説明

電子時計、及び電子機器

【課題】構成を簡略化できる電子時計、及び電子機器を提供する。
【解決手段】腕時計1は、Aボタン6と、Aボタン6の入力操作に基づいて腕時計1の動作モードを設定するモード設定部32と、GPS衛星から送信される衛星信号を受信するGPS装置25と、GPS装置25を制御して衛星信号を受信させる受信制御部33と、受信した衛星信号に基づいて内部時刻情報を修正する時刻修正部34と、を備え、モード設定部32は、Aボタン6が継続して操作された入力継続時間に基づいて、1機以上のGPS衛星からの衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正する測時モードと、3機以上のGPS衛星からの衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報に基づいて内部時刻情報を修正する測位モードと、を切り替えて動作モードに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS衛星等の位置情報衛星から送信される電波を受信する電子時計、及び当該電子時計を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
自己位置を測位するためのシステムであるGPS(Global Positioning System)システムでは、地球を周回する軌道を有するGPS衛星が用いられており、このGPS衛星には、原子時計が備えられている。このため、GPS衛星は、極めて正確な時刻情報(GPS時刻、衛星時刻情報)を有している。
【0003】
このGPS衛星から送信される航法データに含まれる時刻情報を利用して、計時手段で計時している内部時刻情報を補正する電子時計が知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1には、少なくとも1つのGPS衛星からの衛星信号に基づいて内部時刻情報を修正する測時モードと、複数のGPS衛星からの衛星信号に基づいて測位計算を行い、内部時刻情報の時差を修正する測位モードとを切り替え可能な構成が記載されている。また、これらのモードの切り替えとして、リューズや2つのボタンを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−78546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子時計において、1つの操作部(ボタン等)に対して1つの機能を割り当てると、電子時計が有する機能の数だけ操作部を設ける必要がある。例えば、上記特許文献1では、1つのボタンを押すことで測時モードに切り替え、他方のボタンを押すことで測位モードに切り替える構成とすることができる。しかしながら、電子時計に、例えばボタン操作による時刻修正機能やカレンダー表示等の他の機能を持たせる場合、更にボタン等の操作部を増設する必要があり、構成が複雑化するという課題がある。
【0006】
本発明では、構成を簡略化できる電子時計、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子時計は、位置情報衛星から送信される衛星信号に基づいて内部時刻情報を修正する電子時計であって、外部操作部材と、前記外部操作部材の入力操作に基づいて、当該電子時計の動作モードを設定するモード設定部と、前記位置情報衛星から送信される前記衛星信号を受信する受信部と、前記動作モードに基づいて、前記受信部の動作を制御して衛星信号を受信させる受信制御部と、前記受信部により受信した衛星信号に基づいて、前記内部時刻情報を修正する時刻修正部と、を備え、前記モード設定部は、前記外部操作部材が継続して操作された入力継続時間に基づいて、1機以上の前記位置情報衛星からの衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて前記内部時刻情報を修正する第一モードと、3機以上の前記位置情報衛星からの衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報に基づいて前記内部時刻情報を修正する第二モードと、を切り替えて前記動作モードに設定することを特徴とする。
【0008】
なお、入力継続時間とは、外部操作部材への入力操作が開始されてから、当該入力操作が停止されるまでの時間であり、例えば外部操作部材が、押下されることで入力状態となるボタンでは、ボタンが継続して押下されている時間(押下開始から押下状態が解除されるまでの時間)を指す。
【0009】
本発明によれば、モード設定部は、外部操作部材が操作された際の入力継続時間に応じて、動作モードを第一モードと、第二モードとに切り替える。
ここで、第一モードは、少なくとも1機以上の位置情報衛星からの衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて時刻を修正するモードである。この第一モードでは、受信される衛星信号としては、例えば1機の位置情報衛星からの衛星信号のみであってもよい。このような第一モードでは、受信感度が低い環境下においても、内部時刻情報の修正を実施することが可能となる。一方、第二モードでは、少なくとも3機以上の位置情報衛星からの衛星信号が必要となるが、これらの衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報を用いた高精度な時刻修正が可能となる。
そして、本発明では、このような第一モード及び第二モードが、一つの外部操作部材の入力継続時間により切り替えられるので、各動作モードの処理を実施するために、それぞれの動作モードに対応した複数の外部操作部材を設ける必要がなく、1つの外部操作部材のみにより、2つのモードを切り替えて設定することができる。これにより、本発明では、電子時計の構成を簡略化することができ、電子時計の小型化にも貢献できる。
【0010】
本発明の電子時計では、前記モード設定部が前記動作モードとして前記第一モードを設定する場合の前記入力継続時間は、当該モード設定部が前記動作モードとして前記第二モードを設定する場合の前記入力継続時間よりも短いことが好ましい。
本発明によれば、モード設定部が第一モードに設定する場合の入力継続時間は、第二モードに設定する場合の入力継続時間よりも短く設定されている。
一般に、第一モードによる時刻修正は、第二モードによる時刻修正よりも短時間で実施可能であるため、使用頻度が高くなる。本発明では、第一モードに対応する入力継続時間が第二モードに対応する入力継続時間よりも短く設定されるため、使用頻度が高い第一モードの時刻修正を手早く実施することができ、利用者による時刻修正の利便性を向上させることができる。
