説明

電子機器装置

【課題】係止手段の耐久性の向上を図ると共に、電子機器ユニットを引き出す際の作業性と安全性が向上された電子機器装置を提供すること。
【解決手段】電子機器ユニット2の対向する外壁2dに一端部5aが固定され、軸線方向Lに延在し、他端部5dが前方側に配置された一対の板ばね5を設け、この板ばね5から円柱状の凸部6を外方に突出させ、収容体3に凸部6を係合可能とする凹部を設けた係止手段10とし、係合の強度を向上させる。また、係合状態を解除する場合、電子機器ユニット2の重心G近傍を両手で保持したまま板ばね5の他端部5bを外方から押圧するだけでよいので、従前のように、電子機器ユニット2を一度後退させる必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、光ユニットをシェルフ内に収容する光通信装置において、光ユニットの脱落防止用ストッパー構造が知られている。この脱落防止用ストッパ構造は、屈曲形成されたV字部を有する板ばねを光ユニットに固定している。そして、板ばねのV字部を、シェルフに設けられたストップバーに係止させることで、シェルフからの光ユニットの脱落を防止すると共に、光ユニットの移動を防止して、重心移動による光通信装置の転倒を防止している。
【0003】
このような脱落防止用ストッパー構造では、光ユニットが係止された状態において、光ユニットを強制的に引き抜いた場合、板ばねが変形、破損してしまい、確実に係止できないことがあった。そのため、板ばねの変形を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光ユニットの脱落防止用ストッパ構造では、板ばねのV字部における一方の傾斜部にスリットを形成すると共に、ストップバーから突出してシェルフの奥行き方向に延びる爪部を有している。この爪部をスリット内に挿入して、爪部と板ばねとを当接することで、板ばねの上方への弾性変形の防止を図っている。
【特許文献1】特開平6−13773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、板ばねのV字部を係止させる構造であるため耐久性が不十分であり、長年の使用等により、板ばねのV字部が変形し易いという問題があった。また、特許文献1に記載の従来技術では、光ユニットとシェルフとの係止状態と解除するためには、光ユニットをシェルフの奥行き方向へ後退させた後に、板ばね押し上げながら光ユニットを引き出す必要があるため、光ユニットを引き出すための操作が煩雑であった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、係止手段の耐久性の向上を図ると共に、電子機器ユニットを引き出す際の作業性が向上された電子機器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電子機器装置は、電子機器ユニットと、電子機器ユニットを摺動可能に収容する収容体とを備えた電子機器装置において、収容体に設けられ電子機器ユニットの摺動する方向を当該電子機器ユニットの軸線方向に案内する案内手段と、電子機器ユニットの案内手段に対応する位置に設けられた被案内手段と、電子機器ユニットを収容体内から引き出す際に、電子機器ユニットを所定の位置で一時係止させる係止手段とを備え、係止手段は、電子機器ユニットの対向する外壁に一端部が固定されて軸線方向に延在し、他端部が電子機器ユニットを引き出す際の前方側に配置された一対の板ばねと、板ばねに設けられ外方に突出するブロック状の凸部と、収容体に設けられ凸部を係合可能とする凹部とを有することを特徴としている。
【0007】
このような電子機器装置によれば、収容体に設けられ電子機器ユニットの摺動する方向を電子機器ユニットの軸線方向に案内する案内手段と、電子機器ユニットの案内手段に対応する位置に設けられた被案内手段とを備え、電子機器ユニットの摺動する方向が軸線方向に拘束されるため、電子機器ユニットの摺動の安定化を図ることができると共に円滑に電子機器ユニットを摺動させることができる。
【0008】
また、電子機器装置は、電子機器ユニットを収容体内から引き出す際に、電子機器ユニットを所定の位置で一時係止させる係止手段を備えているため、電子機器ユニットを一時的に係止させて、所定の位置で電子機器ユニットを持つことができ、係止状態を解除して、そのまま電子機器ユニットを引き出すことができる。また、係止手段は、電子機器ユニットの対向する外壁に一端部が固定されて軸線方向に延在し、他端部が電子機器ユニットを引き出す際の前方側に配置された一対の板ばねを有している。また、板ばねには外方に突出するブロック状の凸部が設けられ、収容体には凸部を係合可能とする凹部が形成されている。これにより、電子機器ユニットを収容体から引き出す際には、板ばねが外方に広がって、凸部と凹部とを係合させることができる。係合状態を解除する場合には、板ばねを外方から押圧するだけでよいので、従前のように、一度、電子機器ユニットを後退させる必要がなく、電子機器ユニットを引き出す際の作業性を向上させることができる。
