説明

電子情報読取り書込み装置、電子タグを用いた荷物管理システムおよびプログラム

【課題】 複数の荷物を送り先の決まっていない状態でまとめる場合や複数の荷物をまとめて取り扱う場合でもその荷物を識別することができる電子情報読取り書込み装置、電子タグを用いた荷物管理システムおよびプログラムを提供することにある。
【解決手段】 本荷物管理システムは、電子タグ用リーダー・ライター等の電子情報読取り書込み装置960と、電子情報読取り書込み装置960により関係付けて出力された複数の電子タグの電子情報を記憶するための記憶装置980と、関係付けて記憶装置980に記憶された複数の電子タグの電子情報の一つから別の電子情報を検索し得る検索装置としての例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の端末コンピュータ970とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子情報読取り書込み装置、電子タグを用いた荷物管理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物の管理は例えば次のようにして行われている。工場で完成した製品は梱包され、商品名、商品コード、部品番号等の品種を区別できる記号を記載したラベルが貼付される。商品の種類によってはラベルにシリアル番号が併記されることもある。小さい商品では、複数の同一商品がまとめて集合箱梱包されることもある。梱包された商品は工場内の荷役や輸送を効率化するため、パレットに積載されることもある。
【0003】
国際物流の場合は、輸出のため、商品がコンテナに積載される際には、注文書や出荷指示書に基づき、指定された商品名、数量の物品を集める。荷物には発送元、送り先、荷物の識別番号を記載したラベルが貼られる。さらに、納品書とコンテナ番号毎の物品明細書が発行される。目的地でコンテナ毎に内容物と物品明細書の照合を行い、納入された荷物の検品が一般に行われている。国内物流の場合は、輸送のため、トラックに積載される際には、注文書や出荷指示書に基づき、指定された商品名、数量の物品を集め、必要に応じ、別のパレットや混載箱に梱包しなおす。荷物には発送元、送り先、荷物の識別番号を記載した物流ラベルが貼られる。荷物毎にその内容物の物品明細書が発行される。目的地で荷物ラベルの識別番号を確認することで納入された荷物の検品が一括で出来る。これらの作業は出荷指示書と商品名を頼りに人手で行うことが多い。
【0004】
また、電子タグを使った物流方法も提案されている。次のような社会的要求に対応するためである。すなわち、ユーザーの安全に関し問題を生じた場合のトレーサビリティーの確保、修理の対応に必要な製造情報の管理、あるいは環境への悪影響を防ぐため商品廃棄後の部品や材料を再利用する際の製造履歴管理などに対応するためである。このため、物流過程も含め、商品ライフサイクル、即ち、部品材料の調達、製造、物流、販売、保守・修理、リサイクルの全ての過程で商品のシリアル番号管理が必要となってきている。
【0005】
予め半導体チップをラベルなどの形状に加工し電子情報を書き込んだものに、電波や誘導電磁界を介しその電子情報を読み取ったり、新たな電子情報を書き込んだりすることで、商品ライフサイクルの問題を解決しようとする動きが世界的な規模で行われている。この技術はRFID(Radio Frequency Identification)技術と呼ばれ、世界的に普及しつつある。その中でもUHF帯の周波数(860〜960MHz)を用いたEPC Global Class1 Generation2の電子タグが注目されている。
【0006】
EPC Global Class1 Generation2の電子タグはその用途に応じ、電子タグの中に書き込む電子情報が規定されている(非特許文献1)。GID(General Identifier)−96は、下記のいずれにも属さないコード体系に適用する。SGTIN(Serialized Global Trade Item Number)−96は、消費者向け商品に適用する。SGTIN−198も同様である。SSCC(Serial Shipping Container Code)−96は、輸送用コンテナや各種の物流用荷姿に適用する、発送から納品までの物流に使用するコードである。SGLN(Serialized Global Location Number)−96は、生産、物流などの拠点に適用する。SGLN−195も同様である。GRAI(Global Returnable Asset Identifier)−96は、パレット、通い箱、コンテナ、トラック、船舶、航空機などの繰返し使用する物流資産に適用する。GRAI−170も同様である。GIAI(Global Individual Asset Identifier)−96は、会社資産に適用する。GIAI−202も同様である。DoD−96は、アメリカ合衆国国防総省(United States Department Of Defense)関連物資に適用する。
