説明

電子文書編集装置、電子文書編集方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】ファンドの設定および維持に必要な文書を好適に作成するための技術を提供すること。
【解決手段】項目分けされた電子文書を編集する電子文書編集装置であって、項目分けされた第1の電子文書60と、項目分けされた第2の電子文書70とを、対応する項目同士が並ぶように表示する表示部13と、第1の電子文書60における任意の項目を、第2の電子文書70における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えるべき第1の指示の入力を受け付けるUI部11と、UI部11が上記第1の指示を受け付けたとき、第1の電子文書60における任意の項目を、第2の電子文書70における上記任意の項目に対応する項目によって置き換える文書編集部123と、を備えている電子文書編集装置100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書を処理する技術に関するものであり、特に、電子文書を編集する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の市場には、常時、約2700〜3000のファンドが存在している。毎年、約300〜400のファンドが新規設定ファンドとして新しく設定され、同時に、約300〜400のファンドが償還されている。なお、新規設定ファンドは、次年度以降には、継続開示ファンドとなる。
【0003】
新規設定ファンドを設定する際には、投資信託会社(投信会社)は、例えば、有価証券届出書、交付/請求目論見書など、様々な書類を作成する必要がある。また、継続開示ファンドについては、投信会社は、有価証券報告書、半期報告書などを随時作成する必要がある。また、状況の変化等に応じて、適宜、訂正届出書、訂正報告書などを提出することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−222385号明細書(平成14年8月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらファンドの設定および維持に必要な文書は、一般に、熟練した担当者の属人的な能力(知識、経験など)に依って作成されている。そのため、多数のファンドを担当する担当者には多大な負担がかかり、この負担を軽減するための技術が求められている。
【0006】
特許文献1には、コンピュータシステムを利用して各決算開示文書を作成するための作成システムが開示されている。特許文献1に記載の作成システムでは、各決算開示書類を作成するための数値データ群を共通データと固有データとに区分して利用可能にしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の作成システムは、各決算開示文書を作成するためのシステムである。それゆえ、ファンドの設定および維持に必要な文書を作成するための労力をより好適に軽減することができる技術があれば、より好ましい。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ファンドの設定および維持に必要な文書を好適に作成するための技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子文書編集装置は、上記課題を解決するために、項目分けされた電子文書を編集する電子文書編集装置であって、項目分けされた第1の電子文書と、項目分けされた第2の電子文書とを、対応する項目同士が並ぶように表示する表示手段と、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えるべき第1の指示の入力を受け付ける入力手段と、上記入力手段が上記第1の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換える置き換え手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
ファンドの設定および維持に必要な文書において、異なるファンドのための文書間においても、部分的に同一の内容を有する場合がある。それゆえ、同一の内容を有する部分については、一つの文書について作成または修正したものを、他の文書に対しても反映し得るようになっていることが好ましい。しかし、異なるファンドのための文書であるので、自動的に上記反映がなされた場合、好ましくない結果を生む場合がある。
【0011】
ここで、上記の構成によれば、第1の電子文書と、第2の電子文書とを、対応する項目同士が並ぶように表示し、第1の電子文書の任意の項目を、第2の電子文書の対応する項目で置き換える指示の入力を受け付ける。これにより、ユーザは、容易に、ユーザの所望するように電子文書間における項目の置き換えを行うことができる。これにより、一つの文書について作成または修正した項目を、他の文書に対しても容易に反映させることができる上、誤って不要な反映を行うことを防ぐことができる。
【0012】
以上により、上記の構成によれば、ファンドの設定および維持に必要な文書を好適に作成することができる。
【0013】
本発明に係る電子文書編集装置において、上記第1の電子文書および上記第2の電子文書では、各項目を識別するための文字列が各項目に付されており、上記任意の項目に付された上記識別するための文字列と、上記対応する項目に付された上記識別するための文字列とが同一であることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、第1および第2の電子文書間において、各項目を識別するための文字列(見出し)が同一である項目同士が並んで表示される。これにより、対応する項目同士を首尾よく並べて表示することができる。
【0015】
