説明

電子機器装置

【課題】 簡単な構造により電子部品から漏洩される信号電流を抑えて、突出部材での不要電磁波の放射、及び外からの不要電磁波によるノイズ発生を防止する電子機器装置を提供する。
【解決手段】 導電性の筐体10が電子部品1を装着して構成される電子機器装置であって、筐体10の外面上に突出して形成される導電性の突出部材11と、一端が突出部材11と電気的に接続されて他端が遊端の状態で突出部材11に対向して配置されて突出部材11と協働して突出部材11との間に電界を生成可能な導電性の対向部材12とを有し、対向部材12は、突出部材11との間に電界が生成される場合に、他端の遊端内における電界強度が最大となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器装置に係り、より詳細には、導電性の筐体が、例えば、高周波集積回路又はケーブルなどの電子部品を包囲又は装着して構成される電子機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器装置は、導電性の筐体を備え、例えば、高周波集積回路又はケーブルなどの電流を伝送する電子部品を包囲又は装着して構成され、この筐体の外面上に複数突出する導電性の突出部材(フィン又は棒状突起等)を設けることで、表面積を増やして電子部品から発生する熱を放熱させて除去する構造がよく知られている(例えば、特許文献1または2参照。)。
【特許文献1】特開平11−312768号公報
【特許文献2】特開平05−259323号公報
【0003】
前述した構造による実施の形態を、図18及び図19を参照して説明する。図18は、このように熱を放熱させる従来の電子機器装置の一実施形態を示す斜視図である。また、図19は、従来の電子機器装置の更なる他の実施形態を示す外観図である。
【0004】
図18に示すように、従来の電子機器装置の一実施形態は、増幅器に用いる高周波集積回路の電子部品1を包囲又は装着する構造(上記特許文献1)であって、この電子部品1を包囲又は装着する薄板状の筐体50と、この筐体50の外面上に高さが均一で垂直に複数突出させて形成する導電性の突出部材51とを備えている。そして、このような筐体50は、前述した高周波集積回路による電子部品1を包囲又は装着することで、電子部品1から発生する熱を吸収して外面上に突設された突出部材51を介して外部に向かって放熱する。
【0005】
ところで、筐体から複数突出させた突出部材は、図18に示したように突出する高さを全て同じ高さに形成することに限定されず、例えば、上記特許文献2に示すように、突出部材を電子部品を装着する筐体の中央部に向かって徐々に高く形成し、中央側より外周側の高さを低くすることで中央側の突出部材への風当たりを良くすることも可能である。このような構造によると、筐体の中央部近傍に熱が残存せず放散性を向上でき、電子部品の信頼性を確保できる。
【0006】
さらに、このような構造は、高周波集積回路又は高周波回路基板などを用いた増幅器の放熱に限定されず、例えば、ケーブルが延在する途中に取り付けて高出力電力を熱の放散によって減衰させる減衰器に用いることもできる。このような減衰器に採用された従来の電子機器装置の更なる他の実施形態は、図19に示すように、ケーブルによる電子部品1を包囲する円筒状の筐体70と、この筐体70の外面に円盤状に複数突出する突出部材71とを一体に備えている。従って、電子部品1を介して流れる高出力電力は、筐体70を介して外部の突出部材71から熱として一部放散されて出力を一定の電力に減衰することが可能になる。
【0007】
このように、従来の電子機器装置は、電子部品を包囲または装着する筐体の外面に、電子部品から発生した熱を外部に放熱するため、種々の形状を備えた突出部材を複数突出させて設けることで効果的に熱を放散させていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電子機器装置では、図18に示したように、筐体 の表面においては電子部品1から僅かながら伝送(使用)周波数の信号電流Iが漏洩しており、放熱の役割を果たしている突出部材51に沿って上下しながら伝送方向(入力から出力方向)に流れ、この時に突出した突出部材51がアンテナとなり、漏洩した信号電流Iを不要電磁波として放射してしまう不具合があった。即ち、突出部材51は、放熱のみを目的としており、表面積を増やして放熱性をよくするために高さ又は形状を調整したものであって、前述した筐体50に漏洩する信号電流Iについては何ら対策されてなかった。
また、従来の電子機器装置では、前述した放射される不要電磁波とは逆に、外からの不要電磁波が突出部材51を介して筐体50内に侵入して入力側から信号電流Iの伝送方向に流れて電子部品1の出力側でノイズ発生を引き起こす要因になる場合があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的は、簡単な構造により電子部品から筐体に漏洩される信号電流を抑えて、突出部材での不要電磁波の放射、及び外からの不要電磁波によるノイズ発生を防止する電子機器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述した課題を解決するために、導電性の筐体が電子部品を包囲又は装着して構成される電子機器装置であって、筐体の外面上に突出して形成される導電性の突出部材と、一端が突出部材と電気的に接続されて他端が遊端の状態で突出部材に対向して配置されて突出部材と協働して突出部材との間に電界を生成可能な導電性の対向部材とを有し、対向部材は、突出部材との間に電界が生成される場合に、他端における電界強度が最大となるように構成される。
【0011】
