説明

電子取引装置と取引を行なう携帯電話

【課題】本発明は取引セットのモードと取引実行のモードを有するように配置される電子取引装置と取引を行なう携帯電話に関するものである。
【解決手段】携帯電話が取引セットのモードとなる場合は、ユーザーは対応される一つの検証データと一つのバイオ特徴を携帯電話に設置するようにする。携帯電話が取引実行のモードとなる場合は、ユーザーはバイオ特徴を入力し、携帯電話がバイオ特徴に対応する検証データを、電子取引装置に伝送する。電子取引装置は、当該検証データを確認した後、払戻しまたは振替といった取引サービスをユーザーに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の技術、特に指紋認証機能と現金自動預け払い機(ATM)機能を合わせ持った携帯電話に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台湾の発明565786号特許案(特許文献1)では、電子取引システムの中に、携帯型電子権限装置及び請求装置を有することを提案している。かかる565786号特許案において、携帯型電子権限装置は指紋等のようなバイオ(生体)特徴のユーザー身分データを請求装置に伝送できるが、この請求装置は、当該バイオ特徴を認知できる認証システムを他に形成することが必要になり、このためコストも増加する。また、請求装置も、バイオ特徴を先に形成するよう顧客に要求し、後日認証する必要があるが、これはプライバシーに関わるものであり、また、登録されるバイオ特徴も外部流出の危険性がある。このため、この方法は商業化を推し進めるのが非常に難しい。
【0003】
台湾の発明I225620号特許案(特許文献2)では、指紋認証によって敏速な機能を駆動される応用装置を提案している。しかしながら、この応用装置は電子取引方面における機能または指導を提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾565786号特許明細書
【特許文献2】台湾I225620号特許明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主たる目的は、電子取引装置と取引できる携帯電話を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による携帯電話は、バイオ特徴入力ユニットを有し、また、取引セットモード及び取引実行モードを提供できるため、ユーザーはそのうち一方のモードを選択する。携帯電話は、取引セットモード下に位置するとき、ユーザーのバイオ特徴入力ユニットによる入力操作を通じて、当該ユーザのバイオ特徴に対応する特徴データを形成し、その後、当該特徴データと検証データを揃えて、当該携帯電話の中に保存する。一方、携帯電話が取引実行モード下に位置するとき、ユーザーはバイオ特徴入力ユニットを通じて前述のバイオ特徴を入力でき、その後、携帯電話は、当該バイオ特徴と相互に対応する特徴データに基づいて、相互に対応する検証データを取り出し、また検証データを電子取引装置に伝送し検証を行う。電子取引装置が当該検証データが間違いないことを検証すると、即座に一系列の取引手続きを展開する。このような取引手続きの実行過程は、携帯電話のスクリーンに提示される。
【0007】
最も理想的なのは、電子取引装置がATM装置であることである。また、バイオ特徴として、指紋を用いることができる。前記検証データは、クレジットカードに対応する取引パスワードを含み、更にクレジットカードに対応する銀行口座番号を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による電子取引システムの好適な実施形態のブロック図を表す。
【図2】本実施形態で使用される携帯電話中に格納されるデータ表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明の電子取引装置1と携帯電話2によって構成される電子取引システムを示す。電子取引装置1は、好ましくは、払戻し及び振替機能を持つATM装置、自動券売機のようなクレジットカード/キャッシュカード取引の自動販売機に適用される。携帯電話2は、携帯通信機能を有する携帯情報端末(PDA)またはその他の携帯可能な通信装置にも代替的に適用することができる。
【0010】