本発明に係る電子文書編集装置では、上記入力手段は、上記第2の電子文書における上記対応する項目を、上記第1の電子文書における上記任意の項目によって置き換えるべき第2の指示の入力をさらに受け付け、上記置き換え手段は、上記入力手段が上記第2の指示を受け付けたとき、上記第2の電子文書における上記対応する項目を、上記第1の電子文書における上記任意の項目によって置き換えることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、第2の電子文書の任意の項目を、第1の電子文書の対応する項目で置き換える指示の入力を受け付けることができる。これにより、ユーザは、さらに容易に、ユーザの所望するように電子文書間における項目の置き換えを行うことができる。
【0017】
本発明に係る電子文書編集装置では、上記入力手段は、上記第2の電子文書に代えて、項目分けされた第3の電子文書を表示すべき第3の指示の入力を受け付け、上記表示手段は、上記入力手段が上記第3の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書と、上記第3の電子文書とを、対応する項目同士が並ぶように表示することが好ましい。また、上記入力手段は、上記表示手段が上記第1の電子文書と上記第3の電子文書とを対応する項目同士が並ぶように表示しているとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第3の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えるべき第4の指示の入力を受け付け、上記置き換え手段は、上記入力手段が上記第4の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第3の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えることがより好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、第3の指示を受け付けたときに、第2の電子文書の代わりに、第3の電子文書を表示させる。これにより、ユーザは、第1の電子文書と第3の電子文書との間で項目の置き換えを行うことができる。このように、上記の構成によれば、項目の置き換え対象となる電子文書を容易に変更することができるため、ユーザは、さらに容易に、ユーザの所望するように電子文書間における項目の置き換えを行うことができる。
【0019】
本発明に係る電子文書編集装置では、上記第1の電子文書および上記第2の電子文書が、有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、約款、および目論見書からなる群より選ばれる電子文書であることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、約款、および目論見書といった、ファンドの設定および維持に必要な文書を首尾よく作成することができる。
【0021】
本発明に係る電子文書編集方法は、項目分けされた電子文書を編集する電子文書編集方法であって、項目分けされた第1の電子文書と、項目分けされた第2の電子文書とを、対応する項目同士が並ぶように表示する表示工程と、上記表示工程の後、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えるべき第1の指示の入力を受け付ける入力工程と、上記入力工程において上記第1の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換える置き換え工程と、を包含していることを特徴としている。
【0022】
上記の方法によれば、本発明に係る電子文書編集装置と同等の効果を奏することができる。
【0023】
また、本発明に係る装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータに上記の各装置の機能を実現させるプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る電子文書編集装置によれば、ユーザは、容易に、ユーザの所望するように電子文書間における項目の置き換えを行うことができる。これにより、一つの文書について作成または修正した項目を、他の文書に対しても容易に反映させることができる上、誤って不要な反映を行うことを防ぐことができ、ファンドの設定および維持に必要な文書を好適に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子文書編集装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す電子文書編集装置が編集処理する電子文書の項目の一例を示す図である。
【図3】図1に示す電子文書編集装置が編集処理する電子文書のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】図1に示す電子文書編集装置による編集処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す編集処理中の表示画面の一例を示す図である。
【図6】図1に示す電子文書編集装置による編集処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す編集処理中の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
本発明に係る第1の実施形態について、図1〜図5を参照して以下に説明する。
【0027】
<電子文書編集装置100の構成>
まず、本実施形態に係る電子文書編集装置100について、図1を参照にして以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子文書編集装置100の要部構成を示すブロック図である。この図に示すように、電子文書編集装置100は、端末装置1およびサーバ2から構成される。両者は、通信ネットワーク3を介して互い接続され、指示およびデータをやり取りする。