ここで、対向部材は、突出部材に対向する長さが電子部品を流れる伝送信号の波長の(2n+1)/4倍(nは整数)の長さに設定されていることが好ましい。また、突出部材は筐体の外面上に複数配設されて、対向部材は複数の突出部材に対向して複数設けられていることが好ましい。また、複数の対向部材は、波長が異なる複数の伝送信号の波長に応じて突出部材に対向する長さが異なるように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、他の実施形態として、突出部材と対向部材との間に配置される誘電体を備え、対向部材は、突出部材に対向する長さH、誘電体の比誘電率εr、及び電子部品を流れる伝送信号の波長λとに基づく関係が、H=(2n+1)λ/4√εr(nは整数)の条件を満たすように設定されていることが好ましい。また、突出部材は、筐体の外面上に複数配置されて、対向部材が複数の突出部材に対向して複数設けられるとともに、誘電体が突出部材と対向部材との間にそれぞれ配置されていることが好ましい。また、対向部材および誘電体は、波長が異なる複数の伝送信号の波長に応じて、対向部材の突出部材に対向して複数設けた各長さ、又は複数の誘電体の各比誘電率いずれかの少なくとも一方が各々異なるように構成されていることが好ましい。
【0013】
そして、対向部材は、一端が突出部材の上端側に接続して設けられていることが好ましい。また、対向部材の他の実施例は、一端が突出部材の下端側に接続して設けられていることが好ましい。また、対向部材は、突出部材に対向して筐体から突出して配置され、下端が前記筐体を介して電気接続するように配置されていることが好ましい。また、突出部材は筐体の外面上に複数配設されて、対向部材は筐体の外面上に配設される複数の突出部材の中で隣り合う突出部材によって構成されることが好ましい。また、突出部材と対向部材とは、電子部品を流れる電流の伝送方向に対向するように立設されていることが好ましい。また、突出部材と対向部材とは、伝送方向に直交して両側方向に延在されていることが好ましい。また、突出部材又は対向部材の少なくとも一方は、筐体の外面上に突設された放熱フィンによって構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明による電子機器装置によれば、突出部材に対向させて設けた対向部材の遊端側で電界強度が最大となり、この位置での電圧は最大となることから電流が零(0)になるため、筐体に漏洩して流れ出た信号電流を遮断し、突出部材からの不要電磁波の放射を抑制することが可能となる。
また、本発明による電子機器装置によれば、突出部材を介して外から不要電磁波が筐体内に侵入するような場合においても、突出部材に対向させた対向部材に応じた周波数の不要電磁波を遮断できるため、不要電磁波が筐体を介して電子部品側へ侵入することを防止でき、他の装置への悪影響を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付図面を参照して本発明による電子機器装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明による電子機器装置の第1実施形態を示す斜視図である。また、図2は、図1に示した突出部材11及び対向部材12に流れる信号電流を示す図である。また、図3は、図1に示した突出部材11及び対向部材12での電流と電圧との関係を示す図である。また、図4は、本発明による電子機器装置の第2実施形態を示す斜視図である。また、図5は、本発明による電子機器装置の第3実施形態を示す斜視図である。また、図6は、本発明による電子機器装置の第4実施形態を示す斜視図である。また、図7は、本発明による電子機器装置の第5実施形態の正面及び側面を示す外観図である。また、図8は、本発明による電子機器装置の第6実施形態の正面及び側面を示す外観図である。また、図9は、本発明による電子機器装置の第7実施形態の正面及び側面を示す外観図である。また、図10は、本発明による電子機器装置の第8実施形態の正面及び側面を示す外観図である。また、図11は、本発明による電子機器装置の第9実施形態を示す斜視図である。また、図12は、図11に示した突出部材31及び対向部材32に流れる信号電流を示す図である。また、図13は、本発明による電子機器装置の第10実施形態を示す斜視図である。また、図14は、本発明による電子機器装置の第11実施形態を示す斜視図である。また、図15は、本発明による電子機器装置の第12実施形態の正面及び側面を示す外観図である。また、図16は、本発明による電子機器装置の第13実施形態の正面及び側面を示す外観図である。また、図17は、本発明による電子機器装置の第14実施形態の正面及び側面を示す外観図である。
【実施例1】
【0016】
図1に、本発明による電子機器装置の第1実施形態を示す。電子機器装置は、図18に示した従来技術のように薄板状で導電性の筐体10の内面側に増幅器などに用いられる高周波集積回路の電子部品1を装着して構成される。そして、この筐体10には、外面上に複数突出して形成される導電性の突出部材11と、この突出部材11と一端が電気的に接続されて他端が遊端の状態で突出部材11に対向して配置されて突出部材11と協働して突出部材11との間に電界を生成可能な導電性の対向部材12とが設けられる。この対向部材12は、突出部材11との間に電界が生成される際に、他端における電界強度が最大となるように構成されている。
【0017】
ここで、突出部材11と対向部材12とは、電子部品1を流れる信号電流Iの伝送方向に対向するように立設されている。また、突出部材11と対向部材12とは、伝送方向に直交して両側方向に延在されている。なお、突出部材11は、筐体10の外面上に突設された放熱フィンによって構成されている。この放熱フィンは、電子部品1などから発せられる熱を筐体10を介して外気中に放射して、筐体10や電子部品1などの昇温を抑制するためのものである。そして、対向部材12は、一端が突出部材11の上端側に接続して支持されるように設けられている。
【0018】
そして、電子部品1を流れる信号電流Iが筐体10に漏洩した場合、当該信号電流Iは筐体10の外面を流れて、突出部材11及び対向部材12へと流れる。そして、突出部材11の対向部材12に対向した内面及び対向部材12の突出部材に対向した内面に信号電流Iが流れる場合、この突出部材11と対向部材12との2つの導体間には電圧差(電界)を生じながら電流分布が存在する。
【0019】
