説明

電子機器、及び、電子機器の時刻表示方法

【課題】時刻表示の使い勝手を良くすることができる電子機器とその時刻表示方法を提供する。
【解決手段】時刻を計時する計時手段17、計時手段17が計時する時刻を調整する調整手段40、及び、計時手段40の時刻を出力する出力手段11Aを有した機器本体1と、機器本体1の出力手段11Aが出力している時刻を受信して表示する表示体2と、を備えた電子機器100において、表示体2は、機器本体1と独立して時刻を計時する表示側計時手段22を備え、機器本体1は、計時手段17が計時する時刻が初期化された場合、当該時刻の調整が行われるまでの間、時刻とともに、当該時刻が未調整である事を示す未調整フラグを出力手段11Aから出力し、表示体2は、未調整フラグが入力されている場合には、表示側計時手段22が計時する時刻を表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻を表示する時計機能を備えた電子機器とその時刻表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時刻を計時する計時手段を備え、この計時手段から出力される時刻を表示ユニットに表示する電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の電子機器としては、例えば、車両のダッシュボード等のユーザーが操作しやすい位置に配設された機器本体としてのヘッドユニットと、ユーザーが見やすい位置にヘッドユニットとは別に配設された表示体としての表示ユニットとを備え、ヘッドユニットから出力される時刻を表示ユニットに表示する、例えばオーディオ装置などの車載装置が知られている。この種の車載装置は、ヘッドユニットに計時手段が計時する時刻の調整を行う調整手段を備え、ユーザーは、この調整手段の操作によって表示ユニットに表示する時刻の調整を行うことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−237523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヘッドユニットが車両から取り外される等した場合には、計時手段が計時する時刻が初期化され、時刻が未調整の状態に戻ってしまう。これに伴い、表示ユニットに表示される時刻も初期化されている時刻となってしまい、使い勝手が良くなかった。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、時刻表示の使い勝手を良くすることができる電子機器とその時刻表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、時刻を計時する計時手段、前記計時手段が計時する時刻を調整する調整手段、及び、前記計時手段の時刻を出力する出力手段を有した機器本体と、前記機器本体の出力手段が出力している時刻を受信して表示する表示体と、を備えた電子機器において、前記表示体は、前記機器本体と独立して時刻を計時する表示側計時手段を備え、前記機器本体は、前記計時手段が計時する時刻が初期化された場合、当該時刻の調整が行われるまでの間、時刻とともに、当該時刻が未調整である事を示す未調整フラグを前記出力手段から出力し、前記表示体は、前記未調整フラグが入力されている場合には、前記表示側計時手段が計時する時刻を表示することを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記表示体は、前記未調整フラグが入力されている場合には、前記計時手段が計時する時刻が調整されるまで、前記表示側計時手段が計時する時刻を表示する構成としても良い。また、前記機器本体の調整手段は、前記機器本体の計時手段が計時する時刻の調整後、前記フラグを調整済みとする構成としても良い。また、前記機器本体の出力手段は、前記機器本体の計時手段が計時する時刻の調整後、当該時刻が調整済みである事を示す調整済みフラグを出力する構成としても良い。また、前記機器本体の調整手段は、前記計時手段が計時する時刻が初期化された場合、前記表示体の表示側計時手段が計時する時刻に基づいて前記計時手段が計時する時刻を調整する構成としても良い。
【0007】