【0011】
本発明の電子時計では、前記時刻修正部は、前記モード設定部により設定された前記動作モードが前記第二モードである場合、前記衛星信号に含まれる前記時刻情報及び前記位置情報に基づいて、当該電子時計の現在位置における標準時間を算出して内部時刻情報を修正することが好ましい。
本発明によれば、第二モードでは、時刻修正部は、受信した衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報に基づいて、電子時計の現在位置を算出し、その現在位置における標準時間(ローカルタイム)を算出して、内部時刻情報を修正する。これにより、内部時刻情報を、現在位置におけるローカルタイムに精度よく合わせることができ、特に、時差が異なる地域を跨って移動する場合に、電子時計の利便性を高くすることができる。
【0012】
本発明の電子時計では、前記受信部による前記衛星信号の受信が成功したか否かを示す受信結果を記憶する受信結果記憶部と、前記受信結果を表示する受信結果表示部と、前記受信結果を前記受信結果表示部に表示させる結果表示制御部と、を備え、前記モード設定部は、前記入力継続時間に基づいて、前記受信結果記憶部に記憶された前記受信結果を表示させる第三モードを、前記動作モードとして設定し、前記結果表示制御部は、前記動作モードとして前記第三モードが設定された場合に、前記受信結果を前記受信結果表示部に表示させることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、受信制御部により受信処理が実施されると、その受信処理が成功したか否かを示す受信結果が受信結果記憶部に記憶される。そして、外部操作部材が操作された際の入力継続時間に基づいて、モード設定部は、動作モードを第三モードに設定した場合、結果表示制御部により、受信結果記憶部に記憶されている受信結果が受信結果表示部に表示される。
このような構成では、利用者は、前回の受信処理を行った結果が成功であったか否かを容易に確認することができる。また、このような受信結果を表示させることで、利用者は、時刻修正のタイミングを容易に判断することができるので、電子時計の利便性を向上させることができる。
また、受信結果を表示させるために、別途外部操作部材を設ける必要がないため、上記発明と同様、電子時計の構成を簡略化でき、小型化にも貢献できる。
【0014】
本発明の電子時計では、前記モード設定部が前記動作モードとして前記第三モードを設定する場合の前記入力継続時間は、当該モード設定部が前記動作モードとして前記第一モード及び前記第二モードを設定する場合の前記入力継続時間よりも短いことが好ましい。
ここで、前回の受信処理における受信結果を参照することができる場合、利用者は、受信結果を確認した後に、時刻修正を実施するか否かを判断することが一般的である。このため、受信結果を確認するための第三モードは、時刻修正を実施するための第一モードや第二モードに比べて、使用頻度が高くなる。
これに対し、本発明では、第三モードに設定するための入力継続時間は、時刻修正を実施する第一モードや第二モードが設定される場合の入力継続時間よりも短く設定されている。このため、使用頻度が高い第三モードの受信結果表示を手早く実施することができ、電子時計の利便性を向上させることができる。
【0015】
本発明の電子時計では、前記外部操作部材が継続して操作されている操作時間を表示する操作時間表示部を有することが好ましい。
なお、「操作時間」とは、外部操作部材の入力操作が開始した時点から、当該入力操作が解除されず、継続している時間を指す。
本発明によれば、外部操作部材の操作時間が操作時間表示部に表示される。つまり、外部操作部材が継続して操作されている間、その操作時間が操作時間表示部に表示されることになる。このため、利用者は、操作時間を容易に把握することができる。したがって、例えば目標とする動作モードの入力継続時間に対して、どの程度、外部操作部材を継続操作すればよいか等を容易に確認することができる。
【0016】
本発明の電子時計では、前記外部操作部材が継続して操作されている操作時間に対応した前記動作モードを表示する設定モード表示部を有することが好ましい。
なお、本発明の「操作時間」においても、上記発明と同様に、外部操作部材の入力操作が開始した時点から、当該入力操作が解除されず、継続している時間を指す。
本発明によれば、外部操作部材の操作開始時点からの操作時間に対応して、現在の操作時間に対応した動作モードが表示部に表示される。
例えば、第一モードに設定するための入力継続時間が0秒からt1秒であり、第二モードに設定するための入力継続時間がt1秒以上である場合、外部操作部材の操作開始時点からの操作時間が0〜t1秒の間、設定モード表示部に第一モードを設定可能な旨が表示される。また、外部操作部材の操作開始時点からの操作時間がt1秒以上となると、設定モード表示部に第二モードを設定可能な旨が表示される。
このような構成では、利用者は、設定モード表示部に表示される動作モードを確認しながら、外部操作部材を継続操作することで、容易に目標とする動作モードを設定することができる。
【0017】
本発明の電子時計では、実行中の前記動作モードを表示する実行モード表示部を有することが好ましい。
本発明によれば、モード設定部により設定された動作モードに対応する処理が実施されている間、その動作モードが実行モード表示部に表示されるので、利用者は、現在、どの動作モードによる動作が実施されているかを容易に確認することができる。
【0018】
本発明の電子機器は、上述したような電子時計を備えることを特徴とする。
本発明によれば、1つの外部操作部材により、容易に電子時計の動作モードを切り替えることができ、構成の簡略化を図れる。したがって、このような電子時計を備える電子機器においても構成の簡略化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るGPS付き腕時計を示す概略図。
【図2】本実施形態の腕時計の正面図。
【図3】本実施形態の腕時計の主なハードウエア構成等を示す概略図。
【図4】本実施形態の腕時計の主なシステム構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態の腕時計における受信処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
[電子時計の構造]
