説明

電子文書ラスタライズ方法及び電子文書ラスタライズ装置

【課題】本発明は、電子文書ラスタライズ方法及び電子文書ラスタライズ装置を提供する。
【解決手段】該方法は、表示領域サイズと電子文書のページサイズにより、ラスタライズページの概略図の初期解像度を算出し、該初期解像度により、ページ概略図のラスタライズを行う概略図ラスタライズステップと、指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割するページ分割ステップと、関心位置の指定に応じて、前記複数の領域ブロックにおいて現在の関心領域を決定する関心領域決定ステップと、ページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定し、前記指定された解像度により、前記現在の関心領域に属する文書ブロックのラスタライズを行うことにより、現在の関心領域をラスタライズする関心領域ラスタライズステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、電子文書ラスタライズ方法及び電子文書ラスタライズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常事務には、電子文書が幅広く用いられており、例えば、PDF(Portable Document Format,ポータブル・ドキュメント・フォーマット)、PS(PostScript)等の形式の電子文書は、各種表示装置における表示形式が変わらないというメリットから、いっそう注目されている。通常、例えば、ポータブル・スマート・端末や、プリンタや、携帯電話や、PDA等の装置は、パソコン(PC)よりも、モニタが小さく、プロセッサの性能もパソコンにはるかに及ばない。このため、このような装置にPDF形式の電子文書を表示しようとすると、ユーザによる電子文書のロード時、プロセッサの性能が低いため、処理速度が非常に遅く、応答時間が長くなるばかりでなく、表示画面が小さいため、一回ではっきり閲覧できるのは、電子文書の一部領域に限られ、全ページの文書を閲覧するには、一部表示モードと概略表示モードの頻繁な切り換えが必要となり、従来の全ページの電子文書ラスタライズ方法によっては、明らかに需要を満たすことができない。
【0003】
以下、電子文書ラスタライズ分野における一部の技術用語を説明する。
【0004】
ラスタライズ(Rasterize):レンタリング(render)とも称され、ベクトルマップをビットマップに変換する工程をいう。ここでは、電子文書のページをビットマップに変換する工程である。ラスタライズは、電子文書の表示と印刷の必須工程であり、電子文書のラスタライズは、成熟した公知技術により実現することができる。
【0005】
文書ブロック:電子文書の基本構成要素であり、例えば、キャラクタブロック、画像ブロック、グラフィックブロック等があり、例えば、1つのコマンドにより表示されるキャラクタが、1つのキャラクタブロックとなり、1つのコマンドにより表示される画像が、1つの画像ブロックとなり、1つのコマンドにより表示されるグラフィックが、1つのグラフィックブロックとなる。
【0006】
概略図及び概略表示:全ページの文書を比較的小さな画面に表示することを概略表示と称し、比較的小さな画面に表示された全ページの文書を概略図と称し、通常、ユーザは概略表示モードにおいて、文書の細部を識別することができない。
【0007】
特許文献1(US2005/0286063A1)においては、電子文書のデータを印刷コマンドに変換し、ユーザに文書ブロックを選択させる機能を提供するとともに、ユーザにより選択された文書ブロックの印刷用の各種印刷設定を提供している。該特許文献1には、主に電子文書ブロックの抽出方法が提案されており、電子文書の迅速な局所ラスタライズには言及されていない。
【0008】
特許文献2(US2009/0195811A1)においては、電子文書の印刷が、キャラクタモードと非キャラクタモードに分けられ、キャラクタモードでは、電子文書のラスタライズが非常に速くなっている。しかしながら、該特許文献2には、例えば、携帯装置等の小画面装置の特徴を対象とした迅速かつ局所的な電子文書のラスタライズ方法は提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術における前述の問題点を鑑みてなされており、電子文書の迅速かつ局所ラスタライズが可能な電子文書ラスタライズ方法及び電子文書ラスタライズ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様においては、表示領域サイズと電子文書のページサイズにより、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を算出し、該初期解像度により、ページ概略図のラスタライズを行う概略図ラスタライズステップと、指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割するページ分割ステップと、関心位置の指定に応じて、前記複数の領域ブロックにおいて現在の関心領域を決定する関心領域決定ステップと、ページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定し、前記指定された解像度により、前記現在の関心領域に属する文書ブロックのラスタライズを行うことにより、現在の関心領域をラスタライズする関心領域ラスタライズステップと、を有する、電子文書ラスタライズ方法が提供される。
【0011】
本発明の他の態様においては、表示領域サイズと電子文書のページサイズにより、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を算出し、該初期解像度により、ページ概略図のラスタライズを行う概略図ラスタライズ装置と、指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割するページ分割装置と、関心位置の指定に応じて、前記複数の領域ブロックにおいて現在の関心領域を決定する関心領域決定装置と、ページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定し、前記指定された解像度により、前記現在の関心領域に属する文書ブロックのラスタライズを行うことにより、現在の関心領域をラスタライズする関心領域ラスタライズ装置と、を有する電子文書ラスタライズ装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施例に係る電子文書ラスタライズ方法及び電子文書ラスタライズ装置は、文書ラスタライズ分野に適用することができ、本発明の実施例における電子文書ラスタライズ方法及び装置により、例えば、携帯装置(携帯電話、スマート端末等)のような表示画面の小さな表示装置における電子文書の迅速かつ局所表示が可能になる。
【0013】
本発明の以上及び他の目的、特徴、長所、技術・産業上の重要性がより理解し易くなるように、以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例における電子文書ラスタライズ方法の全体フローチャートである。
【図2】ページの概略図のラスタライズの例を示した図である。
【図3】文書のページの複数の領域ブロックへの分割例を示した図である。
【図4A】図4A〜図4Cは、領域ブロックと文書ブロックにオーバラップがある場合を示した図であり、図4Aが、キャラクタブロックと領域ブロックのオーバラップを示した図である。
【図4B】図4A〜図4Cは、領域ブロックと文書ブロックにオーバラップがある場合を示した図であり、図4Bが、グラフィックブロックと領域ブロックのオーバラップを示した図である。
【図4C】図4A〜図4Cは、領域ブロックと文書ブロックにオーバラップがある場合を示した図であり、図4Cが、画像ブロックと領域ブロックのオーバラップを示した図である。
【図5】局所領域ブロックのラスタライズの結果を示した図である。
【図6】関心領域及び近隣領域ブロックの位置関係を示した図である。
【図7】本発明の実施例における電子文書ラスタライズ装置の全体ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例における電子文書ラスタライズ方法の全体フローチャートである。図1に示されたように、該電子文書ラスタライズ方法は、表示領域サイズと電子文書のページサイズにより、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を算出し、該初期解像度により、ページ概略図のラスタライズを行う概略図ラスタライズステップS100と、指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割するページ分割ステップS200と、関心位置の指定に応じて、前記複数の領域ブロックにおける現在の関心領域を決定する関心領域決定ステップS300と、ページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定し、前記指定された解像度により、前記現在の関心領域に属する文書ブロックのラスタライズを行うことにより、現在の関心領域をラスタライズする関心領域ラスタライズステップS400が含まれている。
【0017】
概略図ラスタライズステップS100においては、低解像度(初期解像度)により、全電子文書(例えば、PDFファイル)ページのラスタライズを行い、ラスタライズされた概略図を生成して表示し、ここで、概略図ラスタライズの解像度は、入力文書のページサイズと表示装置の表示画面の表示領域のサイズにより求められる。概略図ラスタライズは、大量のシステムリソースの占用が不要となることから、所要時間が非常に少なく、ユーザによる全ページの全景の迅速な取得が可能になり、以降の閲覧しやすくするための関心領域(Region of Interest, ROI)の拡大が容易となる。表示装置に表示画面の全画面により電子文書を表示する場合は、表示画面のサイズが表示領域のサイズとなり、表示画面の一部により電子文書を表示する場合は、従来の手段により、表示領域のサイズ及び表示画面における位置範囲を検知することができる。
【0018】
概略図のラスタライズステップS100では、下記式(1)〜(3)により、初期解像度を算出することができる。
【数1】

