説明

電子機器およびプリント基板ユニット

【課題】コストの上昇を抑えてケーブルの抜けや破損を防止することができる電子機器およびプリント基板ユニットを提供する。
【解決手段】第1面と、第1面の裏面である第2面と、第1面上に実装されたコネクタと、第1面と第2面間に形成された基板を貫通する貫通穴もしくは基板の縁部分に形成された窪みと、を有するプリント基板と、コネクタに着脱可能に装着される第1端子と、第1端子と第2端子間に位置する結線部分とを有し、コネクタに第1端子が装着された状態で結線部分が貫通穴もしくは窪みに挿通され前記プリント基板の前記第1面から前記第2面に延びるケーブルと、プリント基板およびケーブルを収容する筐体とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板と、プリント基板のコネクタに装着されるケーブルとを有する電子機器およびプリント基板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータの分野においては、装置の小型・軽量化と、表示画面の大型化との両立が要求されている。このような要求を実現するため、薄型で軽量な液晶パネルを使った表示装置を適用したり、光源や制御基板等を液晶パネルの脇ではなく裏側に配置し、筐体と液晶パネルとの間の隙間が狭まった分だけ表示画面を広げることなどが行われている。また、CPUやハードディスクなどと表示装置とを同じ筐体内に搭載した本体一体タイプのデスクトップ型パーソナルコンピュータもでてきており、持ち運ぶことが想定されるラップトップ型のパーソナルコンピュータだけではなく、据え置きタイプのパーソナルコンピュータにおいても、小型・軽量化がすすんできている。
【0003】
ところで、装置の小型・軽量化と表示画面の大型化とを両立させようとすると、液晶パネル、ハードディスク、冷却ファン、電源装置、および各種基板などが筐体内に重ねて隙間なく配置される傾向があり、それらを接続するためのケーブルが複雑に配線されることとなる。近年では、配線の簡素化やケーブルの小型・軽量化のために、複数の導線が幅方向に並べて配列されたフラットケーブルや、絶縁フィルム上に導体箔をプリントしたフレキシブルプリント基板が適用されてきているが、フラットケーブルやフレキシブルプリント基板などは、引っ張られたり、端子付近がねじれたりすると、コネクタから抜けてしまったり、破損してしまう恐れがある。上述したように、パーソナルコンピュータの内部には、液晶パネルやハードディスクなどが重ねて配置されているため、修理などの際に意図せずにケーブルに外力が加わって抜けや破損が生じても、不具合の発生箇所を発見しづらいうえ、ケーブルを装着しなおす作業に大変な手間がかかってしまう。
【0004】
この点に関し、ジャンパー線を使ってケーブルを本体に固定したり(特許文献1参照)、ソケットやコネクタにフックなどを付けてケーブルを固定する(特許文献2および特許文献3参照)ことが提案されている。コネクタに装着されたケーブルを本体やコネクタなどに固定しておくことによって、ケーブルに外力がかかってしまっても、ケーブルがコネクタから抜けてしまう不具合を防止することができる。
【特許文献1】実開平5−46072号公報
【特許文献2】特開平11−67334号公報
【特許文献3】特開平11−135188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された方法では、ケーブルをコネクタに装着しなおすときには、新たなジャンパー線を取り付けなければならないため、コストがかかってしまったり、装置内にジャンパー線を取り付けるためのスペースや機構を用意しておく必要があるため、装置が大型化してしまうという問題がある。また、特許文献2および特許文献3に記載された方法では、フックが取り付けられた特殊なコネクタが利用されるため、汎用のコネクタを流用することができなくなってしまい、コストが上昇してしまう。
【0006】
上述した問題は、パーソナルコンピュータに限らず、基板やケーブル等が搭載された電子機器などに一般に当てはまるものである。
【0007】
上記事情に鑑み、コストの上昇を抑えてケーブルの抜けを防止することができる電子機器およびプリント基板ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するプリント基板ユニットの基本形態は、
第1面と、第1面の裏面である第2面と、第1面上に実装されたコネクタと、第1面と第2面間に形成された基板を貫通する貫通穴もしくは基板の縁部分に形成された窪みと、を有するプリント基板と、
コネクタに着脱可能に装着される第1端子と、第1端子と第2端子間に位置する結線部分とを有し、コネクタに第1端子が装着された状態で結線部分が貫通穴もしくは窪みに挿通され前記プリント基板の前記第1面から前記第2面に延びるケーブルと、
