説明

電子機器筐体の冷却構造

【課題】冷媒としての空気を集中的に放熱体にあてることにより、より効率的に放熱体から熱を放出することができ、冷却効率の高い電子機器筐体の冷却構造を提供する
【解決手段】モジュール3の筐体表面に冷却フィン3aを備え、これと相対する筐体表面に冷却フィン3bを備え、電子機器筐体1の内壁5にモジュール3を固定し、冷却フィン3aの開放端側の凸部11と電子機器筐体1の内壁5とを接触させて冷媒流路6aを形成し、モジュール7の筐体表面に冷却フィン7aを備え、これと相対する筐体表面に冷却フィン7bを備え、電子機器筐体1の内壁5と相対する電子機器筐体1の内壁8にモジュール7を固定し、冷却フィン7aの開放端側の凸部12と電子機器筐体1の内壁8とを接触させて冷媒流路6bを形成し、冷却フィン3b,7bを冷却するための冷媒流路6cを、冷媒流路6a,6bの方向と一致するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷却効率が高い電子機器筐体の冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器筐体の冷却構造として、例えば特許文献1では、プリント配線基板に冷却フィンを有する放熱体を載置し、ファンにより放熱体を強制空冷している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−231184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された構成によれば、電子機器筐体内で冷却するための空気が分散してしまい、冷媒としての空気を放熱体に集中的にあてることができず、冷却効率が悪いという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、冷媒としての空気を集中的に放熱体にあてることにより、より効率的に放熱体から熱を放出することができ、冷却効率の高い電子機器筐体の冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電子機器筐体の冷却構造は、内部に発熱体を有する第1のモジュールの筐体表面に第1の冷却フィンを備え、第1の冷却フィンを備えた第1のモジュールの筐体表面と相対する第1のモジュールの筐体表面に第3の冷却フィンを備え、第1及び第3の冷却フィンの開放端側の長手方向と第1の冷却フィンを冷却するための第1の冷媒流路の方向とが一致するように、電子機器筐体の第1の内壁に第1のモジュールを固定し、第1の冷却フィンの開放端側の凸部と電子機器筐体の第1の内壁とを接触させて第1の冷媒流路を形成し、内部に発熱体を有する第2のモジュールの筐体表面に第2の冷却フィンを備え、第2の冷却フィンを備えた第2のモジュールの筐体表面に相対する第2のモジュールの筐体表面に第4の冷却フィンを備え、第2及び第4の冷却フィンの開放端側の長手方向と第2の冷却フィンを冷却するための第2の冷媒流路の方向と第1の冷媒流路の方向とが一致するように、電子機器筐体の第1の内壁と相対する電子機器筐体の第2の内壁に第2のモジュールを固定し、第2の冷却フィンの開放端側の凸部と電子機器筐体の第2の内壁とを接触させて第2の冷媒流路を形成し、第3及び第4の冷却フィンを冷却するための第3の冷媒流路を、第1及び第2の冷媒流路の方向と一致するように形成する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の電子機器筐体の冷却構造は、空気が集中的に冷媒流路内を通るため、モジュールの冷却フィンに集中的に冷媒としての空気をあてることで、冷却フィンの放熱効果を高め、電子機器筐体の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電子機器筐体の冷却構造を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る電子機器筐体の冷却構造を示す図であり、ふたつのモジュールを電子機器筐体に組み込んだ図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る電子機器筐体の冷却構造を示す図であり、図2の断面Aにおける断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る電子機器筐体の冷却構造を示す図であり、図2の断面Bにおける断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る電子機器筐体の冷却構造の断面図と詳細図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る電子機器筐体の冷却構造におけるモジュールの挿入について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電子機器筐体の冷却構造を示す図であり、図1における電子機器筐体の冷却構造は、電子機器筐体1、ファンユニット2、モジュール3(第1のモジュール)、ねじ4、モジュール7(第2のモジュール)を備える。