【0019】
ここで、wpanelは表示領域の幅を表し、hpanelは表示領域の高さを表し、wpageは電子文書ページの文書ユーザ空間における幅を表し、hpageは電子文書ページの文書ユーザ空間における高さを表し、min()は最小値の算出を表し、aは文書空間から表示装置空間までのマッピング係数を表し、bは概略図の既定解像度を表し、
(外1)

はラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を表し、wscaleは表示領域幅の、ページの文書ユーザ空間における幅に対する比率を表し、hscaleは表示領域高さの、ページの文書ユーザ空間における高さに対する比率を表している。
【0020】
電子文書が例えばPDFファイルである場合、文書空間から表示装置空間までのマッピング係数aは、72とすることができる。概略図の既定解像度bは、24dpi(dots per inch,1インチあたりのドット数)に設定することができ、即ち、bは24であってもよい。概略図のラスタライズ速度を向上するために、算出された解像度
(外2)

が24dpiを超えた場合は、概略図の解像度を24dpiに設定し、算出された解像度
(外3)

が24dpi未満になる場合は、該算出された解像度をラスタライズ化ページの概略図の初期解像度に設定する。
【0021】
図2はページの概略図のラスタライズの例を示した図である。
【0022】
ページ分割ステップS200においては、指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割する。ここで、解像度は、前の初期解像度よりも高くし、ユーザにより指定されてもよく、ユーザ入力による各種解像度数値を受け取ってもよく、ユーザのリアル或いは仮想(virtual)のスクロールバーのような装置への移動動作に応じて、スクロールバーの位置に応じた解像度に換算してもよい。指定された解像度により、電子文書ページの該指定解像度における占有すべき表示サイズを算出することができ、ページの指定解像度に応じた表示サイズを表示領域のサイズで割ることにより、該指定解像度で電子文書ページを分割すべき行列数が得られる。
【0023】
ページ分割ステップS200において、下記式(4)、(5)により、ページの分割により得られた領域ブロックの行列数を決定することができる。
【数2】

【0024】
式中、wpanelは表示領域幅を表し、hpanelは表示領域高さを表し、wpageはページの文書ユーザ空間における幅を表し、hpageはページの文書ユーザ空間における高さを表し、aは文書空間から表示装置空間までのマッピング係数を表し、
(外4)

