説明

電子機器およびその制御方法

【課題】 接触を検出できる操作部に対してユーザが操作時に誤操作してしまうことがある。
【解決手段】 ユーザが十字ボタン121及びセンターボタン123の両方に触れている時に、十字ボタン121に対しての操作の操作量が所定角度以上の場合は、ユーザが十字ボタン121に対して操作を行っていると見なして、十字ボタン121の操作を有効にする。また、十字ボタン121に対しての操作の操作量が所定角度未満の場合は、十字ボタン121に触れていたとしても、ユーザが十字ボタン121の操作を行わないと見なして、十字ボタン121の操作を無効にし、センターボタン123の操作を有効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラ等の電子機器に関するものであり、操作部への接触を検出することができる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年デジタルカメラを始めとする電子機器は多機能化が進み、それに伴って操作部も様々な形態となっている。例えば、特許文献1では、操作部に環状の十字ボタンとその十字ボタンの環内にセンターボタンとを設け、十字ボタンを回すように操作してメニュー選択を行なう。操作時には十字ボタンは回転せず、十字ボタンの下に設けられたカーボン印刷層と金属板が十字ボタンを押下した点で接触し、その接触時の抵抗値から押下点の座標を読み取ることでメニュー選択できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−213964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本体サイズの小型化やLCD等の表示部の大型化により操作部の配置スペースが小さくなっているので、特許文献1に記載された操作部のような構成では、ユーザがセンターボタンを操作するときに誤って十字ボタンに触れてしまうことが考えられる。そのような場合、ユーザが十字ボタンを操作しようとしていないのに十字ボタンを操作してしまうため、ユーザの意図しない機能を選択してしまうという問題があった。
【0005】
以上の課題を解決するために本発明は、接触を検出できる操作部に対するユーザの誤操作を防止できるような電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、第一の操作領域と第二の操作領域とを有する操作部と、前記操作部への接触を検出する検出手段と、前記検出手段により前記第一の操作領域への接触と前記第二の操作領域への接触とが検出されている場合、前記第二の操作領域への操作の操作量が閾値未満のときは前記第一の操作領域への操作に対応した制御を行い、前記第二の操作領域への操作の操作量が前記閾値以上のときは前記第二の操作領域への操作に対応した制御を行う制御手段と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザの誤操作を防止でき操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態のカメラの前面側からの斜視図
【図2】本実施形態のカメラの背面側からの斜視図
【図3】本実施形態の十字ボタン121およびセンターボタン123を示した図
【図4】本実施形態のカメラのブロック図
【図5】本実施形態のスイッチの正面図
【図6】本実施形態のスイッチの斜視図
【図7】本実施形態の操作部の断面図
【図8】本実施形態の十字ボタンを操作する際のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1および図2は本実施形態であるカメラの構成を説明する図である。1はカメラの正面側を覆う前面カバー、2は裏側を覆う背面カバーである。11は撮影レンズ等を保持する鏡筒ユニットであり、鏡筒を駆動させるためのズームモーター13およびギヤユニット14が一体的に組みつけられている。そして鏡筒ユニット11は、鏡筒固定ねじ12a、12b,12cにより金属シャーシ4に固定される。
【0010】
21は電池23を保持するための電池ケースであり、電池ケース固定ねじ22aおよび22bによって金属シャーシ4に固定される。電池ケース21の一面には開口部21aがあり、メモリーカードスロット52によってふたがされるように構成されている。また、メイン配線基板51にコネクタ接続されている電源フレキシブル配線基板31の電池ケース21側には電源コネクタ32および映像・音声ジャック33が実装され、電池ケース21に設けられた凹部21eおよび21fに組み合わせれるように配されている。電池ケース21には3角形の穴21bがあけられている。この穴21bの位置は電池23上にある挿入方向指示マーク23aに左右方向を略同一とし、この位置を合わせて電池23を電池ケース21に挿入することで、電池23が正しく挿入されるようにしている。
【0011】
41はストロボユニットであり、42はストロボ発光部、下方に伸びたフレーム部分にストロボ回路を実装したストロボフレキシブル配線基板43が貼り付けられるとともに、ストロボコンデンサー44が固定されている。そしてストロボユニット41は鏡筒ユニット11に組みつけられたズームモーター13およびギヤユニット14の前面に配され、側面よりストロボ固定ねじ45により金属シャーシ4に固定されている。
【0012】