電子取引装置1は、サービス端取引ユニット10、サービス端通信ユニット11、及び検証ユニット12を含む。サービス端取引ユニット10は、払戻し取引サービス及び振込取引サービスといった取引サービスを提供するように設けられ、このようなサービスの内容は、払戻し金額または振込金額の入力を要求したり、かかる入力結果に基づいて払戻しまたは振込処理を行ったり、かかる処理結果に基づいて領収書を印刷すること等を含む。サービス端通信ユニット11は、携帯電話2が構成する無線通信と接続でき、それによって携帯電話2からの検証データを受信するように構成される。検証ユニット12は、サービス端通信ユニット11を経由して検証データを受信し、当該検証データに間違いがないことを検証した後に、サービス端取引ユニット10に取引サービスを提供するよう通知するように構成される。その他、検証ユニット12は、ユーザーが電子取引装置1のキーボードまたはタッチパネル(図示せず)を経由して直接入力した検証データを受信及び検証でき、電子取引装置1の属する経営者によって当該ユーザーに発行されるキャッシュカード及びクレジットカードを読み取り及び検証することもできる。
【0011】
携帯電話2は、多くの分岐状構造を呈する機能モード、例えば電話薄モード、電子ゲームモード、ブルートゥース設定モード、行事暦設定モード、網路設定モード、通話設定モード、照像モード、撮影モード等の各種モードを有する。これらモードの大部分は、当該携帯電話2の中に構成される応用プログラムに基づいた制御によって生成される。特記されることは、携帯電話2が、さらに取引セットモード及び取引実行モードを有するよう構成されていることである。携帯電話2がユーザーの操作によって取引セットモードに入るとき、当該ユーザーは、相互に対応する検証データ及びバイオ特徴を携帯電話2の中に形成し、格納することができる。携帯電話2がユーザーの操作によって、または外部からの信号の指示によって、取引実行モードに入るとき、ユーザーはバイオ特徴を入力でき、それによって携帯電話2は対応する当該バイオ特徴の検証データを電子取引装置1に伝送する。この二つのモードの生成方法において好ましいのは、それを整合し且つ前述した応用プログラムの中に用いることである。
【0012】
携帯電話2は、バイオ特徴入力ユニット20、保存ユニット21、設定ユニット22、通信ユニット23、比較モジュール24、取引確認モジュール25、取引モジュール26、及び表示ユニット27を有する。
このうち、バイオ特徴入力ユニット20は、ユーザーが入力するバイオ特徴を受信し、また当該受信されたバイオ特徴に基づいて、相互に対応する特徴データを演算し生成できるように構成される。このような構成は、現在の指紋認証セットを用いて具現化することもできる。
【0013】
保存ユニット21は、電話薄の内容(電話番号など)、通話設定の内容などといったユーザー情報及び設定情報の保存のために使用される。上述の応用プログラムも、この保存ユニット21内に保存され、適宜読み出されて使用される。特記されることは、保存ユニット21が、一つまたは複数の検証データ、及び、一つまたは複数の特徴データを保存でき、全ての検証データは一つ一つの特徴データに対応するように設けられていることである。本実施形態では、全ての特徴データは、一つ一つ当該ユーザーの親指の指紋、人差し指の指紋、中指の指紋等といったバイオ特徴に対応する。好ましくは、全ての検証データは、銀行が発行するキャッシュカードに対応する取引パスワード、またはキャッシュカードに対応する取引パスワードと銀行口座番号の組合せを含む。好ましくは、図2に示すように、保存ユニット21内にデータ表(table)を形成し、かかるデータ表に上述した各種データを保存する形態とする。また、XML文書や、単純文字文書(.txt)、Microsoft(登録商標) Word文書、Microsoft Excel文書のような、表形式を呈することができる電子文書を用いて、前述のデータ表に代替的に適用することができる。
【0014】
図1で示すように、設定ユニット22は、インプットデータの入力に用いられるキーボードまたはタッチパネル,及び電話薄に資料を記録する連絡を打ち立てるのに役立つインターフェイスのようなユーザーのデータ入力に役立つよう使用されるHMI操作インターフェイス、または通話機能を設定するインターフェイスなどを含む。このようなHMI操作インターフェイスは、上述の応用プログラムに基づいて制御され、稼動される。特記されることは、設定ユニット22が取引データ設定インターフェイス220も含むということである。取引データ設定インターフェイス220は、取引セットモードの下で、ユーザーに検証データ及び当該検証データに対応するバイオ特徴を入力することを要求し、また検証データ及びバイオ特徴に対応する特徴データを受信した後、該受信データを上述のデータ表中に保存するなど、検証データと特徴データの二者を相互に対応する方式で保存ユニット21に保存できるように構成される。このうち、取引データ設定インターフェイス220の稼動方法において、好ましくは、上述の応用プログラムに整合するようにする。
【0015】
