説明

電子機器用ケーシング及び画像形成装置

【課題】コントローラケーシング101の開口部とこの開口部に装着されるインターフェース支持板117との接触部に隙間が生じることを防止すると共に、この接触部での導通を十分に確保できる構造を実現する。
【解決手段】コントローラケーシング101のケーシング蓋127の開口部側の先端に曲げ部127cを曲げ形成する。インターフェース支持板117の先端に、インターフェース支持板117を開口部に装着した状態で曲げ部127cに対向する、曲げ部117aを曲げ形成する。そして、曲げ部127cと曲げ部117aとの間に、導電性を有する弾性部材であるガスケット128を弾性的に圧縮した状態で配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を発生する電子機器を内部に配置する電子機器用ケーシング、及び、このような電子機器用ケーシングを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等)を高速化、高精細画質化を進めるためには、高い画像処理周波数クロックでの制御が必要である。しかし、このときクロックを発生する制御基板等からは、強力な電磁波が発生することがある。例えば、デジタル複写機においては、高速の原稿スキャンと画像形成とを同時並行して処理する関係上、クロックに同調する信号系が複数重なったり、高調波が生じたりして、これがより強い電磁輻射の発生原因となっている。また、最近のカラー複写機やプリンタでは、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色分の色分割されたCCD制御クロックの重畳、高速化、高画質化(高密度画素)のために、さらに高い周波数帯の電磁波を高強度で使用している。
【0003】
このように最近の画像形成装置では、処理の高速化やカラー化が進み、これが多くの電磁波を発生させる要因の一つとなっている。装置から発生した電磁波は、その装置の他の回路や外部の別の電子機器等に影響を与える可能性があるため、できるだけ外部に漏洩させないようにする必要がある。このため、このような画像形成装置から漏洩放射する強い電磁波ノイズに対する対策が求められている。
【0004】
例えば、情報処理装置等電波障害自主規制協議会(VCCI)等では、30〜230MHz帯域の電磁波漏洩を対象とし、電磁波遮蔽対策が検討されている。そして、このような電磁波遮蔽対策は、最近の機器の低コスト化の要求に応えるべく、良好な電磁波遮蔽効果を維持しながらもできるだけ安価な手段で実施できることが望ましい。
【0005】
例えば、筐体の開口部を覆う開口遮蔽部(蓋部材)の周縁部に装着周縁部を、開口遮蔽部との成す角が鈍角となるように折り曲げ形成し、この装着周縁部を開口部に圧入する構造が開示されている(特許文献1参照)。このような特許文献1に記載された構造の場合、曲げ形成した装着周縁部を開口部に圧入するだけであるため、製造及び組み付けを容易に行え、低コスト化を図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−101172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された構造の場合、電磁波遮蔽効果を十分に得られない可能性がある。即ち、装着周縁部と開口部との接触部に隙間が生じる可能性があり、その隙間から電磁波ノイズが漏れる可能性がある。具体的には、筐体の開口部に開口遮蔽部の装着周縁部を、直接圧入しているため、寸法公差の設定が難しく、接触部に隙間が生じる可能性がある。
【0008】
また、筐体の開口部に装着周縁部を圧入すると、開口部の各辺の接触部では、長手方向中央部に隙間が生じてしまう。これは、接触部の長手方向両端部で接触圧が高くなる一方で、接触部の中央部ではその反力により隙間が生じてしまうからである。この結果、接触部の中央部に電磁波ノイズが通り抜けるような半円状の空間が開いてしまい、電磁波漏洩防止を十分に図れない可能性がある。
【0009】
また、例えば、筐体や開口遮蔽部の材質として亜鉛メッキ鋼板を用いた場合、表面粗さの影響によって接触圧が均一でなくなる事で接点個所は散乱する。更に、亜鉛表面の酸化被膜による抵抗が生じるために導通不良が生じる。このため、十分な電磁波漏洩防止が図れない可能性がある。
【0010】