【0009】
また、板ばねには、ブロック状の凸部が設けられているので、従前のようなV字部によって構成された凸部に比して強度が向上され、凸部の変形が低減される。その結果、係止手段の耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、上記作用を奏する具体的な構成としては、案内手段は、収容体の対向する内壁に固定された一対の第1の案内レールであり、被案内手段は、電子機器ユニットの対向する外壁に固定された一対の第2の案内レールであり、第1の案内レール及び第2の案内レールは、コ字状を成し、板ばねは、第2の案内レールに沿って配置され、第2の案内レールを介して外壁に固定され、凹部は、第1の案内レールに形成された係合穴である構成があげられる。
【0011】
また、所定の位置は、電子機器ユニットの重心が収容体から外方に配置された位置であり、板ばねの他端部は、電子機器ユニットが係止された状態において、収容体から露出され、電子機器ユニットの重心付近を持った際に、板ばねの他端部をワンタッチ操作することで、係止手段による係止が解除されることが好ましい。これにより、電子機器ユニットを一時的に係止した状態で、電子機器ユニットの重心が収容体の外方に存在しているので、電子機器ユニットの重心付近を持つことができる。また、電子機器ユニットの重心付近を持った際に、ワンタッチ操作することで、係止状態を解除できるので、電子機器ユニットを持ち直す必要がないため、電子機器ユニットを引き出す際の作業性を一層向上させることができる。電子機器ユニットが重い場合には、特に有効である。
【0012】
また、板ばねは、外壁と離間する方向へ屈曲され、外壁と離間した位置で前方側へ屈曲された段差部を有することが好ましい。これにより、外壁と板ばねの他端部との間隔を広げることができるので、板ばねを好適に撓ませることができる。
【0013】
また、凸部の一端部側には、傾斜面が形成されていることが好ましい。これにより、電子機器ユニットの挿入時に、傾斜面が他の部品と接触すると、板ばねが内方に案内されて、凸部が他の部品に引っ掛かることが防止される。従って、電子機器ユニットの挿入を円滑にすることができる。
【0014】
また、電子機器ユニットを収容体に収容した状態において、板ばねの他端部側は、収容体に当接され、電子機器ユニットは、収容体を介して接地されることが好ましい。これにより、過大電流が電子機器ユニットに流入することを防止することができる。
【0015】
また、電子機器ユニットは、収容体に対して取外し可能とされ、内部にハードディスクを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、係止手段の耐久性の向上を図ると共に、電子機器ユニットを引き出す際の作業性が向上された電子機器装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による電子機器ユニットの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る電子機器装置を示すものであり、電子機器ユニット挿入前の状態を示す斜視図、図2は、図1中の電子機器ユニット及び係止手段を示す分解斜視図、図3は、図1中の電子機器ユニットを示す平面図、図4は、図1中の係止手段を示す右側面図、図5は、電子機器ユニットが所定の位置で係止された状態の電子機器装置を示す斜視図である。
【0018】
図1に示す電子機器装置1は、例えばハードディスク等の精密重量物を内部に有する電子機器ユニット2と、この電子機器ユニット2を摺動可能に収容する外箱(収容体)3とを備えている。この電子機器装置1は、例えば、高画質の映像データ等を電子機器ユニット2のハードディスクに記憶する記憶装置である。
【0019】
外箱3の正面には、電子機器ユニット2を挿入するための開口部3aが形成されている。外箱3は、電子機器ユニット2を収容するための収容空間を有している。外箱3の背面側には、例えば映像データを記憶させるための処理回路等を備えた基板が配置されている。電子機器ユニット2を外箱3に装着した状態において、電子機器ユニット2のハードディスクと、外箱3内の基板とは、電気的に接続されている。
【0020】
また、外箱3は、内ケース及び外ケースを有する二重構造(不図示)とされている。これらの内ケース及び外ケースは、ブッシュゴムを介しボルトナットにより固定されている。これにより、外ケースの振動が内ケースに伝達することが防止され、外部からの衝撃を吸収して、電子機器ユニット2を保護することができる。
【0021】
