説明

電子式歩数計

【課題】 電子式歩数計の加速度センサが外部操作部材の操作による影響を受けないようにすること。
【解決手段】 加速度センサ3が搭載された基板2がケース1内に収納され、ケース1に外部操作部材4が可動可能に取り付けられ、且つ基板2のスイッチ接点部5に外部操作部材4で操作されるスイッチ接点部5が配置されている電子式歩数計において、外部操作部材4を操作したときに基板2のスイッチ接点部5に発生する振動8が基板2に搭載されている加速度センサ3に伝わらないような振動阻止手段7Aを基板2に施した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モード切替スイッチ等の外部操作部材を備えた電子式歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子式歩数計は、例えば特許第3493550号公報(特許文献1)や特開2005−291890号公報(特許文献2)など開示されている如く、プログラムに従って各種の演算と制御を行うCPUの如き制御部、基準クロック信号発生器と分周・タイミング回路とを含む時刻計時部、前記プログラムが記憶されたROMの如きプログラム記憶部、歩数などの各種データが記憶されるRAMの如きデータ記憶部、時刻設定やモード切替のための入力手段、時刻や歩数などを表示するLCD、LCDを駆動する表示ドライバ、及び歩数センサとで構成されている。電子式歩数計の歩数センサとしては、半導体加速度センサが代表的なものである。
【0003】
上述の通り、一般的な電子式歩数計は携帯型電子時計に歩数計数機能を付加して構成した携帯型電子機器であるから、歩数計数機能の他にも様々な機能を備えている。これらの機能を表示モードで表現すれば、時刻表示モード、ストップウォッチモード、歩数モード、距離モードなどである。これらのモード切替は、外装などのケースに備えられている切替スイッチなどの外部操作部材を利用者が操作して行われる。各モードにおいても、外部操作部材を操作することが行われる。例えば、歩数モードにおいては、ピッチの変更などを外部操作部材の操作で行われる。
【0004】
このような構造であるため、電子式歩数計の歩数センサである半導体加速度センサは利用者の歩行による加速度を感知するだけでなく、外部操作部材の操作による電子式歩数計の加速度も感知することになる。利用者の外部操作部材の操作による電子式歩数計の加速度を加速度センサが感知すると、半導体加速度センサは利用者の歩行による加速度を感知したときと同じように加速度信号を発生する。加速度信号は制御部で演算処理されて歩数として計数されるから、外部操作部材の操作による電子式歩数計の加速度が歩数として誤って計数されることになる。
【0005】
そこで、上述の特許文献1に開示されている従来の電子式歩数計では、利用者が外部操作部材を操作したときには、操作した時刻から一定時間だけ歩数の計数を停止し、前記所定時間経過後に歩数の計数停止までの歩数値に予測歩数を加算することによって、実歩数に近づけるようにしている。前記予測歩数は、前記所定時間に利用者が歩行したであろう歩数であって、例えば歩数の計数を中止する直前の単位時間当たりの平均歩数に前記所定時間を乗算して算出されるものである。
【0006】
このように、従来の電子式歩数計は、外部操作部材の操作によって実際の歩数とは異なる計数を行うことを前提にし、外部操作部材の操作の時刻から一定時間だけ実際の歩数の計数を停止し、所定の演算処理によって算出した停止期間中の予測歩数を計数停止の時までの歩数に加算するものである。従って、歩行中に外部操作部材を操作するのであれば、従来の電子式歩数計は確かに実歩数に近い値を表示できるものである。しかしながら、歩行停止中に外部操作部材を操作した場合にも従来の電子式歩数計は予測歩数の加算処理がなされるから、表示される歩数は実歩数と差が生じるという問題がある。また、外部操作部材の操作した場合には、それまでの歩行ピッチと異なる歩行ピッチとなることがあるが、歩行ピッチの変化に対応した予測歩数の算出は行われていないので、表示される歩数は実歩数と差が生じるという問題がある。このような問題は、従来の電子式歩数計が実際の歩数のみを計数することが不可能な構造であることに起因しているのである。
【特許文献1】特許第3493550号公報