また、本発明は、時刻を計時し当該時刻を調整可能に構成された機器本体と、前記機器本体が出力する時刻を表示する表示体とを備えた電子機器の時刻表示方法において、前記表示体は、前記機器本体と独立して時刻を計時し、前記機器本体は、計時する時刻が初期化された場合、当該時刻の調整が行われるまでの間、時刻とともに、当該時刻が未調整である事を示す未調整フラグを出力し、前記表示体は、前記未調整フラグが入力されている場合には、前記表示側計時手段が計時する時刻を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、時刻を計時する計時手段、前記計時手段が計時する時刻を調整する調整手段、及び、前記計時手段の時刻を出力する出力手段を有した機器本体と、前記機器本体の出力手段が出力している時刻を受信して表示する表示体と、を備えた電子機器において、機器本体の計時手段が計時する時刻が初期化されている場合、又は未調整の場合でも、機器本体と独立して時刻を計時する表示側計時手段が計時する時刻を表示ユニットに表示することができ、時刻表示の使い勝手を良くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器を構成する機器本体と表示体の配置例を示す図である。
【図2】機器本体と表示体の正面図である。
【図3】電子機器の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】電子機器の動作を示すフローチャートである。
【図5】別の実施形態の電子機器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係る電子機器100を構成する機器本体1(ヘッドユニット)1と表示体2の配置例を示す図である。機器本体1と、表示体2は、表示体2を動作させた状態で、機器本体1のみ停止させ得るように構成される。本実施形態においては、機器本体1と、表示体2は、別体に形成され、不図示の接続用ケーブルで接続されて車両110に搭載される。機器本体1と、表示体2は、それぞれ別の電源系統を介して車両110の電源に接続される。
機器本体1は、例えば図1に示したように、ダッシュボード111の下部中央など前部座席の搭乗者にとって操作しやすい位置に配設される。表示体2は、例えば、ダッシュボード111の上部中央など車両110の搭乗者にとって見やすい位置に配設される。表示体2は、図示は省略したが、後部座席用のオーバーヘッドモニターやリアモニターである構成としても良い。表示体2には、時刻9が表示される。時刻9には、等分方式の12時制の時刻、或いは、24時制の時刻、さらに、日付等が表示される構成であっても良い。時刻9の表示方式は、ユーザーによって調整可能な構成であっても良い。
【0011】
図2は、電子機器100を構成する機器本体1と表示体2の正面図である。なお、図2に示した表示体2の表示状態は、一態様を示すものであり、表示位置や表示の様態はこれに限定されるものではない。機器本体1と表示体2は、ユニット間を繋ぐ接続用ケーブルを介してユニット間通信を行う。
【0012】
機器本体1は、車両に搭載される複数の音源、すなわち、機器本体1に内蔵されたCD再生部14、及び、FM/AMチューナーである受信部13、或いは、機器本体1に外部通信部11を介して接続される不図示のTVチューナー、DVDプレーヤー等を制御する。なお、本実施形態において、音源とは、音声信号を出力するオーディオ装置、及びに、音声信号とともに映像信号を出力する映像再生装置を総称するものである。
機器本体1は、図示は省略したが、車両のバッテリーに直結されるバックアップ電源と、キースイッチを介して車両のバッテリーに接続されたACC電源とが供給されている。そのため、ACC電源がオフの間は、バックアップ電源が供給される。
【0013】
機器本体1には、操作キー4が設けられ、操作キー4を操作することにより、複数の音源の中から所望の音源を選択し、選択した音源から出力される信号を調整することができる。操作キー4は、機器本体1の正面に設けられている。操作キー4は、例えば、機器本体1に着脱自在に取り付けられるコントロールパネルに設けられる構成であっても良い。
【0014】
操作キー4として、ボリュームキー4A、FMラジオ音源ボタン4B、AMラジオ音源ボタン4C、CD(Compact Disc)音源ボタン4D、Clockボタン4E、サーチボタン4F、メモリーボタン4G、ダイレクトボタン4H、イジェクトボタン4Iが設けられている。また、コントロールパネル3の正面にはCDの挿入口5が設けられている。
【0015】
