説明

電子機器および情報処理方法

【課題】一例として、コンテンツの処理の状況を示す情報が実際の処理の状況をより正しく示すことが可能な電子機器および情報処理方法を得る。
【解決手段】電子機器のコンテンツ処理部は、記録媒体に記録されたコンテンツを処理する。電子機器の第一制御部は、コンテンツ処理部がコンテンツの処理を終了する前に、記録媒体に記録されているコンテンツの処理状況を示すステータス情報を、コンテンツ処理部による処理の開始前のコンテンツの処理状況を示す第一情報から、コンテンツ処理部による処理の終了後のコンテンツの処理状況を示す第二情報に変更するよう制御する。また、電子機器の第二制御部は、コンテンツ処理部によるコンテンツの処理が正常に終了しなかった場合に、ステータス情報を第二情報から第一情報に変更するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器が、記録媒体に記録されたコンテンツについて例えば再生したり複製したり等の処理を実行した後に、当該コンテンツの処理の状況を示す情報(例えば、コンテンツの再生可能回数を示す制御情報等)を書き換える技術が知られている。また、電子機器が、記録媒体に記録されたコンテンツについて例えば再生したり複製したり等の処理を実行する前に、予め、当該コンテンツの処理の状況を示す情報を書き換える技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−200481号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Intel Corporation, International Business Machines Corporation, Matsushita Electric Industrial Co., Ltd., Toshiba Corporation.、「Content Protection for Recordable Media Specification,SD Memory Card Book, SD-Video Part」、Revision 0.96、2006年6月12日、p46−51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器が、コンテンツの処理の実行後に当該処理の状況を示す情報を書き換える場合には、電子機器が処理の実行を終了した後、当該処理の状況を示す情報を書き換える際に、何らかの異常が生じると、処理の状況を示す情報が実際の処理の状況を正しく示さなくなってしまう虞がある。
【0006】
一方、電子機器が、コンテンツの処理の実行前に予め当該処理の状況を示す情報を書き換える場合には、電子機器が処理を実行する際に何らかの異常が生じると、処理の状況を示す情報が実際の処理の状況を正しく示さなくなってしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明の実施形態は、一例として、コンテンツの処理の状況を示す情報が実際の処理の状況をより正しく示すことが可能な電子機器および情報処理方法を得ることを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態にかかる電子機器は、コンテンツ処理部と、第一制御部と、第二制御部と、を備える。コンテンツ処理部は、記録媒体に記録されたコンテンツを処理する。第一制御部は、コンテンツ処理部がコンテンツの処理を終了する前に、記録媒体に記録されているコンテンツの処理状況を示すステータス情報を、コンテンツ処理部による処理の開始前のコンテンツの処理状況を示す第一情報から、コンテンツ処理部による処理の終了後のコンテンツの処理状況を示す第二情報に変更するよう制御する。第二制御部は、コンテンツ処理部によるコンテンツの処理が正常に終了しなかった場合に、ステータス情報を第二情報から第一情報に変更するよう制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施形態にかかる電子機器の概略構成の一例が示されたブロック図である。
【図2】図2は、実施形態にかかる電子機器の一部の概略構成の一例が示されたブロック図である。
【図3】図3は、実施形態にかかる電子機器で取り扱われるステータス情報の構成の一例が示された概略図である。
【図4】図4は、実施形態にかかる電子機器に含まれるセキュリティ部の概略構成の一例が示されたブロック図である。
【図5】図5は、実施形態にかかる電子機器でのコンテンツの処理の一例が示されたフローチャートである。
【図6】図6は、実施形態にかかる電子機器でのコンテンツの処理が正常に終了した場合の一例が示されたシーケンス図である。
【図7】図7は、実施形態にかかる電子機器でのコンテンツの処理が正常に終了しなかった場合の一例が示されたシーケンス図である。
