25a及び第2の壁部25cは、4個設けられ、且つ、第2の壁部25cは、第1の防護壁25bの外側であって第1の壁部25a間の第1の排水口25eに対向して相互に間隔をあけて配置されている。したがって、収容ケース4の設置姿勢にかかわらず、防護壁25の内部に水が浸入してフィルタ装置23の側面やフィルタ装置23と収容ケース4とのシール部としてのOリングに水がかかることを、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dによって抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、カバー3の膨出部3a(カバー3の外面3bよりも高い位置に形成)に通気孔24及びフィルタ装置23が設けられているので、膨出部3a以外のカバー3の外面3bに沿って流れる水が、通気孔24及びフィルタ装置23に向かうのを、膨出部3aによって阻止することができる。したがって、これによっても、フィルタ装置23と収容ケース4(カバー3)との間に水が浸入することを抑制することができ、よって、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのをより抑制することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、プリント配線板1に実装される電子部品5のうち、発熱性の高い電子部品5に対向する位置に通気孔24が形成されることで、当該電子部品5の周囲の温度変化に起因する収納ケース4内の圧力変化に対応でき、より圧力調整機能が向上する。
【0058】
[第2の実施形態]
図10〜図12は、本発明の第2の実施形態を示し、図10は、電子制御装置をカバー側からみたときの全体斜視図、図11は、電子制御装置をカバー側からみたときの平面図、図12は、図11のD−D線断面図である。なお、第1の実施形態と同じ部分は、同一符号で示し説明も省略する。
【0059】
図10〜図12に示すように、本実施形態は、電子制御装置のカバー103の外面103bにおける防護壁25の周囲に溝部41が形成されている点が第1の実施形態に対して異なり、他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0060】
溝部41は、防護壁25を囲繞する環状に形成された第1の溝部41aと、この第1の溝部41aから放射状に延出した複数の第2の溝部41b〜41iとから構成されている。
【0061】
第1の溝部41aは、例えば8角形に形成されており、その深さは略一定に形成されている。
【0062】
複数の第2の溝部41b〜41iは、図11に示すように、カバー103の外面103b側から見て、この符号順に時計回りに配置されて、防護壁25の周方向に互いに等間隔で配置されている。そして、これらの第2の溝部41b〜41iのうちの2つの第2の溝部41f,41gの間に、カバー103の4隅のうちフィルタ装置23(通気孔24)に最も近い隅が位置している。
【0063】
これらの第2の溝部41b〜41iのうちの3つ(第2の溝部41b,41c,41d)は、その全体がカバー103の外周縁の内側に位置する一方、そのうちの4つ(第2の溝部41e,41f,41g,41h)は、その延出先端部がカバー103の外周縁に至って、カバー103の側面に開口している。
【0064】
また、これらの第2の溝部41b〜41iの底面41jは、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが変化するように傾斜している。具体的には、カバー103の4隅のうちフィルタ装置23に最も近い隅を間にした2つの第2の溝部41f,41gと、これら2つの第2の溝部41f,41gの隣に位置する2つの第2の溝部41e,41hとは、第1の溝部41aから離れるにしたがい(カバー103の外周縁に向かって)当該第2の溝部41e,41f,41g,41hの深さが深くなるように底面41jが傾斜している。一方、他の第2の溝部41b,41c,41d,41iは、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b,41c,41d,41iの深さが浅くなるように底面41jが傾斜している。ここで、各第2の溝部41b〜41iにおける第1の溝部41aとの接続部分の深さは、同一である。なお、図11において各第2の溝部41b〜41iの横に示した矢印は、第2の溝部41b〜41iの深さが徐々に深くなる方向を示している。
【0065】
以上説明した通り、本実施形態では、収容ケース4(カバー103)の外面103bにおける防護壁25の周囲に溝部41が形成されている。したがって、例えばフィルタ装置23が上側となるように収容ケース4が設置されると、収容ケース4(カバー103)の外面103bに沿って流れて通気孔24及びフィルタ装置23に向かう水は、溝部41に流れ込み、これによって、通気孔24及びフィルタ装置23に水が向かうのが阻止される。したがって、フィルタ装置23と収容ケース4(カバー3)との間に水が浸入することを抑制することができ、よって、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのをより抑制することができ、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのを、上記従来構造に比べて、より抑制することができる。つまり、本実施形態の電子制御装置によれば、収容ケース4における防水性能の向上を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、溝部41は、防護壁25を囲繞する環状に形成された第1の溝部41aと、この第1の溝部41aから放射状に延出した第2の溝部41b〜41iと、を有するので、第1の溝部41aに流れ込んだ水を、フィルタ装置23及び第1の溝部41aから遠ざかる方向に第2の溝部41b〜41iが案内し、その第2の溝部41b〜41iの先端から排水することができる。
【0067】
また、本実施形態では、複数の第2の溝部41b〜41iのうちの少なくとも一つ(具体的には、第2の溝部41e,41f,41g,41h)は、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41e,41f,41g,41hの深さが深くなるように底面41jが傾斜しており、複数の前記第2の溝部41b〜41iのうちの少なくとも一つ(具体的には、第2の溝部41b,41c,41d,41i)は、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b,41c,41d,41iの深さが浅くなるように底面41jが傾斜している。したがって、第2の溝部41e,41f,41g,41hに入り込んだ水を、第1の溝部41aを経由して第2の溝部41b,41c,41d,41iの先端部から排出することができる。なお、この第2の溝部41b〜41iの底面41jの傾斜は、収容ケース4の取付姿勢によって、適宜選択して形成して良い。また、この底面41jの傾斜角度は、カバー3の厚みに応じて適宜設定して良い。
【0068】
[第3の実施形態]
図13〜図15は、本発明の第3の実施形態を示し、図13は、電子制御装置をカバー側からみたときの平面図、図14は、図13のE−E線断面図、図15は、第2の溝部の変形例を説明するための電子制御装置の断面図である。なお、第1及び第2の実施形態と同じ部分は、同一符号で示し説明も省略する。
【0069】
本実施形態は、通気孔24(図14)がカバー203の中央部に配置されており、これにより、図13に示すように、フィルタ装置23及び防護壁25が通気孔24に対応してカバー203に配置されて、フィルタ装置23の周囲に溝部41が配置されている点が第2の実施形態に対して異なる。
【0070】
溝部41の全ての第2の溝部41b〜41iは、その延出先端部がカバー203の外周縁に至って、カバー203の側面に開口している。また、これら全ての第2の溝部41b〜41iは、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるように底面41jが傾斜している。詳細には、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなり、その途中部位から、第1の溝部41aとは反対側の端部(延出先端部)に至る部分の深さが一定となっている。ここで、図13において各第2の溝部41b〜41iの横に示した矢印は、図11と同様に、第2の溝部41b〜41iの深さが徐々に深くなる方向を示している。なお、他の構成は、第2の実施形態と同じである。