【0007】
工場で完成した製品は梱包され、商品名、商品コード、部品番号等の品種を区別できる記号を記載したラベルが貼付されるのが一般的である。それとあわせ、商品1個ずつの識別をするための電子タグが商品本体か、本体1個を梱包した箱の表面に貼付される。電子タグにはSGTIN−96またはSGTIN−198で規定された書式で会社コード(Company prefix)+商品コード(Item reference)+シリアル番号(Serial Number)が書き込まれる。
【0008】
複数の商品が集合箱に入れられたり、パレットに積載されたりした場合、他の商品や導電性の包装材料、水分等の影響で、パレットの中心近くにある商品の電子タグを読み取れない事がある。この不具合はリーダー・ライター(電子情報読取り書込み装置、Interrogator)が電波を介して電子タグを認識し電子タグの内部の情報を読み出す手続きが、その間にある物質に電波が吸収されたり遮蔽されたりすることで妨げられることにより起こる現象である。このため、荷姿毎に新たな電子タグを貼付し、それと荷姿に含まれる商品の識別番号(SGTIN−96またはSGTIN−198)を紐付け(関係付け)、データベース等に蓄積し照合できるようにしておく。情報を関係付けることを「Aggregation」と呼ぶ場合がある。EPCglobalではそのデータベースのことをEPC−IS(EPC Information Services)と呼ぶ。複数の商品が入った集合箱をパレットに積載する場合にも同様に、パレット用に新たな電子タグを発行し、それとパレット上の集合箱の識別番号を紐付け(関係付け)データベース等に蓄積し照合できるようにしておく。さらに、任意の荷姿がまとめられコンテナなどに積載され、大きな荷姿になる場合にも同様に関係付けを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献1】EPCglobal Tag Data Standards Version1.3 March 8, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、複数の荷物を送り先の決まっていない状態でまとめる場合や複数の荷物をまとめて取り扱う場合でもその荷物を識別することができる電子情報読取り書込み装置、電子タグを用いた荷物管理システムおよびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の電子情報読取り書込み装置、電子タグを用いた荷物管理システムおよびプログラムを提供する。
(1)荷姿の発生場所を座標情報として取得する座標情報取得部と、前記荷姿の発生時刻を時刻情報として取得する時刻情報取得部と、第1の電子タグの第1の電子情報を読み取り記憶する電子情報記憶部と、第2の電子タグに書き込む前記座標情報および時刻情報を含む第2の電子情報を生成する電子情報生成部と、前記第1および第2の電子情報を関係付けた電子情報を出力する関係付け情報出力部とを備えた電子情報読取り書込み装置。
(2)前記荷姿の発生高さを高さ情報として取得する高さ情報取得部を備え、前記第2の電子情報が前記高さ情報を含む上記(1)記載の電子情報読取り書込み装置。
(3)前記座標情報が、グローバルポジショニングシステム(GPS)、ディファレンシャルGPS(DGPS)、またはリアルタイムキネマティックGPS(RTK−GPS)に基づく信号から得られた緯度情報および経度情報である上記(1)または(2)記載の電子情報読取り書込み装置。
(4)前記座標情報が、予め設定された緯度情報および経度情報である上記(1)または(2)記載の電子情報読取り書込み装置。
(5)前記高さ情報が、高度計から得られたものである上記(2)記載の電子情報読取り書込み装置。
(6)前記高さ情報が、建物の階名称から得られたものである上記(2)記載の電子情報読取り書込み装置。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子情報読取り書込み装置と、前記電子情報読取り書込み装置により関係付けて出力された前記第1および第2の電子情報を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に関係付けて記憶した前記第1および第2の電子情報の一つから別の電子情報を検索し得る検索装置とを備えた電子タグを用いた荷物管理システム。