【図8】図8は、実施形態にかかる電子機器でのコンテンツの処理中に表示画面に表示される情報の一例が示された図である。
【図9】図9は、実施形態にかかる電子機器でのコンテンツの処理がキャンセルされた際に表示画面に表示される情報の一例が示された図である。
【図10】図10は、実施形態にかかる電子機器でのコンテンツの処理が正常に終了しなかった場合の別の一例が示されたシーケンス図である。
【図11】図11は、実施形態にかかる電子機器でのステータス情報の回復処理の一例が示されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示されるように、ホストとして動作する電子機器1は、記録媒体2を着脱可能なコネクタ12を備えている。電子機器1は、記録媒体2内に記録されている映像データ(動画データ)や画像データ(静止画データ)等のコンテンツ22(図2参照)を処理することができる。本実施形態では、コンテンツ22の処理は、例えば、再生や、移動、複製、削除等である。
【0011】
電子機器1は、例えば、パーソナルコンピュータや、テレビジョン受像機、レコーダ、スマートフォン、携帯電話機等であることができる。電子機器1は、好適には表示部3を備えているが、表示部3を備えることは必須ではない。記録媒体2は、不揮発性の書き換え可能な記録媒体(外部記憶装置)である。記録媒体2は、例えば、メモリ(メモリカードや、USB(universal serial bus)メモリ等)や、ハードディスクドライブ(HDD、hard disk drive)、SSD(solid state drive)、磁気ディスク、光ディスク等であることができる。また、記録媒体2は、複数の電子機器1に電気的に接続可能である。記録媒体2は、コネクタ12に保持されることができるし、コネクタ12に接続されるコネクタ(図示されず)が設けられたケーブルを有することもできる。
【0012】
例えば、再生や、移動、複製、削除等のコンテンツ22の処理を実行する電子機器1は、図1に示されるように、例えば、CPU(central processing unit)4や、RAM(random access memory)5、ROM(read only memory)6、HDD7、表示部3、入力部8、記録媒体コントローラ9、表示部コントローラ10、入力部コントローラ11等を備えることができる。
【0013】
CPU4は、ROM6やHDD7等に予めインストールされ記憶された各種プログラムを実行し、電子機器1を構成する各部の動作を制御する。
【0014】
RAM5は、書き換え可能な揮発性の記憶デバイスであって、CPU4の作業領域等として機能し、また、各種の処理時において、スタックやバッファ等として機能する。ROM6は、書き換え不能な不揮発性の記憶デバイスであって、電子機器1の制御にかかるプログラムや各種設定情報等を記憶する。HDD7は、書き換え可能な不揮発性の記憶デバイスであって、電子機器1の制御にかかるプログラムや各種データ等を記憶する。なお、電子機器1は、書き換え可能な不揮発性の記憶デバイス(記憶部)として、例えば、SSD(solid state drive)や、半導体メモリ(例えばフラッシュメモリ)等の、記憶デバイスを備えることができる。
【0015】
表示部3は、例えば、LCD(liquid crystal display)や有機ELディスプレイ(OELD,organic electroluminescent display)等の表示デバイスとして構成されうる。表示部3は、CPU4からの信号に基づいて、各種情報を表示する。表示部3は、表示部コントローラ10によって駆動される。
【0016】
入力部8は、例えば、キーボードや、タッチパネル、クリックボタン、押しボタン、スイッチ等として構成されうる。入力部8は、オペレータ等の操作入力に基づく指示信号をCPU4に送る。入力部コントローラ11は、入力部8から受け取った信号をCPU4へ送る。
【0017】
記録媒体コントローラ9は、CPU4と記録媒体2との間に介在し、例えば、記録媒体2のコンテンツ22の処理の一部を実行したり、記録媒体2との間でデータの授受を行ったりする。
【0018】
図2には、本実施形態にかかる電子機器1で実行されるコンテンツ22の処理に関わる機能ブロックの一例が示されている。本実施形態では、一例として、CPU4が、セキュリティ部40、コンテンツ処理部41、出力制御部42、および入力制御部43を有する。また、記録媒体コントローラ9が、プロテクトエリアインタフェース(I/F)90、相互認証部91、暗号復号部92、およびユーザデータエリアI/F93を有する。
【0019】