ボリュームキー4Aは、ノブの回転操作によってボリューム(音量)が調整される。ボリュームキー4Aは、また、押下操作によって機器本体1の電源がオン・オフされる構成であっても良い。ボリュームキー4Aは、コントロールパネル3の左右にそれぞれ設けられ、車両の運転者、或いは、助手席の搭乗者のどちらからでも容易にボリューム操作ができるように構成されている。
【0016】
FMラジオ音源ボタン4Bは、音源ソースをFMラジオ音源に切り替えるための押下式のボタンであり、押下されることでFMラジオ音源が音源ソースとして選択される。
AMラジオ音源ボタン4Cは、音源ソースをAMラジオ音源に切り替えるための押下式のボタンであり、押下されることでAMラジオ音源が音源ソースとして選択される。
【0017】
CD(Compact Disc)音源ボタン4Dは、音源ソースをCD音源に切り替えるための押下式のボタンであり、押下されることでCD音源が音源ソースとして選択される。
Clockボタン4Eは、表示体2に表示する後述の時刻9の調整を行うための押下式のボタンであり、押下されることで時刻の調整が可能となり、ユーザーは、Clockボタン4Eを押下する操作をした後に、後述のサーチボタン4Fを操作して時刻の調整を行う。つまり、Clockボタン4E、及び、サーチボタン4Fは、ユーザー操作によって表示体2に表示する時刻の調整を行うための時刻調整手段(調整手段)40として機能する。
サーチボタン4Fは押下式のボタンであり、FMラジオ音源、或いは、AMラジオ音源が音源ソースとして選択されているさいに、視聴する放送局の選局に用いられる。サーチボタン4Fは、また、CD音源が音源ソースとして選択されているさいに、CDに収録されている楽曲の選曲に使用されるとともに、長押しされた場合には、再生中の楽曲の早送り/早戻しを行う。
【0018】
メモリーボタン4Gは、選局された放送局を登録するさいに用いられる押下式のボタンであり、押下されることで選局中の放送局を後述するダイレクトボタン4Hのいずれかに割り当てて登録することができる。
ダイレクトボタン4Hは、複数の押下式のボタンから構成され、それぞれのボタンに紐づけてFMラジオ、或いは、AMラジオの放送局を登録することができる。FMラジオ音源、或いは、AMラジオ音源が音源ソースとして選択されているさいに、複数のダイレクトボタン4Hのいずれかが押下されると、押下されたダイレクトボタン4Hに割り当てて登録されている放送局が呼び出されて、この放送局が音源ソースとして選択される。
ダイレクトボタン4Hに放送局を登録するさいには、メモリーボタン4Gの押下操作を行って登録する放送局を指定し、この放送局を登録するダイレクトボタン4Hを例えば長押しすることで、当該ダイレクトボタン4Hに任意の放送局を登録することができる。
【0019】
イジェクトボタン4Iは、押下式のボタンであり、機器本体1内部にCDが入っているときに押されると、挿入口5からのCDの排出動作がおこなわれる。
機器本体1は、また、図示は省略したが、携帯音響機器などの外部機器を通信可能に接続する入力端子を備え、当該入力端子に外部機器が接続されたときには、この外部機器を音源ソースとして選択することができる構成であっても良い。
【0020】
表示体2は、車両のダッシュボード上、或いは、座席頭上に設けられ、機器本体1とユニット間通信を行う。表示体2は、車両のバッテリーに直結されるバックアップ電源と、キースイッチを介して車両のバッテリーに接続されたACC電源とが供給され、ACC電源がオフの間は、バックアップ電源が供給される。
表示体2は、液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示パネル6を備え、表示パネル6に、選択されている音源ソースを示すインジケーター7、選局されているラジオ放送の放送局や選曲されている楽曲等に関する情報であるオーディオ情報8、及び、現在時刻、或いは、ユーザーが任意に設定した時刻に基づく時刻9を表示することができる。
【0021】
図3は、電子機器100を構成する機器本体1及び表示体2の機能的構成を示すブロック図である。
機器本体1は、マイコン10と、外部通信部11と、入力部12と、受信部13と、CD再生部14と、音響出力部15と、スピーカー16とを備える。
マイコン10は、機器本体1の各部の制御を実行するものであり、図示は省略したが制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMを備えている。ROMには、CPUに実行される基本制御プログラムがコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶されている。RAMには、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等が一時的に記憶される。マイコン10は、また、その他の周辺回路等を備えている。