電子部品1を流れる信号電流Iは交流電流であって、筐体10に漏洩する信号電流Iも交流電流となり、この信号電流Iは、図3(b)に示されるように、正弦波の形状で変化する。また、突出部材11と対向部材12との互いに対向する部分に信号電流Iが流れると、この2つの導体間に電圧差が生じるが、この電圧は、図3(b)に示されるように、信号電流Iと同様に交流波(正弦波)の形状で変化する交流電圧であって、信号電流Iと周波数が同一であるが位相が1/4波長分ずれている。よって、筐体10に漏洩して流れる信号は、信号電流Iが最大となるときに信号電圧Vが零(0)となり、信号電圧Vが最大であるときに信号電流Iは零(0)となる。
【0020】
本実施形態では、対向部材12が突出部材11の上端部に接続されており、突出部材11と対向部材12とが接続された部分、即ち、図3(a)に示したAA′面では、突出部材11と対向部材12とが短絡した状態となる。この突出部材11と対向部材12とが短絡した部位では、両者間に電圧差が生じないため、この部位における漏洩信号の電圧は零(V=0)となり、この部位における漏洩信号の電流は最大(I=max)となる。
【0021】
そして、漏洩信号が突出部材11の内面及び対向部材12の内面を伝送すると、その漏洩信号の電流I及び電圧Vは、図3(b)に示される関係に基づき変化していく。よって、突出部材11と対向部材12とが短絡した部位(A点、A′点)から1/4波長分だけ離れた部位(突出部材11のB点、対向部材12のB′点)では、電流Iが零(I=0)となり電圧Vが最大(V=max)となり、短絡した部位(A点、A′点)から2/4波長分だけ離れた部位(突出部材11のC点、対向部材12のC′点)では、電流Iが最大(I=max)となり電圧Vが零(V=0)となり、短絡した部位(A点、A′点)から3/4波長分だけ離れた部位(突出部材11のP点、対向部材12のP′点)では、電流Iが零(I=0)となり電圧Vが最大(V=max)となる。
【0022】
このように、短絡した部位(A点、A′点)からの距離に応じて漏洩信号の電流Iと電圧Vとが相互に変化していき、短絡部位からの距離が1/4波長の奇数倍となる部位では、漏洩信号の電流Iが零(I=0)となり電圧Vが最大(V=max)となり、短絡部位からの距離が1/4波長の偶数倍となる部位では、電流Iが最大(I=max)となり電圧Vが零(V=0)となる。
【0023】
そして、本発明における電子機器装置では、図2に示されるように、対向部材12が、突出部材と接続(短絡)された部位からの長さHが筐体10に漏洩する信号の波長λに対応して1/4波長の奇数倍(H=(2n+1)λ/4;nは整数)となるように構成されている。そして、本実施形態における対向部材12は、図3に示されるように、突出部材11との短絡部位からの長さHが漏洩信号の波長λの3/4倍となるように構成されている。
【0024】
よって、筐体10への漏洩信号が突出部材11及び対向部材12に伝送された場合、突出部材11と対向部材12との対向する部位(内面)に信号電流Iが流れるとともに両者の導体間に電界が生じることとなるが、対向部材12は、突出部材11との短絡部位からの長さが3/4波長(H=3/4λ)、即ち1/4波長の奇数倍の長さに設定されているため、この対向部材の端部P′(図2に示される対向部材12の内面側の遊端部12a)及びこの対向部材の端部P′に対向する突出部材11の対向部位P(図2に示される突出部材の内面側の対向部位11a)では、電流Iが零(I=0)となり電圧Vが最大(V=max)となる。
【0025】
したがって、対向部材12の端部における遊端部P′(図2の12a)と突出部材11の対向部位P(図2の11a)とに最大電圧が生じて両者間に生じる電界強度が最大となり、このPP′面における内面側(図3の左側)の内部インピーダンスは無限大となる。
【0026】
そして、筐体10への漏洩信号における電流Iが、図3に示される信号電流Iのように、突出部材11の内面(図3における突出部材11の下面)を流れる場合には、突出部材11の対向部位Pでの内面側(図3における左側)におけるインピーダンスZが無限大となっているため、反射電流と相互に打ち消しあって当該対向部位Pにおける電流が零(0)となって、信号電流Iは対向部位P(図2における対向部位11a)で遮断されることとなり、対向部位Pから突出部材11に沿って内面側(図3における左側)へ電流が流れることはない。
【0027】
また、漏洩信号における電流Iが、図3に示される信号電流Iのように、突出部材11の外面(図3における突出部材の上面)を流れる場合には、突出部材11の外面及び対向部材12の外面(図3における対向部材の下面)を経て対向部材12の端部における遊端部P′まで電流が流れるが、突出部材11の対向部位Pと同様に、対向部材12の遊端部P′における内面側(図3における左側)のインピーダンスZが無限大となっているため、反射電流と相互に打ち消しあって当該遊端部P′における電流が零(0)となって、信号電流Iは遊端部P′で遮断されることとなり、遊端部P′から対向部材12に沿って内面側(図3における左側)へ電流が流れることはない。
【0028】
従って、電子部品1から筐体10に漏洩した漏洩信号の電流Iは、図1乃至図3に示した筐体10の上面に複数設けた突出部材11と対向する対向部材12の端部における遊端部12a,P′又は当該遊端部12a,P′に対向した突出部材の対向部位11a,Pで遮断されることとなり、この漏洩信号が突出部材11から不要電磁波として放射されることが抑制される。
【0029】
なお、対向部材12の長さHが、伝送信号の波長λに対して(2n+1)/4倍(nは整数)とならない場合には、図3(a)及び図3(b)から明らかなように、対向部材12の端部における遊端部P′及び遊端部P′に対向する対向部位Pにおける信号電流Iが零(0)とはならずに、両者間に発生する電界の強度は最大とならない。よって、遊端部P′及び対向部位Pにおける内面側のインピーダンスZは無限大とならないため、両者で信号電流Iが遮断されることはなく、突出部材11や対向部材12から不要電磁波が放射される可能性がある。
【0030】
