説明

電子機器、及びそれに搭載されるハードディスク装置のホルダ

【課題】ハードディスク装置とコネクタとの接続状態に対する螺子の締め付け具合の影響を低減できる電子機器を提供する。
【解決手段】ハウジングの前板部72には、ハードディスク装置3をハウジング7内に挿入するための開口であるハードディスク挿入口72aが形成される。回路基板5のコネクタ51は、ハードディスク挿入口72aの奥部において、当該ハードディスク挿入口72aと向き合うように配置される。ハードディスク装置3を電子機器1に固定する固定具はハウジングの底板部71から挿通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク装置の交換が可能に構成された電子機器、及び当該ハードディスク装置を保持するホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム装置やパーソナルコンピュータなど、ハードディスク装置を備える電子機器には、電子機器のハウジングを空けることなく、ハードディスク装置の交換が可能に構成されたものがある(例えば、特許文献1)。このような電子機器では、ハウジングに、ハードディスク装置及びそのホルダを取り出し、挿入するための開口(以下、ハードディスク挿入口)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−224372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器が内蔵する回路基板には、ハードディスク装置と電気的に接続するコネクタが設けられている。基板上のコネクタがハードディスク挿入口と向き合うように配置された構造では、ハードディスク装置の挿入方向とコネクタの嵌合方向とが同じになる。このように構造において、ハードディスク装置を保持するホルダを回路基板やシャーシに固定するピン状の固定具(例えば、螺子やボルト)が、ハードディスク装置の挿入方向と同じ方向に差し込まれる場合、螺子の締め付けの過不足が、ハードディスク装置とコネクタとの接続状態に影響し、ハードディスク装置をコネクタに対して適切に取り付けるのが難しい。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、ハードディスク装置とコネクタとの接続状態に対する固定具の締め付け具合の影響を低減できる電子機器及びハードディスク装置を保持するホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、ハードディスク装置と、前記ハードディスク装置と接続するコネクタが設けられた回路基板と、前記ハードディスク装置と前記回路基板とを収容するハウジングであって、当該ハウジングの外面を構成する第1の外板部と、当該第1の外板部の縁から立ち上がる第2の外板部とを有するハウジングと、を備える。前記第2の外板部には、前記ハードディスク装置を前記ハウジング内に挿入するための開口であるハードディスク挿入口が形成され、前記回路基板の前記コネクタは、前記ハードディスク挿入口の奥部において、当該ハードディスク挿入口と向き合うように配置される。そして、前記ハードディスク装置を前記電子機器に固定するピン状の固定具は前記第1の外板部から挿通されている。
【0007】
本発明によれば、第2の外板部にハードディスク挿入口が形成される一方で、固定具は第1の外板部から挿通されているので、ハードディスク装置とコネクタとの接続状態に対する固定具の締め付け具合の影響を低減できる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記電子機器は、前記ハードディスク装置を保持するホルダ本体と、前記ホルダ本体から張り出すように形成される取付プレートとを有するハードディスクホルダをさらに備えてもよい。そして、前記取付プレートには前記固定具が挿通される取付孔が形成され、前記取付プレートは前記第1の外板部と沿うように設けられてもよい。この態様によれば、ハードディスク装置とコネクタとの接続状態に対する固定具の締め付けの影響を低減するとともに、ハードディスクホルダを介してハードディスク装置を電子機器に固定できる。
【0009】
