説明

電子機器及び無線通信方法

【課題】 無線通信動作の切替の簡略化を図った電子機器及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】
通信機器1は、ディスプレイ3と、通信アンテナ7と、通信制御部8と、加速度センサ9とを備える。通信機器1においてディスプレイ3が設けられている面を前面14、前面14の反対側を通信面15とする。通信制御部8は、加速度センサ9により通信機器1の向き検出し、通信面15が鉛直方向の下方向に向いている場合に送信モードと設定し、通信面15が上方向に向いている場合に受信モードと設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末に様々な情報を記憶するようになり、携帯端末に記憶されたデータをバックアップとしてPC等の電子機器へ転送したり複製したりすることが行われている。このデータの送信操作の簡便化を図るものとして、送信側の携帯端末が所定の角度以上傾けられたことを検出した場合にデータを送信するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−193546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の技術は、データ送信側の端末装置についてのものであり、データ受信側については述べられていない。データ送受信は、データ送信側の装置をデータ送信モードに設定し、且つデータ受信側の装置をデータ受信モードにすることで実行される。即ちデータ送受信を簡略化するためには、データ受信側の端末装置の操作についてもデータ受信モードへの移行を容易にすることが必要である。
【0005】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、無線通信動作の切替の簡略化を図った電子機器及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、第1の無線通信動作または第2の無線通信動作のいずれかで無線通信動作が可能な無線通信部と、前記無線通信部が収容された筐体の向きに関する情報を検出する向き検出部と、前記向き検出部により検出された前記筐体の向きに応じて、前記無線通信部の無線通信動作を切り替える制御部と、を有することを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る無線通信方法は、第1の無線通信動作または第2の無線通信動作のいずれかで無線通信を実行し、前記無線通信を行う無線通信部が収容された筐体の向きに関する情報を検出し、前記検出された前記筐体の向きに応じて前記無線通信部の無線通信動作を切り替えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線通信動作の切替の簡略化を図った電子機器及び無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態における通信機器の前面側からの外観図。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態における通信機器の通信面側からの外観図。
【図3】本発明に係る第1の実施の形態における通信機器の通信状態を示す図。
【図4】本発明に係る第1の実施の形態における通信機器の内部構造を示した図。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態における通信機器の機能ブロック図。
【図6】本発明に係る第1の実施の形態における通信機器の通信制御手順のフローチャートを示す図。
【図7】本発明に係る第2の実施の形態における通信機器の通信状態を示す図。
【図8】本発明に係る第3の実施の形態における通信機器の通信状態を示す図。
【図9】本発明に係る第3の実施の形態における通信機器の通信制御手順のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図9を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
本発明に係る電子機器として、通信機器1を例に説明をする。通信機器1とは例えば、モバイルPC、UMPC(UltraMoble−PC)、PDA(Personal Degital Assistant)、携帯電話等である。以下に説明する本実施の形態においては、通信機器1は箱状の筐体を有する機器として説明するが、これに限定されることはない。即ち、ディスプレイユニットと本体ユニットを別筐体に収納し、回動機構を備えた機器でも良い。