【0028】
端末装置1は、ユーザインタフェース(UI)部11、制御部12、表示部13、および通信部14を備えている。制御部12は、編集処理部120を備えており、編集処理部120は、文書取得部121、記憶部122、および文書編集部123を備えている。各部材の詳細については後述する。
【0029】
サーバ2は、制御部21、文書記憶部22、および通信部24を備えている。各部材の詳細については後述する。
【0030】
<電子文書編集装置100の概要>
端末装置1は、サーバ2から取得した第1の電子文書60および第2の電子文書70を、対応する項目同士が並ぶように表示する。そして、表示している対応する項目同士のうち何れか一方で他方を置き換える指示の入力を受け付け、当該指示の通りに置き換えを行う。
【0031】
本実施形態において、第1の電子文書60および第2の電子文書70はともに有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、約款、目論見書などの、ファンドの設定または維持のために必要となる電子文書である。そのため、本実施形態に係る電子文書編集装置100によれば、ファンドの設定または維持のために必要となる電子文書の作成に当たり、他の文書と同一の内容で作成すべき部分について、他の文書からの置き換えで対応可能であるため、当該電子文書を効率よく作成することができる。
【0032】
<第1の電子文書60および第2の電子文書70の一例>
本発明に係る電子文書編集装置の編集処理対象とする電子文書は、項目分けされている電子文書である。本明細書において、電子文書が「項目分けされている」とは、当該電子文書が有する項目、および、当該電子文書における各項目の内容が、容易に(自然言語解析技術を必要とせずに)取得可能な状態を指し、特に、当該電子文書が有する項目、および、各項目と各項目の内容との関連付けを表すデータを、当該電子文書が含んでいるか、または、上記データが当該電子文書に関連付けられている状態を指す。
【0033】
上述したように、第1の電子文書60および第2の電子文書70は、有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、約款、目論見書などであり得る。例えば、第1の電子文書60および第2の電子文書70が有価証券届出書である場合、図2(a)に示すような項目(例えば、「(4)発行(売出)価格」、「(5)申込手数料」など)によって項目分けされている。また、第1の電子文書60および第2の電子文書70が約款である場合、図2(b)に示すような項目(例えば、「(信託事務の委託)」、「(信託金の目的および金額)」など)によって項目分けされている。
【0034】
図3は、第1の電子文書60のデータ構造の一例を示す図である。本実施形態において、第1の電子文書60における各項目はツリー構造を構成している。図3に示す第1の電子文書60は、項目分けデータ61と、内容データ62とを含んでいる。
【0035】
項目分けデータ61は、第1の電子文書60が有する項目、および各項目間の論理構造を表すデータである。項目分けデータ61は、例えば、XMLのような入れ子構造またはツリー構造のデータ形式を有しており、第1の電子文書60の有するツリー構造を表現している。
【0036】
図3に示す例では、大項目「1」600の下位ノードとして、中項目「(1)」602、中項目「(2)」608、および中項目「(3)」610が存在する。また、中項目「(1)602」の下位ノードとしては、小項目「丸1」604、および小項目「丸2」606が存在する。また、中項目「(2)」608の下位ノードとしては、小項目「丸1」604、および小項目「丸2」606が存在する。これらの内、下位ノードを有さない項目(小項目「丸1」604、小項目「丸2」606、中項目「(2)」608、小項目「丸1」612、および小項目「丸2」614)には、内容データ62において対応部分が存在する。なお、本明細書において、各項目の番号を、その上位ノードの番号を含めて表現する場合がある。例えば、小項目「丸1」604は、項目「1(1)丸1」604と表現する場合がある。このような上位ノードの番号を含められた番号を用いることにより、各項目を電子文書内において一意に識別することができる。
【0037】
また、各項目には、各項目の見出しを表すデータ(見出し601、603、605、607、609、611、613、および615。例えば、見出し601は、項目「1」600に対応する)が含まれている。なお、見出しには、図2に示すように、各項目の内容の主題または概略を表す文字列が含まれ得る。
【0038】
内容データ62は、各項目の内容を表すデータである。内容データ62は、例えば、項目毎の内容を表すHTMLファイルによって構成されている。項目分けデータ61において、下位ノードを有さない項目には、各項目を一意に識別するIDが付されており、内容データ62における各項目に対応する内容にも同一のIDが関連付けられている(例えば、各項目に対応する内容を表すHTMLファイルのファイル名が、該当IDを含んでいる)。これにより、各項目と、その対応する内容とが関連付けられている。
【0039】
なお、図3に示した構造はあくまでも説明のための一例であり、ツリー構造の階層数、項目(ノード)の数等は、特に限定されない。なお、ツリー構造が1階層である場合は、リスト構造と称してもよい。
【0040】
以上のように第1の電子文書60が構成されることにより、電子文書編集装置100の各装置(端末装置1およびサーバ2)は、第1の電子文書60が有する項目、項目間の論理構造、各項目の内容、および各項目の見出しを容易に取得することができる。
【0041】