外箱3の対向する側壁3bの内面(内壁)には、電子機器ユニット2の軸線方向Lに延在し、電子機器ユニット2の摺動する方向を案内する一対の固定レール(案内手段、第1の案内レール)4が設置されている。固定レール4は、図1及び図2に示すように、コ字状を成し、軸線方向Lに延在するプレート部4aと、このプレート部4aの幅方向(図示上下方向)における両端部から屈曲形成された開放端部4bとを有している。外箱3の側壁3bの内面には、固定レール4を収容するための溝が形成され、固定レール4は、開放端部4bが内方を向くように配置されて、溝内に収容されている。なお、固定レール4の材質としては、例えば耐摩耗性に優れたSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。また、固定レール4の開口部3a側の端部4c(図6参照)は、後述する板ばね5の挿入を容易とするための傾斜面を有している。
【0022】
電子機器ユニット2は箱型を成し、図1〜図3に示すように、電子機器ユニット2の正面2aに、電子機器ユニット2を外箱3内から引き出す際に利用される把手2bが設けられている。また、電子機器ユニット2の正面2aには、回動操作されるつまみ2cが設置されている。このつまみ2cを回動操作することで、電子機器ユニット2の下面から係止爪(不図示)を出没させることができる。外箱3の開口部3aの周縁部の内側には、係止爪が挿入されるスリット3c(図1参照)が形成されている。電子機器ユニット2を外箱3に挿入した状態において、スリット3cに係止爪を係止することができる。
【0023】
また、電子機器ユニット2の対向する側壁2dの外面(外壁)には、一対のスライドレール(被案内手段、第2の案内レール)8が設置されている。スライドレール8は、第1の案内レールである固定レール4に対応する位置に配置され、電子機器ユニット2の軸線方向Lに延在している。スライドレール8は、コ字状を成し、軸線方向Lに延在するプレート部8aと、このプレート部8aの幅方向(図示上下方向)における両端部から屈曲形成された開放端部8bとを有している。スライドレール8は、開放端部8bが外方を向くように配置されている。スライドレール8の開放端部8bは、図4に示すように、固定レール4の開放端部4bの内側(上下方向における内側)に配置されて、スライドレール8は、固定レール4に沿って摺動する。なお、スライドレール8の材質としては、例えば耐磨耗性に優れたSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。また、図4では、スライドレール8、後述するストッパー受け穴7及び把持機構9を仮想線で示している。
【0024】
スライドレール8の後端部(背面側の端部)には、外方に突出する突出部8cが形成されている。この突出部8cは、外箱3に設置された把持機構9によって上下方向から把持されるくびれ形状を有している。電子機器ユニット2を外箱3に挿入した状態において、突出部8cは把持機構9によって把持され、電子機器ユニット2は外箱3に確実に装着される。
【0025】
ここで、本実施形態の電子機器装置1は、図1〜図4に示すように、電子機器ユニット2を外箱3から引き出す際に、電子機器ユニット2を所定の位置(図5参照)で一時的に係止させる係止手段10を備えている。この係止手段10は、電子機器ユニット2の側壁2dの外面に設置された一対の板ばね5と、この板ばね5に設けられ外方に突出するストッパー6(凸部)と、このストッパー6を係合可能とするストッパー受け穴(凹部、係合穴)7とを有している。
【0026】
板ばね5は、例えば防錆性に優れた厚さ約0.5mmのステンレス材によって形成され、板ばね5の一端部(固定部)5aは、スライドレール8の後端側でプレート部8aにねじ止めされ、スライドレール8を介して電子機器ユニット2に固定されている。板ばね5は、スライドレール8に沿って延在し、板ばね5の他端部5bは、電子機器ユニット2を引き出す際の前方側に配置されている。具体的には、板ばね5は、他端部5b側が電子機器ユニット2の側壁から離間するように、平面視(図3参照)において傾斜して配置されている。なお、図3では、所定の位置で電子機器ユニット2を係止した場合の位置関係を示すため、外箱3を仮想線で示している。また、板ばね5は、一端部5aの前方側で側壁2dと離間する方向へ屈曲され、側壁2dと離間した位置で前方側へ屈曲された段差部5cを有している。板ばね5の他端部5bは、電子機器ユニット2の幅方向(左右方向)へ揺動可能とされている。段差部5cは板ばね5の座屈変形による係合外れを防止する効果もある。
【0027】
また、板ばね5の他端部には、図示上下方向の端部から外方へ屈曲形成された挿入ガイド5dが設けられている。この挿入ガイド5dは、平面視において、三角形状を成し、前方に向かうにつれて外方へ傾斜する傾斜部を有している。挿入ガイド5dは、電子機器ユニット2を挿入する際に、固定レール4のプレート部4cと当接して、板ばね5を内方へ案内することができる。また、この挿入ガイド5dは、電子機器ユニット2を外箱3内に挿入した際に、固定レール4と当接され、電子機器ユニット2は、外箱3を介して接地される。これにより、過大電流が電子機器ユニット2に流入することが防止されている。また、板ばね5では、上下2箇所に挿入ガイド5dが設けられているので、固定レール4に2点接触している。このため、接地アースを確実に確保することができる。