【0010】
電子機器筐体1の一面には、内部にファンを有するファンユニット2が接続されており、このファンユニット2が接続される面の垂直方向を矢印Iで示す。
【0011】
モジュール3は内部に発熱体を有するものであり、モジュール3の筐体表面に放熱体である冷却フィン3a(第1の冷却フィン)と、冷却フィン3aを有する面と相対する面に冷却フィン3b(第3の冷却フィン)を有している。冷却フィン3a,3bの開放端側の長手方向を矢印IIで示す。この矢印IIと矢印Iの方向が一致する状態でモジュール3を電子機器筐体1に挿入し、電子機器筐体1に外側からねじ4でモジュール3を固定する。
【0012】
モジュール7は、モジュール3と同様に、内部に発熱体を有するものであり、モジュール7の筐体表面に冷却フィン7a(第2の冷却フィン)と冷却フィン7aを有する面と相対する面に冷却フィン7b(第4の冷却フィン)を有している。このモジュール7の冷却フィン7a,7bの開放端側の長手方向を矢印IVで示す。この矢印IVと矢印I及び矢印IIの方向が一致する状態で、モジュール7を電子機器筐体1に挿入し、電子機器筐体1に外側からねじ4で固定する。
【0013】
図2は、図1のモジュール3,7を電子機器筐体1に組み込んだ図を示す。図3は、図2の電子機器筐体1の断面Aにおける断面図を示す。図3に示すように、モジュール3の冷却フィン3aの開放端側の凸部11と電子機器筐体1の内壁5(第1の内壁)とが接触するように配置されることで、冷媒としての空気を集中的に冷却フィン3aにあてるための冷媒流路6a(第1の冷媒流路)を形成する。また、モジュール7の冷却フィン7aの開放端側の凸部12と電子機器筐体1の内壁8(第2の内壁)とが接触するように配置されることで、冷媒としての空気を集中的に冷却フィン7aにあてるための冷媒流路6b(第2の冷媒流路)を形成する。さらに、冷却フィン3bと冷却フィン7bは、向かい合う状態で、接触しないように配置されている。
【0014】
図4は、図2の電子機器筐体1の断面Bにおける断面図を示す。ファンユニット2のファンを回転させることで、冷媒である空気が矢印IIIに示す方向に流れる。この電子機器筐体1の冷却構造には、冷却フィン3aの開放端側の凸部11と電子機器筐体1の内壁5により形成された冷媒流路6aと、冷却フィン7aの開放端側の凸部12と電子機器筐体1の内壁8により形成された冷媒流路6bと、冷媒としての空気を集中的に冷却フィン3b,7bにあてるための冷媒流路6c(第3の冷媒流路)を有する。
【0015】
冷却フィン3b,7bの開放端側の長手方向は、図1に示すように冷却フィン3a,7aと同様に矢印II及び矢印IVの方向と一致しているため、図4に示す冷却流路6cは冷却流路6a,6cと平行な向きに形成される。
【0016】
冷媒は冷媒流路6a,6b,6cを集中的に通過し、冷却フィン3a,3b,7a,7bに集中的に冷媒をあてることにより、電子機器筐体1の熱を効率的に放熱させる。
【0017】
また、図4に示すように、電子機器筐体1には、モジュールガスケット9やファンガスケット10を設置しても良く、モジュールガスケット9とファンガスケット10を用いて機密を確保することにより、ファンが引き込む冷媒を全て冷媒流路6a,6b,6cを通過させることができるため、冷却性能が下がるのを防ぐことができる。例えば、モジュールガスケット9を設置することにより、引き込んだ冷媒の一部が冷媒流路6a,6b,6c以外のモジュール3,7と電子機器筐体1の間の隙間を通過することを防ぐことができる。また、ファンガスケット10を設置することにより、ファンユニット2と電子機器筐体1の間の隙間から冷媒を引き込んでしまうことを防ぐことができる。また、機密を確保することにより、流量や温度、湿度などが異なる冷媒を流すこと可能となる。
【0018】
以上のようにして、内部に発熱体を有するモジュール3の筐体表面に冷却フィン3aを備え、冷却フィン3aを備えたモジュール3の筐体表面と相対するモジュール3の筐体表面に冷却フィン3bを備え、冷却フィン3a,3bの開放端側の長手方向と冷却フィン3aを冷却するための冷媒流路6aの方向とが一致するように、電子機器筐体1の内壁5にモジュール3を固定し、冷却フィン3aの開放端側の凸部11と電子機器筐体1の内壁5とを接触させて冷媒流路6aを形成し、内部に発熱体を有するモジュール7の筐体表面に冷却フィン7aを備え、冷却フィン7aを備えたモジュール7の筐体表面に相対するモジュール7の筐体表面に冷却フィン7bを備え、冷却フィン7a,7bの開放端側の長手方向と冷却フィン7aを冷却するための冷媒流路6bの方向と冷媒流路6aの方向とが一致するように、電子機器筐体1の内壁5と相対する電子機器筐体1の内壁8にモジュール7を固定し、冷却フィン7aの開放端側の凸部12と電子機器筐体1の内壁8とを接触させて冷媒流路6bを形成し、冷却フィン3b,7bを冷却するための冷媒流路6cを、冷媒流路6a,6bの方向と一致するように形成するように構成したので、冷却フィン3a,3b,7a,7bに集中的に冷媒をあてることができ、冷却フィン3a,3b,7a,7bの放熱効果を高め、電子機器筐体1の冷却効率を高めることができる。