CPU4は、ROM6やHDD7等の不揮発性の記憶デバイスに記憶されたプログラムを実行することで、上記機能ブロック(本実施形態では、一例として、セキュリティ部40、コンテンツ処理部41、出力制御部42、および入力制御部43等)として動作する。すなわち、プログラムには、CPU4が上記機能ブロックとして動作するモジュールが含まれている。なお、図2の機能ブロックの配置は、あくまで一例であり、他の配置であることができる。例えば、相互認証部91や暗号復号部92等は、記録媒体コントローラ9とは別のチップにハードウエアとして実装することができるし、あるいは、CPU4に、ソフトウエアとして実装することもできる。
【0020】
記録媒体2は、一例として、図2に示されるように、プロテクトエリア2aおよびユーザデータエリア2bの二つの領域を有している。ユーザデータエリア2bは、通常のリードライトの手順によってアクセス可能な領域である。ユーザデータエリア2bには、コンテンツ22や、そのメタデータ等が格納されている。なお、コンテンツ22は、好適には暗号化されている。一方、プロテクトエリア2aは、相互認証部91による相互認証プロセスによる許可によってアクセス可能になる領域である。プロテクトエリア2aには、ユーザデータエリア2bの各コンテンツ22に対応したデータ21が格納されている。なお、各図中、データ21は、他のデータと区別するため、便宜上、TKUREと表示される。
【0021】
データ21は、一例として、タイトル鍵(TK)21a、ユーセージルール(UR)21b、およびMAC(message authentication code)21cを含んでいる。タイトル鍵21aは、暗号化されたコンテンツ22の暗号鍵であり、各コンテンツ22に固有な値である。タイトル鍵21aは、一例としては、128ビット長の暗号鍵である。タイトル鍵21aは、一例としては、メディアユニーク鍵で暗号化されることができる。その場合の暗号化方式としては、例えば、AESのECBモードを用いることができる。
【0022】
ユーセージルール21bは、対応するコンテンツ22の処理態様毎の制御情報(例えば、再生回数制御情報、有効期間設定制御情報、移動回数制御情報、複製回数制御情報、貸与回数制御情報)等を含むことができる。各制御情報は、例えば、コンテンツ22の処理の合計度数(例えば、処理可能回数:10回)や、現在の使用済度数(例えば、処理回数:1回)、現在の未使用度数(例えば、未処理回数:9回)等を含むことができる。ユーセージルール21b(制御情報)は、ステータス情報の一例である。
【0023】
MAC21cは、ユーセージルール21bの改竄を検知するためのダイジェストであって、例えば、タイトル鍵21aを鍵として生成したハッシュ値である。一例としては、CMAC(cipher-based MAC)という方式で、MAC21cの生成および検証を行うことができる。MAC21cを利用することで、タイトル鍵21aとユーセージルール21bとの組み合わせの検証を行うことができる。タイトル鍵21aあるいはユーセージルール21bが改竄されていた場合には、生成されたMACと格納されているMAC21cとが一致しない。その場合には、電子機器1は、データ21に対応するコンテンツ22の処理を実行しない。
【0024】
また、図4に示されるように、セキュリティ部40は、第一制御部40a、第二制御部40b、第三制御部40c、第四制御部40d、第五制御部40e、および判断部40fの各機能ブロックを含んでいる。なお、図4には、セキュリティ部40の一部の機能ブロック(モジュール)が示されている。各機能ブロックの機能および動作については後述する。
【0025】
ここで、ホストとしての電子機器1の、コンテンツ22の処理の前段階(前処理)での各部の動作の一例を説明する。記録媒体2が電子機器1に接続された状態で、コンテンツ処理部41は、ユーザデータエリアI/F93を介して、記録媒体2のユーザデータエリア2bにアクセスする。コンテンツ処理部41は、ユーザデータエリア2bから、各コンテンツ22に対応したメタ情報を取得する。次いで、出力制御部42は、表示部3がメタ情報に基づいたコンテンツ22の情報を表示するよう、表示部コントローラ10を制御する。オペレータ(ユーザ)は、表示部3の表示画面(図示されず)に表示された情報(図示されず)に基づいて入力部8を操作し、実行するコンテンツ22の処理を指示する(選択する、指定する)操作入力を行う。入力制御部43は、入力部コントローラ11を介して、オペレータによる入力部8の入力操作に対応したデータ(信号)を取得する。この取得されたデータにより、コンテンツ処理部41は、処理対象となるコンテンツ22と、当該コンテンツ22に対する処理(再生や、移動、複製、削除等)と、を決定する。
【0026】
コンテンツ処理部41は、ユーザデータエリアI/F93を介してオペレータに選択された処理対象となるコンテンツ22にアクセスし、当該コンテンツ22に対応するデータ21を示すデータ(データ21を特定可能なデータ)を取得する。このデータにより、セキュリティ部40は、処理対象となるコンテンツ22に対応したデータ21を特定することができる。