【0071】
以上説明した通り、本実施形態では、全ての第2の溝部41b〜41iが、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるように底面が傾斜していることにより、第1の溝部41aに入り込んだ水を、いずれかの第2の溝部41b〜41iによって、その先端部から排水することができる。
【0072】
また、第2の溝部41b〜41iの底面41jの傾斜を途中部位から一定の傾斜(深さ)に形成してあるので、それまでの傾斜によって水が第2の溝部41b〜41iからカバー103の側面に向かって流れることとなり通気孔24及びフィルタ装置23に水が向かうのが阻止される。
【0073】
ここで、第2の溝部41b〜41iは、上述したものの他に、図15に変形例を示すように、第2の溝部41b〜41iの全域において、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるようにしても良い。つまり第2の溝部41b〜41iの底面41j全体が傾斜していても良い。この場合には、全ての第2の溝部41b〜41iの全体が、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるように底面が傾斜していることにより、第1の溝部41aに入り込んだ水を、いずれかの第2の溝部41b〜41iによって、その先端部からより効率的に排水することができる。
【0074】
なお、本発明は、上記の実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、上記実施形態では、第1の壁部25aと第2の壁部25cとの両方が、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されている例を説明したが、これに限ることなく、第1の壁部25aがと第2の壁部25cとの少なくとも一方が防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されていれば良い。
【0075】
また、上記各実施形態では、防護壁25として、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dを備えるものを説明したが、これに限ることなく、防護壁25は、第1の防護壁25bのみを備え、第2の防護壁25dを備えないものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側から見たときの全体斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置をケース本体側から見たときの全体斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】図1のA−A線断面図であり、接触抑制手段が設けられた部位を示す。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの平面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】図6のC−C線断面図である。
【図9】図6のフィルタ装置が設けられた部位を示す要部拡大平面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの全体斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの平面図である。
【図12】図11のD−D線断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの平面図である。
【図14】図13のE−E線断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態にかかる第2の溝部の変形例を説明するための電子制御装置の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1…プリント配線板(回路基板)
4…収容ケース
23…フィルタ装置
24…通気孔
25…防護壁
25a…第1の壁部(壁部)
25c…第2の壁部(壁部)
25e…第1の排水口(排水口)
25g…第1の壁部の外面
25h…第2の壁部の外面
41…溝部
41a…第1の溝部
41b〜41i…第2の溝部
41j…第2の溝部の底面
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を収容ケース内に収容した電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、回路基板を収容ケース内に収容した電子制御装置では、収容ケース内の温度変化に伴なう収容ケース内の気体の膨張又は収縮による収容ケースの内圧の変動を抑制するために、収容ケースに通気孔が設けられている。
【0003】
このような構成の電子制御装置では、通気孔から収容ケースに異物が進入するのを防止するために、フィルタ装置がその通気孔に嵌着されている。この種の電子制御装置として、フィルタ装置に撥水性のフィルタが設けられ、さらに、複数の壁部を有する防護壁がフィルタ装置の周囲に設けられた構成の電子制御装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
この特許文献1の電子制御装置によれば、フィルタ装置から収容ケース内に水が浸入するのをフィルタによって抑制できるとともに、フィルタ装置と収容ケースとの間に水がかかることを防護壁が抑制し、これにより、フィルタ装置と収容ケースとの間を水が通過して通気孔から収容ケース内にその水が浸入するのを抑制することができる。
【特許文献1】特開2006−332699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の防護壁の壁部(防護片)は、その厚さが一定でその側面の面積が広いため、例えば、高圧洗浄機から噴射された水がその側面にあたると、その側面で水が防護壁の内部に向かって反射して防護壁の内側に入り込みやすい。このため、フィルタ装置と収容ケースとの間に水が浸入しやすい。
【0006】
フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入した水が低温になって氷結して膨張すると、フィルタ装置を持ち上げてしまい、フィルタ装置と収容ケースとの間に隙間ができ、その隙間を通過して水が通気孔から収容ケース内に浸入するおそれがある。
【0007】
また、特許文献1に記載された収容ケースでは、防護壁が設置される面が平面であるため、収容ケースの外面に沿って流れた水が各壁部(防護片)の間の開口から防護壁の内側に浸入して、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入しやすい。この場合、上述したように、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入した水が低温になって氷結して膨張すると、フィルタ装置を持ち上げてしまい、フィルタ装置と収容ケースとの間に隙間ができ、その隙間を通過した水が通気孔から収容ケース内に浸入するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、電子制御装置において、通気孔が形成された収容ケースにおける防水性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、回路基板と、通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、前記フィルタ装置の周囲で相互に間隔をあけて前記収容ケースの外面に突設された複数の壁部によって、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、を備える電子制御装置において、前記壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様は、回路基板と、通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、前記収容ケースの外面に突設され、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、を備える電子制御装置において、前記収容ケースの外面における前記防護壁の周囲に溝部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子制御装置によれば、収容ケースにおける防水性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