【0022】
マイコン10は、また、計時部(計時手段)17を備え、この計時部17が計時する時刻を外部通信部11Aを介して表示体2に出力する。計時部17は、ハードウェアーの内蔵時計と、RAMに記憶された計時プログラムとから構成され、機器本体1の起動時に、ハードウェアーの内蔵時計が保持する時刻を参照して計時プログラムの時刻を合わせ、計時プログラムが計時する時刻を表示体2に出力する。機器本体1の終了時には、計時プログラムが計時した時刻を内蔵時計に書き戻す。
【0023】
また、ユーザーによって入力部14の時刻調整手段40を介して表示体2の表示パネル6に表示された時刻9が調整されたときには、この調整結果が計時プログラムが計時する時刻に反映され、機器本体1の終了時には、内蔵時計の時刻が、ユーザーの調整結果が反映された時刻に書きかえられる。また、ユーザーが時刻調整手段40を介して時刻9を調整した場合には、機器本体1の計時部17が出力する時刻に対して、マイコン10は時刻が調整済みである旨を示すフラグを付して表示体2に時刻を出力する。
計時部17には、車両の駆動時には、キースイッチを介して車両のバッテリーに接続されたACC電源が供給され、ACC電源がオフの間は、バックアップ電源が供給されるため、ハードウェアーの内蔵時計の動作が継続される。
【0024】
機器本体1が車両から取り外される等によって機器本体1へ車両のバッテリーからの電源供給が止まると、機器本体1の再始動時に計時部17の内蔵時計が初期化される。そのため、機器本体1の再始動時には、計時プログラムは、内蔵時計の初期値からの時刻を計時する、或いは、計時プログラムは、時刻の計時ができない状態となる。マイコン10は、計時部17から出力される時刻が内蔵時計の初期値に基づく場合には、時刻が未調整である事を示すフラグを時刻に付して表示体2に出力する。計時部17が時刻の計時ができない状態となった場合には、マイコン10は時刻を表示体2へ出力しない構成であっても良い。
計時部17の内蔵時計は、機器本体1への電源供給が停止した場合の再始動時以外にも、ROMに記憶された種々の制御プログラム、或いは、RAMに記憶された計時プログラム等の各種プログラムの更新時、また、プログラムの暴走などでマイコン10のリセット動作が起こった時などにも初期化される。
【0025】
外部通信部11は、機器本体1と表示体2とのユニット間通信を確立するための外部通信部(出力手段)11Aと、機器本体1に接続される携帯音響機器などの外部機器との通信を確立するための外部通信部11Bとを備える。外部通信部11Bは、複数設けられる構成であっても良い。
入力部12は、操作キー4を備え、ユーザーの操作キー4に対する操作を検出してマイコン10に出力する。例えば、ユーザーにより操作キー4の一つであるボリュームキー4Aが回転操作され、ユーザーによりボリューム調整が行われた場合には、かかる回転操作量が図示せぬエンコーダーにより検出され、マイコン10に出力される。マイコン10は、この回転操作量に基づいて、後述する音響出力部15を制御して出力する音量を調整する。
入力部12は、また、表示体2の表示パネル6に重ねて配設された不図示のタッチパネルを備える構成であっても良い。この場合、表示パネル6に表示される操作メニューに対するユーザーのタッチ操作を検出してマイコン10に出力する。
【0026】
受信部13は、FM/AM波のラジオ放送を受信するものであり、アンテナ18と、不図示のチューナー回路とを備える。受信部13は、マイコン10の制御の下、マイコン10の自紙に基づいて所定の放送局からのラジオ放送を受信し、音声信号を音響出力部15に出力する。
CD再生部14は、マイコン10の制御の下、CD再生部に挿入されたCDに記録されている音楽データを読み取り、音声信号を音響出力部15に出力する。
【0027】
音響出力部15は、マイコン10の制御の下、受信部13、及び、CD再生部14の各々からの音声信号に基づいて音声を出力するものであり、図示は省略したが、DSP(Digital Signal Processor)、電子ボリューム回路、及び、アンプを備える。音響出力部15は、マイコン10の制御の下、入力される音声信号に対して、DSPで例えばフィルター処理やイコライザ処理、音声信号が符号化されている場合にデコード処理といったデジタル音声信号処理を施して、電子ボリューム回路に出力し、電子ボリューム回路で、再生音量を調整すべく、音声信号をD/A変換した後に、信号の振幅レベルを調整してアンプに出力し、アンプで音声信号を増幅してスピーカー16に出力するものである。