本発明は、電磁波ノイズが漏れることを防止する必要がある、筐体の開口部とこの開口部に装着される蓋部材との接触部に隙間が生じることを防止すると共に、この接触部での導通を十分に確保できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、開口部を有する板金製の筐体と、前記開口部に装着される蓋部材と、を有し、前記筐体と前記蓋部材とに囲まれる内部に、電磁波を発生する電子機器を配置する電子機器用ケーシングにおいて、前記開口部の周縁部のうちの少なくとも一辺に、前記一辺を有する前記筐体の板部に対して傾斜するように曲げ形成された第1傾斜板部と、前記蓋部材の周縁部のうちの少なくとも一辺に曲げ形成された、前記開口部への装着状態で前記第1傾斜板部と対向する第2傾斜板部と、前記第1傾斜板部と前記第2傾斜板部との間に弾性的に圧縮された状態で配置された、導電性を有する弾性部材と、を有する、ことを特徴とする電子機器用ケーシングにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、筐体の開口部と蓋部材との接触部を構成する第1傾斜板部と第2傾斜板部とをそれぞれ曲げ形成して強度を向上させているため、この接触部に隙間が生じにくい。また、第1傾斜板部と第2傾斜板部との間に導電性を有する弾性部材を圧縮した状態で配置しているため、接触部に隙間が生じることをより確実に防止できると共に、この接触部で十分な導通を確保できる。この結果、この接触部から電磁波ノイズが漏れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を、(a)は上扉ユニットを閉めた状態で、(b)は上扉ユニットを開けた状態でそれぞれ示す断面図。
【図2】画像形成装置のコントローラの分解斜視図。
【図3】コントローラユニットに装着される付属品を分解して示す斜視図。
【図4】第1の実施形態のコントローラのケーシングの接触部を中心に示す部分斜視図。
【図5】同じく部分平面図。
【図6】図5のB−B断面図。
【図7】比較例を示す図6と同様の断面図。
【図8】ケーシングの組み立て状態の別例を示す部分斜視図。
【図9】比較例で図8の組み立て方法を行った場合を示す、図7と同様の断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態を示す図6と同様の断面図。
【図11】本発明の第3の実施形態を示す図6と同様の断面図。
【図12】本発明の第4の実施形態を示す図6と同様の断面図。
【図13】本発明の第5の実施形態を示す図6と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図9を用いて説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が無い限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。まず、本発明の対象となる電子機器用ケーシングを備えた画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0015】
[画像形成装置]
図1は、電子写真方式のフルカラープリンタとしての画像形成装置2を示している。図1(a)に示すように、画像形成装置2は、一定の間隔をおいて略水平な一直線上に配置された画像形成部であるプロセスカートリッジ10を備える。プロセスカートリッジ10には、イエロー用のプロセスカートリッジ10Y、マジェンダ用のプロセスカートリッジ10M、シアン用のプロセスカートリッジ10C、ブラック用のプロセスカートリッジ10Kがある。各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの説明にあたっては、それぞれ同様の構成であるため、添え字を省略して説明する。
【0016】
各プロセスカートリッジ10は、装置本体2aに着脱自在に構成される。また、各プロセスカートリッジ10は、装置本体2aの内部の中間転写ベルト12aに沿って各色毎に配備されている。そして、像担持体であるドラム型の電子写真感光体(以下、単に『感光ドラム』という)18を略中央に備える。各感光ドラム18は中間転写ベルト12aと接触するように配置される。各感光ドラム18の周囲には、それぞれ一次帯電手段である一次帯電器19、現像手段である現像ローラ13、クリーニング手段であるドラムクリーナ装置31が配置される。
【0017】
一次帯電器19は、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって感光ドラム18の表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。現像ローラ13は、現像剤を搬送し、それぞれ各感光ドラム18上に後述する露光装置11により形成される各静電潜像に各色の現像剤を付着させて現像剤像として現像(可視像化)する。ドラムクリーナ装置31は、感光ドラム18上で一次転写時の残留した転写残現像剤を感光ドラム18から除去するためのクリーニングブレード等を有している。
【0018】