このように、本発明による電子機器装置の第1実施形態によれば、図2及び3に示したように、突出部材11に対向させて設けた対向部材12の遊端12a、P’及びこの遊端12a、P’に対向した突出部材11の対向部位11a、Pでの電界強度が最大となり、この位置での電圧が最大となるとともにインピーダンスは無限大となることから電流I ,Iが零(0)になり、電子部品1から筐体10に漏洩して流れる信号電流I ,Iが遮断され、突出部材11自体が本来の放熱作用以外に不要電磁波の放射抑制(ノイズカット)の効果を得ることが可能となる。’
また、本発明による電子機器装置によれば、突出部材11を介して外から不要電磁波が筐体10内に入射するような場合においても、突出部材11に対向させた対向部材12の長さHに応じた周波数の不要電磁波を遮断できるため、不要電磁波が筐体10を介して電子部品1まで侵入することを防止でき、出力時のノイズ発生を抑えて他の装置に与える悪影響を抑制することができる。
【実施例2】
【0031】
ここで、突出部材11に対して対向部材12を別途設ける第1の実施形態を詳細に説明したが、これに限定されるものでなく、例えば、複数隣り合ういずれかの突出部材により対向部材を構成することもできる。この突出部材により対向部材を構成する本発明による電子機器装置の第2実施形態は、図4に示すように、電子部品(図示せず)が装着又は収納される薄板状の筐体10と、この筐体10の上面に複数突出された突出部材である放熱フィン13とを設けている。ここで、放熱フィン13は、第1実施形態における突出部材として、筐体10から長く延在する複数の第1放熱フィン13aと、この複数配列された第1放熱フィン13aの両端に並設されて伝送信号(漏洩信号)の1/4波長の奇数倍の長さに形成された第1実施形態における対向部材としての第2放熱フィン13bとを有して構成されている。
この際、筐体10の表面で対向して延在する第1放熱フィン13aと第2放熱フィン13bとの下端側は、筐体10を介して電気接続するように配置されている。従って、筐体10に信号電流が漏洩して、第1放熱フィン13aと第2放熱フィン13bとの間に電位差(電界)が生じた場合、第2放熱フィン13bの遊端13bbにおいて、電界強度が最大となり、この位置での電圧が最大となり、インピーダンスは無限大となり、また、電流は零(0)になるため、第1実施形態と同様に漏洩信号を遮断できるといった効果を得ることができる。また、両側に第2放熱フィン13bを低く設けるため、その上方に配置スペースを確保することができる。なお、放熱フィン13の全ての高さを伝送信号(漏洩信号)に対する1/4波長の奇数倍となるようにしてもよい。この場合、隣設する放熱フィンを対向部材として機能させることができ、同様の作用効果を得ることができる。
【実施例3】
【0032】
また、第1及び第2の実施形態では、突出部材に一定の長さの短い対向部材12または第2放熱フィン13bを設けた実施形態を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、伝送信号(漏洩信号)の周波数に応じて対向長を変えた種々の対向部材または放熱フィンを設けることも可能である。まず、第1の実施形態において対向長を変えた複数の対向部材を設けた本発明による電子機器装置の第3実施形態を詳細に説明する。この本発明による電子機器装置の第3実施形態は、図5に示すように、突出部材11が筐体10の外面上に複数配設されて、この複数の突出部材11に各々対向させた対向部材14が複数設けられている。そして、対向部材14は、一端が突出部材11の上端側に接続して設けられている。また、複数の対向部材14は、波長が異なる複数の伝送信号の波長に応じて突出部材11に対向させて種々の異なる長さ(1/4λ ,1/4λ ,1/4λ ,1/4λ )に形成されている。即ち、対向部材14は、外側から中央に向かって、1/4λ 長の第1対向フィン14a、1/4λ 長の第2対向フィン14b、1/4λ 長の第3対向フィン14c、1/4λ 長の第4対向フィン14dのように序所に短くなるように配置している。ここで、λ を伝送信号周波数波長とした場合、λ =(1/2)λ 、λ3 =(1/3)λ1 、λ =(1/4)λ とすることで、4次高調波までの信号電流を遮断し、不要放射を抑制することが可能となる。即ち、複数の対向部材14の対向長に応じた各種周波数の不要電磁波が筐体10側から突出部材11を介して輻射されたり筐体10(増幅器)内に入射することを抑制することが可能となる。
このように本発明による電子機器装置の第3実施形態によれば、突出部材11に対向する対向部材14を設けているため、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、この対向部材14が複数の周波数に応じた種々の対向長に形成されていることで各種周波数での不要電磁波の輻射や入射を抑制することができる。
【実施例4】
【0033】
一方、第2の実施形態において長さを変えた放熱フィンを設けた本発明による電子機器装置の第4実施形態は、図6に示すように、筐体10の外面上に複数配設された突出部材15が種々の長さ(1/4λ ,1/4λ ,1/4λ ,1/4λ )で異なるように形成されている。この各長さは、図6に示した第3の実施形態と同様に形成されており、重複する説明は省略する。ここで、突出部材15は、突出第1放熱フィン15aを基準にして中央から両側に向かって序所に短く形成され、1/4λ 長の第2放熱フィン15b、1/4λ 長の第3放熱フィン15c、1/4λ 長の第4放熱フィン15d、1/4λ 長の第5放熱フィン15eのように各々配置されている。従って、突出部材15は、フィン自体の長さを波長が異なる複数の伝送信号の波長に応じて異なるように構成されている。
このように本発明による電子機器装置の第4実施形態によれば、高さが異なる複数の突出部材15を設置しているため、第3実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、この長さを変えた突出部材15が外側に向かって短くなることにより中央部の外通しを良くして放熱を良好に行うことができる。
【0034】
ここで、第1〜第4実施形態では、筐体を薄板状に形成した実施例を説明したが、従来技術のように箱状の筐体に形成して突出部材を上下に設けた構成に適用してもよい。また、第1〜第4実施形態では、増幅器に採用した電子機器装置の実施形態を詳細に説明したが、これに限定されるものではなく、図19に示した従来技術のように減衰器に採用することも可能である。
