説明

電子制御装置

【課題】 回路基板の不具合の発生を抑制しながら、回路基板を筐体に容易に固定することができる電子制御装置を提供する。
【解決手段】 電子部品を実装した回路基板2と、回路基板2を保持するために回路基板2に取り付けられた基板ホルダ10、10と、回路基板2および基板ホルダ10、10を収容し、回路基板2が基板ホルダ10、10を介して固定されるケース20と、を備えており、回路基板2の歪み変形を起因として回路基板2に設けられた電子部品や回路に作用する応力を、緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装したプリント基板をケースに収容した電子制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子制御装置として、樹脂製の筐体内部に回路基板を収容し、カバーで筐体の開口を塞いだ構成を有するものが知られている。このような電子制御装置では、例えば、以下のようにして回路基板を筐体に固定している。すなわち、筐体の内側の左右の壁面に沿ってレールを形成し、回路基板をレールに沿って筐体の内部に挿入するとともに、筐体の内側の奥側の壁面およびカバーに基板押さえを形成し、基板押さえとレールの間に回路基板を狭持することによって、回路基板を固定している。
【0003】
また、従来の電子制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この電子制御装置は、複数の電子部品を実装したプリント基板と、このプリント基板を収容した袋構造のケースを備えている。このケースの内壁面の底部には、複数の突起部が、プリント基板の表面側および裏面側に交互に間隔を隔てて形成されており、表面側および裏面側の突起部の間に端部が狭持された状態で、プリント基板がケースに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−244153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の電子制御装置では、いずれも、レールおよび基板押さえなどで狭持することにより、回路基板自体をケースに固定しているので、回路基板に生じる応力により歪みが発生し、それにより回路基板に不具合が発生するおそれがある。例えば、車両に搭載された電子制御装置は、温度変化の大きな、比較的、過酷な環境に置かれるので、そのような環境下で回路基板に歪みが生じた状態が継続すると、電子部品を回路基板に固定するはんだにクラックが生じたり、はんだが回路基板からはがれたりすることによって、回路基板上の回路に導通不良が発生するおそれがある。このような不具合を回避するには、回路基板を狭持する力を弱める一方、回路基板と筐体の間にがたつきが発生しないように、回路基板を狭持する力の最適化を図る必要がある。しかし、そのためには、ケースやカバーの複数のサンプルを試作し、回路基板の歪みを実際に測定するなどの煩雑な評価試験を行ったり、回路基板の固定を設計どおりに行うために、筐体やカバーの形状やサイズに高い精度を確保する必要があるなど、開発・設計コストの増大を招いている。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、回路基板をケースに容易に固定できるとともに、回路基板の不具合の発生を抑制することができる電子制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載の請求項1に係る電子制御装置、
電子部品を実装した回路基板2と、回路基板2を保持するために基板2に取り付けられた基板ホルダ10、10と、回路基板2および基板ホルダ10、10を収容し、回路基板2が基板ホルダ10、10を介して固定されるケース20と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この電子制御装置によれば、電子部品を実装した回路基板には、これを保持するための基板ホルダが取り付けられており、この基板ホルダを取り付けた回路基板が、ケースに収容されている。回路基板は、基板ホルダを介して、ケースに固定されている。
【0009】
このように、回路基板がケースに直接、取り付けられた従来の電子制御装置と異なり、レールおよび基板押さえなどで回路基板に応力をかけることによって固定する構造ではないため、回路基板に歪みが生じるのを抑制することができる。その結果、回路基板の歪み変形を起因として回路基板に設けられた電子部品や回路に作用する応力を、緩和することができる。したがって、一般に電子部品の実装に用いられるはんだに、回路基板の歪みを起因とするクラックや基板からの剥落が発生するのを抑制でき、回路基板上の回路に導通不良が発生するのを抑制することができる。
【0010】