感光ドラム18に対向する位置には一次転写手段としての転写ローラ20が配置され、一次帯電器19と現像ローラ13との間の下方には露光装置11が設置されている。転写ローラ20は、インライン型の中間転写手段である中間転写ベルト12aを有する転写ベルトユニット12内に配設され、感光ドラム18に対向して付勢されるよう配置されている。露光装置11は、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザー発光手段、ポリゴンレンズ、反射ミラー等で構成される。そして、各感光ドラム18に露光を行うことによって、各一次帯電器19で帯電された各感光ドラム18の表面に画像情報に応じた各色の静電潜像を形成する。
【0019】
転写ベルトユニット12は、二次転写対向ローラを兼ねる駆動ローラ71を備えており、駆動ローラ71は、二次転写ローラ32と対向するよう配置されている。また、二次転写ローラ32のシートPの搬送方向下流側には、定着ローラ41と加圧ローラ40を有する定着装置45が縦パス構成で設置されている。
【0020】
給送カセット3にセットされたシートPは給送ローラ4によって一枚ずつ分離給送され、レジストローラ対5によって二次転写ローラ32と駆動ローラ71のニップに搬送されて現像剤像を転写される。そして、加圧ローラ40および定着ローラ41からなる定着装置45によって画像を定着され、排出ローラ43によって排出トレイ44へと排出される。
【0021】
なお、プロセスカートリッジ10及び転写ベルトユニット12は、その性質上、寿命が画像形成装置2に比較して短いため、本体寿命を全うする為には交換を必要とする。そこで、プロセスカートリッジ10及び転写ベルトユニット12を容易に交換可能とするため、排出トレイ44及び転写ベルトユニット12を備えたユニットを上扉ユニット50として装置本体2aに対し開閉自在に構成している。
【0022】
この構成により、図1(b)に示すように、上扉ユニット50を装置本体2aの上方(矢印A方向)に向けて開くことにより、プロセスカートリッジ10及び転写ベルトユニット12の双方を自在に脱着可能とし、メンテナンス性を向上させている。すなわち、プロセスカートリッジ10は感光ドラム18の軸線に対し、垂直な方向に装置本体2aから脱着される。
【0023】
このような画像形成装置2は、制御部(コントローラ)99により制御される。なお、コントローラ99の配置位置は図示の例に限らない。このようなコントローラ99は、装置本体2a内の各種センサやパーソナルコンピュータなどの外部端末が接続される。また、各部の電源やモータなどにも接続され、各種センサや外部端末からの指示などにより、各部の電源やモータなどを制御する。次に、このようなコントローラ99について、図2及び図3を用いて説明する。
【0024】
[コントローラ]
図2に示すように、コントローラ99は、筐体であるコントローラケーシング101と、上述のような制御を行うための電子機器を搭載したコントローラユニット100とを有する。コントローラケーシング101は、SPCCニッケルメッキ鋼板や亜鉛メッキ鋼板などの金属板に、打ち抜きや曲げ加工などを施して略直方体に形成した板金製で、長手方向一端側に長方形の開口部101aを有する。本実施形態の場合、コントローラケーシング101は、略直方体の1面を構成する板部であるケーシング蓋127と、他の部分であるケーシング本体101bとから構成される。そして、ケーシング蓋127をケーシング本体101bにネジ締結している。即ち、ケーシング蓋127は、ケーシング本体101bに着脱自在である。
【0025】
図2に矢印で示すように、コントローラケーシング101の開口部101a内に、コントローラユニット100を挿入し、ネジなどによってコントローラユニット100をコントローラケーシング101に固定する。更にHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブル105、データ通信ケーブル106等の各種ケーブルが装着接続されると、外部の機器と様々な電子情報伝達やコントロールが可能となる。
【0026】
コントローラユニット100には、親基板104が支持台102に取り付けられ、その上面には第1の子基板107、第2の子基板108が配備されている。これらの基板には外部と接続するコネクタが、インターフェース支持板117の支持面103に配列されていて、外部からのHDMIケーブル105、データ通信ケーブル106と矢印の方向に挿入され、接続されるようにしてある。親基板104に対して顧客の要望によりオプションの第1の子基板107や、第2の子基板108が追加される場合に、コントローラケーシング101に対してコントローラユニット100を引き出せるようにしてある。
【0027】
