説明

電子機器及び取付部品ユニット

【課題】取付部品ユニット部分の防水性能を維持すること。取付部品ユニットの小型化を実現すること。
【解決手段】電子機器1は、取付部品ユニットの一例としての指紋センサユニット2を備える。指紋センサユニット2は、取付部品の一例としての指紋センサ3と電子機器1の筐体5内に備えられた回路基板14とを接続するフレキシブルケーブル4と、指紋センサ3を筐体5に固定するためのフレーム6とを有する。フレキシブルケーブル4をフレーム6に貫通させた状態で一体成形させるとともに、フレキシブルケーブル4とフレーム6間は隙間なく接触されている。フレーム6は、当該フレーム6を補強する補強材の一例としての補強板金7を有し、封止部材の一例としての止水部材8を介して筐体5に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器及び取付部品ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレーム用Oリングが、固定リアケース及び指紋センサ用フレームの間を封止し、フレキシブル基板用Oリングが、配線部用貫通孔において、グロメット部及び指紋センサ用フレームの間を封止する構成の電子機器がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−74439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子機器では、フレキシブル基板部分の防水構造が、フレキシブル基板とグロメットとを一体成形し、グロメットと指紋センサ用フレームとをフレキシブル基板用Oリングで封止する、という2重構造になっている。そのため、指紋センサユニットの大型化を招くという問題点がある。
【0005】
そこで、フレキシブル基板と指紋センサ用フレームとを一体成形することによって、指紋センサユニットの小型化を図ることが考えられる。しかし、フレキシブル基板に取り付けられている指紋センサが熱に弱いため、フレキシブル基板と指紋センサ用フレームとを低温で一体成形する必要がある。低温での成形が可能な樹脂には、温度依存性が強く、高温で柔らかくなって変形しやすいという性質が具わっていることがある。
【0006】
従って、低温での成形が可能な樹脂を用いて指紋センサ用フレームを作製すると、指紋センサ用フレームが高温で変形してしまう虞がある。指紋センサ用フレームが変形してしまうと、指紋センサユニット部分の防水性能を維持できなくなるという問題点が新たに生じる。なお、かかる問題は、指紋センサに限られず、電子機器に取り付けられる温度センサ等の各種センサ装置やバーコード読み取り装置等の取付部品にも同様に生じる。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み創出されたもので、第一の目的は、取付部品ユニット部分の防水性能を維持することができる電子機器及び取付部品ユニットを提供することである。また、第二の目的は、取付部品ユニットの小型化を実現することができる電子機器及び取付部品ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電子機器は、取付部品ユニットを備える。取付部品ユニットは、取付部品と電子機器の筐体内に備えられた回路基板とを接続するフレキシブルケーブルと、取付部品を筐体に固定するためのフレームとを有する。フレキシブルケーブルをフレームに貫通させた状態で一体成形させるとともに、フレキシブルケーブルとフレーム間は隙間なく接触されている。フレームは、当該フレームを補強する補強材を有し、封止部材を介して筐体に固定される。
【発明の効果】
【0009】
電子機器及び取付部品ユニットによれば、取付部品ユニット部分の防水性能を維持することができるという効果を奏する。また、取付部品ユニットの小型化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1にかかる電子機器の要部を示す断面図である。
【図2】図2は、実施例1にかかる電子機器の指紋センサユニットと止水部材を示す斜視図である。
【図3】図3は、実施例2にかかる電子機器を示す正面側の斜視図である。
【図4】図4は、実施例2にかかる電子機器を示す背面側の斜視図である。
【図5】図5は、実施例2にかかる電子機器を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、実施例2にかかる電子機器の指紋センサユニットを示す正面側の斜視図である。
【図7】図7は、実施例2にかかる電子機器の指紋センサユニットを示す背面側の斜視図である。
【図8】図8は、実施例2にかかる電子機器の指紋センサユニットを示す分解斜視図である。