また、この態様では、前記電子機器は、前記第1の外板部に沿って配置されるシャーシをさらに備えてもよい。そして、前記シャーシと前記回路基板の少なくとも一方には、前記固定具が挿通される取付孔が形成され、前記取付プレートの前記取付孔は、前記ハードディスク装置が前記回路基板の前記コネクタに嵌った時に、前記シャーシと前記回路基板の前記少なくとも一方の前記取付孔の位置に一致するように形成されてもよい。この態様によれば、作業者は、取付孔の位置が一致したか否かに応じて、ハードディスク装置がコネクタに適切に嵌ったか否かを判断できる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記電子機器は前記ハウジングに収容されるシャーシをさらに備え、前記回路基板と前記シャーシは前記第1の外板部に沿って配置され、前記回路基板と前記シャーシとには前記固定具が差し込まれる取付孔が形成されてもよい。この態様によれば、ハードディスク装置を固定する固定具を用いて、回路基板をシャーシに固定できるので、電子機器の部品数を減らせる。
【0011】
また、本発明に係るハードディスクホルダは、ハードディスク装置を保持し、当該ハードディスク装置とともに電子機器に対して挿入或いは取り外しされるハードディスクホルダである。前記ハードディスクホルダは、前記ハードディスク装置の底面と向き合う底板部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体から張り出し、前記ハードディスクホルダを前記電子機器に固定するピン状の固定具が挿通される取付孔が形成された板状の取付プレートとを含む。そして、前記取付プレートは、前記底板部を含む平面に沿うように形成されている。
【0012】
本発明では、取付孔が形成された取付プレートは、ハードディスク装置の底面と向き合う底板部を含む平面に沿うように設けられている。そのため、ハードディスク装置と回路基板上に設けられたコネクタとの接続状態に対する固定具の締め付け具合の影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の例である電子機器の斜視図である。
【図2】上記電子機器の正面図であり、同図では、ハードディスク装置が接続されるコネクタが破線で示されている。
【図3】上記電子機器の底面図である。
【図4】上記電子機器が有する下ハウジングと、ハードディスク装置の斜視図である。同図では、下ハウジングに上シャーシが配置されている。
【図5】上記電子機器が有する下ハウジング、下シャーシ、回路基板、上シャーシの分解斜視図である。
【図6】上記下ハウジングの斜視図である。
【図7】上記上シャーシの斜視図である。
【図8】上記ハードディスク装置を保持するハードディスクホルダの斜視図である。
【図9】図2に示すIX−IX線での断面図である。
【図10】図9に示すX−X線での断面図である。
【図11】上記下ハウジングの前部の斜視図である。同図では、下ハウジングに形成された開口を閉じるキャップが取り外された状態の下ハウジングが示されている。
【図12】ハードディスク挿入口を閉じる挿入口キャップの斜視図である。
【図13】上記下ハウジングに形成された開口を閉じるキャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の例である電子機器1の斜視図である。図2は電子機器1の正面図であり、同図では、ハードディスク装置3が接続されるコネクタ51が破線で示されている。図3は電子機器1の底面図である。図4は電子機器1が有する下ハウジング70と、ハードディスク装置3の斜視図である。同図では、下ハウジングに上シャーシが配置されている。図5は、電子機器1が有する下ハウジング70、下シャーシ4、回路基板5、上シャーシ6の分解斜視図である。図6は下ハウジング70の斜視図であり、図7は上シャーシ6の斜視図である。図8はハードディスク装置3を保持するハードディスクホルダ8の斜視図である。図9は図2に示すIX−IX線断面図であり、図10は図9に示すX−X線での断面図である。図11は下ハウジング70の前部の斜視図であり、同図では、下ハウジング70に形成された開口71cを閉じるキャップ14が取り外された状態の下ハウジング70が示されている。
【0015】
図1又は図2に示すように、電子機器1は、その外面を構成するハウジング7を備えている。ハウジング7は上方に開いた下ハウジング70と、当該下ハウジング70に上方から被さるように配置され、下ハウジング70を上方から閉じる上ハウジング76とを備えている。
【0016】
上ハウジング76は、下ハウジング70に向き合うように配置される上板部76aを有している。また、上ハウジング76は、上板部76aの前縁から下ハウジング70に向かって下がる左前板部76bと右前板部76cとを有している。電子機器1は、例えば、ゲーム装置やオーディオ・ビジュアル機器であり、右前板部76cには、光ディスクなど、可搬型の記憶媒体を挿入するためのメディア挿入口76dが形成されている。また、右前板部76cの手前には、複数の操作ボタン11aが設けられた操作パネル11が配置されている。