図1は、本発明に係る時刻修正装置付き計時装置であるGPS時刻修正装置付き腕時計1(以下「腕時計1」という)を示す概略図であり、図2は腕時計1の正面図である。
【0021】
図1に示すように、腕時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星10のうち、少なくとも1つのGPS衛星10からの衛星信号を受信して衛星時刻情報を取得し、内部に保持した時刻情報(内部時刻情報)を修正できるように構成されている。なお、GPS衛星10は、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星10が周回している。
【0022】
この腕時計1は、図2に示すように、文字板2および指針3からなる時刻表示部と、本発明の外部操作部材であるAボタン6と、Bボタン7と、リューズ8と、を備える。このうち、指針3は、時針131、分針132、秒針133を備え、当該指針3は、ステップモーター等の機械的駆動手段により、歯車を介して駆動される。
文字板2には、一般的な時計と同様に、各指針3による時刻を指示するための目盛が形成されている。
また、文字板2には、後述するように、秒針133によって、受信結果を表示するための目盛も設定されている。本実施形態では、10秒の目盛位置に「Y」、20秒の目盛位置に「N」の各目盛が設定されている。なお、「Y」は「Yes」、「N」は「No」の略である。
【0023】
また、文字板2には、2つの小時計4,5が設けられている。第1小時計4は、指針3の回転軸に対し、文字板2の10時方向に配置されている。第2小時計5は、指針3の回転軸に対し、文字板2の6時方向に配置されている。
【0024】
第1小時計4は、第1指針141と、この第1指針141が指示する目盛が形成された第1文字板142とを備える。
【0025】
第1文字板142は、第1領域143および第2領域144に二分割されている。すなわち、第1文字板142は、円形に形成され、その中心を通る上下方向の直線、つまり文字板2の0時を示す位置と6時を示す位置とを結ぶ方向に沿った直線によって、文字板2の3時側(第1文字板142の右側)の第1領域143と、文字板2の9時側(第1文字板142の左側)の第2領域144とに分割されている。
【0026】
第1領域143には、曜日を示す目盛が設定されている。本実施形態では、図2に示すように、第1領域143の下側から反時計回りに、月曜日を示す「M」、火曜日を示す「T」、水曜日を示す「W」、木曜日を示す「T」、金曜日を示す「F」、土曜日を示す「S」、日曜日を示す「S」の各目盛が設定されている。なお、土曜日の「S」を青色、日曜日の「S」を赤色にすることで、曜日を容易に判断できるようにしてもよい。
【0027】
第2領域144には、緯度を示す目盛が形成されている。本実施形態では、図2に示すように、第1文字板142の9時位置に、緯度「0」の目盛が設定され、その位置から第1文字板142の12時位置(各領域の境界線)まで時計回りに北緯0〜90度の目盛が設定され、第1文字板142の6時位置(各領域の境界線)まで反時計回りに南緯0〜90度の目盛が設定されている。
【0028】
また、第2領域144には、第1指針141によって、腕時計1の動作モードを示す目盛も設定されている。本実施形態では、北緯45度を示す目盛位置に「I」、緯度「0」の目盛位置に「II」、南緯45度を示す目盛位置に「III」の各目盛が設定されている。なお、「I」は「受信結果表示モード」、「II」は「測時モード」、「III」は「測位モード」を示している。これらの各動作モードについては、後に詳述する。
【0029】
第2小時計5は、第2指針151と、この第2指針151が指示する目盛が形成された第2文字板152とを備える。
第2文字板152には、円周状の目盛153が設定されている。この目盛153は、24時針用の目盛と、経度を示す目盛として兼用されている。すなわち、目盛153の外周側には経度を示す目盛が記載され、内周側には24時針用の目盛が記載されている。
経度を示す目盛は、第2文字板152の12時位置(図2の上方側)に経度0度の目盛が設定され、第2文字板152の12時位置から3時位置を経て6時位置まで時計回りに西経0〜180度の目盛が設定され、第2文字板152の12時位置から9時位置を経て6時位置まで反時計回りに東経0〜180度の目盛が設定されている。
24時針用の目盛は、第2文字板152の12時位置に0時(24時)の目盛が設定され、時計回りに1〜23時の目盛が設定されている。
このような第1小時計4の第1指針141及び第2小時計5の第2指針151は、それぞれ独立したステップモーターで歯車を介して駆動される。
【0030】
ここで、本実施形態の腕時計1は、時刻表示部による表示モードとして、時刻表示モード、測位位置表示モード、及び動作表示モードを有する。
時刻表示モードは、ボタン6,7やリューズ8が操作されない通常の状態で、内部時刻情報に基づいた時刻を表示させる表示モードである。時刻表示モードでは、第1小時計4の第1指針141は、第1領域143において、内部時刻情報の曜日を示す位置に移動する。また、第2小時計5の第2指針151は、目盛153を24時針の目盛として利用し、内部時刻情報の時を示す位置に移動する。
【0031】
測位位置表示モードは、例えばBボタン7が押下されるなどすることで実施される表示モードであり、小時計4,5により現在位置の緯度、経度を表示させる表示モードである。この測位位置表示モードでは、第1小時計4の第1指針141は、第2領域144において、取得した現在位置情報の緯度を示す位置に移動する。また、第2小時計5の第2指針151は、取得した現在位置情報の経度を示す位置に移動する。
【0032】
動作表示モードは、Aボタン6が押下されることで、腕時計1の動作モードを示すモードである。この動作モードとしては、上述したように、受信結果表示モード、測時モード、及び測位モードがある。そして、この動作表示モードでは、後述するように、指針3の秒針133は、文字板2において、Aボタン6が継続して押下されている間(押下状態が解除されていない状態)、その操作時間を表示する。また、第1小時計4の第1指針141は、第2領域144において、Aボタン6の押下時間(操作時間・入力継続時間)に応じた動作モードを示す位置に移動する。
【0033】
[腕時計の回路構成]
次に、腕時計1の回路構成に関して説明する。
図3は、腕時計1の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
腕時計1は、図3に示すように、入力装置21、表示装置22、電池23、ソーラーパネル24、GPS装置25(受信部)、記憶装置26、及び制御部(CPU)30を備えている。