【0027】
ここで、相互認証部91は、コンテンツ22の処理に先立って、公知の方法により、電子機器1と記録媒体2との相互認証プロセスを実行する。暗号復号部92は、この相互認証プロセスで必要となる暗号化処理を実行する。また、相互認証部91は、この相互認証プロセスで、メディアユニーク鍵を生成する。相互認証プロセスで問題がなかった場合、プロテクトエリアI/F90は、必要なファイルシステムのアクセス処理を実行し、対象となるデータ21を取得して、セキュリティ部40に送る。
【0028】
セキュリティ部40は、データ21を受け取ると、相互認証部91で生成されたメディアユニーク鍵を用いてタイトル鍵21aを復号する。次いで、セキュリティ部40は、復号されたタイトル鍵21aとユーセージルール21bとでMACを生成する。そして、セキュリティ部40は、生成されたMACと、データ21に含まれているMAC21cとを比較する。これら二つのMACが一致した場合に、以下の要求されたコンテンツ22の処理が実行される。
【0029】
次に、図5,6を参照して、コンテンツ22の処理の一例を説明する。セキュリティ部40は、プロテクトエリアI/F90を介して、記録媒体2から処理対象となるコンテンツ22に対応したデータ(TKURE)21を取得する(ステップS101)。データ21のユーセージルール21bには、上述した制御情報が含まれている。ここでは、便宜上、ステップS101で取得されたデータ21での制御情報が示すコンテンツ22の処理状況が「状態0」と定義される。すなわち、「状態0」の制御情報は、コンテンツ22の処理開始前のコンテンツ22の処理状況を示している。「状態0」の制御情報を含むユーセージルール21b(データ21)は、ステータス情報の一例であり、第一情報の一例である。
【0030】
なお、ステップS101が実行された際、セキュリティ部40は、制御情報を参照して、要求されたコンテンツ22の処理を実行可能であるか否かを判断することができる。例えば、コンテンツ22の「再生」が要求された状況で、再生回数制御情報における再生可能回数が「0」であった場合、セキュリティ部40は、コンテンツ22の処理を実行不能であると判断する。その場合、出力制御部42は、表示部3が要求されたコンテンツ22の処理が不可能である旨を示す情報(例えば、文字や画像等)を表示するよう、表示部コントローラ10を制御する。そして、セキュリティ部40およびコンテンツ処理部41は、要求されたコンテンツ22の処理を実行しない。
【0031】
コンテンツ22の処理が実行可能である場合、ステップS101の後、セキュリティ部40は、記録媒体2から取得された「状態0」の制御情報を、所定の記憶部(例えばRAM5や図示されないキャッシュ等、揮発性の記憶部、情報保持部の一例)に保持する(ステップS102)。次いで、セキュリティ部40は、「状態0」の制御情報から、要求されたコンテンツ22の処理が終了した後の処理状況を示す「状態1」の制御情報を生成する(ステップS103)。ここでは、便宜上、要求されたコンテンツ22の処理が実行された後の状態が「状態1」と定義される。すなわち、「状態1」の制御情報は、要求されたコンテンツ22の処理が実行された後のコンテンツ22の処理状況を示している。具体的に、このステップS103で、セキュリティ部40は、例えば、「状態0」の制御情報(再生回数制御情報)の再生可能回数が「5」であり、かつ、コンテンツ22の処理要求が「再生」であった場合、再生可能回数が「4」である「状態1」の制御情報(再生回数制御情報)を生成する。「状態1」の制御情報を含むユーセージルール21b(データ21)は、ステータス情報の一例であり、第二情報の一例である。なお、「状態0」の制御情報および生成された「状態1」の制御情報は、当該コンテンツ22の処理が終了するまで、所定の記憶部に保持され、当該コンテンツ22の処理が終了した時点で、正常終了、異常終了に拘わらず、破棄(消去)される。
【0032】
次いで、セキュリティ部40の第一制御部40aは、処理対象のコンテンツ22に対応したデータ21のユーセージルール21bの制御情報が、「状態0」の制御情報から「状態1」の制御情報に変更されるよう、プロテクトエリアI/F90を制御する(ステップS104、第二ステップの一例)。このステップS104により、処理対象のコンテンツ22に対応したデータ21のユーセージルール21bの制御情報(ステータス情報)が、コンテンツ22の処理が終了する前(本実施形態では、コンテンツ22の処理が開始される前)に、コンテンツ22の処理が開始される前の状態を示す情報(第一情報)から、コンテンツ22の処理が終了した状態を示す情報(第二情報)に、変更される。
【0033】