【0017】
図2、図3又は図6に示すように、下ハウジング70は略矩形の底板部(第1の外板部)71を有している。底板部71は電子機器1の底を構成し、電子機器1は、その使用の一形態では、底板部71が設置面に向き合うように設置面上に配置される。下ハウジング70は、底板部71の前縁から立ち上がる前板部(第2の外板部)72と、底板部71の左右の縁から立ち上がる横板部73とを有している。また、ハウジング7は、その前部が前板部72よりさらに前に張り出す形状を有しており、下ハウジング70は、前板部72の上縁から前に伸びる前底部74を有している。なお、上述した操作パネル11は、この前底部74の上方に配置されている。
【0018】
電子機器1は、その内部に、ハードディスク装置3と当該ハードディスク装置3を保持するハードディスクホルダ8とを備えている(図4参照)。図2に示すように、ハウジング7には、ハードディスク装置3及びハードディスクホルダ8を電子機器1から取り外し又は電子機器1に挿入するための開口であるハードディスク挿入口72aが形成されている。この例では、ハードディスク挿入口72aは、下ハウジング70の前板部72に形成されている。上述したように、ハウジング7は、その前部が前板部72より前に張り出した形状を有しており、ハードディスク挿入口72aは、電子機器1を斜め上方から臨んだ時には、上ハウジング76の前部或いは前底部74と向き合う操作パネル11によって隠される(図1参照)。
【0019】
この例では、ハードディスク挿入口72aは、前板部72において左右方向の一方側(ここでは、右側)に形成されており、前板部72の端部から、当該前板部72の中央に向かって伸びるように形成されている。そのため、後述するように、ハードディスク挿入口72aから挿入されたハードディスク装置3及びハードディスクホルダ8は下ハウジング70の横板部73に沿って配置される(図9参照)。
【0020】
図2又は図4に示すように、電子機器1は、ハードディスク挿入口72aに対応した形状の挿入口キャップ12を備えている。挿入口キャップ12は、ハードディスク挿入口72aの縁に装着されて、当該ハードディスク挿入口72aを閉塞する。図12は、挿入口キャップ12の斜視図である。図12に示すように、挿入口キャップ12には、ハードディスク挿入口72aの縁に引っ掛かる爪部12aが形成されている。また、上述したように、ハードディスク挿入口72aは前板部72の端部から中央に向かって伸びるように形成されている。挿入口キャップ12の端部12cは、横板部73側に屈曲しており、当該端部12cには横板部73の縁に形成された孔73dに嵌る突起12bが形成されている(図9参照)。
【0021】
図5に示すように、電子機器1は、集積回路(不図示)など各種電子部品が実装される回路基板5を有している。また、電子機器1は、ハウジング7及び回路基板5を補強するとともに電子機器1が内蔵する装置(例えば、電源回路や可搬型の記憶媒体の読み取り装置)が取り付けられる上シャーシ6と下シャーシ4とを有している。下シャーシ4と、上シャーシ6と、回路基板5は、板状の部材であり、それぞれ底板部71に沿うように配置されている。すなわち、下シャーシ4と、上シャーシ6と、回路基板5は、底板部71と平行に配置され、互いに重なり合っている。この例では、下シャーシ4と上シャーシ6との間に回路基板5が配置されている。
【0022】
下シャーシ4と、回路基板5と、上シャーシ6は、下方から差し込まれるピン状の固定具(例えば、螺子(不図示))によって下ハウジング70に固定されている。詳細には、図5又は図6に示すように、下ハウジング70の底板部71には、その周縁に沿って複数の取付孔71aが形成されている。また、図5に示すように、回路基板5の外周縁には、複数の取付孔5aが形成され、下シャーシ4の外周縁4eには、取付孔4aが形成されている。さらに、上シャーシ6の外周縁6eにも、図7に示すように、取付孔6aが形成されている。各部材に形成された取付孔71a,4a,5a,6aの位置は互いに対応しており、底板部71、下シャーシ4、回路基板5、及び上シャーシ6は、共通の螺子で固定される。すなわち、一本の螺子が取付孔71a,4a,5a,6aに挿通されて、下シャーシ4、回路基板5、及び上シャーシ6を底板部71に固定する。
【0023】
なお、下シャーシ4の外周縁4eの位置は、当該下シャーシ4の他の部分の位置より高くなっており、外周縁4eは底板部71から離れて位置し、回路基板5の裏面に接している。また、図7に示すように、上シャーシ6の外周縁6eの位置は上シャーシ6の他の部分の位置に比べて低くなっている。そのため、上シャーシ6の外周縁6eは回路基板5の表面に接している。外周縁6eの内側の部分と回路基板5との間には隙間が設けられ、その隙間に回路基板5上の電子部品が位置している。