図3は、コントローラユニット100に搭載される電子機器であるアクセサリーを示しており、支持台102には親基板104がネジ止めされている。ここに、デジタルプロセッサ、標準インターフェースドライバと、これに関係する各種電子部品(電子機器)が搭載されている。更に、発熱する部品の冷却用として、ヒートシンク109が配備されている。
【0028】
またアクセサリー基板は、第1のDIMM(Dual Inline Memory Module)112、第2のDIMM113、第3のDIMM114のようなメモリーカードが専用コネクタなどによって保持固定されている。また、SRAM(Static Random Access Memory)基板115もネジ116によって保持固定されている。更に、オプション用のクローズ端子基板110はネジ111によって装着されている。また、支持台102には、インターフェース支持板117がネジ121,120,125、119によって取り付けられ、着脱用の把手であるハンドル118が回動自在に装着配備されている。この外観面は装置裏面のユーザーにも見える外観部に配置されることが多く、そのために表示ラベル123を貼付けることによって、それぞれ複数個配備されたコネクタ124、122などの接続先を示している。
【0029】
[電子機器用ケーシング]
次に、電子機器であるコントローラユニット100を内部に配置する電子機器用ケーシング(以下、単に「ケーシング」と言う)99aについて説明する。ケーシング99aは、上述のコントローラケーシング101と、SPCCニッケルメッキ鋼板や亜鉛メッキ鋼板などの金属板により形成された上述のインターフェース支持板117とから構成される。インターフェース支持板117は、図2に示したようにコントローラユニット100をコントローラケーシング101内に配置した状態で、図4及び図5に示すように開口部101aに装着される蓋部材である。
【0030】
上述したように、コントローラユニット100には電子機器が搭載されており、このような電子機器からは電磁波が発生する。したがって、電子機器用ケーシング99aは、このような電磁波の漏洩を防止する必要がある。このような電磁波は所定の周波数及び速度を有するものである。そして、これら周波数と速度から導き出される波長に対して、所定の大きさ以上の隙間がある場合には電磁波が漏洩する。インターフェース支持板117には冷却用の複数の孔が存在するが、これらの孔の大きさは、上述の波長に対して所定の大きさ未満に規制されており、これらの孔から電磁波が漏洩することはない。
【0031】
また、コントローラケーシング101の開口部101aとインターフェース支持板117との装着部のうち、開口部101aの長手方向両端部の隙間は、上述の波長に対して所定の大きさ未満であるため、この部分から電磁波が漏れることはない。一方、この装着部のうち、インターフェース支持板117の支持台102が固定された側と反対側の周縁部(先端部)に隙間が生じると、上述の波長に対して所定の大きさ以上となる可能性がある。このため、電磁波の漏洩を防止するためには、この部分に隙間が生じないようにすることが必要である。
【0032】
このために本実施形態では、図6に詳示するように、開口部101aの周縁部のうちの少なくとも一辺に、この一辺を有する筐体の板部であるケーシング蓋127に対して傾斜するように、第1傾斜板部である曲げ部127cを曲げ形成している。また、蓋部材であるインターフェース支持板117の周縁部のうちの少なくとも一辺に、第2傾斜板部である曲げ部117aを曲げ形成している。曲げ部117aは、インターフェース支持板117の開口部101aへの装着状態で、第1傾斜板部である曲げ部127cと対向する。更に、第1傾斜板部である曲げ部127cと第2傾斜板部である曲げ部117aとの間に、導電性を有する弾性部材であるガスケット128を、弾性的に圧縮した状態で配置している。
【0033】
本実施形態でインターフェース支持板117の周縁部のうちの少なくとも一辺とは、インターフェース支持板117の支持台102が固定された側と反対側の周縁部(先端部)である。また、この先端部に対向する開口部101aの周縁部が、開口部101aの周縁部のうちの少なくとも一辺である。ここで、それぞれ少なくとも一辺と言っているが、これは、例えば開口部101aの長手方向両端部についても、開口部の大きさや形状によっては電磁波が漏洩する可能性があるため、同様に形成しても良い趣旨である。
【0034】
また、本実施形態の場合、曲げ部127cは、ケーシング蓋127の開口部101a側の先端縁をケーシング99aの内部側に、ケーシング蓋127に対して鋭角となるように折り曲げて形成している。そして、曲げ部127cのガスケット128と接触する第1接触面S1とケーシング蓋127との成す角度θ1を鋭角としている。したがって、第1接触面S1は、インターフェース支持板117に近づくほど外側(開口部101aの周縁側)に向かう方向に傾斜する。