【0028】
表示体2は、表示側マイコン20と、外部通信部21と、表示パネル6とを備える。表示体2は、機器本体1とは別の電源系統を介して100の電源に接続されているため、機器本体1が車両から取り外される等して停止した場合においても、表示体2の動作は継続される。
表示側マイコン20は、表示体2の各部の制御を実行するものであり、図示は省略したが制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMを備えている。ROMには、CPUに実行される基本制御プログラムがコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶されている。RAMには、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等が一時的に記憶される。表示側マイコン20は、また、その他の周辺回路等を備えている。
【0029】
表示側マイコン20は、さらに、表示側計時部(計時手段)22を備え、この表示側計時部22が計時する時刻を取得し、表示側計時部22が計時した時刻に基づいて表示パネル6に時刻9を表示することができる。表示側計時部22は、上述の機器本体1側が有する計時部17とは、独立して時刻を計時する。表示側計時部22は、ハードウェアーの内蔵時計と、RAMに記憶された計時プログラムとから構成される。表示側計時部22には、車両の駆動時には、キースイッチを介して車両のバッテリーに接続されたACC電源が供給され、ACC電源がオフの間は、バックアップ電源が供給されるため、ハードウェアーの内蔵時計の動作が継続される。
【0030】
表示体2の電源がオンになると、表示側マイコン20は、表示側計時部22で時刻の計時をおこなう。詳述すると、表示側マイコン20は、RAMに記憶されている計時プログラムを起動し、ハードウェアーの内蔵時計が保持する時刻を参照して計時プログラムの時刻を合わせ、計時プログラムによる時刻の計時を行う。表示体2の終了時(電源がオフされたさい)には、計時プログラムが計時した時刻を内蔵時計に書き戻す。
【0031】
表示側マイコン20は、機器本体1から入力された時刻に未調整のフラグが付されている場合、或いは、機器本体1から時刻が入力されない場合には、表示パネル6に表示する時刻9を表示側計時部22で計時した時刻に基づく表示に切り替える。表示側マイコン20は、表示側計時部22で計時した時刻を表示パネル6に出力した後に、機器本体1から調整済みフラグが付された時刻が入力された場合には、表示パネル6に表示する時刻9を機器本体1から入力された時刻に基づく表示に切り替える。表示体2は、時計調整手段を備えないため、機器本体1から調整済みフラグが付された時刻が入力された場合には、機器本体1から入力される時刻を優先的に表示するように構成されている。これによって、ユーザーが任意に設定した時刻を優先的に表示体2に表示することができる。
【0032】
外部通信部21は、表示体2と機器本体1とのユニット間通信を確立するための外部通信部21Aと、表示体2に接続される画像情報等を格納したリムーバブルメディア、或いは、画像再生装置等の外部機器との通信を確立するための外部通信部21Bとを備える。外部通信部21Bは、複数設けられる構成であっても良い。
表示パネル6には、表示側マイコン20の制御の下、外部通信部21を介して表示体2に接続される機器本体1、或いは、外部機器から入力される各種画像が表示される。
【0033】
以上の構成の下、電子機器100は、機器本体1の計時部17から出力される時刻、或いは、表示体2の表示側計時部22から出力される時刻に基づいて、表示パネル6に時刻9を表示する時計機能を備えている。
機器本体1が車両から取り外される等によって、機器本体1の計時部17の内蔵時計が保持する時刻が初期化されている場合には、機器本体1から表示体2に出力される時刻が内蔵時計の初期値に基づく未調整の状態となる。計時部17の内蔵時計が保持する時刻が初期化されると、機器本体1は、時刻を表示体2に出力しない、或いは、未調整フラグを付して時刻を表示体2に出力する。表示体2の表示側マイコン20は、機器本体1から入力される時刻の有無を判定するとともに、機器本体1から入力される時刻に未調整フラグが付されているか否か、或いは、調整済みフラグが付されているか否かを判定し、機器本体1の計時部17から出力される時刻、或いは、表示体2の表示側計時部22から出力される時刻のいずれかに基づいて、表示パネル6に時刻9を表示する。