入力装置21は、Aボタン6やBボタン7、リューズ8により構成される。
表示装置22は、表示駆動部221と、表示部222とを備える。この表示駆動部221は、指針3や第1指針141、第2指針151を駆動させるための各機械構成(ステッピングモーターや各種輪列)、ステッピングモーターの駆動回路等により構成される。また、表示部222は、文字板2、指針3、第1小時計4、第2小時計5により構成される。
電池23は、二次電池であり、ソーラーパネル24で発電された電力を蓄電する。また、電池23は、表示装置22、GPS装置25、記憶装置26、及び制御部30に電力を供給する。
ソーラーパネル24は、例えば文字板2上に配置され、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電を行う光発電素子を備えている。
【0034】
[GPS装置の構成]
GPS装置25は、GPSアンテナ251を備えている。また、GPS装置25は、図示を略すが、GPS衛星から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を行って同期を行うBB部(ベースバンド部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)から時刻情報や測位情報を取得する情報取得部とを備える。
【0035】
RF部は、バンドパスフィルター、PLL回路、IFフィルター、VCO(Voltage Co
ntrolled Oscillator)、ADC(A/D変換器)、ミキサー、LNA(Low Noise Amplifier)、IFアンプ等を備えている。
そして、バンドパスフィルターで抜き出された衛星信号は、LNAで増幅された後、ミキサーでVCOの信号とミキシングされ、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)にダウンコンバートされる。ミキサーでミキシングされたIFは、IFアンプ、IFフィルターを通り、ADC(A/D変換器)でデジタル信号に変換される。
【0036】
BB部は、GPS衛星で送信時に使用されたものと同一のC/Aコードからなるローカルコードを生成するローカルコード生成部と、前記ローカルコードとRF部から出力される受信信号との相関値を算出する相関部とを備える。
そして、前記相関部で算出された相関値が所定の閾値以上であれば、受信した衛星信号に用いられたC/Aコードと生成したローカルコードが一致していることになり、衛星信号を捕捉(同期)することができる。このため、受信した衛星信号を、前記ローカルコードを用いて相関処理することで、航法メッセージを復調することができる。
【0037】
情報取得部は、BB部で復調した航法メッセージから時刻情報や位置情報を取得する。すなわち、GPS衛星から送信される航法メッセージには、プリアンブルデータ及びHOW(Handover Word)のTOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)、各サブフレームデータが含まれている。サブフレームデータは、サブフレーム1からサブフレーム5まであり、各サブフレームには、例えば、週番号データや衛星健康状態データを含む衛星補正データ等や、エフェメリス(GPS衛星毎の詳細な軌道情報)や、アルマナック(全GPS衛星の概略軌道情報)などのデータが含まれている。
従って、情報取得部は、受信した航法メッセージから所定のデータ部分を抽出し、時刻情報や位置情報を取得している。
【0038】
[記憶装置の構成]
記憶装置26は、ROM261及びRAM262を備える。
ROM261には、制御部30で実行するプログラム等が記憶されている。
一方、RAM262には、受信により取得した衛星信号、後述する時刻情報や受信結果、さらに測位モードで受信した場合に測位演算により算出される位置情報等が記憶される。
従って、RAM262は、受信により取得した時刻情報を記憶する時刻情報記憶部263と、受信に成功したか否かの受信結果情報、及びその際の受信開始時刻を記憶する受信結果記憶部264とを備える。
【0039】
[制御部の構成]
図4は、腕時計1の構成を示す機能ブロック図である。
制御部(CPU)30は、GPS装置25を制御し、取得した時刻情報に基づいて時刻情報を修正する。
制御部30は、ROM261に記憶されたプログラムにより各種制御を行う。このため、制御部30は、図4に示すように、押下状態判定部31、モード設定部32、受信制御部33、時刻修正部34、表示制御部35を機能として備える。
【0040】
押下状態判定部31は、外部操作部材であるAボタン6が押下されている押下状態であるか否かを判断する。
【0041】
モード設定部32は、押下状態判定部31により、Aボタン6が押下状態であると判断された場合、その押下状態が継続している操作時間をカウントする。また、Aボタン6の押下状態が解除された場合、解除された時点での操作時間を入力継続時間として取得する。
そして、モード設定部32は、この入力継続時間に基づいて、腕時計1の動作モードを設定する。本実施形態では、腕時計1は、設定可能な動作モードとして、上述した様に、受信結果表示モード(本発明の第三モード)、測時モード(本発明の第一モード)、及び測位モード(本発明の第二モード)を有する。
【0042】
受信結果表示モードは、受信結果記憶部264に記憶された、前回の受信結果を表示部222に表示させる動作モードである。具体的には、受信結果表示モードでは、文字板2及び秒針133により、前回の受信結果が表示される。
測時モードは、1機以上のGPS衛星10から送信される衛星信号から時刻情報を取得し、その時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正する動作モードである。
測位モードは、3機以上のGPS衛星10から送信される衛星信号から、時刻情報及び位置情報を取得し、ローカルタイムを算出して内部時刻情報を修正する動作モードである。
【0043】
具体的には、このモード設定部32は、入力継続時間Tが、0<T≦T1(第一入力期間)である場合、動作モードを受信結果表示モードに設定する。
また、モード設定部32は、入力継続時間Tが、T1<T≦T2(第二入力期間)である場合、動作モードを測時モードに設定する。
さらに、モード設定部32は、入力継続時間Tが、T2<T(第三入力期間)である場合、動作モードを測位モードに設定する。ここで、本実施形態では、モード設定部32は、Aボタン6の押下状態が解除されていなくても、操作時間が時間T2を超えた場合に、入力継続時間TがT2<Tと判断し、動作モードを測位モードに設定する。