【特許文献2】特開2005−291890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、電子式歩数計の加速度センサが外部操作部材の操作による影響を受けないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電子式歩数計は、歩数計ケースと、前記歩数計ケースに可動可能に取り付けられて外部から操作をする外部操作部材と、前記歩数計ケースの内部に固定された基板と、前記基板に搭載されて歩数の検出を行う加速度センサと、前記基板に形成され、前記外部操作部材の操作によってスイッチの開閉を行うためのスイッチ接点部と、前記基板に設け前記外部操作部材の前記操作によって発生する振動を前記加速度センサに伝播させないように前記振動を阻止する振動阻止手段と、を備えている。
図7と図8に示す如く、外部操作部材4を操作すると、外部操作部材4の接点部材を介して、基板のスイッチ接点部に配置されているスイッチパターンに接触しスイッチングする時、振動8が発生する。この振動8は、図7と図8に示す如く、前記基板のスイッチ接点部から中央部に波状的に伝播する。前記加速度センサは前記振動による加速度を感知し、加速度信号を出力する。
本発明は、振動を阻止する振動阻止手段を有することにより、外部操作部材の操作によってスイッチの開閉を行った際に、スイッチ接点部が基板と接触する際に発生する振動が、基板に取り付けられた加速度センサに伝わることを防止することができる。したがって、外部操作部材を操作しても、外部操作部材によって発生する振動で加速度センサが誤検出することを防止することができる。
【0009】
加速度センサは、スイッチ接点部が形成された基板の面と同一の面に搭載されるか、又は、スイッチ接点部が形成された基板の面と異なる面に搭載される。
また、振動阻止手段は、加速度センサとスイッチ接点部との間を分断する形状にして基板に形成されたスリットである。スリットは、加速度センサ搭載部分と基板本体部分とをつなぐセンサ用ブリッジ部を残して加速度センサ搭載部分を取り囲むような形状であってもよいし、基板のスイッチ接点部と基板本体部分とをつなぐスイッチ接点部用ブリッジ部を残してスイッチ接点部を取り囲むような形状であっても構わない。
そして、センサ用ブリッジ部及びスイッチ接点部用ブリッジ部又はその近傍に、歩数計ケースに基板を固定する固定手段が配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加速度センサが外部操作部材の操作により電子式歩数計の基板のスイッチ接点部に発生する振動を感知しなくなるので、外部操作部材を操作した場合でも実際の歩数の計数を継続でき、常に実歩数の表示が行えるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る電子式歩数計は、加速度センサが搭載された基板が歩数計ケース内に収納され、前記歩数計ケースに外部操作部材が可動可能に取り付けられ、且つ前記基板に前記外部操作部材で操作されるスイッチ接点部が配置されている電子式歩数計において、前記外部操作部材を操作したときに基板のスイッチ接点部に発生する振動が前記基板に搭載されている加速度センサに伝わらないような振動阻止手段を前記基板に施したことを特徴とする電子式歩数計である。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1は、図1から図3に示す如く、加速度センサ3が搭載された基板2が歩数計ケース1内に収納され、歩数計ケース1に外部操作部材4が可動可能に取り付けられ、基板2に外部操作部材4で操作されるスイッチ接点部5が配置されている電子式歩数計である。外部操作部材4を操作したときに、基板2のスイッチ接点部5に発生する振動8が基板2に搭載されている加速度センサ3に伝わらないような振動阻止手段であるスリット7Aを、センサ用ブリッジ部11を残してセンサ搭載部分を取り囲むようにして基板2に形成したことを特徴とする電子式歩数計である。
【0013】
歩数計ケース1は、裏側に開口した矩形のモジュール収納部を有するプラスチックのケース本体1Aと、裏蓋1Bとで構成されている。ケース本体1Aの表面には、中央部に矩形の表示窓が形成され、ケースの四隅にはケース表面とモジュール収納部にそれぞれ開口する外部操作部材案内穴13がそれぞれ形成されている。加速度センサ3が搭載された基板2は、歩数計ケース1のサイズと形状に対応したサイズの矩形のガラスエポキシ基板であって、その表面にはプリント回路が形成されている。基板2の四隅には、外部操作部材案内穴13に対応する位置に、前記プリント回路に電気的に接続されたスイッチ接点部5が形成されている。