は指定された解像度を表し、wnumberはページの分割により得られた領域ブロックの列数を表し、hnumberはページの分割により得られた領域ブロックの行数を表している。割り算で整除できない場合は、余りを四捨五入や、切り上げまたは切り下げや、他の方法で丸めることができる。
【0025】
図3は、文書のページの複数の領域ブロックへの分割例を示した図であり、1ページが8行×8列の64個の領域ブロックに分けられている。
【0026】
関心領域決定ステップS300においては、ユーザからの各種操作による関心位置への指定に応じて、例えば、ユーザの指やペン、プローブ等の手段を用いた表示画面へのクリックや、タッチ等による表示領域上の関心位置の指定操作に応じて、指定された関心位置が、ページ分割ステップS200で分割された領域ブロックのうちのどの領域ブロックに位置しているかを判断し、関心位置の所在する領域ブロックを現在の関心領域(ROI)と決定する。図3に示されたように、領域ブロックQ1が、指定された現在の関心領域を示している。
【0027】
次に、関心領域ラスタライズステップS400においては、高解像度により、ユーザが選択した関心領域のラスタライスを行う。通常、ポータブル装置の表示画面は、サイズが小さく、概略図モードでは、ユーザによる文書細部の閲覧ができなくなる。ユーザによる関心領域の選択後、選択された関心領域の高解像度のラスタライズ及び表示が行われる。その後、或いは、同時に、ラスタライズされたビットマップのようなラスタライズ結果がバックグラウンド記憶される。
【0028】
ここで、以降のラスタライズすべきページ中の文書ブロックを決定するために、予めページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定してもよい。ページや、そのうちの一部のラスタライズは、実質的に、ページ中の文書ブロックのラスタライズであり、ページ全面に対し、初期の低解像度により概略図のラスタライズを行う場合は、ラスタライズすべき文書ブロックの判断は不要であるが、関心領域のラスタライズ行う場合は、ページ中の該関心領域に属するラスタライズすべき文書ブロックを予め判断しておく必要がある。
【0029】
ページの文書ブロックが、キャラクタブロックと、画像ブロックと、グラフィックブロックに分けられるとした場合、指定解像度及び表示領域サイズにより、ページを分割して得られる領域ブロックと文書ブロックの位置関係は、包括、重なり合いでもよく、オーバラップでもよい。図4A〜4Cは、領域ブロックと文書ブロックにオーバラップがある場合を示した図であり、図4Aが、キャラクタブロックと領域ブロックのオーバラップを示し、図4Bが、グラフィックブロックと領域ブロックのオーバラップを示し、図4Cが、画像ブロックと領域ブロックのオーバラップを示した図である。
【0030】
下記式(6)〜(9)により、ページ中のラスタライズすべき領域ブロックに属する文書ブロックを決定することができる。
【数3】

【0031】
式中、
(外5)

は該領域ブロックの文書ブロック集合を表し、
(外6)

は該領域ブロックのキャラクタブロック集合を表し、
(外7)

は該領域ブロックの画像ブロック集合を表し、
(外8)