「電子制御装置の構成」
図1〜図9は、本発明の第1の実施形態を示し、図1は、電子制御装置をカバー側から見たときの全体斜視図、図2は、図1の分解斜視図、図3は、電子制御装置をケース本体側から見たときの全体斜視図、図4は、図3の分解斜視図、図5は、図1のA−A線断面図であり、接触抑制手段が設けられた部位を示し、図6は、電子制御装置をカバー側からみたときの平面図、図7は、図6のB−B線断面図、図8は、図6のC−C線断面図、図9は、図6のフィルタ装置が設けられた部位を示す要部拡大平面図である。
【0014】
本実施形態の電子制御装置は、図1〜図4に示すように、回路基板であるプリント配線板1と、ケース本体2及びカバー3を有してプリント配線板1を収容した収容ケース4と、を備えて構成されている。プリント配線板1は、ケース本体2に固定された状態でカバー3によって覆われて、収容ケース4に収容される。電子制御装置は、例えば自動車用のエンジン制御ユニットやステアリング制御ユニット或いはブレーキ制御ユニット等に使用され、自動車車体に取り付けられる。もちろん、この電子制御装置は、自動車用に限定されるものではない。
【0015】
プリント配線板1は、図2に示すように、例えばガラスエポキシ樹脂等の如き絶縁樹脂材料等をベースとし、そのベースの表裏面に配線回路パターンを形成すると共に電子部品5を実装させることで電気回路部を構成する。電気回路部は、単層基板であれば表面と裏面に配線回路パターンを形成して構成され、多層基板であれば間に挟まれる中間基板にも配線回路パターンを形成して構成される。配線回路パターンは、図示を省略する絶縁層によってその表面が覆われて保護されている。図2及び図4では、配線回路パターンは、絶縁層で覆われることから図示していない。
【0016】
プリント配線板1に実装される電子部品5には、エンジン制御ユニットではそのユニットを構成するための各種電子部品が使用され、例えばコンデンサ、コイル、トランジスタ、半導体IC等が用いられる。図2は、複数種類ある電子部品5のうち、一部の電子部品5のみを示してあり、電子部品5のうち、5a,5bは、比較的発熱性の高い電子部品(例えばパワートランジスタやインバータなど)である。その他の電子部品は図示を省略してある。
【0017】
また、プリント配線板1には、図4に示すように、ケース本体2への取り付け面となる裏面1aに外部コネクタと接続されるコネクタ6が取り付けられている。コネクタ6は、プリント配線板1の平面視長方形状をなす長手方向の一側縁寄りで、かつ該長手方向長さの中央部位近傍の位置に設けられている。プリント配線板1の中で熱変形量が多いのが、コネクタ6が取り付けられる部位である。プリント配線板1は、後述するケース本体2内の四隅からケース本体2の内方に向かって延設して設けられた基板固定部12に載せられ、基板四隅から同様にケース本体2の内方に向かった位置に形成された取付孔7に挿通されるネジ8にて固定される。また、プリント配線板1は、後述する基板固定部12の近傍に設けられた位置決めピン9に位置決め孔10を遊嵌させてケース本体2に対する装着位置を定め、このとき位置決めピン9と位置決め孔10とは遊嵌されており、両部材間にクリアランスが形成されている。
【0018】
ケース本体2は、図2及び図4に示すように、上向きに開口した略四角形状の有底箱状体に形成されている。かかるケース本体2は、電気回路部で発生した熱を外部へ放熱するために、放熱性に優れたアルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属材料から形成される。ケース本体2の底部2aには、コネクタ6の接続口をケース本体2外に突出させるためのコネクタ挿通孔11が形成されている。また、ケース本体2の底部2aには、ケース本体2の開口側へと垂直方向に突出し、プリント配線板1が載置される天面12aを有する基板固定部12が設けられている。
【0019】
基板固定部12は、ケース本体2の四隅(図2では2箇所のみを示してある)から、ケース本体2の内方に向かって延設されており、またコネクタ挿通孔11とは反対側位置のケース本体2の長手方向中央位置近傍にも同じくケース本体2の内方に向け基板固定部12が設けられている。この基板固定部12の天面12aは、プリント配線板1に対して面接触状態で接するように平坦面とされている。そして、基板固定部12の天面12aには、プリント配線板1を該基板固定部12にネジ8で固定させるためのネジ孔13が形成されている。
【0020】
また、ケース本体2には、図2および図5に示すように、電子部品5で発生した熱を当該ケース本体2を介して外部へ放熱させる放熱用台座14が設けられている。放熱用台座14は、前記したプリント配線板1に実装される他の電子部品に対して発熱量が多い電子部品5(5a,5b)と対応する位置に、ケース本体2の底部2aから開口側へ向かって垂直方向に突出した矩形体として形成されている。本実施形態では、コネクタ挿通孔11とは反対側の左右隅部にそれぞれ設けられている。
【0021】
また、放熱用台座14は、プリント配線板1において放熱が要求される発熱領域(発熱部品の実装領域)に対応して形成され、1つ或いは複数設けることができ、また、放熱用台座14の形状、面積は放熱要求領域に併せて適宜設定されるものである。
【0022】
放熱用台座14は、好ましくは、この上に配置される電子部品5の外形寸法(幅及び長さ)よりも大とされ、該電子部品5で発生した熱を効率良く放熱させる。かかる放熱用台座14は、基板固定部12にプリント配線板1を載せたときに、このプリント配線板1との間に絶縁空間として機能する微小間隙Sを有する高さとされている。このプリント配線板1に接近する放熱用台座14の上面14aは、凹凸の無い平坦面とされ、電子部品5から放熱された熱を効率よく筐体へ伝熱させるための放熱伝達面として機能する。以下、放熱用台座14の上面14aを、放熱伝達面14aと称する。
【0023】
放熱伝達面14aには、ケース本体2と配線回路パターンとの接触を抑制する接触抑制手段である突起部15が設けられている。かかる突起部15は、放熱用台座14の上面周縁部にプリント配線板1に向かって突出している。
【0024】
かかる突起部15の配置位置は、プリント配線板1の大きさによりその位置が決められ、例えば図2よりもプリント配線板1が大きい場合には同図中の放熱用台座14の上面周縁部14b、14cの領域に適宜設けられる。
【0025】
また、この突起部15と放熱伝達面14aと基板固定部12の天面12aとの関係は、図5に示すとおり放熱伝達面14a、突起部15、基板固定部12の天面12aの順でその高さが高くなっている。
【0026】
また、図5に示すように、この突起部15と対向するプリント配線板1の部位には、変形で突起部15とプリント配線板1とが接触し絶縁層を破って配線回路パターンと接触してショートすることを防止するために、配線回路が形成されていない部位1bを設けてある。別の見方をすると、配線回路パターンを形成していない部位1bに接触するように、突起部15の位置を決めて設けている。図5では、配線パターンを形成していない部位1bを網掛けNで表している。
【0027】
放熱伝達面14aとプリント配線板1との間に形成された絶縁空間として機能する微小間隙Sには、電子部品5で発生した熱をケース本体2へと伝熱させるために、熱伝導性に優れたセラミックス粉等を含んだシート状又はゲル状のシリコン材料からなる放熱材17が介在される。放熱材17は、電子部品5から発生された熱をケース本体2の放熱伝達面14aに逃がし、プリント配線板1が高温となるのを防止する。
