説明

電子機器

【課題】表示部における部品点数やコストを抑え、表示部における良好な視認性と防滴・防塵構造を実現する。
【解決手段】電子機器100は、表示素子131を保持する表示素子保持部材132と、外装部材110に形成された開口部110cに取り付けられた表示窓部材111と、表示素子の表示面130a及び表示窓部材の内面111bに密着する密着面領域130a,130bを有する透光性弾性部材130とを有する。透光性弾性部材における密着面領域よりも外周側の領域130cが、外装部材と表示素子保持部材との間で弾性変形状態となるように押圧されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に設けられた表示素子の防滴・防塵構造に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや携帯機器等の電子機器には、画像や各種情報を表示するための表示部を構成する液晶パネル等の表示素子が搭載されている。表示素子の表示面は、該表示面を保護する目的で、外装部材の一部を構成する表示窓部材によって覆われている。
【0003】
特許文献1には、表示素子と表示窓部材との間に透明部材を配置し、該透明部材を表示素子の表示面と表示窓部材の内面とに密着させた電子機器が開示されている。これにより、表示素子の表示面や表示窓部材の内面と空気との界面で生じる光の反射を低減し、表示部の視認性を向上させることができる。
【0004】
また、電子機器には、防滴・防塵構造が求められる。このような防滴・防塵構造としては、一般に、外装を構成する部材と内部の構造部材との間にOリング等の弾性部材を挟む構成が採用される。ただし、防滴・防塵専用の弾性部材を用いると、部品点数やコストが増加する可能性がある。このため、特許文献2では、操作スイッチを構成する弾性部材の一部を表示部の防滴・防塵用パッキンとして兼用した電子機器が開示されている。
【特許文献1】特開2003−295780号公報
【特許文献2】特開2006−047448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の防滴・防塵構造は、電子機器における表示部が設けられた面に操作スイッチが設けられている場合には有効であるが、表示部単独での部品点数やコストを抑えた防滴・防塵構造も望まれている。
【0006】
本発明は、表示部における部品点数やコストを抑え、表示部における良好な視認性と防滴・防塵構造を有する電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面しての電子機器は、表示素子を保持する表示素子保持部材と、該電子機器の外装部材に形成された開口部に取り付けられた表示窓部材と、表示素子の表示面及び表示窓部材の内面に密着する密着面領域を有する透光性弾性部材とを有する。そして、記透光性弾性部材における密着面領域よりも外周側の領域が、外装部材と表示素子保持部材との間で弾性変形状態となるように押圧されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、視認性を向上させるために表示素子と表示窓部材との間に配置された透光性弾性部材の外周側部分を防滴・防塵用の弾性部材として兼用するので、表示部単独で部品点数やコストを抑えた防滴・防塵構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
図1及び図2には、本発明の実施例1である電子機器(撮像装置)の例としてのレンズ交換式一眼レフデジタルカメラ(以下、単にカメラという)の正面及び背面を示す。
【0011】
図1に示すカメラ100の正面は、正面外装部品101によって覆われている。カメラ100の正面中央には、不図示の撮影レンズユニットが着脱可能に装着されるマウント機構102が設けられている。マウント機構102は、装着された撮影レンズユニットをロック保持するためのロック機構103を有する。
【0012】
マウント機構102の内側には、電気的接点群104が設けられており、カメラ100と撮影レンズユニットとの間での通信が可能となっている。さらに、マウント機構102の奥には、クイックリターンミラー105が配置されている。
【0013】
クイックリターンミラー105の中央部はハーフミラーになっている。該クイックリターンミラー105が図に示すようにダウン位置に配置されている状態では、該ハーフミラー部によって撮影レンズユニットからの光束の一部を上方に反射し、他の一部を透過する。クイックリターンミラー105を透過した光束は、該クイックリターンミラー105の背後に設置された不図示のサブミラーによって下方に反射され、不図示のAFセンサに導かれる。
【0014】
一方、クイックリターンミラー105で上方に反射された光束は、ファインダ光学系を構成する不図示のペンタプリズム及び後述する接眼レンズ112を介して撮影者の目に至る。
【0015】
マウント機構102の近傍には、撮影レンズユニットマウント機構102から取り外す際に、ロック機構103によるロック保持を解除するためのロック解除ボタン106が設けられている。
【0016】