なお、第2の電子文書70も、項目分けデータ71および内容データ72を含んでおり、第1の電子文書60と同様に構成されている。
【0042】
<電子文書比較処理の一例>
電子文書編集装置100における電子文書編集処理の一例について、図4を参照して以下に説明する。図4は、端末装置1が、サーバ2から取得した電子文書を表示して、ユーザからの指示に基づいて、任意の項目を他の電子文書の対応する項目で置き換える処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
まず、端末装置1の編集処理部120の文書編集部123は、編集処理を開始すると、まず、文書取得部121に、通信部14を介して、サーバ2から、サーバ2の文書記憶部22に記憶されている第1の電子文書60および第2の電子文書70を取得させる(ステップS1)。文書取得部121が取得した電子文書は、記憶部122に記憶される。
【0044】
続いて、編集処理部120の文書編集部123は、記憶部122から、第1の電子文書60および第2の電子文書70を取得し、表示部13に表示させる(ステップS2)。
【0045】
図5(a)に、ステップS2において表示部13に表示させる表示画面130の一例を示す。図5(a)に示すように、表示画面130は、表の形式を有しており、各列に、各項目の見出し131、第1の電子文書60の各項目、各項目を置き換えるためのコピーボタン133、および第1の電子文書60の各項目134を示している。表の各行は、各項目に対応しており、スクロールバー135によって、表示する項目を変更できるようになっている。
【0046】
すなわち、図5(a)に示すように、各行には、同一の見出し(例えば、「(5)申込手数料」)を有する第1の電子文書60の項目132a(内容が「〜とします。但し、〜となります。」)および第2の電子文書70の項目134a(内容が「〜とします。尚、〜は〜です。」)を並べて表示している。
【0047】
ここで、UI部11は、表示画面130に対するユーザからの入力を受け付ける(ステップS3)。UI部は、例えば、マウス、タッチパネル、キーボードを介した入力を解釈するものであり、コピーボタン133およびスクロールバー135への入力を受け付ける。
【0048】
ここで、コピーボタン133(例えば、見出し「(5)申込手数料」の行の、第1の電子文書60から第2の電子文書70へのコピーの指示(第2の指示)のためのコピーボタン133a)を押下する入力をUI部11が受け付ける(ステップS4のYES)と、文書編集部123は、第2の電子文書70の項目(例えば、項目134a)を、第1の電子文書60の対応する項目(例えば、項目132a)の内容で置き換える(図5(b)、ステップS5)。置き換えた後の電子文書は、記憶部122に記憶させる。
【0049】
その後、ステップS3に戻り、再度処理を繰り返す。例えば、次に、ユーザが、第2の電子文書70の項目134b(内容が「〜とします。尚、〜されます。」)から第1の電子文書60の項目132b(内容が「〜とします。」)へのコピーの指示(第1の指示)のためのコピーボタン133bを押下した場合には、2回目のステップS5において、文書編集部123は、第1の電子文書60の項目132bを、第2の電子文書70の項目134bの内容で置き換える(図5(c))。
【0050】
また、ステップS3において編集を終了させるための操作が入力された場合(ステップS6におけるYES)、文書編集部123は、置き換え処理を行った後の第1の電子文書60および第2の電子文書70をそれぞれ、通信部14を介して、サーバ2へと送信する。サーバ2の制御部21は、通信部24において受信した電子文書を再度文書記憶部22に保存する。一方、ステップS3において編集を終了させるための操作が入力されなかった場合には、ステップS3に戻る。
【0051】
<本実施形態の利点>
ファンドの設定および維持に必要な文書において、異なるファンドのための文書間においても、部分的に同一の内容を有する場合がある。それゆえ、同一の内容を有する部分については、一つの文書について作成または修正したものを、他の文書に対しても反映し得るようになっていることが好ましい。しかし、異なるファンドのための文書であるので、自動的に上記反映がなされた場合、好ましくない結果を生む場合がある。
【0052】
ここで、本実施形態に係る電子文書編集装置100によれば、第1の電子文書60と、第2の電子文書70とを、対応する項目同士が並ぶように表示し、相互の項目間で置き換える指示の入力を受け付ける。これにより、ユーザは、容易に、ユーザの所望するように電子文書間における項目の置き換えを行うことができる。これにより、一つの文書について作成または修正した項目を、他の文書に対しても容易に反映させることができる上、誤って不要な反映を行うことを防ぐことができる。
【0053】
また、第1の電子文書60と、第2の電子文書70とを、対応する項目同士が並ぶように表示されていることにより、ユーザは、どこの項目について置き換えを行うべきかを容易に確認することができる。
【0054】
さらに、置き換え、すなわちオーバーライドを行うため、重複した内容がコピーさせるなどのミスを防ぐことができる。
【0055】
<比較する電子文書に関する変形例>
また、第1の電子文書60および第2の電子文書70における項目分けデータおよび内容データのデータ形式は、特に限定されない。例えば、内容データは、項目ごとにファイル分けされたHTMLである必要はなく、一つのHTMLファイルであってもよく、XMLファイル、テキストファイル、ワードプロセッサ用データファイル、所定のデータベースに登録されたデータで有り得る。項目分けデータについても、XMLファイルに限定されず、第1の電子文書60および第2の電子文書70における項目間の論理構造を表現し得るデータ形式であればよい。また、第1の電子文書60および第2の電子文書70における項目間の論理構造は、ツリー構造に限定されず、例えば、リスト構造であってもよい。
【0056】