【0028】
ストッパー6は、側面視(図4参照)において円形のブロック体であり、板ばね5に固定されて外方に突出している。ストッパー6は、軸線方向Lにおいて、板ばね5の一端部5aと他端部5bとの間に配置されている。このストッパー6は、電子機器ユニット2が係止された状態において、ストッパー受け穴7に挿入されて係合するものである。
【0029】
また、ストッパー6の後方側には、後方に向かうにつれて板ばね5側へ傾斜する傾斜面6aが形成されている。この傾斜面6aは、電子機器ユニット2の挿入時に、固定レール4と当接して、板ばね5を内方へ案内させるものである。これにより、電子機器ユニット2の挿入時に、ストッパー6がストッパー受け穴7等に引っ掛かることが防止され、電子機器ユニット2を円滑に摺動させることができる。
【0030】
ストッパー受け穴7は、固定レール4のプレート部4aの板厚方向に開口された円形の穴であり、ストッパー6に対応する大きさとされている。このストッパー受け穴7は、外箱3の開口部3a近傍に配置されている。
【0031】
次に、このように構成された電子機器装置1の動作に関し、電子機器ユニット2の外箱3への挿入、電子機器ユニット2の外箱3からの引き出しについて図面を参照して説明する。まず、電子機器ユニット2の外箱3への挿入について説明する。図6は、電子機器ユニット挿入中の係止手段を示すものであり、ストッパーがストッパー受け穴より正面側に配置された状態の断面図、図7は、電子機器ユニット挿入中の係止手段を示すものであり、ストッパーがストッパー受け穴近傍に配置された状態の断面図、図8は、ストッパーがストッパー受け穴より背面側に配置された状態の係止手段を示す断面図である。
【0032】
電子機器ユニット2を外箱3に挿入する際には、図1に示すように、電子機器ユニット2を外箱3の開口部3aの正面に配置し、スライドレール8を固定レール4に合わせて、電子機器ユニット2を外箱3に押し込む。図6に示すように、電子機器ユニット2が外箱3の内方(図示右側)へ移動すると、ストッパー6の傾斜面6aが固定レール4の端部4cの傾斜面に当接し、板ばね5の他端部5bがスライドレール8側へ移動する。
【0033】
図7に示すように、電子機器ユニット2が更に外箱3内へ移動すると、ストッパー6の傾斜面6aがストッパー受け穴7の背面側(図示右側)の周縁部に当接し、板ばね5の他端部5bがスライドレール8側へ移動する。また、板ばね5の挿入ガイド5dが固定レール4の端部4cの傾斜面に当接すると、板ばね5の他端部5bがスライドレール8側へ更に移動する。これにより、電子機器ユニット2は、挿入時において、係止手段10によって、係止されることなく、入り勝手で円滑に摺動する。
【0034】
更に、電子機器ユニット2が外箱3内へ移動すると、図8に示すように、板ばね5の挿入ガイド5dが固定レール4のプレート部4aと当接し、板ばね5の他端部5bがスライドレール8側へ移動し、プレート部8aに接近した状態となる。板ばね5には、段差部5cが形成されているので、板ばね5を好適に撓ませることができる。
【0035】
そして、電子機器ユニット2は、突き当たるまで押し込まれて、図4に示すように、スライドレール8の突出部8cが把持機構9に把持されてクリックストップする。図11は、電子機器ユニット装着後の電子機器装置を示す斜視図である。この状態で、図11に示すように、つまみ2cを矢印方向(反時計回り)に回動操作することで水平状態から垂直状態にし、係止爪をスリット3cに係止させて、電子機器ユニット2を外箱3に装着する。
【0036】
次に、電子機器ユニット2の外箱3からの引き出しについて図面を参照して説明する。図9は、電子機器ユニット引き出し中の係止手段を示すものであり、ストッパーが係止された状態の係止手段を示す断面図、図10は、電子機器ユニット引き出し中の係止手段を示すものであり、ストッパーの係止状態が解除された係止手段を示す断面図である。
【0037】
電子機器ユニット2を外箱3から引き出す際には、図11において、つまみ2cを時計回りに回動操作することで垂直状態から水平状態にし、係止爪を電子機器ユニット2内に没入させる。次に、把手2bを握って、電子機器ユニット2引き出す。
【0038】
そして、電子機器ユニット2が所定の位置まで移動すると、図9に示すように、板ばね5の他端部5b及び挿入ガイド5dが外箱3から外方に露出されて、板ばね5がスライドレール8から離間する方向に開いて、ストッパー6がストッパー受け穴7内に進入して係合される。係合完了は音で確認出来る。また、ブロック状のストッパー6がストッパー受け穴7の内周部に引っ掛かり、電子機器ユニット2の前方への移動が抑制される。この状態で、電子機器ユニット2の引き出し作業を継続しても、電子機器ユニット2の前方への移動は阻止される。
【0039】