なお、動作モードを判定するための時間T1,T2としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、時間T1としては3秒、時間T2として6秒が設定されている。
【0044】
受信制御部33は、モード設定部32により、動作モードとして測時モード又は測位モードに設定された際に、当該動作モードに対応して、GPS装置25による衛生信号の受信処理の実行を制御する。具体的には、受信制御部33は、測時モードに設定された場合、GPS装置25にて1機以上のGPS衛星10から衛星信号を受信させる。また、受信制御部33は、測位モードに設定された場合、GPS装置25にて3機以上のGPS衛星10から衛星信号を受信させる。
【0045】
時刻修正部34は、受信制御部による受信処理により取得した衛星信号の位置情報および時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正するものであり、測時モード修正部341と、測位モード修正部342とを備える。
【0046】
測時モード修正部341は、モード設定部32により測時モードが設定された際に、GPS装置25により取得された衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正する。なお、この測時モード修正部341による時刻修正では、少なくとも1機のGPS衛星10からの衛星信号が取得されればよい。
測位モード修正部342は、モード設定部32により測位モードが設定された際に、GPS装置25により取得された衛星信号に含まれる衛星信号に含まれる位置情報および時刻情報を取得し、位置情報に基づいて現在地の時差情報をROM261に記憶されている時差情報を参照して取得する。そして、測位モード修正部342は、取得した時刻情報と前記時差情報とで現在位置の標準時間(ローカルタイム)を算出し、内部時刻情報を修正する。また、この測位モード修正部342による時刻修正では、少なくとも3機以上のGPS衛星10からの衛星信号に基づいて内部時刻情報が修正されるため、高精度な時刻修正が実施可能となる。
【0047】
表示制御部35は、時刻表示制御部351と、位置表示制御部352と、モード表示制御部353と、操作時間表示制御部354と、結果表示制御部355と、を備える。
時刻表示制御部351は、内部時刻情報に基づいて、表示駆動部221を駆動させ、通常の時刻表示モードにより表示部222に時刻を表示させる。
【0048】
位置表示制御部352は、例えば、Bボタン7等が押下されて位置情報を表示させる旨の操作が実施された場合に、表示駆動部221を駆動させ、測位モード修正部342により算出された現在位置(緯度・経度)を第1小時計4及び第2小時計5に表示させる。また、位置表示制御部352は、モード設定部32により測位モードが設定され、受信制御部33による受信処理が終了した際に、所定時間の間、位置情報を表示させる処理をしてもよい。
【0049】
モード表示制御部353は、Aボタン6が押下された際に、当該Aボタン6が継続して押下された操作時間に応じて、第1小時計4の第1指針141を駆動させ、操作時間に対応した動作モードを表示させる。この操作時間は、Aボタン6の押下状態が解除されていない状態で、Aボタン6の押下開始タイミングから現時点までの時間を指す。
また、モード表示制御部353は、Aボタン6の押下状態が解除され各動作モードに対応した処理が実施されると、当該動作モードの処理の間、第1小時計4の第1指針141の位置を維持する。換言すると、モード表示制御手段353は、腕時計1がモード設定部32により設定された動作モードの動作処理を実施している間、その動作モードを第1小時計4の第1指針141により表示させる。
つまり、本実施形態では、第1小時計4は、モード表示制御部353の制御により、本発明の設定モード表示部及び動作モード表示部としても機能する。
【0050】
操作時間表示制御部354は、Aボタン6が押下されると、指針3の秒針133を0時の位置に移動させ、操作時間に応じて秒針133を秒駆動させる。
結果表示制御部355は、モード設定部32により受信結果表示モードに設定された場合に、受信結果記憶部264に記憶される受信結果に応じて、秒針133を文字板2の「Y」または「N」の目盛位置に移動させる。
つまり、文字板2及び指針3(秒針133)は、操作時間表示制御部354の制御により、本発明の操作時間表示部としても機能し、さらに、結果表示制御部355の制御により、本発明の受信結果表示部としても機能する。
【0051】
なお、本実施形態では、表示制御部35は、指針により時刻表示、動作モードの表示、操作時間の表示を行ったが、例えば表示部222としてディスプレイを有し、このディスプレイにより当該表示を行ってもよい。この場合には、表示装置22は、このディスプレイを駆動する回路を備える構成とすればよい。
【0052】
[制御回路の動作]
次に、腕時計1の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
図5は、制御部30により実行される各動作モードの実行処理を示すフローチャートである。ここでは、外部操作部材であるAボタン6が操作された場合の動作について、以下に説明する。
【0053】
利用者によりAボタン6が押下される(S1)と、制御部30の押下状態判定部31は、Aボタン6の押下状態を検出し、モード設定部32は、押下状態が継続する間、その時間(操作時間)をカウントする。また、表示制御部35の操作時間表示制御部354は、Aボタン6の押下開始タイミングで、秒針133を「0」位置に移動させ、操作時間に応じて秒針133を秒駆動させる。
また、モード表示制御部353は、第1指針141を「I」の目盛位置に移動させる。
【0054】
次に、腕時計1は、Aボタン6の押下状態が解除されたか否かを判断する(S2)。つまり、モード設定部32は、押下状態判定部31によりAボタン6の押下状態が解除されたと判定されると、押下状態が解除された時点での操作時間を入力継続時間Tとして取得する。そして、モード設定部32は、この入力継続時間Tが第一入力期間内(0秒からT1秒までの間)の値であるか否かを判断する。
【0055】
このS2で「Yes」と判断された場合、つまり、モード設定部32が、入力継続時間Tが第一入力期間内の値であると判断した場合、当該モード設定部32は、動作モードを受信結果表示モードに設定する。これにより、腕時計1は受信結果表示モードに応じた処理を実行する(S3)。