また、ケースと回路基板の間に基板ホルダが介在しており、回路基板を狭持する力の最適化を図る必要がないため、回路基板に歪みやがたつきが生じるのを防止するための精度がケースに要求されず、簡易な構成ですむので、ケースの詳細な構成を設定するための評価試験などを省略でき、電子制御装置の開発コストを抑制することができる。また、基板ホルダの取付けが可能であれば、サイズや形状の異なる回路基板を用いることができ、複数の種類の回路基板に対し、ケースを共用することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子制御装置1において、基板ホルダ10は、ホルダ本体11と、ホルダ本体11に設けられ、回路基板2の厚さ方向の移動を規制するための第1保持部12と、回路基板2の基板平面に沿う方向の移動を規制するための第2保持部13と、を有していることを特徴とする。
【0012】
この電子制御装置によれば、基板ホルダが取り付けられた回路基板は、基板ホルダの第1保持部によって、基板の厚さ方向の移動が規制されるとともに、第2保持部によって、基板平面に沿う方向の移動が規制される。したがって、基板ホルダにより、回路基板を確実に固定した状態で保持することができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の電子制御装置1において、第1保持部12は、回路基板2の一方の面側に配置された基板支持部12aおよび他方の面側に配置された基板押さえ部12dを有し、回路基板2は、基板支持部12aおよび基板押さえ部12dに狭持された状態で保持されることを特徴とする。
【0014】
この電子制御装置によれば、回路基板は、その裏面側および表面側にそれぞれ設けられた基板支持部および基板押さえ部によって狭持されるので、回路基板の厚さ方向の移動を確実に規制でき、回路基板の基板ホルダへの固定、ひいてはケースへの固定を確実に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載の電子制御装置において、前記回路基板を間に存して当該回路基板の外縁に接するように、複数の前記第2保持部が配置されていることを特徴とする。
【0016】
この電子制御装置によれば、回路基板の外縁に接するように配置された複数の第2保持部の間に、回路基板が配置されている。それにより、回路基板の基板平面に沿う方向の移動を確実に規制でき、回路基板の基板ホルダへの固定、ひいてはケースへの固定を確実に行うことができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載用電子制御装置1において、ケース20を閉鎖するために、回路基板2および基板ホルダ10、10を収容した状態でケース20に取り付けられたカバー30をさらに備え、ケース20およびカバー30は、基板ホルダ10をケース20に固定するためのホルダ押さえ部(実施形態におけるホルダガイド25およびホルダ固定部33)をそれぞれ有していることを特徴とする。
【0018】
この電子制御装置によれば、回路基板および基板ホルダがケースに収容されたた状態で、ケースにカバーが取り付けられることによって、ケースが閉鎖される。この状態では、回路基板に取り付けられた基板ホルダが、ケースおよびカバーにそれぞれ設けられたホルダ押さえ部によってケースに固定されるので、基板ホルダを取り付けた回路基板は、基板ホルダを介してケースに固定される。
【0019】
このように、ケース側およびこれを閉鎖するカバー側の双方のホルダ押さえ部によって、回路基板および基板ホルダを、ケースに確実に固定することができる。また、ホルダ押さえ部は、基板ホルダをケースに固定し、回路基板に直接の影響を及ぼさないので、回路基板の歪みの発生をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子制御装置を示す斜視図である。
【図2】図1の電子制御装置を分解した状態で示す斜視図である。
【図3】基板ホルダを示す斜視図である。
【図4】基板ホルダに回路基板を取り付けた状態を示す(A)正面図および(B)平面図である。
【図5】(A)回路基板と基板ホルダの第1保持部との接続部を示す部分拡大断面図、および(B)回路基板と基板ホルダの第2保持部との接続部を示す部分拡大平面図である。
【図6】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図7】図6に示す電子制御装置の(A)ホルダガイド付近、および(B)ホルダ固定部付近をそれぞれ部分的に拡大して示す図である。
【図8】変形例に係る電子制御装置を、(A)後方から示す断面図、および(B)上方から示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る電子制御装置1について、図面を参照しながら説明する。この電子制御装置1は、例えば、車両のダッシュボード(図示せず)に配置され、運転者による運転操作などに応じ、各種のアクチュエータ(図示せず)に制御信号を送信して車両の制御を実行するためのものである。
【0022】
図1および図2に示すように、電子制御装置1は、回路基板2、基板ホルダ10および両者2、10を収容するためのケース20、およびカバー30を備えている。なお、以下の説明では、便宜上、図1の右側、上側および奥側を、それぞれ電子制御装置1の右側、上側、および前側として説明する。