【0035】
また、曲げ部117aは、インターフェース支持板117の先端部をケーシング99aの内部側に、インターフェース支持板117に対して鋭角となるように折り曲げて形成している。そして、曲げ部117aのガスケット128と接触する第2接触面S2とインターフェース支持板117との成す角度θ2を鋭角としている。これにより、第2傾斜面S2が曲げ部127cの第1傾斜面S1と対向するようにしている。また、曲げ部127c、117aをそれぞれこのように形成することにより、曲げ部127cの先端縁及び曲げ部117aの先端縁が、それぞれケーシング99aの内部側に向いた状態となる。
【0036】
また、このようにそれぞれ折り曲げて、曲げ部127c及び曲げ部117aが、開口部101aの周縁部及びインターフェース支持板117の外側面よりもケーシング99aの内部側に形成されるようにしている。言い換えれば、ケーシング蓋127の外側面とインターフェース支持板117の外側面とをそれぞれ仮想的に延長して、互いに交差することにより形成される角部から、曲げ部127c及び曲げ部117aが突出しないようにしている。
【0037】
このような曲げ部127c及び曲げ部117aは、開口部101aにインターフェース支持板117を装着した状態で、互いにほぼ平行となるように、それぞれ曲げ角度を規制している。例えば、曲げ部127cのケーシング蓋127との成す角度θ1と、曲げ部117aがインターフェース支持板117との成す角度θ2とを、それぞれ略45度に規制している。そして、これら曲げ部127cと曲げ部117aとの互いに対向する面(第1接触面S1、第2接触面S2)同士の間に、ガスケット128を対向面(接触面)全体に亙って配置している。
【0038】
本実施形態では、ガスケット128は、インターフェース支持板117の曲げ部117aの第2接触面S2に導電性両面テープによって貼り付けられている。そして、インターフェース支持板117を開口部101aに装着するときに、ガスケット128をケーシング蓋127の曲げ部127cの第1接触面S1に弾性的に圧縮した状態で当接させている。
【0039】
このガスケット128は、芯材としての弾性部材の周囲を導電性の布で覆ったものである。例えば、芯材はポリウレタンフォームであってその周囲の外皮部は導電性布である。導電性布は、PET(ポリエチレンテレフタレート)の表面に銅とニッケルをメッキして導電性を付与したものである。例えば、星和電機株式会社製の電磁波シールドのガスケットなどが該当する。このガスケットは、布のしなやかさとポリウレタンフォームの弾力性によって可撓性を有し、図6に示すように、ケーシング蓋127とインターフェース支持板117との間に密接するように圧縮されて収納されている。
【0040】
このようなガスケット128は、自由状態での横断面形状が略四角形の略直方体の棒状の部材である。そして、この棒状の長手一側面には、導電性の両面テープであるところの導電性アクリル系粘着剤が配備され、相手の金属であるところのインターフェース支持板117の曲げ部117aに貼り付けられている。これにより、グランドに接地し、電気的な導通を達成している。なお、ガスケット128は、ケーシング蓋127の曲げ部127c側に導電性両面テープで固定していても良い。本実施形態の場合、ガスケット128を固定する側は限定されない。
【0041】
また、本実施形態の場合、図4及び図5に示すように、ケーシング蓋127の端部の二か所にはスリット127bが設けられている。即ち、ケーシング蓋127の曲げ部127cが形成された一辺の両端縁部(幅方向両端部)と曲げ部127cとの間に、それぞれ切り欠きであるスリット127bを形成している。ケーシング蓋127の幅方向両端部は、ケーシング本体101bに固定されている。したがって、このようにスリット127bを形成することにより、ケーシング蓋127に多少のフレクションを付与して、寸法のばらつきによって過度に付勢力が加わるような場合にスリット127b間が弾性的に付勢方向に変位できるようにしている。そして、開口部101aにインターフェース支持板117を装着した際の反力により、スリット127b間が湾曲したりすることを低減している。スリット127b間には、曲げ部127cが設けられているため、これによって、曲げ部127cの真直度を確保できる。
【0042】
また、ケーシング蓋127とインターフェース支持板117との接触部を構成する曲げ部127c及び曲げ部117aは、それぞれケーシング蓋127とインターフェース支持板117を曲げ形成したものである。したがって、曲げ方向に直交する長手方向の強度を向上させられる。
【0043】
