説明

電子天秤用の較正装置

【課題】製造プロセス中に、最も効率的に電子天秤の休止位置および較正位置を調節できるようにする。
【解決手段】較正装置(40)が、駆動システム(43)を有する移送機構(44)を含み、少なくとも1つの較正分銅(41)を力測定デバイス(1)に結合させ、結合が、休止位置と較正位置(57)の間で案内移動させて較正分銅(41)を移送する移送機構(44)によって行われる。較正分銅は、まず、第1のエンドストップに移動され、次いで第2のエンドストップに移動され、2つのエンドストップ間で進行されるステップの数が、計数器システムによって測定され、一時的にメモリに記憶される。この数は、それぞれ、較正位置と第1のエンドストップの間の距離および休止位置と第2のエンドストップの間の距離を表す2つのパラメータを引くことによって減少され、減少後の数が、休止位置と較正位置の間の進行距離として記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プロセス中に、較正装置および力測定デバイスを含む電子天秤の較正装置を調節するための方法に関する。本発明はさらに、天秤を較正する方法およびその方法を実施するためのデバイスを含む。
【背景技術】
【0002】
天秤の感度は、一般に、温度および大気圧の変動などの環境影響因子により、さらにまた構成要素の老化により、時間と共に変化する。したがって、天秤は定期的に較正し直すべきである。
【0003】
電子天秤は、多くの場合、内部較正分銅によって較正される。較正を行うために、規定の質量の較正分銅が、天秤の力測定セル内に配置された力伝達デバイスまたは力測定セルの力受取り部分と力を伝達できるように接触され、基準値が確立される。この基準値に基づいて、天秤のさらなる計量パラメータを調節することができる。較正が正常に完了した後、較正分銅は、再び力伝達デバイスまたは力受取り部分との接触を切り離され、休止位置に固定される。この較正サイクルでは、移送機構が、較正分銅を休止位置から較正位置に移動させ、また休止位置に戻す。較正位置では、較正分銅は、力測定セル、具体的には力測定セルの力受取り部分と力を伝達できるように接触する。休止位置では、力を伝達できるような接触はない。較正分銅の移動の範囲は、機械的要素によって両方向で制限される。これらの要素は、例えば、欧州特許出願公開第1873504号に開示されるようなねじ付きスピンドルによって移送機構が駆動される場合には、スピンドルシャフトの支持軸受によって構成することができ、または、欧州特許出願公開第1674841号に記載されるような駆動システムに結合されたカム円板によって較正分銅が支持される場合には、カム円板の隣接要素によって構成することができる。これらの機械的な制限要素は、エンドストップと呼ばれる。エンドストップの位置は、各天秤ごとに異なる。
【0004】
既知の従来技術によれば、エンドストップに機械的なスイッチを設けることができる。これらのスイッチは、移送機構が移動してエンドストップの1つに当たるときに移送機構によって活動化され、それにより駆動システムがオフに切り替えられる。そのようなスイッチは、時間と共に多少とも摩耗するという欠点を有する。さらに、スイッチング作用は、スイッチ自体に、または例えば上記タイプのねじ付きスピンドルの支持軸受に応力およびずれをもたらすことがある。
【0005】
しかし、電気光学センサによってエンドストップ直前の位置が検出される場合、改良が実現される。例えば、切欠を有する円形円板が駆動システムの軸に取り付けられ、光ゲートと協働する。光ゲートが円板の切欠を検出すると、駆動システムが停止される。この解決策は、精密で時間のかかる調節手順を必要とするという欠点を有する。
【0006】
一般に、較正分銅の位置が分からないことが、スイッチのさらなる欠点である。
【0007】
スイス特許出願公開第6767750号に開示される較正装置では、電動機にある電子回転計数器によって、または動力伝達装置の歯車の回転角度の機械的な記録によって、較正分銅が進行する距離が測定される。この概念は、回転計数器の精度が低いため、較正分銅の位置を粗くしか評価することができないという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1873504号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1674841号