【0023】
回路基板2は、矩形の板状に形成されたプリント基板などで構成されており、その両面には、多数の電子部品(図示せず)がはんだ付けされることにより実装されている。また、回路基板2の後端部には、コネクタ3が取り付けられている。このコネクタ3は、回路基板2の各種の電子部品や回路を駆動させるための電力を供給するとともに、各種の信号の送受信を行うために、外部コネクタ(図示せず)を接続するためのものである。また、図4に示すように、回路基板2の前後の外縁部の左右の端部には、切欠き2aがそれぞれ形成されている。
【0024】
基板ホルダ10は、樹脂で構成され、回路基板2の左端部および右端部にそれぞれ取り付けられている。図3に示すように、各基板ホルダ10は、ホルダ本体11と、このホルダ本体11に設けられた基板ホールド部12(第1保持部)および2つの基板ストッパ13、13(第2保持部)を有している。ホルダ本体11は、前後方向および上下方向にそれぞれ所定の幅を有する矩形の板状に形成されている。また、ホルダ本体11の上面および前面の間の角部と、上面および後面の間の角部には、斜面11aがそれぞれ形成されている。
【0025】
基板ホールド部12は、基板支持部12aおよび2つのストッパ12b、12bを有しており、これらは、ホルダ本体11と一体に設けられている。基板支持部12aは、ホルダ本体11の一方の側面の下端部に設けられており、前後方向に延びている。2つのストッパ12b、12bは、基板支持部12aのすぐ上方において、前後方向に間隔を隔てて並ぶように配置されている。図5(A)に示すように、各ストッパ12bは、ホルダ本体11から突出する基部12cと、この基部12cよりも上下方向の厚さの大きな基板押さえ部12dとを有しており、基板押さえ部12dは、基部12cよりも下側に凸に形成されていて、基板押さえ部12dと基板支持部12aの間の間隔は、上述した回路基板2の厚さとほぼ同じに設定されている。
【0026】
2つの基板ストッパ13、13は、基板支持部12aの前方および後方に、すなわちホルダ本体11の一方の側面の前端部および後端部にそれぞれ配置されており、両者13、13間の間隔は、回路基板2の前後方向の幅とほぼ同じに設定されている。図5(B)に示すように、各基板ストッパ13は、ホルダ本体11から突出する基部13aと、この基部13aよりも前後方向の厚さの大きな基板係合部13bとを有しており、基板係合部13bは、基部13aよりも基板ホールド部12側に凸に形成されている。
【0027】
回路基板2には、左右1対の基板ホルダ10、10が取り付けられている。回路基板2に基板ホルダ10を取り付ける際には、回路基板2の左右のいずれか一方の端部の上下方向の位置を、一方の基板ホルダ10の基板支持部12aと基板押さえ部12d、12dの間に合わせるとともに、前後方向の位置を、前後の基板ストッパ13、13の間に合わせて、回路基板2をホルダ本体11側に押し込む。それにより、回路基板2は、前後の第2保持部13、13の弾性に抗してこれらを押し広げながら、基板支持部12aと基板押さえ部12d、12dとの間に挿入され、基板ストッパ13の基板係合部13bが、回路基板の切欠き2aに係合する。また、他方の基板ホルダ10にも、プリント基板2の左右の他方の端部が、一方の端部側と同様に取り付けられる。
【0028】
ケース20は、後方に開口するボックス状に形成されており、天板21、底板22,左右の側壁23、23、および前壁24を有している。このケース20は、例えば射出成形により樹脂で一体に構成されており、天板21の上面後端部には、左右方向に間隔を隔てて爪部21a、21aが形成されている。また、底板22の下面後端部にも、天板21側と同様の爪部22a、22aが形成されている。また、天板21の下面左端部にはレール21bが形成されており、このレール21bは、天板21の後端部から前端部まで延びていて、左側の側壁23との間に所定の幅の溝が構成されている。この溝の幅は、前述した基板ホルダ10のホルダ本体11の厚さとほぼ同じに設定されている。また、底板22の上面左端部にも、天板21側のレール21bと同様のレール22bが設けられている。
【0029】
また、図6および図7(A)に示すように、天板21と前壁24の間の角部には、ホルダガイド25(ホルダ押さえ部)が形成されている。このホルダガイド25は、ケース20の左右方向の全体にわたって延びており、天板21の他の部分よりも大きな厚さを有している。また、ホルダガイド25の後端部には、天板21の下面から連続して延びる斜面25aが形成されている。
【0030】
基板ホルダ10、10を取り付けた回路基板2をケース20に収容するときには、まず、上下のレール21b、22bと左側の側壁23の間の溝に、左側のホルダ本体11を挿入し、回路基板2および基板ホルダ10、10の全体をケース2の奥にスライドさせる。プリント基板2などは、上下のレール21b、22bによって案内されながら前方にスライドし、ホルダ本体11の前端部の斜面11aが、ホルダガイド25の斜面25aに当接すると、基板ホルダ10は、斜面25aに沿って移動し、ホルダガイド25の下方に案内される。それにより、プリント基板2などは、ケース20の内部空間の所定の位置に配置された状態で、ケース20に収容される。