は該領域ブロックのグラフィックブロック集合を表し、BBox()は最小外接矩形を算出するための演算を表し、Area()は面積を算出するための演算を表し、TextRunはページ中のキャラクタブロックを表し、Imageはページ中の画像ブロックを表し、Graphicsはページ中のグラフィックスブロックを表し、Regionはラスタライズすべき領域ブロックを表し、σ1、σ2は所定の比例値をそれぞれ表している。
【0032】
図4と、前記式(6)〜(9)により、電子文書がPDFファイルの場合の、PDF演算子による最終文書ブロックの外観制御について説明する。例えば、(Hello,world!)Tjにおいて、Tjは、キャラクタ表示演算子であり、“Hello,world!”は、表示される文字列であり、このようなコマンドにより、図4Aに示されたようなキャラクタブロックが表示される。BBoxは、任意のPDF文書ブロックに対応する最小外接矩形であり、PDF文書ブロックに対応する最小外接矩形は、成熟した公知の技術により得られる。Regionは、ページ結果の分割により得られる領域ブロックであり、ROI、即ち、ユーザが選択した関心領域でもよい。
【0033】
前記式(6)〜(9)は、領域ブロックと文書ブロックのオーバラップ時に用いられてもよく、領域ブロックと文書ブロックの重なり合いの場合や、包括関係の場合にも用いられる。前記式により、全ページ面における処理すべき領域ブロックに属する各種文書ブロックを判断することができ、以後のラスタライズ処理が容易に行える。ここで、処理される領域ブロックが関心領域の場合、即ち、ページ中の該現在の関心領域に属する文書ブロックの判断時に、前記式(6)〜(9)で判断された文書ブロックが、現在の関心領域に属する文書ブロックと判断された場合は、以後の現関心領域のラスタライズ処理に用いられる。
【0034】
図4Aにおいて、キャラクタブロックに対し、該キャラクタブロックに対応する最小外接矩形と現関心領域(例えば、矩形フレームQ2で示される)のオーバラップが存在する場合、該キャラクタブロックは、以後の局所領域のラスタライズ工程で処理される。図4Bにおいて、グラフィックブロックに対し、該グラフィックブロックに対応する最小外接矩形と関心領域面積(例えば、矩形フレームQ3で示される)のオーバラップ面積が、最小外接矩形と関心領域面積のうちの小さいほうの一定比例σ2(例えば、σ2=30%)よりも大きくなると、該グラフィックブロックブロックは、該関心領域の局所領域のラスタライズ工程で処理され、それ以外の場合は、該グラフィックはパスされる。図4Cにおいて、グラフィックブロックブロックの処理方法と同様に、画像ブロックに対し、該画像ブロックに対応する最小外接矩形と関心領域面積(例えば、矩形フレームQ4で示される)のオーバラップ面積が、最小外接矩形と関心領域面積のうちの小さいほうの一定比例σ1(例えば、σ1=30%)よりも大きくなると、該画像ブロックは、該関心領域の局所領域のラスタライズ工程で処理され、それ以外の場合は、該画像はパスされる。ここで、σ1、σ2は、ユーザにより設定されたパラメータであってもよく、局所領域のラスタライズ工程で処理される文書ブロックを判断する閾値として用いられ、σ1、σ2は、同一であっても、異なってもよい。また、値は、30%に限らず、20%、40%、60%、75%等の他の値でもよい。ページ中の各文書ブロックが前記式(6)〜(9)の基準を満たしているかが判断され、満たしていると、対象となる領域ブロックのラスタライズ処理時に、該文書ブロックのラスタライズが行われ、満たしていないと、該領域ブロックのラスタライズ処理時に該文書ブロックがパスされる。
【0035】
次に、前記指定された解像度により、既存のラスタライズ手段から前記現関心領域に属する文書ブロックのラスタライズが行われ、現在の関心領域のラスタライズがラスタライズされ表示される。高解像度で関心領域のラスタライズにより、ユーザによるページ細部の識別を容易にすることができる。
【0036】
関心領域は、ページ全体における一部であることから、同一の高解像度(例えば、150dpi)の場合の、関心領域の局所のラスタライズ時間が、ページ全体のラスタライズ時間よりも大幅に短縮される。例えば、図5は、局所領域ブロックのラスタライズの結果を示しており、Q5で示される矩形フレームが、ラスタライズ処理対象の領域ブロックを表している。図5の場合、結果テストから、ページ全体のラスタライズ時間は、2.5秒となる一方、Q5領域ブロックのラスタライズ時間は、1.3秒となる。
【0037】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法は、関心領域の変動動作を検知し、検知した関心領域の変動動作に応じて、ページ中の関心領域の位置を変動し、変動後の関心領域を現在の関心領域とし、前記関心領域ラスタライズ化ステップの処理を行う関心領域変動検知ステップをさらに有する。
【0038】
関心領域変動検知ステップは、関心領域決定ステップS300後の任意のタイミングで行われる。例えば、関心領域決定ステップS300による関心領域決定後、例えば、ユーザの関心領域への変動操作が検知されると、検知した関心領域への変動操作に応じて、実行中のラスタライズ等の処理を中断し、変動操作後の新規関心領域を現関心領域として決定し、その後、直ちに関心領域ラスタライズステップS400を実行し、該新規関心領域のラスタライズを行う。ここで、ユーザの変動操作は、制御ボタンのトリガーでもよく、タッチパネルのスクロールでもよい。或いは、関心領域のページにおける位置変動を発生させる操作でもよい。
【0039】
ユーザの関心領域の閲覧と同時に、バックグラウンドで関心領域の隣接領域へのラスタライズが行われるとともに、例えば、ラスタライズされたビットマップのようなラスタライズ結果を、例えばシステムバッファに保存してもよい。ユーザにより関心領域が変動され、変動後の新規関心領域が部分的に或いは全部ラスタライズされ、かつラスタライズ結果がバッファに保存されると、直接バッファ中の結果を使用することで、処理時間の短縮が可能になる。
【0040】
図6は、関心領域及び近接領域ブロックの位置関係を示し、矩形フレームQ6が関心領域を示し、矩形フレーム1、2、3、4が関心領域Q6の近接領域ブロックを示している。一定の順序で、関心領域の近接領域へのラスタライズを行うとともに、ラスタライズ結果をバッファ中に保存してもよい。
