説明

電子機器及び該電子機器に実装される赤外線遮断板の製造方法

【課題】液晶表示装置への物体接近を検出するための赤外線LEDと近接センサを実装しても、筐体が大型化しない電子機器を提供する。
【解決手段】エッジライト方式の光源26と導光板21と液晶パネル20を含む液晶表示装置15を備える電子機器10において、液晶パネル20への物体の接近を、光源26と並んで配置されて導光板21中に赤外線を出射する2つの赤外線LED31,33と、導光板21から液晶パネルに入射する赤外線を所定領域36A,36Bを除いて遮断する赤外線遮断板36と、所定領域36A,36Bから隔てた位置に配置されて赤外線を液晶パネル20に垂直な方向に出射する赤外線LED32と、赤外線の物体による反射を検出する近接センサ34及び制御装置37とから構成される光学式物体検出装置で検出する電子機器10である。赤外線LED32と近接センサ34は一体型センサ35にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は電子機器及び該電子機器に実装される赤外線遮断板の製造方法に関する。以下に説明される実施の形態では電子機器の実施例として、一般的に携帯電話機を指すフィーチャーフォンや、携帯電話機よりも高機能であるスマートフォンが説明される。これらフィーチャーフォンやスマートフォンの中には、赤外線LEDと近接センサとを用いて物体の接近を検出することができるものがある。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の電子機器では、入力装置としてキーボードに代わり、画像表示器にタッチパネルを組み込み、画像表示器に表示された画像を見ながらタッチパネルにタッチして操作を行ったり情報を入力するものが普及している。また、画像表示器にタッチすることなく、画像表示器の画面の前方で手や物を動かすだけで、操作したり情報を入力できる無接触情報入力装置がある。
【0003】
このような無接触情報入力装置の1つが特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の無接触情報入力装置では、導光板の四隅に配置した光源から導光板内に光を入射し、導光板背面の光散乱構造で光を偏向させて光出射面から上方に出射し、対象物体で反射した光を光検出器で検出して対象物体の二次元位置を検出している。
【0004】
更に近年、スマートフォンが普及しつつある。スマートフォンは一体型の筐体を備えてキーボードを搭載していないものがある。そのようなスマートフォンは、一般に筐体の前面全体に設けられた画像表示器にタッチパネルが内蔵されており、操作や情報入力はタッチパネルを用いて行われる。このようなスマートフォンには各種センサが搭載されており、スマートフォンの使用条件に応じてセンサが必要な状態を検出し、スマートフォンの利便性を高めている。
【0005】
近接センサはスマートフォンに搭載されたセンサの1つであり、赤外線を出射する赤外線発光ダイオード(以後、赤外線LEDと呼ぶことがある。あるいは赤外線発光素子と呼ぶことがある。)とで光学式の物体検出装置を構成する。光学式物体検出装置はスマートフォンに接近する物体を検出する。スマートフォンにおける近接センサは、例えば、通話時にスマートフォンの画像表示器に設けられたタッチパネルにユーザの人体の一部が接触してスマートフォンが誤動作するのを防止するのに使用される。例えば、近接センサは、通話時にスマートフォンの受話口への耳等の物体の接近を検出し、タッチパネルへの入力をオフにして誤動作を防ぐのに使用される。また、近接センサが受話口への耳等の物体の接近を検出した時は、画像表示器のバックライトもオフにされるので、スマートフォンの消費電力が抑えられる。
【0006】
赤外線LEDと近接センサを備えた光学式の物体検出装置は、画像表示器に直接触れることなく電子機器への入力を行うことができるので、タッチパネルを搭載していない電子機器であっても電子機器を操作することができる。このような光学式物体検出装置は、例えば、電子ブックリーダ等に搭載することができる。電子ブックリーダでは、画像表示器の表示画面の前方で手を左から右に動かすと、表示画面に表示された本のページをめくることができたり、親指と人差し指を開く動作で文字が拡大され、閉じる動作で文字が縮小されたりする。
【0007】
光学式物体検出装置を備えた従来の電子機器として図1を用いて説明する。図1(a)は、赤外線LED1,2,3と近接センサ4とを備えた電子機器5の平面図である。この電子機器5は、例えばスマートフォンであり、中央にエッジライト方式のバックライトで照明される画像表示器6があり、この画像表示器6にはタッチパネルが組み込まれている。赤外線LED1,2,3は、図1(b)に示すように、赤外線IRを画像表示器6の表示画面に対して垂直な方向に出射する。電子機器5の画像表示器6の周囲、特に長手方向の筐体縁部7に、赤外線LED1,3が配置される。電子機器の画像表示器6の周囲、特に短手方向の筐体縁部7に赤外線LED2と近接センサ4が配置される。