【0012】
図1乃至図3を用いて、通信機器1の構成について説明する。通信機器1を区別する必要がある場合には通信機器1A、通信機器1Bとして区別するが、特に区別する必要がない場合には通信機器1と称する。
【0013】
図1は、本発明に係る第1の実施の形態における通信機器1の前面14側からの外観図である。通信機器1は、筐体2と、ディスプレイ3と、スピーカ5と、通信アンテナ7と、加速度センサ9と、入力部11とを備える。本発明に係る第1の実施の形態においては、ディスプレイ3が設けられる面を通信機器1の前面14とし、前面14の反対側を背面15と呼ぶ。鉛直方向の真上から通信機器1を見た場合に、前面14が見える状態を通信機器1の表向きと定義する。一方、鉛直方向の真上から通信機器1を見た場合に、背面15が見える状態を通信機器1の裏向きと定義する。
【0014】
筐体2は、筐体カバー2Aと、筐体ベース2Bとが嵌合して組み立てられる。筐体2の内部には、各種の電子部品が収納される。
【0015】
ディスプレイ3は、筐体カバー2Aの中央部を切り欠いた中央部分に設けられ、通信機器1にて送受信するデータ等を表示する。ディスプレイ3の前面には、タッチパネル3Aが積層される。ディスプレイ3に表示される情報に、タッチパネル3Aを介して触れると、それに応じた操作信号の入力を行う入力デバイスである。尚、タッチパネル3Aに代えて、例えばペンによる位置指示が可能なタブレット(デジタイザ)を用いても良い。
【0016】
スピーカ5は、筐体2の側面に露出して備えられ、通信機器1にて再生するデータに対応した音声や操作音等を出力する。
【0017】
通信アンテナ7は、他の通信機器1と無線通信を行い、データの送受信を行うことができるように構成されるアンテナである。
【0018】
加速度センサ9は、通信機器1の加速度を検出するセンサである。加速度センサ9としては、例えば、加速度によって移動する可動部と、バネと、この移動距離により静電容量を変化させる電極を備えるものがある。この静電容量の変化から生成する信号を、状態検出部10に出力する。
【0019】
状態検出部10は、加速度センサ9で検出した通信機器1の加速度を示すデータに適切な信号処理を行うことによって、通信機器1の傾きや動き、また通信機器1にかかる振動や衝撃等を検出する。本実施の形態においては、状態検出部10は、向き検出部10Aと、移動検出部10Bとを備える。
【0020】
入力部11は、筐体カバー2Aを切り欠いた部分に設けられ、ユーザからの各種の操作
を受け付けるボタンである。
【0021】
図2は、本発明に係る第1の実施の形態における通信機器1の背面15側からの外観図である。通信アンテナ7は筐体2内に収容されている。通信アンテナ7の通信方向は、背面15に対して前面14と反対側に向かう方向であり、図2に示すZ軸の正の方向である。このZ軸方向に、背面15同士を対向させた状態で無線通信を実行する。
【0022】
図3は、本発明に係る第1の実施の形態における通信機器1の通信状態を示す図である。通信機器1Aと通信機器1Bの背面15同士を対向させた状態で無線通信を行う。本発明に係る第1の実施の形態において、無線通信としては、数センチの通信距離で行う無線通信を想定する。
【0023】
図4は、本発明に係る第1の実施の形態における通信機器1の内部構造を示した図である。通信機器1を裏向きに位置させた状態で、筐体ベース2Bを取り外した状態を示している。筐体2内部には、スピーカ5と、通信アンテナ7と、加速度センサ9と、HDD12とが収容されている。
【0024】
HDD12には、通信アンテナ7を介して送受信を行うデータを格納する。HDD12は、無線通信を介して送受信を行うデータを格納する指定フォルダを備える。通信機器1の通信モードが送信モードである場合、指定フォルダ内のファイルを通信相手の通信機器1に対して送信する。即ち、通信制御部8は、送信モードにおいては、HDD12の指定フォルダに格納されているファイルデータを読み出して、通信アンテナ7に対して出力する。また、通信機器1の通信モードが受信モードである場合、通信相手から送信されるファイルデータを指定フォルダ内に格納する。即ち、通信制御部8は、受信モードにおいて
は、通信アンテナ7にて受信したファイルデータを、HDD12の指定フォルダに格納する。
【0025】
図5は、本発明に係る第1の実施の形態における通信機器1の機能ブロック図である。
【0026】
通信機器1は、ディスプレイ3と、表示制御部4と、スピーカ5と、音声制御部6と、通信アンテナ7と、通信制御部8と、加速度センサ9と、状態検出部10と、入力部11と、HDD12と、制御部13とを備える。
【0027】