【0028】
そして、該電子部品5a,5bに対応したプリント配線板1の領域(図2中T1,T2)は、放熱用台座14の放熱伝達面14aに、放熱材17を介して弾性的に支承されている。
【0029】
また、本実施形態において放熱伝達面14aは凹凸の無い平坦面としたが、凹凸を設けても良く、そのようにすれば放熱伝達面14aと放熱材17との接触面積が多くなり、放熱効果を高めることができる。
【0030】
また、放熱材17は柔軟性を有するため、車両振動等によるプリント配線板1の変形や、振動を効果的に吸収することができる。
【0031】
この他、ケース本体2には、冷却効果を高めるための放熱フィン16が設けられている。放熱フィン16は、各放熱用台座14が設けられた部位と対応するケース本体2の底面に設けられている。また、ケース本体2には、この電子制御装置を車体に固定するための固定用ブラケット18、19が設けられている。また、ケース本体2の四隅のうち対角となる角部には、プリント配線板1を覆って配置されるカバー3の取付け位置を規制するための一対のカバー位置決め片20、20が形成されている。また、ケース本体2の四隅には、後述するカバー3を取り付けるためのカバー取付けネジ孔21が形成されている。さらに、このケース本体2の開口外周縁部には、カバー3を接着固定させるためのシール溝22が全周に亘って形成されている。
【0032】
カバー3は、図1〜図4に示すように、ケース本体2と同様、放熱性に優れたアルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属材料から形成され、ケース本体2内に固定したプリント配線板1を覆って該ケース本体2に装着される。本実施形態では、カバー3は、平面視矩形状をなす平板とされている。
【0033】
カバー3の四隅のうち対角となる角部には、一対のカバー位置決め片20、20間に嵌入されて位置決めされる位置決め部27が形成されている。また、カバー3の四隅には、ケース本体2に形成されたカバー取付けネジ孔21に固定ネジ28でネジ止めするための固定ネジ取付け孔29が形成されている。さらに、カバー3には、ケース本体2に形成されたシール溝22に接着剤等の如きシール材30と共に挿入される環状突条部31が形成されている。
【0034】
このカバー3には、収容ケース4の内外を連通し収容ケース4内の圧力を調整する通気孔24が貫通形成されており、この通気孔24には、フィルタ装置23が嵌着されている。そして、カバー3における通気孔24の周囲には、フィルタ装置23を囲繞して、通気孔24から収容ケース4内へ水が進入するのを防止する防護壁25が設けられている。
【0035】
図6〜図8に示すように、通気孔24は、プリント配線板1に実装される一部の電子部品5に対向する位置に形成されており、電子カバーの4隅のうちの一つに寄った位置に位置している。詳しくは、カバー3には、プリント配線板1に実装される一部の電子部品5に対向する位置にカバー3の外方へ向かって膨出する膨出部3aが形成されており、この膨出部3aに通気孔24が貫通形成されている。
【0036】
フィルタ装置23は、収容ケース4(カバー3)の外部に少なくとも一部が位置するように収容ケース4(カバー3)に取り付けられ、通気孔24を通過する気体を濾過するようになっている。このフィルタ装置23は、気体を濾過するフィルタ23aと、このフィルタ23aを収容したフィルタケース23bと、を備えて構成されている。
【0037】
フィルタ23aは、フィルタケース23bに収容されて、カバー3(収容ケース4)の外部に位置している。このフィルタ23aは、気体は通すが液体は通さない撥液性のフィルタであり、例えば円盤状のシート状に形成さている。
【0038】
フィルタケース23bは、フィルタ23aが固定される略円環状のフィルタ支持部23cと、このフィルタ支持部23cに複数の柱23eを介して接続されフィルタ23aを覆うフィルタカバー23dと、フィルタ支持部23cの中心開口23fの縁部からフィルタ23a側とは反対方向に突設されたフック部23gと、を備えて構成さている。隣合う柱23e同士の間には開口23hが形成され、この開口23h、フィルタ支持部23cの中心開口23f及びカバー3の通気孔24によって通気路が形成され、フィルタ23aは、通気孔24(通気孔24)を通過する気体を濾過する。
【0039】
フィルタケース23bは、フック部23gの外径がカバー3の通気孔24の内径よりも大きく形成されることで、通気孔24内にフック部23gが挿通されてカバー3の膨出部3aの内面に係止することで、カバー3の膨出部3aに係止する。即ち、カバー3の膨出部3aは、フィルタ装置23が取り付けられるフィルタ取付部として機能している。また、カバー3におけるフィルタ取付部(膨出部3a)は、カバー3の他の部位よりも高くなっている。これによって、収納ケース4内の空気が膨出部3aに集約されやすくなり、圧力調整機能が向上する。また、フィルタ装置23とカバー3の膨出部3aとの間には、シール材としてのゴム製のOリング32が介在されている。
【0040】
防護壁25は、フィルタ装置23の周囲で相互に間隔をあけて収容ケース4のカバー3の外面3bに突設された複数の壁部としての複数の第1の壁部25a及び複数の第2の壁部25cによって、フィルタ装置23を囲繞している。複数の第1の壁部25aは、第1の防護壁25bを構成しており、複数の第2の壁部25cは、第1の防護壁25bの外側に位置する第2の防護壁25dを構成している。即ち、防護壁25は、第1の防護壁25bと第2の防護壁25dとによって構成されている。
【0041】
第1の防護壁25bと第2の防護壁25dとはフィルタ装置23と略同一高さ、もしくはそれよりも高く形成される。これによって水がフィルタ装置23に浸入することを抑制できる。
【0042】
図8及び図9に示すように、第1の壁部25aは、膨出部3aの周縁部において、カバー3の外面3bに立設されている。第1の壁部25aは、本実施形態では、4個設けられている。これらの第1の壁部25aは、フィルタ装置23の周囲に等間隔に配置されており、隣合う第1の壁部25a間には、排水口である第1の排水口25eが形成されている。この第1の排水口25eは、第1の防護壁25b内に入り込んだ水を排出する。これらの第1の壁部25aは、フィルタ装置23を囲繞する環状に、第1の排水口25eを介して配列されている。詳しくは、各第1の壁部25aは、単一の仮想円上に配置されており、それら各第1の壁部25aは、その仮想円に沿ってほぼ円弧状に形成されている。
【0043】
各第1の壁部25aの外面25gは、その先端に向かうにしたがい防護壁25(第1の防護壁25b)の内側(フィルタ装置23)に近づくように傾斜して形成されている。第1の壁部25aの外面25gは、第1の防護壁25bの外側(フィルタ装置23側とは反対側)に向いた面である。このとき、第1の壁部25aは、その基端部から先端部に向かって厚さが徐々に薄くなるように形成さている。かかる第1の壁部25aの傾斜によって、第1の防護壁25bは、その先端(カバー3の外面3bから外方)に向かって先細りに形成(縮径)されている。
【0044】
図7及び図9に示すように、第2の壁部25cは、膨出部3aの周縁部において、カバー3の外面3bに立設されている。第2の壁部25cは、本実施形態では、4個設けられている。第2の壁部25cは、第1の排水口25eにおけるフィルタ装置23側とは反対側で当該第1の排水口25eに対向しているとともに、これらの第2の壁部25cは、フィルタ装置23の周囲に等間隔に配置さている。隣合う第2の壁部25c間には、第2の排水口25fが形成されており、この第2の排水口25fを挟み込むように第1の壁部25aの一部が位置している。この第2の排水口25fは、第2の防護壁25d内に入り込んだ水を排出する。各第2の壁部25cの外面25hは、その先端に向かうにしたがい防護壁25(第2の防護壁25d)の内側(フィルタ装置23)に近づくように傾斜して形成されている。第2の壁部25cの外面25hは、第2の防護壁25dの外側(フィルタ装置23側とは反対側)に向いた面である。このとき、第2の壁部25cは、その基端部から先端部に向かって厚さが徐々に薄くなるように形成さている。かかる第2の壁部25cの傾斜によって、第2の防護壁25dは、その先端(カバー3の外面3bから外方)に向かって先細りに形成(縮径)されている。