【0008】
そして、複数の赤外線LED1,2,3から画像表示器6の表示画面に対して前方に向けて出射された赤外線が表示画面の前方にある手等の対象物で反射されると、反射光が近接センサ4に入力されて対象物の存在が検出される。例えば、電子機器5の画像表示器6の表示画面の前方で手を動かすと、各赤外線LED1,2,3から出射された赤外線の反射光の時間ずれが近接センサ4で検出されて手の動いた方向が検出され、電子機器5に予め記憶されている手の動きのパターンに応じて、画像表示器6の表示内容が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−39958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の光学式物体検出装置は、電子機器の画像表示器の周囲、特に長手方向の筐体縁部に赤外線センサが実装されているので電子機器の幅W方向の筐体が大型化し、電子機器の小型化、薄型化を実現するための障害になっているという問題点があった。例えば、特許文献1に開示の情報入力装置では、位置検出光の光源が導光板の周囲に配置されているので、情報入力装置を備えた電子機器の本体のサイズが大きくなっている。
【0011】
本出願は、筐体が大型化しない電子機器及び該電子機器に実装される赤外線遮断板の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成する本出願の電子機器は、光源と導光板と液晶パネルとを有する液晶表示装置を備え、液晶表示装置への物体の接近を光学的に検出する電子装置であって、導光板の端部に沿って配置された光源と並んで配置され、赤外線が液晶表示装置の表示画面から出射される少なくとも1つの赤外線発光素子と、導光板と液晶パネルとの間に介在され、少なくとも1つの赤外線発光素子から出射された赤外線を透過する赤外線透過領域を備える赤外線遮断板と、赤外線透過領域から隔てた位置に設置され、赤外線を表示画面に対して垂直な方向に出射する赤外線発光素子と、赤外線の物体による反射光を検出する近接センサ、及び近接センサからの赤外線の反射光の検出信号により物体の表示画面への接近を検出する制御装置とを備えることを特徴としている。
【0013】
また、前記目的を達成する本出願の電子機器に実装される赤外線遮断板の製造方法は、赤外線と可視光を透過する第1の透過フィルタを作成し、第1の透過フィルタの赤外線が透過する領域をマスクし、第1の透過フィルタに赤外線の透過を遮断する第2のフィルタを蒸着して形成することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は従来の赤外線LEDと近接センサを備えた電子機器の平面図、(b)は(a)に示した電子機器からの赤外線の出射方向を示す側面図である。
【図2】(a)は本出願の電子機器の一例の外観を示す斜視図、(b)は(a)に示した電子機器の内部の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2(b)に示した液晶表示装置の構成を示す組立斜視図である。
【図4】(a)は本出願の一実施例の光学式物体検出装置を示す図、(b)は(a)における赤外線LEDの配置の別の例を示す図である。
【図5】(a)は図2(b)に示した液晶表示装置の組立後の構成とD−D線で示す断面位置を示す斜視図、(b)は図2(b)に示した液晶表示装置の組立後の構成とE−E線で示す断面位置を示す斜視図である。
【図6】(a)から(c)は、図3に示した赤外線遮断板の製造方法を示す工程図である。
【図7】(a)は本出願の液晶表示装置に使用する赤外線LEDの外観を示す斜視図、(b)は(a)に示した赤外線LEDのB−B線における縦断面図、(c)は本出願の液晶表示装置に使用する一体型センサの外観を示す斜視図、(d)は液晶表示装置におけるバックライト用のLEDからの出射光の光路を示す図5(a)に示したD−D線における断面図、(e)は液晶表示装置における赤外線LEDからの出射光の光路を示す図5(b)に示したE−E線における断面図である。
【図8】本出願の光学式物体検出装置が搭載された電子機器であるスマートフォンの平面図である。
【図9】図8に示したスマートフォンにおける近接物体の検出を説明する斜視図である。
【図10】本出願の他の実施例の光学式物体検出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
【0016】
本出願は、光学式物体検出装置を搭載する従来のエッジライト方式のバックライトを有する液晶表示装置を備えた電子機器における問題点を解消するものである。即ち、電子機器に光学式物体検出装置を搭載しても、電子機器の小型化を実現するようにするものである。更に本出願は赤外線LEDと近接センサの配置の自由度が得られるようにするものである。図2(a)は本出願の電子機器であるスマートフォン10を示すものである。スマートフォン10は、図2(b)に示すように、種々の電子部品13が実装された制御用の回路基板14を搭載する下筐体11と、液晶表示装置15と表面ガラス16を搭載する上筐体12を備える。