カメラ100の上部には、レリーズスイッチ107が設けられている。レリーズスイッチ107が半押し操作されると、測光・オートフォーカス(AF)等の撮影準備動作が開始される。また、レリーズスイッチ107が全押し操作されると、撮影動作が開始される。
【0017】
また、レリーズスイッチ107の近傍には、メイン電子ダイヤル108が設けられている。メイン電子ダイヤル108が回転操作されることにより、シャッタースピードや絞り値等のパラメータを変更することができる。
【0018】
さらにカメラ100の上部には、モードダイヤル109が設けられている。モードダイヤル109が回転操作されることにより、撮影モードを変更することができる。
【0019】
また、図2に示すカメラ100の背面は、背面外装部材110により覆われている。背面外装部材110の一部には表示用開口部110cが形成されており、該表示用開口部110cの奥には、後述する表示素子が配置されている。表示素子は、後述するカメラ100の表示部を構成する主要部品である。
【0020】
表示用開口部110cは、透明な樹脂材料により形成された表示窓部材111によって塞がれている。これにより、表示素子の表示面が覆われ、外力から保護される。表示窓部材111の外周部分は、背面外装部品110における開口部110cの周辺部分の裏面にビス止めされている。表示窓部材111は、カメラ100の外装部材の一部として機能する。
【0021】
カメラ100の背面上部には、前述した接眼レンズ112が配置されている。撮影者は、該接眼レンズ112を含むファインダ光学系を通して被写体を観察することができる。また、接眼レンズ112の近傍には、視度調整ダイヤル113が設けられている。視度調整ダイヤル113の回転操作により、ファインダ光学系の視度を撮影者の視力に合わせて調整することができる。
【0022】
また、カメラ100の背面下部には、電源のON/OFFを切り換えるための電源スイッチ114が設けられている。さらに、デジタルカメラ100の背面には、サブ電子ダイヤル115が設けられている。サブ電子ダイヤル115が回転操作されることにより、各種メニューや露出補正値、絞り値等のパラメータを変更することができる。さらに、サブ電子ダイヤル115の中央には決定ボタン116が配置されており、これを操作することで変更された各種メニューやパラメータを確定させることができる。
【0023】
その他、表示窓部材111の周辺には、様々な操作ボタンが配置されている。具体的には、各種メニューに入るためのメニューボタン117、カメラ100の設定情報や撮影情報を表示させるための情報表示ボタン118、撮影情報や撮影画像を表示させる際に不要な表示をジャンプするためのジャンプボタン119が設けられている。また、記録媒体から読み出した撮影画像を表示させる再生ボタン120や、該撮影画像を記録媒体から消去するための消去ボタン121も設けられている。
【0024】
図3A、図3B、図4A及び図4Bには、本実施例のカメラ100に搭載された表示部の構成を示す。背面外装部品110は、表示部の周辺部分以外の部分を省略して示している。
【0025】
表示部は、カメラ100の外面側から順に、背面外装部品110に取り付けられた表示窓部材111、透明弾性部材(透光性弾性部材)130、表示素子131、及び表示素子保持部材132が積層されて構成されている。以下、これら構成部材が積層されている方向(例えば、表示素子131の表示面に垂直な方向)を積層方向という。
【0026】
背面外装部品110には、前述したように表示用開口部110cが形成されており、その外周内面には、防滴構造を形成するための防滴リブ部110aが備えられている。防滴リブ部110aは、背面外装部材110における他の部分とは独立した枠形状の突起部として形成されている。
【0027】
表示窓部材111の外周部分は、背面外装部品110における開口部110cの周辺部分の内面のうち、防滴リブ部110aよりも内周側の部分にビス止めされている。111aは表示窓部材111の四隅部分に形成された穴であり、110dは該穴111aに挿入されたビスにより表示窓部材111を背面外装部材110にビス止めするために、背面外装部材110に形成されたビス穴を示している。また、図示はしないが、表示窓部材111の内面111bには、カメラ100の外部から表示素子131の表示領域以外の部分が見えないようにするための視野制限部が印刷等により形成されている。
【0028】
表示素子保持部材132は、表示素子131をその裏面側(表示面とは反対側)から保持する。表示装置保持部材132には、表示素子131の移動を阻止するように(位置決めするように)これを保持するための凹部132bと、該凹部132bよりも外周側に形成された防滴リブ部132aとが形成されている。防滴リブ部132aは、表示素子保持部材132の他の部分とは独立した枠形状の突起部として形成されている。
【0029】
また、表示素子保持部材132には、背面外装部材110に設けられたスペーサ部110bにビス止めするためのビス止め部132cが形成されている。
【0030】
表示素子131は、液晶パネル又は有機EL等の自発光素子により構成される。表示素子131は、画像や各種情報を表示する表示面131aを有する。また、表示素子131は、液晶パネルを用いる場合には、該液晶パネルを背後から照明するバックライト(不図示)を有する。