【0014】
基板2には、加速度センサ3の他に、プログラムに従って各種の演算と制御を行うCPUの如き制御部、基準クロック信号発生器と分周・タイミング回路とを含む時刻計時部、前記プログラムが記憶されたROMの如きプログラム記憶部、歩数などの各種データが記憶されるRAMの如きデータ記憶部などの電子部品が搭載されている。歩数計モジュールは、これらの電子部品が搭載された基板2と液晶表示部9を含んで構成されている。
【0015】
実施例1の電子式歩数計の組み立てにおいて、4個の操作ボタンなどの外部操作部材4は、その頭部をケース本体1Aの表面に露出するようにして、ケース本体1Aの四隅に形成されている外部操作部材案内穴13に軸方向に、移動可能に挿入配置される。次に、歩数計モジュールが、ケース本体1Aの裏側開口からモジュール収納部に収納される。すると、基板2の周縁はケース本体1Aのモジュール収納部の内側側面に形成されている段部に当接し、且つ、液晶表示部9の表示パネル9Bはケース表面に形成されている表示窓に位置づけられる。次に、基板2の周縁はケース本体1Aのモジュール収納部の内側側面に形成されている段部にケース本体1Aの裏側から基板固定用ねじ6によってねじ止めされ、これによって歩数計モジュールはケース本体1Aに固定される。最後に、ケース本体1Aの裏側開口は裏蓋1Bによって封止される。
【0016】
なお、ケース本体1Aの表側の表示窓は、歩数計モジュールをケース本体1Aに組み込む前に、表示窓用ガラス9Aによって封止されている。また、基板2に形成されているスイッチ接点部5の上には、歩数計モジュールをケース本体1Aに組み込む前に、外部操作部材4が配置されている。外部操作部材4は、ラバースイッチ構造であってスイッチ接点部5に対向する位置に導電部4Aがあり、操作部4Bが押圧され導電部4Aがスイッチ接点部5に接触することで、電気的に導通しスイッチングし、外部操作部の押圧がなくなると電気的に絶縁状態となってスイッチ接点部5を非導通にさせるスイッチである。
外部操作部材4は弾性体であるから、通常時、即ち非操作時には、外部操作部材4を歩数計ケース1の表面の方向に押し上げるばね部材として機能している。
【0017】
上述した実施例1の電子式歩数計の構造は、以下に詳細に記述する基板2の特徴的構造を除けば、従来の電子式歩数計と基本的には同じである。
【0018】
即ち、本発明の実施例1の電子式歩数計における基板2の特徴的構造は、図2に示す如く、基板2の加速度センサ3を搭載するセンサ搭載部分と本体部分とをつなぐセンサ用ブリッジ部11を残して前記センサ搭載部分を取り囲む振動伝播阻止用スリット7Aを、基板2の加速度センサ3の周囲に備えたことである。前記振動は、外部操作部材4を操作したときに発生する振動8であって、外部操作部材4を操作したときの押圧力が、外部操作部材4の操作部4Bから導電部4Aの接点部材を介して作用して、スイッチ接点部5に接触するときに発生する振動8である。この振動8は、スイッチ接点部5が形成されている基板2のスイッチ接点部5から、基板2の中央部に波状的に伝播する。しかしながら、スリット7Aが基板2に形成されているので、この振動8は加速度センサ3に到達することはない。従って、加速度センサ3は、外部操作部材4の操作による振動8を感知することがないから、外部操作部材4の操作が電子式歩数計に誤った歩数カウントを行わせることがない。
【0019】
次に、図2、図3(A)及び図3(B)を参照して、実施例1の電子式歩数計の基板2の特徴的な構造と作用について、更に詳細に説明する。ここで、図2は、表示パネルを取り外し、且つ、回路ユニットからICなどの電子部品を除いて示した本発明の実施例1の電子式歩数計の平面図であり、図3(A)は、外部操作部材4の非操作時の状態を示す部分拡大断面図であり、図3(B)は、外部操作部材4の操作時の状態を示す部分拡大断面図である。
【0020】
外部操作部材4の操作による振動8の伝播を阻止するスリット7Aは、加速度センサ3を搭載するセンサ搭載部分と基板2の本体部分とをつなぐセンサ用ブリッジ部11を残して前記センサ搭載部分を取り囲むような形状である。センサ用ブリッジ部11は、幅と長さがいずれも数ミリメートル程度であるが、基板2は厚さが0.5〜1.5ミリメートルのガラスエポキシ基板であるので、センサ搭載部分は、センサ用ブリッジ部11を介して基板2の本体部分とは十分な強度でつながっている。