【特許文献3】スイス特許出願公開第6767750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、最も効率的に休止位置および較正位置を調節できるようにすること、および較正分銅の移動をその移動範囲全体に沿って制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この課題は、製造プロセス中に行われ、力測定デバイスを設けられた天秤用の較正装置における較正分銅の移動範囲内で休止位置および較正位置を設定することに関わり、組立て段階中に、較正分銅が、移送機構の動力によって第1のエンドストップに、次いで逆のエンドストップに移動されるという手順によって解決される。2つのエンドストップ間の進行距離が計数器システムによって測定され、その結果は、較正制御ユニットに第1のパラメータとして記憶される。この進行ステップの総数に基づいて、さらなるパラメータが較正制御ユニットで計算されて記憶される。
【0011】
第2のパラメータとして記憶すべきこの種のさらなるパラメータは、例えば、第1のエンドストップと休止位置の間の進行ステップの数を表すことができ、第3のパラメータは、休止位置と較正位置の間の進行ステップの数、すなわち較正時に進行すべき距離を表す。
【0012】
本発明によって得られる利点は、較正分銅の組立て段階における移動範囲の設定が、機械的な調節をもはや必要とせず、非常に短時間で行うことができることである。
【0013】
2つのエンドストップ間の進行ステップの数と、エンドストップからの規定の距離とから計算されるパラメータを使用するという概念は、較正分銅の進行移動の範囲がエンドストップに達しないという利点を有する。したがって、エンドストップによって及ぼされるタイプの機械的な反応はない。これは、天秤の動作寿命に重要である。
【0014】
さらなる顕著な特徴は、上記のパラメータを計算することによって休止位置および較正位置が設定されることである。
【0015】
本発明の好ましい改良形態では、休止位置および較正位置は、それぞれの最も近いエンドストップから少なくとも進行ステップ2つ分だけ戻すべきであり、それと同時に、それら2つの戻し量の和は、2つのエンドストップ間の進行ステップの総数の5%以下にすべきである。これは、較正分銅が較正位置にあるときには、較正分銅と力測定セルが確実に力を伝達できるように接触し、較正分銅が休止位置にあるときには、較正分銅と力測定セルが力を伝達できるように接触することが絶対にないほど十分に較正分銅が較正位置から離れることを保証する。
【0016】
進行ステップの数および/またはサイズは、計量セル、具体的には較正装置の寸法に合わせる必要がある。これは、この方法をいかなるタイプの天秤にも使用することができる、すなわち2つのエンドストップ間の絶対距離に無関係であるという利点を有する。
【0017】
さらなる実施形態では、天秤が動作モードに設定される前に較正分銅がその休止位置にあることを保証するために、天秤の始動中に初期化ルーチンが行われる。初期化において、較正分銅は、まず較正位置に移動され、この移動に関する進行ステップの数が計数される。較正分銅が、エンドストップに当たる前に較正位置に達した場合、この点で移動が停止され、計数器がゼロに設定される。次いで、較正分銅は、較正位置と休止位置の間の進行距離を表すパラメータに基づいて休止位置に移動される。この段階で、較正分銅が、較正位置と休止位置の間の所定の進行ステップ数だけ進行しないうちにエンドストップに達した場合、電動機が停止され、計数器がゼロに設定され、較正分銅は、第1のエンドストップと休止位置の間の進行距離を表すパラメータに基づいて休止位置に移動される。較正分銅が、休止位置に達する前にその移動を再び停止された場合、駆動機構に異常があると結論付けることができる。
【0018】
上記の初期化ルーチンが完了した後に較正分銅の位置が常に分かっていることが特に有利である。したがって、停電などの途絶が起きた場合でも初期化ルーチンが再び行われるので、そのような途絶に伴う問題なく較正分銅の移動を続けることができる。
【0019】
好ましい実施形態では、較正を行うべきとき、較正分銅は、休止位置と較正位置の間の距離として記憶されている進行ステップの数に従って休止位置と較正位置の間で移動され、進んだ進行距離が計数器システムによって常に測定される。計算されたパラメータを較正プロセスで使用することにより、天秤の精度は、簡便かつ確実に保証される。
【0020】
較正分銅の位置に基づいて、その進行速度は、残りの進行距離の関数として制御することができる。これにより、例えば、較正分銅をより速く移動させることができるようになり、かつ/または駆動機構をスムーズに停止させることができるようになる。
【0021】
有利な実施形態では、計数器システムは、光ゲートと、一様に分布された通過穴を有する円板とからなることがある。穴同士の距離が計数器システムの分解能を決定する。さらに、この概念は、進行ステップを無接触で計数できるようにする。
【0022】
穴を開けられた円板ではなく、計数器システムに歯車を設けることもできる。
【0023】