【0031】
透明弾性部材130は、これに接触する他の部材に対して密着する自己吸着性を有する。また、透明弾性部材130は、カメラ100の外部から表示窓部材111を通して表示素子131に表示された画像や情報の観察を妨げない透光性(透明性)を有する。さらに、透明弾性部材130は、後述する防滴・防塵性能を発揮できる弾性を有する。透明弾性部材130を形成する材料の屈折率は、表示窓部材111及び表示素子131の表示面131aに設けられた保護ガラスを形成する材料の屈折率に合わせて(同一又は同一とみなせる屈折率に)設定されている。
【0032】
透明弾性部材130は、上記自己吸着性により表示窓部材111の内面111bに密着する表示窓密着面130aと、表示素子131の表示面131aに密着する表示素子密着面130bとを積層方向における互いに反対側の面として有する。表示窓密着面130a及び表示素子密着面130bはそれぞれ、表示窓部材111の内面111bのうち表示に必要な領域全体及び表示素子131の表示面131a全体に密着できるように、これらよりもひとまわり大きく形成されている。
【0033】
上記のような屈折率を有する透明弾性部材130が表示窓部材111の内面111bと表示素子131の表示面131aとに密着することで、カメラ100の外部から入射する光のこれらの界面での反射を抑制できる。したがって、表示部の視認性を向上させることができる。
【0034】
以下の説明において、透明弾性部材130におけるこれら表示窓密着面130a及び表示素子密着面130bが形成された領域を密着面領域という。
【0035】
さらに、透明弾性部材130における密着面領域よりも外周側には、密着面領域に対して溝形状部130dによって隔てられた領域(外周側領域:以下、被押圧領域という)130cが形成されている。
【0036】
図4Bに示すように、被押圧領域130cは、背面外装部材110に形成された防滴リブ部110aと表示素子保持部材132に形成された防滴リブ部132aとの間で積層方向に押圧されて弾性変形状態となっている。前述した自己吸着性も若干の弾性変形により実現されるものとも考えられるが、ここにいう被押圧領域130cの弾性変形は、密着面領域での弾性変形量よりも大きい。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0037】
被押圧領域130cは、透明弾性部材130における密着面領域の外周全体を囲むように形成されており、防滴リブ部110a,132aもそれぞれ、開口部110c及び表示素子131の外周全体を囲むように形成されている。そして、図4Bに示すような被押圧領域130cの弾性変形を伴う押圧も、防滴リブ部110a,132aの全周で行われている。
【0038】
背面外装部材110の防滴リブ部110aと弾性変形状態の被押圧領域130cとの押圧密着によって、カメラ100の外部から背面外装部材110と表示窓部材111間の隙間に侵入した水滴140や塵が、それ以上カメラ100の内部に侵入するのを防止する。
【0039】
また、表示素子保持部材132の防滴リブ132aと透明弾性部材130の被押圧領域130cとの押圧密着によって、透明弾性部材130と表示素子保持部材132とにより囲まれて表示素子131を収容する空間を防滴・防塵空間として形成する。したがって、表示素子131に対しては二重の防滴・防塵構造を実現することができる。
【0040】
なお、透明弾性部材130の表示窓密着面130aが表示窓部材111の内面111bに密着することで、これらの間に水滴140等が侵入することも防止できる。
【0041】
以上の構成により、本来視認性向上のために用いる透明弾性部材130を利用して、表示部における高い防滴・防塵性能を得ることができる。つまり、Oリング等の防滴・防塵専用の部品を用いることなく、表示部の防滴・防塵構造を実現できる。
【0042】
ここで、本実施例では、被押圧領域130cが背面外装部材110の防滴リブ部110aと表示素子保持部材132の防滴リブ部132aとにより直接押圧されている場合について説明した。しかし、防滴リブ部110a,132aと被押圧領域130cとの間に、防滴・防塵空間の形成を妨げない他の部材が介在していてもよい。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0043】
また、防滴・防塵性能を向上させるために、防滴リブ部110a,132aにおける透明弾性部材130の被押圧領域130cに当接する面の表面粗さを、背面外装部材110や表示素子保持部材132の他の面よりも細かくしてもよい。
【0044】
前述したように、表示窓部材111は、背面外装部材110に対して接着ではなくビスによって結合されている。これにより、表示窓部材111が外部から押されることで生じる外圧や、温度及び湿度変化によって透明弾性部材130が膨張することで生じる内圧によって、表示窓部材111が背面外装部材110から外れることを防ぐことができる。
【0045】