【0045】
ここで、第1の壁部25aの傾斜、第2の壁部25cの傾斜は、水が外面25g、25hにあたる水量や、製造時の抜き勾配によって適宜設定されるものである。
【0046】
「電子制御装置の組立手順」
次に、上述のように構成された電子制御装置の組立手順について説明する。先ず、図2に示すように、2箇所の放熱伝達面14aに放熱材17を取り付ける。次に、ケース本体2の外周囲に形成されたシール溝22内にシール材30を充填する。次に、ケース本体2にプリント配線板1を取り付ける。プリント配線板1をケース本体2に取り付けるには、コネクタ6を下向きとし、2箇所に形成した位置決め孔10をケース本体2の位置決めピン9に遊嵌させると共にプリント配線板1の四隅を各基板固定部12上に載せる。また、このとき、コネクタ6をコネクタ挿通孔11よりケース本体2の底面より外方へ突出させる。
【0047】
そして、ネジ8を取付孔7を介してネジ孔13に螺合する。この結果、プリント配線板1は、四隅とコネクタ挿通孔11が設けられた位置とは反対側の側縁部中央に設けられた合計5箇所の基板固定部12上に固定される。また、プリント配線板1は、放熱伝達面14a上に配置された放熱材17とほぼ隙間なく密着する。このプリント配線板1は、前記5箇所の基板固定部12と放熱材17と密着する部位以外は、ケース本体2の底部2aに対して接触することなく所定の空間を有したフローティング配置とされる。
【0048】
次に、ケース本体2の外周囲に形成されたシール溝22内にシール材を充填する。そして、カバー3の対角に形成した2箇所の位置決め部27を、ケース本体2に形成した一対のカバー位置決め片20、20間に遊嵌させる。また、このとき、環状突条部31をシール溝22内に挿入させて固定ネジ28をカバー3に形成した固定ネジ取付け孔29を介してケース本体2のカバー取付けネジ孔21にねじ込む。その結果、カバー3は、内部にプリント配線板1を収容させた状態でケース本体2に固定される。ケース本体2とカバー3はシール材30でシールされることから、ケース本体2とカバー3との間からの収容ケース4内への水の進入が阻止される。
【0049】
そして、カバー3の膨出部3aにフィルタ装置23を嵌着する。このとき膨出部3aとフィルタ装置23との間にOリング32を介在させる。なお、フィルタ装置23は、カバー3をケース本体2へ取り付ける前に、カバー3に取り付けても良い。
【0050】
「作用効果」
次に、本実施形態の電子制御装置の作用効果について説明する。
【0051】
特許文献1に記載された収容ケースでは、防護壁が設置される面が平面であるため、収容ケースの外面に沿って流れた水が各壁部(防護片)の間の開口から防護壁の内側に浸入して、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入しやすい。この場合、上述したように、フィルタ装置と収容ケースとの間に浸入した水が低温になって氷結して膨張すると、フィルタ装置を持ち上げてしまい、フィルタ装置と収容ケースとの間に隙間ができ、その隙間を通過した水が通気孔から収容ケース内に浸入するおそれがある。
【0052】
そこで、本実施形態では、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dが、その基端部(カバー3の外面3b)から先端部(カバー3の外面3bから外方)に向かって傾斜することによって先細りに形成(縮径)されていることで、フィルタ装置23の側面やフィルタ装置23と収容ケース4とのシール部としてのOリングに水がかかることを、抑制するので、フィルタ装置23とカバー3との間を通って通気孔24から収容ケース4内に水が浸入することを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、第1の壁部25a及び第2の壁部25cが、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜(縮径)して形成されていることにより、その厚さがカバー3の外面3bから外方に向けて一定であるものに比べて、その側面の面積を小さくすることができる。これにより例えば、第1の壁部25a及び第2の壁部25cが、カバー3の外面3bから外方に向けて一定であるものの場合は、高圧洗浄機から噴射された水がその側面に突きあたり、フィルタ装置23へ向けて進入する場合があったが、本実施形態における構造、すなわち第1の壁部25a及び第2の壁部25cが、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜(縮径)して形成されている場合にあっては、その側面の面積を小さく(薄く)抑えることで、水が側面に接触した時に、その勢いで壁部の外方(フィルタ装置23の反対方向)へ流れ出すことが可能となり、フィルタ装置23へ対する水の浸入を抑制することできる。ここで、高圧洗浄機から噴射された水の移動経路の一例を図9中に矢印a,bで示す。したがって、その水が第1の壁部25a及び第2の壁部25cにあたって第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dの内部に向かって反射しても、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dの内側に入り込むことを抑制できる。これにより、フィルタ装置23と収容ケース4(カバー3)との間に水が浸入することを抑制することができ、よって、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのを、上記従来構造に比べて、より抑制することができる。つまり、本実施形態の電子制御装置によれば、収容ケース4における防水性能の向上を図ることができる。
【0054】
また、このように、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dが、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されていることにより、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dをダイカスト成形する際には、その金型の寿命を大きく伸ばすことができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1の壁部25a及び第2の壁部25cは、4個設けられ、且つ、第2の壁部25cは、第1の防護壁25bの外側であって第1の壁部25a間の第1の排水口25eに対向して相互に間隔をあけて配置されている。したがって、収容ケース4の設置姿勢にかかわらず、防護壁25の内部に水が浸入してフィルタ装置23の側面やフィルタ装置23と収容ケース4とのシール部としてのOリングに水がかかることを、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dによって抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、カバー3の膨出部3a(カバー3の外面3bよりも高い位置に形成)に通気孔24及びフィルタ装置23が設けられているので、膨出部3a以外のカバー3の外面3bに沿って流れる水が、通気孔24及びフィルタ装置23に向かうのを、膨出部3aによって阻止することができる。したがって、これによっても、フィルタ装置23と収容ケース4(カバー3)との間に水が浸入することを抑制することができ、よって、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのをより抑制することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、プリント配線板1に実装される電子部品5のうち、発熱性の高い電子部品5に対向する位置に通気孔24が形成されることで、当該電子部品5の周囲の温度変化に起因する収納ケース4内の圧力変化に対応でき、より圧力調整機能が向上する。
【0058】
[第2の実施形態]
