説明

電子時計の押ボタン用スイッチ構造体及びこれを備えた電子時計

【課題】 狭いスペースで長期間安定に動作し確実にクリック感を与え得る電子時計の押ボタン用スイッチ構造体を提供すること
【解決手段】 電子時計の押ボタン用スイッチ構造体は、ボタン受部24とクリック感生成ばね押圧部25とを備え、押ボタン10が押込み位置P2に向かってA1方向に押込まれる際に押ボタンの押圧力をボタン受部24で受けて一方向B1に弾性変形される戻し板ばね20と、押圧部25の押圧力を戻しばね受部35で受けてD1方向に弾性変形されるクリック感生成板ばね30とを有する。受部35は、押圧部25の変位が所定レベル以下の第一の斜面部40で所定レベルを越えると第二の斜面部50で押圧部25の押圧力を受け、両斜面部40,50の境界60における斜面部50の接線T2が該境界60における斜面部40の接線T1とは異なる方向で且つ斜面部40の接線より押圧部25の変位方向B1に近い方向に延びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計の押ボタン用スイッチ構造体及びこれを備えた電子時計に係る。
【背景技術】
【0002】
押ボタンスイッチにおいて、その押圧操作が確かに行われたことを操作者が実感できることが望ましい。特に、腕時計のような電子時計のストップウォッチ機能等の作動や停止等に用いられる押ボタンスイッチは、該電子時計において利用可能なスペースが限られることから、そのサイズが小さくなるので、クリック感付与のために各種の構造が提案されている。
【0003】
クリック感を付与し得るタイプの押ボタン用スイッチ構造体としては、押ボタンの軸部の外周の溝部にゴムのような材料弾性を備えた弾性材を突出可能に取付けておくと共に、ボタン軸部が嵌合された穴の周面に溝を設けておき、押ボタンの押圧に伴いボタン軸部が該軸部の延在方向に押込まれる際、弾性材が溝部に対面する中間押込み位置に達すると弾性材が突出して溝部に一旦係合し更に強い押込み力の作用下で初めて弾性材が引込んで軸部が更に奥に押込まれるものが提案されている(特許文献1)。この場合一旦溝部に嵌った弾性材を溝部から引込めるように軸部を押込む際に、クリック感が得られる。なお、このタイプのスイッチ構造体では、押ボタンを元の突出位置に復帰させるための力を及ぼすコイルばねが別途設けられている。
【0004】
しかしながら、溝部、ゴム様弾性材及びコイルばねを押ボタンのところに組込もうとすると、特許文献1の図1〜図4に示されているように、押ボタン自体の構造が複雑化するのを避け難い。また、ゴム弾性を利用するだけでなく、該ゴムに嵌合面に交差する方向の突出及び引込みの変形を要求することから、長期間安定な動作を期待し難い虞れがある。
【0005】
また、押ボタンによって回動変位されるレバーにU字形のばねを一体的に形成し、該U字形ばねの先端部に形成した凹部がピンに係脱可能にしたものも提案されている(特許文献2)。この場合、ピンに一旦係合したU字形ばねの先端部の凹部がピンを乗越えて係合状態から脱するようにレバー一体化U字形ばねを回動させるべく押ボタンを押込む際に、クリック感が得られる。なお、このタイプのスイッチ構造体では、押ボタンを元の突出位置に復帰させるためにレバーに復帰力を与える板ばねが別途設けられている。
【0006】
しかしながら、この場合、U字形ばねを用いて該U字形ばねの全体的な変形及び揺動を利用していることから、例えば、特許文献2の図1に示されているように、U字形ばね(7b)の動作領域を広く確保する必要がある。
【特許文献1】特許第3551726号明細書
【特許文献2】特許第3232598号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、狭いスペースで長期間安定に動作し且つ確実にクリック感を与え得る電子時計の押ボタン用スイッチ構造体及びこれを備えた電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体は、前記目的を達成すべく、押圧力入力端部を手前側に備えると共に戻しばね押圧部を奥側に備え、前記押圧力入力端部が突出する突出位置と該押圧力入力端部が押込まれる押込み位置との間で往復動可能な押ボタンにより作動される電子時計の押ボタン用スイッチ構造体であって、ボタン受部とクリック感生成ばね押圧部とを備え、前記押ボタンが押込み位置に向かって押込まれる際に前記戻しばね押圧部の押圧力を前記ボタン受部で受けて一方向に弾性変形される戻し板ばねと、戻しばね受部を備え、前記戻し板ばねの前記変形に伴う前記クリック感生成ばね押圧部の押圧力を前記戻しばね受部で受けて弾性変形されるクリック感生成板ばねとを具備し、前記戻しばね受部が、前記戻し板ばねの前記クリック感生成ばね押圧部の変位が所定レベル以下である場合に該クリック感生成ばね押圧部の押圧力を受ける第一の斜面部と、境界を介して該第一の斜面部につながり、前記戻し板ばねの前記クリック感生成ばね押圧部の変位が所定レベルを越えた際に該クリック感生成ばね押圧部の押圧力を受ける第二の斜面部とを有し、前記境界における前記第二の斜面部の接線が該境界における前記第一の斜面部の接線とは異なる方向で且つ前記第一の斜面部の接線よりも前記クリック感生成ばね押圧部の変位方向に近い方向に延びている。