【0041】
換言すると、本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法は、関心領域の位置変動がないと、隣接領域ブロックの既定のラスタライズ順に、ページ中の前記隣接領域ブロックに属する文書ブロックの決定を順次行い、現在の関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズを行う。図6において、関心領域が、Q6で示された領域ブロックの場合は、簡単に、3→4→1→2順を、関心領域Q6の近接領域ブロックへのラスタライズの既定順としてもよい。また、キャラクタ方向を考慮してもよく、該キャラクタ方向は、従来の手段で得ることができる。例えば、上から下や、行内の左から右への水平のキャラクタ方向の場合は、3→4→1→2順を、近接領域ブロックの既定のラスタライズ順としてもよく、右から左や、列内の上から下への垂直のキャラクタ方向の場合は、3→1→2→4順を、近接領域ブロックの既定のラスタライズ順としてもよい。近接領域ブロックの既定のラスタライズ順は、前記に限られるものではなく、任意の近接領域ブロックからスタートし、キャラクタ方向に関係なく、時計回りや、逆時計回り順を、既定のラスタライズ順にしてもよい。バックグラウンドで関心領域の近接領域のラスタライズができ、ラスタライズされたビットマップのようなラスタライズ結果が例えばシステムバッファに保存できれば、以後の関心領域の変動時の処理速度を加速することができる。
【0042】
前述の式(6)〜(9)により、ラスタライズされる領域ブロックをRegionとして、ページ中の該領域ブロックに属する文書ブロックを決定することができ、さらに指摘された解像度により、該領域ブロックのラスタライズを行うことができる。
【0043】
関心領域のページにおける位置変動があると、関心領域の以前の変動方向とキャラクタ方向により、関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズ順を決定することができる。
【0044】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法は、関心領域の以前の変動方向とキャラクタ方向により、現在の関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズ順を決定するラスタライズ順決定ステップをさらに有することができる。この場合、隣接領域ブロックステップは、例えば、関心領域の位置変動があると、ラスタライズ順決定ステップで決められた隣接領域ブロックのラスタライズ順に、ページ中の前記隣接領域ブロックに属する文書ブロックの決定を順次行い、現在の関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズを行うことができる。
【0045】
キャラクタ方向は、従来の手段で取得することができ、該キャラクタ方向は、前述の水平や、垂直方向でもよい。
【0046】
ユーザは、前述の関心領域への変動操作により、次の関心領域を指示し、表示するページ部分を、例えば、上向き、下向き、左向き、右向きにドラックすることで、関心領域を変えることができる。
【0047】
引き続き、図6を参照して説明する。関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズ順は、連通域規則を考慮することができる。ユーザの前のドラック方向が下向きである場合、即ち、関心領域がページに対して上へ移動した場合、現在の関心領域のキャラクタ方向が水平方向であると、近接領域ブロックのラスタライズ順は、1→2→3→4としてもよい。ユーザの前のドラック方向が上向きである場合、即ち、関心領域がページに対して下へ移動した場合、現在の関心領域のキャラクタ方向が水平方向であると、近接領域ブロックのラスタライズ順は、3→4→1→2としてもよい。ユーザの前のドラック方向が、右向きである場合、即ち、関心領域がページに対して左へ移動した場合、現在の関心領域のキャラクタ方向が水平方向であると、近接領域ブロックのラスタライズ順は、4→2→1→3としてもよい。ユーザの前のドラック方向が左向きである場合、即ち、関心領域がページに対して右へ移動した場合、現在の関心領域のキャラクタ方向が水平方向であると、近接領域ブロックのラスタライズ順は、2→4→1→3としてもよい。
【0048】
現関心領域のキャラクタ方向が垂直方向であると、ユーザの前のドラック方向が下向きである場合、即ち、関心領域がページに対して上へ移動した場合、近接領域ブロックのラスタライズ順は、1→3→2→4としてもよい。ユーザの前のドラック方向が上向きである場合、即ち、関心領域がページに対して下へ移動した場合、近接領域ブロックのラスタライズ順は、3→1→2→4としてもよい。ユーザの前のドラック方向が右向きである場合、即ち、関心領域がページに対して左へ移動した場合、近接領域ブロックのラスタライズ順は、4→1→2→3としてもよい。ユーザの前のドラック方向が左向きである場合、即ち、関心領域がページに対して右へ移動した場合、現関心領域のキャラクタ方向が水平方向であると、近接領域ブロックのラスタライズ順は、2→3→4→1としてもよい。
【0049】
前述の式(6)〜(9)により、ラスタライズされる領域ブロックをRegionとして、ページ中の該領域ブロックに属する文書ブロックを決定することができ、さらに指摘された解像度により、該領域ブロックのラスタライズを行うことができる。
【0050】
近接領域ブロックのラスタライズ工程においては、ユーザによる関心領域への変動動作が検知されると、実行中の近接領域ブロックのラスタライズを中断するとともに、新規関心領域のラスタライズを行い、新規領域の全部または一部が、前の関心領域の近接ブロックであり、かつ全部または一部がラスタライズされると、直接バッファからラスタライズ結果をロードし表示することで、処理の加速が可能になる。