次に、コンテンツ処理部41は、ユーザデータエリアI/F93を介して、記録媒体2から暗号化されたコンテンツ22を取得する(ステップS105)。暗号復号部92は、暗号化されたコンテンツ22を復号する(ステップS106)。このステップS106で、暗号復号部92は、タイトル鍵21aを用いて暗号化されたコンテンツ22を復号する。次に、コンテンツ処理部41は、要求されたコンテンツ22の処理が実行されるよう、各部を制御する(ステップS107、第一ステップの一例)。具体的には、このステップS107で、コンテンツ処理部41は、例えば、コンテンツ22の再生が要求されていた場合には、表示部3の表示画面(図示されず)でコンテンツ22の映像が表示され、図示されないスピーカでコンテンツ22の音声が出力されるよう、出力制御部42や、表示部コントローラ10、スピーカ用のコントローラ(図示されず)等を、制御する。
【0034】
セキュリティ部40は、コンテンツ22の処理状況を監視し(ステップS108)、要求された処理が正常に終了した場合には(ステップS108でYes)、コンテンツ22の処理を終了する。なお、図6には、正常に終了した場合の、シーケンス図の一例が示されている。
【0035】
一方、コンテンツ22の処理が正常に終了しなかった場合、すなわち、何らかの異常が生じるなどして、コンテンツ22の処理が中止され、かつ再開不能であった場合には(ステップS108でNo)、セキュリティ部40の第二制御部40bは、処理対象のコンテンツ22に対応したデータ21のユーセージルール21bの制御情報が、「状態1」の制御情報から「状態0」の制御情報に変更されるよう、プロテクトエリアI/F90を制御する(ステップS109、第三ステップの一例)。このステップS109により、処理対象のコンテンツ22に対応したデータ21のユーセージルール21bの制御情報(ステータス情報)が、コンテンツ22の処理が終了した状態を示す情報(第二情報)から、コンテンツ22の処理が開始される前の状態を示す情報(第一情報)に、変更される。処理対象のコンテンツ22に対応したデータ21のユーセージルール21bの制御情報を変更できた場合(ステップS110でYes)、一連のコンテンツ22の処理が終了される。なお、コンテンツ22の処理が正常に終了しなかった場合(異常終了する場合)としては、例えば、オペレータ(ユーザ)によってコンテンツ22の処理がキャンセルされた場合や、複製(コピー)や移動の際に複製先あるいは移動先の記憶容量が小さくコンテンツ22を移動や複製できなくなった場合、コンテンツ22の処理を中止させる割り込み信号を受け取った場合、記録媒体2がコネクタ12から取り外されるなどして電子機器1と記録媒体2との間でデータの授受ができなくなった場合等がある。
【0036】
図7には、ユーザのキャンセル指示によって、コンテンツ22の処理が中止された場合の、シーケンス図の一例が示されている。また、図8には、コンテンツ22の処理(図8の例ではコピー(複製))が実行されている間に、表示部3の表示画面(図示されず)に表示される情報(画像)31の一例が示されている。出力制御部42は、図8に示されるように、コンテンツ22の処理中に、表示部3に情報31が表示されるよう、表示部コントローラ10を制御する。図8の例では、情報31には、コンテンツ22の処理の進捗状況を示すバー(プログレスバー、画像)31aや、進捗率の数値(数字、文字、文章、図8の例では「80%」)31bとともに、表示画面上のカーソル(図示されず)のクリック等によって「キャンセル」を指示できるボタン(画像)31cが、含まれている。この場合、例えば、表示画面上で、ボタン31c上にカーソルが重ねられた状態で、入力部8がオペレータ(ユーザ)によってクリックされると、入力制御部43は、入力部コントローラ11を介して、クリックに応じた信号(データ)を受け、コンテンツ処理部41に、コンテンツの処理の中止を指示する信号(データ)を送る。この場合、コンテンツ処理部41は、コンテンツ22の処理を中止する。
【0037】
また、図9には、コンテンツ22の処理がキャンセルされた後に、表示部3の表示画面に表示される情報(画像)32の一例が示されている。セキュリティ部40の第三制御部40cは、図9に示されるように、キャンセルの指示によってコンテンツ22の処理が終了した際に、表示部3に情報32が表示されるよう、表示部コントローラ10を制御する。図9の例では、情報32には、コンテンツ22の処理がキャンセルされた旨を示す情報(文字、文章、画像)32aや、コンテンツ22の処理のキャンセル(異常終了の一態様)によってステータス情報(制御情報)が不変である旨を示す情報(文字、文章、画像)32b、ステータス情報(制御情報、図9の例では、コピー可能回数「3回」)を示す情報(文字、文章、画像)32c等が、含まれている。情報32b,32cは、第三情報の一例である。
【0038】