【0009】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、二つの板ばね(戻し板ばね及びクリック感生成板ばね)を組合わせるだけであるから、構造が単純化され得るだけでなく、その占有スペースも最低限に抑えられ得る。
【0010】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、特に、「前記戻し板ばねの前記クリック感生成ばね押圧部の変位が所定レベル以下である場合に該クリック感生成ばね押圧部の押圧力を受ける第一の斜面部と、境界を介して該第一の斜面部につながり、前記戻し板ばねの前記クリック感生成ばね押圧部の変位が所定レベルを越えた際に該クリック感生成ばね押圧部の押圧力を受ける第二の斜面部とを有し、前記境界における前記第二の斜面部の接線が該境界における前記第一の斜面部の接線とは異なる方向で且つ前記第一の斜面部の接線よりも前記クリック感生成ばね押圧部の変位方向に近い方向に延びている」ので、戻し板ばねのクリック感生成ばね押圧部が、クリック感生成板ばねの第一の斜面部に係合する状態から第二の斜面部に係合する状態へと両斜面部の境界を越えて変位する際に、クリック感を付与し得る。すなわち、本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、板ばね同士の係合部(戻し板ばねのクリック感生成ばね押圧部とクリック感生成板ばねの戻しばね受部)において、戻しばね受部の形状に起因するクリック感を与え得るから、単純な構造で且つ最低限のスペースを占有するだけで、確実にクリック感を与え得る。特に、本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、「境界における第二の斜面部の接線が該境界における第一の斜面部の接線とは異なる方向で且つ第一の斜面部の接線よりもクリック感生成ばね押圧部の変位方向に近い方向に延びる」という形状によって、クリック感を付与するから、ゴム様弾性材のような損傷や劣化の虞れがなく長期間安定に動作され得且つU字形ばねのような大きな動作面積を要しない。
【0011】
以上において、動作範囲では、典型的には、戻し板ばねのばね力が、クリック感生成板ばねのばね力よりも大きい。その場合、押下げ完了後においては、戻し板ばねが復帰の際に押ボタンを突出位置に戻し、該戻し板ばねの復帰に伴いクリック感生成板ばねもそれ自体のばね力で復帰され得る。但し、所望ならば、両者が同程度か逆であってもよい。
【0012】
本発明の電子時計用押ボタンスイッチ構造体では、典型的には、前記押ボタンが直線的に往復動するように構成され、前記戻し板ばねのボタン受部及びクリック感生成ばね押圧部が該押ボタンの移動方向に沿う方向に変位されるように構成される。
【0013】
この場合、スイッチ構造体の構造を単純化し且つ占有スペースを最低限に抑え得る。ここで、「押ボタンの移動方向に沿う方向」は、典型的には、押ボタンの移動方向と平行な方向であるけれども、概ね同様な方向であれば平行な方向から多少ずれていてもよい。なお、所望ならば、押ボタンが、直線的に往復動する代わりに例えば揺動してもよく、また、前戻し板ばねのボタン受部及びクリック感生成ばね押圧部のうちの一方又は両方の変位方向が押ボタンの移動方向に対して交差する方向であってもよい。
【0014】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、典型的には、前記戻しばね受部の前記第一の斜面部は、前記境界に近付くほど該斜面部の接線と前記クリック感生成ばね押圧部の変位方向との角が大きくなるように弧状に湾曲した弧状湾曲部からなり、前記第二の斜面部が該弧状湾曲部の延在端から該湾曲部に対して交差する向きに直線状に延在している。
【0015】
これにより、クリック感が確実に与えられ得る。但し、第一の斜面部は、弧状に湾曲する代わりに、単なる斜面部であってもよい。この場合でも、戻し板ばねの押圧に伴いその反力が増加するので、戻し板ばね自体が、クリック感を与える前の押圧感を多少は与え得る。
【0016】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、典型的には、前記クリック感生成板ばねの前記戻しばね受部が、板状部の側面に形成されている。これにより、板ばねの面状の拡がりが効果的に利用され得、且つ該戻しばね受部自体が変形されるのを最低限に抑え得る。なお、この場合、クリック感生成板ばねはその板ばねとしての変形可能部(板ばね形成部ないしばね本体部)の面と戻しばね受部の面との間に、面の向きを変える折曲部があってもばね本体部が幅の細い板状部からなっていてもよい。
【0017】
なお、本発明の電子時計用押ボタンスイッチ構造体では、前記クリック感生成板ばねの前記戻しばね受部が、板状部の側面に形成される代わりに、板状部の主面に形成されていてもよい。