有利なさらなる発展実施形態では、計数器システムは、直線状の一連の穴を有するバーを有することができる。この場合、光ゲートは、バーに対して移動する。いずれにせよ既にあるガイドポストに、均等に間隔を空けた穴を設けることもでき、光ゲートは較正分銅の受取り台と共に移動する。代替可能性として、既にあるねじ付きスピンドルを同様に光学的に走査することもできる。
【0024】
進行ステップの計数において、より大きな分解能を可能にする乗数比デバイスを計数器システムが含む場合、特に有利である。
【0025】
好ましい実施形態は、丸い穴または細長い穴を有することができる。互いに近い狭い穴が、計数器システムの精度を高めることができる。
【0026】
さらなる実施形態での計数器円板は、穴ではなく窪みを有することができ、これらの窪みは反射材料で被覆され、この場合、反射によって光学的な走査が行われる。
【0027】
有利なさらなる発展形態では、較正分銅が進行する距離のさらに高い測定精度を保証するために、計数器システムの移動を増幅させることができる。
【0028】
本発明による方法および対応する較正装置の詳細を、図面に示される実施形態の説明で示す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】較正装置を有する電子天秤を示す概略図である。
【図2】計数器円板および光ゲートを有する較正装置を示す基本的な概略図である。
【図3】較正装置の一実施形態を示す図である。
【図4】アセンブリで行われる手順を説明する流れ図である。
【図5】天秤の始動時に行われる手順を説明する流れ図である。
【図6】天秤を構成する手順を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、断面図で示した天秤の形態での力測定デバイス1の簡略概略図である。この天秤は、筐体20を有する。力測定セル10が、筐体内部の空間内に配置される。
【0031】
力測定セル10は、固定部分11と可動部分12を有し、それらは、可撓性領域を介して中間部分13によって互いに接続される。さらに、力測定セル10は測定センサ14を含み、測定センサ14は、可動部分12の移動を取得し、それらの移動を、移動に対応する測定信号Sに変換する。分かりやすくするために、図では、力測定セル10は、ただ1つの測定センサ14を有している。しかし、典型的には、中間部分13を固定部分11および可動部分12に接続する各可撓性領域に1つずつ、4つの測定センサ14が使用される。好ましくは、測定センサ14にはひずみゲージが使用される。
【0032】
力測定セル10は、その固定部分11で、筐体への固定接続部を有する取付ポスト21によって筐体20に剛接合される。筐体20の外部に配置された計量皿の形態での荷重受取り領域30が、ロッド31を介して、筐体内部の空間内に配置された力測定セル10の可動部分12に接続される。ロッド31は、筐体の通過開口22を通って、筐体20に接触せずに筐体20内に延びる。通過開口22は、内部への汚れの進入を防止する、または少なくとも大幅に減少させるように設計される。
【0033】
測定センサ14の測定信号Sを処理ユニット60に送信するために、測定センサ14は、測定信号接続線15を介して処理ユニット60に接続される。処理ユニット60によって求められた測定値を表示器ユニット70に伝送するために、処理ユニット60は、さらなる接続線によって表示器ユニット70に接続される。
【0034】
また、筐体20内部の空間内には、力測定セル10の近くに較正装置40が位置される。ここで、図では、較正装置40がそれ独自の別個の筐体を有し、その筐体内に、移動度を有する較正分銅41が配置される。較正分銅41は、駆動機構43によって昇降させることができる。駆動機構は、電動機Mとして構成され、適切な制御信号によって、例えばステッパパルスによって、または適切な電力制御によって制御される。
【0035】
較正制御ユニット50は、一端で、コネクタ線を介してコネクタ接合部53に接続される。さらに、コネクタ接合部53は、コネクタ線を介して処理ユニット60に接続される。これらのコネクタ線は、この例では較正制御ユニット50と処理ユニット60の間で情報信号SCDを双方向交換するための通信線52として構成された信号接続を確立する。
【0036】
較正制御ユニット50は、他方で、制御線51を介して電動機Mに接続され、それにより制御信号によって電動機Mを制御することができる。
【0037】
力伝達デバイス32の第1の端部は、剛接合部を介して力測定セル10の可動部分12に接合される。力測定セル10から離れた側の力伝達デバイス32の第2の端部は、分銅受取り台33を形成し、そこを介して、較正装置40によって所定の力Fを力測定セル10に導入することができる。このとき、この力Fcは、力伝達デバイス32によって力測定セル10に直接伝達される。したがって、所定の力Fcは、計量皿の上に配置された被計量体の重量Fと同様に、力測定セル10に作用する。この実施形態での所定の力Fcは、分銅受取り台33に作用する較正装置40の較正分銅41の重力によって生み出される。