本実施形態によれば、コントローラケーシング101の開口部101aとインターフェース支持板117との接触部を構成する曲げ部127cと曲げ部117aとをそれぞれ曲げ形成して強度を向上させているため、この接触部に隙間が生じにくい。即ち、インターフェース支持板117を開口部101aに装着した際に接触部で生じる反力により、曲げ部127c及び曲げ部117aが長手方向に亙って撓みにくくなり、この接触部で隙間が生じにくくなる。
【0044】
また、曲げ部127cと曲げ部117aとの間にガスケット128を圧縮した状態で配置しているため、曲げ部127cと曲げ部117aとの間は隙間なく密着する。そして、接触部に隙間が生じることをより確実に防止できると共に、この接触部で十分な導通を確保できる。この結果、この接触部から電磁波ノイズが漏れることを防止できる。
【0045】
また、本実施形態の場合、曲げ部127c、117aの強度アップに加えて、曲げ部127cの両側にスリット127bを形成して、曲げ部127cの長手方向の真直度を確保している。このため、この接触部の中央部が、ガスケット128の反力によって隙間が生じて、接触圧不足による導通不良になる傾向を抑制させる事が可能となる。元来、SPCCニッケルメッキ鋼板に比べて亜鉛メッキ鋼板の方が酸化膜は比較的強靭であり、導通しにくい事が知られているが、その表面に圧力を付加する事で接触面積を増やす事で導通が達成できる。ケーシング蓋127のスリット127bは、この曲げ部127cの真直を保つ事によって接触面積を増やし、導通性を向上させることに大きく寄与しているのである。
【0046】
また、曲げ部127c、117aの先端を内部側に向けているため、曲げ部127c、117aの先端からノイズが放射されることを防止できる。一般的に、電装部のケーシングはグランド電位を成しているが、内部に高周波ノイズを含むプリント基板や電装部品が配備されると、放射ノイズが生じ、板金エッジ部からノイズが放出される放射アンテナになってしまう事が知られている。そこで、本実施形態では、外側にエッジ部を出さないように内側に鋭角に曲げているため、コントローラのケーシング内部からノイズを放出しないようにできる。特に、双方の曲げ部127c、117aは、ガスケット128を介して略同電位であるので、外部にノイズが放出される事は無くなる、最も好適な構成である。
【0047】
また、曲げ部127c及び曲げ部117aが、開口部101aの周縁部及びインターフェース支持板117よりもケーシング99aの内部側に形成されるようにしている。このため、曲げ部127c或いは117aがケースよりも大きく外側にはみ出し、無駄な占有スペースが生じる事を防止できる。また、板金エッジ部が外側に突出することもないので、作業者が板金エッジ部に手指をぶつけることはなく、作業性が低下することを防止できる。
【0048】
また、本実施形態の場合、ケーシング蓋127とインターフェース支持板117との双方にそれぞれ曲げ部127c、117aを形成している。また、曲げ部127cの第1接触面S1とケーシング蓋127との成す角度θ1と、曲げ部117aの第2接触面S2とインターフェース支持板117との成す角度θ2とを、それぞれ鋭角としている。そして、第1接触面S1と第2接触面S2とでガスケット128を挟持するようにしている。このため、ケーシング99aの組み付け或いは分解の順序に拘らず、ガスケット128が損傷することを防止できる。この点について、図7ないし図9を参照して説明する。
【0049】
図7に示すように、ガスケット128を、インターフェース支持板117の曲げ部が形成されていない先端部側面と、ケーシング蓋127の先端を直角に折り曲げた曲げ部127aとで挟持する構造について説明する。この構成の場合、ガスケット128がインターフェース支持板117とケーシング蓋127とのどちらに固定されているにしても、これらの組み付け或いは分解の順序は次のように決まってしまう。
【0050】
まず、組み付け順序は、ケーシング本体101bにケーシング蓋127をネジ132、133などで固定した後に、インターフェース支持板117をネジ130、131などで固定する順番になる。仮に、図8に示すように、ケーシング本体101bにインターフェース支持板117を固定した後に、ケーシング蓋127を固定する順番とする。すると、図9に示すように、ケーシング蓋127の曲げ部127aの先端がインターフェース支持板117に固定のガスケット128の側面に衝突してしまう。ガスケット128が曲げ部127a側に固定されていたとしても、装着時にインターフェース支持板117の先端がガスケット128の側面に衝突してしまう。
【0051】
そして、ガスケット128が損傷したり、ガスケット128と曲げ部127a或いはインターフェース支持板117との間に貼り付けられている導電性両面テープが、この衝突の力で剥離してガスケット128がめくれたりしてしまう可能性がある。
【0052】