通信ユニット23は、その使用により携帯通信サービスを提供するものであり、かかる携帯通信サービスには通話及びメールサービスが含まれる。特記されることとして、通信ユニット23は、さらに取引通信モジュール230を含むことである。この取引通信モジュール230は、前述の取引実行モードの下で、電子取引装置1が構成する無線通信と接続できるよう構成される。好ましくは、取引通信モジュール230と電子取引装置1との間の無線通信方式が、BlueTooth通信、携帯電話通信、無線PF通信、赤外線通信等の方式を選択的に採用できるようにすることである。
【0016】
比較モジュール24は、取引実行モードの下で、バイオ特徴入力ユニット20から特徴データを受信し、また保存ユニット21のデータ表中から当該特徴データに対応する検証データを探し出すように構成される。比較モジュール24は、上述の指紋認証セットの中に整合されるのが好ましい。
【0017】
取引確認モジュール25は、比較モジュール24からの検証データを受信した後、取引通信モジュール230を経由して、上述の検証データを含む情報を電子取引装置1に伝送できるように設けらる。
【0018】
取引モジュール26は、電子取引装置1からの許可応答を受信した後、ユーザーに、取引に関係するものと同じデータの入力を要求し、さらに取引通信モジュール230を経由して当該取引に関係するデータを電子取引装置1に伝送し、また電子取引装置1から取引に関係するデータを受信するよう配置される。
【0019】
取引確認モジュール25と取引モジュール26は、ともにソフトウェア手段を用いて実現でき、また、かかるソフトウェア手段は、上述の応用プログラムに整合されることが好ましい。
【0020】
表示ユニット27は、各種の情報を表示するために使用され、かかる情報には、携帯通信サービスに関係するデータ画面、各種設定機能に関係するデータ画面、取引に関係するデータ画面等が含まれる。
【0021】
以下は、ユーザーが携帯電話2と自動現金預け払い機、即ち電子取引装置1を使用して、払戻し取引を行う過程を説明する。なお、振替取引の過程は、以下の払戻し過程と類似するため、その説明を省略する。
【0022】
まず、ユーザーが携帯電話2を取引実行モードに設定し、これによって携帯電話2の取引通信モジュール230と電子取引装置1のサービス端通信ユニット11は、無線通信接続を構成する。このとき、携帯電話2の表示ユニット27のスクリーン上には、通信接続成功の画面が提示される。その後、電子取引装置1はユーザーにキャッシュカードの挿入を要求し、このとき、携帯電話2のスクリーンにはキャッシュカード挿入要求の画面が提示される。
【0023】
続いて、ユーザーがキャッシュカードを電子取引装置1に挿入し、それによって電子取引装置1は、続けて当該ユーザーに当該キャッシュカードに対応する取引パスワードの入力を要求する。このとき、携帯電話2のスクリーン上には、続けて取引パスワードの入力を要求する画面が提示される。
【0024】
このとき、ユーザーは、携帯電話2上のバイオ特徴入力ユニット20を使用して、当該キャッシュカードに対応するバイオ特徴を入力する。ここで、バイオ特徴は、当該ユーザーの人差し指の指紋などである。このとき、バイオ特徴入力ユニット20は、当該バイオ特徴を、相互に対応する特徴データに変換し、該変換された特徴データを比較モジュール24に伝送する。図2のデータ表に示すように、上述した人差し指の指紋に対応する特徴データは、***709147のバイナリーコードに対応する。
【0025】
比較モジュール24は、バイオ特徴入力ユニット20から受信された特徴データに基づいて、上記データ表を調べ、それによって当該特徴データに対応する取引パスワード、即ちk5h79**を探し出し、さらに当該取引パスワードを取引確認モジュール25に伝送する。
【0026】
取引確認モジュール25は、比較モジュール24からの取引パスワードを受信した後、直ちに取引通信モジュール230を経由して当該取引パスワードを含む情報を電子取引装置1に伝送する。
【0027】
電子取引装置1の検証ユニット12は、サービス端通信ユニット11を経由して取引パスワードを含む情報を受信した後、直ちにその中の取引パスワードに対して検証処理を実行し、さらに当該取引パスワードに間違いのないことを検証した後、サービス端通信ユニット11を経由して許可応答を携帯電話2に伝送する。この許可応答は、電子取引装置1がすでに当該ユーザーが携帯電話2を経由することに同意したことを表すものであり、かつ、電子取引装置1のサービス端取引ユニット10に対して、払戻し取引サービスを提供することを要求する。
【0028】
取引モジュール26は、許可応答を受信した後、直ちにユーザーに払戻し金額などの当該払戻し取引に関係するデータの入力を要求し、このとき携帯電話2のスクリーン(表示ユニット27)上には、払戻し金額の入力を要求する画面が提示される。そして、ユーザーの入力操作により取引モジュール26が当該払戻し金額を受信した後、取引通信モジュール230を経由して、当該払戻し金額に対応するデータを電子取引装置1に伝送する。