このS3では、表示制御部35の結果表示制御部355は、受信結果記憶部264に記憶されている受信結果を参照し、前回の受信処理時における受信結果が成功であった場合、秒針133を文字板2の「Y」の目盛位置に移動させる。一方、受信処理の結果が失敗であった場合、結果表示制御部355は、秒針133を文字板2の「N」の目盛位置に移動させる。
なお、この受信結果表示モードにより、受信結果が表示される結果表示時間としては、例えば、利用者により設定された時間であってもよく、予め設定された所定時間であってもよい。この時、結果表示制御部355により受信結果が表示されている間、モード表示制御部353は、第1指針141を「I」の目盛位置に保持する。そして、結果表示時間の経過後、時刻表示制御部351は、表示駆動部221を駆動させ、通常の時刻表示モードに戻る。
【0056】
一方、S2において「No」と判断された場合、つまり、押下状態判定部31により、押下状態が解除されていないと判断された場合、モード設定部32は、操作時間が第一入力期間の最大値である時間T1を超えたか否かを判断する(S4)。
このS4において、モード設定部32により、「No」と判断された場合、S2の処理に戻る。
また、S4において、モード設定部32により、「Yes」と判断された場合、モード表示制御部353は、第1指針141を「II」の目盛位置に移動させる。
【0057】
この後、モード設定部32は、Aボタン6の押下状態が解除されたか否かを判断する(S5)。つまり、S2と同様に、モード設定部32は、入力継続時間Tを取得し、この入力継続時間Tが、第二入力期間内(時間T1秒から時間T2秒までの間)の値であるか否かを判断する。
【0058】
このS5で、モード設定部32は、「Yes」と判断すると、動作モードを測時モードに設定し、腕時計1は測時モードに応じた処理を実行する(S6)。
このS6では、受信制御部33は、測時モードでGPS装置25を制御して衛星信号の受信処理を開始する。そして、受信制御部33は、設定時間内に時刻情報を受信できたか否かを判定する。ここで、設定時間は、例えば、30秒〜1分など、時刻情報を受信するのに十分な時間を設定すればよい。なお、この受信処理の間、モード表示制御部353は、第1指針141の位置を維持する。すなわち、第1指針141は、測時モードの受信処理の間、動作モードが測時モードである「II」の目盛位置を指した状態となる。
そして、GPS装置25にて時刻情報の受信に成功した場合には、測時モード修正部341は、受信した衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて、内部時刻情報を修正する。この時刻修正処理の終了後、時刻表示制御部351は、修正された内部時刻情報に基づいて、指針3、第1指針141、第2指針151を駆動させ、通常の時刻表示モードに戻る。
【0059】
一方、S5において、モード設定部32により「No」と判断された場合、つまり、押下状態が解除されていないと判断された場合、モード設定部32は、操作時間が第二入力期間の最大値である時間T2を超えたか否かを判断する(S7)。
このS7において、モード設定部32により、「No」と判断された場合、S5の処理に戻る。
【0060】
また、S7において、モード設定部32により、「Yes」と判断された場合、モード表示制御部353は、第1指針141を「III」の目盛位置に移動させる。
さらに、モード設定部32は、操作時間が時間T2を超える場合、入力継続時間Tが第三入力期間内の値であると判断し、動作モードを測位モードに設定し、腕時計1は測位モードに応じた処理を実行する(S8)。
このS8では、受信制御部33は、測位モードでGPS装置25を制御して衛星信号の受信処理を開始する。
そして、受信制御部33は、設定時間内に位置情報および時刻情報を受信できたか否かを判定する。設定時間は、例えば、30秒〜腕時計1分など、位置情報を受信するのに十分な時間を設定すればよい。なお、この受信処理の間、モード表示制御部353は、第1指針141の位置を維持する。すなわち、第1指針141は、測位モードの受信処理の間、動作モードが測位モードである「III」の目盛位置を指した状態となる。
【0061】
そして、GPS装置25にて位置情報および時刻情報の受信に成功した場合には、測位モード修正部342は、受信した衛星信号に含まれる位置情報および時刻情報を取得して、現在位置を算出する。また、測位モード修正部342は、ROM261に記憶されている時差情報を参照して、現在位置における時差情報を取得する。そして、測位モード修正部342は、取得した時刻情報と前記時差情報とで現在位置の標準時刻(ローカルタイム)を算出し、内部時刻情報を修正する。この時刻修正処理の終了後、時刻表示制御部351は、修正された内部時刻情報に基づいて、指針3、第1指針141、第2指針151を駆動させ、通常の時刻表示モードに戻る。
なお、測位モードによる受信処理、時刻修正処理が実施された場合、位置表示制御部352は、算出された現在位置の緯度・経度に基づいて、第1指針141、第2指針151を駆動させ、第1小時計4、第2小時計5により、現在位置を表示させる処理を実施してもよい。
【0062】
[実施形態の作用効果]
上述したように、本実施形態の腕時計1では、モード設定部32は、Aボタン6が継続して押下された入力継続時間に応じて、測時モードと、測位モードと、を切り替えて設定する。そして、受信制御部33は、測時モードが設定された場合に、1機以上のGPS衛星10の衛星信号から時刻情報を取得し、時刻修正部34の測時モード修正部341は、この時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正する。また、受信制御部33は、測位モードが設定された場合に、3機以上のGPS衛星10の衛星信号から時刻情報及び位置情報を取得し、時刻修正部34の測位モード修正部342は、取得した時刻情報から内部時刻情報を修正する。
このような構成では、測時モードと測位モードとを切り替えるために、複数の外部操作部材を設ける必要がなく、構成を簡略化できる。特に、本実施形態のように、位置情報を表示させる等、複数の機能を備えた腕時計1では、こられの複数の機能に対応して複数の外部操作部材を設けると、構成の複雑化や腕時計1の大型化を招き、操作方法も煩雑となるという課題が発生する。これに対して、本実施形態では、1つの外部操作部材、すなわちAボタン6のみにより、測時モード及び測位モードの2つの動作モードを切り替えて実行させることができるため、構成の簡略化を図れ、腕時計1の小型化を図ることができる。
【0063】