【0051】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法の実行工程において、ユーザは任意の時刻に、各種従来手段を用いて、例えば、拡大表示や縮小表示の操作により、解像度を指定し、新規解像度を指定すると、即ち解像度の変更となる。本発明の実施例における電子文書ラスタライズ方法は、解像度の変更操作を検知し、検知した解像度変更操作に応じて、変更後の解像度を前記指定された解像度とし、ページ分割ステップの処理を行う解像度変更検知ステップをさらに有する。
【0052】
例えば、ページ分割ステップS200後、或いはページ分割ステップS200中、例えばユーザの解像度変更操作を検知すると、検知した解像度変更操作に応じて、実行中のページ分割や、ラスタライズ等の他の処理を中断し、直ちにページ分割ステップS200を再度実行し、変更後の解像度を前記指定された解像度として、ページ分割ステップが行われる。
【0053】
本発明の実施例における電子文書ラスタライズ方法は、領域ブロックのラスタライズ化に用いられるリソースと結果を記憶する記憶ステップをさらに有する。
【0054】
指定される解像度に関わらず、それぞれに応じたページ分割方式、関心領域のラスタライズ結果、関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズ結果(例えば、ラスタライズされたビットマップ)の保存が可能になることから、該解像度での該領域ブロックのラスタライズ結果を再ロードとして表示する必要がある場合、直接保存した結果を呼び出して表示することで、部分的にまたは全体的に分割・ラスタライズ工程を節約することができる。
【0055】
なお、例えばPDF形式の電子文書のページへの各解像度でラスタライズを行う時には、ラスタライズ工程に、例えばフォントファイル、解読後のページコンテンツストリーム、解読後の画像ストリーム等の共有リソースが必要となる。最初にある解像度でページのラスタライズを行うとき、前述の共有リソースを保存することで、以降の他の解像度によるラスタライズ時に、電子文書ページの共有リソースを直接ロードすることにより、無駄な処理時間をなくすことができる。
【0056】
ページの領域ブロックのラスタライズ結果であっても、ラスタライズ工程に必要な共有リソースであっても、例えば、記録ファイル、記録メモリ、記録バッファ等の各種手段で保存してもよく、以降の必要に応じて、直接呼び出すことで、処理の加速化を実現することができる。
【0057】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法においては、バックグラウンドで入力される電子文書ページのマルチ解像度のラスタライズが自動的に行われることにより、ユーザによる各解像度間の迅速な切換が可能になる。ここで、マルチ解像度の文書ページのラスタライズ工程は、ユーザによる変更解像度への切換後に行われてもよく、ユーザによる関心領域への詳細閲覧と同時に行われてもよく、ユーザの指定や、解像度の変更がないときに行われてもよい。生成されるラスタライズビットマップは、ユーザの解像度切換時に直接ロードできるように、キャッシュメモリに保存される。
【0058】
マルチ解像度のラスタライズ工程中、ユーザによる、例えば関心領域のドラックや、解像度の切換操作が行われると、該マルチ解像度のラスタライズ操作を中断し、ユーザ操作に応じた関心領域のラスタライズや、ページ分割等の処理を行う。
【0059】
例えば、24dpi,72dpi,96dpi,120dpi、150dpi等の複数の解像度で、前述のマルチ解像度ラスタライズ工程を行うと仮定すると、それぞれの解像度モードで、分割される領域ブロック数も異なってくる。高解像度は、より多くの局所領域ブロックに対応し、最低解像度は、通常、ページ全体の概略図に対応することから、局所領域の分割はない。
【0060】
マルチ解像度のラスタライズ工程においては、低解像度から高解像度の順に、ページの各解像度で各局所領域ブロックのラスタライズを行い、例えばラスタライズされたビットマップのようなラスタライズ結果を保存することにより、ある解像度である領域ブロックを表示する必要があるときに、直接それに応じたラスタライズ結果を呼び出し使用することで、ユーザの無駄な待機時間を減らすことができる。
【0061】
また、マルチ解像度のラスタライズ工程においては、最初にある解像度でページのラスタライズを行う場合、電子文書から該ページに対応する共有リソースを取得し、例えば内部メモリ等に保存し、以降の他の解像度によるラスタライズ工程において、直接内部メモリから共有リソースを読み取ることで、ラスタライズの時間を加速させることができる。
【0062】
さらに、本発明は、電子文書ラスタライズ装置として実施することができ、前述の電子文書ラスタライズ方法を実行することができる。図7は、本発明の実施例による電子文書ラスタライズ装置の全体ブロック図である。図7に示されたように、本発明の実施例による電子文書ラスタライズ装置は、表示領域サイズと電子文書のページサイズにより、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を算出し、該初期解像度により、ページ概略図のラスタライズを行う、前述の概略図ラスタライズステップS100を実行する概略図ラスタライズ装置100と、指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割する、前述のページ分割ステップS200を実行するページ分割装置200と、関心位置の指定に応じて、前記複数の領域ブロックにおいて現在の関心領域を決定する、前述の関心領域決定ステップS300を実行する関心領域決定装置300と、ページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定し、前記指定された解像度により、前記現在の関心領域に属する文書ブロックのラスタライズを行うことにより、現在の関心領域をラスタライズする、前述の関心領域ラスタライズステップS400を実行する関心領域ラスタライズ装置400と、を有する。
【0063】
前記ページ分割装置200において、表示領域幅をwpanelとし、表示領域高さをhpanelとし、ページの文書ユーザ空間における幅をwpageとし、ページの文書ユーザ空間における高さをhpageとし、文書空間から表示装置空間までのマッピング係数をaとし、指定された解像度を
(外9)