また、図10には、コンテンツ22の処理中に記録媒体2がコネクタ12から抜かれたことによって、コンテンツ22の処理が中止された場合の、シーケンス図の一例が示されている。図5のステップS109が実行されなかった場合(実行できなかった場合)、すなわち、記録媒体2がコネクタ12から抜かれるなどして、処理対象のコンテンツ22に対応したデータ21のユーセージルール21bの制御情報を、「状態1」の制御情報から「状態0」の制御情報に変更できなかった場合には(ステップS110でNo)、セキュリティ部40の第四制御部40dは、後に記録媒体2にアクセスできた際に制御情報を回復できるよう、当該回復に必要な情報を記憶部に格納する(ステップS111)。このステップS111で回復に必要な情報は、記録媒体2を識別する識別情報(メディアID)、ならびに、異常終了したコンテンツ22の処理を示す情報(第四情報の一例)である。異常終了したコンテンツ22の処理を示す情報としては、例えば、コンテンツ22の識別情報や、コンテンツ22の処理の識別情報、制御情報(処理前、処理後)等がある。また、回復に必要な情報の記憶部は、不揮発性の書き換え可能な記憶部であって、例えば、HDD7である。あるいは、回復に必要な情報を記憶する不揮発性の書き換え可能な記憶部94を、図2に示されるように記録媒体コントローラ9に設けたり、電子機器1内の他の部分に設けたりすることができる。
【0039】
また、記録媒体2の識別情報および回復に必要な情報は、暗号化された状態で記憶部に記憶されるのが好適である。具体的には、例えば、暗号復号部92が、記録媒体2の識別情報および回復に必要な情報を暗号化することができる。また、この場合の、暗号鍵としては、電子機器1(セキュリティ部40)のみがアクセス可能なデータを用いるのが好適である。
【0040】
回復処理は、例えば、図11に示されるフローにしたがって実行することができる。図11の回復処理は、記録媒体2が接続され、相互認証プロセスが行われた後、コンテンツ22の処理が開始される前に実行することができる。セキュリティ部40は、プロテクトエリアI/F90を介して、プロテクトエリア2aに格納されている記録媒体2の識別情報を取得する(ステップS201)。また、セキュリティ部40は、記憶部(識別情報ならびに異常終了したコンテンツ22の処理を示す情報が格納されている記憶部、例えば、HDD7や記憶部94等)を参照する(ステップS202)。この記憶部に記録媒体2の識別情報あるいは異常終了したコンテンツ22の処理を示す情報が格納されていない場合(ステップS203でNo)、回復処理は終了する。
【0041】
一方、記憶部に記録媒体2の識別情報あるいは異常終了したコンテンツ22の処理を示す情報が格納されていた場合(ステップS203でYes)、セキュリティ部40は、プロテクトエリアI/F90を介して、データ(TKURE)21を取得する(ステップS204)。そして、セキュリティ部40の判断部40fは、記録媒体2から取得したデータ21と、記憶部に記憶されていたコンテンツ22の処理を示す情報とを比較して、データ21の回復が可能か否か、すなわちデータ21の回復を行うか否かを、判断する(ステップS205)。ステップS205では、判断部40fは、例えば、記憶部に記憶されていたコンテンツ22の制御情報と、記録媒体2から取得した対応するコンテンツ22の制御情報とが一致した場合(例えば、コンテンツ22の処理が異常終了した後、他の電子機器(図示されず)等でコンテンツ22の処理を実行することなく、異常終了が生じた電子機器1に電気的に接続された場合)に、回復可能(回復実行)と判断することができる。あるいは、他の電子機器での利用の有無に拘わらず、記録媒体2に対象となるコンテンツ22が残っていた場合には、制御情報を回復することができる。また、ステータス情報(制御情報、データ21)の回復には、時間的な制限を設定することができる。具体的には、例えば、セキュリティ部40は、記憶部に、コンテンツ22の処理を示す情報として、コンテンツ22の処理が異常終了した時刻を示す情報を格納する。そして、判断部40fは、異常終了した時刻と現在時刻との差分が、所定の閾値と同じかあるいはより大きい場合には、回復不能(回復不実行)と判断する。
【0042】
ステップS205で判断部40fが回復不能(回復不実行)と判断した場合(ステップS205でNo)、この処理は終了する。一方、ステップS205で判断部40fが回復可能(回復実行)と判断した場合(ステップS205でYes)、セキュリティ部40の第五制御部40eは、記録媒体2のデータ21の制御情報の回復を実行する(ステップS206)。このステップS206では、具体的には、例えば、再生について回復可能(回復実行)と判断された記録媒体2の制御情報で、再生可能回数が「4」であった場合には、異常終了した分(1回分)を戻して(一例として、この場合にはカウントアップして)、再生可能回数を「5」に回復(変更)することができる。
【0043】