【0021】
外部操作部材4が矩形のケース本体1Aの四隅、従って基板2の四隅に位置するように配置されている実施例1の電子式歩数計においては、図2の平面図に示す如く、センサ用ブリッジ部11の形成位置は、矩形の上側の長辺の方向に対向するような位置である。しかしながら、センサ用ブリッジ部11の形成位置は、図2の平面図において、矩形の下側の長辺の方向に対向するような位置でもよい。または、センサ用ブリッジ部11の形成位置は、図2の平面図において、矩形の上側の長辺の方向と上側の長辺の方向にそれぞれ対向するような位置でもよく、この場合においてセンサ用ブリッジ部11は2個となる。要するに、センサ用ブリッジ部11の形成位置は、加速度センセ3とスイッチ接点部5とを結ぶ直線に対して直角又は概ね直角になるような位置である。
【0022】
以上、外部操作部材4が矩形のケース本体1Aの四隅、従って基板2の四隅に位置するように配置されている電子式歩数計について詳細に説明したが、ケース本体1Aと基板2との位置関係は図2の如き構造のものに限定されるものではない。また、ケース本体1Aは矩形のものに限らず円形や楕円形のものであっても良い。また、加速度センサ3は、スイッチ接点部5が設けられている基板2の面と同一面に搭載されていても、あるいは、スイッチ接点部5が設けられている基板2の面と平行な面に搭載されていても構わない。
【0023】
更に、外部操作部材4が基板2のスイッチ接点部5に直角方向から押圧力を加えるようにして、ケース本体1Aに取り付けられている電子式歩数計に限らず、図6に示すように外部操作部材4が基板2のスイッチ接点部5に水平方向から押圧力を加えるようにしてケース本体1Aに取り付けられている構造の電子式歩数計であっても、上述した実施例1に係る本発明の特徴的事項が適用できることは勿論である。前記特徴的事項とは、外部操作部材4の操作による振動8の伝播を阻止する振動阻止用スリット7Aを、加速度センサ3を搭載するセンサ搭載部分と基板2の本体部分とをつなぐセンサ用ブリッジ部11を残して前記センサ搭載部分を取り囲むように基板2に形成することである。この場合、加速度センサー3が基板2に搭載されている面と、スイッチ接点部5が基板2に搭載されている面は異なる面となる。また、外部操作部材4が1個でも2個でもかまわない。
【実施例2】
【0024】
本発明の実施例2は、図1及び図4〜図5に示す如く、加速度センサ3が搭載された基板2が歩数計ケース1内に収納され、歩数計ケース1に外部操作部材4が可動可能に取り付けられ、且つ基板1のスイッチ接点部5に外部操作部材5で操作されるスイッチ接点部5が配置されている電子式歩数計である。外部操作部材4を操作したときに、基板2のスイッチ接点部5に発生する振動8が、基板2に搭載されている加速度センサ3に伝わらないような振動阻止手段であるスリット7Bを、スイッチ接点部用ブリッジ部12を残してスイッチ接点部の搭載部分を取り囲むようにして基板2に形成したことを特徴とする電子式歩数計である。
【0025】
実施例2の電子式歩数計の構造は、以下に詳細に記述する基板2の特徴的構造を除けば、従来の電子式歩数計と基本的には同じである。
【0026】
即ち、本発明の実施例2の電子式歩数計おける基板2の特徴的構造は、図4に示す如く、加速度センサ3を搭載する本体部分とスイッチ接点部とをつなぐスイッチパターン用ブリッジ部12を残して振動阻止用スリット7Bを、基板2の前記スイッチ接点部の周囲に備えたことである。前記振動は外部操作部材4を操作したときに発生する振動8であって、外部操作部材4を操作したときの押圧力が外部操作部材4の先端から接点部材を介して作用してスイッチ接点部5に発生する振動8である。この振動8は、基板2のスイッチ接点部5から、基板2の中央部に波状的に伝播する。
ここで、外部操作部材4は、ラバースイッチ構造であってスイッチ接点部5に対向する位置に導電部4Aがあり、操作部4Bが押圧され導電部4Aがスイッチ接点部5に接触することで、電気的に導通しスイッチングし、外部操作部の押圧がなくなると電気的に絶縁状態となってスイッチ接点部5を非導通にさせるスイッチである。外部操作部材4は弾性体であるから、通常、時即ち非操作時には、外部操作部材4を歩数計ケース1の表面の方向に押し上げるばね部材として機能している。