(8)コンピュータに、荷姿の発生場所を座標情報として取得する手順、前記荷姿の発生時刻を時刻情報として取得する手順、第1の電子タグの第1の電子情報を読み取り記憶する手順、第2の電子タグに書き込む前記座標情報および時刻情報を含む第2の電子情報を生成する手順、前記第1および第2の電子情報を関係付けた電子情報を出力する手順、を実行させるためのプログラム。
(9)前記荷姿の発生高さを高さ情報として取得する手順をさらに備え、前記第2の電子情報が前記高さ情報を含む上記(8)記載のプログラム。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の電子情報読取り書込み装置によれば、複数の荷物を送り先の決まっていない状態でまとめる場合や複数の荷物をまとめて取り扱う場合でもその荷物を識別することができる。
請求項2に記載の電子情報読取り書込み装置によれば、荷姿の発生高さ情報を取得しない場合に比べ荷物の識別をより正確にすることができる。
請求項3に記載の電子情報読取り書込み装置によれば、携帯可能な装置として提供することができる。
請求項4に記載の電子情報読取り書込み装置によれば、緯度情報および経度情報を都度取得する場合に比べ簡易な装置を提供することができる。
請求項5に記載の電子情報読取り書込み装置によれば、荷姿の発生高さ情報を取得しない場合に比べ荷物の識別をより正確にできる装置を提供することができる。
請求項6に記載の電子情報読取り書込み装置によれば、高度計により荷姿の発生高さ情報を得る場合に比べ簡易な装置を提供することができる。
請求項7に記載の電子タグを用いた荷物管理システムによれば、複数の荷物を送り先の決まっていない状態でまとめる場合や複数の荷物をまとめて取り扱う場合でもその荷物を識別することができる。
請求項8に記載のプログラムによれば、複数の荷物を送り先の決まっていない状態でまとめる場合や複数の荷物をまとめて取り扱う場合でもその荷物を識別することができる。
請求項9に記載のプログラムによれば、荷姿の発生高さ情報を取得しない場合に比べ荷物の識別をより正確にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電子タグを用いた荷物管理システムの一実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る電子情報読取り書込み装置の一実施例を示す図である。
【図3】荷姿の発生場所を地球上の緯度情報および経度情報として取得する場合の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る電子情報読取り書込み装置を用いた荷物管理システムの他の例を示す図である。
【図5】本発明に係る電子情報読取り書込み装置を用いた荷物管理システムの他の例を示す図である。
【図6】本発明に係る電子情報読取り書込み装置を用いた荷物管理システムの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る電子タグを用いた荷物管理システムの一実施例を示す図である。本実施例では、図示のように、電子タグ用リーダー・ライター等の電子情報読取り書込み装置960と、電子情報読取り書込み装置960により関係付けて出力された複数の電子タグの電子情報をデータベースに記憶するための記憶装置980と、関係付けて記憶装置980に記憶された複数の電子タグの電子情報の一つから別の電子情報を検索し得る検索装置としての例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の端末コンピュータ970とを備える。記憶装置980には別の一つまたは複数の端末コンピュータ990からもアクセス可能であり、端末コンピュータ990でも記憶装置980に記憶された複数の電子タグの電子情報の一つから別の電子情報を検索することができる。
【0015】
製品荷姿910は、製品本体901を梱包した梱包箱902とそれに付けられた製品荷姿用電子タグ903とを含む。荷姿910を作る場所は、ネットワーク環境に接続されていない場合が多く、また作業中場所の移動が起こり得る。そのため、製品荷姿用電子タグ903に対する電子情報の読取りと書込みは、例えば携帯可能なGPS受信機付き電子情報読取り書込み装置960で行うことが好ましいが、これに限定されない。電子情報読取り書込み装置960の構成例について以下説明する。
【0016】