51はCPUやメモリ、画像処理LSI、電源回路等が実装されたメイン配線基板であり、背面に映像や音声を保存する外部メモリーであるメモリーカード53のメモリーカードスロット52およびUSBコネクタ54が実装されている。そしてメイン配線基板51はメイン配線基板固定ねじ55a、55bおよび55cによって金属シャーシ4にねじ止めされる。
【0013】
61はレリーズボタン108、電源ボタン109等を実装した操作フレキシブル配線基板、71はスピーカーである。
【0014】
81は液晶パネルであり液晶カバー82でカバーすることによってバックライト83と一つのユニットを構成している。この液晶パネル81とバックライト83のユニットは液晶固定ねじ84aおよび84bによって金属シャーシ4に固定される。また85は補強板であり、外圧から液晶パネル81を保護するためにとり付けられている。
【0015】
91はその中心部に導光部材92が貼り付けられた発光ボタンであり、操作フレキシブル配線基板61に実装されたタクトスイッチ62を導光部材92によって押すように構成されている。そしてタクトスイッチ62の横には発光ダイオード63が配されており、導光部材92を通して発光ダイオード63の発した光が発光ボタン91の表面に導かれる。発光ボタン91は背面カバー2に接着固定された背面窓3に位置決め固定されている。
【0016】
101はカメラの動作モードの切替レバー102、ズームレバー107、レリーズボタン108および電源ボタン109を保持する上面カバーであり、電池ケース21の上面に操作フレキシブル配線基板61をはさんで配置される。また、上面カバー101の側部にはUSBコネクタ54および映像・音声ジャック33をカバーするためのジャックカバー110を収納する凹部101aが設けられている。
【0017】
カメラの動作モードの切替レバー102は、左右に動かすことで静止画撮影、動画撮影、画像再生を切り替える。切替レバー102は上面カバー101を挟んで、背面のクリック板103および切片104とともに切替レバー固定ねじ105によって固定され、クリック板103に設けられた3つの穴の間をクリックボール106が移動することでクリック感を出している。また、操作フレキシブル配線基板61上の配線露出部64上を移動することにより動作モードが電気的に切り替えられる。
【0018】
111は側面カバーであり、カメラの側面を覆うとともに、略中央に穴111aが開けられ、その間のバー部111bにストラップ紐がかけられるようになっている。また、穴部111aには背面より内部が半球状にくりぬかれたインナー部材113がはめ込まれている。そして、側面カバー111は側面カバーねじ114aおよび114bによって、前面カバー1、背面カバー2およびインナー部材113を挟み込んだ状態で金属シャーシ4に固定される。5は三脚取り付け用のねじが切られた三脚取り付け座である。
【0019】
前面カバー1および背面カバー2は側面固定ねじ6a、6bにより側面より、また、底面固定ねじ7a、7bにより底面より固定される。
【0020】
121は十字ボタン(第二の操作部材)であり、十字ボタン121にはデコレーション用の十字ボタンキャップ122が接着固定され、2つの部材で一つの操作ボタンを形成している。この十字ボタン121は操作部材保持マット124に固定され、センターボタン123(第一の操作部材)と共に中立位置への保持が行われている。また、センターボタン123は操作部材保持マット124により位置決めおよび保持が行われている。十字ボタン121およびセンターボタン123は図3ように、センターボタン123の周囲を囲んで十字ボタン121が配置される。
【0021】
十字ボタン121の押し込み方向には、スイッチが2種類重なって構成されており、一つはアナログスイッチ130a(第二の検出手段)でもう一つは金属ドームシート141である。それぞれのスイッチは同一の位置決めで位置合わせが行われており、十字ボタン121をユーザが操作した際には、十字ボタン121に設けられたエンボス121aおよび半円柱形状リブ121bによってスイッチが押圧される。その結果、同一の押下点で2つのスイッチによる入力がカメラに対して行われる。
【0022】
センターボタン123の押し込み方向には、前述の十字ボタン121と同様にスイッチが2種類重なって構成されており、一つはアナログスイッチ130b(第一の検出手段)でもう一つは金属ドームシート141である。それぞれのスイッチは同一の位置決めで位置合わせが行われており、センターボタン123をユーザが操作した際には、センターボタン123に設けられたエンボス123aによってスイッチが押圧される。その結果、同一の押下点で2つのスイッチによる入力がカメラに対して行われる。
【0023】
図4は本実施形態であるカメラのブロック図である。201はバリアであり、撮影レンズ202を含む撮像部を覆うことにより、撮像系の汚れや破損を防止する。202は撮影レンズ、203は絞り機能を備えるシャッター、204は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像部である。205はA/D変換器であり、アナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器205は、撮像部204から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する場合や、音声制御部206から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する場合に用いられる。