ディスプレイ3は、表示制御部4から受信した映像信号に基づいて、映像を表示する。
【0028】
表示制御部4は、制御部13から入力される制御信号に基づいて映像信号を生成し、この映像信号をディスプレイ3に出力する。
【0029】
スピーカ5は、音声制御部6から受信した音声信号に基づいて、音声を出力する。
【0030】
音声制御部6は、制御部13から入力される制御信号に基づいて音声信号を生成し、この音声信号をスピーカ5に出力する。
【0031】
通信制御部8は、送信モードと受信モードとを切り替えて無線通信を実行する。即ち、通信制御部8は状態検出部10から入力される通信機器1の状態情報の検出結果に基づいて、通信機器1を送信モードにするか受信モードにするかの制御を行う。本発明に係る第1の実施の形態においては、向き検出部10Aにより通信機器1の向きを検出し、表向きに位置した通信機器1を送信モードと設定する。即ち、図3に示す例において通信機器1Aを送信モードと設定する。一方、裏向きに位置した通信機器1Bを受信モードと設定する。このように、通信機器1の向きによって送受信モードを切り替えて設定することが可能である。
【0032】
状態検出部10は、加速度センサ9にて検出した通信機器1の加速度を示すデータに基づいて、通信機器1の向きや動きを検出する。状態検出部10は、検出結果を制御部13に入力する。即ち、向き検出部10Aにより通信機器1が表向きか否かを検出する。また、移動検出部10Bにより通信機器1が移動しているか否か及び移動方向を検出する。
【0033】
入力部11は、ユーザからの操作を受信し、その操作を示す信号を生成して制御部13に入力する。入力部11は、例えば筐体カバー2Aから露出するように設けられるボタンでも良いし、タッチパネル3Aでも良い。
【0034】
制御部13は、通信機器1の各部の動作を制御する。即ち、入力部11から入力される信号に従って、予め記録されたシステム制御プログラム及び各種処理プログラムを起動させることで制御を行う。
【0035】
図6は、本発明に係る第1の実施の形態における通信機器1の通信制御手順のフローチャートを示す図である。この図6を用いて、通信機器1の通信制御部8が行う通信制御の
手順を説明する。
【0036】
まず、通信制御部8は、通信アンテナ7にて通信相手の通信機器1を検出したか否かを判別する(ステップS1)。即ち、通信機器1の背面15同士が対向した状態で通信距離内に存在しているか否かを判別する。
【0037】
ステップS11で判別した結果、通信相手の通信機器1を検出していないと判別した場合(ステップS11のNo)、ステップS11に戻る。一方、通信相手の通信機器1を検出したと判別した場合(ステップS11のYes)、次に通信制御部8は検出した状態で所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS12)。所定時間とは数秒を想定し、検出した状態が継続することで、偶然に通信機器1が配置されたのではなく、無線通信を行うために通信機器1の背面15同士を対向させていることを判別する。所定時間の計時は、制御部13内に内蔵されるクロックを用いて行われるとする。
【0038】
ステップS12で判別した結果、検出した状態で所定時間が経過していないと判別した場合(ステップS12のNo)、この通信制御手順を終了する。即ち、ステップS11で検出した通信機器1を所定時間経過するまでの間に移動した場合には、無線通信を実行しない。
【0039】
一方、通信相手の通信機器1を検出した状態で所定時間が経過したと判別した場合(ステップS12のYes)、次に通信機器1の向きを検出する(ステップS13)。通信機器1の向きは、加速度センサ9により検出した通信機器1の加速度を示すデータに基づいて、向き検出部10Aにて検出する。
【0040】
次に、通信制御部8は、向き検出部10Aの検出結果に基づいて、通信機器1が表向きに位置しているか否かを判別する(ステップS14)。ステップS14で判別した結果、通信機器1が表向きに位置していると判別した場合(ステップS14のYes)、通信制御部8は送信モードに切り替える(ステップS15)。次に、通信制御部8は指定フォルダ内のファイルデータを通信相手の通信機器1に対して送信する(ステップS16)。
【0041】
次に、通信制御部8は、ディスプレイ3にデータの送信状況を表示する(ステップS17)。送信状況とは、単に送信中であることを示すものでも良いし、指定フォルダに格納されているファイルデータの全体量を算出し、送信完了データ量若しくは未送信データ量の割合を示すものでも良い。通信制御部8はデータ送信状況を示す表示を生成させる制御信号を、表示制御部4に対して送信する。表示制御部4は、受信した制御信号に基づいて、データ送信状況を示す映像信号をディスプレイ3に出力する。