図2は、本発明に係る電子情報読取り書込み装置の一実施例を示す図である。本実施例では、図示のように、荷姿の発生場所を座標情報として取得する座標情報取得部21と、荷姿の発生時刻を時刻情報として取得する時刻情報取得部22と、それらの情報から第2の電子タグに書き込む電子情報を生成する電子情報生成部25と、第1の電子タグの第1の電子情報を読み取るためのアンテナ27と受信した電波から電子情報を解読するための復調器241と読取った電子情報を一時的に記憶する電子情報記憶部24と、第2の電子タグに座標情報および時刻情報を含む第2の電子情報を電波で送信するための変調器251とアンテナ27と、第1および第2の電子情報を関係付ける関係付け情報生成部261と関係付けた電子情報を出力する関係付け情報出力部26とを備える。さらに、荷姿の発生高さを高さ情報として取得する高さ情報取得部23を備えることができる。この場合、第2の電子情報は高さ情報を含む。
【0017】
ここで、座標情報は、例えばグローバルポジショニングシステム(GPS)、ディファレンシャルGPS(DGPS)、またはリアルタイムキネマティックGPS(RTK−GPS)に基づく信号から得られた緯度情報および経度情報とすることができるが、これに限定されず、例えば予め設定された緯度情報および経度情報とすることもできる。例えば座標情報の取得にGPSを利用する場合は、座標情報取得部21はGPS受信器を備える。時刻情報は、世界標準時で較正された時計を利用することができるが、これに限定されず、例えば地域標準時で較正された時計を利用することができ、その場合は地域を識別する記号を含ませる。高さ情報は、例えば高度計から得られたものとすることができるが、これに限定されず、例えば建物の階名称から得られたものとすることもできる。
【0018】
図1に戻って説明する。製品本体901は1個ずつ梱包されSGTINタイプの電子情報が格納された製品荷姿用電子タグ903が梱包箱902(又は製品本体901)に貼付される。この電子タグ903にはタグの種別、商品の製造会社、商品種別、シリアル番号に対応した電子情報が格納されている。製品本体901が1個ずつ梱包された複数の製品荷姿910は、集合箱921に収納され集合梱包930となる。その際、収納される全ての製品荷姿910の電子タグ903を電子情報読取り書込み装置960で読み取る。次に集合箱921を特定するための集合箱用電子タグ922を集合箱921に貼り付ける。
【0019】
このとき電子情報読取り書込み装置960に装備されたGPS受信器で、その場所の緯度と経度を測定し、座標となる数値を生成させる。必要に応じて高度計で高さを測定し高さを規定する数値を生成する。さらに、作業を行なった時刻を例えば世界標準時に較正された時計を参照し特定する。これらの値を電子タグ情報に変換し、集合箱用電子タグ922に書き込む。一方、予め読み取っておいた集合梱包930内の全ての製品荷姿の電子タグ903のSGTINタイプの電子情報と、集合箱用電子タグ922のXIDタイプの電子情報を紐つけて(関係付けて)、例えば端末コンピュータ970を介して、記憶装置980のデータベースに格納する。すなわち、集合梱包930内の製品荷姿の電子タグ903全ての電子情報SGTIN−91,SGTIN−92,SGTIN−93・・・SGTIN−nが、集合箱用電子タグ922の電子情報XID−91と関係付けられる。XIDタイプの電子情報の構成については後述する。
【0020】
出荷時には、複数の集合梱包930をパレット940に積載してパレット積載集合体950とする。その際、積載される全ての集合梱包930の集合箱用電子タグ922を電子情報読取り書込み装置960で読み取る。次にパレット積載集合体950を特定するためのSSCCタイプの物流用電子タグ951をパレット積載集合体950に貼り付ける。そして物流用電子タグ951を電子情報読取り書込み装置960で読み取る。パレット積載集合体950内の全ての集合箱用電子タグ922のXIDタイプの電子情報と、パレット積載集合体950の物流用電子タグ951のSSCCタイプの電子情報を紐つけて(関係付けて)、例えば端末コンピュータ970を介して、記憶装置980のデータベースに格納する。すなわち、パレット積載集合体950に積載された全ての集合梱包930の集合箱用電子タグ922の電子情報XID−91,XID−92,XID−93・・・XID−mが、物流用電子タグ951の電子情報SSCC−91と関係付けられる。これにより、端末コンピュータ970により、SGTINタイプ、XIDタイプおよびSSCCタイプの電子情報が相互に検索可能となる。
【0021】
集合箱用電子タグ922の電子情報(XID)は、例えば以下のように構成される。高さ情報のない場合は、ヘッダー8ビット+フィルタ値3ビット+パーティション3ビット+経度情報26ビット+緯度情報25ビット+時刻情報31=96ビットとされる。高さ情報のある場合は、ヘッダー8ビット+フィルタ値3ビット+パーティション3ビット+経度情報26ビット+緯度情報25ビット+高さ情報14ビット+時刻情報31=110ビットとされる。以下、荷姿の発生した場所を特定する方法について説明する。
【0022】