【実施例5】
【0035】
このような減衰器に採用した本発明による電子機器装置の第5実施形態は、図7に示すように、ケーブルによる電子部品1の外周を包囲するように円筒状に形成した筐体20を有し、この筐体20の外周に複数円盤状に形成して突出する突出部材21を設けるとともに、この複数の突出部材21の両端のフィン部に対向して伝送信号の1/4波長の奇数倍の長さを有する対向部材22を備えている。即ち、第1〜第4実施形態と同様に、この対向部材22を設けることで、筐体20(減衰器)前段(入力側)に接続される電子部品(ケーブル)から漏れ出す伝送信号の電流を突出部材21の遊端、又は当該遊端に対向する突出部材の対向部位において遮断し、この突出部材21からの不要放射を抑制し、また筐体20(減衰器)後段(出力側)に接続される他の装置(回路)への不要伝送信号電流の漏洩を抑制することが可能となる。従って、本発明による電子機器装置の第5実施形態によれば、減衰器において第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【実施例6】
【0036】
また、第5実施形態において、第2実施形態のように突出部材により対向部材を構成することも可能である。この突出部材により対向部材を構成する本発明による電子機器装置の第6実施形態は、図8に示すように、電子部品1(ケーブル)に装着する筐体20と、この筐体20の上面に複数突出された放熱フィン23とを設けている。ここで、放熱フィン23は、第2実施形態のように、第1実施形態における突出部材として筐体20から長く延在する複数の第1放熱フィン23aと、この複数配列された第1放熱フィン23aの両端に並設されて伝送信号(漏洩信号)の1/4波長の奇数倍の長さに形成された第1実施形態における対向部材としての第2放熱フィン23bとを有して構成されている。従って、本発明による電子機器装置の第6実施形態によれば、減衰器において第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【実施例7】
【0037】
また、第5及び6の実施形態において、第3及び4の実施形態のように対向長を変えて種々の対向部材または放熱フィンを設けることも可能である。まず、第5の実施形態において対向長を変えた複数の対向部材を設けた本発明による電子機器装置の第7実施形態は、図9に示すように、電子部品1(ケーブル)に装着する筐体20を有し、この筐体20の外周に複数突設される突出部材21に対し、対向長を変えた複数の対向部材24が各々設けられている。即ち、この対向部材24は、外側から中央に向かって、1/4λ 長の第1対向フィン24a、1/4λ 長の第2対向フィン24b、1/4λ 長の第3対向フィン24c、1/4λ 長の第4対向フィン24d、1/4λ 長の第5対向フィン24eのように序所に短くなるように配置されている。これにより筐体20(減衰器)前段(入力側)の電子部品1(ケーブル)から漏洩する5次高調波までの信号電流を遮断し、不要放射を抑制、ならびに筐体20(減衰器)後段(出力側)に接続される他の装置への不要伝送信号電流の漏洩を抑制することが可能となる。従って、本発明による電子機器装置の第7実施形態によれば、減衰器において第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【実施例8】
【0038】
一方、第6の実施形態において長さを変えて複数の放熱フィンを設けた本発明による電子機器装置の第8実施形態は、図10に示すように、電子部品1を包囲又は装着する筐体20の外周に、複数突設される突出部材25を形成し、この突出部材25の長さが各々異なるように形成されている。即ち、突出部材25は、中央の第1放熱フィン25aを基準にして両側に向かって序所に短く形成され、1/4λ 長の第2放熱フィン25b、1/4λ 長の第3放熱フィン25c、1/4λ 長の第4放熱フィン25d、1/4λ 長の第5放熱フィン25e、1/4λ 長の第6放熱フィン25fのように各々配置されている。従って、本発明による電子機器装置の第8実施形態によれば、減衰器において第4実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図4乃至図10に示される実施形態では、対向部材(又は放熱フィン)の対向長さが1/4波長とされているが、1/4波長の奇数倍であればよい。
【実施例9】
【0039】
ところで、第1〜8の実施形態では、突出部材に対向して配設される対向部材を伝送信号の波長(周波数)に応じた長さとした実施形態を詳細に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、誘電体を用いることで同様の作用効果を得ることも可能である。この誘電体を用いた本発明による電子機器装置の第9実施形態は、図11に示すように、第1の実施形態のように筐体30が増幅器などに用いる高周波集積回路の電子部品1を装着又は収納して構成されたものであって、この筐体30の外面上に突出して複数配置される導電性の突出部材31と、この突出部材31に対向して一端が接続されて他端が遊端で突出部材31との間に電界を生成可能な導電性の対向部材32とを有し、この対向部材32は、突出部材31との間に電界が生成される場合に、他端の遊端及びこの遊端に対向する突出部材31の対向部位における電界強度が最大となるように構成されている。
【0040】
ここで、第9実施形態は、第1実施形態とは異なり、突出部材31と対向部材32との間に誘電体33が各々配置されている。この第9実施形態では、突出部材31と対向部材32との間に配置される誘電体33を有し、対向部材32の突出部材31に対向する長さH、誘電体33の比誘電率εr、及び電子部品1を流れる伝送信号の波長λとに基づく関係が、H=(2n+1)λ/4√εr(nは整数)の条件を満たすように設定されている。
【0041】