【0024】
図5又は図9に示すように、回路基板5は、矩形の一部が切り欠かれた形状を有している。すなわち、回路基板5の前縁5bには後方(図5においてY1の示す方向)に凹んだ凹部5cが形成されている。ここでは、凹部5cは回路基板5の角に位置しており、回路基板5は、矩形の角が切り欠かれた形状となっている。凹部5cは、ハードディスク挿入口72aの奥部に位置するとともに、その形状はハードディスク装置3の形状に対応している。すなわち、凹部5cは略矩形を呈している。
【0025】
また、図5に示すように、下シャーシ4は、回路基板5と同様に、矩形の一部が切り欠かれた形状を有している。すなわち、下シャーシ4の前縁4bにも後方に凹んだ凹部4cが形成されている。凹部4cも、ハードディスク挿入口72aの奥部に位置するとともに、その形状は、回路基板5の凹部5cと同様に、ハードディスク装置3の形状に対応している。
【0026】
そのため、ハードディスク挿入口72aから挿入されたハードディスク装置3及びハードディスクホルダ8は、下ハウジング70の底板部71に接した状態で、凹部5c,4cの内側に配置される(図9参照)。すなわち、ハードディスク装置3とハードディスクホルダ8は、その側面が凹部5c,4cの縁と横板部73とに囲まれるようにして、下ハウジング70の底板部71上に配置される。
【0027】
回路基板5の凹部5cの縁には、ハードディスク装置3と回路基板5とを電気的に接続するためのコネクタ51が実装されている。この例では、コネクタ51は、略直方体状を呈し、凹部5cの縁から前方(図5においてY2の示す方向)に張り出すようにして回路基板5に実装されている。そして、コネクタ51は、ハードディスク挿入口72aと向き合うように、当該ハードディスク挿入口72aの奥部に配置されている(図2参照)。そのため、上述した挿入口キャップ12が取り外されると、コネクタ51がハードディスク挿入口72aから露呈する。ハードディスク装置3のコネクタ51と対向する面(以下、接続面)3aには、コネクタ51に嵌るコネクタ部(不図示)が形成されている(図9参照)。コネクタ51は、ハードディスク装置3との嵌合方向が、ハードディスク装置3のハードディスク挿入口72aへの挿入方向(図9においてDiの示す方向(この例では、後方))と一致するように配置されている。また、コネクタ51は、ハードディスク装置3の挿入時に、ハードディスク装置3の接続面3aのコネクタ部と正対するように配置されている。
【0028】
図4又は図7に示すように、上シャーシ6は、ハードディスク挿入口72aの奥部に位置する、ハードディスク装置3が収容される空間を囲む収容部61を有している。収容部61は、ハードディスク装置3の形状に対応した形状を有している。すなわち、ハードディスク装置3は平たい直方体状を呈しており、収容部61は、前方、下方及び右方向に開いた箱状を呈している。具体的には、収容部61は、ハードディスク挿入口72aから後方に伸びるように配置され、ハードディスク装置3を上方から覆う上壁部61aを有している。また、収容部61は、上壁部61aの縁から下がるとともにハードディスク装置3の左右の一方側の側面(この例では左側面)と向き合う横壁部61bを有している。そして、収容部61は、下ハウジング70の底板部71、横板部73、及びハードディスク挿入口72aに向かう方向へは開口している。また、収容部61の位置は、回路基板5の凹部5cと下シャーシ4の凹部4cの位置に対応している。すなわち、収容部61の上壁部61aの下方に凹部5c,4cが位置している。なお、上壁部61a及び横壁部61bには複数の通気孔が形成されており、ハウジング7内を流れる空気はこの通気孔を通ってハードディスク装置3を冷却する。
【0029】
図4又は図9に示すように、ハードディスクホルダ8は、コネクタ部が設けられた接続面3aを露出させた状態で、当該ハードディスク装置3を保持している。すなわち、図8に示すように、ハードディスクホルダ8はホルダ本体80を有し、ホルダ本体80は、ハードディスク装置3の底面と向き合う底板部81と、当該底板部81の左右の縁から立ち上がり、ハードディスク装置3の接続面3aとは異なる面と向き合う横板部82R,82Lとを有している。横板部82R,82Lは、ハードディスク装置3を左右から挟むように形成されており、これによってホルダ本体80はハードディスク装置3を保持している。この例では、横板部82Lは、底板部81に対して上方に屈曲し、横板部82L,82Rの間隔は、ハードディスク装置3の幅より僅かに小さくなっている。ハードディスク装置3は、ホルダ本体80がその形状を維持しようとする力に抗して横板部82L,82Rの間に嵌められている。なお、底板部81には、ハードディスク装置3をハードディスクホルダ8に固定する螺子(不図示)が差し込まれる孔81eが形成されている。また、底板部81には、ハウジング7内を流れる空気をハードディスク装置3に流通させるための複数の通気孔が形成されている。また、ホルダ本体80は、ハードディスク装置3の接続面3aとは反対側の面に向き合う後壁部84を有している。この後壁部84には取っ手84aが設けられている。