図10〜図12は、本発明の第2の実施形態を示し、図10は、電子制御装置をカバー側からみたときの全体斜視図、図11は、電子制御装置をカバー側からみたときの平面図、図12は、図11のD−D線断面図である。なお、第1の実施形態と同じ部分は、同一符号で示し説明も省略する。
【0059】
図10〜図12に示すように、本実施形態は、電子制御装置のカバー103の外面103bにおける防護壁25の周囲に溝部41が形成されている点が第1の実施形態に対して異なり、他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0060】
溝部41は、防護壁25を囲繞する環状に形成された第1の溝部41aと、この第1の溝部41aから放射状に延出した複数の第2の溝部41b〜41iとから構成されている。
【0061】
第1の溝部41aは、例えば8角形に形成されており、その深さは略一定に形成されている。
【0062】
複数の第2の溝部41b〜41iは、図11に示すように、カバー103の外面103b側から見て、この符号順に時計回りに配置されて、防護壁25の周方向に互いに等間隔で配置されている。そして、これらの第2の溝部41b〜41iのうちの2つの第2の溝部41f,41gの間に、カバー103の4隅のうちフィルタ装置23(通気孔24)に最も近い隅が位置している。
【0063】
これらの第2の溝部41b〜41iのうちの3つ(第2の溝部41b,41c,41d)は、その全体がカバー103の外周縁の内側に位置する一方、そのうちの4つ(第2の溝部41e,41f,41g,41h)は、その延出先端部がカバー103の外周縁に至って、カバー103の側面に開口している。
【0064】
また、これらの第2の溝部41b〜41iの底面41jは、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが変化するように傾斜している。具体的には、カバー103の4隅のうちフィルタ装置23に最も近い隅を間にした2つの第2の溝部41f,41gと、これら2つの第2の溝部41f,41gの隣に位置する2つの第2の溝部41e,41hとは、第1の溝部41aから離れるにしたがい(カバー103の外周縁に向かって)当該第2の溝部41e,41f,41g,41hの深さが深くなるように底面41jが傾斜している。一方、他の第2の溝部41b,41c,41d,41iは、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b,41c,41d,41iの深さが浅くなるように底面41jが傾斜している。ここで、各第2の溝部41b〜41iにおける第1の溝部41aとの接続部分の深さは、同一である。なお、図11において各第2の溝部41b〜41iの横に示した矢印は、第2の溝部41b〜41iの深さが徐々に深くなる方向を示している。
【0065】
以上説明した通り、本実施形態では、収容ケース4(カバー103)の外面103bにおける防護壁25の周囲に溝部41が形成されている。したがって、例えばフィルタ装置23が上側となるように収容ケース4が設置されると、収容ケース4(カバー103)の外面103bに沿って流れて通気孔24及びフィルタ装置23に向かう水は、溝部41に流れ込み、これによって、通気孔24及びフィルタ装置23に水が向かうのが阻止される。したがって、フィルタ装置23と収容ケース4(カバー3)との間に水が浸入することを抑制することができ、よって、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのをより抑制することができ、通気孔24から収容ケース4内に水が浸入するのを、上記従来構造に比べて、より抑制することができる。つまり、本実施形態の電子制御装置によれば、収容ケース4における防水性能の向上を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、溝部41は、防護壁25を囲繞する環状に形成された第1の溝部41aと、この第1の溝部41aから放射状に延出した第2の溝部41b〜41iと、を有するので、第1の溝部41aに流れ込んだ水を、フィルタ装置23及び第1の溝部41aから遠ざかる方向に第2の溝部41b〜41iが案内し、その第2の溝部41b〜41iの先端から排水することができる。
【0067】
また、本実施形態では、複数の第2の溝部41b〜41iのうちの少なくとも一つ(具体的には、第2の溝部41e,41f,41g,41h)は、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41e,41f,41g,41hの深さが深くなるように底面41jが傾斜しており、複数の前記第2の溝部41b〜41iのうちの少なくとも一つ(具体的には、第2の溝部41b,41c,41d,41i)は、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b,41c,41d,41iの深さが浅くなるように底面41jが傾斜している。したがって、第2の溝部41e,41f,41g,41hに入り込んだ水を、第1の溝部41aを経由して第2の溝部41b,41c,41d,41iの先端部から排出することができる。なお、この第2の溝部41b〜41iの底面41jの傾斜は、収容ケース4の取付姿勢によって、適宜選択して形成して良い。また、この底面41jの傾斜角度は、カバー3の厚みに応じて適宜設定して良い。
【0068】
[第3の実施形態]
図13〜図15は、本発明の第3の実施形態を示し、図13は、電子制御装置をカバー側からみたときの平面図、図14は、図13のE−E線断面図、図15は、第2の溝部の変形例を説明するための電子制御装置の断面図である。なお、第1及び第2の実施形態と同じ部分は、同一符号で示し説明も省略する。
【0069】
本実施形態は、通気孔24(図14)がカバー203の中央部に配置されており、これにより、図13に示すように、フィルタ装置23及び防護壁25が通気孔24に対応してカバー203に配置されて、フィルタ装置23の周囲に溝部41が配置されている点が第2の実施形態に対して異なる。
【0070】
溝部41の全ての第2の溝部41b〜41iは、その延出先端部がカバー203の外周縁に至って、カバー203の側面に開口している。また、これら全ての第2の溝部41b〜41iは、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるように底面41jが傾斜している。詳細には、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなり、その途中部位から、第1の溝部41aとは反対側の端部(延出先端部)に至る部分の深さが一定となっている。ここで、図13において各第2の溝部41b〜41iの横に示した矢印は、図11と同様に、第2の溝部41b〜41iの深さが徐々に深くなる方向を示している。なお、他の構成は、第2の実施形態と同じである。
【0071】
以上説明した通り、本実施形態では、全ての第2の溝部41b〜41iが、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるように底面が傾斜していることにより、第1の溝部41aに入り込んだ水を、いずれかの第2の溝部41b〜41iによって、その先端部から排水することができる。
【0072】
また、第2の溝部41b〜41iの底面41jの傾斜を途中部位から一定の傾斜(深さ)に形成してあるので、それまでの傾斜によって水が第2の溝部41b〜41iからカバー103の側面に向かって流れることとなり通気孔24及びフィルタ装置23に水が向かうのが阻止される。
【0073】
ここで、第2の溝部41b〜41iは、上述したものの他に、図15に変形例を示すように、第2の溝部41b〜41iの全域において、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるようにしても良い。つまり第2の溝部41b〜41iの底面41j全体が傾斜していても良い。この場合には、全ての第2の溝部41b〜41iの全体が、第1の溝部41aから遠ざかるにしたがい当該第2の溝部41b〜41iの深さが深くなるように底面が傾斜していることにより、第1の溝部41aに入り込んだ水を、いずれかの第2の溝部41b〜41iによって、その先端部からより効率的に排水することができる。