【0031】
このように、ケース20内に収容された状態では、回路基板2は、左右の基板ホルダ10、10によって保持されており、回路基板2の裏面側の左右の基板支持部12a、12aと、表面側の計4つの基板押さえ部12dによって、上下方向(回路基板の厚さ方向)の移動が規制される。また、計4つの基板ストッパ13は、回路基板2の前後の外縁部の左右の端部にそれぞれ配置され、回路基板2の切欠き2aにそれぞれ係合するように接していて、これら計4つの基板ストッパ13によって、回路基板2の水平方向(回路基板の基板平面に沿う方向)の移動が規制されるとともに、基板ホルダ10の回路基板2からの脱落が防止される。
【0032】
カバー30は、ケース20に取り付けてその開口を塞ぐためのものであり、ケース20と同じく樹脂で一体に構成されており、後壁30、および計4つのカバー固定部32を有している。後壁31は、ケース21の開口を塞ぐことができるように、前壁24とほぼ同じ形状およびサイズを有している。また、後壁31には、後壁31を貫通する孔31aが形成されている。この孔31aは、カバー30をケース21に取り付けたときに、回路基板2のコネクタ3を通すためのものであり、コネクタ3の鉛直方向の断面よりも若干、大きな形状およびサイズに形成されている。
【0033】
カバー固定部32は、後壁20の上端および下端に2つずつ設けられており、上側のカバー固定部32、32は、左右方向に所定の間隔を隔てて設けられていて、前方のケース20側に突出するように延びている。下側のカバー固定部32、32もまた、上側のカバー固定部32、32と同様に設けられている。また、各カバー固定部32の中央には係合孔32aが形成されており、この係合孔32aは、カバー固定部32を上下方向に貫通している。
【0034】
また、後壁31の前面上端部には、ホルダ固定部33(ホルダ押さえ部)が設けられてる。このホルダ固定部33は、後壁31と一体に設けられ、後壁31から前方に突出して延びるとともに、後壁31の左右方向の全体にわたって延びている。このホルダ固定部33の前端部には、ホルダ固定部の上面との間が鋭角になるように斜めに延びる斜面33aが形成されている。また、このホルダ固定部33と上側のカバー固定部32との間の間隔は、ケース20の天板21の厚さとほぼ同じになるように設定されている。
【0035】
このようなカバー30は、回路基板2などをケース20に収容した後、ケース20に取り付けられ、その開口を塞ぐ。具体的には、後壁31の孔31aに、プリント基板2のコネクタ3を挿入し、そのままカバー30をケース20側に近づける。それにより、上側のカバー固定部32、32とホルダ固定部33の間に、天板21の後端部が挿入され、また、ホルダ本体11の後側の斜面11aにホルダ固定部33の斜面33aが当接し、ホルダ本体11がホルダ固定部33の下側に案内される。そして、各カバー固定部32の係合孔32aに、ケース20の爪部21a、22aがそれぞれ係合することによって、カバー30はケース20に固定される。また、ケース20に収容された回路基板2および基板ホルダ10、10は、ホルダガイド25およびホルダ固定部33と底板22の間に位置決めされた状態で、ケース20に固定される。
【0036】
以上のように、本実施形態による電子制御装置1によれば、回路基板2とケース20の間に基板ホルダ10、10が介在しているので、ケース20と回路基板2の間の力の伝達が緩和され、また、回路基板2は、これに加わる力に偏りが生じないように、左右の基板ホルダ10、10によってバランスよく保持される。したがって、回路基板2に歪みが生じるのを抑制することができる。その結果、回路基板2の歪み変形を起因として、回路基板2に設けられた電子部品や回路に作用する応力を緩和でき、電子部品の実装に用いられるはんだに、回路基板2の歪みを起因とするクラックや回路基板2からの剥落が発生するのを抑制できるので、回路基板2上の回路に導通不良が発生するのを抑制することができる。
【0037】
また、ケース20と回路基板2の間に基板ホルダ10、10が介在しており、回路基板2に歪みやがたつきが生じるのを防止するための精度がケース20に要求されず、簡易な構成ですむので、ケース20の詳細な構成を設定するための評価試験などを省略でき、電子制御装置1の開発コストを抑制することができる。また、基板ホルダ10の取付けが可能であれば、サイズや形状の異なる回路基板を用いることができ、複数の種類の回路基板に対し、ケース20を共用することができる。
【0038】
また、回路基板2は、その裏面側および表面側にそれぞれ設けられた基板支持部12aおよび基板押さえ部12d、12dによって狭持されるので、回路基板2の厚さ方向の移動を確実に規制でき、回路基板2の基板ホルダ10への固定、ひいてはケース20への固定を確実に行うことができる。