【0034】
次に、電子機器100の動作、及び、電子機器100の時計表示方法について図4のフローチャートを用いて説明する。
表示体2の表示側マイコン20は、表示パネル6に時刻9を表示するにあたって、まず、機器本体1から時刻が外部通信部21Aを介して入力されているかを判定する(ステップS1)。機器本体1から、時刻が入力されていると判定すると(ステップS1:Yes)、表示側マイコン20は、機器本体1から入力された時刻に未調整フラグが付されているかを判定する(ステップS2)。機器本体1から入力された時刻に未調整フラグが付されていると判定すると(ステップS2:Yes)、表示側マイコン20は、表示側計時部22から時刻を取得して、表示側計時部22が出力した時刻に基づいて、表示パネル6に時刻9を表示する(ステップS3)。
【0035】
また、ステップS1において、機器本体1から時刻が入力されていないと判定すると(ステップS1:No)、表示側マイコン20は、表示側計時部22が計時する時刻を取得して、表示側計時部22が計時する時刻に基づいて表示パネル6に時刻9に表示する(ステップS3)。
ステップS2において、機器本体1から入力された時刻に未調整フラグが付されていない、或いは、調整済みフラグが付されている判定すると(ステップS2:No)、表示側マイコン20は、機器本体1から受信する時刻に基づいて表示パネル6に時刻9を表示する(ステップS5)。
【0036】
表示パネル6に表示されている時刻9が、表示側計時部22から出力される時刻に基づいているとき、表示側マイコン20は、機器本体1から受信する時刻に付される時刻の調整状態を示すフラグを監視し、調整済みフラグが入力されているか否かを判定する(ステップS4)。調整済みフラグが付された時刻が入力されたと判定すると(ステップS4:Yes)、表示側マイコン20は、表示パネル6に表示する時刻9を、機器本体1の計時部17から受信した時刻に基づいた表示に切り替える(ステップS5)。機器本体1から入力される時刻が調整されない場合は(ステップS4:No)、表示側マイコン20は、表示側計時部22が計時する時刻に基づいて表示パネル6に時刻9を表示し続ける。
【0037】
機器本体1から入力された時刻に未調整フラグが付されている間、表示側マイコン20は、機器本体1の計時部17から受信する時刻が未調整の状態であることをユーザーに知らせるために、時刻9を、時刻9が未調整である事を示すメッセージとともに表示パネル6に表示する構成であっても良い。この構成によれば、ユーザーは、機器本体1の計時部17の内蔵時計が初期化されていることを知ることができ、必要に応じて機器本体1の時刻を調整手段40を介して調整することができる。
【0038】
表示側マイコン20は、ステップS4において、調整済みフラグが付された時刻が機器本体1から受信したと判定したときに、機器本体1から受信した時刻に基づいて、表示体2の表示側計時部22で計時される時刻を書き換える構成であっても良い。この構成によれば、ユーザーが調整した時刻に基づいて表示側計時部22が計時する時刻が書きかえられるため、次に機器本体1から入力される時刻が初期化されて未調整の状態となったときに、ユーザーが任意に調整した時刻に基づいて表示パネル6に時刻9を表示することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、時刻を計時する計時部17、計時部17が計時する時刻を調整する調整手段40、及び、計時手段40の時刻を出力する出力手段11Aを有した機器本体1と、機器本体1の出力手段11Aが出力している時刻を受信して表示する表示体2と、を備えた電子機器100において、表示体2は、機器本体1と独立して時刻を計時する表示側計時部22を備え、機器本体1は、計時部17が計時する時刻が初期化された場合、当該時刻の調整が行われるまでの間、時刻とともに、当該時刻が未調整である事を示す未調整フラグを出力手段11Aから出力し、表示体2は、未調整フラグが入力されている場合には、表示側計時部22が計時する時刻を表示する。そのため、機器本体1が車両から取り外される、機器本体1の制御プログラムが更新される、或いは、機器本体1のマイコン10が初期化される、等で機器本体1の計時部17が計時する時刻が初期化され未調整となっても、表示側計時部22が独立して計時する時刻に基づいて表示パネル6に時刻9を表示し続けることができ、電子機器100の時刻表示の使い勝手を良くすることができる。