207はタイミング発生部であり、撮像部204、音声制御部206、A/D変換器205、D/A変換器208にクロック信号や制御信号を供給する。タイミング発生部207は、メモリ制御部209及びシステム制御部210により制御される。211は画像処理部であり、A/D変換器205からのデータ、又は、メモリ制御部209からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部211では、撮影した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、得られた演算結果に基づいてシステム制御部210が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部211では更に、撮影した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0024】
A/D変換器205からの出力データは、画像処理部211及びメモリ制御部209を介して、或いは、直接メモリ制御部209を介して、メモリ212に書き込まれる。メモリ212は、撮像部204によって得られA/D変換器205によりデジタルデータに変換された画像データや、液晶パネル81を含む画像表示部94に表示するための画像データを格納する。尚、メモリ212は、マイク93において録音された音声データ、静止画像、動画像および画像ファイルを構成する場合のファイルヘッダを格納するのにも用いられる。従って、メモリ212は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0025】
圧縮/伸張部213は、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮、伸張する。圧縮/伸張部213は、シャッター203をトリガにしてメモリ212に格納された撮影画像を読み込んで圧縮処理を行い、処理を終えたデータをメモリ212に書き込む。また、記録媒体301などからメモリ212に読み込まれた圧縮画像に対して伸張処理を行い、処理を終えたデータをメモリ212に書き込む。圧縮/伸張部213によりメモリ212に書き込まれた画像データは、システム制御部210のファイル部においてファイル化される。そして、インターフェース214、コネクタ215、記録媒体301側のコネクタ303、インターフェース302を介して、記録媒体301に記録される。また、メモリ212は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器208は、メモリ212に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して画像表示部94に供給する。94は画像表示部であり、液晶パネル81等の表示器上に、メモリ212に書き込まれた表示用の画像データをD/A変換器208を介してアナログ信号に変換して表示を行う。93はマイクであり、マイク93から出力された音声信号は、アンプ等で構成される音声制御部206を介してA/D変換器205に供給され、A/D変換器205においてデジタル信号に変換された後、メモリ制御部209によってメモリ212に格納される。一方、記録媒体301に記録されている音声データは、メモリ212に読み込まれた後、D/A変換器208によりアナログ信号に変換される。音声制御部206は、このアナログ信号によりスピーカ71を駆動し、音声出力する。不揮発性メモリ216は電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ216には、システム制御部210の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。210はシステム制御部であり、不揮発性メモリ216に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。217はシステムメモリであり、RAMが用いられる。システムメモリ217には、システム制御部210の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ216から読み出したプログラム等を展開する。
【0026】
ズームレバー107、切替レバー102、レリーズボタン108および操作部200はシステム制御部210に各種の動作指示を入力するための操作手段である。切替レバー102は、システム制御部210の動作モードを静止画記録モード、動画記録モード、再生モード等のいずれかに切り替えることができる。レリーズボタン108は第1のレリーズボタン108aと第2のレリーズボタン108bからなる。第1のレリーズボタン108aは、レリーズボタン108の操作途中(半押し)でONとなり第1のシャッタースイッチ信号SW1を発生する。システム制御部210は、第1のシャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作を開始する。第2のレリーズボタン108bは、レリーズボタン108の操作完了(全押し)でONとなり、第2のシャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部210は、第2のシャッタースイッチ信号SW2により、撮像部204からの信号読み出しから記録媒体301に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0027】