本実施形態の腕時計1では、動作モードを測時モードに設定するための入力継続時間は、測位モードに設定するための入力継続時間よりも短く設定されている。このような構成では、使用頻度が高い測時モードでの時刻修正を、より短い入力時間で手早く実施することができるので、腕時計1の利便性を向上させることができる。
【0064】
本実施形態の腕時計1では、モード設定部32により測位モードが設定された場合、時刻修正部34の測位モード修正部342は、取得した位置情報に基づいて現在位置を算出して、現在位置における時差情報を取得し、この時差情報と、取得した時刻情報とに基づいて、現在位置におけるローカルタイムを算出して内部時刻情報を修正する。このため、例えば利用者が旅行等により、時差が異なる地域を跨って移動した場合に、移動先におけるローカルタイムに時刻を修正することができ、腕時計1の利便性を高めることができる。
【0065】
本実施形態のモード設定部32は、さらに、入力継続時間が第一入力期間内の値である場合に、受信結果表示モードに設定可能である。この受信結果表示モードでは、表示制御部35の結果表示制御部355は、受信結果記憶部264に記憶されている前回受信処理時の受信結果を参照して、受信結果が受信成功の場合は、指針3(秒針133)を文字板2の「Y」の目盛位置に移動させ、受信失敗の場合は、指針3(秒針133)を文字板2の「N」の目盛位置に移動させる。
これにより、本実施形態では、前回の受信結果を表示させることができ、例えば利用者は、その受信結果を確認して測時モード又は測位モードにより時刻修正を実施するか否かを容易に判断することができる。
また、受信結果表示モード、測時モード、及び測位モードは、Aボタン6が継続して押下された時間である入力継続時間により設定されるため、上記発明と同様に、各動作モードを設定するために、それぞれ対応する外部操作部材を設ける必要がなく、構成を簡略化できる。
【0066】
本実施形態では、受信結果表示モードを設定するための入力継続時間は、測時モードや測位モードを設定するための入力継続時間よりも短く設定されている。
すなわち、測時モードや測位モードにより時刻修正は、前回の受信処理及び時刻修正処理において、成功したか否かを判断した後に実施されることが一般的であるため、測時モードや測位モードによる時刻修正よりも使用頻度が高くなる。したがって、このような使用頻度が高い受信結果表示モードに対応する入力継続時間を、測時モードや測位モードに対応する入力継続時間より短く設定することで、より利用者の利便性を高めることができる。
【0067】
本実施形態では、操作時間表示制御部354は、Aボタン6が押下された際に、指針3の秒針133を文字板2の「0」秒位置に移動させ、Aボタン6の操作時間に対応するように秒針133を移動させる。つまり、文字板2及び指針3は、本発明の操作時間表示部としても機能する。
このため、利用者は、例えば利用者が所望する動作モードに対して、どの程度操作を継続すればよいか等、Aボタン6を操作した際の操作時間や、Aボタン6の操作状態(押下状態判定部31によりAボタン6の操作が確認されているか否か)を容易に確認することができる。
【0068】
本実施形態では、モード表示制御部353は、Aボタン6が押下された際に、第1指針141を第2領域144の「I」の目盛位置に移動させる。また、モード表示制御部353は、操作時間が第一入力期間の最大値「T1」が経過した後、第1指針141を第2領域144の「II」の目盛位置に移動させる。さらに、モード表示制御部353は、第二入力期間の最大時間「T2」が経過した後、第1指針141を第2領域144の「III」の目盛位置に移動させる。つまり、モード表示制御部353は、Aボタン6の操作時間に応じて、どの動作モードを選択可能か表示部222に表示させる。
このため、利用者は、第1指針141により選択可能な動作モードを確認することができる。また、本実施形態では、モード表示制御部353による操作時間の表示に加え、操作時間表示制御部354による選択可能な動作モードの表示を行うことで、Aボタン6の操作時間に対する動作モードを、それぞれ比較しながら確認することができる。
【0069】
本実施形態では、モード表示制御部353は、受信制御部33により受信処理が実施されている間、また、結果表示制御部355により受信結果表示が実施されている間、第1指針141の表示位置を維持する。このため、利用者は、現在実施されている処理が、どの動作モードに対応した処理であるかを容易に確認することができる。
【0070】
〔変形例〕
なお、本発明は前記各実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、モード表示制御部353による操作時間に対応する動作モードの表示、モード表示制御部353による処理中の動作モードの表示、及び操作時間表示制御部354による操作時間の表示の全てを実施する例を示したが、これらのうちいずれか1つまたは2つのみが実施される構成としてもよい。
例えば、モード表示制御部353により操作時間に対応する動作モードの表示を行わなかった場合でも、操作時間表示制御部354による操作時間の表示を行うことで、Aボタン6の操作時間を把握することができる。この場合、受信処理や受信結果の表示処理が実施されている間、モード表示制御部353による動作モードの表示を行うことで、どの動作が実施されているかを利用者に確認させることができる。
【0071】
また、文字板2及び指針3(秒針133)が、本発明の操作時間表示部としても機能する例を示したが、これに限定されない。例えば、第2小時計5を操作時間表示部として機能させてもよい。
設定モード表示部や動作モード表示部、受信結果表示部においても同様であり、表示部222を構成するいずれの部材によって表示を行ってもよい。例えば、文字板2が、各動作モードを示す目盛「I」「II」「III」を備え、指針3(例えば秒針133)により、これらの目盛のいずれかを指し示すことで、文字板2及び指針3により設定モード表示部及び動作モード表示部が構成されていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、モード設定部32は、入力継続時間に応じて、第一モードである測時モード、第二モードである測位モード、及び第三モードである受信結果表示モードのいずれかを設定する処理をしたが、これに限らない。例えば、モード設定部32は、第一モードである測時モード、及び第二モードである測位モードのいずれか一方を設定するものであってもよい。また、Aボタン6の入力継続時間によって、更に多くの動作モードに設定可能な構成としてもよい。
【0073】