図3は、荷姿の発生場所を地球上の緯度情報および経度情報として取得する場合の一例を示す図である。図において、810は緯度0度・経度0度の地点、820は赤道、830は北極点、840は南極点、850は任意の経度の緯線を示す。現在使用可能なEPC Global Class1 Generation2の電子タグは96ビットの電子情報が格納可能である。電子タグの用途によってはそれを超えるビット数を使うこともできる。電子タグの種類によっては付加的にユーザーメモリ領域に電子情報を格納する事が出来るが、その大きさは一定でない。そのため96ビットの中に荷姿の発生した場所と時刻の情報を10進数の組み合わせとして生成し、それを2進数に変換した電子情報を電子タグのUIIメモリ領域に格納し、メモリ領域の有効活用を図る。
【0023】
荷姿の発生した場所の細かさを実用上問題のない細かさにするとともに、電子情報を96ビットに収めるために、赤道上で2m×2mの精度で荷姿の発生場所を区切れるようにする。そのために必要な緯度、経度をあらわす10進数を以下の手順で決める。
地球の赤道半径≒6378.137km
地球の赤道長=2×π×6378.137×1000≒40075000m
これを2mで割ると区別に必要な角度の細かさは
(360°÷40075000)×2≒0.00002°
となる。
【0024】
従って、経度を0〜36000000の整数で表せばよい。同様にして、緯度を0〜18000000の整数で表せばよい。時刻(月日時分秒)は0〜1231240000の整数で表す。これらを2進数で表わすと、それぞれに必要なビット数は
経度:26ビット
緯度:25ビット
時刻:31ビット
となる。
【0025】
これに電子タグの種類やデータ格納方法などを規定する以下のパラメータを加える。
ヘッダー:8ビット
フィルタ値:3ビット
パーティション:3ビット
これらをたすと、8+3+3+26+25+31=96ビットとなり、現在使用可能なUHF帯電子タグに電子情報の格納が可能となる。
【0026】
経度および緯度を特定する手段としてはたとえばGPSを用いる。これは地球上空を周回する複数個の人工衛星からの信号を受信し位置を割り出すシステムであり、現時点では携帯可能な大きさにまで小型化できている。一方、民生用のGPSは10m程度の検出精度であるため、検出精度が数mのDGPSや検出精度が数cmのRTK−GPSなどで精度の補完を行ったシステムの利用が望ましい。特定の場所の荷姿発生であれば、座標情報として荷姿の発生する敷地の範囲の任意の座標を固定値として予め取得して作業を行うことも可能である。
【0027】
時刻を特定する方法はたとえば次のとおりである。世界共通の技術として活用することを前提にしているため、世界標準時に較正された時計で荷姿の発生した時刻を特定する。桁数を圧縮するため時刻は月日時分秒に2桁ずつの10進数mmddhhMMssを付与しあらわすものとする。たとえば任意の日時時刻を1月1日から12月31日の間を表現するものとすると、0101000000〜1231240000となる。
【0028】
これに加えて荷姿の発生した高さを規定することが必要な場合がある。荷姿の発生した高さを特定する方法はたとえば次のとおりである。高度計で測定したその場所の海抜を整数であらわし電子タグに格納する。その場合には96ビットを超えるメモリ領域が必要なため、格納できる電子情報量を拡張した電子タグを利用する。高さ情報として海抜0〜9999mの範囲を記述するためには14ビットの拡張を行なう必要がある。高さ情報として海抜を用いる代わりに、建物の階数で区別することも可能である。
【0029】
図4〜図6は、本発明に係る電子情報読取り書込み装置を用いた荷物管理システムの他の例を示す図である。図4は製品の工場出荷時の例を示し、図5は製品の倉庫入荷時の例を示し、図6は二次倉庫または販売店などへの製品の出荷時の例を示す。
【0030】
図4に示すように、製品本体1001は1個ずつ梱包され、SGTINタイプの電子情報が格納された電子タグ1003が梱包箱1002(又は製品本体1001)に貼付される。この電子タグ1003にはタグの種別、商品の製造会社、商品種別、シリアル番号に対応した電子情報が格納されている。製品本体1001が1個ずつ梱包された製品荷姿1010が複数個集められ、それらが集合箱1021に収納され集合梱包1030となる。その際、収納される全ての製品荷姿1010の電子タグ1003を電子情報読取り書込み装置1060で読み取る。次に集合箱1021を特定するための集合箱用電子タグ1022を集合箱1021に貼り付ける。
【0031】