とし、ページの分割により得られた領域ブロックの列数をwnumberとし、ページの分割により得られた領域ブロックの行数をhnumberとした時、下記式により、ページの分割により得られた領域ブロックの行列数を決定する。
【数4】

【0064】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ装置は、解像度の変更操作を検知し、検知した解像度変更操作に応じて、変更後の解像度を前記指定された解像度とし、ページ分割装置200による処理が行われる、前述の解像度変更検知ステップを実行する解像度変更検知装置をさらに有する。
【0065】
概略図ラスタライズ装置100において、表示領域幅をwpanelとし、表示領域高さをhpanelとし、電子文書ページの文書ユーザ空間における幅をwpageとし、電子文書ページの文書ユーザ空間における高さをhpageとし、最小値を算出する演算をmin()とし、文書空間から表示装置空間までのマッピング係数をaとし、概略図の既定解像度をbとし、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を
(外10)

とし、表示領域幅の、ページの文書ユーザ空間における幅に対する比率をwscaleとし、表示領域高さの、ページの文書ユーザ空間における高さに対する比率をhscaleとした時、下記式により、前記初期解像度を算出する。
【数5】

【0066】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ装置は、関心領域の変動動作を検知し、検知した関心領域の変動動作に応じて、ページ中の関心領域の位置を変動し、変動後の関心領域を現在の関心領域とし、前記関心領域ラスタライズ化装置400の処理を行われる、前述の関心領域変動検知ステップを実行する関心領域変動検知装置をさらに有する。
【0067】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ装置は、関心領域の以前の変動方向とキャラクタ方向により、現在の関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズ順を決定する、前記ラスタライズ順決定ステップを実行するラスタライズ順決定装置をさらに有する。
【0068】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ装置は、関心領域の位置変動があると、前記隣接領域ブロックラスタライズ装置により、ラスタライズ順決定装置で決められた隣接領域ブロックのラスタライズ順に、ページ中の前記隣接領域ブロックに属する文書ブロックの決定を順次行い、現在の関心領域の隣接領域ブロックをラスタライズし、関心領域の位置変動がないと、隣接領域ブロックの既定のラスタライズ順に、ページ中の前記隣接領域ブロックに属する文書ブロックの決定を順次行い、現在の関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズを行う、前記隣接領域ブロックラスタライズステップを実行する隣接領域ブロックラスタライズ装置をさらに有する。
【0069】
ページの文書ブロックが、キャラクタブロックと画像ブロックとグラフィックブロックに分類され、前記領域ブロックの文書ブロック集合を
(外11)

とし、該領域ブロックのキャラクタブロック集合を
(外12)

とし、該領域ブロックの画像ブロック集合を
(外13)

とし、該領域ブロックのグラフィックブロック集合を
(外14)

とし、最小外接矩形を算出するための演算をBBox()とし、面積を算出するための演算をArea()とし、ページ中のキャラクタブロックをTextRunとし、ページ中の画像ブロックをImageとし、ページ中のグラフィックスブロックをGraphicsとし、ラスタライズすべき領域ブロックをRegionとし、所定の比例値をそれぞれσ1、σ2とした時、下記式により、ページ中のラスタライズすべき領域ブロックに属する文書ブロックを決定することができる。
【数6】

【0070】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ装置は、領域ブロックのラスタライズ化に用いられるリソースと結果を記憶する、前記記憶ステップ実行する記憶装置をさらに有する。
【0071】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法及び装置により処理される電子文書は、該電子文書を表示する装置に存在するローカル文書でもよく、該電子文書を表示する装置外の、オンライン上の同類または異なる装置に存在する、例えばリモート文書でもよい。処理される電子文書の結果は、該電子文書を処理するローカル装置に表示されてもよく、有線または無線のような各種ネットワークにより、他の同類または異なる装置に遠隔表示されてもよい。また/或いは、ローカルや、リモートで印刷出力されてもよい。
【0072】
本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法及び装置は、例えばPDFやPS形式の電子文書に適用することができるが、本発明の実施例による電子文書ラスタライズ方法及び装置の実施は、PDF形式の詳細規格に依存するものではなく、各種形式のポータブル電子文書に適用することができる。
【0073】
モバイル装置や、埋め込み型装置のプロセッサ性能が弱く、表示画面サイズが小さくなっている現状に対して、前述の本発明の実施例における局所電子文書への迅速なラスタライズにより、従来技術における、電子文書ラスタライズの速度が遅く、かつ表示画面の1回の表示に文書ページの一部しか表示できないことによる高低解像度間の頻繁な切換問題を効率よく解決することができ、電子文書の局所領域の短時間内のラスタライズが可能になり、優れたユーザ体験を提供することができる。
【0074】
明細書における一連の動作は、ハードウェアや、ソフトウェアや、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせから実行することができる。ソフトウェアによる該一連の動作の実行時には、コンピュータプログラムを専用ハードウェアに内蔵されたコンピュータのメモリにインストールし、コンピュータにより該コンピュータプログラムを実行させてもよい。或いは、コンピュータプログラムを各種処理が実行可能な汎用コンピュータにインストールし、コンピュータにより該コンピュータプログラムを実行させてもよい。
【0075】
例えば、コンピュータプログラムを記録媒体であるハードディスクやROMに予め保存するか、一時または永久的にコンピュータプログラムをフロッピや、CD−ROMや、MOや、DVDや、磁気ディスクや、半導体メモリ等のような移動記録媒体に記憶(記録)することができ、このような移動記録媒体をパッケージとして提供してもよい。
【0076】
前述の具体的な実施例によって、本発明を詳細に説明したが、本発明の精神を逸脱しない範囲内の、実施例へ修正や代替が可能なことは言うまでもない。換言すると、本発明は、説明の形式で開示されており、制限的に解釈されるものではない。本発明の要旨は、添付された請求範囲で判断されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、電子文書ラスタライズ方法及び電子文書ラスタライズ装置に関する分野に利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】米国特許公開公報US2005/0286063A1
【特許文献2】米国特許公開公報US2009/0195811A1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域サイズと電子文書のページサイズにより、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を算出し、該初期解像度により、ページ概略図のラスタライズを行う概略図ラスタライズステップと、
指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割するページ分割ステップと、
関心位置の指定に応じて、前記複数の領域ブロックにおいて現在の関心領域を決定する関心領域決定ステップと、
ページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定し、前記指定された解像度により、前記現在の関心領域に属する文書ブロックのラスタライズを行うことにより、現在の関心領域をラスタライズする関心領域ラスタライズステップと、を有する、電子文書ラスタライズ方法。
【請求項2】
前記ページ分割ステップにおいて、表示領域幅をwpanelとし、表示領域高さをhpanelとし、ページの文書ユーザ空間における幅をwpageとし、ページの文書ユーザ空間における高さをhpageとし、文書空間から表示装置空間までのマッピング係数をaとし、指定された解像度を
(外15)