【0039】
また、回路基板2の外縁に接して配置された計4つの基板ストッパ13の間に、回路基板2が配置されており、それにより、回路基板2の基板平面に沿う方向の移動を確実に規制でき、回路基板2の基板ホルダ10への固定、ひいてはケース20への固定を確実に行うことができる。
【0040】
また、ケース20側のホルダガイド25およびこれを閉鎖するカバー30側のホルダ固定部33と、上下のレール21b、22bによって、回路基板2および基板ホルダ10、10を、ケース20に位置決めした状態で確実に固定することができる。ホルダガイド25およびホルダ固定部33は、基板ホルダ10、10をケース20に固定し、回路基板2に直接の影響を及ぼさないので、回路基板2の歪みの発生をより確実に抑制することができる。
【0041】
図8は、上述した電子制御装置1の変形例を示している。この変形例の電子制御装置1aは、実施形態に係る電子制御装置1とほぼ同じ構成を有している。以下、変形例に係る電子制御装置1aについて、実施形態に係る電子制御装置1と同じ構成要素については同じ符号を用いて、電子制御装置1との差異を中心として説明する。
【0042】
実施形態の電子制御装置1では、プリント基板2および基板ホルダ10、10をケース20に収容した状態において、これらは、ケース20の内部のほぼ全体を占めるサイズを有していたのに対し、本変形例では、実施形態の回路基板2よりも左右方向の幅が小さい回路基板4を用いている。これにより、回路基板4などをケース20に収容した状態においては、右側の基板ホルダ10と側壁23との間に、回路基板4の幅を小さくした分、隙間が生じている。
【0043】
また、幅のより小さな回路基板4に応じて、幅のより小さなコネクタ5が用いられている。さらに、このコネクタ5の形状、サイズおよび配置に適合するように、カバー30の孔31aが形成されている。
【0044】
以上のように、左右方向の幅のより小さな回路基板4を用いても、基板ホルダ10およびケース20の構成を変更することなく、回路基板4などをケース20に収容することができ、サイズの異なる回路基板に対し、共通の基板ホルダ10およびケース20を用いることができる。
【0045】
なお、上述した実施形態および変形例では、基板ホルダ10、ケース20およびカバー30を、樹脂で構成されたものとして説明したが、これに限定されることなく、これらのうちの少なくとも1つを、例えばアルミダイカストや鋼板などの金属で構成してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 電子制御装置
1a 電子制御装置
2 回路基板
4 回路基板
10 基板ホルダ
11 ホルダ本体
12 基板ホールド部(第1保持部)
12d 基板押さえ部
13 基板ストッパ(第2保持部)
20 ケース
25 ホルダガイド(ホルダ押さえ部)
30 カバー
33 ホルダ固定部(ホルダ押さえ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装した回路基板と、
当該回路基板を保持するために当該回路基板に取り付けられた基板ホルダと、
前記回路基板および前記基板ホルダを収容し、前記回路基板が前記基板ホルダを介して固定されるケースと、
を備えていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記基板ホルダは、
ホルダ本体と、
当該ホルダ本体に設けられ、前記回路基板の厚さ方向の移動を規制するための第1保持部と、
前記回路基板の基板平面に沿う方向の移動を規制するための第2保持部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記第1保持部は、前記回路基板の一方の面側に配置された基板支持部および他方の面側に配置された基板押さえ部を有し、
前記回路基板は、前記基板支持部および前記基板押さえ部に狭持された状態で保持されることを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記回路基板を間に存して当該回路基板の外縁に接するように、複数の前記第2保持部が配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記ケースを閉鎖するために、前記回路基板および前記基板ホルダを収容した状態で前記ケースに取り付けられたカバーをさらに備え、
前記ケースおよびカバーは、前記基板ホルダを前記ケースに固定するためのホルダ押さえ部をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−69997(P2013−69997A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209244(P2011−209244)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】