即ち、誘電体33の比誘電率εrを変えることで、対向部材32の対向する長さHに関係なく不要放射の抑制の調整が可能となる。また、突出部材31と対向部材32とが対向する部位間に誘電体33を挿入すると、この誘電体33により両部材31、32の対向する部分を流れる漏洩信号の波長が短縮されて対向部材31の長さを短くでき、且つ、対向部材32の長さHが短縮された波長に対して1/4波長の奇数倍となるように比誘電率を、又は対向部材32の長さHを調整することにより、漏れ出した信号波の伝送を抑え、不要な電磁波の放射を抑制することが可能になる。また逆に、外からの不要電磁波が突出部材31を介して筐体30(増幅器)内に入射する場合があるが、この場合でも誘電体33の比誘電率εrに応じて短縮される波長に対応した不要電磁波が筐体30内に侵入することを抑制できる。
【0042】
より詳しく説明すると、図12に示すように、筐体30の表面に突設される各突出部材31に対向して配設される対向部材32は、伝送信号周波数の1/4波長の奇数倍の長さを比誘電率εrの平方根(√εr)で除した長さを有するように構成される(図12参照)。この場合、筐体30を介して漏れ出した伝送信号の電流I は、突出部材31のフィン表面に沿って流れるが、1/4波長の奇数倍の長さに比誘電率の平方根で除した長さを有する対向部材32の遊端32aから内側(図12の上側)を見たインピーダンスZは無限大になっており、反射電流と相互に打ち消しあって遊端32aにおいて電流が0となり、遊端32a以降に電流は流れなくなる。従って、筐体30を介して流れ出す伝送信号の電流を対向部材32の遊端32aで遮断し、突出部材31からの不要放射を抑制することが可能となる。また、信号電流Iの方向に流れる場合においても、同様に対向部材32の遊端32aに対向した突出部材31の対向部位31aで電流が0になり、それ以降には電流は流れなくなる。
【0043】
このように、本発明による電子機器装置の第9実施形態によれば、突出部材31に対向部材32を対向させて設けて不要電磁波の放射及び入射を防止できるため、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、誘電体33により対向部材32の長さを短くでき、配置スペースの確保や部品コストを低減できる。
【実施例10】
【0044】
また、このような誘電体を第2の実施形態に採用することも可能である。このように第2実施形態に誘電体を採用した本発明による第10実施形態としての電子機器装置は、図13に示すように、筐体30の上面に複数突設される突出部材としての第1放熱フィン34aと、この第1放熱フィン34aの両端に各々設けられた対向部材としての短い第2放熱フィン34bとを有するとともに、この第1放熱フィン34aと第2放熱フィン34bとの間に誘電体35を介在して構成されている。この際、第2放熱フィン34bが第1放熱フィン34aに対向する長さH、誘電体35の比誘電率εr、及び電子部品(図示せず)を流れる伝送信号の波長λとに基づく関係が、H=(2n+1)λ/4√εr(nは整数)の条件を満たすように設定されている。
従って、本発明による電子機器装置の第10実施形態によれば、第1放熱フィン34aに第2放熱フィン34bを対向させて設けるとともに両者間に設けられる誘電体35の比誘電率εrを調整することにより不要電磁波の放射及び侵入を防止できるため、第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、誘電体35の介在により第2放熱フィン34bの長さを短くでき、配置スペースの確保や部品コストを低減できる。
【実施例11】
【0045】
また、この誘電体を第3の実施形態にも採用することが可能である。このように第3実施形態に誘電体を採用した本発明による電子機器装置の第11実施形態は、図14に示すように、筐体30の表面に複数突設される突出部材31を設け、この複数の突出部材31に各々対向するように配置した対向部材32を設けるとともに、この突出部材31と対向部材32との間に種々の誘電体36を各々介在させて設けられている。この際、対向部材36は、伝送信号の1/4波長の奇数倍の長さを比誘電率εrの平方根で除した長さに形成されている。即ち、第11実施形態では、第3実施形態のように対向部材の長さを変えて複数設ける必要がなく、全て同じ短い長さで形成でき、対向部材32と突出部材31との間に挿入される誘電体36の比誘電率を変えることで対応している。ここで、誘電体36は、突出部材31の中央から両側に各々向かって、比誘電率がεr1の第1誘電体36a、εr2の第2誘電体36b、εr3の第3誘電体36c、εr4の第4誘電体36dを各々配置している。この時、伝送信号周波数に対応する比誘電率をεr1とすると、εr2=εr1/4、εr3=εr1/9、εr4=εr1/16とすることで、4次高調波までの信号電流を遮断し、対向部材31の対向長と比誘電率εrとによる波長短縮率に応じた各周波数の不要放射が抑制でき、例えば、増幅器から出る各高調波成分も1つの筐体30で抑制が可能となる。従って、誘電体36の比誘電率εrを変更すれば、比誘電率εrの波長短縮率に応じた周波数の信号電流の遮断が可能となるために、対向部材32の長さを変更しなくても目的に応じて誘電体36の比誘電率εrの変更で、同じ筐体30(又は対向部材32)を使用して周波数調整が可能となる。
このように本発明による電子機器装置の第11実施形態によれば、複数の突出部材31に対して対向部材32を設けて信号電流を遮断するため、第3実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、誘電体36の比誘電率の調整により複数の対向部材32を全て同じ短い長さに形成することも可能となり、配置スペースの確保や部品コストを低減できる。
【0046】
ここで、第9〜第11実施形態では、筐体を薄板状に形成した実施例を説明したが、従来技術のように箱状の筐体に形成して突出部材を上下に設けてもよい。
【実施例12】
【0047】