また、表示窓部材111に形成された穴111aには、ここに挿入されたビスの頭部が表示窓部材111の内面111bに対する透明弾性部材130の密着を妨げないように、座グリが形成されており、該穴111aからビスの頭部が突出しないようにしている。これらのことは、後述する他の実施例においても同じである。
【0046】
また、本実施例では、前述したように、透明弾性部材130における密着面領域(130a,130b)と被押圧領域130cとの間には、溝形状部130dが形成されている。溝形状部130dは、密着面領域を囲むように全周にわたって、かつ表示窓密着面130aの側と表示素子密着面130bの側の両側に形成されている。
【0047】
溝形状部130bを設けることによって、被押圧領域130cに生じた弾性変形(つまりは図4B中に矢印で示す応力)の密着面領域(130a,130b)への伝達が低減される。すなわち、被押圧領域130cに生じた弾性変形(応力)が密着面領域に影響を及ぼすことによって密着面領域が表示窓部材111の内面111bや表示素子131の表示面131aから剥がれ、視認性が低下することを回避する。
【0048】
以上説明したように、本実施例によれば、良好な視認性と高い防滴・防塵性能を有し、構成部品が少ない表示部を備えたカメラを実現することができる。
【実施例2】
【0049】
図5A及び図5Bには、本発明の実施例2である電子機器の表示部の構成を示す。なお、本実施例の表示部は、実施例1で説明したカメラにおいて用いられる。
【0050】
本実施例の表示部の基本的な構成は、実施例1と同じであるので、実施例1と同じ又は共通する機能を有する構成要素には、実施例1と同符号を付す。
【0051】
本実施例では、透明弾性部材130における密着面領域(130a,130b)とそれよりも外周側に形成された被押圧領域130cとの間に、段差形状部130eが設けられている。段差形状部130eは、密着面領域を囲むように全周にわたって、かつ表示窓密着面130aの側と表示素子密着面130bの側の両側に形成されている。
【0052】
被押圧領域130cは、図5Bに示すように、背面外装部材110に形成された防滴リブ部110aと表示素子保持部材132に形成された防滴リブ部132aとの間で積層方向に押圧されて弾性変形状態となっている。なお、段差形状部130eを設けたことで、本実施例における被押圧領域130cの厚さは、実施例1に比べて薄くなっている。それ以外の構成は、実施例1と同じである。
【0053】
本実施例でも、背面外装部材110の防滴リブ部110aと弾性変形状態の被押圧領域130cとの押圧密着によって、外部から背面外装部材110と表示窓部材111間の隙間に侵入した水滴140や塵が、それ以上カメラ100の内部に侵入するのを防止する。
【0054】
また、表示素子保持部材132の防滴リブ132aと透明弾性部材130の被押圧領域130cとの押圧密着によって、透明弾性部材130と表示素子保持部材132とにより囲まれて表示素子131を収容する空間を防滴・防塵空間として形成する。したがって、表示素子131に対しては二重の防滴・防塵構造を実現することができる。
【0055】
なお、透明弾性部材130の表示窓密着面130aが表示窓部材111の内面111bに密着することで、これらの間に水滴140等が侵入することも防止できる。
【0056】
以上の構成により、本来視認性向上のために用いる透明弾性部材130を利用して、表示部における高い防滴・防塵性能を得ることができる。
【0057】
さらに、本実施例では、段差形状部130eを設けることによって、被押圧領域130cに生じた弾性変形(つまりは図5B中に矢印で示す応力)の密着面領域(130a,130b)への伝達が低減される。すなわち、被押圧領域130cに生じた弾性変形(応力)が密着面領域に影響を及ぼすことによって密着面領域が表示窓部材111の内面111bや表示素子131の表示面131aから剥がれ、視認性が低下することを回避する。
【0058】
したがって、本実施例によれば、良好な視認性と高い防滴・防塵性能を有し、構成部品が少ない表示部を備えたカメラを実現することができる。
【実施例3】
【0059】
図6A及び図6Bには、本発明の実施例3である電子機器の表示部の構成を示す。なお、本実施例の表示部は、実施例1で説明したカメラにおいて用いられる。
【0060】
本実施例の表示部の基本的な構成は、実施例1と同じであるので、実施例1と同じ又は共通する機能を有する構成要素には、実施例1と同符号を付す。
【0061】
本実施例では、透明弾性部材130における密着面領域(130a,130b)とそれよりも外周側に形成された被押圧領域130cとの間に、段差/溝形状部130fが設けられている。段差/溝形状部130fは、実施例2に示した段差形状部に、実施例1で示した溝形状を追加することで構成されている。段差/溝形状部130fは、密着面領域を囲むように全周にわたって、かつ表示窓密着面130aの側と表示素子密着面130bの側の両側に形成されている。
【0062】
被押圧領域130cは、図6Bに示すように、背面外装部材110に形成された防滴リブ部110aと表示素子保持部材132に形成された防滴リブ部132aとの間で積層方向に押圧されて弾性変形状態となっている。なお、段差/溝形状部130fを設けたことで、本実施例における被押圧領域130cの厚さは、実施例1に比べて薄くなっている。それ以外の構成は、実施例1と同じである。