以上、説明したように、本実施形態にかかる電子機器1は、第一制御部40aと第二制御部40bとを備える。第一制御部40aは、コンテンツ処理部41がコンテンツ22の処理を終了する前に、記録媒体2に記録されているデータ21(TKUREのユーセージルール21b、ステータス情報)を、コンテンツ処理部41による処理の開始前の処理状況を示す「状態0」の制御情報(第一情報)から、コンテンツ処理部41による処理の終了後の処理状況を示す「状態1」の制御情報(第二情報)に変更するよう制御する。第二制御部40bは、コンテンツ処理部41によるコンテンツ22の処理が正常に終了しなかった場合に、データ21を第二情報から第一情報に変更するよう制御する。よって、本実施形態によれば、一例としては、コンテンツ22の処理終了後に何らかの異常が生じた場合、および、コンテンツ22の処理中に何らかの異常が生じた場合の双方について、記録媒体2に記録されているコンテンツ22の処理の状況を示す情報(ステータス情報、制御情報、データ(TKURE)21)が実際の処理の状況をより正しく示すことが可能となる。
【0044】
また、本実施形態にかかる電子機器1は、少なくともコンテンツ処理部41によるコンテンツ22の処理中にコンテンツ処理部41による処理の開始前の処理状況を示す「状態0」の制御情報(第一情報)を保持する記憶部(情報保持部)を備えた。よって、一例としては、コンテンツ22の処理が異常終了した場合にあっても、記録媒体2に記録されているコンテンツ22の処理の状況を示す情報(ステータス情報)を、コンテンツ処理部41による処理の終了後の処理状況を示す「状態1」の制御情報(第二情報)から、保持されている「状態0」の制御情報(第一情報)に変更しやすい。
【0045】
また、本実施形態にかかる電子機器1は、記録媒体2に記録されているコンテンツ22の処理の状況を示す情報(ステータス情報)が、「状態1」の制御情報(第二情報)から、「状態0」の制御情報(第一情報)に変更された場合に、記録媒体2に記録されているデータ21(TKUREのユーセージルール21b、ステータス情報)におけるコンテンツ22の処理状況(の値)が不変であること(変化していないこと)を示す情報32b,32c(第三情報)が表示部3で表示されるよう制御する第三制御部40cを備えた。よって、オペレータ(ユーザ)は、一例としては、コンテンツ処理部41によるコンテンツ22の処理が異常終了した場合に、制御情報が変更されなかったことを、より容易に認識することができる。
【0046】
また、本実施形態にかかる電子機器1は、コンテンツ処理部41によるコンテンツ22の処理が正常に終了せず、かつ、記録媒体2に記録されているコンテンツ22の処理の状況を示す情報(ステータス情報)が、「状態1」の制御情報(第二情報)から、「状態0」の制御情報(第一情報)に変更されなかった場合に、記憶部に、少なくとも記録媒体2の識別情報と終了しなかったコンテンツ22の処理を示す情報(第四情報)とが記憶されるよう制御する第四制御部40dを備えた。また、本実施形態にかかる電子機器1は、記憶部に少なくとも記録媒体2の識別情報と当該識別情報に対応した第四情報とが記憶されていた場合に、識別情報に対応した記録媒体2に記録されている処理の状況を示す情報(ステータス情報)を、第四情報に対応したコンテンツ22の処理の開始前の処理状況に対応した情報に回復するよう制御する第五制御部40eを備えた。よって、一例としては、コンテンツ22の処理が正常に終了せず、かつ、「状態1」の制御情報(第二情報)から「状態0」の制御情報(第一情報)に変更ができなかった場合には、その後、電子機器1と記録媒体2とが接続された際に、第四制御部40dが記憶部に記憶した情報に基づいて、記録媒体2に記録されているコンテンツ22の処理の状況を示す情報(ステータス情報)を、正しく回復することができる。
【0047】
また、本実施形態にかかる電子機器1は、終了しなかったコンテンツ22の処理を示す情報(第四情報)と、記録媒体2に記録されているコンテンツ22の処理の状況を示す情報(ステータス情報)とを比較して、第五制御部40eによる制御を行うか否かを判断する判断部40fを備えた。よって、一例としては、記録媒体2に記録されているコンテンツ22の処理の状況を示す情報(ステータス情報)の回復に制約(回復を実施する条件)を与えることができる。
【0048】
また、本実施形態にかかる電子機器1では、記録媒体2の識別情報と終了しなかったコンテンツ22の処理を示す情報(第四情報)とが、暗号化されて記憶部に記憶される。よって、一例としては、識別情報あるいは第四情報に対する何らかの操作(アクセス)によって不都合が生じるのを抑制することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、コンテンツの処理として、コンテンツの再生あるいは複製(コピー)を例示したが、コンテンツについて他の処理(例えば、移動や削除等)を実行する場合についても、同様の構成で同様に処理することができる。