【0018】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、
(1)前記クリック感生成板ばねの前記戻しばね受部が、板状部の側面に形成されていても、
(2)前記戻し板ばね及び前記クリック感生成板ばねが相互に交差する面内で弾性変位されるように構成されていてもよい。
【0019】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、典型的には、前記戻し板ばね及び前記クリック感生成板ばねが共通の母材の連続的につながった異なる部分からなる。
【0020】
この場合、押ボタン用スイッチ構造体が実際上一体物で、典型的には板ばね材の打抜き及び折り曲げにより形成され得るから、部品点数や加工工数等も最低限に抑えられ得る。但し、所望ならば、別々に形成した板ばね部を任意の固定手段で一体化してもよい。
【0021】
本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体では、典型的には、前記母材が、電池の一方の電極の端子である。
【0022】
この場合、板ばね材の支持が容易且つ確実に行われ得るだけでなく、関連回路系も単純化され得る。
【0023】
なお、本発明の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体において、前記戻し板ばねがスイッチ接点を備えていてもよい。
【0024】
本発明の電子時計は、上記のような押ボタン用スイッチ構造体を備える。この押ボタンスイッチ構造体は、典型的には、腕時計等において各種機能のサイドスイッチとして用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の好ましい実施の形態のいくつかのを添付図面に示した好ましい実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0026】
図1、図2の(a)及び(b)、並びに図3に示した本発明の好ましい一実施例において、電子時計の押ボタン用スイッチ構造体1は、基本構造を示す図1からわかるように、押ボタン10によって作動される戻し板ばね20と、クリック感生成板ばね30とを有する。なお、押ボタン10をスイッチ構造体1の一部として備えていてもよい。
【0027】
押ボタン10は、この例では、全体として円柱状の軸体11からなる。軸体11は、一端部12がユーザないし操作者の側(手前側)に位置し、操作者の指による押圧力F1を受ける押圧力入力端部になり、他端部13が電子時計本体(図示せず)の内部側(奥側)に位置する円錐台状の戻しばね押圧部になっている。軸体11の形態の押ボタン10は、押圧力入力端部12が突出する突出位置P1(図1)と該押圧力入力端部12が押込まれた押込み位置P2(図3)との間で軸体11の延在方向Aに沿って、A1,A2方向に往復動可能に、地板や時計ケースの如き支持体2の孔3内に嵌合され該支持体2によって支持されている。
【0028】
戻し板ばね20は、地板の如き支持体2によって基端21側で支持された戻し板ばね本体部22を有する。押ボタン10が突出位置P1にある場合、戻し板ばね20の板ばね本体部22及び板状伝達部23は、A方向に対して実質的に直角な方向に延びている。戻し板ばね本体部22の先端側には、幅広板状の伝達部23が形成されている。従って、戻し板ばね20は、板ばね本体部22の厚さ方向に弾性的に撓み可能で、伝達部23は、該撓みに応じてB1,B2方向に揺動可能である。板ばね本体部22がそのB1,B2方向の変位量と比較して十分に長いとみなし得る場合、B1,B2方向は、概ね又は実質的に、A1,A2方向と一致する。但し、板ばね本体部22が比較的短く、揺動方向B1,B2が比較的小さい円弧に沿って変化する向きであってもよい。
【0029】
伝達部23のうち押ボタン10の戻しばね押圧部13に対面する側の主面24は、押ボタン10が押込み位置P2に向かってA1方向に押込まれる際に該押ボタン10の押圧部13のA1方向の押圧力F1を受けるボタン受部になっている。伝達部23が主面24で押圧力F1を受けると、戻し板ばね20は、B1方向に弾性変形される。
【0030】
戻し板ばね20の板状伝達部23は、更に、クリック感生成ばね押圧部として働く端縁25を有する。戻し板ばね20のB1方向の弾性変形に伴い、その押圧部25もB1方向に変位する。
【0031】
クリック感生成板ばね30は、地板の如き支持体2によって基端31側で支持された第二の板ばね本体部32を有する。該第二の板ばね本体部32の先端側には、幅広板状の可変抵抗生成部33が形成されている。可変抵抗生成部33の板状面は、戻し板ばね20の伝達部23の板状面に対して交差する方向に、典型的には直角な方向に、延在している。可変抵抗生成部33の先端部には、案内兼剛性付与用の立上り部(折曲部)33Qが形成されている。
【0032】