【図9】図9は、実施例2にかかる電子機器の補強板金を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この電子機器及び取付部品ユニットの好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、以下の各実施例では、電子機器に取り付けられる取付部品の一例として、指紋センサを用いて説明するが、本願の対象とする取付部品は指紋センサに限られず、電子機器に取り付けられる温度センサ等の各種センサ装置やバーコード読み取り装置等の取付部品であってもよい。
【0012】
(実施例1)
図1は、実施例1にかかる電子機器の要部を示す断面図である。図2は、実施例1にかかる電子機器の指紋センサユニット(取付部品ユニット)と止水部材(封止部材)を示す斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、電子機器1は、取付部品ユニットの一例としての指紋センサユニット2を備える。指紋センサユニット2は、取付部品の一例としての指紋センサ3と電子機器1の筐体5内に備えられた回路基板14とを接続するフレキシブルケーブル4と、指紋センサ3を筐体5に固定するためのフレーム6とを有する。
【0014】
フレキシブルケーブル4をフレーム6に貫通させた状態で一体成形させるとともに、フレキシブルケーブル4とフレーム6間は隙間なく接触されている。フレーム6は、当該フレーム6を補強する補強材の一例としての補強板金7を有し、封止部材の一例としての止水部材8を介して筐体5に固定される。
【0015】
実施例1によれば、フレーム6を作製する樹脂として、低温での成形が可能な樹脂を用いることによって、フレキシブルケーブル4とフレーム6とを一体成形することができる。従って、グロメット、及びグロメットとフレームとを封止するOリングを設けずに済むので、指紋センサユニットの小型化を実現することができる。また、フレーム6の内部に補強板金7が設けられているので、補強板金7がなければフレーム6が変形してしまうような温度でも、フレーム6の変形を防ぐことができる。従って、指紋センサユニット部分の防水性能を維持することができる。
【0016】
(実施例2)
・電子機器の説明
図3は、実施例2にかかる電子機器を示す正面側の斜視図である。図4は、実施例2にかかる電子機器を示す背面側の斜視図である。図5は、実施例2にかかる電子機器を示す分解斜視図である。
【0017】
図3〜図5に示すように、電子機器1として、例えば携帯電話機が挙げられる。図示例の携帯電話機では、正面側の可動部分11と背面側の固定部分12とが、ヒンジ部13により開閉可能に取り付けられている。可動部分11には、例えば表示パネルが設けられていてもよい。固定部分12には、例えばキーパッドが設けられていたり、電池が収納されるようになっていてもよい。指紋センサユニット2は、固定部分12の筐体5に取り付けられていてもよい。
【0018】
図1に示す携帯電話機において、符号21は、実装基板である。この実装基板21には、図示しない各種部品が実装されていてもよい。符号22は、シールド板である。このシールド板22は、実装基板21に実装される図示しない各種部品が発生するノイズをシールドする。符号23は、実装基板である。この実装基板23には、操作ボタン24が実装されていてもよい。
【0019】
また、符号25は、表示パネルである。表示パネル25は、表示モジュール26を保護している。符号28は、実装基板である。この実装基板28には、表示モジュール26が実装されていてもよい。符号27は、シールド板である。このシールド板27は、実装基板28に実装される図示しない各種部品が発生するノイズをシールドする。符号29は、可動部分11の背面パネルである。
【0020】
・指紋センサユニットの説明
図6は、実施例2にかかる電子機器の指紋センサユニットを示す正面側の斜視図である。図7は、実施例2にかかる電子機器の指紋センサユニットを示す背面側の斜視図である。ただし、図6及び図7には、指紋センサ3をフレーム6に貼り付ける前の状態が示されている(図8においても同じ)。
【0021】
図6及び図7に示すように、フレキシブルケーブル4は、フレーム6を上下に貫通している。フレキシブルケーブル4とフレーム6とは、一体成形されている。それによって、フレキシブルケーブル4は、フレーム6に隙間なく接触している。フレーム6の上側の面には、両面粘着テープ9が貼られている。
【0022】
指紋センサ3は、フレキシブルケーブル4の、フレーム6の上側に突出する先端部分に取り付けられている。指紋センサ3は、フレーム6の上でフレキシブルケーブル4が折り曲げられることによって、両面粘着テープ9に貼り付けられる。フレキシブルケーブル4の、フレーム6の下側に突出する先端部分は、フレーム6の下で折り曲げられることによって、背面側の筐体5によって覆われる回路基板14に設けられているコネクタ15に挿入される(図1、図5参照)。つまり、指紋センサユニット2は、回路基板14に接続される。
【0023】
フレーム6は、低温成型樹脂でできている。低温成型樹脂の一例として、例えば東亞合成株式会社製テルメルト−194Bなどの熱可塑性ポリアミド樹脂や、シリコンゴムやエラストマなどが挙げられる。低温成型樹脂を用いることによって、熱に弱い指紋センサ3にダメージを与えることなく、指紋センサ3が取り付けられたフレキシブルケーブル4と、フレーム6とを低温で一体成形することができる。