【0030】
ハードディスク装置3を電子機器1に固定する構造について説明する。
【0031】
図10に示すように、ハードディスク装置3はピン状の固定具(この例では、螺子13)によって電子機器1に固定されている。螺子13は、ハードディスク装置3の挿入方向及びコネクタ51の嵌合方向に対して直交する方向から挿通されている。また、螺子13は、コネクタ51の上面と、ハードディスク装置3の上面(接続面3aの縁から、当該接続面3aとは反対側の面の縁まで伸びる面のうち広い幅を有する面(図9参照))3bに対して直交する方向から挿通されている。ここでは、ハードディスク装置3は底板部71に沿うように配置されており、螺子13の挿通方向は、底板部71と回路基板5と下シャーシ4と上シャーシ6とが重なる方向(ここでは、上下方向)となっている。すなわち、螺子13は、下ハウジング70の底板部71の下方から挿通され、その挿通方向は回路基板5等に対して垂直となっている。この螺子13によってハードディスクホルダ8が下シャーシ4と、回路基板5と、上シャーシ6とに固定されている。
【0032】
詳細には、図11に示すように、下ハウジング70の底板部71には開口71cが形成されている。この開口71cは、ハードディスク挿入口72aの奥部に位置している。また、開口71cの位置は、下ハウジング70の横板部73から、ハードディスク装置3の幅に対応した大きさだけ、右方向又は左方向に離れている(図9参照)。なお、この例では、開口71cの位置は、横板部73から左方向に離れている。図5乃至図7に示すように、上シャーシ6と、回路基板5と、下シャーシ4とには、取付孔6d,5d,4dが形成され、これらの取付孔6d,5d,4dの位置は、開口71cの位置に対応している。すなわち、取付孔6d,5d,4dは、開口71cの上方に位置し、取付孔6d,5d,4d及び開口71cは、上下方向に連なっている。
【0033】
なお、この例では、回路基板5の取付孔5dは、凹部5cの縁のうちハードディスク装置3の挿入方向に伸びる縁5eの端部に形成さている(図9参照)。同様に、下シャーシ4の取付孔4dは、凹部4cの縁のうち、ハードディスク装置3の挿入方向に伸びる縁4fの端部に形成されている(図5参照)。また、上シャーシ6の取付孔6dは、収容部61の横壁部61bに隣接して設けられている(図7参照)。
【0034】
ハードディスクホルダ8には、図8に示すように、底板部81から、横板部82の位置を越えて側方(この例では、左方向(X2に示す方向)に張り出す板状の取付プレート83が設けられている。取付プレート83は、底板部81を含む平面に沿って形成されている。すなわち、取付プレート83は底板部81と平行となっている。また、上述したように、ハードディスクホルダ8がハードディスク装置3とともにハードディスク挿入口72aから挿入された時には、これらは底板部71に沿って配置される。そのため、図10に示すように、ハードディスクホルダ8がハードディスク挿入口72aから挿入された時には、取付プレート83は、底板部71と向き合うよう配置される。取付プレート83には、当該取付プレート83を上下方向に貫通する取付孔83aが形成されており、この取付孔83aの位置も、開口71c、及び取付孔6d,5d,4dの位置に一致している。すなわち、ハードディスク装置3の接続面3aに設けられたコネクタ部が回路基板5のコネクタ51に嵌り、ハードディスク装置3がコネクタ51に対する正規の位置に配置された状態では、すなわち、ハードディスク装置3のコネクタ部とコネクタ51との電気的な接触が十分に確保された状態では、取付孔83aは、開口71c、取付孔6d,5d,4dと上下方向に並ぶ(図10参照)。螺子13は、開口71cを通って取付孔83a,6d,5d,4dに挿通され、ハードディスクホルダ8を下シャーシ4と、回路基板5と、上シャーシ6とに固定する。すなわち、この例では、上シャーシ6の取付孔6dには螺子溝が形成されており、螺子13を締め付けることによって、下シャーシ4、回路基板5、取付プレート83、及び後述する挿入口キャップ12の取付部12dが上シャーシ6に固定され、これによって、ハードディスクホルダ8は下シャーシ4と、回路基板5と、上シャーシ6とに固定されている。