なお、クリック感生成板ばね30の本体部32は、可変抵抗生成部33の板状面に対して直角で且つ戻し板ばね20の伝達部23の板状面に対して概ね又は実質的に直角な面に沿って延在した板ばねになっている。即ち、クリック感生成板ばね30の本体部32は、その厚さ方向に弾性的に撓み可能で、可変抵抗生成部33は、D1,D2方向に揺動可能である。但し、本体部32がD1,D2方向に弾性的に撓み可能である限り、本体部32は、板状可変抵抗生成部33と面一の面を備え且つ幅が狭く細長い板状部からなっていてもよい。また、図1において、想像線32Sで示したように、戻し板ばね20の本体部22と平行な板状部からなっていてもよく、その場合、該板状部32Sは、E1,E2方向に揺動可能で、E1,E2方向揺動の際に可変抵抗生成部33がD1,D2方向にも揺動され得る。勿論、クリック感生成板ばね30本体部は、符号32で示した向きと符号32Sで示した向きとの間の向きに延び、図1の面内で揺動される形態の板ばねになっていてもよい。
【0033】
この例では、クリック感生成板ばね30の本体部32の剛性(ばね定数)は、典型的には、戻し板ばね20の本体部22の剛性(ばね定数)よりも十分に小さい。従って、以下では、この前提で説明する。但し、剛性(ばね定数)が同程度であっても、クリック感生成板ばね30の本体部32の剛性(ばね定数)が戻し板ばね20の本体部22の剛性(ばね定数)よりも多少大きくてもよい。
【0034】
クリック感生成板ばね30の板状の可変抵抗生成部33は、側面の縁部すなわち側縁34に戻しばね受部35を備え、戻し板ばね20のB1方向変形に伴うその押圧部25のB1方向ないしA1方向の押圧力F1を戻しばね受部35で受けてD1方向に弾性変形される。
【0035】
戻しばね受部35は、板状可変抵抗生成部33の側縁34に形成された第一の斜面部40と第二の斜面部50とを有する。
【0036】
第一の斜面部40は、全体として概ね円弧状で、より詳しくは、一端41においてほぼA方向に延びた直線状面部又は平面状面部42と、該直線状面部42の内側端43に外側端44で滑らかにつながり且つ90度よりも少し少ない角度範囲にわたって連続的に延びた円弧状斜面部45とを有する。円弧状斜面部45の内側延在端46は、クリック感生成板ばね30がD1方向に最大限撓んだ状態においてもA方向に対する傾斜(図1において右下に傾斜)が残り得る程度にA方向に対して傾斜(図1において右下に傾斜)している。戻し板ばね20の押圧部25のB1方向変位が所定レベル以下である場合、クリック感生成板ばね30はD1方向に撓むと共に第一の斜面部40で該押圧部25の押圧力F1を受ける(後で詳述する図2の(b))。
【0037】
第一の斜面部40と第二の斜面部50とは境界領域60を介してつながっている。この境界領域60は、丸みのある角部ないし小円弧状角部61からなり、該小円弧状角部61の一端62において、第一の斜面部40の内側延在端46に連続的に且つ実際上滑らかにつながっている。一方、境界領域60の小円弧状角部61の他端63は、その接線T2(図2の(a)及び図3参照)が押ボタン10の軸部11の延在方向Aに対して概ね又は実質的に平行になるように延びる。
【0038】
第二の斜面部50は、実際上直線状(平面状)面部51からなり、手前側端部52において、境界領域60の小円弧状角部61の端部63に連続的に且つ滑らかにつながっている。
【0039】
以上において、境界領域60は、角部61が過度に尖るのを避けるべく該角部61に丸みを与えるように小円弧状になっているけれども、その大きさ乃至拡がりは、典型的には無視し得る程度に小さい。従って、以下では、特に必要がない限り、境界領域60は単なる点であるとみなす。すなわち、第二の斜面部50の手前側端部52は、第一の斜面部40との境界60において該第一の斜面部40の内側延在端46における接線T1に対して非連続的に変化する接線T2を有する(図2の(a)参照)。即ち、接線T1,T2は角度を成して交わる。この角度は、典型的には、90度よりも小さく且つ90度に近い(例えば、60〜70度程度又はそれ以上、但しより小さくてもよい)。境界60における第一の斜面部40の接線T1と押圧部25の変位方向B1とのなす角度は、90度よりも小さいけれども、相当大きいのに対して、境界60における第二の斜面部50の接線T2と戻し板ばね20の押圧部25の変位方向B1とのなす角度は極めて小さいか実際上ゼロである。
【0040】
戻し板ばね20の押圧部25のB1方向変位が所定レベルに達すると、押圧部25が丁度境界60に達する。従って、実際上A方向ないしB1方向に延在した第二の斜面部50は、戻し板ばね20の押圧部25のB1方向変位が所定レベルを越えた際に該押圧部25の押圧力F1を受ける、すなわち、該押圧力F1を実際上逃がす。
【0041】
以上の如く構成された電子時計用スイッチ構造体1の操作及び動作について、図1に加えて、図2の(a)及び(b)並びに図3に基づいて、説明する。
【0042】