このとき電子情報読取り書込み装置1060に装備されたGPS受信器で、その場所の緯度と経度を測定し、荷姿の発生場所の座標となる数値を生成させる。必要に応じて高度計で高さを測定し荷姿の発生場所の高さを規定する数値を生成する。さらに、荷姿の発生した時刻を例えば世界標準時に較正された時計を参照し特定する。これらの値を電子タグ情報に変換し、集合箱用電子タグ1022に書き込む。一方、予め読み取っておいた集合梱包1030内の全ての製品荷姿の電子タグ1003のSGTINタイプの電子情報と、集合箱用電子タグ1022のXIDタイプの電子情報を紐つけて(関係付けて)、例えば端末コンピュータ1070を介して、記憶装置1080のデータベースに格納する。すなわち、集合梱包1030内の全ての製品荷姿の電子タグ1003の電子情報SGTIN−101,SGTIN−102,SGTIN−103・・・SGTIN−nが、集合箱用電子タグ1022の電子情報XID−1011と関係付けられる。これにより、端末コンピュータ1070により、各電子情報が相互に検索可能となる。記憶装置1080には、別の一つまたは複数の端末コンピュータ1090からもアクセス可能であり、端末コンピュータ1090でも記憶装置1080に記憶された複数の電子タグの電子情報の一つから別の電子情報を検索することができる。
【0032】
出荷のため、複数の集合梱包1030をパレット1040に積載してパレット積載集合体1050とする。その際、積載される全ての集合梱包1030の集合箱用電子タグ1022を電子情報読取り書込み装置1060で読み取る。次にパレット積載集合体1050を特定するための積載集合体電子タグ1031をパレット積載集合体1050に貼り付ける。そして積載集合体電子タグ1031を電子情報読取り書込み装置1060で読み取る。パレット積載集合体1050内の全ての集合箱用電子タグ1022のXIDタイプの電子情報と、パレット積載集合体1050の積載集合体電子タグ1031のXIDタイプの電子情報を紐つけて(関係付けて)、例えば端末コンピュータ1070を介して、データベースとして記憶装置1080に格納する。すなわち、パレット積載集合体1050に積載された全ての集合梱包1030の集合箱用電子タグ1022の電子情報XID−1011,XID−1012,XID−1013・・・XID−mが、積載集合体電子タグ1031の電子情報XID−1021と関係付けられる。
【0033】
次に、このパレット積載集合体1050が複数集められトラック1052に積載される。トラック1052に積載された複数のパレット積載集合体1050の集合体であるトラック積載物1053に対し、それを特定するためのSSCCタイプの物流用電子タグ1051を貼り付ける。そして物流用電子タグ1051を電子情報読取り書込み装置1060で読み取る。トラック積載物1053内の全ての積載集合体電子タグ1031のXIDタイプの電子情報と、トラック積載物1053の物流用電子タグ1051のSSCCタイプの電子情報を紐つけて(関係付けて)、例えば端末コンピュータ1070を介して、記憶装置1080のデータベースに格納する。すなわち、トラック積載物1053に積載された全てのパレット積載集合体1050の積載集合体電子タグ1031の電子情報XID−1021,XID−1022,XID−1023・・・XID−kが、物流用電子タグ1051の電子情報SSCC−101と関係付けられる。
【0034】
図5に示すように、倉庫入荷時、トラック1052のトラック積載物1053の物流用電子タグ1051を、電子情報読取り書込み装置1110で読み取って検品する。記憶装置1130には、端末コンピュータ1120を介して記憶装置1080から情報が転送されている。端末コンピュータ1120は、電子情報読取り書込み装置1110が物流用電子タグ1051から電子情報SSCC−101を読み取ると、電子情報SSCC−101に関係付けられた電子情報を検索し、電子情報XID−1021,XID−1022,XID−1023・・・XID−k(物品明細1)を得る。また、これにより得られた例えば電子情報XID−1021に関係付けられた電子情報を検索し、電子情報XID−1011,XID−1012,XID−1013・・・XID−m(物品明細2)を得る。さらに、これにより得られた例えば電子情報XID−1011に関係付けられた電子情報を検索し、電子情報SGTIN−101,SGTIN−102,SGTIN−103・・・SGTIN−n(物品明細3)を得る。トラック積載物1053は、以上のように検品された後、倉庫に保管される。
【0035】
図6に示すように、二次倉庫または販売店などに出荷するとき、新たな荷姿を作る。図中の矢印(a)経路の出荷時には、パレット積載集合体1050に電子情報SSCC−111をもつ物流用電子タグ1181を付け新たな荷姿とする。この場合、電子情報読取り書込み装置1110により、パレット積載集合体1050に貼付された積載集合体電子タグ1031のXIDタイプの電子情報が、物流用電子タグ1181のSSCCタイプの電子情報と関係付けられる。矢印(c)経路の出荷時には、一つの集合梱包1030に電子情報SSCC−112をもつ物流用電子タグ1182を付け新たな荷姿とする。この場合、電子情報読取り書込み装置1110により、集合梱包1030に貼付された集合箱用電子タグ1022のXIDタイプの電子情報が、物流用電子タグ1182のSSCCタイプの電子情報と関係付けられる。