【0035】
なお、図8に示すように、取付孔83aは、ハードディスク装置3の挿入方向に長い長孔となっている。取付孔83aによって許容される限度でコネクタ51から最も離れた位置に、ハードディスク装置3が配置された場合であっても、ハードディスク装置3のコネクタ部とコネクタ51との電気的接続が適切に確保されるように、取付孔83aの大きさは設定されている。
【0036】
上述したように、ハードディスク挿入口72aは、挿入口キャップ12によって閉じられている。この挿入口キャップ12も、ハードディスクホルダ8とともに螺子13によって電子機器1に固定されている。詳細には、図10又は図12に示すように、挿入口キャップ12には、ハウジング7の内部に向かって、底板部71に沿って突出する板状の取付部12dが形成され、取付部12dには、当該取付部12dを上下方向に貫通する取付孔12eが形成されている。挿入口キャップ12がハードディスク挿入口72aに装着された時には、取付部12dも開口71cの上方に位置し、取付部12dの取付孔12eは、取付孔83a,6d,5d,4dと上下方向に並ぶ。そして、螺子13は取付孔12eにも挿通される。
【0037】
上述したように、下シャーシ4の外周縁4eの位置は、当該下シャーシ4の他の部分より高くなっており、底板部71から離れている。そのため、図10に示すように、下シャーシ4の取付孔4dが形成された部分と、底板部71との間には隙間が設けられている。そして、ハードディスクホルダ8がハードディスク装置3とともにハードディスク挿入口72aから挿入された時には、取付プレート83は下シャーシ4と底板部71との間に嵌る。また、挿入口キャップ12の取付部12dも、下シャーシ4と底板部71との間に嵌る。特に、この例では、取付部12dは、この取付プレート83と底板部71との間に嵌っている。なお、開口71cは、取付孔83a,6d,5d,4dよりも大きくなっており、挿入口キャップ12がハードディスク挿入口72aに装着される前では、開口71cから取付プレート83が露呈している。作業者は、開口71cから、取付プレート83の取付孔83aの位置が取付孔6d,5d,4dと一致したか否かを視認できる。そして、これによって、作業者は、コネクタ51に対するハードディスク装置3の位置が適切か否かを判断できる。
【0038】
また、取付孔5dが形成された回路基板5の縁5eの端部と、取付孔4dが形成された下シャーシ4の縁4fの端部は、挿入口キャップ12が取り外された時に、ハードディスク挿入口72aから露呈する。作業者は、ハードディスクホルダ8とハードディスク装置3とをハードディスク挿入口72aに挿入する際、回路基板5の縁5eと下シャーシ4の縁4fとを見ながら、それらの縁5e,4eと下ハウジング70の底板部71との間に取付プレート83を嵌めることができる。
【0039】
図9に示すように、ハードディスクホルダ8における取付プレート83の位置は、コネクタ部が設けられた接続面3aから、ハードディスク装置3の挿入方向とは反対方向に離れている。つまり、取付プレート83は、ハードディスクホルダ8がハードディスク装置3とともにハードディスク挿入口72aから挿入された時に、ハードディスク挿入口72a寄りに位置するように形成されている。この例では、取付プレート83は、底板部81の縁における接続面3aから最も離れた部分から側方に張り出している。そのため、ハードディスク装置3のコネクタ部が回路基板5のコネクタ51に嵌った時においても、取付孔83aはコネクタ51から離れて位置する。その結果、ハードディスク装置3のコネクタ51に対するがたつきを低減できている。つまり、取付プレートが接続面に近い位置に設けられている場合には、ハードディスク装置がコネクタに嵌った時に、取付プレートがコネクタに近接する。このような態様に比べて、取付プレート83が接続面3aから離れている電子機器1では、螺子13の緩みに起因する、コネクタ51に対するハードディスク装置3のがたつきが小さくなる。
【0040】
なお、図3又は図11に示すように、下ハウジング70の底板部71に形成された開口71cには、当該開口71cから取り外し可能なキャップ14が装着されている。開口71cは、キャップ14によって閉塞されている。
【0041】