図1及び図2の(a)に示したように初期位置(突出位置)P1にある押ボタン10をA1方向に押し下げると、戻し板ばね20の押圧部25が図2の(a)において符号B1で示した向きに揺動する。この揺動に伴い、押圧部25が、クリック感生成板ばね30のばね受部35の第一の斜面部40の円弧状部45に当接する。押ボタン10のA1方向の押下げが更に進行すると、戻し板ばね20の押圧部25のB1方向揺動に伴ないクリック感生成板ばね30がばね受部35の第一の斜面部40の円弧状部45でB1方向の力を受けてD1方向に撓みはじめる。即ち、戻し板ばね20の押圧部25のB1方向揺動に伴い、戻し板ばね20の押圧部25が第一の斜面部40の円弧状部45に沿ってB1方向に変位するように、該クリック感生成板ばね30のばね受部35がD1方向に揺動される(図2の(b))。なお、この変位に伴い円弧状部45のうち戻し板ばね20の押圧部25が当接する部位の傾斜が小さくなるので、押ボタン10の押圧感は増す。この変位は、戻し板ばね20の押圧部25がクリック感生成板ばね30の円弧状部45の端46に達するまで継続し、押圧部25が、図3において実線で示したように該端46に達すると、短い境界60を一気に通過して第二の斜面部50の端52を越え該第二の斜面部50に接する位置にB1方向に変位される(図3の想像線で示した状態P2)。このとき、押圧部25のB1方向変位に対する抵抗が急減し実際上ゼロに近くなる。その結果、押ボタン10をA1方向に押圧している操作者は、押圧に伴うクリック感を感じ得る。
【0043】
この押ボタン用スイッチ構造体1では、押ボタン10の押圧位置に応じてクリック感生成ばね30の第一及び第二の斜面部40,50の各部位に戻しばね20の押圧部25が選択的に係合するので、確実にクリック感が得られ、ゴム様弾性材を要しないので長期間安定に動作し得、レバーの如く走査し回動するU字状ばねを要しないので、狭いスペースで動作され得る。
【0044】
復帰に際しては、クリック感を感じることにより適切な押圧が行われたことを感知した操作者が、押ボタン10に対するA1方向押圧力F1を解除するので、戻し板ばね20がそれ自体のばね力でB2方向に復帰すると共に押ボタン10をA2方向に突出位置P1まで押戻し、戻し板ばね20による押圧力が解除されたクリック感生成板ばね30がそれ自体のばね力でD2方向に復帰する。
【0045】
以上において、クリック感を更に強くするために、一旦、第二の斜面部50に達した押圧部25が係止される凹部ないし切欠部55(図2の想像線)が第二の斜面部50に形成されていてもよい。この凹部ないし切欠部55は、操作者によるF1方向押圧力が解除された際に、戻しばね20がB2方向に復帰し得る程度に軽く係合されるような形状を有する。
【0046】
以上のようなスイッチ構造体1を構成する戻し板ばね20及びクリック感生成板ばね30は、別体で形成されてもよいけれども、好ましくは、例えば図4の(a)及び(b)に示したように、一つの共通の板ばねないし母材70の別の部分として、一体的に形成される。
【0047】
図4の(a)からわかるように、共通板ばね70は、戻し板ばね20を形成する第一の板ばね部71と、クリック感生成板ばね30を形成する第二の板ばね部72とを有し、該第一及び第二の板ばね部71,72は、接続部73でつながっている。なお、この例では、第二の板ばね部72のうち板ばね部分74が、図1において想像線で示したばね本体部32Sと同様に、クリック感生成板ばね30のばね本体部32として働く。すなわち、板ばね部分74がE1,E2方向に撓むことにより第二の板ばね部72の可変抵抗生成部33がD1,D2方向に変位され得る。なお、図2の(a)の状態から図2の(b)の状態に至る間、及びその後図3において実線で示す状態に至るよりも少し前までは、可変抵抗生成部33がD1方向には殆ど変位されず単にE1方向に変位されることにより、戻し板ばね20がB1方向に撓むようになっていてもよい。その場合でも、戻し板ばね20(71)の押圧部25が境界60に達すると、可変抵抗生成部33が急激にD1方向に撓むようにばね本体部32S(74)の先端部近傍部分がE1方向に撓むことによりクリック感を与え得る。
【0048】
板ばね70は、図4の(b)に示したような打抜き板金母材75を、折曲線H1,H2,H3,H4に沿って、折り曲げることにより形成される。なお、母材75は、例えば、板金の打ち抜きにより形成される。なお、母材75は、例えば、接続部73につながる大きな板状部分76を備えていてもよい。その場合、板状部分76は、いわゆる電池プラス端子のように、電子時計の給電源となる電池(図示せず)の電極に接続されて各種の電気部品ないし電子部品の基準電位を与える面(アース面)になっていてもよい。
【0049】
また、この板ばね70において、例えば、想像線78で示したように切欠かれて打抜かれる場合には、狭幅の細長い部分79が図1のばね本体部32と同様な役割を果たし得る。勿論、所望ならば、複数の折曲部分によってばね本体部32と同等のばね部分を形成してもよい。
【0050】
共通の板ばねとしては、戻し板ばね20を形成する第一の板ばね部及びクリック感生成板ばね30を形成する第二の板ばね部とを一体的に備える限り、図4に示した板ばね70の代わりに、他のどのような形状のものであってもよい。
【0051】