を備えている。
【0009】
また、上記目的を達成する電子機器の基本形態は、
上述したプリント基板ユニットの基本形態と、
プリント基板およびケーブルを収容する筐体と、
を備えている。
【0010】
これらの基本形態では、プリント基板の、コネクタが設けられた第1面の裏面である第2面に延びたケーブルが引っ張られると、ケーブルの第1端子に第1面から第2面に向かう方向の力がかかり、第1端子がコネクタに押し付けられる。また、ケーブルが横方向に振られた場合は、プリント基板に設けられた貫通孔や窪みによってケーブルの動きが規制されて、ケーブルのねじれが防止される。このため、したがって、ジャンパー線や、フック付きの特殊なコネクタなどを新たに用意する必要がなく、コストの上昇を抑えてケーブルの抜けを防止することができる。
【0011】
また、上記基本形態に対し、
上記筐体はその内部に、第1面と、第1面の裏面である第2面と、第1面と第2面間に形成されたフレームを貫通する貫通穴もしくはフレームの縁部分に形成された窪みと、を有するフレームを有し、
上記ケーブルの結線部分は、プリント基板の貫通穴もしくは窪みに挿通されると共にフレームの貫通穴もしくは窪みに挿通されるという応用形態は好ましい。
【0012】
通常、筐体内には、プリント基板などを固定したり、保護するためのフレームが用意されていることが一般的である。プリント基板だけではなく、フレームにも貫通孔や窪みなどが形成されることによって、ケーブルをフレームの脇などに寄せずに、貫通孔や窪みなどに通すことができ、ケーブルの配線が容易になるとともに、さらに確実にケーブルの抜けを防止することができる。
【0013】
また、上記基本形態に対し、
上記ケーブルは、複数の導体がその長手方向に対して垂直方向に配列され所定幅の結線部分を形成したフラットケーブルであり、
上記プリント基板の貫通穴もしくは窪みは、少なくともフラットケーブルの結線部分の幅と同長の直線部分を有する長穴もしくは窪みであるという応用形態は好ましい。
【0014】
この好適な応用形態によると、フラットケーブルを折り曲げずにプリント基板の貫通穴や窪みで保持することができ、フラットケーブルの抜けや破損などを軽減することができる。
【0015】
また、ケーブルとしてフラットケーブルが適用された応用形態に対し、
上記コネクタは、コネクタの長手方向に配列され且つフラットケーブルの装着時に複数の導体が電気的に接続される複数の端子を有し、
長穴もしくは窪みの直線部分は、コネクタの長手方向に平行であり且つ長手方向に対して垂直方向に見て少なくともコネクタの複数の端子が形成する幅と同長な部分を有するという応用形態はさらに好適である。
【0016】
プリント基板に、コネクタの長手方向に平行で、少なくともコネクタの幅と同長な部分を有する長穴や窪みが設けられることによって、コネクタに装着されたフラットケーブルがねじられずに長穴や窪みに保持されるため、フラットケーブルの破損などを確実に抑えることができる。
【0017】
また、上記基本形態に対し、
上記筐体は、少なくとも前面筐体と前面筐体に組み立てられる背面側筐体を含み、
上記筐体は、プリント基板の第1面が前面筐体側になるようにしてプリント基板を収容し、プリント基板の第2面と背面筐体間にプリント基板を遮蔽した状態で他の搭載部品を収容したという応用形態は好ましい。
【0018】
この応用形態では、搭載部品によってプリント基板が遮蔽されているため、ケーブルがコネクタから外れてしまうと装着しなおすことが困難であるが、ケーブルがプリント基板の貫通穴や窪みに挿通されることによって、修理などでケーブルに外力がかかってしまっても、ケーブルの抜けなどを防止することができる。
【0019】
また、ケーブルとしてフラットケーブルが適用された応用形態に対し、
上記フラットケーブルは、導体が平板導体であるフレキシブルフラットケーブルであるという応用形態は好適であり、
上記フラットケーブルは、フレキシブルプリント基板であるという応用形態も好ましい。
【0020】
近年、小型・軽量なケーブルとしてフレキシブルフラットケーブルやフレキシブルプリント基板が広く利用されているが、これらのフラットケーブルはねじれによってコネクタから外れてしまいやすいという問題がある。上記基本形態によると、プリント基板の貫通孔や窪みによって、特にケーブルの動きが規制されるため、フレキシブルフラットケーブルやフレキシブルプリント基板においても、ケーブルの抜けや破損を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、電子機器およびプリント基板ユニットの基本形態によれば、コストの上昇を抑えてケーブルの抜けや破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、上記説明した電子機器およびプリント基板ユニットに対する具体的な実施形態を説明する。