【0036】
矢印(b)−(d)経路の出荷時には、一つの製品荷姿1010に電子情報SSCC−113をもつ物流用電子タグ1183を付け新たな荷姿とする。この場合、電子情報読取り書込み装置1110により、製品荷姿1010の電子タグ1003のSGTINタイプの電子情報が、物流用電子タグ1183のSSCCタイプの電子情報と関係付けられる。矢印(b)−(e)−(f)−(g)−(h)経路の出荷時には、新たな荷姿として複数の製品荷姿1010を混載した混載箱1131に電子情報XID−1111の混載箱用電子タグ1132を付け、さらに新たな荷姿として混載箱1131に電子情報SSCC−114をもつ物流用電子タグ1184を付ける。この場合、各段階で、電子情報読取り書込み装置1110により、複数の製品荷姿1010の電子タグ1003のSGTINタイプの電子情報が、混載箱用電子タグ1132のXIDタイプの電子情報と関係付けられる。さらに出荷先が確定した時点で、混載箱用電子タグ1132のXIDタイプの電子情報が、物流用電子タグ1184のSSCCタイプの電子情報と関係付けられる。
【0037】
矢印(b)−(e)−(f)−(g)−(i)−(j)経路の出荷時には、新たな荷姿として複数の製品荷姿1010を混載した混載箱1131に電子情報XID−1111をもつ混載箱用電子タグ1132を付け混載梱包1140とする。混載梱包1140を他の種類の製品の入った混載梱包1160とともにパレット1150に積載してパレット積載集合体1170とする。そしてパレット積載集合体1170を特定するためのXID−1121をもつパレット用電子タグ1161をパレット積載集合体1170に貼り付ける。さらにさらに出荷先が確定した時点で、パレット積載集合体1170に電子情報SSCC−115をもつ物流用電子タグ1185を付ける。この場合、各段階で、電子情報読取り書込み装置1110により、複数の製品荷姿1010の電子タグ1003のSGTINタイプの電子情報が、混載箱用電子タグ1132のXIDタイプの電子情報と関係付けられ、混載箱用電子タグ1132のXIDタイプの電子情報が、パレット積載集合体1170のパレット用電子タグ1161のXIDタイプの電子情報と関係付けられ、さらにパレット積載集合体1170のXIDタイプの電子情報が、物流用電子タグ1185のSSCCタイプの電子情報と関係付けられる。
【0038】
図6において、電子情報はそれぞれ各段階において、電子情報読取り書込み装置1110により読み取られ、そして書き込まれ、上述のようにして互いに関係付けられ、例えば端末コンピュータ1120を介して、記憶装置1130のデータベースに格納される。これにより、端末コンピュータ1120により、各電子情報が相互に検索可能となる。端末コンピュータ1120には、図示のように、プリンタ等の画像形成装置1190を接続することができ、これにより例えば記憶装置1130に格納された電子情報に基づいて納品書1192を印刷することができる。
【0039】
上述、XIDタイプの電子情報の生成と電子情報どうしの関係付けはコンピュータに次のプログラムを実行させることで構成することができる。すなわち、このプログラムは、コンピュータに、荷姿の発生場所を座標情報として取得する手順、荷姿の発生時刻を時刻情報として取得する手順、第1の電子タグの第1の電子情報を読み取り記憶する手順、第2の電子タグに書き込む座標情報および時刻情報を含む第2の電子情報を生成する手順、第1および第2の電子情報を関係付けた電子情報を記憶装置に出力する手順、を実行させるためのものである。このプログラムにおいて、荷姿の発生高さを高さ情報として取得する手順をさらに備え、上記第2の電子情報に高さ情報を含ませることができる。以上のプログラムは、例えば電子情報読取り書込み装置の内部メモリに格納することができるが、これに限定されず、CDROM等の記憶媒体に格納して、または通信手段によって提供することも可能である。
【0040】
このように構成することで、ある電子タグを荷姿発生時に別の電子タグに関係付けることができるため、工場で完成した製品が出荷され倉庫に到着するまでの過程で荷姿の内容物をデータベースで検索することができる。同様に、倉庫に在庫している製品が納品先に到着するまでの過程でも、荷姿の内容物をデータベースで検索することができる。さらに納品先でも集合梱包の電子タグや混載梱包の電子タグ、パレットに積載された混載梱包の電子タグを使って荷姿の内容物をデータベースで検索することができる。