【0038】
較正装置40の筐体は、筐体壁に適切な開口を有し、開口を通して、力伝達デバイス32の第2の端部が筐体の内部に達し、それにより較正分銅41の重力を受け取ることができる。他の可能な構成では、筐体の外部に位置された力伝達デバイス32に較正分銅41を結合させることができるように、較正分銅41の一部分またはその延長部分が、筐体壁の開口、例えば細長い穴を通って較正装置40の筐体の外部に突出することができる。
【0039】
以下、較正サイクルを簡単に説明する。較正中、荷重受取り領域30に作用する力Fはなくすべきである。それに従って、較正サイクルの開始時には、力測定セル10に作用する力もなくすべきである。
【0040】
較正サイクルの開始時、電動機Mによって、較正分銅41が分銅受取り台33上の較正位置57に下げられる。これには2つの目的がある。一方で、較正装置40が力測定セル10に結合され、他方で、所定の力Fc、すなわち較正装置41の重力が力測定セル10に加わるようになる。
【0041】
次の段階で、力測定セル10によって生成された測定信号Sが処理ユニット60に伝送され、そこで、信号Sが較正分銅41の所定の力Fcと比較して評価される。このプロセスから得られる結果を使用して、処理ユニット60における計算パラメータを最適化する。しかし、この結果を、表示器ユニット70またはさらなる処理ユニットに伝送することもできる。
【0042】
較正サイクルを終了させるために、較正分銅41が持ち上げられる。すなわち電動機Mによって分銅受取り台33から取り除かれる。それにより、較正装置40は、力測定セル10から切り離されて休止位置58に導かれ、したがって、天秤が通常測定モードにあるときには、力測定セル10が較正装置40によって影響を及ぼされることはありえない。その後の通常動作モードでは、最適化された計算パラメータを使用することによって被計量体の測定が処理される。
【0043】
図2は、計数器円板および光ゲートを有する較正装置を非常に簡略化した概略図で示す。この図は、どのように較正分銅41が上下に移動されるか、およびどのようにその進行距離が測定されるかを示すものである。
【0044】
ここに示されるように、電動機は、ねじ付きスピンドル46を駆動させる。ねじ付きスピンドルは、一方向または逆方向に回転することができる。このねじ付きスピンドル46に、移送機構44および持上げアーム42からなる吊上げデバイスが結合される。電動機が活動化されるとき、ねじ付きスピンドル46が回転され、持上げアーム42が昇降される。較正分銅41は、持上げアーム42に吊り下がり、それにより休止位置58から較正位置57に、またはその逆に導かれる。
【0045】
持上げアーム42が移動することができるねじ付きスピンドル46の範囲は、一端では、ねじ付きスピンドル46に取り付けられた計数器円板55によって範囲を定められ、他端では軸受によって範囲を定められる。この実施形態では、計数器円板55が第1のエンドストップ45を形成し、ねじ付きスピンドル46の軸受が第2のエンドストップ45を形成する。また、エンドストップ45は、較正装置40の他の要素からなっていてもよい。
【0046】
ねじ付きスピンドル46および計数器円板55は、この場合には電動機と同期して回転する。計数器円板55は、軸線上に中心があり計数器円板55の円周縁の内側にある円に沿って一定の間隔で位置する穴を開けられている。光ゲート54は、光源からの光が計数器円板55の穴の1つを通過することができ、したがってその光をセンサが受け取ることができるように計数器円板55に対して配置される。その結果、信号が発生され、較正制御ユニット50に送信される。それに応答して、較正制御ユニットの内部計数器が1ずつ増分される。したがって、計数器円板55と光ゲート54が一体となって計数器システム56を構成する。
【0047】
較正制御ユニット50は、様々な要素の中でもとりわけ、計数器と、パラメータA、B、およびCの値を格納することができるメモリ要素とを含む。これらのパラメータの1つは、電動機を停止させる必要があるかどうか決定するために計数器がそれと比較される基準である。電動機は、制御線を介して、較正制御ユニット50によって制御される。
【0048】
図3は、較正装置40の一実施形態の具体例を示す。図2とは異なり、較正分銅41は、持上げアーム42から力伝達デバイスの上に吊り下がってはおらず、分銅受取り台33上に位置する。分銅受取り台33が下げられるとき、較正分銅41は、フォークを介して力伝達デバイスに結合される。
【0049】