【0023】
図1は、電子機器の具体的な第1実施形態であるパーソナルコンピュータ100の外観図である。
【0024】
このパーソナルコンピュータ100は、情報を表示する表示装置と、ハードディスク装置やCPUなどが同じ筐体内に一緒に搭載された本体一体型のパーソナルコンピュータである。尚、実際には、パーソナルコンピュータ100にはキーボードやマウスなども接続されるが、図1では図示を省略している。
【0025】
図1には、パーソナルコンピュータ100を前方から見た図が示されている。パーソナルコンピュータ100は、上前方ケース11A、上後方ケース11B、下前方ケース12A、および下後方ケース12Bによって構成された空間内に、表面に表示画面21が広がった液晶パネル、CPU、ハードディスク装置、冷却ファン、電源装置、各種基板、およびそれらを相互に接続するケーブルなどが収容されている。上前方ケース11A、上後方ケース11B、下前方ケース12A、および下後方ケース12Bを合わせたものは、上述した基本形態における筐体の一例に相当する。
【0026】
パーソナルコンピュータ100の一側面には、CDやDVD等の光ディスクを装填するための光ディスク装填口31と、フレキシブルディスク(以下では、FDと称する)を装填するためのFD装填口32が設けられている。
【0027】
図2は、パーソナルコンピュータ100の側面図であり、図3は、パーソナルコンピュータ100の背面図である。
【0028】
パーソナルコンピュータ100は、上前方ケース11Aに上後方ケース11Bが取り付けられ、下前方ケース12Aに下後方ケース12Bが取り付けられている。上前方ケース11Aと下前方ケース12Aを合わせたものは、上述した応用形態における前面筐体の一例にあたり、上後方ケース11Bと下後方ケース12Bを合わせたものは、上述した応用形態における背面側筐体の一例に相当する。
【0029】
上前方ケース11Aには、表示画面21を前面にして液晶パネルが嵌め込まれており、表示画面21の背面側に、ハードディスク装置や各種基板などが収容されている。また、パーソナルコンピュータ100の背面には、電源を投入するための電源スイッチ40や、LANカードなどといった機能拡張用の拡張カードを装填するための拡張カード装填口33が設けられている。
【0030】
図4は、パーソナルコンピュータ100の底面図である。
【0031】
パーソナルコンピュータ100内部の上方には、交換可能なハードディスク装置などが収容されており、下方には、通常は交換されない基板などがフレームなどに保護されて収容されている。例えば、下前方ケース12Aは交換可能なプラスチックのカバーであるが、金属製の板金フレーム(図8参照)にプリント基板が取り付けられ、板金フレームが下前方ケース12Aにネジ50で固定されている。通常の修理では、上前方ケース11Aから上後方ケース11Bのみが取り外されて、パーソナルコンピュータ100内部の上方に収容されたハードディスク装置の交換などが行われる。
【0032】
図5は、パーソナルコンピュータ100の内部構成図である。
【0033】
パーソナルコンピュータ100には、図5に示すように、各種プログラムを実行するCPU101、ハードディスク装置103に格納されたプログラムが読み出されCPU101での実行のために展開される主メモリ102、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置103、音声信号を生成して音声を出力するスピーカデバイス104、外部装置からデータを入力する入力インタフェース105、キーボードやトラックパッドなどを含む操作子106、表示画面21上に情報を表示に関する表示装置107、FD61が装填され、その装填されたFD61をアクセスするFDドライブ108、CD−ROM62やDVDが装填され、その装填されたCD−ROM62やDVDをアクセスするCD/DVDドライブ109、外部装置へデータを出力する出力インタフェース110、および拡張カード63を使って通信を行う通信インタフェース111などが内蔵されており、これらの各種要素は、バス112を介して相互に接続されている。
【0034】
ここで、パーソナルコンピュータ100は、液晶パネルの裏側にハードディスク装置103やCPU101などが重ねて配置されており、さらに、通常の修理では交換されることが少ない制御基板などは、下前方ケース12Aの裏側に配置されてフレームなどによって隠蔽されている。このように、上前方ケース11Aから上後方ケース11Bを取り外しても、筐体内に収容されている全ての要素を確認することはできないため、本実施形態のパーソナルコンピュータ100には、予め、修理時にかかる外力などによってケーブルが抜けてしまう不具合を防止するための対策が施されている。
【0035】