操作部200の各操作部材は、画像表示部94に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種設定が可能なメニュー画面が画像表示部94に表示される。操作部200は十字ボタン121とセンターボタン123を含んでおり、操作者は、画像表示部94に表示されたメニュー画面と、十字ボタン121やセンターボタン123とを用いて直感的に各種設定を行うことができる。電源ボタン109は、電源オン、電源オフを切り替える。
【0028】
218は電源制御部であり、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部218は、その検出結果及びシステム制御部210の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体301を含む各部へ供給する。
【0029】
219は電源部であり、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなり、図1および図2の電池23に対応している。32はコネクタであり、電源部219と電源制御部218とを接続する。
【0030】
220はRTC(Real Time Clock)であり、日付及び時刻を計時する。RTC220は、電源制御部218とは別に内部に電源部を保持しており、電源部219が落ちた状態であっても、計時状態を続ける。システム制御部210は起動時にRTC220より取得した日時を用いてシステムタイマを設定し、タイマ制御を実行する。
【0031】
214は記録媒体301とのインターフェースである。215は記録媒体301とインターフェース214との接続のためのコネクタである。221は記録媒体着脱検知部であり、コネクタ215に記録媒体301が装着されているか否かを検知する。
【0032】
記録媒体301はメモリカードやハードディスク等の記録媒体であり、図1および図2のメモリーカード53に対応している。記録媒体301はインターフェース302及びカメラと接続するためのコネクタ303を備えている。
【0033】
通信部222は、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信、等の各種通信処理を行う。コネクタ(無線通信の場合はアンテナ)223は、通信部222を介してカメラを他の機器と接続する。
【0034】
次に、図5、図6および図7を用いてアナログスイッチ130aおよびアナログスイッチ130bの詳細を説明する。アナログスイッチ130aは、フレキシブル配線基板132aと金属板131aとが一体に固定されている。フレキシブル配線基板132aにはカーボン印刷部134aが設けられており、カーボン印刷部134aと金属板131aとの間にはギャップができるように構成されている。このフレキシブル配線基板132a上の配線露出部133は金属板131aとは導電膜によって導通を持ったまま接着が施され、フレキシブル配線基板上の配線との導通を確保している。十字ボタン121がユーザの接触操作によって押下された時、押下点では十字ボタン121に設けられたエンボス121aまたは半円柱形状リブ121bがカーボン印刷部134aをたわませる。この時、押下点のカーボン印刷部134aと金属板131aとのギャップが潰れ接触することで抵抗値が変化する。カーボン印刷部134aは、図5のような十字ボタン121の形状に合わせた形状で設けられており、十字ボタン121のどこを押下されたかによって抵抗値が異なるので、抵抗値の変化から十字ボタン121の押下点が検出できる。
【0035】
なお、押下点はユーザが十字ボタン121を操作する際に接触する接触位置に対応している。
【0036】
また、接触位置が連続的に変化するようにユーザが十字ボタン121を操作した場合、接触位置の連続的な変化に対応して抵抗値も連続的に変化するので、抵抗値の変化量からユーザの十字ボタン121に対する操作量がわかる。
【0037】
アナログスイッチ130bは、フレキシブル配線基板132bと金属板131bとが一体に固定されている。フレキシブル配線基板132bにはカーボン印刷部134bが設けられており、カーボン印刷部134bと金属板131bとの間にはギャップができるように構成されている。センターボタン123がユーザの接触操作によって押下された時、センターボタン123に設けられたエンボス123aがカーボン印刷部134bをたわませる。この時、押下点のカーボン印刷部134bと金属板131bとのギャップが潰れ接触することで抵抗値が変化する。その抵抗値の変化からセンターボタン123が押下されたことが検出できる。
【0038】
なお、カーボン印刷部134aと金属板131aとの間のギャップおよびカーボン印刷部134bと金属板131bとの間のギャップは微小であり、軽微な力でフレキシブル配線基板132aをたわませることができる。そのため、ユーザが触れただけでも十字ボタン121およびセンターボタン123が押下されたことが検出できる。
【0039】
ただし、十字ボタン121およびセンターボタン123にユーザが触れただけでそれぞれのボタンに対応したメニューを決定できるようにすると、ユーザが意図せず触れただけでメニュー決定がされてしまう。そこで、十字ボタン121およびセンターボタン123のそれぞれに対応したメニュー決定を行う場合には、金属ドームシート141が押圧される程度の力を必要とし、ユーザが触れただけではメニュー決定されない構成としている。
【0040】