【0017】
図3は、図2(b)に示した液晶表示装置15の構成を示す組立斜視図である。画像表示器の一例である液晶表示装置15は、図3に示すように、液晶パネル20、導光板21、バックライト用LED22、反射板23、バックライト用偏光板24及びカラーフィルタ25を備えて構成される。本出願の液晶表示装置15には、これらに加えて赤外線遮断板36がある。図3に示した液晶表示装置15の組立後の状態が図5(a)、(b)に示される。バックライト用LED22は導光板21の側面に複数個並んでLEDアレイ26を形成している。つまり、バックライト用LED22は、液晶表示装置15の短手方向の側面に並んで配置される。
【0018】
LEDアレイ26から出射された光は導光板21の側面から内部に入射される。導光板21の上面は平坦面である。一方、導光板21の底面は、平坦ではあるが、LEDアレイ26から遠ざかるにつれて次第に上面に近づくように傾斜している。傾斜した底面には、LEDアレイ26から入射された光を上面方向に反射する反射板23が設けられている。反射板23には導光板21側の面に図示しないドットパターンが印刷されている。側面から入射されて導光板21内を反射しながら進んできた光は、ドットパターンにぶつかると上方に反射されて液晶パネル20に到達して液晶パネル20を照明する。バックライト用偏光板24及びカラーフィルタ25の機能は周知であるので説明を省略する。
【0019】
赤外線遮断板36は、液晶表示装置15の導光板21の上面側に重ねて配置されるものであり、赤外線LED31、33からの赤外線の出射方向の所定箇所に、それぞれ赤外線透過領域36A,36Bを備えている。赤外線透過領域36A,36B以外の場所では、赤外線は赤外線遮断板36を透過することができない。つまり、本出願における液晶表示装置15は、図3に示す導光板21とバックライト用偏光板24の間に赤外線遮断板36を介在させ、LEDアレイ26の両端部に赤外線LED31、33が配置されて構成されるものである。
【0020】
赤外線LED31、33の配置はLEDアレイ26の両端部でなくとも良く、LEDアレイ26を構成するバックライト用LED22の隙間に配置しても良い。赤外線LED31、33の配置については、後に詳述する。
【0021】
図4(a)は本出願の一実施例の光学式物体検出装置を示すものである。なお、以後の本出願の光学式物体検出装置の説明において、図1から図3で説明した部材と同じ部材には同じ番号を付して説明する。本出願の光学式物体検出装置は、赤外線LED31〜33、近接センサ34、赤外線遮断板36及び中央処理装置(CPU)37を備えている。上記赤外線LEDのことを赤外線発光素子と呼ぶことがある。
【0022】
赤外線LED31、33は、液晶表示装置15の導光板21に対してLEDアレイ26と同じ短手方向の端部に設置され、この実施例ではLEDアレイ26の両端部に設置される。LEDアレイ26の全長に赤外線LED31、33の長さを加えた長さは、液晶表示装置15の横幅以内である。赤外線LED31、33から出射される赤外線の出射方向は、LEDアレイ26からの照明光の出射方向と同じ方向である。赤外線は導光板21に入射される。なお、LEDアレイ26の両端部への赤外線LED31、33の設置により、LEDアレイ26の両端部において照明光が弱くなる場合は、LEDアレイ26の両端部のバックライト用LED22の輝度を、他のバックライト用LED22の輝度より高くする。
【0023】
赤外線LED32は、LEDアレイ26が設置される導光板21の端部と反対側の短手方向の端部に設置される。また、近接センサ34は赤外線LED32と同じ側の導光板21の端部であって、赤外線LED32の近くに配置される。この実施例では、赤外線LED32は、近接センサ34と一体的に形成されて一体型センサ35となっている。赤外線LED32、32、33は近接センサ34に接続されており、近接センサ34はCPU37に接続されている。赤外線LED32、32、33の発光はこの実施例では近接センサ34によって制御される。また、LEDアレイ26の発光は、CPU37からの信号によって行われ、近接センサ34で検出された信号はCPU37によって解析される。赤外線LED32、32、33の発光はCPU37からの信号によって行われても良い。
【0024】
なお、赤外線LED31、33の配置はLEDアレイ26の両端部でなくとも良く、図4(b)に示すようにLEDアレイ26を構成するバックライト用LED22の隙間に配置しても良い。この場合は、赤外線遮断板36に設けられる赤外線透過領域36A,36Bの位置も変化する。赤外線透過領域36A,36Bの設置場所は、赤外線LED31、33からの赤外線の出射方向の所定箇所である。赤外線LED31、33の設置により、LEDアレイ26からの照明光にムラが生じる場合は、赤外線LED31、33の近くのバックライト用LED22の輝度を他のバックライト用LED22の輝度より高くして調整する。