例えば、図5の(a)から(c)には、別の共通の板ばね80が、示されている。この板ばね80は、戻し板ばね20を形成する第一の板ばね部81と、クリック感生成板ばね30を形成する第二の板ばね部82とを有し、該第一及び第二の板ばね部81,82は、U字状接続部83でつながっている。なお、この例では、Uの一方の脚部をなす板ばね部分84及びU字状接続部83のうちの少なくとも一部(但し、可変抵抗生成部33として働く板状部分85に連続的につながった部分)がクリック感生成板ばね30のばね本体部32Sとして働く。また、この例では、Uの他方の脚部をなす板ばね部分86が幅広でばね力の大きい板ばねになっている。従って、ばね本体部32として働く部分がE1,E2方向に撓むことにより第二の板ばね部82の可変抵抗生成部33がD1,D2方向に変位され得る。
【0052】
なお、板ばね80は、この例では、戻し板ばね20の板状伝達部23として働く板状部分87から第一の板ばね部81に対して直角方向に延びた延設部88Aの先端に接点部88が形成されている。
【0053】
この共通板ばね80は、例えば、図6及び図7に示したように、U字状接続部83、脚部84のうち該U字状接続部83に隣接する部分84A及び板ばね部86のうちU字状接続部83に隣接する部分86Aが、地板の如き支持体2のU字状溝4内に嵌込まれて実際上固定される。従って、一方の脚部84のうち部分84A以外の部分84B及び他方の脚部をなす板ばね部86のうち部分86A以外の部分86Bが、クリック感生成板ばね30及び戻し板ばね20の板ばね本体部32S及び22として働くように、地板の如き支持体2の空所内においてE1,E2方向及びB1,B2方向に可動に位置する。なお、溝4の外周から連続的に延びた壁部5は、クリック感生成板ばね30として働く第二の板ばね部82の板ばね本体部32SのE1方向変位を規制する。
【0054】
この共通板ばね80は、馬蹄形の内部空所89には、他の部材が配置可能であり、図6及び図7に示した例の場合、例えば、日車6の回転を躍制する日ジャンパ7の回動中心軸7Aが配置されている。勿論、他の所望の静置部材が配置されてもよく、更に、空所89の範囲内に確実に収まり得る限り、可動部材が配置されてもよい。即ち、共通板ばね80は、Uの全体が全領域を走査するように回動する特許文献2のレバー等とは異なり、板ばね部84B,86B等が揺動するだけであるから、空所89内の領域が他の時計部品の配置にそのまま利用され得るので、占有面積が最低限に抑えられ得る。このことは、図4に示した共通板ばね70の場合も同様である。
【0055】
なお、図8からわかるように、この共通板ばね80の接点部88は、例えば、二つの接点8A,8Bを接続する接点部として働き得る。すなわち、戻し板ばね20として働く第一の板ばね部81がクリック感生成板ばね30として働く第二の板ばね部82に対してクリック感が得られるところまでB1方向に押込まれると、接点部88が二つの接点8A,8Bに当接してこれらを電気的に接続する。接点8A,8Bは、例えば、電源電位を与える接点と、他の時計部品の給電端子につながった接点とからなる。勿論、所望ならば、戻し板ばね20として働く第一の板ばね部81のB1方向変位に伴って変位される可動接点が、接点部88の代わりに、別体として設けられていてもよい。前に説明した全ての実施例においても同様である。
【0056】
共通板ばね80は、例えば、押ボタンスイッチ毎に形成され配置され得る。図9は、クロノグラフ時計等において、スタートストップ用スイッチを構成する共通板ばね80A及びリセット用スイッチを構成する共通板ばね80Bとして、二つの共通板ばねが用いられた例を示す。ここで、共通板ばね80A,80Bは、夫々、共通板ばね80と同様な形状や構造を有するので、詳細な説明は省く。
【0057】
戻し板ばね及びクリック感生成板ばねが同一の平面内又は平行な平面内で揺動される代わりに、相互に交差する平面、典型的には相互に直交する平面内で揺動されてもよい。
【0058】
図10に示した電子時計用押ボタンスイッチ構造体1Aでは、A1,A2方向に往復動可能に支持体2に支持された押ボタン10AのA1,A2方向の変位に応じて、戻し板ばね20AがB1,B2方向に揺動され、該戻し板ばね20AのB1,B2方向の弾性的な撓みに伴う伝達部23AのB1,B2方向変位に応じて、クリック感生成板ばね30Aの板ばね本体部32AのD1,D2方向の弾性的な撓みに従って、クリック感生成板ばね30Aの抵抗生成部33AがD1,D2方向に揺動される。クリック感生成板ばね30Aの揺動面は、戻し板ばね20Aの揺動面に対して実際上直角である。
【0059】
なお、この例の場合、戻し板ばね20Aのうちクリック感生成板ばね30Aに押ボタン10AのA1方向押圧力F1を伝達するのは、典型的には、戻し板ばね20Aの側縁25Aであるけれども、該側縁25Aの代わりに該側縁近傍25Aの主面部分26Aであってもよい。
【0060】
また、この例の場合、クリック感生成板ばね30Aのうち戻しばね受部35Aが、板状部の側面ではなくて、板状部の主面からなる。すなわち、戻しばね受部35Aは、ばね本体部32Aに対して傾斜した傾斜板状部36Aの傾斜主面45Aと、ばね本体部32Aと一列で該ばね本体部32Aの一部とみなしてもよい細長い平面状板状部56Aの主面57Aからなる。ここで、傾斜板状部36Aの傾斜主面45Aが第一の斜面部40Aを構成し、平面状板状部56Aの主面57Aが第二の斜面部50Aを構成する。また、傾斜板状部36Aの傾斜主面45Aと平面状板状部56Aの主面57Aとの間には、境界60Aとして働く角部が形成されている。この角部が丸められていてもよいことは、前述のとおりである。