【0042】
次に、通信制御部8は指定フォルダ内のデータの送信が完了したか否かを判別する(ステップS18)。ステップS18で判別した結果、データの送信が完了していないと判別した場合(ステップS18のNo)、上述したステップS13に戻る。一方、データの送信が完了したと判別した場合(ステップS18のYes)、この通信制御手順を終了する。
【0043】
ステップS14で判別した結果、通信機器1が裏向きに位置していると判別した場合(ステップS14のYes)、通信制御部8は、通信制御部8は受信モードに切り替える(ステップS19)。次に、通信制御部8は受信したファイルデータを指定ファイルに格納する(ステップS20)。
【0044】
次に、通信制御部8は、ディスプレイ3にデータの受信状況を表示する(ステップS21)。受信状況とは、単に受信中であることを示すものでも良いし、指定フォルダに格納中の受信完了データ量を示すものでも良い。通信制御部8はデータ受信状況を示す表示を生成させる制御信号を、表示制御部4に対して送信する。表示制御部4は、受信した制御信号に基づいて、データ受信状況を示す映像信号をディスプレイ3に出力する。
【0045】
尚、このステップS21は省略可能である。即ち、受信モードに設定される通信機器1のディスプレイ3は裏向きであり、ユーザが視認しにくいので、データ受信状況を表示することは行わないとしても良い。
【0046】
次に、通信制御部8は指定フォルダ内のデータの受信が完了したか否かを判別する(ステップS22)。ステップS22で判別した結果、データの受信が完了していないと判別した場合(ステップS22のNo)、上述したステップS13に戻る。一方、データの受信が完了したと判別した場合(ステップS22のYes)、次に通信制御部8はスピーカ5から受信完了音を出力する(ステップS23)。即ち、通信制御部8は、データの受信が完了したと判別すると、受信完了音を生成させる制御信号を、音声制御部6に対して送信する。音声制御部6は受信した制御信号に基づいて、受信完了音を出力する音声信号をスピーカ5に送信する。スピーカ5は、受信した音声信号に基づいて、受信完了音を出力する。以上で、通信制御手順を終了する。
【0047】
以上のように構成される本発明に係る第1の実施の形態によれば、通信機器1の向きに応じて通信モードを切り替えることによりデータ送受信の簡略化を図ることができる。即ち、無線通信を開始する場合に、通信機器1をそれぞれデータの送信モードと受信モードとに設定する操作なしに、通信機器1を表向き若しくは裏向きにすることで送受信モードを切り替えて設定することができる。
【0048】
背面15が鉛直方向の下方向に向いている状態を送信モードとすることで、データを受信する通信機器1Bが通信機器1Aの下側に位置した状態でデータの送受信が行われることになる。通常、物を受け渡す場合には、物を渡す側が上側に位置し、受け取る側が下側に位置する。本発明に係る第1の実施の形態のように、通信機器1の向きと送受信のモードを設定することで、電子データの送受信を物の受け渡しと同様の位置関係で行うことができ、より直感的な操作が実現する。
【0049】
尚、本発明に係る第1の実施の形態においては、通信機器1の背面15同士を対向させた状態が所定時間継続すると無線通信を開始するとしたが、これに限られることはない。
【0050】
即ち、背面15同士を対向させてから、入力部11にて所定の操作を行ってから無線通信を開始するとしても良い。ユーザの操作により無線通信を開始することで、よりデータ送受信のセキュリティを上げることができる。
【0051】
次に、図7を用いて本発明に係る第2の実施の形態について説明する。図7は、本発明に係る第2の実施の形態における通信機器1の通信状態を示す図である。
【0052】
本発明に係る第2の実施の形態において、第1の実施の形態と異なる点は、通信アンテナ7の配置である。第2の実施の形態における通信アンテナ7の通信方向は、前面14に対して背面15と反対側に向かう方向であり、図7に示すZ軸の負の方向である。このZ軸に沿って、前面14同士を対向させた状態で無線通信を実行する。
【0053】
本発明に係る第2の実施の形態においては、表向きに位置した通信機器1を送信モードと設定する。即ち、図7に示す例において通信機器1Dを送信モードと設定する。一方、裏向きに位置した通信機器1Cを受信モードと設定する。このように、通信機器1の向きによって送受信モードを切り替えて設定することが可能である。
【0054】