【0024】
図8は、実施例2にかかる電子機器の指紋センサユニットを示す分解斜視図である。図9は、実施例2にかかる電子機器の補強板金(補強材)を示す斜視図である。図8には、フレーム6の、補強板金7の上を覆う部分を取り除いて、補強板金7を明示した様子が示されている。
【0025】
図8及び図9に示すように、フレーム6には、補強板金7が一体成形されている。補強板金7は、フレーム6の変形を防ぐことができれば、金属製でもよいし、セラミック製でもよい。また、補強板金7は、フレーム6の平面形状とほぼ同じ形状であってもよいし、フレーム6の変形を防ぐことができれば、その他の形状であってもよい。
【0026】
補強板金7は、フレーム6に埋め込まれていてもよい。補強板金7がフレーム6に埋め込まれている場合には、両面粘着テープ9は、フレーム6の上側の面に貼り付けられていてもよい。あるいは、補強板金7の周縁部がフレーム6に埋め込まれていて、補強板金7の中央部分はフレーム6に埋め込まれていなくてもよい。補強板金7の中央部分が露出している場合には、補強板金7の露出している面に両面粘着テープ9が貼り付けられていてもよい。
【0027】
・防水構造の説明
図2に示すように、止水部材8は、例えばゴムなどの弾性を有する材料でできたOリングである。止水部材8は、フレーム6の外周に取り付けられる。そして、図1に示すように、止水部材8は、フレーム6と、フレーム6に相対峙する筐体5の突起部16との間を密閉する。そして、上述したように、フレキシブルケーブル4がフレーム6に隙間なく接触しているので、指紋センサユニット部分から携帯電話機の固定部分12内に水や粉塵等が入るのを防ぐことができる。
【0028】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、グロメット、及びグロメットとフレームとを封止するOリングを設けずに済むので、指紋センサユニット2の部品点数が減り、コストダウンを図ることができる。
【0029】
なお、取付部品は、指紋センサに限られず、電子機器に取り付けられる温度センサ等の各種センサ装置やバーコード読み取り装置等の取付部品であってもよい。また、電子機器1は、携帯電話機に限らず、指紋センサ等の取付部品を備えた、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話機と携帯情報端末としての機能を併せ持つ電子機器や、コンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯情報端末、または種々の測定器などであってもよい。また、指紋センサユニット部分の防水構造以外にも、防水性能を必要とする箇所の防水構造に応用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 電子機器
2 取付部品ユニット
3 取付部品
4 フレキシブルケーブル
5 筐体
6 フレーム
7 補強材
8 封止部材
14 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部品ユニットを備える電子機器であって、
前記取付部品ユニットは、
取付部品と前記電子機器の筐体内に備えられた回路基板とを接続するフレキシブルケーブルと、前記取付部品を前記筐体に固定するためのフレームとを有し、
前記フレキシブルケーブルを前記フレームに貫通させた状態で一体成形させるとともに、前記フレキシブルケーブルと前記フレーム間は隙間なく接触されており、
前記フレームは、
当該フレームを補強する補強材を有し、
封止部材を介して前記筐体に固定される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記フレームは、低温成型樹脂でできていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
電子機器の筐体に取り付けられる取付部品と、
前記取付部品と前記筐体内に備えられた回路基板とを接続するフレキシブルケーブルと、
前記取付部品を前記筐体に固定するためのフレームとを有し、
前記フレキシブルケーブルを前記フレームに貫通させた状態で一体成形させるとともに、前記フレキシブルケーブルと前記フレーム間は隙間なく接触されており、
前記フレームは、
当該フレームを補強する補強材を有し、
封止部材を介して前記筐体に固定される
ことを特徴とする取付部品ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58941(P2013−58941A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196552(P2011−196552)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】