【0025】
図6(a)から(c)は図3に示した赤外線遮断板36の製造方法を示すものである。赤外線遮断板36を製造する場合は、図6(a)に示すように、導光板21と同じサイズの赤外線透過・可視光透過フィルタ41を作成する。赤外線透過・可視光透過フィルタ41は、赤外線及び可視光を透過するフィルタである。次に、図6(b)に示すように、赤外線透過・可視光透過フィルタ41において赤外線透過が必要な領域にマスク43を施し、この状態の赤外線透過・可視光透過フィルタ41に赤外線カットフィルタ42を蒸着する。この結果、図6(c)に示すような、可視光は全て透過させると共に、必要な領域36A,36B(マスク43を施した部分)のみ赤外線を透過させることが可能な可視フィルタである赤外線遮断板36を製造することが出来る。
【0026】
図7(a)は、本出願の光学式物体検出装置に使用する赤外線LED31の外観を示す斜視図である。バックライト用LED22と赤外線LED33の構成は、赤外線LED31と同様であるので、ここでは代表して赤外線LED31の説明を行い、バックライト用LED22と赤外線LED33の説明は省略する。赤外線LED31はその本体310の側面に赤外線出射口314を備える。本体310の内部には、図7(a)のB−B線における縦断面図である図7(b)に示すように、電極が形成されたリードフレーム311があり、リードフレーム311の上にLEDチップ312が設けられている。本体310の赤外線出射口314とLEDチップ312の間の空間の内周面には反射層315が形成され、反射層315の内側は透明な樹脂313で充填されている。
【0027】
図7(c)は本出願の液晶表示装置に使用する一体型センサ35の外観を示す斜視図である。一体型センサ35は、その本体350に赤外線LED32と近接センサ34の両方が設けられているものである。一体型センサ35に内蔵された近接センサ34には、赤外線LEDを駆動する回路が3チャンネル内蔵されており、赤外線LED32と一体型センサ35の近傍に配置した他の2つの赤外線LED31,33を時分割で発光させることができる。そして、近接センサ34は、受光した各赤外線LED31〜33からの赤外線の反射光の位相差を解析し、各赤外線を反射させた物体の動きを捉えることができる。
【0028】
図7(d)は、本出願の液晶表示装置におけるバックライト用のLED22からの出射光の光路を示すものであり、図5(a)のD−D線における断面図である。バックライト用のLED22は図示しない回路基板に取り付けられている。バックライト用のLED22から出射された光は、導光板21内を反射しながら進み、前述のドットパターンに当たると上方に反射して液晶パネル20を照明する。
【0029】
図7(e)は、本出願の液晶表示装置における赤外線LED31〜33からの出射光の光路を示すものであり、図5(b)のE−E線における断面図である。赤外線LED31、33は図示しない回路基板に取り付けられている。赤外線LED32は一体型センサ35に内蔵されている。赤外線LED31、33から出射された赤外線は、導光板21内を反射しながら進み、前述のドットパターンに当たると上方に反射されるが、殆どの赤外線は赤外線遮断板36によって遮断される。一方、ドットパターンに当たって上方に反射された赤外線のうち、赤外線透過領域36A,36Bに達した赤外線IR1.IR3は赤外線遮断板36を透過し、液晶パネル20を透過して液晶表示装置15の表示画面17の上方に出射される。一体型センサ35から出射された赤外線IR2は、そのまま液晶表示装置15の上方に出射される。
【0030】
図8は、本出願の光学式物体検出装置が搭載された電子機器であるスマートフォン10の平面図であり、表示画面17の上の赤外線透過領域36A,36B及び一体型センサ35の配置の一例を示している。本出願の光学式物体検出装置の赤外線LEDは、スマートフォン10の表示画面17の長手方向の外側の筐体縁部18に設けられていない。このため、スマートフォン10の筐体幅Vを、図1に示した従来の電子機器5の筐体幅Wよりも小さくすることができる。或いは、スマートフォン10の筐体サイズを従来の電子機器5と変わらないとすると、筐体縁部18の幅が従来の電子機器5の筐体縁部7より小さくできるので、液晶表示装置を大きくすることができ、従来の電子機器5より大画面化を実現することができる。
【0031】
図9は、図8に示したスマートフォン10における近接物体50の検出を説明する斜視図である。表示画面17の上の赤外線透過領域36Aから出射された赤外線IR1,一体型センサ35から出射された赤外線IR2及び表示画面17の上の赤外線透過領域36Bから出射された赤外線IR3は、それぞれ近接物体50で反射されて近接センサ34に入力される。図3に示したように、近接センサ34で検出された信号はCPU37に送られる。CPU37は、近接センサ34で受光した各赤外線IR1〜IR3の反射光の位相差を解析し、各赤外線IR1〜IR3を反射させた近接物体50の位置をとらえることができ、とらえた位置の変化で近接物体50の動きを検出できる。また、CPU37は、近接物体50の移動方向の検出結果により、液晶表示装置15の動作を停止させることが可能である。なお、検出された近接物体50は、例えば人体の耳であることが想定される。