第2の実施の形態における通信制御の手順は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。前面14同士を対向させて無線通信を行うため、データの送受信の実行状況は視認することは出来ないが、受信モードの通信機器1から受信完了音を出力することで、データ送受信の完了を確認することができる。
【0055】
以上のように構成される第2の実施の形態によれば、表向きに位置した通信機器1を送信モードとすることで、複数の通信機器1間のデータ送受信がよりスムーズに実行される。即ち、表向きに置かれた1つの通信機器1Dに対して、データの受信を行う通信機器1を次々に近づけることで、送信モードの通信機器1Dを動かす手間なく、複数の通信機器1へデータの送信することが実現する。
【0056】
第1及び第2の実施の形態においては、通信機器1が表向きである場合に送信モードとするとしたが、これに限定されることはない。即ち、ユーザによって通信機器1の向きと送受信モードを設定可能にしても良い。
【0057】
次に、図8及び図9を用いて本発明に係る第3の実施の形態について説明する。図8は、本発明に係る第3の実施の形態における通信機器の通信状態を示す図である。第3の実施の形態においては、通信機器1の向きではなく、通信機器1の動きに応じて、送受信モードを切り替える。
【0058】
図8に示すように、通信機器1E及び通信機器1Fの通信アンテナ7はそれぞれ前面14から背面15に向く方向に設けられている。従って、背面15同士を対向させて無線通信を行うとする。
【0059】
第3の実施の形態においては、通信制御部8は、移動検出部10Bにより検出される通信機器1の移動及び移動方向を検出し、前面14から背面15方向に動いている場合に送信モードに設定する。図8の例においては、通信機器1Eが通信機器1Fに近づくように、前面14から背面15方向に動いているとする。従って、通信機器1Eを送信モードと設定する。以降、通信機器1が前面14から背面15方向に動いている場合を、通信機器1が前進すると呼ぶ。
【0060】
次に、図9を用いて通信機器1の動きに応じて送受信モードを切り替える第3の実施の形態について説明する。図9は、本発明に係る第3の実施の形態における通信機器1の通信制御手順のフローチャートを示す図である。
【0061】
まず、通信制御部8は、通信機器1の動き方向を検出する(ステップS31)。通信機器1の動きは、加速度センサ9により検出した通信機器1の加速度を示すデータに基づいて、移動検出部10Bにて検出する。
【0062】
次に、通信制御部8は、移動検出部10Bの検出結果に基づいて、通信機器1が前進しているか否かを判別する(ステップS32)。ステップS32で判別した結果、通信機器1が前進していると判別した場合(ステップS32のYes)、通信制御部8は送信モードに切り替える(ステップS33)。一方、ステップS32で判別した結果、通信機器1が前進していないと判別した場合(ステップS32のNo)、通信制御部8は受信モードに切り替える(ステップS34)。即ち、移動していない通信機器1や、後進している通信機器1を受信モードと設定する。
【0063】
次に通信制御部8は、通信アンテナ7にて通信相手の通信機器1を検出したか否かを判別する(ステップS35)。即ち、通信機器1の背面15同士が対向した状態で通信距離内に存在しているか否かを判別する。
【0064】
ステップS35で判別した結果、通信相手の通信機器1を検出していないと判別した場合(ステップS35のNo)、ステップS35に戻る。一方、通信相手の通信機器1を検出したと判別した場合(ステップS35のYes)、次に通信制御部8は検出した状態で所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS36)。所定時間とは数秒を想定し、検出した状態が継続することで、偶然に通信機器1が配置されたのではなく、無線通信を行うために通信機器1の背面15同士を対向させていることを判別する。
【0065】
ステップS36で判別した結果、検出した状態で所定時間が経過していないと判別した場合(ステップS36のNo)、この通信制御手順を終了する。即ち、ステップS35で検出した通信機器1を所定時間経過するまでの間に移動した場合には、無線通信を実行しない。
【0066】
一方、通信相手の通信機器1を検出した状態で所定時間が経過したと判別した場合(ステップS36のYes)、次に、通信制御部8は通信相手の通信機器1との間で送受信を行う(ステップ37)。即ち、送信モードの通信機器1は指定フォルダ内のファイルを通信相手へ送信し、受信モードの通信機器1は受信したファイルを指定フォルダに格納する。
【0067】