【0063】
本実施例でも、背面外装部材110の防滴リブ部110aと弾性変形状態の被押圧領域130cとの押圧密着によって、外部から背面外装部材110と表示窓部材111間の隙間に侵入した水滴140や塵が、それ以上カメラ100の内部に侵入するのを防止する。
【0064】
また、表示素子保持部材132の防滴リブ132aと透明弾性部材130の被押圧領域130cとの押圧密着によって、透明弾性部材130と表示素子保持部材132とにより囲まれて表示素子131を収容する空間を防滴・防塵空間として形成する。したがって、表示素子131に対しては二重の防滴・防塵構造を実現することができる。
【0065】
なお、透明弾性部材130の表示窓密着面130aが表示窓部材111の内面111bに密着することで、これらの間に水滴140等が侵入することも防止できる。
【0066】
以上の構成により、本来視認性向上のために用いる透明弾性部材130を利用して、表示部における高い防滴・防塵性能を得ることができる。
【0067】
さらに、本実施例では、段差/溝形状部130fを設けることによって、被押圧領域130cに生じた弾性変形(つまりは図6B中に矢印で示す応力)の密着面領域(130a,130b)への伝達が低減される。すなわち、被押圧領域130cに生じた弾性変形(応力)が密着面領域に影響を及ぼすことによって密着面領域が表示窓部材111の内面111bや表示素子131の表示面131aから剥がれ、視認性が低下することを回避する。
【0068】
したがって、本実施例によれば、良好な視認性と高い防滴・防塵性能を有し、構成部品が少ない表示部を備えたカメラを実現することができる。
【0069】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【0070】
例えば、上記各実施例では、溝形状部130d、段差形状部130e及び段差/溝形状部130fを透明弾性部材130の両密着面(130a,130b)側に形成した場合について説明したが、いずれか一方の密着面側にのみ形成してもよい。
【0071】
また、透明弾性部材における密着面領域と被押圧領域との間に形成する形状は、上記各実施例で説明した溝形状や段差形状に限らず、被押圧領域の弾性変形(応力)の密着面領域への伝達を低減する形状であれば、どのようなものでもよい。
【0072】
さらに、上記各実施例では、表示部を有する一眼レフデジタルカメラについて説明したが、本発明は、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラといった撮像装置をはじめ、携帯電話、携帯端末、携帯テレビ等の撮像装置以外の電子機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例1〜3であるデジタルカメラの正面外観図。
【図2】実施例1〜3のデジタルカメラの背面外観図。
【図3A】実施例1の表示部の構成を示す分解斜視図。
【図3B】実施例1の表示部の構成を示す図3Aとは別の方向から見た分解斜視図。
【図4A】実施例1の表示部の構成を示す断面図。
【図4B】図4Aの一部を拡大した断面図。
【図5A】実施例2の表示部の構成を示す断面図。
【図5B】図5Aの一部を拡大した断面図。
【図6A】実施例3の表示部の構成を示す断面図。
【図6B】図6Aの一部を拡大した断面図。
【符号の説明】
【0074】
100 デジタルカメラ
110 背面外装部材
111 表示窓部材
130 透明弾性部材
130a、130b 密着面
130c 被押圧領域
130d 溝形状部
130e 段差形状部
130f 段差/溝形状部
131 表示素子
132 表示素子保持部材
140 水滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子を有する電子機器であって、
前記表示素子を保持する表示素子保持部材と、
該電子機器の外装部材に形成された開口部に取り付けられた表示窓部材と、
前記表示素子の表示面及び前記表示窓部材の内面に密着する密着面領域を有する透光性弾性部材とを有し、
前記透光性弾性部材における前記密着面領域よりも外周側の領域が、前記外装部材と前記表示素子保持部材との間で弾性変形状態となるように押圧されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記透光性弾性部材における前記密着面領域と前記外周側領域との間に、該外周側領域の弾性変形の前記密着面領域への伝達を低減する形状を持つ部分を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性変形の伝達を低減する形状は、溝形状及び段差形状のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2009−115907(P2009−115907A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286258(P2007−286258)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】