説明

電子天びん

【課題】計量作業中の感度校正が自動的にキャンセルされる電子天びんを提供する。
【解決手段】一定周期で感度校正を行う電子天びんに計量者の存在を感知する赤外線センサ13を設けるとともに、演算制御部3で温度センサ22で検出された温度及び一定時間当りの温度変化が規定範囲を越えたか、校正周期時間を越えたかをチェックし、越えている場合さらに計量者が感知されているかをチェックし、感知されている場合は制御信号を送出して分銅加除機構4の操作を中止し感度校正をパスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子天びん、電子はかりに関し、特に自動校正機能を備えた電子天びん、電子はかりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子天びんは、一般的に内部温度自体あるいはその温度変化が規定値より一定値を越えたり、あるいはユーザが予め設定した感度校正を行う時間に到達する毎に、内蔵分銅を荷重検出部へ加除して測定感度の補正を行う自動感度校正機能を備えている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−54420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電子天びんでは、温度変化やユーザが設定した時間に行われる電子天びんの自動感度校正が設定されている場合には、計量作業途中でも電子天びんの計量皿にサンプルが載っていないと自動感度校正が作動してしまうのでキー操作でキャンセルしなければならないという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、計量作業途中の自動感度校正をユーザのキー操作なしで自動的にキャンセルし、ユーザの計量作業中の不要な煩わしい操作を解消した電子天びんを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の電子天びんは、内蔵分銅とその分銅加除機構を備え、温度変化や校正時間間隔が一定値を越えたときに感度又は感度及び直線性の校正を自動的に行う自動校正機能を備えた電子天びんにおいて、電子天びんを操作する計量者を感知するためのセンサと、このセンサが計量者を感知している間は自動校正を自動的にキャンセルする自動校正キャンセル機構を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子天びんは、計量作業途中での自動感度校正を自動的にキャンセルするので、計量作業中は感度校正が行われず、従って従来のように計量作業中に計量者がキー操作により感度校正を中断させる必要もなくなり、計量作業中の不要な煩わしい操作から開放されるとともに安定した計量作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の電子天びんの実施例を図面を参照して以下に説明する。図1は本発明の実施例による電子天びんの外観を示す斜視図である。また図2は本電子天びんの構成を示すブロック図である。本電子天びんは図1に示すように本体1上に受け皿11が軸承され、側面後部には電源スイッチ12、前面上部には赤外線センサ13、その前面には計量値を表示する表示部17が配設され、前面先端側には後述する内蔵分銅を駆動して行う測定感度の校正を指令する校正キー14、計量値の測定レンジ及び単位を選択するレンジキー15及び単位キー16などが並設されている。
【0008】
前記本体1には図2に示すように内蔵分銅41を負荷するための分銅加除機構4と、被計量物や内蔵分銅41の荷重負荷を検出する荷重検出部2と、荷重検出信号を重量計量値に変換して前記表示部17に計量値データを出力する演算制御部3が内蔵されている。
【0009】
前記荷重検出部2は受け皿11上の被計量物あるいは内蔵分銅41の荷重が負荷され、その荷重を検出する荷重検出機構21と、荷重検出部2内部の温度を検出する温度センサ22とこれからの検出信号を前記演算制御部3からの制御信号により周期的に切り替えるスイッチ23とその出力信号をディジタル信号に変換するA/D変換器24から構成されている。
【0010】
また前記演算制御部3はマイクロコンピュータを主体として構成されており、演算処理を行うCPU31、電源投入後の測定レンジ及び測定単位の設定及び感度校正を行うための初期立上げプログラム、皿上荷重を検出して計量値に変換する演算処理プログラム及び前記赤外線センサ13の出力信号、前記温度センサ22の出力信号を取り込み、感度校正を行うかを判定する校正判定プログラムなどからなる演算制御プログラムが格納されているROM32、入力データ、演算データ及び演算パラメータなどを記憶しておくRAM33及び後述する各種の入出力装置と演算制御部3を接続するための入出力インターフェース34から構成されている。
【0011】
前記入出力インターフェース34には前記A/D変換器24、温度センサ22、内蔵分銅41を自動的に操作して感度校正を行わせるための校正キー14、測定レンジを選択するレンジキー15及び測定単位を選択する単位キー16などの操作キー群、計量者の存在を感知する赤外線センサ13及び計量値を表示する表示部17が接続されている。
【0012】
上記構成の電子天びんの計量動作を図2及び図3のフローチャート図を参照して説明する。電源を投入すると(S1)、初期設定プログラムによる所定の測定レンジ及び測定単位に設定されるとともに、感度校正プログラムによる内蔵分銅41の加除によって0点及び測定感度の校正が行われた後(S2)、計量が実行される(S3)。
【0013】
計量が実行される毎に(S3)、予め設定されている校正間隔時間が規定のT時間に到達したかがチェックされ(S4)、校正間隔時間がT時間に到達しておらず荷重検出部2内の温度変化ΔTaが規定値A以下であるか(S5)、温度TaがB以上C以下であれば(S6)、表示部17に計量値を表示して次の計量を行う(S3)。
【0014】
また、校正間隔時間がT時間に到達した場合(S4)、あるいは温度変化ΔTaがAより大きいか(S5)、温度TaがBより低くCより高い場合(S6)において、赤外線センサ13が計量者を感知した場合は(S8)、感度校正をパスし(S9)、表示部17に計量値を表示して(S7)次の計量を行う(S3)。一方、赤外線センサ13が計量者を感知してない場合は(S8)、感度校正を実行して(S10)、表示部17に計量値を表示して次の計量を行う(S3)。
【0015】
なお、上記実施例において内部分銅1個を用いて感度校正を行っているが、同一内部分銅2個用いることにより感度と直線性の校正を同時に行うことができる。また本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が考えられる。例えば計量者を検知するのに赤外線センサを使用しているが、電波や超音波を利用した感知センサを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は電子天びん、はかりに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電子天びんの外観を示す斜視図である。
【図2】実施例による電子天びんの構成を示すブロック図である。
【図3】電子天びんの動作を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0018】
1 本体
11 受け皿
12 電源スイッチ
13 赤外線センサ
14 校正キー
15 レンジキー
16 単位キー
17 表示部
2 荷重検出部
21 荷重検出機構
22 温度センサ
23 スイッチ
24 A/D変換器
3 演算制御部
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 インターフェース
4 分銅加除機構
41 内蔵分銅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵分銅とその分銅加除機構を備え、温度変化や校正時間間隔が一定値を越えたときに感度又は感度及び直線性の校正を自動的に行う自動校正機能を備えた電子天びんにおいて、電子天びんを操作する計量者を感知するためのセンサと、このセンサが計量者を感知している間は自動校正を自動的にキャンセルする自動校正キャンセル機構を備えていることを特徴とする電子天びん。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−85592(P2009−85592A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5166(P2006−5166)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)