図6は、上後方ケース11Bを取り外したパーソナルコンピュータ100の背面図である。
【0036】
図6に示すように、上前方ケース11Aには、図1に示す表示画面21を前面にして液晶パネル210が嵌め込まれており、液晶パネル210の裏面側には、液晶パネル210を制御する制御基板211や、図5にも示す通信インタフェース111や、ハードディスク装置103などが搭載されたメイン基板220や、電力を制御するための電源装置230などが重ねて配置されている。また、上前方ケース11Aおよび上後方ケース11Bと、下前方ケース12Aおよび下後方ケース12Bとの間は、フレーム240によって仕切られており、そのフレーム240の下には、図5に示すスピーカデバイス104や各種スイッチなどが搭載されたプリント基板260(図7および図8参照)が収容されている。本実施形態においては、メイン基板220とプリント基板260が平板導体を有する幅広のフレキシブルフラットケーブル250(以下では、フラットケーブル250と省略する)によって接続されている。フレーム240は、上述した応用形態におけるフレームの一例に相当する。また、フラットケーブル250は、上述した基本形態におけるケーブルの一例にあたるとともに、上述した応用形態におけるフラットケーブルの一例にも相当する。尚、フラットケーブル250に替えて、電線材で構成されたケーブルや、フレキシブルプリント基板などを適用してもよいが、幅広なフラットケーブル250の場合、ねじれによってフラットケーブル250がコネクタから抜けてしまいやすいという特徴があるため、本実施形態に適用することによって大きな効果を得ることができる。
【0037】
プリント基板260に装着されたフラットケーブル250は、フレーム240に設けられた貫通孔241を通って、メイン基板220に備えられたコネクタ221に装着されている。
【0038】
図7は、上後方ケース11Bと下後方ケース12Bを取り外したパーソナルコンピュータ100の背面図である。
【0039】
図7に示すように、下前方ケース12Aの裏側には冷却ファン270が設けられており、図7では見えていないが、電源装置230と冷却ファン270との間には、図5に示すCPU101が配置されている。電源装置230やCPU101で発生した熱は、冷却ファン270から取り込まれた外気によって冷却される。また、フレーム240の下方には、下前方ケース12Aに装着されたプリント基板260が収容されており、プリント基板260に装着されたフラットケーブル250は、フレーム240に設けられた窪み242と図6に示す貫通孔241とを通って、フレーム240の上方に配線されている。プリント基板260は、上述した基本形態におけるプリント基板の一例に相当する。
【0040】
図8は、下前方ケース12Aに装着されたプリント基板260を示す図である。
【0041】
プリント基板260は、下前方ケース12Aが装着された板金フレーム255を介して、フラットケーブル250用のコネクタ262(図9参照)が設けられた表面を下前方ケース12Aに向けて取り付けられている。フラットケーブル250は、プリント基板260のコネクタ262に装着される第1端子253(図11参照)と、図7に示すメイン基板220のコネクタ221に装着される第2端子251と、それら第1端子253と第2端子251との間に位置する結線部分252とで構成されている。第2端子251は、上述した基本形態における第2端子の一例に相当する。第1端子253がプリント基板260の表面側に設けられたコネクタに装着され、さらに、結線部分252が貫通孔261を通ってプリント基板260の裏面側から図7に示すフレーム240の上方にまで延ばされて、第2端子251が図7に示すメイン基板220のコネクタ221に装着される。
【0042】
ここで、プリント基板260は、コネクタを下前方ケース12Aに向けて装着されており、さらに、図7に示すように、プリント基板260の裏面側には冷却ファン270などが取り付けられている。このため、プリント基板260が遮蔽されてしまっており、フラットケーブル250がプリント基板260から外れてしまうと、その不具合を発見しづらいうえ、フラットケーブル250を装着しなおす作業に大変な手間がかかってしまう
図9は、プリント基板260の、表面側の拡大図である。
【0043】
プリント基板260の表面側には、フラットケーブル250の端子251が装着されるコネクタ262が備えられており、コネクタ262の近傍には、図8にも示す貫通孔261が設けられている。本実施形態においては、コネクタ262は、複数の端子262aが一方向に並んだ長手形状を有しており、貫通孔261は、コネクタ262の長手方向の長さよりも数mm程度長く、コネクタ262と平行な長孔形状を有している。コネクタ262は、上述した基本形態におけるコネクタの一例にあたり、複数の端子262aは、上述した応用形態における複数の端子の一例にあたり、貫通孔261は、上述した基本形態における「基板を貫通する貫通穴」の一例に相当する。