しかしながら、スリット7Bが基板2に形成されているので、この振動8は加速度センサ3に到達することはない。従って、加速度センサ3は、外部操作部材4の操作による振動8を感知することがないから、外部操作部材4の操作が電子式歩数計に誤った歩数カウントを行わせることがない。
【0027】
次に、図4と図5を参照して、実施例2の電子式歩数計の基板2の特徴的な構造と作用を更に詳細に説明する。図4は、表示パネルを取り外し、且つ、回路ユニットからICなどの電子部品を除いて示した本発明の実施例2の電子式歩数計の平面図であり、図5は、外部操作部材4の操作時の状態を示す部分拡大断面図である。
【0028】
加速度センサ3が搭載された基板2は、歩数計ケース1のサイズと形状に対応したサイズの矩形のガラスエポキシ基板であって、その表面にはプリント回路が形成されている。基板2の四隅には外部操作部材案内穴13に対応する位置に、前記プリント回路に電気的に接続されたスイッチ接点部5が形成されている。実施例2の電子式歩数計において、中央部に加速度センサ3が搭載され、且つ、スイッチ接点部5にスイッチパターンが形成された基板2には、スイッチ接点部5の近傍に振動阻止用スリット7Bが設けられている。即ち、外部操作部材4の操作による振動8の伝播を阻止する振動阻止用スリット7Bは、スイッチ接点部5が形成されているスイッチパターン形成部分と基板2の本体部分とをつなぐスイッチパターン用ブリッジ部12を残して、前記スイッチ接点部を取り囲むような形状である。
【0029】
スイッチ接点部5は矩形の基板2の四隅に形成されているから、スイッチ接点部5が形成されている基板2のスイッチ接点部の外周縁は、基板2の直角な外周縁と同じである。従って、スリット7Bは、基板2の前記スイッチ接点部と本体部分との間に前記スイッチ接点部に近接して、この部分を概ね180度にわたって取り囲むような形状となっている。
【0030】
スイッチ接点部用ブリッジ部12の形成位置は、加速度センセ3とスイッチ接点部5とを結ぶ直線に対して直角又は概ね直角になるような位置である。外部操作部材4が矩形のケース本体1Aの四隅、従って基板2の四隅に位置するように配置されている実施例1の電子式歩数計においては、図2の平面図に示す如く、スイッチパターン用ブリッジ部12は矩形の長辺の方向に対向するような位置である。
【0031】
本発明の実施例2の電子式歩数計において、実施例1と同じく、基板2の周縁はケース本体1Aのモジュール収納部の内側側面に形成されている段部にケース本体1Aの裏側から基板固定用ねじ6によってねじ止めされている。図4において、基板固定用ねじ6は、矩形の基板2の上側の長辺部の中央に1個と左右のスイッチパターン用ブリッジ部12にそれぞれ1個、且つ下側の長辺部の中央に1個と左右のスイッチパターン用ブリッジ部12にそれぞれ1個の合計6個である。これら6個のなかのスイッチパターン用ブリッジ部12に位置する基板固定用ねじ6は、振動阻止手段として機能する。即ち、外部操作部材4の操作による振動8の基板2の本体方向の成分は、振動阻止用スリット7Bで阻止されるが、本体方向に直角な成分の一部がスイッチパターン用ブリッジ部12を介して、基板2の本体部分へ伝播しようとする振動成分が存在する。そこで、この振動成分の基板本体への伝播を阻止する機能を、スイッチ接点部用ブリッジ部12に位置する基板固定用ねじ6が担っているのである。
【0032】
以上、外部操作部材4が矩形のケース本体1Aの四隅、従って基板2の四隅に位置するように配置されている電子式歩数計について詳細に説明したが、ケース本体1Aと基板2との位置関係は、図4の如き構造のものに限定されるものではない。また、ケース本体1Aは矩形のものに限らず円形や楕円形のものであっても良い。
また、加速度センサ3は、スイッチ接点部5が設けられている基板2の面と同一面に搭載されていても、あるいは、スイッチ接点部5が設けられている基板2の面と平行な面に搭載されていても構わない。
【0033】