【0074】
なお、本発明は、上記の実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、上記実施形態では、第1の壁部25aと第2の壁部25cとの両方が、その先端に向かうにしたがい防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されている例を説明したが、これに限ることなく、第1の壁部25aがと第2の壁部25cとの少なくとも一方が防護壁25の内側に近づくように傾斜して形成されていれば良い。
【0075】
また、上記各実施形態では、防護壁25として、第1の防護壁25b及び第2の防護壁25dを備えるものを説明したが、これに限ることなく、防護壁25は、第1の防護壁25bのみを備え、第2の防護壁25dを備えないものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側から見たときの全体斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置をケース本体側から見たときの全体斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】図1のA−A線断面図であり、接触抑制手段が設けられた部位を示す。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの平面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】図6のC−C線断面図である。
【図9】図6のフィルタ装置が設けられた部位を示す要部拡大平面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの全体斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの平面図である。
【図12】図11のD−D線断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる電子制御装置をカバー側からみたときの平面図である。
【図14】図13のE−E線断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態にかかる第2の溝部の変形例を説明するための電子制御装置の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1…プリント配線板(回路基板)
4…収容ケース
23…フィルタ装置
24…通気孔
25…防護壁
25a…第1の壁部(壁部)
25c…第2の壁部(壁部)
25e…第1の排水口(排水口)
25g…第1の壁部の外面
25h…第2の壁部の外面
41…溝部
41a…第1の溝部
41b〜41i…第2の溝部
41j…第2の溝部の底面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、
前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、
前記フィルタ装置の周囲で相互に間隔をあけて前記収容ケースの外面に突設された複数の壁部によって、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、
を備える電子制御装置において、
前記壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記壁部は、複数の第1の壁部と複数の第2の壁部とがあり、
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置を囲繞する環状に、第1の排水口を介して配列されており、
前記第2の壁部は、前記第1の排水口における前記フィルタ装置側とは反対側で当該排水口に対向しており、
少なくとも前記第1の壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置されており、
複数の前記第2の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置さていることを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記収容ケースの外面における前記防護壁の周囲に溝部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記溝部は、前記フィルタ装置を囲繞する環状に形成された第1の溝部と、この第1の溝部から放射状に延出した第2の溝部と、を有することを特徴とする請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記第2の溝部の底面は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが変化するように傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の電子制御装置。
【請求項7】
複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜しており、複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが浅くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の電子制御装置。
【請求項8】
全ての前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の電子制御装置。
【請求項9】
前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜し、その途中部位から、前記第1の溝部とは反対側の端部に至る部分の深さが一定であることを特徴とする請求項8に記載の電子制御装置。
【請求項10】
回路基板と、
通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、
前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、
前記収容ケースの外面に突設され、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、
を備える電子制御装置において、
前記収容ケースの外面における前記防護壁の周囲に溝部が形成されていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項11】
前記溝部は、前記防護壁を囲繞する環状に形成された第1の溝部と、この第1の溝部から放射状に延出した第2の溝部と、を有することを特徴とする請求項10に記載の電子制御装置。
【請求項12】
前記第2の溝部の底面は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが変化するように傾斜していることを特徴とする請求項11に記載の電子制御装置。
【請求項13】
複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜しており、複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが浅くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項12に記載の電子制御装置。
【請求項14】
全ての前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項12に記載の電子制御装置。
【請求項15】
前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜し、その途中部位から、前記第1の溝部とは反対側の端部に至る部分の深さが一定であることを特徴とする請求項14に記載の電子制御装置。
【請求項16】
前記防護壁は、前記フィルタ装置の周囲で相互に間隔をあけて前記収容ケースの外面に突設された複数の壁部を有して、これらの壁部によって前記フィルタ装置を囲繞しており、