【0029】
電子取引装置1のサービス端取引ユニット10は、サービス端通信ユニット11を経由してこの払戻し金額に対応するデータを受信した後、即座に対応する紙幣及び払戻し領収書の印刷等のアウトプットを含む一連の払戻し処理を開始する。これらの処理の完遂後、電子取引装置1はサービス端通信ユニット11を経由して当該取引に関する取引完了通知や残額提示等のデータを携帯電話2に伝送し、携帯電話2の取引モジュール26は、取引通信モジュール230を経由してこれらのデータを受信し、さらにこれらのデータを携帯電話2のスクリーン上に提示する。
【0030】
上述の説明からわかるように、ユーザーは携帯電話2を通して、所定のバイオ特徴を入力するだけで、電子取引装置1との取引を完遂することができる。すなわちユーザーは、パスワードを記憶する必要も、パスワード操作を行う必要もない。さらに、上述の検証データが取引パスワード及び銀行口座を含む形態である場合には、ユーザーは電子取引装置1にキャッシュカードすら挿入する必要がなくなる。このように、本実施形態によれば、明らかに電子取引上の便利性と安全性を高めることができる。
【0031】
加えて、ユーザーは、自分の携帯電話内にバイオ特徴を構成しているため、いつでもバイオ特徴を削除あるいは変更することができる。
また、電子取引装置1は依然として伝統的なパスワード検証方式を使用しているため、バイオ特徴を構成する認証システムを構成する必要もなく、勿論クライアントが口座を開設する際にバイオ特徴を残す必要もない。
【0032】
また、電子取引装置1が携帯電話2から実際に受け取る検証データは、ユーザーのバイオ特徴という訳ではない。これにより、ユーザーのバイオ特徴が外部に漏れるという状況が発生するのを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 電子取引装置
10 サービス端取引ユニット
11 サービス端通信ユニット
12 検証ユニット
2 携帯電話
20 バイオ特徴入力ユニット
21 保存ユニット
22 設定ユニット
220 取引データ設定インターフェイス
23 通信ユニット
230 取引通信モジュール
24 比較モジュール
25 取引確認モジュール
26 取引モジュール
27 表示ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引セットのモードと取引実行のモードを有するように配置される電子取引装置と取引を行なう携帯電話であって、
ユーザーが入力されるバイオ特徴及び前記バイオ特徴の演算による対応する一つ特徴データを受けるように配置されるバイオ特徴入力ユニットと、
保存ユニットと、
取引データの設定インターフェイスを含むユニットであって、前記取引セットのモードでは前記ユーザーが検証データ及び前記検証データに対応される一つのバイオ特徴を入力し前記検証データと前記バイオ特徴に対応される特徴データを受け取った後、両者を対応する方式で前記保存ユニットに保存するように配置される設定ユニットと、
取引通信モジュールを含むユニットであって、前記取引セットのモードでは電子取引装置をコードレス通信に接続するように配置される通信ユニットと、
前記取引セットのモードでは前記バイオ特徴入力ユニットより一つの特徴データを受けると共に前記保存ユニットより前記特徴データに対応される検証データを探し出すように配置される比較モジュールと、
前記比較モジュールからの検証データを受け取った後、前記取引通信モジュールにより前記検証データを含むメッセージを前記電子取引装置に伝送するように配置される取引確認モジュールと、
前記電子取引装置からの一つ許可反応を受け取った後、前記ユーザーが取引関連のデータを入力し前記取引通信モジュールにより前記取引関連のデータを電子取引装置に伝送するように配置される取引モジュールと、
前記取引関連の情報画面を含む情報の表示に用いられる表示ユニットと、
を含むことを特徴とする電子取引装置と取引を行なう携帯電話。
【請求項2】
前記検証データは、取引暗証番号と銀行口座番号の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1記載の電子取引装置と取引を行なう携帯電話。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−113699(P2010−113699A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25712(P2009−25712)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(504037461)ギガ−バイト テクノロジー カンパニー リミテッド (28)
【Fターム(参考)】