図13は、キャップ14の斜視図である。キャップ14は、開口71cから取り外された時に、底板部71からの脱落が阻止されるように形成されている。つまり、キャップ14は、開口71cから取り外された時に、底板部71に引っ掛かった状態が維持されるように形成されている。詳細には、底板部71には、開口71cに加えて、当該開口71cに隣接する孔71dが形成されている(図11参照)。図13に示すように、キャップ14には、上方に突出し、開口71cに嵌る係合部14aと、上方に突出し、孔71dに嵌る係合部14b,14cとが形成されている。係合部14aは、略円筒状に形成され、その外周面に開口71cの縁に引っ掛かる爪部14eが形成されている。係合部14b,14cの先端も、孔71dの縁に引っ掛かる爪状に形成されている。また、係合部14bは、係合部14cより長くなっている。キャップ14が開口71c及び孔71dを閉じている状態では、係合部14aの爪部14eは開口71cの縁に引っ掛かり、係合部14cは孔71dの縁に引っ掛かっている。係合部14aの爪部14eの引っ掛かりが解消され、キャップ14が開口71cから取り外された時には、係合部14cと孔71dの縁との引っ掛かりが解消され、係合部14bが孔71dの縁に引っ掛かる。これによって、キャップ14は、開口71cから取り外された時においても、係合部14bにおいて底板部71に引っ掛かった状態が維持される。なお、キャップ14は、係合部14bの引っ掛かりが解消されることによって、底板部71から分離され得る。
【0042】
ハードディスク装置3の取り付け作業について説明する。まず、作業者は、ハードディスクホルダ8に装着したハードディスク装置3を、下ハウジング70のハードディスク挿入口72aから挿入し、後方に(コネクタ51に向かって)移動させる。上述したように、ハードディスク挿入口72aの位置は横板部73側に寄っている。また、ハードディスク挿入口72aの後方には、回路基板5の凹部5cと下シャーシ4の凹部4cが位置している。そのため、ハードディスク挿入口72aから挿入されたハードディスク装置3とハードディスクホルダ8は、下ハウジング70の横板部73と底板部71とに沿って後方に移動する。この例では、図6に示すように、底板部71には、ハードディスク挿入口72aからハードディスク装置3の挿入方向に伸びるガイド71eが形成されている。一方、ハードディスクホルダ8の底板部81には、ガイド71eによって案内される被ガイド部81bが形成されており(図8参照)、ハードディスクホルダ8とハードディスク装置3は、ガイド71eに沿って移動する。
【0043】
上述したように、コネクタ51は、ハードディスク装置3の接続面3aに設けられたコネクタ部と正対するように配置されており、作業者がハードディスク装置3を後方に押すと、ハードディスク装置3のコネクタ部はコネクタ51に嵌る。そして、ハードディスク装置3が、回路基板5のコネクタ51に嵌る位置まで達した時に、ハードディスクホルダ8の取付孔83aの位置は、底板部71の開口71cと、回路基板5の取付孔5dと、上シャーシ6の取付孔6dと、下シャーシ4の取付孔4dの位置に一致する。すなわち、開口71cと、取付孔5d,6d,4dとが上下方向に連なる。
【0044】
作業者は、ハードディスク装置3のコネクタ部をコネクタ51に嵌合させた後に、ハードディスク挿入口72aに挿入口キャップ12を装着する。これによって、挿入口キャップ12の取付孔12eの位置も、取付孔4d等に一致する。その後、作業者は、螺子13を開口71cから取付孔83a,6d,5d,4dに挿通し、当該螺子13を締め付ける。
【0045】
以上説明したように、電子機器1では、前板部72にハードディスク挿入口72aが形成され、回路基板5のコネクタ51は、ハードディスク挿入口72aの奥部において、当該ハードディスク挿入口72aと向き合うように配置されている。また、ハードディスク装置3を電子機器1に固定する螺子13は、底板部71から挿通されている。
【0046】
このような電子機器1によれば、回路基板5のコネクタ51がハードディスク挿入口72aと向き合うように配置されているので、ハードディスク装置3とコネクタ51との接続状態に対する螺子13の締め付け具合の影響を低減できる。
【0047】
また、以上説明したように、ハードディスクホルダ8は、ハードディスク装置3を保持するホルダ本体80から張り出し、ハードディスクホルダ8を電子機器1に固定する螺子13が挿通される取付孔83aが形成された板状の取付プレート83を含んでいる。そして、取付プレート83は、底板部81を含む平面に沿うように形成されている。このハードディスクホルダ8によれば、ハードディスク装置3とコネクタ51との接続状態に対する螺子13の締め付け具合の影響を低減できる。
【0048】
なお、本発明は以上説明した電子機器1に限られず、種々の変更が可能である。例えば、以上の説明では、前板部72にハードディスク挿入口72aが形成されていた。しかしながら、ハードディスク挿入口72aの位置はこれに限られず、例えば、横板部73に形成されてもよい。