また、表示体2は、機器本体1の計時部17が計時する時刻が初期化され未調整となっている場合、当該時刻が調整されるまで、表示側計時部22が計時する時刻を表示するため、ユーザーが機器本体1の調整手段40を操作して時刻を調整した場合には、ユーザーが調整した時刻に基づいて時刻9が表示される。そのため、例えば、複数の表示体2が機器本体1に接続されている場合には、各表示体2側で時刻の調整をする必要がなく、各表示体2に共通の時刻9を表示することができ、時刻表示の使い勝手を良くすることができる。また、機器本体1の計時部17が計時する時刻が調整された後、計時部17が計時する時刻に付されるフラグは、調整済みとなるため、表示体2は、機器本体1の計時部17が計時する時刻が調整されたことを知ることができる。
【0040】
次に、図5のフローチャートを用いて、電子機器100の別の実施形態の動作、及び、時計表示方法について説明する。
上述の実施形態では、機器本体1から入力される時刻が調整されない場合は、表示体2の表示側マイコン20は、表示側計時部22が計時する時刻に基づいて表示パネル6に時刻9を表示し続ける構成とした。この場合、表示パネル6に表示される時刻9を特に調整する必要がない場合は、ユーザーは、時刻調整手段40を操作しない、つまり機器本体1の計時部17で計時する時刻の調整を行わない。そのため、機器本体1の計時部17が計時する時刻は、未調整の状態のままとなる。
よって、この別の実施形態では、機器本体1のマイコン10が時刻調整手段として機能し、機器本体1で計時される時刻が初期化され、未調整となった場合には、表示体2の表示側計時部22が計時する時刻に基づいて、計時部17が計時する時刻を調整するものである。なお、計時部17が計時する時刻を表示側計時部22が計時する時刻に基づいて調整した後には、機器本体1から出力される時刻に基づいて、表示パネル6に時刻9を表示するものである。
なお、この別の実施形態において、電子機器100の構成は、図1、図2、図3で示した上述の実施形態の電子機器100と同一であり、その説明を省略する。
【0041】
表示体2の表示側マイコン20は、表示パネル6に時刻9を表示するにあたって、まず、機器本体1から時刻が入力されているかを判定する(ステップS11)。機器本体1から、時刻が入力されていると判定すると(ステップS11:Yes)、表示側マイコン20は、機器本体1から入力された時刻に未調整フラグが付されているかを判定する(ステップS12)。機器本体1から入力された時刻に未調整フラグが付されていると判定すると(ステップS12:Yes)、表示側マイコン20は、表示側計時部22で計時した時刻を外部通信部21Aを介して機器本体1に出力する(ステップS13)。
【0042】
また、ステップS11において、機器本体1から、時刻が入力されていないと判定すると(ステップS11:No)、表示側マイコン20は、表示側計時部22が計時した時刻を外部通信部21Aを介して機器本体1に出力する(ステップS13)。
【0043】
機器本体1のマイコン10は、外部通信部11Aを介して表示体2から表示側計時部22が計時した時刻を受信すると、表示体2から入力された時刻に基づいて計時部17の内蔵時計の時刻を書き換えて、計時部17が計時する時刻を調整する(ステップS14)。マイコン10は、続いて、計時部17から出力される時刻に調整済みフラグを付して、外部通信部11Aを介して、時刻を表示体2に出力する(ステップS15)。機器本体1から調整済みフラグが付された時刻が入力されると、表示体2の表示側マイコン20は、機器本体1から入力された時刻に基づいて、表示パネル6に時刻9を表示する(ステップS16)。
【0044】
また、ステップS12において、機器本体1から入力された時刻に未調整フラグが付されていない、或いは、調整済みフラグが付されていると判定すると(ステップS12:No)、表示側マイコン20は、機器本体1から入力された時刻に基づいて、表示パネル6に時刻9を表示する(ステップS16)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、機器本体1のマイコン10は、計時部17が計時する時刻が初期化されている場合、又は、計時部17が計時する時刻に未調整のフラグが付されている場合、表示体2の表示側計時部22が計時する時刻に基づいて計時部17が計時する時刻を調整する。そのため、機器本体1が車両110から取り外される、機器本体1の制御プログラムが更新される、或いは、機器本体1のマイコン10が初期化される等で機器本体1の計時部17が計時する時刻が初期化され、未調整となっても、機器本体1のマイコン10が計時部17が計時する時刻を表示側計時部22が計時する時刻に基づいて調整するため、ユーザーは、機器本体1の計時部17が計時する時刻が初期化され未調整となる度に時刻の調整をし直す必要がない。よって、ユーザーは、気兼ねなく時刻表示機能付きの電子機器100の制御プログラムの更新や、ユニット本体の取り外しを行うことができるようになり、使い勝手が良くなる。