更に、外部操作部材4が基板2のスイッチ接点部5に直角方向から押圧力を加えるようにして、ケース本体1Aに取り付けられている電子式歩数計に限らず、図6に示すように外部操作部材4が基板2のスイッチ接点部5に水平方向から押圧力を加えるようにしてケース本体1Aに取り付けられている構造の電子式歩数計であっても、上述した実施例2に係る本発明の特徴的事項が適用できることは勿論である。前記特徴的事項とは、外部操作部材4の操作による振動8の伝播を阻止する振動阻止用スリット7Bを、加速度センサ3を搭載するセンサ搭載部分と基板2の本体部分とをつなぐスイッチパターン用ブリッジ部12を残して前記スイッチ接点部を取り囲むように基板2に形成することである。この場合、加速度センサー3が基板2に搭載されている面と、スイッチ接点部5が基板2に搭載されている面は異なる面となる。また、外部操作部材4が1個でも2個でもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1と実施例2の電子式歩数計の平面図である。
【図2】表示パネルを取り外し、且つ、回路ユニットからICなどの電子部品を除いて示した本発明の実施例1の電子式歩数計の平面図である。
【図3】外部操作部材を操作しない状態の本発明の実施例1の部分拡大断面図(A)と外部操作部材を操作した状態の本発明の実施例1の部分拡大断面図(B)である。
【図4】表示パネルを取り外し、且つ、回路ユニットからICなどの電子部品を除いて示した本発明の実施例2の電子式歩数計の平面図である。
【図5】外部操作部材を操作した状態の本発明の実施例2の部分拡大断面図である。
【図6】外部操作部材が水平方向に取り付けられた電子歩数計の断面図である。
【図7】表示パネルを取り外し、且つ、回路ユニットからICなどの電子部品を除いて示した従来の電子式歩数計の平面図である。
【図8】外部操作部材を操作した状態の従来の電子式歩数計の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 歩数計ケース
1A ケース本体
1B 裏蓋
2 基板
3 加速度センサ
4 外部操作部材
4A 導電部
4B 操作部
5 スイッチ接点部
6 基板固定用ねじ
7A,7B スリット
8 振動
9 液晶表示部
9A 表示窓用ガラス
9B 液晶表示ユニット
11 センサ用ブリッジ部
12 スイッチパターン用ブリッジ部
13 外部操作部材案内穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩数計ケースと、
前記歩数計ケースに可動可能に取り付けられて外部から操作をする外部操作部材と、
前記歩数計ケースの内部に固定された基板と、
前記基板に搭載されて歩数の検出を行う加速度センサと、
前記基板に形成され、前記外部操作部材の操作によってスイッチの開閉を行うためのスイッチ接点部と、
前記基板に設け前記外部操作部材の前記操作によって発生する振動を前記加速度センサに伝播させないように前記振動を阻止する振動阻止手段と、
を有する電子式歩数計。
【請求項2】
前記加速度センサが搭載された前記基板の面は、前記スイッチ接点部が形成された前記基板の面と同一の面である請求項1記載の電子式歩数計。
【請求項3】
前記加速度センサが搭載された前記基板の面は、前記スイッチ接点部が形成された前記基板の面と異なる面である請求項1記載の電子式歩数計。
【請求項4】
前記振動阻止手段は、前記加速度センサと前記スイッチ接点部との間を分断する形状にして前記基板に形成されたスリットであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電子式歩数計。
【請求項5】
前記スリットは、加速度センサ搭載部分と基板本体部分とをつなぐセンサ用ブリッジ部を残して前記加速度センサ搭載部分を取り囲むような形状であることを特徴とする請求項4に記載の電子式歩数計。
【請求項6】
前記スリットは、前記基板のスイッチ接点部と基板本体部分とをつなぐスイッチ接点部用ブリッジ部を残して前記スイッチ接点部を取り囲むような形状であることを特徴とする請求項4に記載の電子式歩数計。
【請求項7】
前記センサ用ブリッジ部及びスイッチ接点部用ブリッジ部又はその近傍に前記歩数計ケースに前記基板を固定する固定手段が配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子式歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−198051(P2008−198051A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34457(P2007−34457)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】