一方、分解(取り外し)順序は、インターフェース支持板117を固定するネジ130、131を先に緩めて、或いは、ネジ130、131を外してから、ケーシング蓋127をケーシング本体101bから取り外す順番となる。仮に、インターフェース支持板117をケーシング本体101bに固定したまま、ケーシング蓋127を取り外そうとすると、ガスケット128に大きな剪断力が作用して、ガスケット128が損傷してしまい再利用できなくなる可能性がある。
【0053】
これに対して本実施形態の場合、ガスケット128が、インターフェース支持板117の曲げ部117aとケーシング蓋127の曲げ部127cとの何れに固定されていたとしても、組み付け或いは分解の順序は問わない。即ち、ケーシング本体101bにインターフェース支持板117を固定した後にケーシング蓋127を装着しても、互いに傾斜した曲げ部127cと曲げ部117aを有するため、装着時にガスケット128を剥離させる力が生じにくい。
【0054】
また、インターフェース支持板117をケーシング本体101bに固定したまま、ケーシング蓋127を取り外そうとしても、やはり、ガスケット128に剪断力が生じにくい。特に、本実施形態のように互いに略45度に形成すれば、装着時にガスケット128を剥離させる力、及び、取り外し時にガスケット128に作用する剪断力をほぼなくすことができる。したがって、作業手順に拘らずガスケット128が損傷することを防止できる。
【0055】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図10を用いて説明する。本実施形態の場合、上述の第1の実施形態と比べると、ケーシング蓋127の曲げ部127dが、基端側を内部側に折り曲げ、中間部から先端側を外側に折り曲げた形状としている。そして、曲げ部127dをインターフェース支持板117の曲げ部117aと平行になるように構成している。
【0056】
このような本実施形態の場合、曲げ部127dを上述のような形状としているため、ケーシング蓋127はプレス加工曲げ工程に於いてプレス1工程で形成できる。このため、板金曲げ金型を減らす事ができ、金型投資費用、金型償却費用、加工時間の短縮、人件費、管理費、等が不要となるので、低コストで部品を製造する事ができる。
【0057】
また、本実施形態の場合、曲げ部127dは、互いに逆方向に2回折り曲げられているため、曲げ部127dの真直度をより向上させられる。即ち、曲げ方向が逆であるため、曲げにより作用する力を互いに打ち消し合って、真直度をより向上させられる。この結果、ガスケット128を介して曲げ部127dと曲げ部117aとにより構成される接触部に、より隙間を生じにくくできる。
【0058】
なお、本実施形態の場合、曲げ部127dの先端(エッジ部)が外側に向いているが、ガスケット128がそれよりも手前側に位置して当接していて、インターフェース支持板117と同電位となるように成されている。このため、放射ノイズの発生は最小限度に留める事が可能である。その他の構造及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0059】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図11を用いて説明する。本実施形態の場合、上述の第2の実施形態と比べて、インターフェース支持板117の曲げ部117bも、基端側を内部側に折り曲げ、中間部から先端側を外側に折り曲げた形状としている。このような本実施形態は、第2の実施形態よりも更にコストダウンを図ったものであり、インターフェース支持板117の金型を減らしつつ、加工の簡略化による製造コストの節約をした低コストの構成である。内部の子基板Bの108のような電装品からのノイズの発生が少なく、且つ内面に曲げ突起が出張ることが不都合な場合にこのような構成をとれば、低コストで達成させる事が可能となる。その他の構造及び作用は、上述の第2の実施形態と同様である。
【0060】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について、図12を用いて説明する。本実施形態の場合、ケーシング99aの強度を高めるために、第3の実施形態に比べて、曲げ角度を鋭角にしたものである。即ち、インターフェース支持板117の曲げ部117c及び、ケーシング蓋127の曲げ部127e双方は最初の曲げ角度を略90度にして、次に略45度の相互平行面を形成している。
【0061】
その間に同様にガスケット128を配備して内部の子基板Bの108等の電装部品から生じる電磁波シールド遮蔽を達成知るように成してある。この構成はケーシングの剛性を確保すると共に、第3の実施形態と同様に低コストにて製造ができる点が優れる。更には曲げの占有スペースが小さくなるので、コネクタの配置などのインターフェース支持板117の設計のレイアウトの自由度が高まるメリットがある。その他の構造及び作用は、上述の第3の実施形態と同様である。