また、項目分けデータおよび内容データは、一つのファイルに含まれていてもよいし、互いに関連付けられた別ファイルとして存在していてもよい。
【0057】
また、下位ノードを有する項目(例えば、図3における項目「1」600)について、対応する内容が内容データに含まれていてもよい。
【0058】
また、第1の電子文書60、第2の電子文書70、および第3の電子文書80は、例えば、端末装置1からサーバ2に送信され、サーバ2の文書記憶部22に記憶されたものであり得る。
【0059】
<システム構成の変形例>
サーバ2に接続される端末装置1の数は特に限定されず、端末装置1とサーバ2との接続は多対一となっていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、電子文書編集装置100を、端末装置1とサーバ2とから構成しているが、一つの装置によって構成してもよい。端末装置1は、本発明に係る電子文書編集装置が備える表示手段、入力手段、および置き換え手段を備えているため、端末装置1単体で、本発明に係る電子文書編集装置を構成し得る。
【0061】
〔第2の実施形態〕
本発明に係る第2の実施形態について、図1、図6、図7を参照して以下に説明する。第2の実施形態における電子文書編集装置100は、図1に示すものとほぼ同様の構成を有している。第2の実施形態では、電子文書編集装置100が、表示部13に表示する表示画面130およびUI部11が受け付ける指示が第1の実施形態と異なっている。
【0062】
図6は、第2の実施形態における端末装置1の動作を示すフローチャートである。
【0063】
まず、端末装置1の編集処理部120の文書編集部123は、編集処理を開始すると、まず、文書取得部121に、通信部14を介して、サーバ2から、サーバ2の文書記憶部22に記憶されている同一グループの電子文書群(第1の電子文書60、第2の電子文書70、および第3の電子文書80)を取得させる(ステップS11)。文書取得部121が取得した電子文書は、記憶部122に記憶される。
【0064】
ここで、「同一グループの電子文書群」とは、異なる電子文書ではあるが、似たような内容を部分的に有する電子文書からなる電子文書群である。このような電子文書群は、例えば、異なるファンドについての、同種の書類(例えば、有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、約款、目論見書の何れか)または類似する書類(例えば、有価証券届出書と有価証券報告書、有価証券報告書と半期報告書など)である。何れの電子文書が同一グループに属するかは、予めサーバ2の文書記憶部22に記憶させてもよいし、ユーザがUI11を介して都度入力してもよい。
【0065】
続いて、編集処理部120の文書編集部123は、記憶部122から、二つの電子文書(例えば、第1の電子文書60および第2の電子文書70)を取得し、表示部13に表示させる(ステップS12)。
【0066】
図7(a)に、ステップS12において表示部13に表示させる表示画面130の一例を示す。図7(a)に示す表示画面130は、図5(a)示す表示画面に対して、表示する文書を切換える指示(第3の指示)のためのボタン136aおよび136bが加わっている点が異なっている。
【0067】
ユーザの操作の受付(ステップS13)、コピーボタンを押下された時の処理(ステップS14、S15)、および編集終了時の処理(ステップS18、S19)は、第1の実施形態と同様である。一方、ボタン136aまたは136bが押下された時(ステップS16のYES)、第2の実施形態特有の動作を行う。
【0068】
すなわち、ボタン136aまたは136bが押下された時(ステップS16のYES)、表示部13に表示する電子文書を変更する(ステップS17)。
【0069】
例えば、図7(a)に示す表示画面130において、ボタン136bを押下する入力をUI部11が受け付けたとき、文書編集部123は、記憶部122から表示しているものは異なる電子文書(例えば、第3の電子文書80)を取得し、表示している電子文書(例えば、第2の電子文書70)の代わりに表示部13に表示させる(図7(b))。
【0070】
この状態において、ステップS13においてユーザがコピーボタン133aを押下げたとき、UI部11は、第1の電子文書60の項目132a(内容が「〜とします。但し、〜となります。」)から第3の電子文書80の項目134a(内容が「〜とします。但し、Xとなります。」)へのコピーの指示(第4の指示)を受け付ける。そして、文書編集部123は、項目134aを項目132aの内容で置き換える(図7(c))。
【0071】
<本実施形態の利点>
本実施形態に係る電子文書編集装置100によれば、同一グループ間で、部分的な置き換えを容易に行うことができる。すなわち、置き換えのための表示画面130に表示させる電子文書を次々と切換えることができるため、一つの文書について作成または修正した項目を、他の多数の文書に対して容易に反映させることができる。
【0072】
<変形例>
第1の実施形態における開示内容は、すべて、本実施形態にも等しく適用される。したがって、第1の実施形態の開示内容を、第2の実施形態の開示内容に組み合わせて得られる各種の変形例は、いずれも、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0073】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0074】
<プログラムおよび記録媒体>
最後に、サーバ2の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0075】