【0044】
図10は、プリント基板260に装着されたフラットケーブル250を示す図であり、図11は、コネクタ262および第1端子253にかかる力を説明するための図である。
【0045】
フラットケーブル250は、プリント基板260の表面側で第1端子253がコネクタ262に装着され、貫通孔261を通ってプリント基板260の裏面側に配線される。第1端子253は、上述した基本形態における第1端子の一例に相当する。
【0046】
フラットケーブル250は、貫通孔261に挿通されることによって、プリント基板260の、コネクタ262が装着された表面に対する裏面に延ばされている。このため、フラットケーブル250が引っ張られると、フラットケーブル250の先端に設けられた第1端子253には図11の下方向の力がかかり、コネクタ262からの抜けが防止される。また、幅広なフラットケーブル250は、コネクタ262に装着された第1端子252付近がねじれてしまうと、コネクタ262から抜けてしまったり、破損してしまう恐れがある。本実施形態においては、貫通孔261によってフラットケーブル250の幅方向の動きが規制されるため、修理時などにフラットケーブル250が横方向に振られてしまっても、第1端子253の抜けを軽減することができる。さらに、コネクタ262に平行でコネクタ262の幅以上の長さを有する貫通孔261が設けられることによって、コネクタ262に装着されたフラットケーブル250がねじれずにまっすぐな状態で貫通孔261を通ることとなり、フラットケーブル250の破損を軽減することができる。
【0047】
図11には、フラットケーブル250が貫通孔261の長手方向と垂直な方向に引っ張られた状態が示されている。図11(A)および図11(B)に示すように、フラットケーブル250が矢印A,B方向に引っ張られると、フラットケーブル250の結線部分252が貫通孔261のエッジEに突き当たり、エッジEが作用点となってフラットケーブル250の第1端子253やプリント基板260のコネクタ262にかかる負荷が軽減される。このように、貫通孔261によって、フラットケーブル250の撓みも抑えることができ、フラットケーブル250の抜けや、第1端子253およびコネクタ262の破損などを防止することができる。
【0048】
また、図10に示すように、フレーム240には、フラットケーブル250の幅と同程度の幅を有する窪み242と、フラットケーブル250の幅よりも長い長孔形状を有する貫通孔241とが設けられており、プリント基板260の裏面側に通されたフラットケーブル250は、窪み242および貫通孔241を通って上方のメイン基板220に接続される。フレーム240の窪み242および貫通孔241は、角が丸く形成されており、金属製のフレーム240によってフラットケーブル250に与えられるダメージを軽減して、フラットケーブル250を保持することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態のパーソナルコンピュータ100によると、プリント基板260やフレーム240に設けられた貫通孔や窪みによってフラットケーブル250の動きが規制されるため、ジャンパー線やフック付きの特別なコネクタなどを用意する必要がなく、コストを抑えてフラットケーブルの抜けや破損を防止することができる。
【0050】
以上で、電子機器の具体的な第1実施形態の説明を終了し、電子機器の具体的な第2実施形態について説明する。第2実施形態については、プリント基板に貫通孔ではなく窪みが設けられている点を除いては第1実施形態と同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0051】
図12は、電子機器の具体的な第2実施形態であるパーソナルコンピュータに適用されるプリント基板310の裏面側の拡大図である。
【0052】
本実施形態のプリント基板310では、図9に示す第1実施形態のプリント基板260とは異なり、コネクタ262の近傍に、貫通孔261ではなく窪み311が設けられている。窪み311は、上述した基本形態における「基板の縁部分に形成された窪み」の一例に相当する。
【0053】
窪み311も、図9に示す貫通孔261と同様に、コネクタ262の長手方向の長さよりも数mm程度長く、コネクタ262と平行に形成されている。
【0054】
このように、プリント基板310に貫通孔ではなく窪み311を形成することによっても、ケーブルの動きが規制されるため、ケーブルの破損や抜けを防止することができる。しかし、プリント基板310に窪み311を形成する場合、ケーブルが引っ張られたときに窪み311の口部分312がケーブルに負荷を与えてしまうことがあるため、プリント基板に貫通孔を設ける方が好ましい。また、プリント基板に貫通孔を設ける場合、窪みを形成する場合と比較して製造が容易であったり、プリント基板の強度が高いというメリットもある。