とし、ページの分割により得られた領域ブロックの列数をwnumberとし、ページの分割により得られた領域ブロックの行数をhnumberとした時、下記式
【数7】

により、ページの分割により得られた領域ブロックの行列数を決定する、請求項1に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項3】
解像度の変更操作を検知し、検知した解像度の変更操作に応じて、変更後の解像度を前記指定された解像度とし、ページ分割ステップの処理を行う解像度変更検知ステップをさらに有する、請求項1に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項4】
前記概略図ラスタライズステップにおいて、表示領域幅をwpanelとし、表示領域高さをhpanelとし、電子文書ページの文書ユーザ空間における幅をwpageとし、電子文書ページの文書ユーザ空間における高さをhpageとし、最小値を算出する演算をmin()とし、文書空間から表示装置空間までのマッピング係数をaとし、概略図の既定解像度をbとし、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を
(外16)

とし、表示領域幅の、ページの文書ユーザ空間における幅に対する比率をwscaleとし、表示領域高さの、ページの文書ユーザ空間における高さに対する比率をhscaleとした時、下記式
【数8】

により、前記初期解像度を算出する、請求項1に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項5】
関心領域の変動動作を検知し、検知した関心領域の変動動作に応じて、ページ中に関心領域の位置を変動し、変動後の関心領域を現在の関心領域とし、前記関心領域ラスタライズ化ステップの処理を行う関心領域変動検知ステップをさらに有する、請求項1に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項6】
関心領域の以前の変動方向とキャラクタ方向により、現在の関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズ順序を決定するラスタライズ順序決定ステップをさらに有する、請求項5に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項7】
関心領域の位置変動があると、ラスタライズ順序決定ステップで決められた隣接領域ブロックのラスタライズ順序に、ページ中の前記隣接領域ブロックに属する文書ブロックの決定を順次行い、現在の関心領域の隣接領域ブロックをラスタライズし、関心領域の位置変動がないと、隣接領域ブロックの既定のラスタライズ順序に、ページ中の前記隣接領域ブロックに属する文書ブロックの決定を順次行い、現在の関心領域の隣接領域ブロックのラスタライズを行う隣接領域ブロックラスタライズステップをさらに有する、請求項6に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項8】
ページの文書ブロックが、キャラクタブロックと画像ブロックとグラフィックブロックに分類され、前記領域ブロックの文書ブロック集合を
(外17)

とし、該領域ブロックのキャラクタブロック集合を
(外18)

とし、該領域ブロックの画像ブロック集合を
(外19)

とし、該領域ブロックのグラフィックブロック集合を
(外20)

とし、最小外接矩形を算出するための演算をBBox()とし、面積を算出するための演算をArea()とし、ページ中のキャラクタブロックをTextRunとし、ページ中の画像ブロックをImageとし、ページ中のグラフィックスブロックをGraphicsとし、ラスタライズすべき領域ブロックをRegionとし、所定の比例値をそれぞれσ1、σ2とした時、以下の式
【数9】

により、ページ中のラスタライズすべき領域ブロックに属する文書ブロックを決定する、請求項7に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項9】
領域ブロックのラスタライズ化に用いられるリソースと結果を記憶する記憶ステップをさらに有する、請求項8に記載の電子文書ラスタライズ方法。
【請求項10】
表示領域サイズと電子文書のページサイズにより、ラスタライズ化ページの概略図の初期解像度を算出し、該初期解像度により、ページ概略図のラスタライズを行う概略図ラスタライズ装置と、
指定された解像度と、表示領域サイズにより、ページを複数の領域ブロックに分割するページ分割装置と、
関心位置の指定に応じて、前記複数の領域ブロックにおいて現在の関心領域を決定する関心領域決定装置と、
ページ中の前記現在の関心領域に属する文書ブロックを決定し、前記指定された解像度により、前記現在の関心領域に属する文書ブロックのラスタライズを行うことにより、現在の関心領域をラスタライズする関心領域ラスタライズ装置と、を有する、電子文書ラスタライズ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25316(P2013−25316A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162564(P2012−162564)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】