また、従来技術のように、十字ボタン121にのみアナログスイッチ130aを構成している場合、図3のようにユーザの指がセンターボタン123を押下する際に十字ボタン121に触れてしまい、ユーザが意図しないメニューを決定してしまうことがあった。このような誤操作を防止するために、前述のようにセンターボタン123にアナログスイッチ130bを設け、十字ボタン121の操作を有効にするかセンターボタン123の操作を有効にするかをユーザの動作により判断し制御を行う構成にしている。
【0041】
次に、ユーザが十字ボタン121を操作する際の制御を図8のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
本実施形態のカメラでは、十字ボタン121およびセンターボタン123に対して行われた操作の処理をシステム制御部210が行う。
【0043】
ユーザに十字ボタン121が触れられたことを検出すると(S101)、ユーザにセンターボタン123が触れられているか否かを判定する(S102)。十字ボタン121およびセンターボタン123が触れられているか否かは、前述のアナログスイッチ130aとアナログスイッチ130bからの信号により検出される。次に、S102の結果に基づいて、十字ボタン121とセンターボタン123とのどちらの操作を有効にするかを判断するために用いる所定量を設定する。本フロチャートでは、所定量として角度を設定する場合を説明する。センターボタン123が触れられている場合には、所定角度を90度(第一の所定量)に設定し(S103)、センターボタン123が触れられていない場合には、所定角度を45度(第二の所定量)に設定する(S104)。
【0044】
S103およびS104でセンターボタン123が触れられているか否かで設定する所定角度を変えているのは、ユーザの操作をしやすくするためである。図3のように十字ボタン121とセンターボタン123が隣接して設けられている場合、ユーザがセンターボタン123を操作しようとした際に十字ボタン121に触れてしまうことが考えられる。そうしたときに十字ボタン121に対しての操作が反映されてしまうと、ユーザの意図していない操作が行われることで誤操作になってしまう。そこで、センターボタン123が触れられている時は、触れられていない時より所定角度を大きく設定する。これにより、誤操作を防止することができ、かつ、ユーザの意図した操作を有効にすることができる。また、センターボタン123が触れられていない時も、十字ボタン121でのメニュー決定時のわずかな操作量に反応して誤操作しないように所定角度を設定する。ただし、このときの所定角度はセンターボタン123が触れられている時より小さく設定し、十字ボタン121の操作を妨げないようにしている。
【0045】
次に、十字ボタン121の触れられた位置の変化から十字ボタン121の操作量を算出する(S105)。十字ボタン121の操作量は、十字ボタン121の触れられた位置がユーザの操作により操作開始時からどれだけ変化したかを表す量であり、前述のアナログスイッチ130aの抵抗値の変化量から求められる。本フローチャートでは、十字ボタン121の中心を頂点した、操作開始時に触れられた位置との角度を操作量としている。
【0046】
次に、十字ボタン121の操作量がS103またはS104で設定された所定角度以上かどうかを判断する(S106)。十字ボタン121の操作量が所定角度以上の場合、ユーザが十字ボタン121を操作する意図があると見なし、十字ボタン121の操作を有効にする(S107)。所定角度未満の場合、ユーザがセンターボタン123を操作する意図があると見なし、センターボタン123の操作を有効にする(S108)。
【0047】
以上のように、センターボタン123がユーザにより触れられているか否かでユーザが十字ボタン121を操作する意図があるかを判断する所定角度を変更することで、誤操作を防止することができ、かつ、ユーザの操作したい操作を有効にすることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、所定角度をセンターボタン123が触れられている場合には90度、触れられていない場合には45度としたが、この角度に限ったものではなく、所望の効果が得られれば、角度を限定するのもではない。
【0049】
また、十字ボタン121に対する操作の操作量を角度変化量として求め誤操作を防止していたが、角度に限らず、その他の操作量、例えば、操作移動速度、操作移動距離等の変化などを検出して誤操作を防止しても構わない。そのような場合、S103およびS104でそれぞれの操作量に対応した所定量を設定し、十字ボタン121に対する操作量が所定量以上の場合と所定量未満の場合とで有効にするボタンを変更するように制御すればよい。
【0050】
また、十字ボタン121の押下点によって抵抗値が連続的に変化するアナログスイッチ130aと金属ドームシート141のスイッチを用いた構成を説明したが、そのような構成に限ったものではない。例えば、押下した圧力を検知する感圧スイッチや静電気を検知して静電容量の変化を検知するスイッチやタクトスイッチなど、他のスイッチを用いても適用は容易である。
【0051】
また、十字ボタン121の押し込み方向に金属ドームシート141を重ねて配置しているが、必ずしもその必要はない。
【0052】
また、十字ボタン121の形状は環状に限ったものではなく、押下点を移動させることで選択操作を行うことができる形状であればよい。
【0053】