後者の場合、電子文書編集装置100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである電子文書編集装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、サーバ2に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0076】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0077】
また、電子文書編集装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0078】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、ファンドの設定および維持に必要な文書を作成するためのシステムを構築するために利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 端末装置
2 サーバ
11 UI部(入力手段)
13 表示部(表示手段)
60 第1の電子文書
70 第2の電子文書
80 第3の電子文書
100 電子文書編集装置
123 文書編集部(置き換え手段)
130 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
項目分けされた電子文書を編集する電子文書編集装置であって、
項目分けされた第1の電子文書と、項目分けされた第2の電子文書とを、対応する項目同士が並ぶように表示する表示手段と、
上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えるべき第1の指示の入力を受け付ける入力手段と、
上記入力手段が上記第1の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換える置き換え手段と、を備えていることを特徴とする電子文書編集装置。
【請求項2】
上記第1の電子文書および上記第2の電子文書では、各項目を識別するための文字列が各項目に付されており、
上記任意の項目に付された上記識別するための文字列と、上記対応する項目に付された上記識別するための文字列とが同一であることを特徴とする請求項1に記載の電子文書編集装置。
【請求項3】
上記入力手段は、上記第2の電子文書における上記対応する項目を、上記第1の電子文書における上記任意の項目によって置き換えるべき第2の指示の入力をさらに受け付け、
上記置き換え手段は、上記入力手段が上記第2の指示を受け付けたとき、上記第2の電子文書における上記対応する項目を、上記第1の電子文書における上記任意の項目によって置き換えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子文書編集装置。
【請求項4】
上記入力手段は、上記第2の電子文書に代えて、項目分けされた第3の電子文書を表示すべき第3の指示の入力を受け付け、
上記表示手段は、上記入力手段が上記第3の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書と、上記第3の電子文書とを、対応する項目同士が並ぶように表示することを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の電子文書編集装置。
【請求項5】
上記入力手段は、上記表示手段が上記第1の電子文書と上記第3の電子文書とを対応する項目同士が並ぶように表示しているとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第3の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えるべき第4の指示の入力を受け付け、
上記置き換え手段は、上記入力手段が上記第4の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第3の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えることを特徴とする請求項4に記載の電子文書編集装置。
【請求項6】
上記第1の電子文書および上記第2の電子文書が、有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、約款、および目論見書からなる群より選ばれる電子文書であることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の電子文書編集装置。
【請求項7】
項目分けされた電子文書を編集する電子文書編集方法であって、
項目分けされた第1の電子文書と、項目分けされた第2の電子文書とを、対応する項目同士が並ぶように表示する表示工程と、
上記表示工程の後、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換えるべき第1の指示の入力を受け付ける入力工程と、
上記入力工程において上記第1の指示を受け付けたとき、上記第1の電子文書における任意の項目を、上記第2の電子文書における上記任意の項目に対応する項目によって置き換える置き換え工程と、を包含していることを特徴とする電子文書編集方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から6までの何れか1項に記載の電子文書編集装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記電子文書編集装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−118617(P2012−118617A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265528(P2010−265528)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(597095599)株式会社プロネクサス (8)
【Fターム(参考)】