2つの垂直ガイドポスト49と、駆動システム43と、電子構成要素を実装する回路板とが、ベース上に取り付けられる。分銅受取り台と較正分銅41はそれぞれ、ガイドポスト49が通過する2つの穴を有する。したがって、分銅は、垂直に上下にのみ移動させることができる。分銅受取り台33は、下から、電動機によって駆動されるカム円板48によって昇降される。
【0050】
計数器円板は、電動機の軸に取り付けられ、したがってカム円板48と共に回転する。
【0051】
電子構成要素を備える回路板は、この構成の後ろに位置される。光ゲート54、較正制御ユニット50、および電動機は、回路板上に配置されるか、または回路板に電気的に接続される。
【0052】
図4は、較正分銅41の休止位置58および較正位置57を調節するためのアセンブリで行われる方法のステップのシーケンスを示す。
【0053】
較正装置40が組み立てられた後、2つのエンドストップ45間での進行距離を測定する必要がある。測定結果、すなわちエンドストップ45間で計数されたステップの数を、パラメータAに関する値として較正制御ユニット50に記憶する必要がある。このステップを行うために、電動機が始動される。較正分銅41が第1のエンドストップ45によって制止された点で、電動機が停止され、較正制御ユニット50によって計数器システム56がゼロに設定される。次に、電動機が逆方向に始動される。計数器システム56は、この点から、較正分銅41が第2のエンドストップ45に当たって電動機が再び停止するまでに刻まれた進行ステップの数を計数する。手順を終了させるために、計数された進行ステップの数が、較正制御ユニット50にパラメータAとして記憶される。さらに、第1のエンドストップ45と休止位置58の間の距離を表すパラメータBと、較正位置57と休止位置58の間の距離を表すパラメータCとが、パラメータAを用いて求められて、メモリに記憶される。パラメータBを得るためにパラメータAから引かれる(休止位置58と第2のエンドストップ45の間の距離を表す)進行ステップの数は、
−2〜5進行ステップ
−パラメータAに対応する進行ステップの2〜3%
として得ることができる。
【0054】
較正分銅41に関する明確に定義された位置を保証するために、休止位置58と較正位置57をエンドストップ45の近くにすべきであるので、(休止位置58と較正位置57の間の距離に対応する)パラメータCを得るためにパラメータAから引かれる進行ステップの総数がパラメータAに対して5%の比率を超えないことが特に有利である。
【0055】
移送機構44がエンドストップ45と接触しないことを保証するために、休止位置58および較正位置57はそれぞれ、それぞれの最も近いエンドストップ45から少なくとも進行ステップ2つ分、離すべきである。
【0056】
図5は、較正分銅41が天秤の動作モードのための適切な位置、すなわち休止位置58にあることを保証するために、天秤の始動中に実行される初期化ルーチンを示す。まず、電動機が活動化され、それにより較正分銅41が較正位置57に移動される。進んだ進行ステップの数が計数され、記憶されている休止位置58と較正位置57の間の距離に対応するパラメータCと比較される。較正位置57に達したとき、電動機は停止され、計数器システム56はゼロに設定される。
【0057】
次いで、電動機が逆方向に始動され、それにより較正分銅41が休止位置58に移動される。この移動中、進行ステップの数が計数され、記憶されている休止位置58から較正位置57までの距離を表すパラメータCと比較される。刻まれた進行ステップの数がこの記憶されているパラメータと等しくなった点で、電動機が再び停止される。ここで、較正分銅41は休止位置58にある。
【0058】
較正分銅41が、較正位置57へ向かう途中で、エンドストップ45に達して停止された場合、これは、天秤の始動時に較正分銅41が既に休止位置58と較正位置57の間の点にあったことを意味する可能性がある。したがって、エンドストップ45で電動機を停止させるべきであり、計数器システム56をゼロに設定すべきであり、較正分銅41を休止位置58に導くべきである。較正分銅を休止位置に移動させるために、電動機は逆方向に始動される。移動中に刻まれる進行ステップの数が計数され、記憶されている第1のエンドストップ45と休止位置58の間の距離に対応するパラメータBと比較される。刻まれた進行ステップの数がこの記憶されているパラメータと等しくなると、電動機が再び停止される。ここで、較正分銅41は休止位置58にある。
【0059】
較正分銅41が、休止位置に向かう途中で、実際に休止位置に達する前に再び停止された場合、駆動システム43に異常があると結論付けることができる。
【0060】
図6は、天秤の較正中にどのように較正分銅41が移動され、その進行が制御されるかを説明する。
【0061】