また、誘電体は第5の実施形態にも採用することが可能である。このように第5実施形態に誘電体を採用した本発明による第12実施形態としての電子機器装置は、図15に示すように、ケーブルである電子部品1を包囲する減衰器の筐体40を有し、この筐体40の外周表面に複数突設される円盤状の突出部材41を複数設け、この複数の突出部材41両端に対向するように各々配置させた対向部材42を設けるとともに、この突出部材41と対向部材42との間に誘電体43を各々介在させて構成されている。即ち、両端の突出部材41に対向して設けられる各対向部材42は、この対向長を伝送信号の1/4波長の奇数倍の長さを比誘電率の平方根で除した長さとした構成とすることで、筐体40前段(入力側)に接続される電子部品1(回路)から漏れ出す伝送信号電流を対向部材42の遊端において遮断し、突出部材41からの不要放射を抑制し、また筐体40後段(出力側)に接続される他の装置(回路)への不要伝送信号電流の漏洩を抑制することが可能となる。
このように本発明による電子機器装置の第12実施形態によれば、突出部材41に対向部材42を対向させて設けるとともに両者間に誘電体を介在させて不要電磁波の放射及び侵入を防止できるため、第5の実施形態と同様の効果が得られるとともに、誘電体43により対向部材42の長さを短くでき、配置スペースの確保や部品コストを低減できる。
【実施例13】
【0048】
また、誘電体は第6の実施形態にも採用することが可能である。この第6実施形態に誘電体を採用した本発明による第13実施形態としての電子機器装置は、図16に示すように、電子部品1(ケーブル)を包囲又は装着する筐体40と、この筐体40の上面に複数突設された放熱フィン44とを設けている。ここで、放熱フィン44は、筐体40から長く延在する突出部材としての複数の第1放熱フィン44aと、この複数配列される第1放熱フィン44aの両端側に並設されて伝送信号の1/4波長の奇数倍の長さに形成された対向部材としての第2放熱フィン44bとを有して構成されている。そして、この第1放熱フィン44aと第2放熱フィン44bとの間には、誘電体45が各々介在されて構成されている。即ち、第1放熱フィン44a両端の各第2放熱フィン44bは、この対向長を伝送信号の1/4波長の奇数倍の長さを比誘電率の平方根で除した長さとすることで、筐体40前段(入力側)に接続される電子部品1(回路)から漏れ出す伝送信号の電流を第2放熱フィン44bの遊端、及びこの遊端に対向した第1放熱フィン44aの対向部位において遮断し、突出部材44からの不要放射を抑制し、また筐体40後段(出力側)に接続される他の装置(回路)への不要伝送信号電流の漏洩を抑制することが可能となる。
このように本発明による電子機器装置の第13実施形態によれば、第1放熱フィン44a両端に第2放熱フィン44bを対向させて設けるとともに両者間に誘電体を介在させることで不要電磁波の放射及び侵入を防止できるため、第6の実施形態と同様の効果が得られるとともに、誘電体45により第2放熱フィン44bの長さを短くでき、配置スペースの確保や部品コストを低減できる。
【実施例14】
【0049】
最後に、誘電体は第7の実施形態にも採用することが可能である。この第7実施形態に誘電体を採用した本発明による第14実施形態としての電子機器装置は、図17に示すように、筐体40の表面に複数突設される突出部材41を設け、この複数の突出部材41に各々対向するように配置した対向部材42を設けるとともに、この突出部材41と対向部材42との間に誘電体46を各々介在して構成されている。この際、対向部材42は、その長さが伝送信号周波数の1/4波長の奇数倍の長さを比誘電率εrの平方根で除した長さとなるように形成されている。即ち、第14実施形態では、第7実施形態のように対向部材の長さを変えて複数設ける必要がなく、全て同じ短い長さで形成でき、この対向部材42と突出部材41との間に挿入される誘電体46を比誘電率εrを変えて複数設置することで対応している。この際、誘電体46は、突出部材41の中央から両側に各々向かって、比誘電率がεr1の第1誘電体46a、εr2の第2誘電体46b、εr3の第3誘電体46c、εr4の第4誘電体46d、εr5の第5誘電体46eを各々配置している。ここで、伝送信号に対応する誘電率をεr1とすると、εr2=εr1/4、εr3=εr1/9、εr4=εr1/16、εr5=εr1/25とすることで、5次高調波までの信号電流を遮断し、対向部材41の対向長と比誘電率εrとによる波長短縮率に応じた各伝送信号の不要放射が抑制でき、例えば、増幅器から出る各高調波成分も1つの筐体40で抑制が可能となる。従って、誘電体46の比誘電率εrを変更すれば、比誘電率εrの波長短縮率に応じた伝送信号の電流の遮断が可能となるために、対向部材41の長さを変更しなくても目的に応じて誘電体46における比誘電率εrの変更で、同じ筐体40(又は対向部材41)を使用して周波数調整が可能となる。
このように本発明による第14実施形態の電子機器装置によれば、複数の突出部材41に対して対向部材42を設けて信号電流を遮断するため、第7実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、誘電体46により複数の対向部材42を全て同じ短い長さに形成でき、配置スペースの確保や部品コストを低減できる。
なお、図13及び図16に示される第10実施例及び第13実施例において、隣り合う第1放熱フィン34a、44aの間にも、同様に誘電体を介在させるように構成してもよい。この場合、第1放熱フィンと第2放熱フィンとを同一形状にすることが可能となるとともに、各誘電体の比誘電率を調整することにより第11実施形態や第14実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
以上、本発明による電子機器装置の実施の形態を詳細に説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、対向部材を突出部材が配列する両端から内側に各々配置した実施の形態(第1、3、5、7、9、11、12、14の実施形態)を詳細に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、外側に各々配置させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による電子機器装置の第1実施形態を示す斜視図。(実施例1)