【0061】
この電子時計用押ボタンスイッチ構造体1Aにおいても、押ボタン10AのA1方向の押圧の進行に応じて、戻し板ばね20AがB1方向に撓んでその側縁25Aがクリック感生成板ばね30の傾斜板状部36Aの傾斜主面45Aに当接し、更に、クリック感生成板ばね30Aの傾斜板状部36Aの傾斜主面45AをD1方向に変位させながらB1方向に変位する。戻し板ばね20Aの側縁25Aが、クリック感生成板ばね30Aの傾斜板状部36Aの傾斜主面45Aの端の境界60Aに達するとクリック感生成板ばね30Aによる戻し板ばね20Aに対する抵抗が突然急激に減少して、側縁25Aが平面状板状部56Aの主面57Aに沿って容易にB1方向に変位される。その結果、押ボタン10Aを押圧する操作者は、指先でクリック感を感じ得る。
【0062】
復帰に際しては、戻し板ばね20Aがそれ自体のばね力でB2方向に復帰すると共に押ボタン10AをA2方向に押戻し、戻し板ばね20Aによる押圧力が解除されたクリック感生成板ばね30Aがそれ自体のばね力でD2方向に復帰することは、前述のとおりである。
【0063】
クリック感生成板ばねが、戻し板ばねの揺動方向に対して直角な方向に揺動する場合、図11に示したように、電子時計用スイッチ構造体1Dが、二つの戻し板ばね20B,20Cと共通の一つのクリック感生成板ばね30Dとを備えた一対のスイッチ9B,9Cを有していてもよい。
【0064】
この電子時計用スイッチ構造体1Dでは、戻し板ばね20B及びクリック感生成板ばね30Dの片側部分30Bにより一方のスイッチ9Bが形成され、戻し板ばね20C及びクリック感生成板ばね30Dの他側部分30Cにより他方のスイッチ9Cが形成される。
【0065】
この場合、クリック感生成板ばね30Dの板ばね部32Dが長手方向軸線のまわりでねじれ得るトーションばねの形態を採り得るときには、スイッチ9B,9Cが独立にクリック感を有するスイッチとして働き得る。板ばね部32Dがトーションばねとして確実に働き得るようにするために、図11の(a)及び(c)において想像線32DTで示したように、板ばね部32Dの少なくとも一部が細くなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の好ましい一実施例の押ボタンスイッチ構造体の斜視説明図。
【図2】図1のスイッチ構造体の動作状態を示したもので、(a)は押ボタンを戻し板ばねに当接するところまで押し下げた状態を示した斜視説明図、(b)は押ボタンの押圧によりクリック感生成板ばねを撓ませつつ戻し板ばねをクリック感生成板ばねの斜面部に沿って途中まで押し下げた状態を示した斜視説明図。
【図3】図1のスイッチ構造体の別の動作状態を示したもので、押ボタンの押圧によりクリック感生成板ばねを撓ませつつ該クリック感生成板ばねの境界部を越えてクリック感生成板ばねを押し下げている状態を示した斜視説明図。
【図4】図1の押ボタンスイッチ構造体を構成する二つのばね部を一体に構成する一例を示したもので、(a)は二つのばねが一体的に形成された板金打抜き折曲体の斜視説明図、(b)は(a)の板金打抜き折曲体を形成するために打抜かれた板金の折曲前の状態を示した平面説明図。
【図5】図1の押ボタンスイッチ構造体を構成する二つのばね部を一体に構成する別の一例を示したもので、(a)は二つのばねが一体的に形成された板金打抜き折曲体の平面説明図、(b)は(a)の正面(手前側側面)説明図、(c)は(a)の板金打抜き折曲体の斜視説明図。
【図6】図5の板金打抜き折曲体を有するスイッチ構造体を組込んだ電子時計の関連部分の平面説明図。
【図7】図6の関連部分の斜視説明図。
【図8】図6の関連部分を反対側から見た斜視説明図。
【図9】図5の板金打抜き折曲体を有するスイッチ構造体を二つ組込んだ電子時計の関連部分の平面説明図。
【図10】本発明の別の好ましい一実施例の押ボタンスイッチ構造体の斜視説明図。
【図11】本発明の更に別の好ましい一実施例の押ボタンスイッチ構造体を示したもので、(a)は平面説明図、(b)は(a)の右側面説明図、(c)は(a)の斜視説明図。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1D スイッチ構造体
2 支持体
3 孔
4 溝
5 壁
7 日ジャンパ
8A,8B 接点
9B,9C スイッチ
10,10A 押ボタン
12 押圧力入力端部
13 戻しばね押圧部
20,20A,20B,20C 戻し板ばね
22 ばね本体部
23 板状電圧部
24 主面(ボタン受部)
25 クリック感生成ばね押圧部(端縁)
25A 側縁
26A 主面部分
30,30A,30D クリック感生成板ばね
30B 一側部分
30C 他側部分
32,32A 板ばね本体部
33 可変抵抗生成部
35 戻しばね受部
36A 傾斜板状部
40,40A 第一の斜面部
42 直線状面部
45 円弧状斜面部(円弧状部)