【0046】
以上の説明において、機器本体1と表示体2は別体に形成される構成としたが、これに限らず、表示体2を機器本体1とは独立して動作させることができる電子機器100であれば、表示体2と機器本体1とは一体に形成されている構成であっても良い。また、電子機器100は車両に搭載され車両電源から電源の供給を受けて動作する場合を例に説明したが、これに限らず、機器本体と表示体とから構成される電子機器であって、少なくとも表示体の表示側計時部22の電源系統を機器本体1の電源系統とは別にし、機器本体1の動作を停止している場合にも表示側計時部22を独立して計時するような構成の電子機器に広く適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 機器本体(ヘッドユニット)
2 表示体
6 表示パネル
9 時刻
10 マイコン(調整手段)
11A 外部通信部(出力手段)
17 計時部(計時手段)
20 表示側マイコン
22 表示側計時部
40 時刻調整手段(調整手段)
100 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を計時する計時手段、前記計時手段が計時する時刻を調整する調整手段、及び、前記計時手段の時刻を出力する出力手段を有した機器本体と、
前記機器本体の出力手段が出力している時刻を受信して表示する表示体と、を備えた電子機器において、
前記表示体は、
前記機器本体と独立して時刻を計時する表示側計時手段を備え、
前記機器本体は、
前記計時手段が計時する時刻が初期化された場合、当該時刻の調整が行われるまでの間、時刻とともに、当該時刻が未調整である事を示す未調整フラグを前記出力手段から出力し、
前記表示体は、前記未調整フラグが入力されている場合には、前記表示側計時手段が計時する時刻を表示する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示体は、
前記未調整フラグが入力されている場合には、前記計時手段が計時する時刻が調整されるまで、前記表示側計時手段が計時する時刻を表示する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項3】
前記機器本体の出力手段は、
前記機器本体の計時手段が計時する時刻の調整後、当該時刻が調整済みである事を示す調整済みフラグを出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記機器本体の調整手段は、
前記計時手段が計時する時刻が初期化された場合、前記表示体の表示側計時手段が計時する時刻に基づいて前記計時手段が計時する時刻を調整する
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の電子機器。
【請求項5】
時刻を計時し当該時刻を調整可能に構成された機器本体と、前記機器本体が出力する時刻を表示する表示体とを備えた電子機器の時刻表示方法において、
前記表示体は、
前記機器本体と独立して時刻を計時し、
前記機器本体は、
計時する時刻が初期化された場合、当該時刻の調整が行われるまでの間、時刻とともに、当該時刻が未調整である事を示す未調整フラグを出力し、
前記表示体は、
前記未調整フラグが入力されている場合には、前記表示側計時手段が計時する時刻を表示することを特徴とする電子機器の時刻表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−173199(P2012−173199A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37054(P2011−37054)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】