較正の開始時、電動機が活動化され、それにより較正分銅41が較正位置57に移動される。進んだ進行ステップの数が計数され、記憶されている休止位置58と較正位置57の間の距離に対応するパラメータCと比較される。較正位置57に達したとき、電動機は停止され、計数器システム56はゼロに設定される。較正位置57で、較正分銅41は力測定セル10に結合される。すなわち、較正分銅41によって力測定セル10に力が加わるようになる。この力が測定信号を生成し、この測定信号が処理ユニットに伝送され、そこで、較正分銅41の所定の力Fcと比較して評価される。
【0062】
次に、電動機が始動され、それにより較正分銅41が休止位置58に移動される。この移動中、進行ステップの数が計数され、記憶されている休止位置58から較正位置57までのステップの数を表すパラメータCと比較される。刻まれた進行ステップの数がこの記憶されているパラメータと等しくなった点で、電動機が停止される。ここで、較正分銅41は休止位置58にある。天秤が較正され、使用準備の整った状態になる。
【0063】
進行距離は、較正分銅41の移動が終わるたびに記録することができる。好ましくは、時間値もログエントリに追加され、それによりメモリユニットで履歴ファイルを利用可能である。これにより、過去の較正および/または初期化を見直すことができるようになる。
【0064】
2つの刻まれた進行ステップ間の経過時間を測定して記録することができる。それに従って、較正分銅41の移動速度を計算し、それにより制御することもできる。その結果、較正分銅は、所定の速度プロファイルに従って移動させることができる。例えば較正位置に近づくとき、低速で移動させることによって、分銅が較正位置に穏やかに結合することを実現することができる。
【0065】
較正分銅41を移動させる前にはいつでも、計数器をゼロに設定すべきである。それにより、現在の計数が、持上げアーム42またはカム円板48が進んだ進行距離に常に比例する。
【0066】
本発明を、具体的な例示的実施形態を示すことによって説明してきたが、例えば、実施形態の個々の例の特徴を互いに組み合わせることによって、かつ/または実施形態間で個々の機能ユニットを相互交換することによって、本発明の知識に基づいて多数のさらなる変形形態を構成することができることは明らかである。
【符号の説明】
【0067】
1 力測定デバイス
10 力測定セル
11 固定部分
12 可動部分
13 中間部分
14 測定センサ
15 測定信号接続線
20 筐体
21 取付ポスト
22 筐体壁の通過開口
30 荷重受取り領域
31 ロッド
32 力伝達デバイス
33 分銅受取り台
40 較正装置
41 較正分銅
42 持上げアーム
43 駆動システム
44 移送機構
45 エンドストップ
46 ねじ付きスピンドル
48 カム円板
49 ガイドポスト
50 較正制御ユニット
51 制御線
52 通信接続/通信線
53 コネクタ接合部
54 光ゲート
55 計数器円板
56 計数システム
57 較正位置
58 休止位置
60 処理ユニット
70 表示器ユニット
D 第2のエンドストップからの距離
P パラメータA、B、C、およびさらなるパラメータ
加えられる力
所定の力
M 電動機
CD 較正装置のための制御信号
測定信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセス中に、較正装置(40)および力測定デバイス(1)を備える電子天秤の較正装置(40)を調節するための方法であって、前記較正装置(40)が、駆動システム(43)を有する移送機構(44)を備え、前記較正装置(40)が、少なくとも1つの較正分銅(41)を前記力測定デバイス(1)に結合させ、前記結合が、休止位置(58)と較正位置(57)の間で案内移動させて前記較正分銅(41)を移送する移送機構(44)によって行われる方法であって、
前記較正分銅(41)を第1のエンドストップ(45)に移動させるステップと、
次いで、前記較正分銅(41)を第2のエンドストップ(45)に移動させるステップと、
計数器システム56によって2つの前記エンドストップ(45)の間の進行距離を測定し、その際、前記進行距離の進行ステップが増分的に記録され、前記結果を2つのエンドストップ(45)の間の進行ステップの数として少なくとも一時的に記憶するステップと、
前記測定された進行ステップの数から、前記第1のエンドストップ(45)からの規定の距離を表す第1の進行ステップの数を引き、前記差を休止位置(58)と第1のエンドストップ(45)の間の進行距離として記憶するステップと、