【図2】図1に示した突出部材及び対向部材に流れる信号電流を示す図。
【図3】図1に示した対向部材の両端での電流と電圧との関係を示す図。
【図4】本発明による電子機器装置の第2実施形態を示す斜視図。(実施例2)
【図5】本発明による電子機器装置の第3実施形態を示す斜視図。(実施例3)
【図6】本発明による電子機器装置の第4実施形態を示す斜視図。(実施例4)
【図7】本発明による電子機器装置の第5実施形態の正面及び側面を示す外観図。(実施例5)
【図8】本発明による電子機器装置の第6実施形態の正面及び側面を示す外観図。(実施例6)
【図9】本発明による電子機器装置の第7実施形態の正面及び側面を示す外観図。(実施例7)
【図10】本発明による電子機器装置の第8実施形態の正面及び側面を示す外観図。(実施例8)
【図11】本発明による電子機器装置の第9実施形態を示す斜視図。(実施例9)
【図12】図11に示した突出部材及び対向部材に流れる信号電流を示す図。
【図13】本発明による電子機器装置の第10実施形態を示す斜視図。(実施例10)
【図14】本発明による電子機器装置の第11実施形態を示す斜視図。(実施例11)
【図15】本発明による電子機器装置の第12実施形態の正面及び側面を示す外観図。(実施例12)
【図16】本発明による電子機器装置の第13実施形態の正面及び側面を示す外観図。(実施例13)
【図17】本発明による電子機器装置の第14実施形態の正面及び側面を示す外観図。(実施例14)
【図18】従来の電子機器装置の一実施形態を示す斜視図。
【図19】従来の電子機器装置の更なる他の実施形態を示す外観図。
【符号の説明】
【0052】
1 電子部品
10 筐体
11 突出部材
12 対向部材
12a 遊端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の筐体が電子部品を包囲又は装着して構成される電子機器装置において、
前記筐体の外面上に突出して形成される導電性の突出部材と、
一端が前記突出部材と電気的に接続されて他端が遊端の状態で前記突出部材に対向して配置され、前記突出部材と協働して前記突出部材との間に電界を生成可能な導電性の対向部材とを有し、
前記対向部材は、前記突出部材との間に電界が生成される場合に、前記他端における電界強度が最大となるように構成されていることを特徴とする電子機器装置。
【請求項2】
前記対向部材は、前記突出部材に対向する長さが前記電子部品を流れる伝送信号の波長の(2n+1)/4倍(nは整数)の長さに設定されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器装置。
【請求項3】
前記突出部材は、前記筐体の外面上に複数配設されて、
前記対向部材は、前記複数の突出部材に対向して複数設けられていることを特徴とする請求項2記載の電子機器装置。
【請求項4】
前記複数の対向部材は、波長が異なる複数の伝送信号の波長に応じて前記突出部材に対向する長さが異なるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の電子機器装置。
【請求項5】
前記突出部材と前記対向部材との間に配置される誘電体を備え、
前記対向部材は、前記突出部材に対向する長さH、前記誘電体の比誘電率εr、及び前記電子部品を流れる伝送信号の波長λとに基づく関係が、H=(2n+1)λ/4√εr(nは整数)の条件を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項6】
前記突出部材は、前記筐体の外面上に複数配置されて、
前記対向部材が前記複数の突出部材に対向して複数設けられるとともに、前記誘電体が前記突出部材と前記対向部材との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器装置。
【請求項7】
前記対向部材および前記誘電体は、前記波長が異なる複数の伝送信号の波長に応じて、前記対向部材の前記突出部材に対向して複数設けた各長さ、又は前記複数の誘電体の各比誘電率いずれかの少なくとも一方が各々異なるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電子機器装置。
【請求項8】
前記対向部材は、一端が前記突出部材の上端側に接続して設けられていることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の電子機器装置。
【請求項9】
前記対向部材は、一端が前記突出部材の下端側に接続して設けられていることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の電子機器装置。
【請求項10】
前記対向部材は、前記突出部材に対向して前記筐体から突出して配置され、下端が前記筐体を介して電気接続するように配置されていることを特徴とする請求項9記載の電子機器装置。
【請求項11】
前記突出部材は、前記筐体の外面上に複数配設されて、
前記対向部材は、前記筐体の前記外面上に配設される前記複数の突出部材の中で隣り合う前記突出部材によって構成されることを特徴とする請求項10記載の電子機器装置。
【請求項12】
前記突出部材と前記対向部材とは、前記電子部品を流れる電流の伝送方向に対向するように立設されていることを特徴とする請求項1〜11いずれかに記載の電子機器装置。
【請求項13】
前記突出部材と前記対向部材とは、前記伝送方向に直交して両側方向に延在されていることを特徴とする請求項12記載の電子機器装置。
【請求項14】
前記突出部材又は前記対向部材の少なくとも一方は、前記筐体の外面上に突設された放熱フィンによって構成されていることを特徴とする請求項1〜13いずれかに記載の電子機器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−253238(P2006−253238A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64641(P2005−64641)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】