【0055】
以上で、電子機器の具体的な第2実施形態の説明を終了し、電子機器の具体的な第3実施形態について説明する。第3実施形態は、プリント基板に形成された窪みの形状が第2実施形態と異なる。
【0056】
図13は、電子機器の具体的な第3実施形態であるパーソナルコンピュータに適用されるプリント基板320の裏面側の拡大図である。
【0057】
本実施形態のプリント基板320では、図12に示す第2実施形態のプリント基板310に設けられた窪み311とは異なり、切り欠き311が設けられている。切り欠き311も、上述した基本形態における「基板の縁部分に形成された窪み」の一例に相当する。
【0058】
図13に示すプリント基板320では、切り欠き311が設けられた側の縁がフレーム240に突き当てられており、プリント基板320とフレーム240とによって貫通孔が形成されている。このように、プリント基板320に切り欠き311を設けて、他の部材をプリント基板320の縁に突き当てることによって、図12に示すような窪み311の口部分312がなくなり、プリント基板320に貫通孔を設ける場合と同様な効果を得ることができる。
【0059】
ここで、上記では、「課題を解決するための手段」で説明した電子機器の一例としてパーソナルコンピュータが示されているが、この電子機器は、プリント基板にケーブルが装着されるものであれば、テレビや携帯電話機などであってもよい。
【0060】
また、上記では、「課題を解決するための手段」で説明したケーブルの一例としてフレキシブルフラットケーブルが示されているが、このケーブルは、フレキシブルフラットケーブル以外にも、電線材で構成されたケーブルや、フレキシブルプリント基板などであってもよい。
【0061】
以下、本発明の各種形態について付記する。
【0062】
(付記1)
電子機器において、
第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、前記第1面上に実装されたコネクタと
前記第1面と前記第2面間に形成された当該基板を貫通する貫通穴もしくは当該基板の縁部分に形成された窪みと、を有するプリント基板と、
前記コネクタに着脱可能に装着される第1端子と、前記第1端子と第2端子間に位置する結線部分とを有し、前記コネクタに前記第1端子が装着された状態で該結線部分が前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通され前記プリント基板の前記第1面から前記第2面に延びるケーブルと、
前記プリント基板および前記ケーブルを収容する筐体と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【0063】
(付記2)
前記筐体はその内部に、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、前記第1面と前記第2面間に形成された当該フレームを貫通する貫通穴もしくは当該フレームの縁部分に形成された窪みと、を有するフレームを有し、
前記ケーブルの結線部分は、前記プリント基板の前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通されると共に前記フレームの前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通されることを特徴とする付記1記載の電子機器。
【0064】
(付記3)
前記ケーブルは、複数の導体がその長手方向に対して垂直方向に配列され所定幅の前記結線部分を形成したフラットケーブルであり、
前記プリント基板の前記貫通穴もしくは前記窪みは、少なくとも前記フラットケーブルの結線部分の幅と同長の直線部分を有する長穴もしくは窪みである、ことを特徴とする付記1または2記載の電子機器。
【0065】
(付記4)
前記コネクタは、該コネクタの長手方向に配列され且つ前記フラットケーブルの装着時に前記複数の導体が電気的に接続される複数の端子を有し、
前記長穴もしくは前記窪みの直線部分は、前記コネクタの長手方向に平行であり且つ該長手方向に対して垂直方向に見て少なくとも前記コネクタの前記複数の端子が形成する幅と同長な部分を有する、ことを特徴とする付記3記載の電子機器。
【0066】
(付記5)
前記筐体は、少なくとも前面筐体と該前面筐体に組み立てられる背面側筐体を含み、
前記筐体は、前記プリント基板の前記第1面が前記前面筐体側になるようにして前記プリント基板を収容し、前記プリント基板の前記第2面と前記背面筐体間に前記プリント基板を遮蔽した状態で他の搭載部品を収容した、ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【0067】