【0050】
また、電子機器、記録媒体、情報保持部、表示部、記憶部、コネクタ等のスペック(構造や、種類、数、配置等)は、適宜変更して実施することができる。
【0051】
本発明の実施形態によれば、一例としては、コンテンツの処理の状況を示す情報が実際の処理の状況をより正しく示すことが可能な電子機器および情報処理方法を得ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…電子機器、2…記録媒体、3…表示部、22…コンテンツ、5…RAM(情報保持部)、7…HDD(記憶部)、40a…第一制御部、40b…第二制御部、40c…第三制御部、40d…第四制御部、40e…第五制御部、40f…判断部、92…暗号復号部(暗号処理部)、94…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録されたコンテンツを処理するコンテンツ処理部と、
前記コンテンツ処理部が前記コンテンツの処理を終了する前に、前記記録媒体に記録されている前記コンテンツの処理状況を示すステータス情報を、前記コンテンツ処理部による処理の開始前の前記コンテンツの処理状況を示す第一情報から、前記コンテンツ処理部による処理の終了後の前記コンテンツの処理状況を示す第二情報に変更するよう制御する第一制御部と、
前記コンテンツ処理部による前記コンテンツの処理が正常に終了しなかった場合に、前記ステータス情報を前記第二情報から前記第一情報に変更するよう制御する第二制御部と、
を備えた電子機器。
【請求項2】
少なくとも前記コンテンツ処理部による前記コンテンツの処理中に前記第一情報を保持する情報保持部を備えた請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ステータス情報が前記第二情報から前記第一情報に変更された場合に、前記ステータス情報における前記コンテンツの処理状況が不変であることを示す第三情報が表示部で表示されるよう制御する第三制御部を備えた請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記コンテンツ処理部による前記コンテンツの処理が正常に終了せず、かつ、前記ステータス情報が前記第二情報から前記第一情報に変更されなかった場合に、記憶部に、少なくとも前記記録媒体の識別情報と終了しなかった前記コンテンツの処理を示す第四情報とが記憶されるよう制御する第四制御部を備えた請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記記憶部に少なくとも前記識別情報と当該識別情報に対応した前記第四情報とが記憶されていた場合に、前記識別情報に対応した前記記録媒体の前記ステータス情報を、前記第四情報に対応した前記コンテンツの処理の開始前の処理状況に対応した情報に回復するよう制御する第五制御部を備えた請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第四情報と、前記記録媒体の前記ステータス情報とを比較して、前記第五制御部による制御を行うか否かを判断する判断部を備えた請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記識別情報および前記第四情報を暗号化する暗号処理部を備え、
前記第四制御部は、前記記憶部に、前記暗号処理部によって暗号化された前記識別情報および前記第四情報が記憶されるよう制御する請求項4〜6のうちいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項8】
記録媒体に記録されたコンテンツを処理する第一ステップと、
前記第一ステップで前記コンテンツの処理を終了する前に、前記記録媒体に記録されている前記コンテンツの処理状況を示すステータス情報を、前記第一ステップでの前記コンテンツの処理の開始前の前記コンテンツの処理状況を示す第一情報から、前記第一ステップでの前記コンテンツの処理の終了後の前記コンテンツの処理状況を示す第二情報に変更する第二ステップと、
前記第一ステップでの前記コンテンツの処理が正常に終了しなかった場合に、前記ステータス情報を前記第二情報から前記第一情報に変更するよう制御する第三ステップと、
を備えた情報処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−252734(P2012−252734A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122624(P2011−122624)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】