また、モード設定部32による動作モードの設定において、測時モードに対応する入力継続時間を、測位モードに対応する入力継続時間よりも短く設定した、つまり、第二入力期間の後に第三入力期間を設けたが、これに限らない。例えば、第三入力期間を、第二入力期間の前に設定してもよい。この場合、利用者は、短い操作時間で手軽に測位モードによる高精度な時刻修正を実施することができ、衛星信号の受信環境が悪い状況下においてのみ、測時モードを実施するなどの使い方ができる。
同様に、受信結果表示モードに対応する第一入力期間が、測時モードや測位モードに対応した第二入力期間や第三入力期間の後に設定されていてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、受信結果表示モード、測時モード、及び測位モードを切り替える外部操作部材としてAボタン6を例示したが、例えばBボタン7等を用いてもよい。
【0075】
また、上述の実施形態は、位置情報衛星の例としてGPS衛星について説明したが、本発明の位置情報衛星としては、GPS衛星だけではなく、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)などの他の全地球的航法衛星システム(GNSS)や、SBASなどの静止衛星や準天頂衛星などの時刻情報を含む衛星信号を発信する位置情報衛星でもよい。
【0076】
本発明の電子時計は、指針を有するアナログ時計に限らず、指針およびディスプレイを有するコンビネーション時計や、ディスプレイのみを有するデジタル時計に適用してもよい。さらに、本発明は、腕時計に限らず、懐中時計などの各種携帯型の時計や、本発明の電子時計を備えた携帯電話機、デジタルカメラ、PND(パーソナル・ナビゲーション・デバイス)、カーナビなどの各種携帯型情報端末等の電子機器に適用してもよい。
【0077】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1…GPS付き腕時計(電子時計)、2…文字板、3…指針、4…第1小時計、5…第2小時計、6…Aボタン(外部操作部材)、10…GPS衛星(位置情報衛星)、25…GPS装置(受信部)、32…モード設定部、33…受信制御部、34…時刻修正部、35…表示制御部、264…受信結果記憶部、222…表示部、355…結果表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星から送信される衛星信号に基づいて内部時刻情報を修正する電子時計であって、
外部操作部材と、
前記外部操作部材の入力操作に基づいて、当該電子時計の動作モードを設定するモード設定部と、
前記位置情報衛星から送信される前記衛星信号を受信する受信部と、
前記動作モードに基づいて、前記受信部の動作を制御して衛星信号を受信させる受信制御部と、
前記受信部により受信した衛星信号に基づいて、前記内部時刻情報を修正する時刻修正部と、を備え、
前記モード設定部は、前記外部操作部材が継続して操作された入力継続時間に基づいて、
1機以上の前記位置情報衛星からの衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて前記内部時刻情報を修正する第一モードと、
3機以上の前記位置情報衛星からの衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報に基づいて前記内部時刻情報を修正する第二モードと、
を切り替えて前記動作モードに設定する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子時計において、
前記モード設定部が前記動作モードとして前記第一モードを設定する場合の前記入力継続時間は、当該モード設定部が前記動作モードとして前記第二モードを設定する場合の前記入力継続時間よりも短い
ことを特徴とする電子時計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子時計において、
前記時刻修正部は、前記モード設定部により設定された前記動作モードが前記第二モードである場合、前記衛星信号に含まれる前記時刻情報及び前記位置情報に基づいて、当該電子時計の現在位置における標準時間を算出して内部時刻情報を修正する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子時計において、
前記受信部による前記衛星信号の受信が成功したか否かを示す受信結果を記憶する受信結果記憶部と、
前記受信結果を表示する受信結果表示部と、
前記受信結果を前記受信結果表示部に表示させる結果表示制御部と、を備え、
前記モード設定部は、前記入力継続時間に基づいて、前記受信結果記憶部に記憶された前記受信結果を表示させる第三モードを、前記動作モードとして設定し、
前記結果表示制御部は、前記動作モードとして前記第三モードが設定された場合に、前記受信結果を前記受信結果表示部に表示させる
ことを特徴とする電子時計。
【請求項5】
請求項4に記載の電子時計において、
前記モード設定部が前記動作モードとして前記第三モードを設定する場合の前記入力継続時間は、当該モード設定部が前記動作モードとして前記第一モード及び前記第二モードを設定する場合の前記入力継続時間よりも短い
ことを特徴とする電子時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子時計において、
前記外部操作部材が継続して操作されている操作時間を表示する操作時間表示部を有する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子時計において、
前記外部操作部材が継続して操作されている操作時間に対応した前記動作モードを表示する設定モード表示部を有する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の電子時計において、
実行中の前記動作モードを表示する実行モード表示部を有する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電子時計を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−50341(P2013−50341A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187478(P2011−187478)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】