【0041】
EPCglobalの規定するSSCC−96はその元となったバーコードタイプの物流ラベルSSCCと同様に荷主が発送するときに発行され、荷受先が納品を確認し終わったときにその役目を終える。そのため、出荷前に送り先の決まっていない状態で複数の商品をまとめる場合や、納品後に複数の商品がまとまったまま取り扱われる場合、その識別にSSCC−96を利用する事が出来ない。また、商品物流上、商品のとりまとめで生じる新しい荷姿はいつどこで発生するかを予め決めたり制限したりする事が出来ない現状がある。荷姿の発生した場所を地球上に設定した座標と時刻(又は座標と高さと時刻)で規定しその情報から電子情報を生成しXIDタイプの電子情報として電子タグに書き込む。XIDタイプの電子情報は、その電子タグの貼られた荷物を構成する複数の商品のSGTINタイプの電子情報や小さな荷物のXIDタイプの電子情報と関係付けられ、その情報がデータベース(EPC−IS含む)に蓄積される。一つのXIDタイプの電子情報で特定される荷物がその下位の荷物や個別の商品に分けられるまでは、そのXIDタイプの電子情報で荷物を識別する事が出来る。それにより、製品が完成してから販売されるまでの流通過程全般で、商品情報トレースのために個別の商品のSGTINタイプの電子情報を読む煩わしさが解消される。
【符号の説明】
【0042】
21 座標情報取得部
22 時刻情報取得部
23 高さ情報取得部
24 電子情報記憶部
25 電子情報生成部
26 関係付け情報出力部
27 アンテナ
241 復調器
251 変調器
261 関係付け情報生成部
901 製品本体
902 梱包箱
903 製品荷姿用電子タグ
910 製品荷姿
921 集合箱
922 集合箱用電子タグ
930 集合梱包
940 パレット
950 パレット積載集合体
951 物流用電子タグ
960 電子情報読取り書込み装置
961 GPS
970 端末コンピュータ
980 記憶装置
990 端末コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷姿の発生場所を座標情報として取得する座標情報取得部と、前記荷姿の発生時刻を時刻情報として取得する時刻情報取得部と、第1の電子タグの第1の電子情報を読み取り記憶する電子情報記憶部と、第2の電子タグに書き込む前記座標情報および時刻情報を含む第2の電子情報を生成する電子情報生成部と、前記第1および第2の電子情報を関係付けた電子情報を出力する関係付け情報出力部とを備えた電子情報読取り書込み装置。
【請求項2】
前記荷姿の発生高さを高さ情報として取得する高さ情報取得部を備え、前記第2の電子情報が前記高さ情報を含む請求項1記載の電子情報読取り書込み装置。
【請求項3】
前記座標情報が、グローバルポジショニングシステム(GPS)、ディファレンシャルGPS(DGPS)、またはリアルタイムキネマティックGPS(RTK−GPS)に基づく信号から得られた緯度情報および経度情報である請求項1または2記載の電子情報読取り書込み装置。
【請求項4】
前記座標情報が、予め設定された緯度情報および経度情報である請求項1または2記載の電子情報読取り書込み装置。
【請求項5】
前記高さ情報が、高度計から得られたものである請求項2記載の電子情報読取り書込み装置。
【請求項6】
前記高さ情報が、建物の階名称から得られたものである請求項2記載の電子情報読取り書込み装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電子情報読取り書込み装置と、前記電子情報読取り書込み装置により関係付けて出力された前記第1および第2の電子情報を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に関係付けて記憶した前記第1および第2の電子情報の一つから別の電子情報を検索し得る検索装置とを備えた電子タグを用いた荷物管理システム。
【請求項8】
コンピュータに、荷姿の発生場所を座標情報として取得する手順、前記荷姿の発生時刻を時刻情報として取得する手順、第1の電子タグの第1の電子情報を読み取り記憶する手順、第2の電子タグに書き込む前記座標情報および時刻情報を含む第2の電子情報を生成する手順、前記第1および第2の電子情報を関係付けた電子情報を出力する手順、を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
前記荷姿の発生高さを高さ情報として取得する手順をさらに備え、前記第2の電子情報が前記高さ情報を含む請求項8記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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