このとき電子機器ユニット2の重心Gは、図3及び図5に示すように、軸線方向Lにおいて、外箱3の正面側の端部より外方に配置された状態となる。この状態で、電子機器ユニット2を幅方向の両側から両手で掴むと、重心G近傍を持ち易くなると共に、人差し指fが板ばね5の他端部5bに係り易くなり他端部5bを操作し易くなる。そして、図10に示すように、他端部5bを操作してスライドレール8に接近させて、ストッパー6をストッパー受け穴7から離間させる。このように、ワンタッチ操作することで、電子機器ユニット2の係止状態を解除することができる。この状態で、そのまま、電子機器ユニット2を前方へ引き出し、電子機器ユニット2を外箱3から取外すことができる。
【0040】
このような本実施形態の電子機器装置1では、固定レール4及びスライドレール8を備え、電子機器ユニット2の摺動する方向が軸線方向Lに拘束されるため、摺動の安定化が図れると共に円滑に摺動させることができる。
【0041】
また、電子機器装置1は、電子機器ユニット2を外箱3から引き出す際に、電子機器ユニット2を所定の位置で一時係止させる係止手段10を備え、電子機器ユニット2を一時的に係止させて、所定の位置で電子機器ユニット2を持つことができるため、係止状態を解除して、そのまま電子機器ユニット2を引き出すことができる。
【0042】
また、係止手段10は、電子機器ユニット2の左右方向の外側に付勢する一対の板ばね5を備えているため、左右のバランス良く確実に電子機器ユニット2を係止することができる。従って、電子機器ユニット2に過剰な引き抜き力が作用した場合であっても、ストッパー6がストッパー受け穴7から外れ難くなる。これにより、電子機器ユニット2の落下防止が図られている。
【0043】
また、係合状態を解除する場合には、板ばね5の他端部5bを外方から押圧するだけでよいので、従前のように、一度、電子機器ユニット2を後退させる必要がなく、電子機器ユニット2を引き出す際の作業性を向上させることができる。また、ワンタッチ操作することで、係止状態を解除でき、電子機器ユニット2を持ち直す必要がないため、電子機器ユニット2を引き出す際の作業性を一層向上させることができる。電子機器ユニット2が重い場合には、特に有効である。また、電子機器ユニット2の取替え作業が多い場合にも、作業者の負担が軽減される。
【0044】
また、板ばねには、ブロック状のストッパー6が設けられているので、従前のようなV字部によって構成された凸部に比して強度が向上され、ストッパー6の変形が低減される。その結果、係止手段10の耐久性を向上させることができる。また、係止手段10では、ブロック状のストッパー6とストッパー受け穴7とが係合する構成のため、係合の強度が一層向上されている。
【0045】
また、電子機器ユニット2の係止状態において、電子機器ユニット2の重心G付近を持ち易くなるため、電子機器ユニット2を引き出した後に、電子機器ユニット2を持ち直さなくてもよい。また、重心G付近を両手で容易に持つことができるので、電子機器ユニット2をバランス良く持つことができるので、電子機器ユニット2を落下させる虞が低減される。これにより、安全性及び信頼性を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、電子機器装置1をハードディスクを備えた記憶装置としているが、例えばモジュール交換式の電子機器装置等、その他の電子機器装置でもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、案内手段及び被案内手段を案内レールとしているが、その他の突出形状や溝等を用いても良い。また、案内レールは、例えばC字型やL字型等、その他の形状でもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、ストッパー6及びストッパー受け穴7は、円形断面としているが、例えば、矩形、その他の多角形等、その他の形状でもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、スライドレール8を介して、板ばね5を電子機器ユニット2に固定しているが、電子機器ユニット2に直接固定しても良い。
【0050】
また、板ばね5において、他端部5に軸線方向Lに連続する延長部分を形成し、この延長部分をスライドレール8に接近させる構成としてもよい。これにより、板ばね5とスライドレール8との間に、指等が進入することを防止することができる。その結果、板ばね5の不本意な塑性変形が防止され、係止手段10の耐久性を一層向上させることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、「所定の位置」を、電子機器ユニット2の重心Gが、外箱3より前方に配置された位置としているが、電子機器ユニット2の重心Gが外箱3内に配置された位置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器装置を示すものであり、電子機器ユニット挿入前の状態を示す斜視図である。
【図2】図1中の電子機器ユニット及び係止手段を示す分解斜視図である。
【図3】図1中の電子機器ユニットを示す平面図である。
【図4】図1中の係止手段を示す右側面図である。