45A 傾斜主面
50,50A 第二の斜面部
57A 主面
60,60A 境界領域
61 丸みのある角部(小円弧状角部)
62,63 端
70,80,80A,80B 共通板ばね
71,81 第一の板ばね部(戻し板ばね)
72,82 第二の板ばね部(クリック感生成板ばね)
73 接続部
74 板ばね部分
75 打抜き板金母材
76 板状部分(電池プラス端子)
83 U字状接続部
84,86 板ばね部分(Uの脚部)
84A 脚部に隣接する部分
84B,86B 隣接部以外の部分
85 板状部分
86A U字状接続部に隣接する部分
88 接点部
89 内部空所
A1,A2,B1,B2,D1,D2,E1,E2 方向
F1 押圧力
P1 突出位置
P2 押込み位置
T1,T2 接線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧力入力端部を手前側に備えると共に戻しばね押圧部を奥側に備え、前記押圧力入力端部が突出する突出位置と該押圧力入力端部が押込まれる押込み位置との間で往復動可能な押ボタンにより作動される電子時計の押ボタン用スイッチ構造体であって、
ボタン受部とクリック感生成ばね押圧部とを備え、前記押ボタンが押込み位置に向かって押込まれる際に前記戻しばね押圧部の押圧力を前記ボタン受部で受けて一方向に弾性変形される戻し板ばねと、
戻しばね受部を備え、前記戻し板ばねの前記変形に伴う前記クリック感生成ばね押圧部の押圧力を前記戻しばね受部で受けて弾性変形されるクリック感生成板ばねとを具備し、
前記戻しばね受部が、
前記戻し板ばねの前記クリック感生成ばね押圧部の変位が所定レベル以下である場合に該クリック感生成ばね押圧部の押圧力を受ける第一の斜面部と、
境界を介して該第一の斜面部につながり、前記戻し板ばねの前記クリック感生成ばね押圧部の変位が所定レベルを越えた際に該クリック感生成ばね押圧部の押圧力を受ける第二の斜面部とを有し、
前記境界における前記第二の斜面部の接線が該境界における前記第一の斜面部の接線とは異なる方向で且つ前記第一の斜面部の接線よりも前記クリック感生成ばね押圧部の変位方向に近い方向に延びている電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項2】
前記押ボタンが直線的に往復動するように構成され、
前記戻し板ばねのボタン受部及びクリック感生成ばね押圧部が該押ボタンの移動方向に沿う方向に変位されるように構成された請求項1に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項3】
前記戻しばね受部の前記第一の斜面部は、前記境界に近付くほど該斜面部の接線と前記クリック感生成ばね押圧部の変位方向との角が大きくなるように弧状に湾曲した弧状湾曲部からなり、前記第二の斜面部が該弧状湾曲部の延在端から該湾曲部に対して交差する向きに直線状に延在している請求項1又は2に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項4】
前記クリック感生成板ばねの前記戻しばね受部が、板状部の側面に形成されている請求項1から3までのいずれか一つの項に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項5】
前記戻し板ばね及び前記クリック感生成板ばねが同一又は平行な平面内で弾性変位されるように構成された請求項1から4までのいずれか一つの項に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項6】
前記クリック感生成板ばねの前記戻しばね受部が、板状部の主面に形成されている請求項1から3までのいずれか一つの項に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項7】
前記戻し板ばね及び前記クリック感生成板ばねが相互に交差する面内で弾性変位されるように構成された請求項6に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項8】
前記戻し板ばね及び前記クリック感生成板ばねが共通の母材の連続的につながった異なる部分からなる請求項1から7までのいずれか一つの項に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項9】
前記母材が、電池の一方の電極の端子である請求項8に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項10】
前記戻し板ばねがスイッチ接点を備える請求項1から8までのいずれか一つの項に記載の電子時計の押ボタン用スイッチ構造体。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一つの項に記載の押ボタン用スイッチ構造体を備えた電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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