【0062】
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態について、図13を用いて説明する。本実施形態の場合、ノイズ対策を強化しつつも、板金や、ケーシング全体の剛性強度を確保する目的で構成された断面形状である。即ち、インターフェース支持板117の曲げ部117dと対向するようにケーシング蓋127から曲げ部127fが配備され、双方の間にガスケット128が同様に配備されている。そして、内部の子基板Bの108等の電装部品から生じる電磁波シールド遮蔽を達成するようにしている。その他の構造及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
ケーシングから着脱される電装ユニットと、ケーシング自体の蓋部を開放して、内部にアクセスし作業を行うような電装構成を持つ装置であるところの構成を有する電装部の電装ボックスとによって成る画像形成装置に利用可能である。詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタの他、インクを用いる印刷機などのトナー搬送供給手段、現像装置などの画像形成プロセス部の放射ノイズの電磁波シール手段に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
2・・・画像形成装置、10・・・プロセスカートリッジ(画像形成部)、99・・・コントローラ(制御部)、99a・・・電子機器用ケーシング、100・・・コントローラユニット、101・・・コントローラケーシング(筐体)、101a・・・開口部、101b・・・ケーシング本体(筐体の他の部分)、117・・・インターフェース支持板(蓋部材)、117a、117b、117c、117d・・・曲げ部(第2傾斜板部)、127・・・ケーシング蓋(板部)、127b・・・スリット(切り欠き)、127c、127d、127e、127f・・・曲げ部(第1傾斜板部)、128・・・ガスケット(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する板金製の筐体と、前記開口部に装着される蓋部材と、を有し、前記筐体と前記蓋部材とに囲まれる内部に、電磁波を発生する電子機器を配置する電子機器用ケーシングにおいて、
前記開口部の周縁部のうちの少なくとも一辺に、前記一辺を有する前記筐体の板部に対して傾斜するように曲げ形成された第1傾斜板部と、
前記蓋部材の周縁部のうちの少なくとも一辺に曲げ形成された、前記開口部への装着状態で前記第1傾斜板部と対向する第2傾斜板部と、
前記第1傾斜板部と前記第2傾斜板部との間に弾性的に圧縮された状態で配置された、導電性を有する弾性部材と、を有する、
ことを特徴とする電子機器用ケーシング。
【請求項2】
前記第1傾斜板部を有する前記板部は、前記筐体の他の部分に着脱自在であり、
前記第1傾斜板部の前記弾性部材と接触する面と前記板部との成す角度は鋭角である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電子機器用ケーシング。
【請求項3】
前記第1傾斜板部及び前記第2傾斜板部は、前記開口部の周縁部及び前記蓋部材の外側面よりも前記内部側に形成されている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子機器用ケーシング。
【請求項4】
前記板部の前記第1傾斜板部が形成された前記一辺の両端縁部と前記第1傾斜板部との間に、それぞれ切り欠きを形成した、
ことを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の電子機器用ケーシング。
【請求項5】
前記第1傾斜板部の先端縁及び前記第2傾斜板部の先端縁が、前記内部側に向いている、
ことを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の電子機器用ケーシング。
【請求項6】
画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の制御部を構成する電子機器と、内部に前記電子機器を配置する電子機器用ケーシングと、を備えた画像形成装置において、
前記電子機器用ケーシングは、請求項1ないし5のうちの何れか1項に記載の電子機器用ケーシングである、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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