【図5】電子機器ユニットが所定の位置で係止された状態の電子機器装置を示す斜視図である。
【図6】電子機器ユニット挿入中の係止手段を示すものであり、ストッパーがストッパー受け穴より正面側に配置された状態の断面図である。
【図7】電子機器ユニット挿入中の係止手段を示すものであり、ストッパーがストッパー受け穴近傍に配置された状態の断面図である。
【図8】ストッパーがストッパー受け穴より背面側に配置された状態の係止手段を示す断面図である。
【図9】電子機器ユニット引き出し中の係止手段を示すものであり、ストッパーが係止された状態の係止手段を示す断面図である。
【図10】電子機器ユニット引き出し中の係止手段を示すものであり、ストッパーの係止状態が解除された係止手段を示す断面図である。
【図11】電子機器ユニット装着後の電子機器装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1…電子機器装置、2…電子機器ユニット、2d…側壁(外壁)、3…外箱(収容体)、3b…側壁(内壁)4…固定レール(案内手段、第1の案内レール)、5…板ばね、5a…一端部、5b…他端部、5c…段差部、6…ストッパー(ブロック状の凸部)、6a…傾斜面、7…ストッパー受け穴(凹部、係合穴)、8…スライドレール(被案内手段、第2の案内レール)、10…係止手段、L…軸線方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器ユニットと、前記電子機器ユニットを摺動可能に収容する収容体とを備えた電子機器装置において、
前記収容体に設けられ前記電子機器ユニットの摺動する方向を当該電子機器ユニットの軸線方向に案内する案内手段と、
前記電子機器ユニットの前記案内手段に対応する位置に設けられた被案内手段と、
前記電子機器ユニットを前記収容体内から引き出す際に、前記電子機器ユニットを所定の位置で一時係止させる係止手段とを備え、
前記係止手段は、
前記電子機器ユニットの対向する外壁に一端部が固定されて前記軸線方向に延在し、他端部が前記電子機器ユニットを引き出す際の前方側に配置された一対の板ばねと、
前記板ばねに設けられ外方に突出するブロック状の凸部と、
前記収容体に設けられ前記凸部を係合可能とする凹部とを有することを特徴とする電子機器装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記収容体の対向する内壁に固定された一対の第1の案内レールであり、
前記被案内手段は、前記電子機器ユニットの対向する外壁に固定された一対の第2の案内レールであり、
前記第1の案内レール及び前記第2の案内レールは、コ字状を成し、
前記板ばねは、前記第2の案内レールに沿って配置され、前記第2の案内レールを介して前記外壁に固定され、
前記凹部は、第1の案内レールに形成された係合穴であることを特徴とする請求項1記載の電子機器装置。
【請求項3】
前記所定の位置は、前記電子機器ユニットの重心が前記収容体から外方に配置された位置であり、
前記板ばねの前記他端部は、電子機器ユニット
が係止された状態において、前記収容体から露出され、
前記電子機器ユニットの重心付近を持った際に、前記板ばねの前記他端部をワンタッチ操作することで、前記係止手段による係止が解除されることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器装置。
【請求項4】
前記板ばねは、前記外壁と離間する方向へ屈曲され、前記外壁と離間した位置で前方側へ屈曲された段差部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子機器装置。
【請求項5】
前記凸部の前記一端部側には、傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子機器装置。
【請求項6】
前記電子機器ユニットを前記収容体に収容した状態において、前記板ばねの他端部側は、前記収容体に当接され、前記電子機器ユニットは、前記収容体を介して接地されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子機器装置。
【請求項7】
前記電子機器ユニットは、前記収容体に対して取外し可能とされ、内部にハードディスクを備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の電子機器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−124074(P2008−124074A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303065(P2006−303065)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000101330)アストロデザイン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】