(付記6)
前記フラットケーブルは、前記導体が平板導体であるフレキシブルフラットケーブルである付記3または4記載の電子機器。
【0068】
(付記7)
前記フラットケーブルは、フレキシブルプリント基板である付記1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【0069】
(付記8)
プリント基板ユニットにおいて、
第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、前記第1面上に実装されたコネクタと、前記第1面と前記第2面間に形成された当該基板を貫通する貫通穴もしくは当該基板の縁部分に形成された窪みと、を有するプリント基板と、
前記コネクタに着脱可能に装着される第1端子と、前記第1端子と第2端子間に位置する結線部分とを有し、前記コネクタに前記第1端子が装着された状態で該結線部分が前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通され前記プリント基板の前記第1面から前記第2面に延びるケーブルと、
を備えることを特徴とするプリント基板ユニット。
【0070】
(付記9)
前記ケーブルは、複数の導体がその長手方向に対して垂直方向に配列され所定幅の前記結線部分を形成したフラットケーブルであり、
前記プリント基板の前記貫通穴もしくは前記窪みは、少なくとも前記フラットケーブルの結線部分の幅と同長の直線部分を有する長穴もしくは窪みである、ことを特徴とする付記8記載のプリント基板ユニット。
【0071】
(付記10)
前記コネクタは、該コネクタの長手方向に配列され且つ前記フラットケーブルの装着時に前記複数の導体が電気的に接続される複数の端子を有し、
前記長穴もしくは前記窪みの直線部分は、前記コネクタの長手方向に平行であり且つ該長手方向に対して垂直方向に見て少なくとも前記コネクタの前記複数の端子が形成する幅と同長な部分を有する、ことを特徴とする付記9記載のプリント基板ユニット。
【0072】
(付記11)
前記フラットケーブルは、前記導体が平板導体であるフレキシブルフラットケーブルである付記9または10記載のプリント基板ユニット。
【0073】
(付記12)
前記フラットケーブルは、フレキシブルプリント基板である付記9または10記載のプリント基板ユニット。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】電子機器の具体的な第1実施形態であるパーソナルコンピュータの外観図である。
【図2】パーソナルコンピュータの側面図である。
【図3】パーソナルコンピュータの背面図である。
【図4】パーソナルコンピュータの底面図である。
【図5】パーソナルコンピュータの内部構成図である。
【図6】上後方ケースを取り外したパーソナルコンピュータの背面図である。
【図7】上後方ケースと下後方ケースを取り外したパーソナルコンピュータの背面図である。
【図8】下前方ケースに装着されたプリント基板を示す図である。
【図9】プリント基板の表面側の拡大図である。
【図10】プリント基板に装着されたフラットケーブルを示す図である。
【図11】コネクタおよび端子にかかる力を説明するための図である。
【図12】電子機器の具体的な第2実施形態であるパーソナルコンピュータに適用されるプリント基板の裏面側の拡大図である。
【図13】電子機器の具体的な第3実施形態であるパーソナルコンピュータに適用されるプリント基板の裏面側の拡大図である。
【符号の説明】
【0075】
100 パーソナルコンピュータ
11A 上前方ケース
11B 上後方ケース
12A 下前方ケース
12B 下後方ケース
21 表示画面
31 光ディスク装填口
32 FD装填口
33 拡張カード装填口
101 CPU
102 主メモリ
103 ハードディスク装置
104 スピーカデバイス
105 入力インタフェース
106 操作子
107 表示装置
108 FDドライブ
109 CD/DVDドライブ
110 出力インタフェース
111 通信インタフェース
112 バス
210 液晶パネル
211 制御基板
220 メイン基板
221 コネクタ
230 電源装置
240 フレーム
241 貫通孔
242 窪み
250 フラットケーブル
260 プリント基板
261 貫通孔
262 コネクタ
270 冷却ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器において、
第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、前記第1面上に実装されたコネクタと
前記第1面と前記第2面間に形成された当該基板を貫通する貫通穴もしくは当該基板の縁部分に形成された窪みと、を有するプリント基板と、