【0019】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係る電子機器筐体の冷却構造の断面図と詳細図である。この実施の形態2では、図5に示すように、モジュール3の冷却フィン3bの開放端側の凸部13及びモジュール7の冷却フィン7bの開放端側の凸部14をそれぞれ冷却フィン3bの開放端側の凹部15及び冷却フィン7bの開放端側の凹部16に互い違いに挿入することにより、モジュール3,7を電子機器筐体に組み込んだときに、モジュール3,7間の距離を縮めることができる。
【0020】
図6は、この発明の実施の形態2に係る電子機器筐体の冷却構造におけるモジュール3,7の組み込み方法を説明する図である。
【0021】
図6に示すように、モジュール3の冷却フィン3bとモジュール7の冷却フィン7bとが互い違いに挿入されているため、モジュール3及びモジュール7は、それぞれ1つずつ単独では電子機器筐体1に挿入することができなくなる。このような場合、図6に示すように、モジュール3とモジュール7を同時に挿入する必要がある。
【0022】
この場合、モジュール3,7に取っ手を設ける等、モジュール等を支持し易くすることにより、電子機器筐体1への固定作業が容易となる。
【0023】
以上のようにして、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、冷却フィン3bの開放端側の凸部13及び冷却フィン7bの開放端側の凸部14をそれぞれ冷却フィン3bの開放端側の凹部15及び冷却フィン7bの開放端側の凹部16に互い違いに挿入するように構成したので、電子機器筐体1をさらに薄く設計することができ、よりスペースを有効に活用することができ、電子機器筐体1の小型化に寄与することが可能となる。
【0024】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 電子機器筐体、2 ファンユニット、3 モジュール(第1のモジュール)、3a 冷却フィン(第1の冷却フィン)、3b 冷却フィン(第3の冷却フィン)、4 ねじ、5 内壁(第1の内壁)、6a 冷媒流路(第1の冷媒流路)、6b 冷媒流路(第2の冷媒流路)、6c 冷媒流路(第3の冷媒流路)、7 モジュール(第2のモジュール)、7a 冷却フィン(第2の冷却フィン)、7b 冷却フィン(第4の冷却フィン)、8 内壁(第2の内壁)、9 モジュールガスケット、10 ファンガスケット、11 冷却フィンの開放端側の凸部、12 冷却フィンの開放端側の凸部、13 冷却フィンの開放端側の凸部、14 冷却フィンの開放端側の凸部、15 冷却フィンの開放端側の凹部、16 冷却フィンの開放端側の凹部、I ファンユニットが接続される面の垂直方向、II 冷却フィンの開放端側の長手方向、III 冷媒が流れる向き、IV 冷却フィンの開放端側の長手方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発熱体を有する第1のモジュールの筐体表面に第1の冷却フィンを備え、
前記第1の冷却フィンを備えた前記第1のモジュールの筐体表面と相対する前記第1のモジュールの筐体表面に第3の冷却フィンを備え、
前記第1および第3の冷却フィンの開放端側の長手方向と前記第1の冷却フィンを冷却するための第1の冷媒流路の方向とが一致するように、電子機器筐体の第1の内壁に前記第1のモジュールを固定し、前記第1の冷却フィンの開放端側の凸部と前記電子機器筐体の第1の内壁とを接触させて前記第1の冷媒流路を形成し、
内部に発熱体を有する第2のモジュールの筐体表面に第2の冷却フィンを備え、
前記第2の冷却フィンを備えた前記第2のモジュールの筐体表面に相対する前記第2のモジュールの筐体表面に第4の冷却フィンを備え、
前記第2および前記第4の冷却フィンの開放端側の長手方向と前記第2の冷却フィンを冷却するための第2の冷媒流路の方向と前記第1の冷媒流路の方向とが一致するように、前記電子機器筐体の第1の内壁と相対する前記電子機器筐体の第2の内壁に前記第2のモジュールを固定し、前記第2の冷却フィンの開放端側の凸部と前記電子機器筐体の第2の内壁とを接触させて前記第2の冷媒流路を形成し、
前記第3及び第4の冷却フィンを冷却するための第3の冷媒流路を、前記第1及び第2の冷媒流路の方向と一致するように形成
することを特徴とする電子機器筐体の冷却構造。
【請求項2】
前記第3及び第4の冷却フィンの開放端側の凸部をそれぞれ前記第3及び第4の冷却フィンの開放端側の凹部に互い違いに挿入することを特徴とする請求項1記載の電子機器筐体の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−186203(P2012−186203A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46352(P2011−46352)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】