また、十字ボタン121は複数の操作部材で構成され、センターボタン123を囲むように配置されていてもよい。
【0054】
また、十字ボタン121とセンターボタン123は別部材で形成されているが、同一部材で形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 前面カバー
2 背面カバー
4 金属シャーシ
5 三脚取り付け座
6a、6b 側面固定ねじ
7a、7b 底面固定ねじ
11 鏡筒ユニット
12a、12b、12c 鏡筒固定ねじ
13 ズームモーター
14 ギヤユニット
21 電池ケース
22a、22b 電池ケース固定ねじ
23 電池
31 電源フレキシブル配線基板
32 電源コネクタ
33 映像・音声ジャック
41 ストロボユニット
42 ストロボ発光部
43 ストロボフレキシブル配線基板
44 ストロボコンデンサー
45 ストロボ固定ねじ
51 メイン配線基板
52 メモリーカードスロット
53 メモリーカード
54 USBコネクタ
55a、55b、55c メイン配線基板固定ねじ
56 姿勢検知手段
61 操作フレキシブル配線基板
62 タクトスイッチ
63 発光ダイオード
64 配線露出部
65 コネクタ
71 スピーカー
81 液晶パネル
82 液晶カバー
83 バックライト
84a、84b 液晶固定ねじ
85 補強板
91 発光ボタン
92 導光部材
101 上面カバー
102 切替レバー
103 クリック板
104 切片
105 切替レバー固定ねじ
106 クリックボール
107 ズームレバー
108 レリーズボタン
109 電源ボタン
110 ジャックカバー
111 側面カバー
113 インナー部材
114a、114b 側面カバーねじ
121 十字ボタン
121a、123a エンボス
121b 半円柱形状リブ
122 十字ボタンキャップ
123 センターボタン
124 操作部材保持マット
130a、130b アナログスイッチ
131a、131b 金属板
132a、132b フレキシブル配線基板
133 配線露出部
134a、134b カーボン印刷部
141 金属ドームシート
200 操作部
201 バリア
202 撮影レンズ
203 シャッター
204 撮像部
205 A/D変換器
206 音声制御部
207 タイミング発生部
208 D/A変換器
209 メモリ制御部
210 システム制御部
211 画像処理部
212 メモリ
213 圧縮/伸張部
214 インターフェース
215 コネクタ
216 不揮発性メモリ
217 システムメモリ
218 電源制御部
219 電源部
220 RTC
221 記録媒体着脱検知部
222 通信部
223 コネクタ
301 記録媒体
302 インターフェース
303 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の操作領域と第二の操作領域とを有する操作部と、
前記操作部への接触を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記第一の操作領域への接触と前記第二の操作領域への接触とが検出されている場合、前記第二の操作領域への操作の操作量が閾値未満のときは前記第一の操作領域への操作に対応した制御を行い、前記第二の操作領域への操作の操作量が前記閾値以上のときは前記第二の操作領域への操作に対応した制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段により前記第一の操作領域への接触が検出されずに前記第二の操作領域への接触が検出されている場合、前記第二の操作領域への操作の操作量が前記閾値未満であっても前記第二の操作領域への操作に対応した制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記操作量は、前記第二の操作領域への接触位置の移動距離を表すことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記操作量は、前記第二の操作領域への接触位置の移動速度を表すことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
第一の操作領域と第二の操作領域とを有する操作部を備えた電子機器の制御方法であって、
前記操作部への接触を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで前記第一の操作領域への接触と前記第二の操作領域への接触とが検出されている場合、前記第二の操作領域への操作の操作量が閾値未満のときは前記第一の操作領域への操作に対応した制御を行い、前記第二の操作領域への操作の操作量が前記閾値以上のときは前記第二の操作領域への操作に対応した制御を行う制御ステップと、を有することを特徴とする電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−141641(P2012−141641A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87760(P2012−87760)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2007−327402(P2007−327402)の分割
【原出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】