【0049】
また、以上の説明では、ハードディスク装置3を電子機器1に固定する螺子13は、回路基板5の上シャーシ6及び下シャーシ4への固定にも利用されていた。しかしながら、螺子13は、ハードディスク装置3を上シャーシ6や、下シャーシ4、下ハウジング70の底板部71に固定するためだけに利用されてもよい。
【0050】
また、以上の説明では、ハードディスク装置3は下ハウジング70の底板部71上に配置されていた。しかしながら、ハードディスク装置3は下シャーシ4や回路基板5、上シャーシ6の上に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 電子機器、3 ハードディスク装置、4 下シャーシ、4a,4d 取付孔、5 回路基板、5a,5d 取付孔、6 上シャーシ、6a,6d 取付孔、7 ハウジング、8 ハードディスクホルダ、12 挿入口キャップ、12d 取付部、12e 取付孔、13 螺子(ピン状の固定具)、14 キャップ、51 コネクタ、61 収容部、70 下ハウジング、71 底板部(第1の外板部)、71a 取付孔、71c 開口、72 前板部(第2の外板部)、72a ハードディスク挿入口、73 横板部、76 上ハウジング、80 ホルダ本体、81 底板部、81e 孔、83 取付プレート、83a 取付孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスク装置と、
前記ハードディスク装置と接続するコネクタが設けられた回路基板と、
前記ハードディスク装置と前記回路基板とを収容するハウジングであって、当該ハウジングの外面を構成する第1の外板部と、当該第1の外板部の縁から立ち上がる第2の外板部とを有するハウジングと、を備える電子機器であって、
前記第2の外板部には、前記ハードディスク装置を前記ハウジングに挿入するための開口であるハードディスク挿入口が形成され、
前記回路基板の前記コネクタは、前記ハードディスク挿入口の奥部において、当該ハードディスク挿入口と向き合うように配置され、
前記ハードディスク装置を前記電子機器に固定するピン状の固定具が前記第1の外板部から挿通されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ハードディスク装置を保持するホルダ本体と、前記ホルダ本体から張り出すように形成される取付プレートとを有するハードディスクホルダをさらに備え、
前記取付プレートには前記固定具が挿通される取付孔が形成され、
前記取付プレートは前記第1の外板部と沿うように設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記第1の外板部に沿って配置されるシャーシをさらに備え、
前記シャーシと前記回路基板の少なくとも一方には、前記固定具が挿通される取付孔が形成され、
前記取付プレートの前記取付孔は、前記ハードディスク装置が前記回路基板の前記コネクタに嵌った時に、前記シャーシと前記回路基板の前記少なくとも一方の前記取付孔の位置に一致するように形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ハウジングに収容されるシャーシをさらに備え、
前記回路基板と前記シャーシは前記第1の外板部に沿って配置され、
前記回路基板と前記シャーシとには前記固定具が差し込まれる取付孔が形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
ハードディスク装置を保持し、当該ハードディスク装置とともに電子機器に対して挿入或いは取り外しされるハードディスクホルダであって、
前記ハードディスク装置の底面と向き合う底板部を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体から張り出し、前記ハードディスクホルダを前記電子機器に固定するピン状の固定具が挿通される取付孔が形成された板状の取付プレートと、を含み、
前記取付プレートは、前記底板部を含む平面に沿うように形成されている、
ことを特徴とするハードディスク装置のハードディスクホルダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−244214(P2010−244214A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90570(P2009−90570)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)