次に、通信制御部8は、ディスプレイ3にデータの送受信状況を表示する(ステップS38)。送受信状況の表示とは、例えば送信開始、送信中、送信完了等を表示するものである。
【0068】
次に、通信制御部8は指定フォルダ間のデータの送受信が完了したか否かを判別する(ステップS39)。ステップS39で判別した結果、データの送受信が完了していないと判別した場合(ステップS39のNo)、上述したステップS36に戻る。一方、データ
の送受信が完了したと判別した場合(ステップS39のYes)、次に通信制御部8はスピーカ5から送受信完了音を出力する(ステップS40)。送受信完了音は、送信側若しくは受信側の通信機器1の少なくとも何れか一方から出力する。送信側若しくは受信側の通信機器1の少なくとも何れか一方の通信制御部8は、データの送受信が完了したと判別すると、送受信完了音を生成させる制御信号を音声制御部6に対して送信する。音声制御部6は受信した制御信号に基づいて、送受信完了音を出力する音声信号をスピーカ5に送信する。スピーカ5は、受信した音声信号に基づいて、送受信完了音を出力する。以上で、通信制御手順を終了する。
【0069】
以上のように構成される第3の実施の形態によれば、データの送信を行う通信機器1Eを通信機器1Fに近づけるだけで、送信モードに設定することができる。即ち、通信機器1の向きのみならず通信機器1を所持するユーザの動作により、通信機器1の送受信モードの切替を行うことができる。
【0070】
尚、第3の実施の形態においては通信機器1を前進させる動作により送信モードを設定するとしたが、これに限定されることは無い。即ち、加速度センサ9により検出される通信機器1の動きや振動に対応付けて、送受信モードを設定することができる。
【0071】
尚、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0072】
1…通信機器、2…筐体、2A…筐体カバー、2B…筐体ベース、3…ディスプレイ、3A…タッチパネル、4…表示制御部、5…スピーカ、6…音声制御部、7…通信アンテナ、8…通信制御部、9…加速度センサ、10…状態検出部、10A…向き検出部、10B…移動検出部、11…入力部、12…HDD、13…制御部、14…前面、15…背面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信動作または第2の無線通信動作のいずれかで無線通信動作が可能な無線通信部と、
前記無線通信部が収容された筐体の向きに関する情報を検出する向き検出部と、
前記向き検出部により検出された前記筐体の向きに応じて、前記無線通信部の無線通信動作を切り替える制御部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記向き検出部により、前記筐体の第1の向きが検出された場合、第1の無線通信を実行し、前記第1の向きと異なる前記筐体の第2の向きが検出された場合、前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信を実行する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記無線通信部で実行している無線通信状況を表示する表示部を更に有する請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
第1の無線通信動作または第2の無線通信動作のいずれかで無線通信を実行し、
前記無線通信を行う無線通信部が収容された筐体の向きに関する情報を検出し、
前記検出された前記筐体の向きに応じて前記無線通信部の無線通信動作を切り替える無線通信方法。
【請求項5】
前記筐体の第1の向きが検出された場合は第1の無線通信を実行し、
前記第1の向きと異なる前記筐体の第2の向きが検出された場合は前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信を実行する請求項4記載の無線通信方法。
【請求項6】
前記無線通信部で実行している無線通信状況を表示する請求項4記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−193499(P2011−193499A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97087(P2011−97087)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2009−218553(P2009−218553)の分割
【原出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】