前記コネクタに着脱可能に装着される第1端子と、前記第1端子と第2端子間に位置する結線部分とを有し、前記コネクタに前記第1端子が装着された状態で該結線部分が前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通され前記プリント基板の前記第1面から前記第2面に延びるケーブルと、
前記プリント基板および前記ケーブルを収容する筐体と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記筐体はその内部に、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、前記第1面と前記第2面間に形成された当該フレームを貫通する貫通穴もしくは当該フレームの縁部分に形成された窪みと、を有するフレームを有し、
前記ケーブルの結線部分は、前記プリント基板の前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通されると共に前記フレームの前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記ケーブルは、複数の導体がその長手方向に対して垂直方向に配列され所定幅の前記結線部分を形成したフラットケーブルであり、
前記プリント基板の前記貫通穴もしくは前記窪みは、少なくとも前記フラットケーブルの結線部分の幅と同長の直線部分を有する長穴もしくは窪みである、ことを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記コネクタは、該コネクタの長手方向に配列され且つ前記フラットケーブルの装着時に前記複数の導体が電気的に接続される複数の端子を有し、
前記長穴もしくは前記窪みの直線部分は、前記コネクタの長手方向に平行であり且つ該長手方向に対して垂直方向に見て少なくとも前記コネクタの前記複数の端子が形成する幅と同長な部分を有する、ことを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記筐体は、少なくとも前面筐体と該前面筐体に組み立てられる背面側筐体を含み、
前記筐体は、前記プリント基板の前記第1面が前記前面筐体側になるようにして前記プリント基板を収容し、前記プリント基板の前記第2面と前記背面筐体間に前記プリント基板を遮蔽した状態で他の搭載部品を収容した、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記フラットケーブルは、前記導体が平板導体であるフレキシブルフラットケーブルである請求項3または4記載の電子機器。
【請求項7】
プリント基板ユニットにおいて、
第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、前記第1面上に実装されたコネクタと、前記第1面と前記第2面間に形成された当該基板を貫通する貫通穴もしくは当該基板の縁部分に形成された窪みと、を有するプリント基板と、
前記コネクタに着脱可能に装着される第1端子と、前記第1端子と第2端子間に位置する結線部分とを有し、前記コネクタに前記第1端子が装着された状態で該結線部分が前記貫通穴もしくは前記窪みに挿通され前記プリント基板の前記第1面から前記第2面に延びるケーブルと、
を備えることを特徴とするプリント基板ユニット。
【請求項8】
前記ケーブルは、複数の導体がその長手方向に対して垂直方向に配列され所定幅の前記結線部分を形成したフラットケーブルであり、
前記プリント基板の前記貫通穴もしくは前記窪みは、少なくとも前記フラットケーブルの結線部分の幅と同長の直線部分を有する長穴もしくは窪みである、ことを特徴とする請求項7記載のプリント基板ユニット。
【請求項9】
前記コネクタは、該コネクタの長手方向に配列され且つ前記フラットケーブルの装着時に前記複数の導体が電気的に接続される複数の端子を有し、
前記長穴もしくは前記窪みの直線部分は、前記コネクタの長手方向に平行であり且つ該長手方向に対して垂直方向に見て少なくとも前記コネクタの前記複数の端子が形成する幅と同長な部分を有する、ことを特徴とする請求項8記載のプリント基板ユニット。
【請求項10】
前記フラットケーブルは、前記導体が平板導体であるフレキシブルフラットケーブルである請求項8または9記載のプリント基板ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−134932(P2009−134932A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308874(P2007−308874)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】