【0032】
本出願の光学式物体検出装置による物体50の検出範囲は、表示画面17の上方1〜10cm程度であり、近接物体50の移動方向の検出結果により、タッチパネルのスクロール操作や、表示画面17に表示された画面の変更、液晶表示装置のオンオフ等を行うことができる。
【0033】
以上説明した本出願の実施例では、図4に示すように、赤外線LED32は、近接センサ34と一体的に形成されて一体型センサ35となっている。しかし、赤外線LED32は、近接センサ34と一体的に形成せず、近接センサ34の近傍に配置する構成の実施例が可能である。図10は本出願の他の実施例の光学式物体検出装置を示すものである。図10に示される実施例では、赤外線LED32は、近接センサ34と一体的に形成されておらず、近接センサ34の近傍に配置されている。他の実施例における赤外線LED32と近接センサ34の構成以外の構成は、図4で説明した構成と同じであるので、同じ部材には同じ符号を付してこれ以上の説明を省略する。
【0034】
なお、本実施形態の電子機器によれば、電子機器の筐体が大型化しないという効果がある。本実施形態の電子機器によれば、赤外線LEDの発光方向を液晶表示器のバックライト光源の発光方向と同じにすることにより、電子機器の筐体に専用の発光窓を設ける必要がないので、デザイン性を向上させることができる。本実施形態の電子機器によれば、液晶表示器の導光板と偏光板を利用して赤外線LEDからの出射光を表示器の上面方向にすることにより、赤外線LEDの配置の自由度が増すという効果がある。本実施形態の電子機器によれば、電子機器の筐体サイズに対して表示画面のサイズをより大きくすることができる効果がある。
【符号の説明】
【0035】
10 電子機器(スマートフォン)
15 液晶表示装置
17 表示画面
20 液晶パネル
21 導光板
22 バックライト用LED
23 反射板
24 偏光板
25 カラーフィルタ
26 LEDアレイ
31〜33 赤外線LED
34 近接センサ
35 一体型センサ
36 赤外線遮断板
36A,36B 赤外線透過領域
41 赤外線透過・可視光透過フィルタ
42 赤外線カットフィルタ
43 マスク
50 物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と導光板と液晶パネルとを有する液晶表示装置を備え、前記液晶表示装置への物体の接近を光学的に検出する電子装置であって、
前記導光板の端部に沿って配置された前記光源と並んで配置され、赤外線が前記液晶表示装置の表示画面から出射される少なくとも1つの赤外線発光素子と、
前記導光板と前記液晶パネルとの間に介在され、前記少なくとも1つの赤外線発光素子から出射された赤外線を透過する赤外線透過領域を備える赤外線遮断板と、
前記赤外線透過領域から隔てた位置に設置され、赤外線を前記表示画面に対して垂直な方向に出射する赤外線発光素子と、
赤外線の前記物体による反射光を検出する近接センサ、及び
前記近接センサからの赤外線の反射光の検出信号により前記物体の前記表示画面への接近を検出する制御装置とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記光源と並んで配置される赤外線発光素子が第1と第2の2つの赤外線発光素子であり、前記赤外線透過領域から隔てた位置に配置された赤外線発光素子が第3の赤外線発光素子であり、前記近接センサが3軸の赤外線の反射を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記光源が発光ダイオードであり、前記発光ダイオードと並んで配置される赤外線発光素子により前記導光板を通じて照明される前記液晶パネルに輝度ムラが生じる時は、前記発光ダイオードの輝度を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
赤外線と可視光を透過する第1の透過フィルタを作成し、
前記第1の透過フィルタの赤外線が透過する領域をマスクし、
前記第1の透過フィルタに赤外線の透過を遮断する第2のフィルタを蒸着して形成することを特徴とする電子機器に実装される赤外線遮断板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−61555(P2013−61555A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200845(P2011−200845)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(310022372)富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】