前記壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項10ないし15のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項17】
前記壁部は、複数の第1の壁部と複数の第2の壁部とがあり、
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置を囲繞する環状に、第1の排水口を介して配列されており、
前記第2の壁部は、前記第1の排水口における前記フィルタ装置側とは反対側で当該排水口に対向しており、
少なくとも前記第1の壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項16に記載の電子制御装置。
【請求項18】
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置されており、
複数の前記第2の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置さていることを特徴とする請求項17に記載の電子制御装置。
【請求項1】
回路基板と、
通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、
前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、
前記フィルタ装置の周囲で相互に間隔をあけて前記収容ケースの外面に突設された複数の壁部によって、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、
を備える電子制御装置において、
前記壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記壁部は、複数の第1の壁部と複数の第2の壁部とがあり、
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置を囲繞する環状に、第1の排水口を介して配列されており、
前記第2の壁部は、前記第1の排水口における前記フィルタ装置側とは反対側で当該排水口に対向しており、
少なくとも前記第1の壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置されており、
複数の前記第2の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置さていることを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記収容ケースの外面における前記防護壁の周囲に溝部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記溝部は、前記フィルタ装置を囲繞する環状に形成された第1の溝部と、この第1の溝部から放射状に延出した第2の溝部と、を有することを特徴とする請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記第2の溝部の底面は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが変化するように傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の電子制御装置。
【請求項7】
複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜しており、複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが浅くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の電子制御装置。
【請求項8】
全ての前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の電子制御装置。
【請求項9】
前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜し、その途中部位から、前記第1の溝部とは反対側の端部に至る部分の深さが一定であることを特徴とする請求項8に記載の電子制御装置。
【請求項10】
回路基板と、
通気孔を有し内部に前記回路基板を収容した収容ケースと、
前記収容ケースの外部に位置するように前記収容ケースに取り付けられ、前記通気孔を通過する気体を濾過するフィルタ装置と、
前記収容ケースの外面に突設され、前記フィルタ装置を囲繞する防護壁と、
を備える電子制御装置において、
前記収容ケースの外面における前記防護壁の周囲に溝部が形成されていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項11】
前記溝部は、前記防護壁を囲繞する環状に形成された第1の溝部と、この第1の溝部から放射状に延出した第2の溝部と、を有することを特徴とする請求項10に記載の電子制御装置。
【請求項12】
前記第2の溝部の底面は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが変化するように傾斜していることを特徴とする請求項11に記載の電子制御装置。
【請求項13】
複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜しており、複数の前記第2の溝部のうちの少なくとも一つは、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが浅くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項12に記載の電子制御装置。
【請求項14】
全ての前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜していることを特徴とする請求項12に記載の電子制御装置。
【請求項15】
前記第2の溝部は、前記第1の溝部から遠ざかるにしたがい当該第2の溝部の深さが深くなるように底面が傾斜し、その途中部位から、前記第1の溝部とは反対側の端部に至る部分の深さが一定であることを特徴とする請求項14に記載の電子制御装置。
【請求項16】
前記防護壁は、前記フィルタ装置の周囲で相互に間隔をあけて前記収容ケースの外面に突設された複数の壁部を有して、これらの壁部によって前記フィルタ装置を囲繞しており、
前記壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項10ないし15のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項17】
前記壁部は、複数の第1の壁部と複数の第2の壁部とがあり、
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置を囲繞する環状に、第1の排水口を介して配列されており、
前記第2の壁部は、前記第1の排水口における前記フィルタ装置側とは反対側で当該排水口に対向しており、
少なくとも前記第1の壁部の外面が、その先端に向かうにしたがい前記防護壁の内側に近づくように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項16に記載の電子制御装置。
【請求項18】
複数の前記第1の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置されており、
複数の前記第2の壁部は、前記フィルタ装置の周囲に等間隔に配置さていることを特徴とする請求項17に記載の電子制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−52701(P2010−52701A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222908(P2008−222908)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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