休止位置(58)と第1のエンドストップ(45)の間の進行距離を表す前記計算された進行ステップの数から、第2のエンドストップ(45)からの規定の距離を表す第2の進行ステップの数を引き、前記差を、休止位置(58)と較正位置(57)の間の進行距離として記憶するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記測定された進行ステップの数から、前記第1のエンドストップ(45)からの規定の距離を表す第1の進行ステップの数を引いた結果が、前記休止位置(58)を定義し、前記計算された進行ステップの数から、前記第2のエンドストップ(45)からの規定の距離を表す第2の進行ステップの数を引いた結果が、前記較正位置(57)を定義することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のエンドストップ(45)からの距離および前記第2のエンドストップ(45)からの距離がそれぞれ、少なくとも進行ステップ2つ分を含み、前記距離の合計が、2つのエンドストップ(45)間の進行距離の5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1、2、または3に従って調節された天秤の較正装置を初期化する方法であって、前記天秤の始動中に、前記較正分銅(41)が、まず、休止位置(58)と較正位置(57)の間の進行距離として記憶されている進行ステップの数に従って前記較正位置(57)に移動され、次に、休止位置(58)と較正位置(57)の間の進行距離として記憶されている進行ステップの数に従って前記休止位置(58)に移動され、移動の過程で進んだ進行距離が計数器システム(56)によって常に測定されることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記天秤の始動中に、前記較正分銅(41)が、まず、休止位置(58)と較正位置(57)の間の進行距離として記憶されている進行ステップの数に従って較正位置(57)に移動され、前記エンドストップに到着したときに、記憶されている較正位置と休止位置の間の進行ステップの数が満たされていない場合に、前記較正分銅(41)が、前記第1のエンドストップと前記休止位置(58)の間の進行距離として記憶されている進行ステップの数に従って前記休止位置(58)に移動され、移動の過程で進んだ進行距離が、前記計数器システム(56)によって常に測定されることを特徴とする請求項4に記載の方法
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に従って調節されており、請求項4または5に従って始動された天秤を較正する方法であって、前記較正分銅(41)が、前記休止位置(58)と前記較正位置(57)の間の進行距離として記憶されている進行ステップの数に従って前記休止位置(58)と前記較正位置(57)の間で移動され、前記移動の過程で進んだ進行距離が、前記計数器システム(56)によって常に測定されることを特徴とする方法。
【請求項7】
天秤を較正または調節するための請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、前記較正分銅(41)の移動時に特定の速度プロファイルが課せられることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項9】
前記計数器システム(56)が、軸線上に中心がある円に沿って一定の間隔で位置する穴を開けられた円板を備え、さらに光ゲート(54)を備える請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記計数器システム(56)が、縁部に沿って鋸歯状の縁を有するホイールを備え、さらに光ゲートを備える請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記計数器システム(56)が、均一に分布された穴を開けられたバーを備え、さらに光ゲートを備える請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記円板または前記バーが、丸い通過穴または細長い通過穴を備える請求項8から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記計数器システム(56)が、乗数比デバイスを備える請求項8から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記計数器システム(56)が、軸線上に中心がある円に沿って一定の間隔で位置し、反射材料で被覆された窪みを有する円板を備え、さらに反射光のためのセンサを備える請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−196999(P2011−196999A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−54160(P2011−54160)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland